| 【発明の名称】 |
ストラット型サスペンション装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】鈴木 良光 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
【氏名】豊田 悟 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
【氏名】川辺 喜裕 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】レイアウト上の制約を与えることのないコンパクトな構成により、サスペンションのサイドフォースを効果的に低減することができるストラット型サスペンション装置を提供すること。
【解決手段】コイルスプリング1と、該コイルスプリング1の内側空間部に内挿されたショックアブソーバ2と、ショックアブソーバ外筒2bに取り付けられたアクスル5と、を有して構成された支柱を車両内方に傾斜する縦方向配置とし、支柱の上端を車体に揺動可能に支持し、支柱の下端をロアリンク6の外端位置にピボットしたストラット型サスペンション装置において、前記コイルスプリング1の巻き下端部を支持するロアスプリングシート4と前記ショックアブソーバ外筒2bとの間に、タイヤ7のバウンドに伴うサスペンションストローク時に、スプリング反力によってロアスプリングシート4を車両外方に変位させる弾性変位機構8またはスライド変位機構18を設けた。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 コイルスプリングと、該コイルスプリングの内側空間部に内挿されたショックアブソーバと、ショックアブソーバ外筒に取り付けられたアクスル部材と、を有して構成された支柱を縦方向配置とし、支柱の上端を車体に揺動可能に支持したストラット型サスペンション装置において、前記コイルスプリングの巻き下端部を支持するロアスプリングシートと前記ショックアブソーバ外筒との間に、車輪のバウンドに伴うサスペンションストローク時に、スプリング反力によってロアスプリングシートを車両外方に変位させるロアスプリングシート変位手段を設けたことを特徴とするストラット型サスペンション装置。 【請求項2】 請求項1に記載されたストラット型サスペンション装置において、前記ロアスプリングシート変位手段は、ショックアブソーバ外筒に固定されたブッシュ内筒と、ロアスプリングシートに固定されたブッシュ外筒と、前記ブッシュ外筒とブッシュ内筒との間に固定された弾性体と、を有する弾性変位機構からなり、かつ、前記弾性変位機構のブッシュ軸線は、ショックアブソーバ軸線に対し、ブッシュ軸線の上方が車両内方に傾斜し、ブッシュ軸線の下方が車両外方に傾斜していることを特徴とするストラット型サスペンション装置。 【請求項3】 請求項2に記載されたストラット型サスペンション装置において、前記弾性変位機構は、弾性体の車両内方側にすぐりを設けたことを特徴とするストラット型サスペンション装置。 【請求項4】 請求項1に記載されたストラット型サスペンション装置において、前記ロアスプリングシート変位手段は、ショックアブソーバ外筒に固定されると共にガイド溝が形成されたガイド部材と、ロアスプリングシートに一端が固定され、他端が前記ガイド部材の溝に対し摺動可能に取り付けられたスライド部材と、を有するスライド変位機構からなり、かつ、前記スライド変位機構は、ガイド部材に形成されたガイド溝が車両外方に向かうにつれて車両下方側に傾斜していることを特徴とするストラット型サスペンション装置。 【請求項5】 請求項4に記載されたストラット型サスペンション装置において、前記スライド変位機構は、ガイド部材に形成されたガイド溝の両端溝内面とスライド部材の両端面との間に、それぞれ弾性体を設けたことを特徴とするストラット型サスペンション装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ホイールアライメントの設定が正確で変化も少なく、また、部品点数が少なく軽量であるというメリットにより、乗用車に多く採用されるストラット型サスペンション装置の技術分野に属する。 