| 【発明の名称】 |
サスペンションアーム補剛構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】金井 良一 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目7番2号 富士重工業株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】トレーリングリンクなどのサスペンションアームの剛性を向上させる補剛構造を提供する。
【解決手段】断面略コの字状のサスペンションアーム(例えば、トレーリングリンク10)における開口の開口側端部が各々長手方向に逆向きに移動することを規制するように、サスペンションアームの捩りの節部近傍に、補剛部材(例えば、補剛ブラケット20)を取り付け、サスペンションアームの剛性を向上させるようにした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】第1の面部と、この第1の面部の幅方向両端部から立設する一対の第2、第3の面部とにより一側に開口が形成される断面略コの字状のサスペンションアームを補剛するサスペンションアーム補剛構造であって、前記サスペンションアームの長手方向の所定位置に、捩りにより前記第2、第3の面部の開口側端部が各々長手方向に逆向きに移動することを規制するための補剛部材が固定されていることを特徴とするサスペンションアーム補剛構造。 【請求項2】前記補剛部材は、前記サスペンションアームの捩りの節部近傍に固定されることを特徴とする請求項1記載のサスペンションアーム補剛構造。 【請求項3】前記補剛部材は、前記第2の面部の外面と、前記第3の面部の内面とに固定されることを特徴とする請求項1または2に記載のサスペンションアーム補剛構造。 【請求項4】前記補剛部材は、ハーネスを固定するハーネス固定部を備えることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のサスペンションアーム補剛構造。 【請求項5】前記補剛部材には、ビードが形成されていることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のサスペンションアーム補剛構造。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、サスペンションアームの剛性を向上させるサスペンションアーム補剛構造に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、サスペンションアームを備えた自動車の車輪懸架装置として、例えば、図9に示すような、一端が車体側に他端が車輪側に各々枢着されたトレーリングリンクを備えたトレーリング式車輪懸架装置が知られている。このトレーリングリンクは、主に車体の前後方向(トレーリングリンクの長手方向)の力を分担しているので、長手方向の剛性を有する形状であることを第一に形成されている。また、トレーリングリンクはタイヤ等を避けるために湾曲した形状であることが多い。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところで、この湾曲したトレーリングリンクの捩り剛性が低く、捩れてしまうと図10に示すように、並進の動きも生じるようになるため、車体に入力された振動が増幅しやすくなるという問題があった。一方、トレーリングリンクの捩り剛性を高めるためにトレーリングリンクを肉厚にしたり、閉断面構造としたりすると、トレーリングリンクの重量増加やコスト増加を招いてしまうという問題があった。 【0004】本発明の課題は、トレーリングリンクなどのサスペンションアームの剛性を重量増加やコスト増加を抑えつつ向上させるサスペンションアーム補剛構造を提供することである。 【0005】 【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明は、第1の面部と、この第1の面部の幅方向両端部から立設する一対の第2、第3の面部とにより一側に開口が形成される断面略コの字状のサスペンションアームを補剛するサスペンションアーム補剛構造であって、前記サスペンションアームの長手方向の所定位置に、捩りにより前記第2、第3の面部の開口側端部が各々長手方向に逆向きに移動することを規制するための補剛部材が固定されていることを特徴とする。 【0006】請求項1記載の発明によれば、補剛部材により、断面略コの字状のサスペンションアームにおける第2、第3の面部の開口側端部が各々長手方向に逆向きに移動することを規制することにより、そのような動きによるサスペンションアームの変形を防ぐことができるので、サスペンションアームがより効率的に補剛されることとなって、重量増加やコスト増加を抑えつつサスペンションアームの剛性を向上させることができる。 