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【発明の名称】 軸保持構造
【発明者】 【氏名】望月 貴司
【住所又は居所】東京都日野市日野台3丁目1番地1 日野自動車株式会社内

【要約】 【課題】路面からの異物侵入によるラバーブッシュの耐久性低下を抑制し得るようにした軸保持構造を提供する。

【解決手段】二分割された各ハウジング(上部ハウジング16及び下部ハウジング17)により半割りのラバーブッシュ18,19を介し軸部材(スタビライザバー8)を挾持するようにした軸保持構造に関し、前記各ラバーブッシュ18,19のアウタプレート22,23の周方向端部に、その幅方向中央付近の限定的な範囲で半径方向外側へ張り出す回り止め用掛止爪33,34を形成し、前記各ハウジングの軸部材を挟んで突き合う当接面の相互間に、前記各掛止爪33,34を収容して周方向への回転を掛止せしめる掛止空間35を前記各掛止爪33,34に対応した限定的な範囲にのみ形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 二分割されたハウジングにより半割りのラバーブッシュを介し軸部材を挾持するようにした軸保持構造において、前記各ラバーブッシュのアウタプレートの周方向端部に、その幅方向中央付近の限定的な範囲で半径方向外側へ張り出す回り止め用掛止爪を形成し、前記各ハウジングの軸部材を挟んで突き合う当接面の相互間に、前記各掛止爪を収容して周方向への回転を掛止せしめる掛止空間を前記各掛止爪に対応した限定的な範囲にのみ形成したことを特徴とする軸保持構造。
【請求項2】 軸部材がスタビライザバーであることを特徴とする請求項1に記載の軸保持構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スタビライザバー等の軸部材を保持するための軸保持構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図5及び図6はトラックやバス等の大型車両におけるサスペンション構造の一例を示すもので、車体の前後方向(図5中における左右方向)に延びる左右一対のサイドレール1の下方に、車幅方向(図6中における上下方向)に延び且つその両端で車輪2を軸支する為のアクスル3が配置されており、該アクスル3の端部寄りの下面に一体的に組み付けられたサポートビーム4の前後端部と前記サイドレール1下面との間に、上下方向の振動を吸収するエアスプリング5が介装されている。
【0003】また、前側に配置されたエアスプリング5の更に前方のサイドレール1の外側面には、下方向きに延びるブラケット6の上端部が取り付けられており、該ブラケット6の下端部と前記サポートビーム4の中間部との間が、車体のロール剛性を高めるスタビライザ7により傾動自在に連結されている。
【0004】即ち、ここに図示しているスタビライザ7は、一般的にロアロッド一体式スタビライザと称されているもので、左右のブラケット6の下端部に設けた軸保持部11によりラバーブッシュを介し両端部を保持されて車幅方向に延在する中空パイプのスタビライザバー8と、該スタビライザバー8の両端部に前端部を固定装着し且つ後端部を前記サポートビーム4の中間部に設けたブラケット10に対しラバーブッシュを介して連結したアーム9とにより構成されて左右の車輪2の間をコの字型に橋渡しするようになっており、左右の車輪2が同時に上下動した場合はブラケット6に対しスタビライザバー8がラバーブッシュの弾性変形により左右対称に回動してスタビライザ7が特に働くことはないが、コーナリング等で左右の車輪2が異なる上下動を成した場合には、スタビライザバー8に捩じれモーメントが作用し、その反力で左右の車輪2を元に戻すような働きを成すようになっている。
【0005】ここで、このスタビライザ7におけるアーム9は、ロアロッド(ロア側のラジアスロッド)としてアクスル3の前後の位置決めを行う機能も兼ね備えており、ロアロッドを別に設けなくても済むようにしてあるが、これらのアーム9だけでは、アクスル3にかかる軸回りの回転モーメント(制動力や駆動力)及び横方向への変位モーメントを確実に抑え込むことが困難である為、アクスル3の中央部上面と、左右のサイドレール1の内側面との間が、アッパロッド(アッパ側のラジアスロッド)として機能するVロッド12により連結されるようになっており、より具体的には、このVロッド12の左右に別れた分岐端部12a(前側端部)が、左右のサイドレール1の内側面から延ばしたブラケット13に対しラバーブッシュを介して連結され、また、Vロッド12中央の屈曲端部12b(後側端部)が、アクスル3の中央部上側に設けたブラケット14に対しラバーブッシュを介して連結されている。
【0006】このようなVロッド12を採用すれば、車体の前後方向と左右方向の両方の向きの入力に対して対応することが可能となるので、平行リンク式のトルクロッドを採用した場合のような左右方向の入力対策としてのラテラルロッドを別途並設しなくても済み、しかも、下側のアーム9に対し上方にオフセット配置されているので、アクスル3にかかる軸回りの回転モーメントを確実に抑え込むことが可能となる。