【0002】 【従来の技術】ストラット型サスペンション装置は、その構造上、アクスル部材に働く前後方向の力と左右方向の力をショックアブソーバで受け持つため、ショックアブソーバのピストン摺動部に大きなサイドフォースが作用する場合がある。このサイドフォースによりサスペンションにフリクション(摺動摩擦抵抗)が生じてスムーズなショックアブソーバストロークが確保出来なくなり、乗り心地や操縦安定性能の低下を招くことになる。 【0003】このサイドフォースは、例えば、特開平9−86125号公報に記載されているように、コイルスプリングをショックアブソーバとオフセットして配置することにより減少できることが知られている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来のストラット型サスペンション装置にあっては、コイルスプリングをショックアブソーバに対し大きくオフセット配置することで、サイドフォースのゼロ化を目指すものである。このため、種々の設計上の制約により、コイルスプリングのショックアブソーバに対するオフセット量を十分に取れない場合には、サスペンションのサイドフォースを十分にキャンセルすることができないという問題があった。例えば、限られた車幅寸法で車室内空間を広く確保したい場合、サスペンションが配置されるタイヤハウスの占有空間をなるべく狭く抑えたいという設計要求がある。 【0005】本発明は、上記課題に着目してなされたもので、レイアウト上の制約を与えることのないコンパクトな構成により、サスペンションのサイドフォースを効果的に低減することができるストラット型サスペンション装置を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明では、ストラット型サスペンション装置において、コイルスプリングの巻き下端部を支持するロアスプリングシートとショックアブソーバ外筒との間に、車輪のバウンドに伴うサスペンションストローク時に、スプリング反力によってロアスプリングシートを車両外方に変位させるロアスプリングシート変位手段を設けた。 【0007】ここで、スプリングシート変位手段とは、例えば、バウンド時のスプリング反力により弾性変形させることでロアスプリングシートを車両外方に変位させる弾性変位機構や、バウンド時のスプリング反力によりスライドさせることでロアスプリングシートを車両外方に変位させるスライド変位機構など、バウンド時のスプリング反力を利用してロアスプリングシートを車両外方に変位させる手段をいう。 【0008】 【発明の効果】本発明にあっては、バウンド時にスプリング反力によってロアスプリングシートを車両外方に変位させることにより、コイルスプリングのスプリング軸線の傾きが変化し、スプリング軸線を、ロアリンク軸線とタイヤの接地点を通るタイヤ鉛直線との交点に近づける、あるいは、ほぼ交点を通るようにコントロールすることが可能である。 【0009】よって、ショックアブソーバとコイルスプリングとのオフセット配置に比べ、レイアウト上の制約を与えることのないコンパクトな構成により、フリクションを招くサスペンションのサイドフォースを効果的に低減することができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明のストラット型サスペンション装置を実現する実施の形態を、請求項1,2,3に係る発明に対応する第1実施例と、請求項1,4,5に係る発明に対応する第2実施例とに基づいて説明する。 【0011】(第1実施例)まず、構成を説明する。図1は第1実施例のストラット型サスペンション装置(ノルマル時)を示す正面図、図2は第1実施例のストラット型サスペンション装置(バウンド時)を示す正面図である。 【0012】図1において、S1は第1実施例のストラット型サスペンション装置、1はコイルスプリング、2はショックアブソーバ、2aはピストンロッド、2bはショックアブソーバ外筒、3はアッパースプリングシート、4はロアスプリングシート、5はアクスル(アクスル部材)、6はロアリンク(ロアリンク部材)、7はタイヤ(車輪)、8は弾性変位機構(ロアスプリングシート変位手段)である。 【0013】また、図1において、10はストラット軸線(=ショックアブソーバ軸線)、11はスプリング軸線、12はブッシュ軸線、13はロアリンク軸線、14はタイヤ鉛直線である。 