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【発明の名称】 車両用空調装置
【発明者】 【氏名】西川 克巳
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【氏名】奥村 佳彦
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内

【要約】 【課題】風圧で駆動トルクに影響を受ける面スライド式ドア15の駆動力を軽減できる車両用空調装置を提供する。

【解決手段】制御装置30は、軸回動式ドア22が略全閉状態にある状態において面スライド式ドア15を開閉作動させる場合、面スライド式ドア15を開閉作動させる前に軸回動式ドア22の開放作動を開始させる。これにより、面スライド式ドア15と比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難い軸回動式ドア22を先に開けて空調風を逃がしてやることで、風圧で駆動トルクに影響を受ける面スライド式ドア15に掛かっている風圧を軽減させ、それから面スライド式ドア15を動かすことで風圧で駆動トルクに影響を受ける面スライド式ドア15を開閉作動させる際の駆動力を軽減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空調ケース(2)に設けられ、空調風を吹き出す複数の開口部(13、14、21)と、前記空調ケース(2)に内に設けられ、前記複数の開口部(13、14、21)を開閉する開口部開閉手段(15、22)と、複数の吹出モードに対応して前記開口部開閉手段(15、22)の各開度を操作する吹出モード切替手段(30)とを備え、前記複数の開口部開閉手段(15、22)が、前記空調ケース(2)内の風圧で駆動トルクに影響を受ける第1の開口部開閉手段(15)と、前記第1の開口部開閉手段(15)に比べて前記風圧で駆動トルクに影響を受け難い第2の開口部開閉手段(22)とで構成される車両用空調装置において、前記吹出モード切替手段(30)は、前記第2の開口部開閉手段(22)が略全閉状態にある状態において前記第1の開口部開閉手段(15)を開閉作動させる場合、前記第1の開口部開閉手段(15)を開閉作動させる前に前記第2の開口部開閉手段(22)の開放作動を開始させることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項2】 空調ケース(2)に設けられ、空調風を吹き出す複数の開口部(13、14、21)と、前記空調ケース(2)に内に設けられ、前記複数の開口部(13、14、21)を開閉する開口部開閉手段(15、22)と、複数の吹出モードに対応して前記開口部開閉手段(15、22)の各開度を操作する吹出モード切替手段(30)とを備え、前記複数の開口部開閉手段(15、22)が、前記空調ケース(2)内の風圧で駆動トルクに影響を受ける第1の開口部開閉手段(15)と、前記第1の開口部開閉手段(15)に比べて前記風圧で駆動トルクに影響を受け難い第2の開口部開閉手段(22)とで構成される車両用空調装置において、前記吹出モード切替手段(30)は、前記第1の開口部開閉手段(15)を開閉作動させると共に前記第2の開口部開閉手段(22)を略全閉状態にする場合、前記第1の開口部開閉手段(15)が開閉作動を終了した後に前記第2の開口部開閉手段(22)の閉塞作動を終了させることを特徴とする車両用空調装置。
【請求項3】 前記第1の開口部開閉手段(15)は面スライド式ドア(15)で構成されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用空調装置。
【請求項4】 前記第2の開口部開閉手段(22)は軸回動式ドア(22)で構成されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の車両用空調装置。
【請求項5】 前記吹出モード切替手段(30)は、吹出モード毎に予め決められた所定開度パターンに応じて、前記面スライド式ドア(15)と前記軸回動式ドア(22)の開閉位置を制御することを特徴とする請求項4に記載の車両用空調装置。