【0007】尚、前記サポートビーム4の中途部と、その直上のサイドレール1との間は、上下方向に延びるショックアブソーバ15により連結されており、このショックアブソーバ15により上下方向の振動の揺り返しを抑制して振動減衰が図られるようにしてある。
【0008】そして、前述した如き従来のサスペンション構造に関し、スタビライザバー8の端部を支持しているブラケット6の軸保持部11の詳細は図7に示す通りであり、上側のブラケット6の構造から連続する上部ハウジング16と、別部品で構成された下部ハウジング17とから成る上下に二分割された構造となっており、これら上部ハウジング16と下部ハウジング17との対向面に夫々分割形成された円筒状溝部に半割りのラバーブッシュ18,19を介しスタビライザバー8を挾持せしめ、このスタビライザバー8を挟んだ前後位置でボルト20及びナット21により上部ハウジング16と下部ハウジング17とを締結するようにしてある。
【0009】ここで、前記各ラバーブッシュ18,19は、半円形断面のアウタプレート22,23とインナプレート24,25との間に加流ゴムとして一体的に保持されており、その外周側に装着されたアウタプレート22,23の周方向の両端部には、図8に図7のB−B方向から見たラバーブッシュ19に関する平面図で示す如く、その幅方向(図8における上下方向)の全域に亘り半径方向外側へ張り出す回り止め用掛止爪26,27(図8には一方の掛止爪27のみを図示するが他方の掛止爪26も同じ形状を呈する)が形成されており、前記上部ハウジング16及び下部ハウジング17のスタビライザバー8を挟んで突き合う当接面の相互間には、前記各掛止爪26,27を収容して周方向への回転を掛止せしめる掛止空間28が確保されるようになっていた。
【0010】尚、図9は図7のB−B方向から見た下部ハウジング17に関する平面図、図10は図9のX−X方向の矢視図であり、これらの図9及び図10から判る通り、掛止爪27が配置される箇所には、該掛止爪27の屈曲部分を支障なく収容するための傾斜部29と、掛止爪27自体を掛止させるための段差部30とが幅方向(図9における上下方向)の全域に亘り形成されることになるが、特に図示しない上部ハウジング16側にも同様の傾斜部や段差部が下部ハウジング17側に対し対称的に形成されることになる(図中の31はボルト20を通すためのボルト孔を示す)。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このように構成された従来の軸保持構造においては、スタビライザバー8の軸心方向から見た場合に、該軸心方向に貫通した比較的大きな隙間(特に図7参照)として掛止空間28が開口してしまうことになり、ここに路面からの小石や埃、泥等が侵入してラバーブッシュ18,19の耐久性を低下させてしまう虞れがあった。
【0012】本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、路面からの異物侵入によるラバーブッシュの耐久性低下を抑制し得るようにした軸保持構造を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、二分割されたハウジングにより半割りのラバーブッシュを介し軸部材を挾持するようにした軸保持構造において、前記各ラバーブッシュのアウタプレートの周方向端部に、その幅方向中央付近の限定的な範囲で半径方向外側へ張り出す回り止め用掛止爪を形成し、前記各ハウジングの軸部材を挟んで突き合う当接面の相互間に、前記各掛止爪を収容して周方向への回転を掛止せしめる掛止空間を前記各掛止爪に対応した限定的な範囲にのみ形成したことを特徴とするものである。
【0014】而して、このようにすれば、各ハウジングの軸部材を挟んで突き合う当接面の相互間において、回り止め用の各掛止爪を収容して周方向への回転を掛止せしめる掛止空間が前記各掛止爪に対応した限定的な範囲にのみ形成される結果、この掛止空間が軸部材の軸心方向から見て比較的大きな隙間として開口してしまうことがなくなり、路面からの小石や埃、泥等の異物侵入によるラバーブッシュの耐久性の低下が著しく抑制されることになる。
【0015】しかも、軸保持部を成す二分割のハウジング相互を締結するにあたり、各掛止爪及び掛止空間を避けた位置にて、これらとの干渉を心配することなく軸部材寄りに締結箇所を極力近接させて締結を行うことが可能となるので、軸保持部を成す各ハウジングのコンパクト化や、軸部材を間に挟んだ締結ピッチの縮小化が実現されることになる。
【0016】また、本発明をより具体的に実施させるに際しては、例えば、軸部材をスタビライザバーとして保持させるようにしても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0018】図1〜図4は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図7〜図10と同一の符号を付した部分は同一物を表わしている。
