| 【発明の名称】 |
車両用空調装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】大賀 啓 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【氏名】河合 孝昌 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【氏名】一志 好則 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
【氏名】梶野 祐一 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会社デンソー内
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| 【要約】 |
【課題】送風量の制御特性を乗員の変更操作に基づいて補正する車両用空調装置において、変更操作後の送風量制御特性が乗員の好みに合致するように学習して、快適な風量制御を可能にする。
【解決手段】高風量時に送風量切替スイッチ37によって送風量を減少させる操作がなされた時に、条件に応じて送風量制御特性の補正の仕方を変える。上記の条件として、図4(a)のように高風量時の送風量を下げたいのか、あるいは図4(c)のように高風量からそれ以下の風量に落ちる切替点を変えたいのかが、推定可能な条件を選択することにより、制御特性を乗員の好みに合致させることができる。上記の条件としては、例えば目標吹出温度、空調運転開始からの経過時間を用いる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車室内への送風量を乗員が設定するための操作手段(37)と、送風量を自動制御すると共に、この自動制御のための送風量の制御特性を前記操作手段(37)の操作に基づいて補正する制御手段(31)とを備える車両用空調装置において、前記制御手段(31)は、高風量時に前記操作手段(37)によって送風量を減少させる操作がなされた時に、条件に応じて前記制御特性の補正の仕方を変えることを特徴とする車両用空調装置。 【請求項2】 前記制御特性は、高風量に設定された高風量域と、前記高風量よりも少ない風量に設定された他の風量域とを有し、前記制御手段(31)は、前記条件が所定の条件を満たす場合には、前記高風量域の送風量を下げるように補正を行うことを特徴とする請求項1に記載の車両用空調装置。 【請求項3】 前記制御手段(31)は、前記条件が所定の条件を満たさない場合には、前記他の風量域の補正を行うことを特徴とする請求項2に記載の車両用空調装置。 【請求項4】 前記条件は、車室外の温度、車室内の温度、車室内に入射する日射量、車室内へ吹き出す空気の目標吹出温度、空調運転開始からの経過時間、前記乗員の温感の推定値、および前記乗員の皮膚温度のうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 【請求項5】 前記条件の判定しきい値は、環境条件により変更されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。 【請求項6】 車室内への送風量を乗員が設定するための操作手段(37)と、送風量を自動制御すると共に、この自動制御のための送風量の制御特性を前記操作手段(37)の操作に基づいて補正する制御手段(31)とを備える車両用空調装置において、前記制御特性は、高風量に設定された高風量域と、前記高風量よりも少ない風量に設定された他の風量域とを有し、前記制御手段(31)は、前記他の風量域において、前記操作手段(37)によって送風量を前記高風量以上に増加させる操作がなされた時に、前記高風量域の補正を行うと共に前記他の風量域の補正を行うことを特徴とする車両用空調装置。 