【請求項6】 前記吹出モード切替手段(30)は、前記軸回動式ドア(22)が略全閉状態にある状態において前記面スライド式ドア(15)を開閉作動させる場合、一時的に前記軸回動式ドア(22)を所定時間または所定位置まで開放作動させ、その開放している間に前記面スライド式ドア(15)を開閉作動させることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空調風の吹き出しを制御する開口部開閉手段が、風圧で駆動トルクに影響を受ける第1の開口部開閉手段、例えば面スライド式ドアと、第1の開口部開閉手段に比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難い第2の開口部開閉手段、例えば軸回動式ドアとで構成される車両用空調装置に関し、特に風圧で駆動トルクに影響を受ける第1の開口部開閉手段の駆動力低減を図った改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、吹出モードドアに面スライド式ドアと軸回動式ドアとのそれぞれの特徴を生かし、組み合わせて構成した車両用空調装置がある。例えば、本出願人が先に出願した特開平9−235914号公報に示す車両用空調装置等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記公報に示すような構成の車両用空調装置において、例えば、デフロスタモード時にフェイス開口部を閉じているデフ・フェイス用フィルムドアには400Paもの風圧が加わっている。この状態からフットモードに切り替えようとする場合、その風圧を受けながらデフロスタ開口部を閉じる方向にフィルムドアをスライドさせるためには、約14Nもの駆動力が必要となる。図5に、そのドアに掛かる風圧と駆動力との関係をグラフに示す。
【0004】このため、フィルムや駆動ギヤに強度が必要なばかりではなく、駆動トルクの大きなアクチュエータ機構が必要となって大型化し、コストアップになるという問題がある。この問題はフィルムドアに限らず、空調ケース内の風圧で開閉用の駆動トルクに影響を受ける、例えば面スライド式ドア及び軸回動式ドアを含む開口部開閉手段に共通の問題でもある。
【0005】本発明は、上記従来の問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、風圧で駆動トルクに影響を受ける開口部開閉手段の駆動力を軽減できる車両用空調装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では以下の技術的手段を採用する。
【0007】請求項1記載の発明では、吹出モード切替手段(30)は、第2の開口部開閉手段(22)が略全閉状態にある状態において第1の開口部開閉手段(15)を開閉作動させる場合、第1の開口部開閉手段(15)を開閉作動させる前に第2の開口部開閉手段(22)の開放作動を開始させることを特徴とする。
【0008】これにより、第1の開口部開閉手段(15)に比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難い第2の開口部開閉手段(22)を先に開けて空調風を逃がしてやることで、風圧で駆動トルクに影響を受ける第1の開口部開閉手段(15)に掛かっている風圧を軽減させ、それから第1の開口部開閉手段(15)を動かすことで風圧で駆動トルクに影響を受ける第1の開口部開閉手段(15)を開閉作動させる際の駆動力を軽減することができる。
【0009】請求項2記載の発明では、吹出モード切替手段(30)は、第1の開口部開閉手段(15)を開閉作動させると共に第2の開口部開閉手段(22)を略全閉状態にする場合、第1の開口部開閉手段(15)が開閉作動を終了した後に第2の開口部開閉手段(22)の閉塞作動を終了させることを特徴とする。
【0010】これにより、第1の開口部開閉手段(15)に比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難い第2の開口部開閉手段(22)が閉じきっていないことで空調風が逃げるため、風圧で駆動トルクに影響を受ける第1の開口部開閉手段(15)に掛かる風圧が軽減されており、その間に第1の開口部開閉手段(15)を動かし終わることで風圧で駆動トルクに影響を受ける第1の開口部開閉手段(15)を開閉作動させる際の駆動力を軽減することができる。
【0011】請求項3記載の発明では、第1の開口部開閉手段(15)は面スライド式ドア(15)で構成されることを特徴とする。これは、特に風圧で駆動トルクに影響を受け易く駆動力を軽減したい開口部開閉手段として面スライド式ドア(15)があり、膜状部材のフィルムドアや、もう少し腰のある薄板部材等のフレキシブルドアや、剛性のある枠体にフィルム等を組み合わせたスライドドア等が挙げられるが、何れのタイプの面スライド式ドア(15)においても開閉時の駆動力を軽減することができる。
【0012】請求項4記載の発明では、第2の開口部開閉手段(22)は軸回動式ドア(22)で構成されることを特徴とする。これは、第1の開口部開閉手段(15)に比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難い開口部開閉手段として軸回動式ドア(22)があり、通常の板ドアや、板ドア部の中央近傍に回転軸を配置したバタフライドアや、回転軸に対する円弧面をドア面としたロータリードア等が挙げられるが、何れのタイプの軸回動式ドア(22)においても風圧で駆動トルクに影響を受ける開口部開閉手段、例えば面スライド式ドア(15)駆動時の風圧を軽減することができる。
