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【発明の名称】 自動車用エアダクト
【発明者】 【氏名】児島 明彦
【住所又は居所】東京都中央区銀座四丁目7番5号 王子製紙株式会社内

【要約】 【課題】自動車の空調用として天井からの吹出しに用いられるエアダクトにおいて、漏れ特性に優れると共に、成形時の伸び率が大きくて深彫り成形の容易な基材からなるエアダクトを提供する。

【解決手段】発泡ポリプロピレンシート3とその両面に積層された雲母含有ポリプロピレンシート1、2により構成された3層構造のプラスチックシート複合材を有する成形用部材を用いて自動車用エアダクトを製造する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発泡ポリプロピレンシートとその両面に積層された雲母含有ポリプロピレンシートにより構成された3層構造のプラスチックシート複合材を有してなる自動車用エアダクト。
【請求項2】 前記3層構造のプラスチックシート複合材の通気性(JIS L1096:1999)が0.8 cm/cm・s 以下であることを特徴とする請求項1に記載した自動車用エアダクト。
【請求項3】 前記3層構造のプラスチックシート複合材の成形時の伸び(JIS K 6767:1999)が200〜300%であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載した自動車用エアダクト。
【請求項4】 前記3層構造のプラスチックシート複合材を構成する前記発泡ポリプロピレンシートの発泡倍率は5〜50倍、厚さは2〜6mmであり、前記雲母含有ポリプロピレンシートは、ポリプロピレン樹脂に雲母が混練され、雲母含有率15〜40質量%の雲母含有樹脂から成形されており、その厚さが100〜300μmであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の自動車用エアダクト。
【請求項5】 前記3層構造のプラスチックシート複合材の片面側に前記雲母含有ポリプロピレンシートにより部分的に補強部分が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載した自動車用エアダクト。
【請求項6】 前記3層構造のプラスチックシート複合材の裏面側にバック処理材を貼り付けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載した自動車用エアダクト。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は、主に空調用として、自動車の天井に設けられた吹出口からエアを吹き出すために、天井部材などの裏に開口側を密着させ接着などして配置する樹脂成形品のエアダクトに関し、曲面形状に成形して使用する積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、特に米国などにおいては、大型自動車の空調用エアダクトとして、天井部材などの裏に開口側を密着させ接着などして用いる樹脂成形品が使用されているが、これらの基材としては、発泡ウレタンの両面にガラスマットをオレフィン系フィルムまたは、イソシアネート等の樹脂にて積層した構造体が使用され、これを一様に加圧して所定の曲面形状に成形したものが知られている。
【0003】しかしながら、この成形部材は、発泡ウレタンを基材として使用している為、通気性が高く、ダクトからの漏れ特性が良くない。この対策として、オレフィン系フィルムを貼り合わせて用いる事が必須となっているが、それでも通気性は充分とは言えない。また、多数の部材からなる複合材であるため成形作業性やコスト面における問題が内在している。
