| 【発明の名称】 |
車両用サスペンション装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】小林 敏行 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動車株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】車体の各挙動(バウンシング、ローリング、ピッチング)をシンプルな構成でそれぞれ最適に抑制可能とすること。
【解決手段】車両用サスペンション装置を、前後左右の各車輪に対応してそれぞれ装着されて単一のポート11a〜14aを有する各懸架用油圧シリンダ11〜14と、これら各懸架用油圧シリンダのポート11a〜14aに配管P1〜P4を介してそれぞれ接続されて各懸架用油圧シリンダ11〜14の作動を抑制する複数の挙動抑制手段(バウンシング抑制器20、ローリング抑制器30、ピッチング抑制器40)を備える構成として、各挙動抑制手段(抑制器20,30,40)では各ばね要素(アキュムレータ25、コイルスプリング36,46)と各減衰要素(可変絞り26、ショックアブソーバ37,47)の特性を別個に独立して設定可能とした。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車体の第1の挙動時において左右の全車輪に対応してそれぞれ装着した各懸架手段の作動を抑制する第1挙動抑制手段と、車体の第2の挙動時において前記各懸架手段の作動を前記第1挙動抑制手段とは独立して抑制する第2挙動抑制手段とを備えた車両用サスペンション装置。 【請求項2】 請求項1に記載の車両用サスペンション装置において、前記第1の挙動と前記第2の挙動は車体のバウンシング、ローリング、ピッチングから選択された二つの挙動であることを特徴とする車両用サスペンション装置。 【請求項3】 前後左右の各車輪に対応してそれぞれ装着されて単一のポートを有する各懸架用油圧シリンダと、これら各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各制御用油圧シリンダを備えていて、対角に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両制御用油圧シリンダの作動が同相となるように連結して一対の対角油圧制御シリンダを構成し、これら両対角油圧制御シリンダを対向させてこれらの作動を制御可能な連結手段にて連結した車両用サスペンション装置。 【請求項4】 請求項3に記載の車両用サスペンション装置において、前記各対角油圧制御シリンダを構成する前記両制御用油圧シリンダのピストンは互いに連結されていることを特徴とする車両用サスペンション装置。 【請求項5】 請求項3に記載の車両用サスペンション装置において、前記連結手段は、アキュムレータを備え作動油を媒体とする液封連結構造であることを特徴とする車両用サスペンション装置。 【請求項6】 請求項3、4または5に記載の車両用サスペンション装置において、前記各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各ローリング制御シリンダを設け、左右に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両ローリング制御シリンダの作動が逆相となるように連結して一対の左右対ローリング制御シリンダを構成し、これら両左右対ローリング制御シリンダを同相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結したことを特徴とする車両用サスペンション装置。 【請求項7】 請求項3、4または5に記載の車両用サスペンション装置において、前記各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各ピッチング制御シリンダを設け、前後に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両ピッチング制御シリンダの作動が逆相となるように連結して一対の前後対ピッチング制御シリンダを構成し、これら両前後対ピッチング制御シリンダを逆相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結したことを特徴とする車両用サスペンション装置。 【請求項8】 請求項3、4または5に記載の車両用サスペンション装置において、前記各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各ローリング制御シリンダを設け、左右に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両ローリング制御シリンダの作動が逆相となるように連結して一対の左右対ローリング制御シリンダを構成し、これら両左右対ローリング制御シリンダを同相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結し、前記各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各ピッチング制御シリンダを設け、前後に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両ピッチング制御シリンダの作動が逆相となるように連結して一対の前後対ピッチング制御シリンダを構成し、これら両前後対ピッチング制御シリンダを逆相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結したことを特徴とする車両用サスペンション装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、四輪自動車等の車両に採用される車両用サスペンション装置、特に、左右の全車輪に対応してそれぞれ装着した各懸架手段(懸架用油圧シリンダ)の作動を抑制する挙動抑制手段を備えて、車体のバウンシング、ピッチング、ローリング等の挙動を抑制する車両用サスペンション装置に関する。 