【0013】請求項5記載の発明では、吹出モード切替手段(30)は、吹出モード毎に予め決められた所定開度パターンに応じて、面スライド式ドア(15)と軸回動式ドア(22)の開閉位置を制御することを特徴とする。これにより、軸回動式ドア(22)が略全閉状態にある状態において面スライド式ドア(15)を開閉作動させる場合、面スライド式ドア(15)を開閉作動させる前に軸回動式ドア(22)の開放作動を開始させることが可能となる。
【0014】尚この制御は、パルスモータやサーボモータ等各ドアを開閉するアクチュエータの駆動タイミング・駆動速度・駆動量(位置)等を制御する電気的な制御であっても良いし、各ドアの開閉タイミング・開閉速度・開閉位置等をリンク機構等を組み合わせて制御する機械的な制御であっても良い。
【0015】請求項6記載の発明では、吹出モード切替手段(30)は、軸回動式ドア(22)が略全閉状態にある状態において面スライド式ドア(15)を開閉作動させる場合、一時的に前記軸回動式ドア(22)を所定時間または所定位置まで開放作動させ、その開放している間に前記面スライド式ドア(15)を開閉作動させることを特徴とする。
【0016】これは、吹出モードを変更する場合に限らず、吹出モードは変えないまでも空調 制御上面スライド式ドア(15)の開度を変更する場合等に、まず軸回動式ドア(22)を若干量開いて空調風を逃がし、風圧が軽減されたところで面スライド式ドア(15)を駆動して開度を変更し、その後に軸回動式ドア22を再度閉じるというような作動パターンとするものである。
【0017】これによっても、風圧で駆動トルクに影響を受ける面スライド式ドア(15)を開閉作動させる際の駆動力を軽減することができる。因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図に基づいて説明する。図1は、本実施形態における空調ユニット1部分を示すもので、本実施形態による車両用空調装置の通風系は、大別して、図示しない送風機ユニットと、空調ユニット1との2つの部分に分かれている。送風機ユニットは車室内の計器盤下方部のうち、中央部から助手席側へオフセットして配置されており、これに対し、空調ユニット1は車室内の計器盤下方部のうち、車両左右方向の略中央部に配置されている。
【0019】送風機ユニットは周知のごとく内気(車室内空気)と外気(車室外空気)を切替導入する内外気切替箱と、この内外気切替箱を通して空気を吸入して送風する送風機とから構成されている。空調ユニット1部は、1つの共通の空調ケース2内に蒸発器(冷房用熱交換器)3とヒータコア(暖房用熱交換器)4を両方とも一体的に内蔵するタイプのものである。空調ケース2はポリプロピレンのような、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂の成形品からなる。
【0020】空調ケース2は具体的には複数の分割ケースからなり、この複数の分割ケースは、上記熱交換器3、4、後述のドア等の機器を収納した後に、金属バネクリップ、ネジ等の締結手段により一体に結合されて空調ユニット1を構成する。空調ユニット1部は、車両の前後方向および上下方向に対して、図1に示す形態で配置されている。空調ケース2の、最も車両前方側の部位の側面には空気入口5が形成されている。この空気入口5には、前述の送風機ユニットから送風される空調空気が流入する。
【0021】空調ケース2内において空気入口5直後の部位に蒸発器3が配置されている。この蒸発器3は車両前後方向には薄型の形態で空調ケース2内通路を横断するように上下方向に配置されている。従って、蒸発器3の車両上下方向に延びる前面に空気入口5からの送風空気が流入する。この蒸発器3は周知のごとく冷凍サイクルの冷媒の蒸発潜熱を空調空気から吸熱して、空調空気を冷却するものである。
【0022】そして、蒸発器3の空気流れ下流側(車両後方側)に、所定の間隔を開けてヒータコア4が配置されている。このヒータコア4は空調ケース2内の下方側に配置されている。尚、図示しないが、蒸発器3及びヒータコア4の車両左右方向の幅寸法は、空調ケース2の幅寸法と略同等に設計されている。
【0023】ヒータコア4は、蒸発器3を通過した冷風を再加熱するものであって、その内部に高温の温水(エンジン冷却水)が流れ、この温水を熱源として空気を加熱するものである。空調ケース2内の空気通路において、ヒータコア4の上方部位には、このヒータコア4をバイパスして空気(冷風)が流れるデフ・フェイス用冷風バイパス通路6が形成されている。