【0014】さらに、図1において、Pgはタイヤ接地点、Plbはロアリンク6の車体側ピボット、Plaはロアリンク6のアクスル側ピボット、Pduはストラットアッパーマウント点、Psuはアッパースプリングシート3の中心点、Pslはロアスプリングシート4の中心点、Poはロアリンク軸線13とタイヤ接地点Pgを通るタイヤ鉛直線14との交点である。 【0015】前記ストラット型サスペンション装置S1は、コイルスプリング1と、該コイルスプリング1の内側空間部に内挿されたショックアブソーバ2と、ショックアブソーバ外筒2bに取り付けられたアクスル5と、を有して構成された支柱(ストラット)を、支柱の上端が車両内方に少し傾斜する縦方向配置としている。 【0016】そして、支柱の上端(=ショックアブソーバ2を構成するピストンロッド2aの上端)を図外の車体に弾性体を介して揺動可能に支持し(ストラットアッパーマウント点Pdu)、支柱の下端(アクスル5の下方に延びる腕部の下端)をロアリンク6の外端位置にピボット(アクスル側ピボットPla)することにより構成されている。 【0017】図3は第1実施例のストラット型サスペンション装置S1における弾性変位機構8を示す断面図であり、図9は第1実施例のストラット型サスペンション装置S1における図1矢視Aによる弾性変位機構8を示す図である、前記弾性変位機構8は、コイルスプリング1の巻き下端部を支持するロアスプリングシート4と前記ショックアブソーバ外筒2bとの間に、タイヤ7のバウンドに伴うサスペンションストローク時に、スプリング反力によってロアスプリングシート4を車両外方に変位させる変位手段である。 【0018】この弾性変位機構8は、図3及び図4に示すように、ショックアブソーバ外筒2bに溶接等で固定されたブッシュ内筒8aと、ロアスプリングシート4に溶接などで固定されたブッシュ外筒8bと、前記ブッシュ外筒8bとブッシュ内筒8aとの間に加硫接着等により固定されたブッシュラバー8c(弾性体)と、を有して構成される。 【0019】そして、この弾性変位機構8のブッシュ軸線12は、図3に示すように、ストラット軸線10に対し、ブッシュ軸線12の上方が車両内方に傾斜し、ブッシュ軸線の下方が車両外方に傾斜している。すなわち、ストラット軸線10とブッシュ軸線12とは、傾斜角θ1で交差する設定としている。 【0020】さらに、弾性変位機構8のブッシュラバー8cには、車両内方側に弾性変形を促すためのすぐり8dを設けている。 【0021】次に、作用を説明する。 【0022】[オフセットコイルスプリングの最適なレイアウト]第1実施例のストラット型サスペンションS1のように、分離型のオフセットコイルスプリングとした場合の最適なレイアウトについて説明する。 【0023】まず、図5(イ)には入力分離タイプアッパーインシュレータによるストラット型サスペンションの二次元モデルを示す。この図5(イ)において、Pg;タイヤ接地点Plb;ロアリンクの車体側ピボットPla;ロアリンクのアクスル側ピボットPdu;ストラットアッパーマウント点Psu;アッパースプリングシートの中心点Psl;ロアスプリングシートの中心点Po;ロアリンク軸線とタイヤ接地点Pgを通るタイヤ鉛直線との交点とする。 【0024】また、図5(ロ)には入力分離タイプアッパーインシュレータにおいて、ショックアブソーバに働くサイドフォースF1,F2を示す。すなわち、ストラットアッパーマウント点Pduに図面右方向の力Fuが作用した場合、ショックアブソーバのピストンロッドのガイドブッシュ位置(ストラットアッパーマウント点Pduから距離L1の位置)に図面左方向のサイドフォースF1が働き、ショックアブソーバのピストン位置(ストラットアッパーマウント点Pduから距離L2の位置)に図面右方向のサイドフォースF2が働き、両サイドフォースF1,F2とは互いに反対方向となる。 【0025】さらに、以後の説明で用いるジオメトリ諸元の記号は、図6に示すように、θ;鉛直線と直線Pdu-Poとのなす角θd;鉛直線とスプリング軸線とのなす角θs;鉛直線とストラット軸線とのなす角φ;水平線とロアアーム軸線(=ロアリンク)とのなす角a;点Po〜点Pa間距離b;点Po〜点Pb間距離c;スプリング軸と点Pdu間距離L1;点Pdu〜ガイドブッシュの距離L2;点Pdu〜ピストンの距離とする。ただし、bは、PbがPoよりも低い場合が正、高い場合は負の値とする。