【請求項7】 前記他の風量域は、低風量に設定された低風量域と、前記高風量域と前記低風量域との間で送風量が変化する中間風量域とを有し、前記制御手段(31)は、前記他の風量域の補正を行う時に、前記高風量域と前記中間風量域とが切り替わる切替点、前記中間風量域での送風量の変化度合、および前記低風量域の送風量のうちの少なくとも1つの補正を行うことを特徴とする請求項3または6に記載の車両用空調装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、車室内への送風量を自動制御すると共に、自動制御のための送風量の制御特性を乗員の変更操作に基づいて補正する車両用空調装置に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の車両用空調装置として、特開平3−54015号公報や特開平7−25221号公報に記載のように、乗員の変更操作によって変更された送風量を学習して、送風量の制御特性を乗員の好みに合わせるようにしたものが知られている。 【0003】なお、本明細書では、例えば図4、図8に示すブロワ電圧算出マップにおいて、ブロワ電圧がHi(すなわち、最大風量)の時ないしはHiに近い値で、且つ目標吹出温度TAOまたは内気温度TRの所定の範囲でブロワ電圧が一定の領域を「高風量域」といい、その高風量域でのブロワ電圧に対応する送風量を「高風量」という。また、ブロワ電圧がL0(すなわち、最小風量)の時ないしはLoに近い値で、且つTAOまたはTRの所定の範囲でブロワ電圧が一定の領域を「低風量域」といい、その低風量域でのブロワ電圧に対応する送風量を「低風量」という。さらに、高風量域と低風量域との間でTAOまたはTRの値に応じてブロワ電圧が変化する領域を「中間風量域」といい、その中間風量域でのブロワ電圧に対応する送風量を「中間風量」という。 【0004】そして、前者の公報に記載の装置では、高風量時に送風量を下げる操作がなされた時に、高風量からそれ以下の風量に落とし始める切替点(目標吹出温度TAO)の値、換言すると、高風量域から中間風量域に切り替わるTAOの値を学習(補正)している。一方、後者の公報に記載の装置では、高風量時に送風量を変更する操作がなされた時に、高風量時の送風量を変更するようにしている。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の公報に記載の装置では、高風量時の送風量は変えられないため、高風量時の送風量を下げたいという乗員の要求には対応できないという問題があった。 【0006】また、後者の公報に記載の装置では、例えば、クールダウン初期にはそれまで設定されていた送風量で満足していて、そろそろ送風量を下げようと思って送風量を下げる変更操作をした場合、高風量時の送風量が下がってしまうため、次回乗車時のクールダウン初期において送風量が不足し、乗員の好みに合わないという問題が発生していた。さらに、後者の公報に記載の装置では、高風量域以外で送風量を変更する操作がなされた時には送風量を学習することができないため、高風量域以外での送風量が乗員の好みに合わないという問題が発生していた。 【0007】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、送風量の制御特性を乗員の変更操作に基づいて補正する車両用空調装置において、変更操作後の送風量制御特性が乗員の好みに合致するように学習して、快適な風量制御を可能にすることを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内への送風量を乗員が設定するための操作手段(37)と、送風量を自動制御すると共に、この自動制御のための送風量の制御特性を操作手段(37)の操作に基づいて補正する制御手段(31)とを備える車両用空調装置において、制御手段(31)は、高風量時に操作手段(37)によって送風量を減少させる操作がなされた時に、条件に応じて制御特性の補正の仕方を変えることを特徴とする。 【0009】これによると、上記の条件として、高風量時の送風量を下げたいのか、あるいは高風量からそれ以下の風量に落ちる切替点を変えたいのかが、推定可能な条件を選択することにより、制御特性を乗員の好みに合致させて乗員の好みに合った快適な風量制御を行うことができる。 【0010】上記の条件としては、請求項4に記載の発明のように、車室外の温度、車室内の温度、車室内に入射する日射量、車室内へ吹き出す空気の目標吹出温度、空調運転開始からの経過時間、前記乗員の温感の推定値、および前記乗員の皮膚温度のうちの少なくとも1つを用いることができる。 