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【発明の名称】 空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】中村 洋平
【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内

【要約】 【課題】雪上性能と耐偏摩耗特性とを両立することのできる空気入りタイヤを提供すること。

【解決手段】トレッド12に、1対の周方向主溝14、複数の第1の傾斜溝16及び複数の第2の傾斜溝18を配置し、基本的なハイドロプレーニング性能、及び雪上性能を得る。長尺状のセカンドブロック31には、ブロック長手方向と交差する方向に延びるサイプ34を形成し、長尺状のショルダーブロック37には、ブロック長手方向と交差する方向に延びるサイプ40を形成する。これにより各ブロックの長軸方向と短軸方向とでの剛性の不均一を緩和することができ、局所的な偏摩耗を抑制し、また雪上走行においてブロックのエッジ効果とサイプのエッジ効果を、全方向に対して効率的に得ることが出来る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも、タイヤ赤道面の両側に設けられタイヤ赤道面の左右で対をなす一対の周方向主溝と、トレッド端と前記周方向主溝とを連結しタイヤ周方向に対して傾斜する複数の第1の傾斜溝と、前記周方向主溝からタイヤ赤道面側へ向って延びると共にタイヤ赤道面付近で終端しタイヤ周方向に対して傾斜する複数の第2の傾斜溝とがトレッドに形成され、前記トレッドには、少なくとも前記周方向主溝、前記第1の傾斜溝、及び第2の傾斜溝によって、タイヤ赤道面上にタイヤ周方向に連続すると共にタイヤ周方向に向って幅が大小交互に変化するセンターリブと、前記センターリブのタイヤ幅方向外側に配置され複数の長尺状の第1のブロックをタイヤ周方向に配列した第1のブロック列と、前記第1のブロック列のタイヤ幅方向外側に配置され複数の長尺状の第2のブロックをタイヤ周方向に配列した第2のブロック列とが区画され、前記第1のブロック、及び前記第2のブロックは、ブロック長手方向と交差する方向に延び、延び方向と交差する方向に屈曲する少なくとも1ヶ所の変曲部が形成され、前記変曲部の溝深さが他の部分よりも浅く設定されたサイプを複数備えている、ことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】 前記センターリブには、前記センターリブをタイヤ幅方向に横断し、少なくとも前記第2の傾斜溝よりも溝深さが浅いと共に溝幅が狭い横補助溝がタイヤ周方向に複数設けられ、前記横補助溝には、他の部分よりも溝深さが浅く設定された浅溝部が少なくとも1以上設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】 前記横補助溝において、前記浅溝部の溝深さが、他の部分の溝深さの40〜85%の範囲内である、ことを特徴とする請求項2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】 前記サイプにおいて、前記変曲部の溝深さが、他の部分の溝深さの40〜60%の範囲内である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】 前記センターリブの端縁のトレッド平面視形状は、タイヤ赤道面側へ凸となる複数の略円弧曲線から形成されており、一方の端縁の略円弧曲線と、他方の端縁の略円弧曲線とは互いに対向している、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】 前記周方向主溝は、タイヤ周方向に向って溝幅が大小交互に変化する、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】 前記第2のブロックの前記周方向主溝側の端縁の位置がタイヤ周方向に向ってタイヤ幅方向に変化するこで、前記周方向主溝の溝幅が変化している、ことを特徴とする請求項6に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】 前記第1の傾斜溝は全て同方向に傾斜し、前記第2の傾斜溝は前記第1の傾斜溝とは反対方向に全て傾斜している、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トレッドに複数のブロックを備えた空気入りタイヤに係り、特に、雪上性能と耐偏摩耗特性とを両立することのできる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】冬用のタイヤの従来知られているトレッドパターンは、図2に示すようなタイヤ周方向に直線状に延びる一対の第1の周方向主溝100、タイヤ周方向にジグザグ状に延びる一対の第2の周方向主溝102、トレッド端から第2の周方向主溝102に延びる第1の傾斜溝104、第1の周方向主溝100と第2の周方向主溝102とを連結する第2の傾斜溝106とを組み合わせたブロックパターンが一般的である。