【0004】また、基材の発泡ウレタンは半硬質発泡ウレタンである為、成形時の伸び率(JIS K 6767:1999における伸びのこと)が小さく、デザイン性に制約を設定せざるを得ない要因となっている。特に大きな深彫り成形が制約される傾向がある。また、成形時の伸び率は成形作業性を左右し、成形作業性の制約ともなっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 したがって本発明は、自動車の主に空調用として天井からの吹出しに用いられるエアダクトにおいて、通気性が低くダクトからの漏れが防止できると共に、成形時の伸び率が大きくて深彫り成形の制約が解消でき、成形作業性と製造コストの点においても優れているエアダクトを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】 本発明は、前記課題を解決するため、以下の各発明を包含して構成される。本発明の第1は、発泡ポリプロピレンシートとその両面に積層された雲母含有ポリプロピレンシートにより構成された3層構造のプラスチックシート複合材を有する成形用部材を用いて成形された自動車用エアダクトである。また、この発明における発泡ポリプロピレンシートとしては、常圧発泡架橋ポリプロピレンシートが好適に使用できる。
【0007】本発明の第2は、前記3層構造のプラスチックシート複合材の通気性(JISL 1096:1999 の 8.27.1 A法 により測定)が0.8cm/cm・s 以下であることを特徴とする第1の発明に記載した自動車用エアダクトである。
【0008】本発明の第3は、前記3層構造のプラスチックシート複合材の切断に至るまでの伸び率(JIS K 6767:1999)が200〜300%であることを特徴とする第1または第2の発明に記載した自動車用エアダクトである。
【0009】本発明の第4は、前記3層構造のプラスチックシート複合材を構成する前記発泡ポリプロピレンシートの発泡倍率が5〜50倍、厚さが2〜6mmであり、前記雲母含有ポリプロピレンシートは、ポリプロピレン樹脂に雲母が混練され、雲母含有率15〜40質量%の雲母含有樹脂から成形されており、その厚さが100〜300μmであることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の自動車用エアダクトである。
【0010】この発明においては、前記雲母含有ポリプロピレンシートを成形するポリプロピレン樹脂が、試験温度230℃、試験荷重21.18Nにおいてメルトフローレート3〜40g/10分であることが好ましい。
【0011】またこの発明においては、前記3層構造のプラスチックシート複合材の曲げ試験における破断時の最大曲げ荷重を、試験片50mm×150mm、両端自由支持でスパン長100mmの中央部に50mm/分の速度で荷重をかけて行き、破断したときの荷重として測定した場合、該最大曲げ荷重が9.8〜49.0Nであることが好ましい。
【0012】本発明の第5は、前記3層構造のプラスチックシート複合材の片面側に前記雲母含有ポリプロピレンシートにより部分的に補強部分が形成されていることを特徴とする第1から第4の発明のいずれかに記載した自動車用エアダクトである。この第5の発明において、片面側に部分貼りする雲母含有ポリプロピレンシートは、前記3層構造プラスチックシート複合材の表面側を構成する前記雲母含有ポリプロピレンシートと同材質であることが好ましいが、前記第4の発明に記載した範囲であれば、多少異なっていても構わない。
【0013】また、この第5の発明においては、加圧成形する前の成形用部材の段階においては、どちらか一方側に部分貼りする雲母含有ポリプロピレンシートを、前記3層構造のプラスチックシート複合材の表面側を構成する前記雲母含有ポリプロピレンシートに仮止めしてあればよく、この部分は、後で加熱し加圧成形してエアダクトを成形する際に、熱により溶融状態となって貼り合わせられる。
【0014】本発明の第6は、前記3層構造のプラスチックシート複合材の裏面側にバック処理材を貼り付けたことを特徴とする第1から第5の発明のいずれかに記載した自動車用エアダクトである。
【0015】