【0011】請求項6に記載の発明では、車室内への送風量を乗員が設定するための操作手段(37)と、送風量を自動制御すると共に、この自動制御のための送風量の制御特性を操作手段(37)の操作に基づいて補正する制御手段(31)とを備える車両用空調装置において、制御特性は、高風量に設定された高風量域と、高風量よりも少ない風量に設定された他の風量域とを有し、制御手段(31)は、他の風量域において、操作手段(37)によって送風量を高風量以上に増加させる操作がなされた時に、高風量域の補正を行うと共に他の風量域の補正を行うことを特徴とする。 【0012】これによると、高風量域以外で送風量を変更する操作がなされた時にも学習できるため、高風量域以外での送風量制御特性を乗員の好みに合わせることができる。 【0013】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。 【0014】 【発明の実施の形態】(第1実施形態)図1は本発明の第1実施形態になる車両用空調装置の全体システム構成を示すもので、この車両用空調装置は、記憶された制御特性に基づいて空調制御用機器の作動を自動制御して、吹出温度、送風量、吸込モード、吹出モード等を自動制御すると共に、自動制御のための制御特性を乗員指示に基づいて補正するものである。 【0015】車両用空調装置の室内ユニットを構成する空調ユニット10の空気流れ最上流側には、吸込モード切替手段としての内外気切替箱11が配置され、この内外気切替箱11は外気導入口11aと内気導入口11bを有すると共に、この内外気切替箱11内に内外気切替ドア12が回動自在に設置されている。 【0016】この内外気切替ドア12は、外気導入口11aと内気導入口11bとの分岐点に配置され、アクチュエータ12aにより駆動されて、空調ユニット10に導入する空気を内気と外気に切り替えたり、あるいは内気と外気の混合割合を調整する。 【0017】内外気切替箱11の下流には送風手段としての送風機13が配置され、この送風機13は、内外気切替箱11内に空気を吸い込んで空調ユニット10の下流側に送風するものであり、ブロワモータ14と、その回転軸に連結された遠心式送風ファン15を有している。この送風ファン15の下流にはエバポレータ16とヒータコア17が設けられている。 【0018】エバポレータ16は冷却用熱交換器であって、図示しない車両エンジンにより駆動されるコンプレッサ等と結合されて冷凍サイクルを構成し、その内部の低圧冷媒が空気から吸熱して蒸発することにより空気を冷却する。また、ヒータコア17は加熱用熱交換器であって、図示しない車両エンジンの冷却水(温水)が内部を循環し、このエンジン冷却水を熱源として空気を加熱する。 【0019】ヒータコア17の上流側には、吹出空気温度調整手段としてのエアミックスドア18が回動自在に設けられ、エアミックスドア18の開度はアクチュエータ18aにより駆動されて調節される。これによって、ヒータコア17を通過する空気とヒータコア17をバイパスする空気の割合とが調整され、車室内に吹き出す空気の温度が調整される。 【0020】空調ユニット10の最下流には、デフロスタ(DEF)吹出口19を開閉するデフロスタドア20、フェイス(FACE)吹出口21を開閉するフェイスドア22、およびフット(FOOT)吹出口23を開閉するフットドア24が設けられている。 【0021】これら各ドア20、22、24は吹出モード切替手段を構成するもので、アクチュエータ25により駆動されて各吹出口19、21、23を開閉することによって、各種の吹出モード、すなわち、フェイスモード、バイレベルモード、フットモード、フットデフモード、デフロスタモード等が設定される。そして、各吹出モードに応じて開口した吹出口から、温度調整された空気が車室内へ吹き出される。 【0022】空調制御装置30は制御手段としてのマイクロコンピュータ31を有し、送風量は、マイクロコンピュータ31からの出力信号に基づいて駆動回路32を介してブロワモータ14の印加電圧(ブロワ電圧)を調整してモータ回転数を調整することにより制御される。なお、その他のアクチュエータ12a、18a、25も、マイクロコンピュータ31からの出力信号に基づいて駆動回路32を介して制御される。 【0023】マイクロコンピュータ31は図示しない中央演算処理装置(CPU)、ROM、RAM、スタンバイRAM、I/Oポート、A/D変換部等を持ち、それ自体は周知のものである。 【0024】スタンバイRAMは、車両エンジンの運転を断続するイグニションスイッチ(以下、IGと記す)オフの場合においても乗員の好みを学習した値を記憶(バックアップ)するためのRAMであり、IGがオフであっても車載バッテリーからIGを介さずに直接電源が供給される。