【0003】なお、タイヤはのトレッドには、第1の周方向主溝100間にセンターリブ108が形成され、センターリブ108のタイヤ幅方向外側にセカンドブロック110が形成され、セカンドブロック110のタイヤ幅方向外側にショルダーブロック112が形成されている。
【0004】センターリブ108には、副横溝114が横断していると共に、サイプ116が形成されている。
【0005】セカンドブロック110には、セカンドブロック110の長手方向に略沿って延びるサイプ118が形成されている。
【0006】また、ショルダーブロック112には、ショルダーブロック112の長手方向に略沿って延びるサイプ122が形成されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記従来の空気入りタイヤの各ブロックには、長軸方向と同方向に延びるサイプが形成されているため、各ブロックの短軸方向の剛性が低下し、局所的な偏摩耗(ヒール・アンド・トゥ摩耗)が発生し易く、また、雪上走行時は、ブロックとサイプによるエッジ効果が長軸方向には強く、短軸方向には弱くなってしまう、という問題があった。
【0008】本発明は、上記事実を考慮し、雪上性能と耐偏摩耗特性とを両立することのできる空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、少なくとも、タイヤ赤道面の両側に設けられタイヤ赤道面の左右で対をなす一対の周方向主溝と、トレッド端と前記周方向主溝とを連結しタイヤ周方向に対して傾斜する複数の第1の傾斜溝と、前記周方向主溝からタイヤ赤道面側へ向って延びると共にタイヤ赤道面付近で終端しタイヤ周方向に対して傾斜する複数の第2の傾斜溝とがトレッドに形成され、前記トレッドには、少なくとも前記周方向主溝、前記第1の傾斜溝、及び第2の傾斜溝によって、タイヤ赤道面上にタイヤ周方向に連続すると共にタイヤ周方向に向って幅が大小交互に変化するセンターリブと、前記センターリブのタイヤ幅方向外側に配置され複数の長尺状の第1のブロックをタイヤ周方向に配列した第1のブロック列と、前記第1のブロック列のタイヤ幅方向外側に配置され複数の長尺状の第2のブロックをタイヤ周方向に配列した第2のブロック列とが区画され、前記第1のブロック、及び前記第2のブロックは、ブロック長手方向と交差する方向に延び、延び方向と交差する方向に屈曲する少なくとも1ヶ所の変曲部が形成され、前記変曲部の溝深さが他の部分よりも浅く設定されたサイプを複数備えている、ことを特徴としている。
【0010】次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0011】トレッドに、タイヤ周方向に延びる1対の周方向主溝を配置すると共に、トレッド端と周方向主溝とを連結しタイヤ周方向に対して傾斜する複数の第1の傾斜溝と、周方向主溝からタイヤ赤道面側へ向って延びると共にタイヤ赤道面付近で終端しタイヤ周方向に対して傾斜する複数の第2の傾斜溝とを配置することにより、基本的なハイドロプレーニング性能、及び雪上性能(ブレーキ、トラクション、コーナリングに必要な雪柱剪断力)が得られる。
【0012】長尺状の第1のブロック、及び第2のブロックに、ブロック長手方向と交差する方向に延びるサイプを複数形成することにより、ブロックの長軸方向と短軸方向とでの剛性の不均一を緩和することができ、局所的な偏摩耗を抑制し、また雪上走行においてブロックのエッジ効果とサイプのエッジ効果を、全方向に対して効率的に得ることが出来る。即ち、長尺状のブロックにこのようなサイプを設けないと、長軸方向のエッジ成分は多いが、短軸方向のエッジ成分が少なくなってしまう。
【0013】ここで、サイプに、延び方向と交差する方向に屈曲する少なくとも1ヶ所の変曲部を形成し、その変曲部の溝深さを他の部分よりも浅く設定したので、サイプのエッジ長さが長くなってエッジ効果が増大し、また、サイプで区画された小ブロック部分の過度な倒れ込みを抑制する。このため、サイプのエッジ効果を最大限に発揮させることができ、同時に変曲部に生じやすい偏摩耗を抑制することができる。
【0014】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記センターリブには、前記センターリブをタイヤ幅方向に横断し、少なくとも前記第2の傾斜溝よりも溝深さが浅いと共に溝幅が狭い横補助溝がタイヤ周方向に複数設けられ、前記横補助溝には、他の部分よりも溝深さが浅く設定された浅溝部が少なくとも1以上設けられている、ことを特徴としている。