【0007】請求項2記載の発明は、請求項1記載のサスペンションアーム補剛構造において、前記補剛部材は、前記サスペンションアームの捩りの節部近傍に固定されることを特徴とする。 【0008】請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、補剛部材を固定する位置が、サスペンションアームの捩りの節部近傍であるので、捩り変形をより効果的に防ぐことができる。 【0009】請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載のサスペンションアーム補剛構造において、前記補剛部材は、前記第2の面部の外面と、前記第3の面部の内面とに固定されることを特徴とする。 【0010】請求項3記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、補剛部材は、サスペンションアームの第2の面部の外面と、第3の面部の内面とに固定され、補剛部材とサスペンションアームとが互いに咬み合わさる状態となり、固定する力がバランスよく作用するので、よりサスペンションアームの剛性を向上させることができる。 【0011】請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載のサスペンションアーム補剛構造において、前記補剛部材は、ハーネスを固定するハーネス固定部を備えることを特徴とする。 【0012】請求項4記載の発明によれば、請求項1〜3の何れかに記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、補剛部材は、ハーネスを固定するハーネス固定部を備えているので、サスペンションアームの剛性を向上させるとともに、ハーネスを固定することができる。即ち、補剛部材は、サスペンションアームの補剛とハーネス固定という2つの機能をもつこととなって、部品点数を増やすことなくサスペンションアームの補剛を行うことができる。 【0013】請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載のサスペンションアーム補剛構造において、前記補剛部材には、ビードが形成されていることを特徴とする。 【0014】請求項5記載の発明によれば、請求項1〜4の何れかに記載の発明と同様の効果が得られることは無論のこと、特に、補剛部材には、ビードが形成されているので、補剛部材の面外剛性が向上することとなって、それに伴いサスペンションアームの剛性をより向上させることができる。 【0015】 【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は本発明の補剛部材をブラケットに適応した補剛ブラケットと、その補剛ブラケットを取り付けるトレーリングリンクを示した分解斜視図である。図2はその補剛ブラケットをトレーリングリンクに取り付けた状態を示した要部拡大平面図であり、本発明の補剛構造をトレーリングリンクの補剛構造として適応したものである。図3は図2の側面図である。 【0016】図1から図3に示すように、例えば、トレーリング式車輪懸架装置におけるトレーリングリンク10には、長手方向略中央部に補剛ブラケット20が固定される。トレーリングリンク10は、側面部(第1の面部)11と、この側面部の幅方向両端部から立設する一対の面部である、上面部(第2面部)12と下面部(第3の面部)13とにより一側に開口を形成する断面略コの字状の長尺部材であって、一端が車体側に他端が車輪側に各々枢着される。上面部12の長手方向略中央部には、補剛ブラケット20を取り付けるためのボルト孔14が設けられており、下面部13の長手方向略中央部には、補剛ブラケット20を取り付けるための係止孔15が設けられている。 【0017】補剛ブラケット20は、板金を折り曲げて加工することにより作成されており、トレーリングリンク補剛部1と、ハーネス固定部2とから構成されている。トレーリングリンク補剛部1は、幅方向両端部を折り曲げることにより形成された2つの取付端部4、7を備え、取り付け時にトレーリングリンク10側が開口する断面コの字状に形成されている。トレーリングリンク補剛部1の一方の取付端部(図示中、下側の取付端部)4には、一部が切り欠かれて内側に折り曲げられた固定用の係止爪部3が形成されている。この取付端部4は、係止取付端部4として、トレーリングリンク10の下面部13の外面と接して、この係止爪部3をトレーリングリンク20側の係止孔15に外側から嵌め止めることでトレーリングリンク10に固定される。 【0018】また、トレーリングリンク補剛部1のもう一方の取付端部(図示中、上側の取付端部)7には、ボルトを通すボルト挿入孔5が設けられ、更に内面側のボルト挿入孔5部分にウェルディングナット6が溶接などにより固定されている。