また、マイクロコンピュータ31とバッテリーとの電気接続が遮断された状況でも短時間ならばマイクロコンピュータ31に電源を供給する図示しないバックアップ用の電源が設けられている。 【0025】マイクロコンピュータ31には、車室内計器盤に設置された空調操作部33から操作信号が入力される。この空調操作部33には、空調装置の自動制御状態を設定するAUTOスイッチ34、内外気吸込モードを手動で切替設定するための内外気切替スイッチ35、吹出モードを手動で切替設定するための吹出モード切替スイッチ36、送風機13の送風量を手動で切替設定するための操作手段としての送風量切替スイッチ37、乗員の好みの温度を設定するための温度設定スイッチ38等が設けられている。 【0026】なお、送風量切替スイッチ37は、具体的には、風量アップスイッチ37aと風量ダウンスイッチ37bからなり、風量アップスイッチ37aは1回押されるごとにブロワ電圧(駆動用モータ14への印加電圧)を1レベル(0.25ボルト)上げる信号を出力し、風量ダウンスイッチ37bは1回押されるごとにブロワ電圧を1レベル(0.25ボルト)下げる信号を出力する。 【0027】また、マイクロコンピュータ31には、車室内の空調状態に影響を及ぼす環境条件(空調熱負荷)等を検出する各種センサからの信号が入力される。具体的には、車室内の空気温度(内気温度)TRを検出する内気温センサ39、車室外の空気温度(外気温度)TAMを検出する外気温センサ40、車室内に入射する日射量TSを検出する日射センサ41、蒸発器温度(具体的には蒸発器吹出空気温度)TEを検出する蒸発器温度センサ42、ヒータコア17を循環するエンジン水温TWを検出する水温センサ43等からの各信号が、それぞれのレベル変換回路45を介してマイクロコンピュータ31に入力され、これらはマイクロコンピュータ31においてA/D変換されて読み込まれる。また、温度設定スイッチ38からの信号もレベル変換回路45でレベル変換されてマイクロコンピュータ31に入力される。 【0028】図2はマイクロコンピュータ31により実行される本発明の全体のフローチャートであり、IGオンとともに図2の制御をスタートする。まず、ステップS100にて各種変換、フラグ等の初期値を設定する。次のステップS200では空調操作部33の各種スイッチ34〜38の操作信号および各種センサ39〜43からのセンサ検出信号を読み込む。 【0029】次のステップS300では、ステップS200で読み込んだ設定温度TSETおよびセンサ検出信号等に基づいて車室内に吹き出す空気の目標吹出温度TAOを下記数式1により算出する。ここで、TAOは環境条件の変化にかかわらず車室内を設定温度TSETに維持するために必要な吹出空気温度である。 【0030】 【数1】TAO=KSET×TSET−KR×TR−KAM×TAM−KS×TS+C但し、KSET、KR、KAM、KSは係数、Cは定数であり、TSET、TR、TAM、TSはそれぞれ上記した設定温度、内気温度、外気温度、日射量である。 【0031】次に、ステップS400に進み、送風量を決めるブロワ電圧を上記TAOに基づいて決定する。ここで、乗員が望む風量には個人差があるので、一律に送風量を決めることは難しい。そこで、本実施形態では、送風量に関する乗員の手動操作に基づいて送風量制御特性としてのブロワ電圧算出マップを補正していくことにより、乗員の好みを学習したブロワ電圧算出マップとなるようにしている。これについては後で詳述する。 【0032】次に、ステップS500に進み、エアミックスドア18の開度SWを、TAO、TE、TWに基づいて算出する。次に、ステップS600に進み、内外気切替ドア12による内気と外気の導入割合をTAOに基づいて演算する。次に、ステップS700にて吹出モードドア20、22、24による吹出モードをTAOに基づいて演算する。次に、ステップS800において、蒸発器温度TEが目標蒸発器温度に維持されるように、コンプレッサの制御を決定する。 【0033】次に、ステップS900に進み、上記各ステップS400〜S800で決定された各種制御信号を駆動回路32を介してブロワモータ24、各アクチュエータ12a、18a、25およびコンプレッサに加えて、ブロワモータ24の回転数、各アクチュエータ12a、18a、25およびコンプレッサの作動を制御する。