【0002】 【従来の技術】この種の車両用サスペンション装置は、例えば、特表平6−509997号公報に示されている。同公報に示されている車両用サスペンション装置においては、前後左右の各車輪に対応してそれぞれ装着した懸架用油圧シリンダを油圧配管にて対角で接続することにより、不整地での車輪の接地性を確保しながら車体のピッチングとローリングを抑制するようにしている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】上記した公報に示されている車両用サスペンション装置においては、対角接続した各油圧配管に連通接続したアキュムレータ(ガスばね)、または対角接続した各油圧配管に連通接続したアキュムレータと単一の荷重配分ユニット、或いは対角接続した各油圧配管に連通接続した単一の荷重配分ユニットを含むアクチュエータによって、当該サスペンション装置の作動特性が定まる構成であり、車体のピッチングとローリングの各挙動を抑制する際の作動特性を別個に設定することができなくて、各挙動に適した設定をすることが難しい。 【0004】また、この車両用サスペンション装置においては、各懸架用油圧シリンダのピストンの両側に形成されている一対の油室をそれぞれ対角で接続する構成、すなわち各懸架用油圧シリンダに設けた二つのポートをそれぞれ対角で接続する二系統の油圧配管が採用されているため、油圧配管が複雑でコスト、重量などが嵩むものとなっている。また、この車両用サスペンション装置においては、車体のピッチングとローリングを抑制することは可能であるが、車体のバウンシング(ヒーブ方向の挙動)を抑制することはできない。 【0005】 【課題を解決するための手段】上記した問題に対処すべく、本発明では、車両用サスペンション装置が、車体の第1の挙動時において左右の全車輪に対応してそれぞれ装着した各懸架手段の作動を抑制する第1挙動抑制手段と、車体の第2の挙動時において前記各懸架手段の作動を前記第1挙動抑制手段とは独立して抑制する第2挙動抑制手段とを備えたこと(請求項1に係る発明)に特徴がある。この場合において、前記第1の挙動と前記第2の挙動は車体のバウンシング、ローリング、ピッチングから選択された二つの挙動であること(請求項2に係る発明)も可能である。 【0006】また、本発明では、車両用サスペンション装置が、前後左右の各車輪に対応してそれぞれ装着されて単一のポートを有する各懸架用油圧シリンダと、これら各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各制御用油圧シリンダを備えていて、対角に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両制御用油圧シリンダの作動が同相となるように連結して一対の対角油圧制御シリンダを構成し、これら両対角油圧制御シリンダを対向させてこれらの作動を制御可能な連結手段にて連結したこと(請求項3に係る発明)に特徴がある。 【0007】この場合において、前記各対角油圧制御シリンダを構成する前記両制御用油圧シリンダのピストンは互いに連結されていること(請求項4に係る発明)が望ましく、また、前記連結手段はアキュムレータを備え作動油を媒体とする液封連結構造であること(請求項5に係る発明)が望ましい。 【0008】また、上記した各場合(請求項3、4または5の場合)において、前記各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各ローリング制御シリンダを設け、左右に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両ローリング制御シリンダの作動が逆相となるように連結して一対の左右対ローリング制御シリンダを構成し、これら両左右対ローリング制御シリンダを同相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結すること(請求項6に係る発明)も可能である。 【0009】また、上記した各場合(請求項3、4または5の場合)において、前記各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各ピッチング制御シリンダを設け、前後に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両ピッチング制御シリンダの作動が逆相となるように連結して一対の前後対ピッチング制御シリンダを構成し、これら両前後対ピッチング制御シリンダを逆相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結すること(請求項7に係る発明)も可能である。 