cは、スプリング軸がPduよりも車両外側にある場合が正、内側は負とする。 【0026】以下に、サイドフォースF1.F2の導出過程を説明する。ストラット全体に働く外力は、図7に示すように、■接地荷重Fg■リンク軸力FL■ばね力の車体からの反作用Fs■アッパーマウントにかかる横力Fuの4つである。 【0027】そして、ストラット全体のモーメントの釣り合いを、図8により考えると、各力Fu,FL,Fsの水平成分の比率は、Fu(cosθd):FL(cosφ):Fs(cosθs)=b:(a+b):aFu(cosθd)=Fs(b/a)sinθsFL(cosφ)=Fs(1+b/a)sinθs ...(1)である。 【0028】次に、ストラット全体の力の釣り合いを考える。力のベクトル和がゼロになる条件に(1)式の条件を当てはめると図9が得られる。この図9において、鉛直方向の力の釣り合いから、Fg+Fu(sinθd)+FL(sinφ)=Fs(cosθs) ...(2)が成立する。 【0029】再び、(1)式を用いると、 ...(3)により、ばね力の車体からの反作用Fsとアッパーマウントにかかる横力Fuとが求められる。 【0030】次に、ピストンロッドの釣り合いを考える。図5(ロ)に示すように、ピストンロッドには、サイドフォースF1,F2と横力Fuとの3つの力が働いており、それぞれピストンロッドに垂直である。これらの力F1,F2,Fuとモーメントの釣り合いにより、 ...(4)となる。よって、(4)式に(3)式を代入して、 ...(5)により、サイドフォースF1,F2を求めることができる。 【0031】また、(4)式により、F1=F2=0となるには、Fu=0となればよい。そして、横力Fuは上記(3)式によりあらわされるため、Fu=0となるためにはb=0とならなければならない。これは、スプリング軸線が点Poを通ることを意味する。 【0032】次に、ストラット全体で考えると、Fu=0でも釣り合いを保つためには、Fs,FL,Fgが一点で交わることが必要である。つまり、スプリング軸線が点Poを通ればよい。 【0033】分離型の場合、上記のように、力学的にはアッパーシートの位置が何処にあってもサイドフォースF1,F2をゼロにすることができる。しかし、アッパーシート中心がストラットアッパーマウントから離れていると、車両に組み付ける前のストラットアッシー状態では、図10に示すように、ラバーインシュレータをこじ曲げてアッパーシートが傾いてしまう。その結果、車体への組み付け作業が困難になり、また、バンプラバーの脱落等を招いてしまう。この状態を防ぐためには、c=0 ...(6)にする。つまり、スプリング軸線がストラットアッパーマウント点Pduを通るようにすればよい。 【0034】以上の結果、分離型のオフセットコイルスプリングのサイドフォースF1,F2をゼロにする最適なレイアウトは、力学的には、(a)アッパーシートは任意の位置でよい。 (b)スプリング軸線が点Poの位置を通ればよい。 の条件を満足するれば、サイドフォースF1,F2をゼロに抑えることができる。 【0035】[サイドフォース低減作用]まず、第1実施例のストラット型サスペンションS1は、図1に示すように、タイヤ7が車両上方及び下方にも変位していないノルマル時においてスプリング軸線11が交点Poを通るように設定されている。つまり、ショックアブソーバ2に作用するサイドフォースF1,F2をゼロにする最適なレイアウトとされている。 【0036】そして、旋回走行時や凹凸路走行時等で、タイヤ7が車両上方に変位するバウンド時には、図2に示すように、ショックアブソーバ2が縮みストロークと共にコイルスプリング1が縮み変形し、アッパースプリングシート3の中心点Psuからスプリング軸線11に沿った方向にスプリング反力が作用する。これに対し、弾性変位機構8のブッシュ軸線12は、ストラット軸線10に対し傾斜角θ1で交差する設定となっている。 【0037】このため、ブッシュ外筒8bに対しロアスプリングシート4からスプリング反力が作用すると、このスプリング反力によりブッシュ外筒8bは、ブッシュ軸線12に沿うように車両外下方側へ変位する。これにより、ブッシュ内筒8aに対しブッシュ外筒8bは、ラバーブッシュ8cを変形させながら反時計周りにこじられる状態となり、ラバーブッシュ8cの車両外側部分が伸び変形すると共に車両内側部分が縮み変形する。