ステップS900の処理後ステップS200に戻り、上記処理を繰り返す。 【0034】図3は図2のステップS400によるブロワ電圧決定の具体的処理を例示するもので、以下詳細に説明する。 【0035】まず、ステップS401では、乗員が送風量切替スイッチ37を操作して送風量を手動で変更したか否かを判定する。ここで、送風量変更操作がなければステップS401がNOとなりステップS409へ進み、ステップS409ではブロワ電圧算出マップからブロワ電圧を算出し、次いでステップS500へ進む。 【0036】一方、ステップS401がYESの場合、すなわち送風量変更操作があった場合は、ステップS402へ進んで送風量変更操作開始時の送風量が高風量か否かを判定し、ステップS402がYESの場合はステップS403へ進む。ステップS403では、送風量変更操作が送風量を減少させる操作か否かを判定し、送風量減少操作であればステップS403がYESとなってステップS404へ進む。ステップS404では、空調運転開始からの経過時間がT秒以内であるか否かを判定し、ステップS404がYESの場合はステップS405へ進む。因みに、経過時間の判定しきい値T秒は、例えば60秒に設定する。 【0037】そして、ステップS402ないしステップS404がいずれもYESの場合は、空調運転開始から短い時間の間に高風量域の送風量を下げたことになるので、送風量変更操作時点の送風量そのものが気に入らなかったものと判断し、ステップS405では高風量域のブロワ電圧を学習(補正)する。具体的には、図4(a)に破線で示す学習前パターンから実線で示す学習後パターンのように、高風量域のブロワ電圧を下げて送風量を下げるようにする。次いで、ステップS409に進んで学習後のブロワ電圧算出マップからブロワ電圧を算出し、ステップS500へ進む。 【0038】また、ステップS403でNOと判定された時はステップS405に進み、この時には高風量域の送風量を上げたことになるので、図4(b)に破線で示す学習前パターンから実線で示す学習後パターンのように、高風量域のブロワ電圧を上げて送風量を上げるようにする。次いで、ステップS409に進んで学習後のブロワ電圧算出マップからブロワ電圧を算出し、ステップS500へ進む。 【0039】一方、ステップS402でNOと判定されるとステップS406へ進み、送風量変更操作時点の高風量域の送風量よりも送風量が多くなるように、送風量変更操作がなされたか否かを判定する。そして、ステップS406がNOの場合、すなわち、送風量変更操作時点の高風量域の送風量よりも送風量が少ない範囲で送風量が変更された場合はステップS407に進み、中間風量域のみを学習する。次いで、ステップS409に進んで学習後のブロワ電圧算出マップからブロワ電圧を算出し、ステップS500へ進む。 【0040】また、ステップS404でNOと判定されてステップS407に進んだ場合、すなわち、空調運転開始からの経過時間がT秒を超えた後に送風量を下げる操作がなされてステップS407に進んだ場合は、空調運転開始から送風量変更操作時点まではそれまでの送風量で満足しており、そろそろ送風量を下げようと思って送風量変更操作がなされたものと判断し、ステップS407では高風量域は学習せずに中間風量域のみを学習する。具体的には、図4(c)に破線で示す学習前パターンから実線で示す学習後パターンのように、高風量からそれ以下の風量に落とし始める切替点を変更して中間風量域のパターンを平行移動させ、これにより、TAOが同じ値でも学習後の送風量が学習前の送風量よりも少なくなるようにしている。次いで、ステップS409に進んで学習後のブロワ電圧算出マップからブロワ電圧を算出し、ステップS500へ進む。 【0041】また、ステップS406でYESと判定された場合、すなわち、送風量変更操作時点の高風量域の送風量よりも送風量が多くなるように送風量が変更された場合はステップS408に進み、図4(d)に破線で示す学習前パターンから実線で示す学習後パターンのように、高風量域のブロワ電圧を上げると共に中間風量域のブロワ電圧を上げる。次いで、ステップS409に進んで学習後のブロワ電圧算出マップからブロワ電圧を算出し、ステップS500へ進む。 【0042】ここで、ブロワ電圧算出マップの具体的な学習方法の一例を図5により説明する。