【発明の実施の形態】 本発明のエアダクトは、図7に示すような自動車の天井部材9に設けられた吹出口9からエアを吹き出すために、天井部材9などの裏に密着(接着など)して配置する樹脂成形品のエアダクト8(図5、図6参照)であり、主に空調用として使用されるものである。このエアダクト8は通常片面側に窪んで曲面形状をなし、反対面側に天井部材9と密着するフランジ部14が設けられているとともに、エア供給部12、エア吹出口対応部11などを有している。本発明者等は、これらのエアダクトの基材として従来から用いられている発泡ウレタンを主体とした積層体の問題点として、通気度が高くダクトからの漏れ特性が良くないこと、成形時の伸び率が小さく大きな深彫り成形などを必要とするダクトの基材として成形性が不充分であることなどに着目し、これらの問題点の解決に取り組み、本発明を完成させた。
【0016】本発明品は、発泡ポリプロピレンシートとその両面に積層された雲母含有ポリプロピレンシートにより構成された3層構造のプラスチックシート複合材を主構成要素とする基材を用いて成形された自動車用エアダクトである。本発明においては、発泡ポリプロピレンシートとポリプロピレンシートを主体とした素材を用いているため、素材の特性として、通気性が低くダクトからの漏れが少ないと共に、成形時の伸び率が大きくデザイン性に優れ、ダクトとしての特性に優れている。
【0017】本発明品の通気性(JIS L 1096)については、独立発泡構造を特徴として通気性が極めて低い常圧発泡架橋ポリプロピレンシートを基材にして、更に両面にも通気性が同様に低い雲母含有ポリプロピレンシートを積層した複合材としたため、前記3層構造のプラスチックシート複合材の通気性は、0.6(cm/cm・s)程度となった。従来のダクト材における発泡ウレタン層部分の通気性が100(cm/cm・s)程度、発泡ウレタンに更にオレフィン系フィルムなどを積層して通気性を改善した発泡ウレタン複合材の通気性が1.0(cm/cm・s)程度であったことを考慮すると、通気性はかなり改善された。また、従来品の複雑な積層体を単純な3層構造体に出来たことにより、製造コストの点も改善された。尚、本発明における通気性0.8(cm/cm・s)以下の数値限定は、本発明における複合材の構成によれば達成可能な数値であり、漏れ防止のための目安として決めた数値である。
【0018】デザイン性については、前記3層構造のプラスチックシート複合材の成形時における伸び(JIS K 6767による)を、最低でも200%となるようにしたので、ダクトに要求される深彫り成形なども容易となった。従来のダクト用発泡ウレタン複合材の成形時における伸び率は20〜30%程度であったので、本発明品が成形性やデサイン性の点で如何に優れているか理解できよう。 尚、本発明における伸び200〜300%の数値限定は、本発明における複合材の構成によれば達成可能な数値であり、成形性のための目安として決めた数値である。伸び200%未満では成形性が劣り、300%を越える数値は本発明の複合材では達成することが難しい。
【0019】3層構造のプラスチックシート複合材を形成する前記雲母含有ポリプロピレンシートについては、通常は射出成形により製造し、Tダイから押し出した樹脂を発泡ポリプロピレンシートに貼り合わせる。この雲母含有ポリプロピレンシートは、生産機で量産出来る条件とするのが好ましく、Tダイ幅は1500mm程度の広幅、引取り速度10〜30m/分において、100〜300μm程度の薄いシート状に押し出し可能とすることが好ましい。
【0020】雲母は、部材の剛性、断熱性能などの向上を目的として配合するものであるが、白雲母、絹雲母、金雲母などが好適である。アスペクト比5以上、雲母含有率15〜40質量%のとき、粒子径は10〜100μmが適している。ラボテスト的な方法においては、Tダイ幅が500mm以下、引取り速度が10m/分未満、シート厚み500μmであれば、上記の条件からはずれても問題は無いが、前述の量産条件(Tダイ幅1,500mm程度の広幅、引取り速度10〜30m/分において、100〜300μmの薄いシート状に押し出しする条件)においては、粒子径が10μm未満では成膜性が良くても剛性が劣り、100μmを超えると成膜上、穴明きの発生も見られ不適切である。剛性、成膜性の点から更に好ましい粒子径の範囲は15〜50μmである。