【0024】一方、空調ケース2内には、水平方向(車両幅方向)に駆動軸8と従動軸9が、空調ケース2に対して回転自在に支持されている。この駆動軸8及び従動軸9にはフィルム状のデフ・フェイス用エアミックスフィルム(面スライド式)ドア7の両端が固定及び巻回されている。このデフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7は、可撓性部材、具体的にはポリエチレン樹脂のごとく可撓性、強度に優れた樹脂製フィルム部材にて構成されている。
【0025】そして、このデフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7は、ヒータコア4と蒸発器3との間の部位にあり、駆動軸8とヒータコアの空気上流側コア面と従動軸9とによって、ヒータコア4を通過する温風通路と、ヒータコア4をバイパスするデフ・フェイス用冷風バイパス通路6とをそれぞれ通過するようにして、一定の張力が付与された状態で空調ケース2内に摺動可能に配置されている。
【0026】駆動軸8の一端部は空調ケース2の外部に突出して、ステップモータ等を用いたアクチュエータ機構に連結駆動され、この駆動軸8の回転は図示しない回転伝達機構を介して従動軸9にも伝達される。尚、この回転伝達機構は周知の機構であるので、その説明は省略する。
【0027】この駆動軸8は、車室内の空調状態を自動制御する空調制御手段であり、且つ吹出モード切替手段であり制御装置(ECU)30の制御出力に応じて回動制御されることになる。
【0028】また、デフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7には空気を通過させるためのデフ(DEF)側の開度を決定する開口部と、フェイス(FACE)側の開度を決定する開口部との両者(図2中のDEF特性及びFACE特性を参照)が形成されている。
【0029】そして、上記アクチュエータ機構により駆動軸8を正逆両方向に回転させて、上記両開口部を任意の位置で停止させることによって、ヒータコア4を通る温風通路と、ヒータコア4をバイパスするデフ・フェイス用冷風バイパス通路6とを通る通風比率が調節され、デフ・フェイスへの吹出空気温度の調整が行われる。
【0030】一方、空調ケース2において、ヒータコア4の空気下流側(車両後方側)の部位には、ヒータコア4との間に所定間隔を開けて上下方向に延びる壁面10が空調ケース2に一体成形されている。この壁面10によりヒータコア4の直後(空気下流側)から上下に向かう温風通路11が形成されており、この温風通路11の上方側はデフ・フェイス側へ温風を供給するデフ・フェイス用温風通路12となり、下方側はフット側へ温風を供給するフット用温風通路18となっている。
【0031】先のデフ・フェイス用温風通路12は、ヒータコア4の上方部においてデフ・フェイス用冷風バイパス通路6の下流側と合流し、冷風と温風の混合を行うデフ・フェイス用空気混合部を形成している。
【0032】そして、空調ケース2の上面部において、車両前方寄りの部位に、デフ・フェイス用空気混合部から温度制御された空調空気が流出するデフロスタ開口部13が開口している。このデフロスタ開口部13は図示しないデフロスタダクトを介してデフロスタ吹出口に接続され、このデフロスタ吹出口から、車両前面窓ガラスの内面に向けて風を吹き出す。
【0033】また、空調ケース2の上方部において、デフロスタ開口部13よりも車両後方側(乗員寄り)の部位にフェイス開口部14が設けられており、このフェイス開口部14は図示しないフェイスダクトを介して、計器盤上方側に配置されているフェイス吹出口に接続され、このフェイス吹出口から車室内の前席乗員頭部に向けて風を吹き出す。
【0034】そして、これらデフロスタ開口部13とフェイス開口部14とは第1の開口部開閉手段として薄板状のデフ・フェイス用フレキシブルドア15により切替開閉される。このデフ・フェイス切替用フレキシブルドア15は、面スライド式のドアであり、風圧で駆動トルクに影響を受けるドアである。
【0035】デフ・フェイス切替用フレキシブルドア15は、空調ケース2の上面部近傍にて水平方向に配置された駆動軸16により空調ケース2の内面を摺動するようになっており、その駆動軸16は図示しない吹出モード切替用のアクチュエータ機構に連結されて、このアクチュエータ機構によりデフ・フェイス切替用フレキシブルドア15が操作されるようになっている。
【0036】この駆動軸16は、ECU30の制御出力に応じて回動制御されることになる。具体的には図2中のDEF、FACEの両特性に示すように、吹出モード毎に予め決められた所定開度パターン(マップデータ)に応じて開度制御される。