図5(a)の特性Aは空調装置出荷時のオリジナルの特性であり、これは予め実験等により一般的な乗員の好みに適合するように設定してマイクロコンピュータ31のROMに記憶されている。従って、送風量に関する乗員操作の学習を一度もしていない時はこの図5(a)のオリジナルの特性によりブロワ電圧が算出される。 【0043】そして、乗員により1回目の送風量切替スイッチ37の操作が行われた時について述べると、図5(a)のオリジナルの送風量制御特性Aにおいて、ブロワ電圧がaレベル(最大風量)である時、乗員の操作によりブロワ電圧が操作点1のレベルまで引き下げられると、この乗員操作を学習して、この操作点1を通るようにオリジナル特性Aの中間風量域部分を図5(a)の左側(TAOの低温側)に平行移動させる。図5(a)の実線Bはこの1回目の乗員操作を学習した後の制御特性を示す。 【0044】次に、図5(b)は2回目の乗員操作による学習を示すもので、1回目の学習後の制御特性Bにおいて、ブロワ電圧がbレベル(最小風量に近い小風量)である時、乗員の操作によりブロワ電圧が操作点2のレベルまで引き上げられると、今度は操作点1および操作点2の両方を通るように、制御特性の中間風量域部分の傾きθを変更する。図5(b)の実線Cはこの2回目の乗員操作を学習した後の制御特性を示す。 【0045】次に、図5(c)は3回目の乗員操作による学習を示すもので、2回目の学習後の制御特性Cにおいて、ブロワ電圧がcレベル(操作点2の送風量と最小送風量Loとの間の送風量)である時、乗員の操作によりブロワ電圧が操作点3の最小送風量のLoレベルまで引き下げられると、今度は2回目の学習後の制御特性Cにおける中間風量域部分の傾きθを、操作点1、操作点2および操作点3を最小2乗近似する傾きに変更する。従って、3回目の乗員操作を学習した後の制御特性は図5(c)の実線Dに示すようになる。4回以上の乗員操作に対しては、各操作点を最小2乗近似する傾きに変更する。 【0046】上記した本実施形態では、空調運転開始から短い時間の間に高風量域の送風量を下げる操作をした場合は、送風量変更操作時点の送風量そのものが気に入らなかったものと判断して、高風量域の送風量を下げ、一方、空調運転開始からある程度の時間が経過した後に高風量域の送風量を下げる操作をした場合は、送風量変更操作時点まではそれまでの送風量で満足しており、そろそろ送風量を下げようと思って送風量変更操作がなされたものと判断して、高風量域は学習せずに中間風量域のみ送風量を下げるようにしている。 【0047】このように、空調運転開始から送風量変更操作までの経過時間に応じて制御特性の補正の仕方を変えることにより、換言すると、高風量時の送風量を下げたいのかあるいは高風量からそれ以下の風量に落ちる切替点を変えたいのかが推定可能な条件に応じて、制御特性の補正の仕方を変えることにより、制御特性を乗員の好みに合致させて乗員の好みに合った快適な風量制御を行うことができる。 【0048】(第2実施形態)第1実施形態では、図3のステップS404において、空調運転開始から送風量変更操作時までの経過時間がT秒以内であるか否かを判定し、その経過時間に応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしたが、図6に示す本実施形態では、上記の経過時間の代わりに図3のステップS404において送風量変更操作時の目標吹出温度TAOを判定するようにし、TAOに応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしている。 【0049】具体的には、送風量を下げる操作をした時のTAOがα以下の時またはβ以上の時には、図4(a)のように高風量域の送風量を下げ、送風量を下げる操作をした時のTAOがそれ以外の時には、図4(c)のように中間風量域の送風量を下げるようにする。 【0050】ここで、TAOがαよりも低いところは、非常に高い冷房能力を必要とする状況であり、そのような状況下でも送風量を下げるということは送風量が不満であると推測され、同様に、TAOがβよりも高いところは、非常に高い暖房能力を必要とする状況であり、そのような状況下でも送風量を下げるということは送風量が不満であると推測される。 【0051】従って、送風量変更操作時の目標吹出温度TAOに応じて制御特性の補正の仕方を変えることにより、制御特性を乗員の好みに合致させて乗員の好みに合った快適な風量制御を行うことができる。 