【0010】また、上記した各場合(請求項3、4または5の場合)において、前記各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各ローリング制御シリンダを設け、左右に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両ローリング制御シリンダの作動が逆相となるように連結して一対の左右対ローリング制御シリンダを構成し、これら両左右対ローリング制御シリンダを同相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結し、前記各懸架用油圧シリンダのポートに配管を介してそれぞれ接続されて前記各懸架用油圧シリンダの作動を抑制する各ピッチング制御シリンダを設け、前後に位置する両懸架用油圧シリンダに接続されている両ピッチング制御シリンダの作動が逆相となるように連結して一対の前後対ピッチング制御シリンダを構成し、これら両前後対ピッチング制御シリンダを逆相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結すること(請求項8に係る発明)も可能である。 【0011】 【発明の作用・効果】本発明による車両用サスペンション装置(請求項1、2に係る発明)においては、左右の全車輪に対応してそれぞれ装着した各懸架手段の作動を第1挙動抑制手段と第2挙動抑制手段が独立して抑制する構成であり、各挙動抑制手段の特性(挙動抑制機能)は別個に独立して設定することが可能である。したがって、車体の各挙動(バウンシング、ローリング、ピッチング)に適した特性を独立に設定することができて、各挙動をそれぞれ最適に抑制することが可能である。 【0012】また、本発明による車両用サスペンション装置(請求項3〜8に係る発明)においては、前後左右の各車輪に対応して装着された各懸架用油圧シリンダの単一ポートを配管で接続することにより油圧回路を構成することが可能であり、油圧回路をシンプルかつ安価に構成することが可能である。また、本発明の構成では、車体のヒーブ方向の挙動(バウンシング)を効果的に抑制することができるとともに、不整地等で前後左右の車輪に車体を捩る力が作用する場合、一対の対角油圧制御シリンダを同相で自由に作動させることができて、各車輪での接地荷重の減少を抑えて駆動力の低下を抑えることができる。したがって、サスペンション装置での油圧回路を複雑にすることなく、車体の姿勢維持と各車輪での駆動力の確保を両立することが可能である。 【0013】また、本発明による車両用サスペンション装置(請求項4に係る発明)においては、各対角油圧制御シリンダを構成する両制御用油圧シリンダのピストンが互いに連結されているため、対角油圧制御シリンダをコンパクトに構成することが可能である。 【0014】また、本発明による車両用サスペンション装置(請求項5に係る発明)においては、前記連結手段がアキュムレータを備え作動油を媒体とする液封連結構造で構成されているため、アキュムレータに連通する油圧室の作動油を例えば車体荷重に応じて出し入れする構成を採用することで、車体の姿勢を維持したまま車高を調整することが可能である。 【0015】また、本発明による車両用サスペンション装置(請求項6に係る発明)においては、上記した作用効果に加えて、両左右対ローリング制御シリンダを同相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結したものであるため、車体のロール方向の挙動(ローリング)をも効果的に抑制することができる。 【0016】また、本発明による車両用サスペンション装置(請求項7に係る発明)においては、上記した作用効果に加えて、両前後対ピッチング制御シリンダを逆相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結したものであるため、車体のピッチ方向の挙動(ピッチング)をも効果的に抑制することができる。 【0017】また、本発明による車両用サスペンション装置(請求項8に係る発明)においては、上記した作用効果に加えて、両左右対ローリング制御シリンダを同相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結し、両前後対ピッチング制御シリンダを逆相にて連結ロッドを介して連結するとともに、この連結ロッドに同ロッドの作動を抑制する作動抑制手段を連結したものであるため、車体のロール方向の挙動(ローリング)およびピッチ方向の挙動(ピッチング)をも効果的に抑制することができる。 【0018】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明による車両用サスペンション装置を概略的に示していて、このサスペンション装置では、各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14が各配管P1,P2,P3,P4を介してバウンシング抑制器20、ローリング抑制器30、ピッチング抑制器40にそれぞれ接続されている。各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14は、前後左右の各車輪(図示省略)に対応してそれぞれ装着されるものであり、単一のポート11a,12a,13a,14aを有している。 