【0015】次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0016】センターリブに横断溝を設けたことにより、雪上性能を更に向上することができる。
【0017】また、トレッドのタイヤ赤道面付近は、操縦安定性への寄与が大きいため、ある程度高い剛性が必要となる。このため、センターリブを横断する横断溝は、比較的溝幅を狭く、溝深さを浅くすることが好ましい。
【0018】また、横断溝の一部分を浅溝部としたので、センターリブの剛性低下を抑えられるので、更に好ましい。
【0019】請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記第1の横補助溝、及び前記第2の横補助溝において、前記浅溝部の溝深さが、他の部分の溝深さの40〜85%の範囲内である、ことを特徴としている。
【0020】次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0021】浅溝部の溝深さが、他の部分の溝深さの40%未満になると、摩耗初期より溝底が露出することにより、ユーザーが早摩感を覚える。
【0022】一方、浅溝部の溝深さが、他の部分の溝深さの85%を越えると、センターリブの剛性低下を抑えることが出来なくなる。
【0023】したがって、浅溝部の溝深さを、他の部分の溝深さの40〜85%の範囲内とすることが好ましい。
【0024】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記サイプにおいて、前記変曲部の溝深さが、他の部分の溝深さの40〜60%の範囲内である、ことを特徴としている。
【0025】次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0026】サイプにおいて、変曲部の溝深さが、他の部分の溝深さの40%未満になると、摩耗初期より溝底が露出することにより、ユーザーが早摩感を覚える。
【0027】一方、サイプにおいて、変曲部の溝深さが他の部分の溝深さの60%を越えると、変曲部での偏摩耗を抑制することが出来なくなり、また、サイプのエッジ効果を低下させてしまう。
【0028】したがって、サイプにおいて、変曲部の溝深さを他の部分の溝深さの40〜60%の範囲内とすることが好ましい。
【0029】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記センターリブの端縁のトレッド平面視形状は、タイヤ赤道面側へ凸となる複数の略円弧曲線から形成されており、一方の端縁の略円弧曲線と、他方の端縁の略円弧曲線とは互いに対向している、ことを特徴としている。
【0030】次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0031】このようにセンターリブの端縁の形状を設定すると、タイヤ赤道面側の角度を小(周方向に対して)でトレッド端側の角度を大にでき、傾斜溝の排水性が向上する。
【0032】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記周方向主溝は、タイヤ周方向に向って溝幅が大小交互に変化する、ことを特徴としている。
【0033】次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0034】周方向に均一な幅で溝を入れた場合、回転軸に沿ったタイヤ断面方向の剛性段差が大きくなり、溝底の変形が大となる。したがって、溝底の変形を抑えるためには、周方向主溝の溝幅をタイヤ周方向に向って大小交互に変化させることが好ましい。
【0035】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の空気入りタイヤにおいて、前記第2のブロックの前記周方向主溝側の端縁の位置がタイヤ周方向に向ってタイヤ幅方向に変化するこで、前記周方向主溝の溝幅が変化している、ことを特徴としている。
【0036】次に、請求項7に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0037】第2のブロックの周方向主溝側の端縁の位置がタイヤ周方向に向ってタイヤ幅方向に変化させると、変化させない場合に比較して溝底の変形を抑えることができる。
【0038】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記第1の傾斜溝は全て同方向に傾斜し、前記第2の傾斜溝は前記第1の傾斜溝とは反対方向に全て傾斜している、ことを特徴としている。