【0052】(第3実施形態)第2実施形態では、送風量変更操作時の目標吹出温度TAOに応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしたが、図7に示す本実施形態では、高風量域から中間風量域への切替点のTAOの値Eと送風量変更操作時のTAOの値との差を判定し、その差に応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしている。 【0053】具体的には、TAOが低い領域において、送風量を下げる操作をした時のTAOの値が切替点のTAOの値Eよりも低く、切替点のTAOの値Eと送風量変更操作時のTAOの値との差がγ以上の時には、図4(a)のように高風量域の送風量を下げ、送風量を下げる操作をした時の上記のTAOの差がγ未満の時には、図4(c)のように中間風量域の送風量を下げるようにする。 【0054】そして、高風量域から中間風量域への切替点のTAOの値Eと送風量変更操作時のTAOの値との差に応じて制御特性の補正の仕方を変えることにより、制御特性を乗員の好みに合致させて乗員の好みに合った快適な風量制御を行うことができる。 【0055】なお、ここではTAOが低い領域のみについて説明したが、TAOが高い領域についても同様に学習するのが望ましい。 【0056】(第4実施形態)上記各実施形態では、目標吹出温度TAOのみに基づいてブロワ電圧を算出したが、本実施形態では、内気温度TR、外気温度TAMおよび日射量TSを入力としてブロワ電圧を算出するようにしている。 【0057】図8は本実施形態で用いる送風量制御特性としてのブロワ電圧算出マップを例示するもので、外気温度TAMをある温度に固定した場合において内気温度TRおよび日射量TSによりブロワ電圧が変化する状態を3次元マップで表示している。 【0058】また、第2実施形態では、送風量変更操作時のTAOに応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしたが、本実施形態では、内気温度TRに応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしている。 【0059】具体的には、内気温度TRが低い領域において、送風量を下げる操作をした時の内気温度TRがδ以下の時には、図8の学習前の特性Fから斜線部Gのように高風量域の送風量を下げる。また、送風量を下げる操作をした時の内気温度TRがδよりも少し高い時には、中間風量域の送風量を下げるようにする。 【0060】ところで、乗員の温感には、外気温度TAMや日射量TSよりも内気温度TRが大きく影響する。従って、冷房時において、TAOが同じであっても、「外気温度TAMが高くて、内気温度TRは設定温度TSETに対してあまり高くない場合」と、「外気温度TAMはあまり高くないが、内気温度TRが設定温度TSETに対して高い場合」とでは、後者の方が乗員は暑く感じる。 【0061】そして、前者の状況では高風量域の送風量は少なくてよいが、後者の状況では高風量域の送風量を多くしたいという乗員の好みに対して、TAOに応じて制御特性の補正の仕方を変える方法では対応できない。 【0062】これに対し、本実施形態のように内気温度TRに応じて制御特性の補正の仕方を変えることにより、前者の状況と後者の状況にそれぞれ合致した制御特性とすることができ、乗員の好みに合った快適な風量制御を行うことができる。 【0063】なお、例えば日射量TSが少ない時に送風量変更操作がなされた場合は、図8に例示するように、日射量TSが少ない領域の制御特性のみを学習するようにしてもよい。また、ここでは内気温度TRが低い領域のみについて説明したが、内気温度TRが高い領域についても同様に学習するのが望ましい。 【0064】(第5実施形態)第1実施形態では、空調運転開始から送風量変更操作時までの経過時間に応じて制御特性の補正の仕方を変え、第2実施形態では、送風量変更操作時の目標吹出温度TAOに応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしたが、本実施形態では、上記経過時間がT秒以内で、且つ送風量変更操作時のTAOがα以下またはβ以上の時に、高風量域の送風量を変更するようにしている。 