【0019】バウンシング抑制器20は、車体の挙動の一つであるバウンシングが発生している状態において各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14の作動を抑制する挙動抑制手段であり、各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14のポート11a,12a,13a,14aに配管P1,P2,P3,P4を介してそれぞれ接続されるバウンシング制御シリンダ21,22,23,24を備えていて、各バウンシング制御シリンダ21,22,23,24は、受圧面積を略同一としたピストン21a,22a,23a,24aを備えている。 【0020】各バウンシング制御シリンダ21,24は、対角(左前と右後)に位置する各懸架用油圧シリンダ11,14に接続されていて、その各作動が同相となる(油圧の増減に伴うピストン21a,24aの作動方向が同じとなる)ように連結されており、対角油圧制御シリンダ20Aを構成している。対角油圧制御シリンダ20Aでは、両バウンシング制御シリンダ21,24のピストン21a,24aが連結されていて一体化されている。 【0021】一方、各バウンシング制御シリンダ22,23は、対角(右前と左後)に位置する両懸架用油圧シリンダ12,13に接続されていて、その各作動が同相となるように連結されており、対角油圧制御シリンダ20Bを構成している。対角油圧制御シリンダ20Bでは、両バウンシング制御シリンダ22,23のピストン22a,23aが連結されていて一体化されている。 【0022】各対角油圧制御シリンダ20A,20Bは、対称形状に構成されていて、対向配置されており、ばね要素としても機能するアキュムレータ25(ガス式でもスプリング式でも実施可能)を備えて両対角油圧制御シリンダ20A,20Bの作動を制御可能な連結手段20Cにて連結されている。連結手段20Cは、作動油を媒体とする液封連結構造であり、ばね要素の振動を制振する減衰要素として機能する可変絞り26を介してアキュムレータ25の油圧室25aに連通する油圧室27を備えている。 【0023】ローリング抑制器30は、車体の挙動の一つであるローリングが発生している状態において各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14の作動を抑制する挙動抑制手段であり、各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14のポート11a,12a,13a,14aに配管P1,P2,P3,P4を介してそれぞれ接続されるローリング制御シリンダ31,32,33,34を備えていて、各ローリング制御シリンダ31,32,33,34は、受圧面積を略同一としたピストン31a,32a,33a,34aを備えている。 【0024】各ローリング制御シリンダ31,34は、対角(左前と右後)に位置する両懸架用油圧シリンダ11,14に接続されていて、その各作動が逆相となる(油圧の増減に伴うピストン31a,34aの作動方向が逆となる)ように連結されており、左右対ローリング制御シリンダ30Aを構成している。左右対ローリング制御シリンダ30Aでは、両ローリング制御シリンダ31,34のピストン31a,34aが一体化されて共用されている。 【0025】一方、各ローリング制御シリンダ32,33は、対角(右前と左後)に位置する両懸架用油圧シリンダ12,13に接続されていて、その各作動が逆相となるように連結されており、左右対ローリング制御シリンダ30Bを構成している。左右対ローリング制御シリンダ30Bでは、両ローリング制御シリンダ32,33のピストン32a,33aが一体化されて共用されている。 【0026】各左右対ローリング制御シリンダ30A,30Bは、同相に(例えば、左側の懸架用油圧シリンダ11,13の油圧が共に高くなったときに両ピストン31a,34aと32a,33aが共に図の右側に押動されるように)配置されていて、各ピストン31a,34aと32a,33aが連結ロッド35を介して連結されている。連結ロッド35は、シリンダ外に延出していて、その延出端部にてばね要素として機能するコイルスプリング36の一端と、ばね要素の振動を制振する減衰要素として機能するショックアブソーバ37の一端に連結されており、コイルスプリング36とショックアブソーバ37によって作動(軸方向移動)を抑制されるようになっている。 【0027】ピッチング抑制器40は、車体の挙動の一つであるピッチングが発生している状態において各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14の作動を抑制する挙動抑制手段であり、各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14のポート11a,12a,13a,14aに配管P1,P2,P3,P4を介してそれぞれ接続されるピッチング制御シリンダ41,42,43,44を備えていて、各ピッチング制御シリンダ41,42,43,44は、受圧面積を略同一としたピストン41a,42a,43a,44aを備えている。 【0028】各ピッチング制御シリンダ41,44は、対角(左前と右後)に位置する両懸架用油圧シリンダ11,14に接続されていて、その各作動が逆相となるように連結されており、前後対ピッチング制御シリンダ40Aを構成している。