【0021】また、雲母の含有率においても15質量%未満では剛性が劣り、40質量%を超えると穴明きの発生が多くなる。穴明き防止の点から更に好ましい雲母含有率の範囲は15〜30質量%である。
【0022】また、雲母の好ましいアスペクト比(平均直径を厚さで除した数値)は、5以上であり、特に10以上が好ましい。アスペクト比が5未満のものは成形用部材シートに対して平行に配向できなくなるため、剛性向上効果が劣る。アスペクト比は大きいほど雲母の部材シート中における層数が大きくなるため高い剛性を示すと考えられる。
【0023】一方、雲母を混練するベースになるポリプロピレン樹脂については、前述の量産条件(Tダイ幅1,500mm程度の広幅、引取り速度10〜30m/分において、100〜300μmの薄いシート状に押し出しする条件)においては、雲母のアスペクト比5以上、粒子径は10〜100μm、雲母含有率15〜40質量%のとき、試験温度230°C、試験荷重21.18Nにおけるメルトフローレート(JIS−K−7210のB法による)が3〜40g/10分であることが好ましく、このように比較的数値の高いほうが、雲母との混練樹脂押し出し時に延展性が良く、穴明きの無いきれいなシートを得ることができた。すなわち、メルトフローレートが3g/10分未満であると、延展性が悪く穴明きが発生し易く好ましくなく、40g/10分を越えると、樹脂が柔らかくなり過ぎるのため好ましくない。
【0024】また、シートの剛性を高めるためにはポリプロピレン樹脂とこれら雲母の界面の接着性が高いほどシートの剛性を高くすることが出来る。このように界面の接着が剛性を左右することから、界面に作用するカップリング剤を適宜添加してシート成形するのが好ましい。カップリング剤としては、シランカップリング剤で雲母を処理することが好ましく、その処理を行うことによって、雲母は表面の疎水性が高まるため、ポリプロピレン樹脂との接着性が高まり、高い剛性を得ることが出来る。またその含有量としては0.1〜5重量%が適当である。
【0025】次に、雲母含有ポリプロピレンシ−トに複合体として組み合わせる発泡ポリプロピレンシートは、常圧架橋発泡により製造される常圧発泡架橋ポリプロピレンシートであることが好ましい。常圧架橋発泡とは、樹脂+熱分解型発泡剤に架橋剤あるいは架橋助剤をブレンドした後、発泡性シートに押出してから、電子線で架橋せしめ発泡させる方法、あるいは押出してから発泡に先立ち架橋せしめると共に発泡させる(化学架橋法)ことにより発泡体を得る方法である。
【0026】更に、その発泡倍率が数倍にとどまると剛性を有するシートとなるが、発泡倍率が数十倍になると柔らかい柔軟なフイルム状の性状を示す。エアダクトの部材としては、通気性と、成形時の伸び率、そして一般に要求される剛性と軽量性によつて積層体の積層構造は決定されるべきである。これらを考慮して、本発明においては、発泡倍率は5〜50倍、厚みは2〜6mmとすることが好ましい。
【0027】本発明においては、発泡ポリプロピレンシートを挟み込むような形で、雲母含有ポリプロピレンシート/発泡ポリプロピレンシート/雲母含有ポリプロピレンシートの3層構造プラスチックシート複合材を成形用部材として用いることを基本としており、本発明の明細書文章中においては、この3層構造体を「3層構造のプラスチックシート複合材」または、単に「3層構造のプラスチック複合材」と記載している。
【0028】この3層構造の積層体の厚さは、前述のように、通気性、成形時の伸び率を考慮しつつ剛性と軽量化の目標により決定されるが、通常、前記3層構造のプラスチックシート複合材の場合、2.2〜6.6mmが好ましく、更に好ましくは2.2〜6mmである。また、3層構造のプラスチックシート複合材の最大曲げ荷重(後述する試験方法による)は9.8〜49.0N(1〜5kgf)とするのが良い。厚さ2.2mm未満であると必要な通気性や剛性を保持することが難しく、6.6mmを越える厚みにしても特段の特性向上を期待することができない。最大曲げ荷重は、9.8N未満であれば一辺が1m以上の大きさになると垂れ下がりが大きくなり、取り付ける際の作業性が劣る場合があり、49.0Nを越えても特段の特性向上が認められない。尚、ここで記載した最大曲げ荷重は、成形加工の完了した自動車用エアダクト部材(自動車用エアダクトと同意)に要求される数値であるが、雲母含有ポリプロピレンシート/発泡ポリプロピレンシート/雲母含有ポリプロピレンシートから構成される3層構造のプラスチックシート複合材に、特別な強度に係わる加工を施さないで自動車用エアダクト部材を成形する場合には、成形前の3層構造プラスチックシート複合材を有する自動車用エアダクト成形用部材に要求される最大曲げ荷重であると規定することもできる。