【0065】例えば、空調運転開始直後に高風量域の送風量を下げる操作をした場合に、その時のTAOが高風量域から中間風量域への切替点に近ければ、その切替点を変えたかったと推定されるが、第1実施形態によれば高風量域の送風量を下げるように学習してしまう。逆に、TAOが図6のα以下またはβ以上の時に送風量を下げる操作をした場合、第2実施形態によれば高風量域の送風量を下げるように学習してしまうが、もしもかなり長い時間空調していたとすれば、送風量を下げるよりも切替点を変えるようにした方が乗員の好みに合うと考えられる。 【0066】従って、本実施形態のように、空調運転開始からの経過時間と送風量変更操作時のTAOとに応じて制御特性の補正の仕方を変えることにより、高風量時の送風量を下げたいのかあるいは高風量からそれ以下の風量に落ちる切替点を変えたいのかが、より正確に推定可能になり、乗員の好みに一層合致した快適な風量制御を行うことができる。 【0067】(第6実施形態)第1実施形態では、空調運転開始から送風量変更操作時までの経過時間に応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしたが、本実施形態では、季節に応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしている。 【0068】例えば、夏や冬に比べて春や秋は高風量での空調運転時間が短いため、高風量域の学習をしないようにしてもよい。これによれば、春や秋に対応する環境条件で学習後の高風量域の制御特性を記憶する必要がなくなるため、マイクロコンピュータ31内のメモリを節約することができる。因みに、外気温度TAMが例えば15〜25℃の時に春や秋と推定することができる。 【0069】(第7実施形態)第1実施形態における経過時間の判定しきい値T、第2実施形態における目標吹出温度TAOの判定しきい値αおよびβ、さらには第4実施形態における内気温度TRの判定しきい値δを、外気温度TAMや日射量TSのような環境条件により変更してもよい。 【0070】例えば、第1実施形態における経過時間の判定しきい値Tは、外気温度TAMが例えば15〜25℃の時には他の温度域の時よりも短く設定するのが望ましい。より詳細には、外気温度TAMが例えば15〜25℃の時には判定しきい値Tを10秒程度に設定し、他の温度域の時には判定しきい値Tを60秒程度に設定する。 【0071】また、第4実施形態における内気温度TRの判定しきい値δは、冷房時において日射量TSが多くなるほど低い値に変更するのが望ましい。 【0072】(第8実施形態)第1実施形態では、空調運転開始から送風量変更操作時までの経過時間に応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしたが、乗員の温感の推定値あるいは乗員の皮膚温度に応じて制御特性の補正の仕方を変えるようにしてもよい。 【0073】例えば、赤外線センサを用いて測定した皮膚温から温感を推定し、その推定温感が涼しいから暖かいの範囲外、すなわち、寒いまたは暑いとなっている時に、高風量域の送風量を下げる操作をした場合は、温感的には不満だが風が嫌で操作をしたと推定して、高風量域の送風量を下げるように学習する。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000004260 【氏名又は名称】株式会社デンソー 【住所又は居所】愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地
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| 【出願日】 |
平成13年11月12日(2001.11.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100022 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−146046(P2003−146046A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−346198(P2001−346198) |
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