【0037】次に、空調ケース2において、フェイス開口部14の下方側にフット開口部21が設けられている。このフット開口部21は、空調ケース2の車両後方向き(乗員向き)に開口しており、図示しないフットダクトを解して前席の運転席側及び助手席側の乗員足元に空気を吹き出す。
【0038】また、空調ケース2の内部においてヒータコア4の下方側部位に、蒸発器3出口からの冷風をヒータコア4をバイパスして通過させるフット用冷風バイパス通路17が形成されている。そして、フット用温風通路18とフット用冷風バイパス通路17との合流部位に平板状のフット用エアミックスドア19が回転軸20により回動可能に配置されている。
【0039】このフット用エアミックスドア19はフット用温風通路18からの温風とフット用冷風バイパス通路17からの冷風との風量割合を調整して乗員足下への吹出空気温度を調整するフット用温度調整手段を構成する。フット用温風通路18からの温風とフット用冷風バイパス通路17からの冷風はフット用空気混合部において混合して所望温度の空気となる。
【0040】回転軸20は水平方向(車両幅方向)に配置され、その一端部は空調ケース2の外部に突出して、図示しないサーボモータ等を用いた独立のアクチュエータ機構に連結され、このアクチュエータ機構によりECU30の制御出力に応じてフット用エアミックスドア19の回動位置を調整するようになっている。
【0041】フット用空気混合部で混合した所望温度の空気は、下流側(車両後方側)に向かって流れ、フット開口部21との間に、その空調空気を遮断したり吹き出し量を調節したりする吹出モードドア(開口部開閉手段)の一つとしてのフット用バタフライドア22が回転軸23により回動可能に配置されている。このフット用バタフライドア22は、軸回動式のドアであり、面スライド式のドアと比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難いドアである。
【0042】そして、回転軸23は水平方向(車両幅方向)に配置され、その一端部は空調ケース2の外部に突出して、図示しないサーボモータ等を用いた独立のアクチュエータ機構に連結され、このアクチュエータ機構によりフット用バタフライドア22の回動位置を調整するようになっている。具体的にはECU30により図2中のFOOT特性で示すように、吹出モード毎に予め決められた所定開度パターン(マップデータ)に応じて開度制御されることになる。
【0043】このECU30はマイクロコンピュータ等から構成されるもので、送風機ユニット及び空調ユニット1に装備される各種空調機器を予め設定されたプログラムに従って制御するものである。そして、各種開度パターンはマップデータとして記憶手段(メモリ)に予め記憶されている。
【0044】次に、図1、図2を用いて上記構成における本実施形態の作動を説明する。尚、図2は本発明での各吹出モードと各吹出モードドア開度の推移を示すドアダイアグラムである。本実施形態の車両用空調装置は吹出モード切替用のドア手段をなすデフ・フェイス切替用フレキシブルドア15と、フット用バタフライドア22との操作位置を選択することにより、以下の吹出モードを設定できる。
【0045】(1)デフロスタ吹出モード図2のドアダイアグラムに示すように、デフ・フェイス切替用フレキシブルドア15はデフロスタ開口部13を100%開度(全開)とし、フェイス開口部14は0%開度(全閉)とする。また、フット用バタフライドア22も0%開度(全閉)とする。この状態でデフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7は、ヒータコア4を通る温風通路側を全開とし、フット用エアミックスドア19はフット用冷風バイパス通路17を全閉とする。
【0046】これにより、送風機ユニットからの送風空気の全量をヒータコア4で加熱した後、この温風はデフ・フェイス用温風通路12を上昇してデフ・フェイス用空気混合部に至り、ここからデフロスタ開口部13を通して、デフロスタ吹出口から車両前面窓ガラスに向けて吹き出し、前面窓ガラスの曇り止めを行う。
【0047】(2)フット/デフ吹出モードデフ・フェイス切替用フレキシブルドア15はデフロスタ開口部13を略中間開度とし、フェイス開口部14は0%開度(全閉)とする。また、フット用バタフライドア22は略中間開度とする。この状態でデフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7は、ヒータコア4を通る温風通路側を全開とし、フット用エアミックスドア19はフット用冷風バイパス通路17を全閉とする。