前後対ピッチング制御シリンダ40Aでは、両ピッチング制御シリンダ41,44のピストン41a,44aが一体化されて共用されている。 【0029】一方、各ピッチング制御シリンダ42,43は、対角(右前と左後)に位置する両懸架用油圧シリンダ12,13に接続されていて、その各作動が逆相となるように連結されており、前後対ピッチング制御シリンダ40Bを構成している。前後対ピッチング制御シリンダ40Bでは、両ピッチング制御シリンダ42,43のピストン42a,43aが一体化されて共用されている。 【0030】各前後対ピッチング制御シリンダ40A,40Bは、逆相に(例えば、前方の懸架用油圧シリンダ11,12の油圧が共に高くなったときに両ピストン41a,44aと42a,43aが共に図の右側に押動されるように)配置されていて、各ピストン41a,44aと42a,43aが連結ロッド45を介して連結されている。連結ロッド45は、シリンダ外に延出していて、その延出端部にてばね要素として機能するコイルスプリング46の一端と、ばね要素の振動を制振する減衰要素として機能するショックアブソーバ47の一端に連結されており、コイルスプリング46とショックアブソーバ47によって作動(軸方向移動)を抑制されるようになっている。 【0031】上記のように構成したこの実施形態の車両用サスペンション装置においては、車体のバウンシング時、図2に例示したように、各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14が略同じ作動(圧縮作動)をするため、各ポート11a,12a,13a,14aから配管P1,P2,P3,P4を介して各制御シリンダ21〜24、31〜34および41〜44に略同じ油圧(高油圧)が供給される。 【0032】ところで、この状態では、ローリング抑制器30とピッチング抑制器40の各制御シリンダ31,34、32,33と41,44、42,43にて油圧がバランスしていて、各ピストン31a,34a、32a,33aと41a,44a、42a,43aは作動しない。一方、バウンシング抑制器20では、ピストン21a,22a,23a,24aがアキュムレータ25と可変絞り26の作用下にて作動し、各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14の作動、すなわち車体のバウンシングを抑制するとともに路面からの衝撃を緩衝する。 【0033】また、車体のローリング(例えば、車両の左旋回)時、図3に例示したように、右側の両懸架用油圧シリンダ12,14が略同じ作動(圧縮作動)をするとともに、左側の両懸架用油圧シリンダ11,13が略同じ作動(伸張作動)をするため、右側の両懸架用油圧シリンダ12,14の各ポート12a,14aから配管P2,P4を介して各制御シリンダ22,24、32,34および42,44に略同じ油圧(高油圧)が供給されるとともに、各制御シリンダ21,23、31,33および41,43から配管P1,P3を介して左側の両懸架用油圧シリンダ11,13の各ポート11a,13aに略同じ油圧(低油圧)が供給される。 【0034】ところで、この状態では、バウンシング抑制器20とピッチング抑制器40の各制御シリンダ21,24、22,23と41,44、42,43にて油圧がバランスして各ピストン21a,24a、22a,23aと41a,44a、42a,43aは作動しない。一方、ローリング抑制器30では、連結ロッド35にて連結されているピストン31a,34aと32a,33aがコイルスプリング36とショックアブソーバ37の作用下にて作動し、各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14の作動、すなわち車体のローリングを抑制する。 【0035】また、車体のピッチング(例えば、車両のダイブ)時、図4に例示したように、前側の両懸架用油圧シリンダ11,12が略同じ作動(圧縮作動)をするとともに、後側の両懸架用油圧シリンダ13,14が略同じ作動(伸張作動)をするため、前側の両懸架用油圧シリンダ11,12の各ポート11a,12aから配管P1,P2を介して各制御シリンダ21,22、31,32および41,42に略同じ油圧(高油圧)が供給されるとともに、各制御シリンダ23,24、33,34および43,44から配管P3,P4を介して後側の両懸架用油圧シリンダ13,14の各ポート13a,14aに略同じ油圧(低油圧)が供給される。 【0036】ところで、この状態では、バウンシング抑制器20とローリング抑制器30の各制御シリンダ21,24、22,23と31,34、32,33にて油圧がバランスして各ピストン21a,24a、22a,23aと31a,34a、32a,33aは作動しない。一方、ピッチング抑制器40では、連結ロッド45にて連結されているピストン41a,44aと42a,43aがコイルスプリング46とショックアブソーバ47の作用下にて作動し、各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14の作動、すなわち車体のピッチングを抑制する。 