【0019】図1〜図4に示す本形態例の軸保持部32において、図7〜図10で説明した従来の軸保持部11と比較して最も改善された特徴部分は、各ラバーブッシュ18,19のアウタプレート22,23の周方向端部に、図2に図1のA−A方向から見たラバーブッシュ19に関する平面図で示す如く、その幅方向(図2における上下方向)中央付近の限定的な範囲で半径方向外側へ張り出す回り止め用掛止爪33,34(図2には一方の掛止爪34のみを図示するが他方の掛止爪33も同じ形状を呈する)を形成し、前記上部ハウジング16及び下部ハウジング17のスタビライザバー8を挟んで突き合う当接面の相互間に、前記各掛止爪33,34を収容して周方向への回転を掛止せしめる掛止空間35を前記各掛止爪33,34に対応した限定的な範囲にのみ形成したところにある。
【0020】即ち、図3に図1のA−A方向から見た下部ハウジング17に関する平面図を、図4に図3のIV−IV方向の矢視図を示す通り、図2の掛止爪34が配置される箇所には、該掛止爪34の屈曲部分を支障なく収容するための傾斜部36と、掛止爪34自体を掛止させるための段差部37とが幅方向(図3における上下方向)の中央付近に限定的に形成されることになるが、特に図示しない上部ハウジング16側にも同様の傾斜部や段差部が下部ハウジング17側に対し対称的に形成されることになる。
【0021】而して、このようにすれば、上部ハウジング16及び下部ハウジング17のスタビライザバー8を挟んで突き合う当接面の相互間において、回り止め用の各掛止爪33,34を収容して周方向への回転を掛止せしめる掛止空間35が前記各掛止爪33,34に対応した限定的な範囲にのみ形成される結果、この掛止空間35がスタビライザバー8の軸心方向から見て比較的大きな隙間として開口してしまうことがなくなり、路面からの小石や埃、泥等の異物侵入によるラバーブッシュ18,19の耐久性の低下が著しく抑制されることになる。
【0022】しかも、上部ハウジング16と下部ハウジング17とをスタビライザバー8を挟んだ前後位置でボルト20及びナット21により締結するにあたり、各掛止爪33,34及び掛止空間35を避けた位置にて、これらとの干渉を心配することなくスタビライザバー8寄りに前後のボルト20及びナット21を近接させて締結を行うことが可能となるので、軸保持部32を成す上部ハウジング16及び下部ハウジング17の前後寸法W1を従来の前後寸法W2(図7参照)よりもコンパクト化することが可能となり、また、スタビライザバー8を間に挟んだ締結ピッチP1を従来の締結ピッチP2(図7参照)よりも縮小化することが可能となる。
【0023】従って、上記形態例によれば、掛止空間35がスタビライザバー8の軸心方向から見て比較的大きな隙間として開口してしまうことを回避できるので、路面からの異物侵入によるラバーブッシュ18,19の耐久性低下を著しく抑制することができ、しかも、軸保持部32を成す上部ハウジング16及び下部ハウジング17の前後寸法W1をコンパクト化することで前記軸保持部32の大幅な軽量化を図ることができ、更には、スタビライザバー8を間に挟んだ締結ピッチP1を縮小化することで前記軸保持部32の強度信頼性の向上を図ることもできる。
【0024】尚、本発明の軸保持構造は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、スタビライザバー以外の様々な軸部材を半割りのラバーブッシュを介し二分割のハウジングで挾持するようにした構造について適宜に適用し得ること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0025】
【発明の効果】上記した本発明の軸保持構造によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
【0026】(I)掛止空間が軸部材の軸心方向から見て比較的大きな隙間として開口してしまうことを回避できるので、路面からの異物侵入によるラバーブッシュの耐久性低下を著しく抑制することができる。
【0027】(II)軸保持部を成す二分割のハウジング相互を締結するにあたり、各掛止爪及び掛止空間を避けた位置にて、これらとの干渉を心配することなく軸部材寄りに締結箇所を極力近接させて締結することができるので、ハウジングをコンパクト化し得て大幅な軽量化を図ることができ、しかも、軸部材を間に挟んだ締結ピッチを縮小化することで強度信頼性の向上を図ることもできる。
【出願人】 【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
【住所又は居所】東京都日野市日野台3丁目1番地1
【出願日】 平成14年5月27日(2002.5.27)
【代理人】 【識別番号】100062236
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 恒光 (外1名)
【公開番号】 特開2003−341326(P2003−341326A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−152494(P2002−152494)