【0048】これにより、送風機ユニットからの送風空気の全量をヒータコア4で加熱した後、略半分の温風はデフ・フェイス用温風通路12を上昇してデフ・フェイス用空気混合部に至り、ここからデフロスタ開口部13を通して、デフロスタ吹出口から車両前面窓ガラスに向けて吹き出し、前面窓ガラスの曇り止めを行うと共に、略半分の温風はフット用温風通路18を通過してフット開口部21からフット吹出口を経て前席乗員の足元部に向けて温風が吹き出し車室内の暖房を行う。
【0049】(3)フット吹出モードデフ・フェイス切替用フレキシブルドア15はデフロスタ開口部13を略20%開度とし、フェイス開口部14も略20%開度とする。また、フット用バタフライドア22は100%開度(全開)とする。この状態でデフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7は、ヒータコア4を通る温風通路側を全開とし、フット用エアミックスドア19はフット用冷風バイパス通路17を全閉とする。
【0050】これにより、送風機ユニットからの送風空気の全量をヒータコア4で加熱した後、大部分の温風はフット用温風通路18を通過してフット開口部21からフット吹出口を経て前席乗員の足元部に向けて温風が吹き出し車室内の暖房を行う。また、少量の温風がデフ・フェイス用温風通路12を上昇してデフ・フェイス用空気混合部に至り、ここからデフロスタ開口部13を通して、デフロスタ吹出口から車両前面窓ガラスに向けて吹き出し、前面窓ガラスの曇り止めを行うと共に、フェイス開口部14を通して、フェイス吹出口から前席乗員の頭部に向けて温風が吹き出す。
【0051】(4)バイレベル吹出モードデフ・フェイス切替用フレキシブルドア15はデフロスタ開口部13を0%開度(全閉)とし、フェイス開口部14は略中間開度とする。また、フット用バタフライドア22は略中間開度とする。バイレベル吹出モードは、通常、春秋の中間シーズンで用いられるので、デフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7とフット用エアミックスドア19が中間開度位置に操作され、所望温度に調整された風が、フェイス開口部14とフット開口部21の両方から車室内前席側の上下に同時に吹き出す。
【0052】(5)フェイス吹出モードデフ・フェイス切替用フレキシブルドア15はデフロスタ開口部13を0%開度(全閉)とし、フェイス開口部14は100%開度(全開)とする。また、フット用バタフライドア22は0%開度(全閉)とする。そして、デフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7はデフ・フェイス用冷風バイパス通路6を全開として最大冷房状態を設定する。
【0053】この状態において、送風機ユニット及び冷凍サイクルが運転されると、送風機ユニットからの送風空気が空気入口5より流入した後、蒸発器3で冷却されて冷風となる。最大冷房状態ではこの冷風がそのまま、デフ・フェイス用冷風バイパス通路6を通過してデフ・フェイス用空気混合部を経てフェイス開口部14へ向かい、前席用フェイス吹出口から前席乗員の頭部に向けて冷風が吹き出す。
【0054】車室内吹出空気温度の制御のために、デフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7を最大冷房位置から中間開度位置に操作すると、デフ・フェイス用エアミックスフィルムドア7の開度位置に従って冷風の大部分がデフ・フェイス用冷風バイパス通路6を通過し、残余の一部の冷風はヒータコア4に流入して加熱され、温風となって温風通路11に流出する。そして、デフ・フェイス用温風通路12を流れ、デフ・フェイス用冷風バイパス通路6の冷風とデフ・フェイス用温風通路12からの温風とがデフ・フェイス用空気混合部にて混合され、所望温度に調整される。
【0055】次に、本実施形態の特徴を説明する。図4に、従来の各吹出モードと各吹出モードドア開度の推移をドアダイアグラムに示すが、各吹出モードでの各吹出モードドアの開度は上記した本実施形態の作動と同じである。違いは、その各吹出モード間を切り替えて移行する際の各吹出モードドアの開閉タイミングにある。
【0056】具体的には、本実施形態の空調ユニットではデフ・フェイス部に面スライド式ドア15として風圧で駆動トルクに影響を受けるドアを用い、フット部に軸回動式ドア22として面スライド式ドア15と比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難いドアを用いているため、フット部の軸回動式ドア22が閉じていてデフ・フェイス部の面スライド式ドア15に高い風圧が掛かっている状態での駆動にある。