【0029】本発明における3層構造のプラスチック複合材の製造は、一般的には、巻取形態の発泡ポリプロピレンシートを巻戻して連続的に供給しながら、雲母含有ポリプロピレンシートをTダイから溶融押し出しし、発泡ポリプロピレンシートに該雲母含有ポリプロピレンシートをラミネートして2層構造のシートを形成して巻き取り、更にもう一度該2層構造のシートを連続的に巻戻して、Tダイから溶融押し出しした雲母含有ポリプロピレンシートをラミネートして3層構造のプラスチック複合材を得ることにより行なうことが好ましい。
【0030】また、自動車天井部材の裏に設ける自動車用エアダクトの外側には、振動による擦れ音の防止などを目的としバック処理材の層を設けることが好ましい。バック処理材としては、不織布などが好適に用いられる。本発明における3層構造のプラスチックシート複合材の裏面に、バック処理材の層を形成する方法としては、一般的には、3層構造のプラスチックシート複合材を形成する過程において、発泡ポリプロピレンシートと雲母含有ポリプロピレンシートをラミネートした2層構造のシートを連続的に巻戻して、Tダイから射出した雲母含有ポリプロピレンシートをラミネートしながら、同時にその外側にバック処理材を貼り付ける方法等により行なうことができる。通常、3層構造のプラスチックシート複合材そのもの、または3層構造のプラスチックシート複合材にバック処理材を貼り付けることにより、自動車用エアダクトの成形用部材の製造は完了する。
【0031】また、本発明においては、3層構造のプラスチックシート複合材または該複合材にバック処理材の層等を形成した自動車用エアダクトの成形用部材を適切な大きさに断裁した後、雲母含有ポリプロピレンシートの強度が必要な部分に、雲母含有ポリプロピレンシートを部分貼りして(テープ等で仮止めする方法が好ましい)補強する構造とすることができる。そして、この部分貼りして補強する部分は、特に限定はしないが、該複合材の外縁部分および/または中央部分の内の少なくとも1箇所とすることが、効率的補強と効率的製造の点で好ましい。
【0032】このエアダクトの部分貼りした雲母含有ポリプロピレンシートは、前項記載の加熱炉による予熱成形時に溶融して融着し、その直後に加圧する為、部分的な強度アップが図れる。また、部分貼りする雲母含有ポリプロピレンシートは、成形性等の点で、3層構造プラスチックシート複合材の雲母含有ポリプルピレンシートと同材質であることが好ましいが、成形性等に問題なければ、多少異なっていても構わない。
【0033】また、3層構造プラスチックシート複合材の補強の別方法として、前記3層構造のプラスチックシート複合材のどちらか一方側を構成する雲母含有ポリプロピレンシートを押出し、前記発泡ポリプロピレンシートにラミネートする際に、押出機吐出部(Tダイ)のリップ開度を部分的に変化させて、表面側の前記雲母含有ポリプロピレンシートの厚さを部分的に変化させる方法を用いることもできる。この方法の場合も、雲母含有ポリプルピレンシートを部分貼りする場合と同様に、部分的な強度アップが図れる。
【0034】また、雲母含有ポリプロピレンシートを部分貼り等により厚くする部分(細長い領域)の幅は、特に限定はしないが100〜400mmであることが好ましく、200〜300mmであることが更に好ましい。この幅が狭すぎると、補強の働きが不充分となり、逆に広すぎると、全体を厚くする場合に近くなって軽量化と部材の節約効果が低減する。また、特に限定はしないが、部分貼り等により厚くする厚みは、100〜300μm程度とすることが好ましい。すなわち、前記3層構造のプラスチックシート複合材の表面側の雲母含有ポリプロピレンシートの厚さと同程度の厚さ分を補強するのである。この厚さが厚過ぎると、加熱、加圧成形しても補強部分の段差部が緩やかな曲線とならず、重量も軽量にならないので好ましくない。逆に薄すぎると、補強効果が不充分となり、好ましくない。