このラバーブッシュ8cの変形に伴い、ブッシュ外筒8bに固定されているロアスプリングシート4が車両外側に移動する。 【0038】加えて、弾性変位機構8のラバーブッシュ8cには、車両の左右方向のうち車両内方位置にすぐり8dを設けているため、バウンド時においてラバーブッシュ8cの車両内側部分の縮み変形量が増大し、ロアスプリングシート4の車両外側移動量を、すぐり8dを設けていない場合に比べて増大させる。 【0039】このロアスプリングシート4の車両外側移動により、ロアスプリングシート4の中心点Pslも車両外側に移動し、中心点Pslを通るスプリング軸線11は、ロアスプリングシート4の車両外側移動量に応じて車両内側に向く。 【0040】このように、スプリング軸線11を強制的に車両内側に傾ける作用を示すことで、バウンド時において、スプリング軸線11が交点Poを通るように、ロアスプリングシート4の車両外側移動量を弾性変位機構8によりコントロールすることが可能になる。言い換えると、バウンド時において、ストラット型サスペンションS1のショックアブソーバ2に作用するサイドフォースF1,F2をキャンセルすることが可能である。 【0041】この結果、ストラット型サスペンションS1のショックアブソーバ2はフリクション(摺動摩擦抵抗)を生じることのないスムーズなストローク動作を示し、例えば、凹凸路走行時において乗り心地を良好にし、また、旋回時において操縦安定性能を向上させることができる。 【0042】次に、効果を説明する。 【0043】第1実施例のストラット型サスペンション装置S1にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。 【0044】(1) コイルスプリング1と、該コイルスプリング1の内側空間部に内挿されたショックアブソーバ2と、ショックアブソーバ外筒2bに取り付けられたアクスル5と、を有して構成された支柱を車両内方に傾斜する縦方向配置とし、支柱の上端を車体に揺動可能に支持し、支柱の下端をロアリンク6の外端位置にピボットしたストラット型サスペンション装置において、前記コイルスプリング1の巻き下端部を支持するロアスプリングシート4と前記ショックアブソーバ外筒2bとの間に、タイヤ7のバウンドに伴うサスペンションストローク時に、スプリング反力によってロアスプリングシート4を車両外方に変位させる弾性変位機構8を設けたため、スプリング軸線11の傾きをコントロールする方式としたレイアウト上の制約を与えることのないコンパクトな構成により、サスペンションのサイドフォースF1,F2を効果的に低減することができる。 【0045】(2) ロアスプリングシート4の変位手段を、ショックアブソーバ外筒2bに固定されたブッシュ内筒8aと、ロアスプリングシート4に固定されたブッシュ外筒8bと、ブッシュ外筒8bとブッシュ内筒8aとの間に固定されたラバーブッシュ8cと、を有する弾性変位機構8とし、かつ、この弾性変位機構8のブッシュ軸線12は、ストラット軸線10に対し、ブッシュ軸線12の上方が車両内方に傾斜し、ブッシュ軸線12の下方が車両外方に傾斜しているため、ラバーブッシュ8cの弾性変形により、スプリング軸線11の傾きを交点Poに近づけるようにコントロールすることができ、バウンド時にサスペンションのサイドフォースF1,F2をキャンセルした状態を維持することができる。 【0046】(3) 弾性変位機構8は、ラバーブッシュ8cの車両内方側にすぐり8dを設けたため、スプリング反力がブッシュ外筒8bに作用した際、縮み変形を助長するすぐり効果によりロアスプリングシート4をさらに効率良く車両外側へ移動させることができる。この結果、バウンド時にスプリング軸線11を、交点Poを通る線に限りなく近づけたり、或いは、ほぼ一致させることが可能となる。 【0047】(第2実施例)第2実施例のストラット型サスペンションS2は、ロアスプリングシート変位手段としてスライド変位機構18を設けた例である。 【0048】まず、構成を説明する。図11は第2実施例のストラット型サスペンション装置(ノルマル時)を示す正面図、図12は第2実施例のストラット型サスペンション装置(バウンド時)を示す正面図である。 