【0037】また、不整地での車両の捩れ入力時、図5に例示したように、右前と左後の両懸架用油圧シリンダ12,13が略同じ作動(圧縮作動)をするとともに、左前と右後の両懸架用油圧シリンダ11,14が略同じ作動(伸張作動)をするため、両懸架用油圧シリンダ12,13の各ポート12a,13aから配管P2,P3を介して各制御シリンダ22,23、32,33および42,43に略同じ油圧(図1に示したときと同じ中立油圧)が供給されるとともに、各制御シリンダ21,24、31,34および41,44から配管P1,P4を介して両懸架用油圧シリンダ11,14の各ポート11a,14aに略同じ油圧(中立油圧)が供給される。 【0038】ところで、この状態では、ローリング抑制器30とピッチング抑制器40の各制御シリンダ31,34、32,33と41,44、42,43にて油圧がバランスしていて、各ピストン31a,34a、32a,33aと41a,44a、42a,43aは作動しない。一方、バウンシング抑制器20では、各制御シリンダ22,23に作動油が供給されるとともに、各制御シリンダ21,24から作動油が排出されて、各ピストン21a,24aと22a,23aが同方向に作動するものの、作動量が略等しいため、バウンシング抑制器20は実質的に機能しない(各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14の作動を抑制しない)。 【0039】以上の説明から明らかなように、この実施形態の車両用サスペンション装置においては、各懸架用油圧シリンダ11,12,13,14の作動を、アキュムレータ25(ばね要素)と可変絞り26(減衰要素)を備えるバウンシング抑制器20と、コイルスプリング36(ばね要素)とショックアブソーバ37(減衰要素)を備えるローリング抑制器30と、コイルスプリング46(ばね要素)とショックアブソーバ47(減衰要素)を備えるピッチング抑制器40が独立して抑制する構成であり、各抑制器20,30,40の抑制機能を特定する各ばね要素と各減衰要素の特性は別個に独立して設定することが可能である。したがって、車体の各挙動(バウンシング、ローリング、ピッチング)に適した特性を独立に設定することができて、各挙動をそれぞれ最適に抑制することが可能である。 【0040】また、この実施形態の車両用サスペンション装置においては、前後左右の各車輪に対応して装着された各懸架用油圧シリンダ11〜14の単一ポート11a〜14aを配管P1〜P4で接続することにより油圧回路を構成することが可能であり、油圧回路をシンプルかつ安価に構成することが可能である。また、車体のヒーブ方向の挙動(バウンシング)を効果的に抑制することができるとともに、不整地等で前後左右の車輪に車体を捩る力が作用する場合、バウンシング抑制器20が備えるアキュムレータ25を作動させることなく一対の対角油圧制御シリンダ20A,20Bを同相で自由に作動させることができて、各車輪での接地荷重の減少を抑えて駆動力の低下を抑えることができる。したがって、サスペンション装置での油圧回路を複雑にすることなく、車体の姿勢維持と各車輪での駆動力の確保を両立することが可能である。 【0041】また、この実施形態の車両用サスペンション装置においては、バウンシング抑制器20において各対角油圧制御シリンダ20A,20Bを構成する両制御用油圧シリンダ21,24と22,23のピストン21a,24aと22a,23aが互いに連結されているため、対角油圧制御シリンダ20A,20Bをコンパクトに構成することが可能である。 【0042】また、この実施形態の車両用サスペンション装置においては、バウンシング抑制器20において各対角油圧制御シリンダ20A,20Bを連結する連結手段20Cがアキュムレータ25と可変絞り26を備えていて、作動油を媒体とする液封連結構造で構成されているため、アキュムレータ25に可変絞り26を介して連通する油圧室27(またはアキュムレータ25の油圧室25a)の作動油を例えば車体荷重に応じて出し入れする構成(図示省略)を採用することで、車体の姿勢を維持したまま車高を調整することが可能である。 【0043】また、この実施形態の車両用サスペンション装置においては、バウンシング抑制器20に加えて、ローリング抑制器30とピッチング抑制器40が設けてあるため、車体のヒーブ方向の挙動(バウンシング)を効果的に抑制することができるとともに、車体のロール方向の挙動(ローリング)およびピッチ方向の挙動(ピッチング)をも効果的に抑制することができる。 【0044】また、この実施形態の車両用サスペンション装置においては、バウンシング抑制器20の可変絞り26、ローリング抑制器30のショックアブソーバ37が備える可変絞り37aおよびピッチング抑制器40のショックアブソーバ47が備える可変絞り47aの少なくとも一つに特性切替機構(アクチュエータ)を加えることで、車体の各挙動に対して減衰力のセミアクティブ制御を行うことが可能であり、車両の乗り心地をさらに向上させることが可能である。この場合において最大限必要なアクチュエータの数は3個であり、4輪独立で減衰力のセミアクティブ制御を行う場合の構成で必要なアクチュエータの数4個よりも1個少なくして実施することが可能である。 【0045】また、この実施形態の車両用サスペンション装置においては、バウンシング抑制器20における油圧室27の油圧を増減制御可能なアクチュエータを設ける、またはローリング抑制器30におけるコイルスプリング36のばね力を増減制御可能なアクチュエータを設ける、或いはピッチング抑制器40におけるコイルスプリング46のばね力を増減制御可能なアクチュエータを設けることで、車体の姿勢をアクティブに制御することが可能である。 