【0035】また、本発明においては、3層構造プラスチックシート複合材の補強部分(雲母含有ポリプロピレンシートを部分貼りした部分、または雲母含有ポリプロピレンシートを厚くして押出成形した部分)は、熱可塑性樹脂からなっており硬化していないので、後の成形がやり易いという効果を奏するものである。また、本発明においては、製造順序を考慮してバック処理材の貼り付け易さ等の理由により、3層構造プラスチックシート複合材の補強部分をバック処理材の反対側に設けるのが好ましいが、このようなことを考慮しなければ、この補強部分を3層構造プラスチックシート複合材のバック処理材側に設けることもできる。
【0036】
【実施例】以下実施例について述べる。配合、濃度等の数値は、固形分あるいは有効成分の質量基準の数値である。また、測定は下記方法によって測定した。
【0037】<通気性(cm/cm・s)の測定>JIS L 1096:1999に準じて測定する。すなわち、同規格の8.27.1 A法(フラジール形法)により測定する。試験片の単位面積(cm)を単位時間(秒)に通過する空気量(cm)であり、上記単位は、cm/(cm・s) または cm/cm/s の単位と同じ意味で使用している。試験片は、下記実施例において示す方法で夫々自動車用エアダクトを成形するための成形用部材を得てから、これを加熱してダクト形状にプレス成形する代わりに、加熱後フラット状に成形して、該部材から試験片を切り取って測定した。
【0038】<切断に至るまでの伸び(%)の測定>JIS K 6767:1999に準じて測定する。試験片の試験前の評線間距離をl(mm)、試験片の切断後の評線間距離をl(mm)、伸びをE(%)とするとき、下式により算出する。
E=100×(l−l)/l試験片は、下記実施例において示す方法で夫々車両及び船舶用エアダクトを成形するための成形用部材を得てから、これを加熱してダクト形状にプレス成形する代わりに、加熱後フラット状に成形して、該部材から試験片を切り取って測定した。
【0039】<最大曲げ荷重(N)および曲げ弾性勾配(N/cm)の測定>前記測定の場合と同様にして試験片を得た。但し、試験片の寸法は50mm×150mmとし、ダクトの内側になる側を下にして両端自由支持でスパン長100mmの中央部に、50mm/分の速度で荷重をかけて行き、その荷重と中央の歪み量の関係を示す曲線を得た。そして、材料の破壊した時の荷重を最大曲げ荷重とした。また、その測定チャート曲線の加圧初期直線部分の歪み量と曲げ荷重から、歪み量1cm当たりの曲げ荷重を算出し、曲げ弾性勾配とした。
【0040】<耐熱片持ち自重垂下がり測定>前記測定の場合と同様の方法によって試験片を得た。但し、試験片の寸法は50mm×250mmとし、ダクトの内側になる側を下にして掴みしろ50mm、スパン長200mmにてセットし(片側固定支持としてセットし)、90℃の環境下において4時間放置し、試験片先端の初期値を基準値として試験環境下に放置後の撓み変化量を測定した。
【0041】次に、具体的な実施例について説明する。
<実施例1>試験温度230°C、試験荷重21.18Nにおけるメルトフローレート(JIS−K−7210のB法による)が25g/10分のポリプロピレン樹脂ペレットに、粒子径40μm、アスペクト比10の金雲母を20重量%、シランカップリング剤0.1重量%となるように溶融混練し、金雲母含有ペレットを得た。そのペレットを用いて押出し幅1500mmのTダイから、厚さ150μmとなるよう金雲母含有ポリプロピレン樹脂1を溶融押し出しし、速度28m/minで送られて来る厚さ3mm、25倍発泡の常圧発泡架橋ポリプロピレンシート3に連続的にラミネートして2層のプラスチックシート複合材を得て巻き取った。更に、この2層のプラスチックシート複合材を繰り出しながら、常圧発泡架橋ポリプロピレンシート3の反対面にも金雲母含有ポリプロピレン樹脂2を、厚さ150μmとなるよう押出し幅1500mmのTダイから溶融押し出しして、速度28m/minで連続的にラミネートし、同時にその外側に(ダクトの外側になる面に)バック処理材4として、目付け15g/m2のポリエステルスパンボンド不織布を貼り合せて、3層構造のプラスチックシート複合材+バック処理材の積層体を得た。