【0049】図11及び図12において、S2は第2実施例のストラット型サスペンション装置、18はスライド変位機構(ロアスプリングシート変位手段)であり、他の構成は図1及び図2に示す第1実施例のストラット型サスペンション装置S1と同様であるので対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。 【0050】図13〜図16はスライド変位機構18を示す図であり、これらの図面に基づいてスライド変位機構18の構成を説明する。 【0051】スライド変位機構18は、ショックアブソーバ外筒2bに溶接等により固定されると共にガイド溝18cが形成されたガイドベース18a(ガイド部材)と、ロアスプリングシート4に一端が固定され、他端が前記ガイドベース18aのガイド溝18cに対し摺動可能に取り付けられたスライドステー18b(スライド部材)と、を有する。 【0052】そして、前記スライド変位機構18は、図13(イ)に示すように、ガイドベース18aに形成されたガイド溝18cが車両外方に向かうにつれて車両下方側に傾斜した設定とされている。すなわち、スライド変位機構18のスライド軸15は、ストラット軸線10に直交する軸線に対し傾斜角θ2を持たせて交差させている。 【0053】さらに、前記スライド変位機構18は、図13(ロ)及び図13(ハ)に示すように、ガイドベース18aに形成されたガイド溝18bの両端溝内面と、スライドステー18bの両端面との間に、それぞれゴムブッシュ18d,18e(弾性体)を設けている。そして、このゴムブッシュ18d,18eは、車両外側に配置されるゴムブッシュ18dのスライド軸方向長さを、車両内側に配置されるゴムブッシュ18eのスライド軸方向長さより長く設定している。 【0054】また、ガイドベース18aに形成されたガイド溝18bの両側溝内面と、スライドステー18bの両側面との間には、スライドステー18bのスライド動作をスムーズに行うために、一対のローラスライドベアリング18f,18fが介装されている。 【0055】前記スライドステー18bは、図14に示すように、ロアスプリングシート4に固定されるシート固定部18b'と、ガイドベース18aのガイド溝18cに対し摺動可能に取り付けられるスライド部18b"と、一体に有して構成されている。 【0056】前記ロアスプリングシート4は、図15に示すように、シート本体部4aとステー固定部4bとを有して構成され、シート本体部4aには、シート固定部18b'の上半分の形状に合致する凹部4cを形成し、ステー固定部4bには、シート固定部18b'の下半分の形状に合致する凹部4dを形成している。 【0057】そして、スライドステー18bのシート固定部18b'を、両凹部4c,4dにより挟み込み、シート本体部4aに対しステー固定部4bを溶接などにより固定することで、図16に示すように、スライドステー18bとロアスプリングシート4との固定を行っている。 【0058】次に、作用を説明する。 【0059】[サイドフォース低減作用]まず、第2実施例のストラット型サスペンションS2は、図11に示すように、ノルマル時においてスプリング軸線11が交点Poを通るように設定されている。つまり、ショックアブソーバ2に作用するサイドフォースF1,F2をゼロにする最適なレイアウトとされている。 【0060】そして、旋回走行時や凹凸路走行時等で、タイヤ7が車両上方に変位するバウンド時には、図12に示すように、ショックアブソーバ2が縮みストロークと共にコイルスプリング1が縮み変形し、ロアスプリングシート4とスライド変位機構18のスライドステー18bとの固定部からスプリング軸線11に沿った方向にスプリング反力が作用する。これに対し、スライド変位機構18のスライド軸線15は、ストラット軸線10に直交する軸線に対し傾斜角θ2を持たせて交差する設定となっている。 【0061】このため、スライドステー18bに対しロアスプリングシート4からスプリング反力が作用すると、このスプリング反力のスライド軸線方向分力によりスライドステー18bは、スライド軸線15に沿うように車両外方側へスライド変位する。これにより、ゴムブッシュ18dを縮み変形させながら、スライドステー18bに固定されているロアスプリングシート4が車両外側に移動する。 【0062】このロアスプリングシート4の車両外側移動により、ロアスプリングシート4の中心点Pslも車両外側に移動し、中心点Pslを通るスプリング軸線11は、ロアスプリングシート4の車両外側移動量に応じて車両内側に向く。 