【0046】この場合において、例えば、バウンシング抑制器20をセミアクティブ化し、ローリング抑制器30とピッチング抑制器40をアクティブ化した場合には、セミアクティブ化したバウンシング抑制器20にて車体荷重を支えることが可能であり、アクティブ化したローリング抑制器30とピッチング抑制器40にて車体荷重を支える必要がないため、ローリング抑制器30とピッチング抑制器40をアクティブ化するために採用するアクチュエータの小型化(動力源の小型化)や同アクチュエータでの消費エネルギーの低減を図ることが可能である。 【0047】上記実施形態においては、バウンシング抑制器20において各対角油圧制御シリンダ20A,20Bを連結する連結手段20Cがアキュムレータ25と可変絞り26と油圧室27を備える構成として実施したが、図6に示したように、バウンシング抑制器20において各対角油圧制御シリンダ20A,20Bを連結する連結手段20Cがコイルスプリング28とショックアブソーバ29を備える構成を採用して実施することも可能である。なお、この図6に示した実施形態でも、上記実施形態と同様に、バウンシング抑制器20、ローリング抑制器30、ピッチング抑制器40を適宜にセミアクティブ化またはアクティブ化することが可能である。 【0048】また、上記実施形態においては、各配管P1,P2,P3,P4が図1に示したように接続されるように構成して、上記した各作用効果が得られるように実施したが、各配管P1,P2,P3,P4が図7に示したように接続されるように構成して、上記実施形態と同様の各作用効果が得られるように実施することも可能である。なお、図7に示した実施形態の構成においては、ローリング抑制器30における各左右対ローリング制御シリンダ30A,30Bの構成、およびピッチング抑制器40における前後対ピッチング制御シリンダ40A,40Bの構成を除いて、上記実施形態と同じである。 【0049】図7に示した左右対ローリング制御シリンダ30Aにおいては、各ローリング制御シリンダ31,32の各作動が逆相となるように連結され、両ローリング制御シリンダ31,32のピストン31a,32aが一体化されて共用されている。また、左右対ローリング制御シリンダ30Bにおいては、各ローリング制御シリンダ33,34の各作動が逆相となるように連結され、両ローリング制御シリンダ33,34のピストン33a,34aが一体化されて共用されている。 【0050】一方、図7に示した前後対ピッチング制御シリンダ40Aにおいては、各ピッチング制御シリンダ42,44の各作動が逆相となるように連結され、両ピッチング制御シリンダ42,44のピストン42a,44aが一体化されて共用されている。また、前後対ピッチング制御シリンダ40Bにおいては、各ピッチング制御シリンダ41,43の各作動が逆相となるように連結され、両ピッチング制御シリンダ41,43のピストン41a,43aが一体化されて共用されている。 【0051】また、上記実施形態においては、上記した各作動時(バウンシング時、ローリング時、ピッチング時)において該当する制御シリンダ(21〜24、31〜34、41〜44)に略同じ油圧が供給されると想定した上で、各ピストン(21a〜24a、31a〜34a、41a〜44a)の受圧面積をそれぞれ略同一として、所望の油圧バランスが得られるように実施したが、上記した各作動時において該当する制御シリンダに略同じ油圧が供給されないような構成が採用される場合には、各ピストンの受圧面積をそれぞれ適宜に設定して、所望の油圧バランスが得られるように実施すればよく、各ピストンの受圧面積を必ずしも略同一とする必要はない。 【0052】また、上記実施形態においては、車両用サスペンション装置がバウンシング抑制器20、ローリング抑制器30、ピッチング抑制器40(三つの挙動抑制手段)を備える構成として実施したが、車両用サスペンション装置がバウンシング抑制器20とローリング抑制器30を備える構成、車両用サスペンション装置がバウンシング抑制器20とピッチング抑制器40を備える構成、または車両用サスペンション装置がローリング抑制器30とピッチング抑制器40を備える構成(すなわち、車両用サスペンション装置が第1と第2の挙動抑制手段を備える構成)として実施することも可能である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社 【住所又は居所】愛知県豊田市トヨタ町1番地
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| 【出願日】 |
平成13年11月14日(2001.11.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088971 【弁理士】 【氏名又は名称】大庭 咲夫 (外1名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−146043(P2003−146043A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−348708(P2001−348708) |
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