トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 自動車のマルチリンク懸架装置
【発明者】 【氏名】全 東 基

【要約】 【課題】本発明の目的は、ボールジョイントの占有空間、製作公差および操向時に必要な回転力が小さく、回転角度の正確度が高い、マルチリンク懸架装置を提供することにある。

【解決手段】ホイールを回転可能に支持するホイールキャリア;前記ホイールキャリアの上部及び下部のうちのいずれか一つと車体を連結する複数のコントロールアーム;及び前記複数のコントロールアームと前記ホイールキャリアの連結を媒介する単一体のボールジョイントユニット;を含むことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ホイールを回転可能に支持するホイールキャリア;前記ホイールキャリアの上部及び下部のうちのいずれか一つと車体を連結する複数のコントロールアーム;及び前記複数のコントロールアームと前記ホイールキャリアの連結を媒介する単一体のボールジョイントユニット;を含むことを特徴とする自動車のマルチリンク懸架装置。
【請求項2】 前記複数のコントロールアームは、第1コントロールアームと第2コントロールアームとを含み、前記ボールジョイントユニットは、前記第1コントロールアームに連結される第1ボールスタッド及び前記第2コントロールアームに連結される第2ボールスタッド;を含み、第1、2ボールスタッドは、互いに反対方向に配置されることを特徴とする請求項1に記載の自動車のマルチリンク懸架装置。
【請求項3】 前記第1ボールスタッドのボールと前記第2ボールスタッドのボールとは、その中心を連結する中心線が水平線と約45°の角度に配置されることを特徴とする請求項2に記載の自動車のマルチリンク懸架装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は自動車のマルチリンク型前輪懸架装置に関するもので、より詳しくは、複数のアッパーコントロールアームあるいは複数のローワーコントロールアームが、モジュール化されたボールジョイントを通じてホイールキャリアに連結されるようにした、マルチリンク懸架装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両における懸架装置は、車体とホイールとの間に介在し、この二つの剛体を一つあるいは多数のリンクで連結する装置であって、上下方向にはスプリングやショックアブソーバなどによって支持され、その他の方向には高い剛性と柔軟性とを適切に調和させることによって、車体とホイールとの間の相対運動を機械的に適切に調和させる機能を有する。
【0003】このような懸架装置には、ホイールを支持するホイールキャリアと車体を連結するコントロールアームとが含まれるが、これらを連結するために揺動、摺動運動が可能なボールジョイントが使用される。
【0004】上記のようにボールジョイントが適用される懸架装置の一例を見ると、図1のように、ホイールを回転可能に支持するホイールキャリア2の下部は、車幅方向に配置される前、後2つのローワーコントロールアーム4、6によって車体に連結され、ホイールキャリア2の上部は、車幅方向に配置される前、後2つのアッパーコントロールアーム8、10によって車体に支持される。
【0005】図1に示されるサスペンションは、スプリングやショックアブソーバなどの緩衝手段が付加されて一つのサスペンションシステムをなす。このようなマルチリンク型懸架装置で、コントロールアーム4、6、8、10をホイールキャリア2に連結する際、従来は図5及び図6のように、それぞれのコントロールアーム4、6のホイール先端部にボールジョイント104、106を介在させて、独立にホイールキャリア118と連結していた。
【0006】ボールジョイント104、106では、ローワーコントロールアーム4、6の先端に形成されたケース110、112に、ボール120、122が挿入され、ケース110、112は、ボール120、122の球面回転運動を可能にする構造からなり、ボールスタッド114、116でホイールキャリア118に締結される。
【0007】このようなボールジョイント104、106の球面回転運動によってホイールの操向が可能になるが、直進状態では図7の(A)のような状態を維持するようになる。この時、前、後ローワーコントロールアームの両端連結部の延長線が交差する仮想の交点がホイールの回転中心(RC)となり、操向時にはホイール124の姿勢によって、右折時には(B)、左折時には(C)のようになる。
【0008】そして、前記のようにコントロールアームを独立したボールジョイントで連結すると、操向時にはボールスタッドがホイールキャリアに固定されている状態でケースが揺動しながら操向が行われるため、ケースの最大揺動時の相互干渉を避けるために、図6のように、最小のギャップ(g)を維持するとともに、一定の段差(h)をおかなければならない。
【0009】ホイールの回転中心(RC)の変化が小さいときはホイールの操向が容易で、運転者の操向感も良くなるが、ホイールの回転中心(RC)の変化を小さくするには、ボールジョイントの相互隔離距離を小さくする必要がある。しかし、従来のボールジョイントでは、構造上相互ギャップを減らすことに限界があった。また、両ボールジョイント間に段差を設けることで、操向時の回転力が増加して、回転角度の正確性を図ることができず、占有空間を大きく占めるという問題があった。
【0010】さらに、独立のボールジョイントを使用することによって、製作誤差が発生するほか、組立作業時間の延長、部品数の増加、段差を確保するためのホイールキャリアの形状変形による金型製作費の上昇などで生産原価が増加するという問題がある。