【0063】このように、スプリング軸線11を強制的に車両内側に傾ける作用を示すことで、バウンド時において、スプリング軸線11が交点Poを通るように、ロアスプリングシート4の車両外側移動量をスライド変位機構18によりコントロールすることが可能になる。言い換えると、バウンド時において、ストラット型サスペンションS2のショックアブソーバ2に作用するサイドフォースF1,F2をキャンセルすることが可能である。 【0064】この結果、ストラット型サスペンションS2のショックアブソーバ2はフリクション(摺動摩擦抵抗)を生じることのないスムーズなストローク動作を示し、例えば、凹凸路走行時において乗り心地を良好にし、また、旋回時において操縦安定性能を向上させることができる。 【0065】次に、効果を説明する。 【0066】第2実施例のストラット型サスペンション装置S2にあっては、第1実施例の(1)の効果に加え、下記に列挙する効果を得ることができる。 【0067】(4) ロアスプリングシート4の変位手段を、ショックアブソーバ外筒2bに固定されると共にガイド溝18cが形成されたガイドベース18aと、ロアスプリングシート4に一端が固定され、他端がガイドベース18aのガイド溝18cに対し摺動可能に取り付けられたスライドステー18bと、を有するスライド変位機構18とし、かつ、スライド変位機構18は、ガイドベース18aに形成されたガイド溝18cが車両外方に向かうにつれて車両下方側に傾斜しているため、スライドステー18bの車両外方へのスライド変位により、スプリング軸線11の傾きを交点Poに近づけるようにコントロールすることができ、バウンド時にサスペンションのサイドフォースF1,F2をキャンセルした状態を維持することができる。 【0068】(5) スライド変位機構18は、ガイドベース18aに形成されたガイド溝18bの両端溝内面と、スライドステー18bの両端面との間に、それぞれゴムブッシュ18d,18eを設けたため、■スライドステー18bがガイド溝18c内をスライドする際に発生する振動や作動音を軽減する(音振軽減の役割)。 ■スライドステー18bが作動限界までスライドした際にガイドベース18a及びスライドステー18bを破損から保護すると共に衝撃を緩衝する(保護・緩衝の役割)。 ■スプリング反力により車両外側にスライドしたスライドステー18bを、弾性復元力により定常の位置に復帰させる(リターンスプリングの役割)。 を併せて達成することができる。 【0069】以上、本発明のストラット型サスペンション装置を第1実施例及び第2実施例に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。 【0070】例えば、実施例では、ロアスプリングシート変位手段として、弾性変位機構とスライド変位機構の例を示したが、具体的な手段はこれらの機構に限られるものではなく、要するに、バウンド時に発生するスプリング反力によってロアスプリングシートを車両外方に変位させる手段であれば、リンクや歯車などを用いた他の変位機構を採用しても良い。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003997 【氏名又は名称】日産自動車株式会社 【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地
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| 【出願日】 |
平成14年3月18日(2002.3.18) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100119644 【弁理士】 【氏名又は名称】綾田 正道 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−267021(P2003−267021A) |
| 【公開日】 |
平成15年9月25日(2003.9.25) |
| 【出願番号】 |
特願2002−74347(P2002−74347) |
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