この取付端部7は、ボルト取付端部7として、ボルト30によりトレーリングリンク10の上面部12の内面に接してボルト孔14及びボルト挿入孔5を貫通するボルト30とウェルディングナット6により固定される。また、トレーリングリンク補剛部1の外面側には、補剛ブラケット20の面外剛性を向上させるための縦ビード8…が幅方向に沿って、所定の間隔で施されている。この縦ビード8…は、上面部12及び下面部13に対して略垂直となるように形成されており、補剛ブラケット20の面外剛性を向上させる。ハーネス固定部2は、トレーリングリンク補剛部1の長手方向両端部から突出して設けられ、車輪速検出センサ用ハーネス等のハーネスをその内側に保持するため、Cの字断面(パイプ状)に加工されている。 【0019】このように構成されている補剛ブラケット20をトレーリングリンク10に取り付けるには、図2、図3に示すように、係止取付端部4に形成されている係止爪部3をトレーリングリンク10側の係止孔15にトレーリングリンク10の外側より、係止取付端部4がトレーリングリンク10に外接するように嵌め止める。次いで、ボルト取付端部5をトレーリングリンク10に内接するように、ボルト取付端部5のボルト挿入孔5と、トレーリングリンク10側のボルト孔14を合わせ、ボルト30をウェルディングナット6に螺合して固定することによりトレーリングリンク10に補剛ブラケット20を取り付ける。なお、図4に示すように、ボルト30の締め付けにより、ボルト取付端部7を上面部12にしっかり当接させるために、補剛ブラケット20のウェルディングナット6の周囲を、僅かにくぼませておくことが好ましい。 【0020】また、ボルト30の締め付けにより、係止取付端部4を下面部13にしっかり当接させるために、補剛ブラケット20の略コの字開口の幅を、トレーリングリンク10の略コの字開口の幅に対して、若干小さめ(狭め)にしておくことが好ましい。 【0021】この補剛ブラケット20をトレーリングリンク10に取り付ける箇所は、トレーリングリンク10の捩り剛性を向上させる効果的な箇所であることが好ましく、それはトレーリングリンク10の一節捩り共振モードにおける節周辺部である。 【0022】一般に、車体の振動は、トレーリングリンク10の振動モードにおける一節捩り共振モードによるものであり、ここでいう節とは歪エネルギーが集中する部位である。この一節捩りの節は、例えば、図5に示すような、同一開断面形状の柱状構造物の場合、その長さ方向の中心部分に相当する。このように、一節捩りの節はその歪エネルギーが加わる部材の形状に基づき、一意的にその位置が決定される。このようなトレーリングリンク10の長手方向の所定位置である一節捩りの節に、補剛ブラケット20を取り付けることで、トレーリングリンク10の上面部12と下面部13の開口側端部が各々長手方向に逆向きに移動することを規制し、周辺の剛性を向上させることができ、トレーリングリンク10の捩りを抑える補剛構造が設けられる。 【0023】このトレーリングリンク10の捩りにより生ずる並進方向の振幅に基づく捩り共振周波数は、ロードノイズにおけるサスペンションからの振動伝達音周波数領域(400ヘルツ以下、特に200〜300ヘルツ)に存在しやすく、ロードノイズに悪影響を与えるものである。そこで、このトレーリングリンク10の一部分である一節捩りの節周辺の剛性を向上させ、トレーリングリンク10の剛性を向上させることにより、トレーリングリンク10の捩りにより生ずる並進方向の振幅に基づく捩り共振周波数を、振動伝達音周波数領域から遠ざけることができ、効果的にロードノイズを低減することができる。 【0024】このように、トレーリング式車輪懸架装置におけるのトレーリングリンク10において、トレーリングリンク10の一部分である一節捩りの節周辺の剛性を向上させることにより、トレーリングリンク10の捩りを抑え、トレーリングリンク10の剛性を向上させるとともに、ロードノイズへ悪影響を与える捩り共振周波数を振動伝達音周波数領域から遠ざけることができ、効果的にロードノイズを低減することができる。特に、その剛性の向上をトレーリングリンク10にハーネスを固定する補剛ブラケット20の取り付けにより行っているので、部品点数の増加は行わずにロードノイズを低減することができる。また、補剛ブラケット20には、長手方向に所定の間隔で、面外剛性を向上させる縦ビード8が形成されているので、トレーリングリンクの剛性をより向上させることができる。 【0025】また、上記実施の形態における補剛ブラケット20のハーネス固定部2は、ハーネスをその内側にガードするよう保持するため、Cの字断面(パイプ状)に形成される構成にしたが、これに限らず、様々の構成にしてもよい。 