【先行技術文献1】特開平07−186680【先行技術文献2】特開平08−300922【先行技術文献1】特開平08−504150【先行技術文献2】特開2002−046444【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、ボールジョイントの占有空間、製作公差および操向時に必要な回転力が小さく、回転角度の正確度が高い、マルチリンク懸架装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、ホイールを回転可能に支持するホイールキャリア;前記ホイールキャリアの上部及び下部のうちのいずれか一つと車体を連結する複数のコントロールアーム;及び前記複数のコントロールアームと前記ホイールキャリアの連結を媒介する単一体のボールジョイントユニット;を含むことを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施例を添付した図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明のマルチリンク懸架装置を示したもので、前記のように、ホイールを回転可能に支持するホイールキャリア2の下部は、車幅方向に配置される前、後2つのローワーコントロールアーム4、6によって車体に連結され、ホイールキャリア2の上部は、車幅方向に配置される前、後2つのアッパーコントロールアーム8、10によって車体に連結される。
【0014】ローワー及びアッパーコントロールアーム4、6、8、10を多数利用するマルチリンク懸架装置においては、コントロールアームのホイール側端部をできるだけ一側に集めた状態でホイールキャリア2と連結し、操向輪である前輪の場合には、回転方向と回転角度とを大きく確保することができるボールジョイントを介して、コントロールアーム4、6、8、10とホイールキャリア2を連結する。
【0015】前記のように、ボールジョイントを利用して各々前、後2つのアームからなるローワーまたはアッパーコントロールアーム4、6、8、10をホイールキャリア2に連結する際、本発明では、図2のように、2つのボールジョイントを一体化したボールジョイントユニット20を使用した。
【0016】ボールジョイントユニット20は、ローワーコントロールアーム4、6及びアッパーコントロールアーム8、10に全て適用される。図2では便宜上ローワーコントロールアーム4、6がホイールキャリア2にボールジョイントユニット20を介して連結される構成を示しているが、ホイールキャリア2の上部でアッパーコントロールアーム8、10がホイールキャリア2に連結される構成も、ローワーコントロールアーム4、6が連結される構成と対称形であるが、基本的に同じである。
【0017】ボールジョイントユニット20は、図3のように、一つのケース22に2つのボールスタッド24、26を組立てたもので、ケース22は、中央部分に並んで下向ボールスタッド24と上向ボールスタッド26とを組立てることができる空間部28、30を確保し、両側には、そ.のケース22をホイールキャリア2に締結する固定具32、34が一体に形成される。
【0018】そして、ボールスタッド24、26は、これと一体に形成されるボール36、38部分が空間部28、30に位置した状態で、コントロールアームの締結される延長部40、42が下向及び上向きに突出する形態に組立てられる。
【0019】空間部28、30には、ボール36、38と球面接触をなす潤滑支持部材44、46が配置されるが、その内部構成は、ある一定の構造に限定されるのではなく、ボールスタッド24、26の球面回転運動が可能なように支持する構造であればよい。
【0020】また、ボールスタッド24、26の組立てにあたっては、ボール36、38の中心BC1、BC2を連結する連結線が水平線に対して約45゜を維持するようにした。上記角は45゜に限定されるのではなく、適用される車両によって異なるのはもちろんである。
【0021】ボールの中心BC1、BC2を連結する連結線が水平線となす角を45゜にしたのは、ボールスタッド24、26の球面回転運動において干渉が発生しない範囲内でボール36、38の相互間のギャップ(g1)と段差(h1)を最小化にするためである。ボールスタッド24、26は、ケース22内で一直線に位置するだけでなく、適用車両の特性によって偏心して配置することもできるが、ボールの中心BC1、BC2を結ぶ線は水平線と45゜を維持する。
【0022】ボールスタッド24、26間の距離と段差を最小にした本発明のボールジョイントユニット20を利用して懸架装置を構成する場合には、図4のように、前、後ローワーコントロールアームの両側連結部の延長線が交差する仮想交点であるホイール50の回転中心RC1が、従来の回転中心(RC)に比べてホイールの内側に存在するので、操向時にホイールの回転摩擦が減り、ホイール50が安定回転するので、ホイール50の操向が円滑に行われる。
【0023】
【発明の効果】本発明の実施例によれば、2つのボールジョイントを一つの本体に一体化して形成することにより、モジュール化されて、ホイールキャリアとコントロールアームの組立作業が非常に簡単となり、また部品数が低減してコンパクト化するので、生産原価節減ができる。そして、製作誤差を最少にできるので、懸架装置及び操向装置の性能が向上し、円滑な操向で品質が向上して、当該車両に対する信頼性を高めることができる。また、各々前、後コントロールアームと連結するボールスタッドのボールを、そのボールの中心点を結ぶ線が水平線と45゜をなすようにしながら最小のギャップと最小の段差にすることができるので、操向時のホイールの円滑操向確保はもちろんのこと、回転角の正確性を高めることができる。
【出願人】 【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【出願日】 平成14年10月10日(2002.10.10)
【代理人】 【識別番号】110000051
【氏名又は名称】特許業務法人共生国際特許事務所
【公開番号】 特開2003−182331(P2003−182331A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2002−297808(P2002−297808)