【0057】図2、図4のドアダイアグラムでいえば、デフロスタモードからフット/デフロスタモードへ移行する動き始め、及びフット/デフロスタモードからデフロスタモードへ移行し終わる直前(Dのライン近傍)であり、フェイスモードからバイレベルモードへ移行する動き始め、及びバイレベルモードからフェイスモードへ移行し終わる直前(Fのライン近傍)である。
【0058】従来は図4に示すように、フット部の軸回動式ドア22もデフ・フェイス部の面スライド式ドア15も同時に動き始めたり同時に動き終わるタイミングとなっているのに対して、本発明は図2に示すように、デフロスタモード(Dのライン近傍)またはフェイスモード(Fのライン近傍)でまずフット部の軸回動式ドア22が開き始めて、dまたはfまで遅れたタイミングでデフ・フェイス部の面スライド式ドア15がデフロスタ開口部13またはフェイス開口部14を閉じ始めるタイミングとなっている。
【0059】これにより、面スライド式ドア15と比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難い軸回動式ドア22を先に開けて空調風を逃がしてやることで、風圧で駆動トルクに影響を受ける面スライド式ドア15に掛かっている風圧を軽減させ、それから面スライド式ドア15を動かすことで風圧で駆動トルクに影響を受ける面スライド式ドア15を開閉作動させる際の駆動力を軽減することができる。
【0060】また、逆方向の動きでは、dまたはfの時点でデフ・フェイス部の面スライド式ドア15が開き終わった後、DまたはFまで遅れたタイミングでフット部の軸回動式ドア22が閉じ終わるタイミングとなっている。
【0061】これにより、面スライド式ドア15と比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難い軸回動式ドア22が閉じきっていないことで空調風が逃げるため、風圧で駆動トルクに影響を受ける面スライド式ドア15に掛かる風圧が軽減されており、その間に面スライド式ドア15を動かし終わることで風圧で駆動トルクに影響を受ける面スライド式ドア15を開閉作動させる際の駆動力を軽減することができる。
【0062】また、吹出モードを変更する場合に限らず、吹出モードは変えないまでも空調制御上面スライド式ドア15の開度を変更する場合等は、まず軸回動式ドア22を若干量開いて空調風を逃がし、風圧が軽減されたところで面スライド式ドア15を駆動して開度を変更し、その後に軸回動式ドア22を再度閉じるというような作動パターンとしている。これによっても、風圧で駆動トルクに影響を受ける面スライド式ドア15を開閉作動させる際の駆動力を軽減することができる。
【0063】また、上記のように面スライド式ドア15の駆動力を軽減できることから、フィルムや駆動ギヤの強度を上げたりアクチュエータ機構の駆動トルクを大きくする必要がなく、大型化やコストアップも避けられる。
【0064】(その他の実施形態)図3は、本発明の他の実施形態を示す空調ユニットの縦断面図である。上述の実施形態ではデフ・フェイス部を1枚のデフ・フェイス切替用フレキシブルドア15で開閉しているが、図3に示すようにデフ用フレキシブルドア24とフェイス用フレキシブルドア26とでそれぞれ個別に構成しても良い。25、27はそれぞれのドアの駆動軸である。また、デフ部やフェイス部が軸回動式ドアでその他のドアが面スライド式ドアであっても良い。
【0065】また、風圧で駆動トルクに影響を受け易く駆動力を軽減したい面スライド式ドアとして、デフ・フェイス用のエアミックスに用いた膜状部材のフィルムドアや、デフ・フェイス切替用に用いたフィルムよりもう少し腰のある薄板部材等のフレキシブルドアの他に、剛性のある枠体にフィルム等を組み合わせたスライドドア等でも良く、何れのタイプの面スライド式ドアにおいても、本発明で開閉時の駆動力を軽減することができる。
【0066】また、面スライド式ドアと比べて風圧で駆動トルクに影響を受け難い軸回動式ドアとして、フット用エアミックスに用いた通常の板ドアや、フット開閉用に用いた板ドア部の中央近傍に回転軸を配置したバタフライドアの他に、図3に示すように回転軸29に対する円弧面をドア面としたロータリードア28等でも良く、何れのタイプの軸回動式ドアにおいても面スライド式ドア駆動時の風圧を軽減することができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
【出願日】 平成13年11月13日(2001.11.13)
【代理人】 【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦 (外2名)
【公開番号】 特開2003−146054(P2003−146054A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−347383(P2001−347383)