【0042】この積層体を自動車用エアダクトの成形用部材(加熱、プレス成形する前の部材のこと)として適切な大きさに断裁した。このようにして得られた積層体を予め加熱炉に入れて予熱し、冷却型にてプレスして自動車用エアダクト部材(ダクト形状の曲面に成形された部材のこと)8を得た。但し、通気性、伸び、最大曲げ荷重、たわみ等、上記4項目の測定用試験片の採取は、バック処理材をラミネートしない3層構造のプラスチックシート複合材を得て、加熱、プレスして、車両用エアダクト部材に相当する部材(約300mm角の平板状積層体サンプル)を得てから、試験片を切り取った。
【0043】図3に、本例における自動車用エアダクト成形用部材の斜視図を、図1に成形の完了した自動車用エアダクト部材(サンプル)の層構成図を示す。図1は、図3のA−A’断面に相当する層構成を示す図である。図1〜図4は全て、ダクトの内側になる側を上にして描いたものである。また、成形の完了した自動車用エアダクト部材(ダクト形状の曲面に成形された部材のこと)8を図5に示す。図7は、このような自動車用エアダクト部材8を取り付ける自動車天井部材9を示しており、自動車天井部材9のエア吹出し口10の裏側位置にエア吹出し口対応部11が重なるように、自動車用エアダクト部材8が配置される。
【0044】<実施例 2>実施例1において得られた、「3層構造のプラスチック複合材+バック処理材」の積層体の一方側に(ダクトの内側となる側に)、該プラスチック複合材の樹脂押し出し方向に沿って両側端部に、厚さ150μ、幅300mmの雲母含有ポリプロピレンシート(実施例1に記載の金雲母含有ポリプロピレン樹脂4より成形したもの)を部分貼りして(テープで仮止めして)、その他は実施例1と同条件により自動車用エアダクト成形用部材を得た。更に、この積層体を予め加熱炉に入れて予熱し冷却型にてプレス成形して、自動車用エアダクト部材(ダクト形状の曲面に成形された部材のこと)を得た。但し、通気性、伸び、最大曲げ荷重、たわみ等、上記4項目の測定用試験片の採取は、バック処理材をラミネートしない「3層構造のプラスチックシート複合材+部分貼りした補強材」を得て、加熱、プレスして、自動車用エアダクト部材に相当する部材(約300mm角の平板状積層体サンプル)を成形してから、試験片を切り取った。
【0045】図4に、本例における自動車用エアダクト成形用部材の斜視図を、図2に成形の完了した自動車用エアダクト部材(サンプル)の層構成図を示す。図2は、図4のA−A’断面の雲母含有ポリプロピレンシートを部分貼りした部分に相当する層構成を示す図である。また、成形の完了した自動車用エアダクト部材(ダクト形状の曲面に成形された部材のこと)を図6に示し、図7に示すような自動車天井部材9の裏側に取り付けられる。
【0046】<実施例3>実施例1において、3層構造のプラスチック複合材のダクトの内側になる側の雲母含有ポリプロピレンシートをTダイから押し出しラミネートする際に、Tダイのリップクリアランスを調整し、その厚さを、両側端部分各300mm幅において300μmとし、その他の部分は150μmとした。更に、それ以外の条件は実施例1と同条件として車両及び船舶用エアダクト成形用部材を得た。この積層体を予め加熱炉に入れて予熱し冷却型にてプレス成形し、車両及び船舶用エアダクト部材(ダクト形状の曲面に成形された部材のこと)を得た。但し、通気性、伸び、最大曲げ荷重、たわみ等、上記4項目の測定用試験片の採取は、バック処理材をラミネートしない3層構造のプラスチックシート複合材の肉厚部材(片側の雲母含有ポリプロピレンシートの厚さを300μmとした部材)を得て、加熱、プレスして、車両及び船舶用エアダクト部材に相当する部材(約300mm角の平板状積層体サンプル)を成形してから、試験片を切り取った。本例における車両及び船舶用エアダクト成形用部材の斜視図は、図4と略同一形状となるが、雲母含有ポリプロピレンシートの肉厚部分が一体的に製造されるので境界線が存在しない。成形の完了した車両及び船舶用エアダクト部材(サンプル)の層構成図も、図2と略同一形状となるが、上記の理由で境界線は存在しない。