【0026】具体的には、例えば、図6に示された変形例のように、ハーネス固定部2をJ或いはUの字断面に形成して、ハーネス40を保持するようにしてもよい。また、図7に示された変形例のように、ハーネス固定部2を単に平板状、或いはハーネス40を保持できない程度湾曲させた板状にし、ハーネス40をクリップ50によりハーネス固定部2に固定するというようにしてもよい。ハーネス40の全面を保護、ガードする必要がなければ、このような形状のハーネス固定部2でもよく、このように、ハーネス固定部2の断面の円弧角が180度以下なら、板金を一発成型することによりハーネス固定部2を形成することができ、その製造コストの低減が図られる。 【0027】また、図8に示すように、上記実施の形態における補剛ブラケット20のハーネス固定部2を取り除き、トレーリングリンク補剛部1部分のみとした形状の補剛部材であれば、トレーリングリンク10にハーネスを取り付けることはできないが、トレーリングリンクの補剛効果を向上させる機能を有するトレーリングリンク補剛部材100となる。従って、例えば、トレーリングリンク10にハーネス40が既存のブラケットにより取り付けられている既存の車両においても、トレーリングリンク補剛部材100の取り付けにより、トレーリングリンク10の剛性を向上させるとともに、ロードノイズへ悪影響を与える捩り共振周波数を振動伝達音周波数領域から遠ざけることができ、効果的にロードノイズを低減することができる。 【0028】なお、以上の実施の形態においては、トレーリング式車輪懸架装置におけるトレーリングリンクの補剛構造について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他のサスペンション形式、例えば、ダブルウィッシュボーン式のサスペンションアーム部の補剛構造に用いてもよい。即ち、断面コ字状のアームが用いられ、捩り剛性が作用する状態で使用される部位のサスペンションアームにおいて全て適用可能である。また、ビードは、上面部12及び下面部13に対して略垂直な縦ビードとしたがこれに限られず、面外剛性の向上が得られる形態であれば、その形状や角度は任意である。また、補剛ブラケット20やトレーリングリンク補剛部1のサイズ形状等は補剛効果を有する範囲で任意であり、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。 【0029】 【発明の効果】本発明によれば、補剛部材により、断面略コの字状のサスペンションアームにおける第2、第3の面部の開口側端部が各々長手方向に逆向きに移動することを規制することにより、そのような動きによるサスペンションアームの変形を防ぐことができるので、サスペンションアームがより効率的に補剛されることとなって、重量増加やコスト増加を抑えつつサスペンションアームの剛性を向上させることができる。また、特に、補剛部材を固定する位置が、サスペンションアームの捩りの節部近傍であるので、捩り変形を効果的に防ぐことができる。 【0030】更に、補剛部材は、サスペンションアームの第2の面部の外面と、第3の面部の内面とに固定され、補剛部材とサスペンションアームとが互いに咬み合わさる状態となり、固定する力がバランスよく作用するので、よりサスペンションアームの剛性を向上させることができる。 【0031】また、補剛部材は、ハーネスを固定するハーネス固定部を備えているので、サスペンションアームの剛性を向上させる補剛構造を設けるとともに、ハーネスを固定することができる。また、補剛部材には、所定の間隔で、第2の面部及び第3の面部に対して略垂直となる縦ビードが形成されているので、補剛部材の面外剛性が向上することとなって、それに伴いサスペンションアームの剛性をより向上させる補剛構造を設けることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005348 【氏名又は名称】富士重工業株式会社 【住所又は居所】東京都新宿区西新宿一丁目7番2号
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| 【出願日】 |
平成14年5月27日(2002.5.27) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100090033 【弁理士】 【氏名又は名称】荒船 博司 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−341324(P2003−341324A) |
| 【公開日】 |
平成15年12月3日(2003.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−152407(P2002−152407) |
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