【0047】<比較例1>従来から使用されている半硬質タイプのポリウレタン発泡材料を主構成要素とする自動車用エアダクト(成形品)に関して、測定した。部材の構成は、前記ポリウレタン発泡材料の両側をガラスマットやオレフィンフィルムを積層した材料でサンドイッチし、両側に不織布を貼り合わせたもの [ルーフ鉄板側の不織布(30g/m)/オレフィンフィルム(50μm)/ガラスマット(100g/m)/半硬質ウレタン発泡材料(7mm厚)/ガラスマット(100g/m)/室内側の不織布(30g/m)]である。この内、[ガラスマット(100g/m)/半硬質ウレタン発泡材料(7mm厚)/ガラスマット(100g/m)]の部分は、イソシアネート樹脂で接着されている。この部材から試験片を切り取って、通気性(cm/cm・s)と、伸び(%)の測定を行った。
【0048】<比較例2>比較例1における従来の自動車用エアダクトから両側の積層材を剥がして、主構成部材の半硬質ウレタン発泡材料のみを取り出し、この部材から試験片を切り取って、通気性(cm/cm・s)と、伸び(%)の測定を行った。
【0049】<試験結果>実施例1〜3において得られたプラスチック複合材よりなる自動車用エアダクト部材と、比較例1、比較例2に示す従来の自動車用エアダクトの試験結果を表1、表2に示す。この表より、実施例1〜実施例3のプラスチック複合材は、比較例1に示す従来品に比べて、通気性と成形時の伸び特性が良好であって、自動車用エアダクトの部材として充分な特性を備えていることが理解できる。通気性に関しては、従来品(比較例1)はポリウレタン発泡材料(比較例2)にオレフィンフィルム等を積層して通気性を改善しているが、それでも1.0cm/cm・sの漏れがあり充分とは言えない。これに対し本発明品の実施例1〜実施例3は通気性が0.6cm/cm・sであり、漏れは略半減したと言える。また、成形時の伸び特性については、従来品(比較例1)に比べて8〜9倍の改善効果が得られていると言える。また、3層構造のプラスチックシート複合材表面側の雲母含有ポリプロピレンシートを部分的に補強した実施例2、実施例3は、実施例1に比べて剛性が更に向上し、高温時の撓み特性も改善されていることがわかる【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【発明の効果】 本発明の自動車用エアダクトは、従来品に比べて通気性が低くダクトからの漏れが改善できる。また、従来品に比べて部材の伸び特性が良好であって、曲面形状や深彫り成形が容易であり自動車用エアダクトとして充分な特性を備えている。更に、漏れを改善するために従来品のように複雑な構成にする必要がなく、製造が容易でコストを削減できる。また、3層構造のプラスチックシート複合材表面側の雲母含有ポリプロピレンシートは充分な剛性を有し、高温時の寸法安定性と耐撓み特性においても優れており、成形性も良好な特性を示すものである。
【0053】また、3層構造のプラスチックシート複合材の特に強度が必要な部位に、雲母含有ポリプロピレンシートを部分貼りしたりして部分的にその厚さを厚くする事により、3層構造体の剛性向上のみならず、高温時の耐撓み特性も向上させることができ、軽量化と部材削減によるコスト低減を図ることができる。
【0054】
【出願人】 【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子製紙株式会社
【住所又は居所】東京都中央区銀座4丁目7番5号
【出願日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−146051(P2003−146051A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−344603(P2001−344603)