【0039】次に、請求項8に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0040】第1の傾斜溝を全て同方向に傾斜させ、第2の傾斜溝を第1の傾斜溝とは反対方向に全て傾斜させることにより、踏面の接地圧を均一化させることができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の空気入りタイヤの第1の実施形態を詳細に説明する。図1には、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤ10のトレッド12が平面図にて示されている。
【0042】図1において、符号W0はトレッド幅、矢印A(タイヤ回転方向)及び矢印Bはタイヤ周方向、矢印Cはタイヤ幅方向を表している。
【0043】なお、以下に、本発明で言うトレッド幅W0の定義を説明する。
【0044】本発明では、空気入りタイヤ10を以下に説明する標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、標準荷重を作用させたときのタイヤ幅方向の一方のタイヤ幅方向最外端(トレッド端12E)から他方のタイヤ幅方向最外端(トレッド端12E)までのタイヤ幅方向の寸法をトレッド幅W0としている。
【0045】標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版規定のリムであり、標準空気圧とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の最大負荷能力に対応する空気圧であり、標準荷重とはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2001年度版の単輪を適用した場合の最大負荷能力に相当する荷重である。
【0046】なお、日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)のことであり、空気圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”ApprovedRim" 、”Recommended Rim")のことである。
【0047】規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc.のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
【0048】図1に示すように、トレッド12には、タイヤ赤道面CLの両側にタイヤ周方向に沿って延びる周方向主溝14、トレッド端12Eから周方向主溝14に向って延びる第1の傾斜溝16、周方向主溝14からタイヤ赤道面側に向って延びてタイヤ赤道面CLの近傍で終端する第2の傾斜溝18が形成されている。
【0049】タイヤ赤道面CLの両側において、第1の傾斜溝16は全て左上がりに傾斜し、第2の傾斜溝18は全て右上がりに傾斜しており、方向性の無いトレッドパターンを形成している。
【0050】第1の傾斜溝16は、タイヤ幅方向に対する角度が15〜45度の範囲内が好ましい。本実施形態では、第1の傾斜溝16は、タイヤ幅方向に対して略15度で傾斜している。
【0051】第2の傾斜溝18は、タイヤ幅方向に対する角度がタイヤ赤道面CL側で大きく(タイヤ赤道面CL側の端部で90度)、トレッド端12Eへ向うにしたがってその角度を徐々に小さくしている(周方向主溝14側の端部で20度)。
【0052】このため、第2の傾斜溝18は、トレッド平面視でタイヤ赤道面CL側へ凸となる略円弧形状を呈している。
【0053】また、第2の傾斜溝18の周方向主溝14側の端部近傍から、タイヤ周方向に隣接する他の第2の傾斜溝18のタイヤ赤道面CL側の端部に向けて、第2の傾斜溝18よりも幅狭の副傾斜溝20が形成されている。
【0054】タイヤ赤道面CL上には、タイヤ赤道面CLの左右の第2の傾斜溝18と副傾斜溝20とによってセンターリブ22が区画されている。
【0055】センターリブ22は、タイヤ赤道面CLを挟んで一方の第2の傾斜溝18と他方の第2の傾斜溝18との間にタイヤ周方向に位相を持たせることで、幅狭部分と幅広部分とをタイヤ周方向に交互に設けている。
【0056】センターリブ22には、幅狭部分を横断する第1の横補助溝24と、幅広部分を横断する第2の横補助溝26が設けられている。
【0057】第1の横補助溝24、及び第2の横補助溝26は、何れも左上がりに傾斜しており、各々周方向主溝14よりも溝幅が狭く、かつ溝深さも浅く設定されている。
【0058】第1の横補助溝24は、略全体に渡って一定溝深さであるが、中央部分に他の部分よりも溝深さを浅くした浅溝部24Aを備えている。浅溝部24Aの溝深さは、第1の横補助溝24の他の部分の溝深さの25〜30%の範囲内であることが好ましい。
【0059】第2の横補助溝26は、略全体に渡って一定溝深さであるが、互いに離間した二ヶ所に他の部分よりも溝深さを浅くした浅溝部26Aを備えている。浅溝部26Aの溝深さは、第2の横補助溝26の他の部分の溝深さの25〜30%の範囲内であることが好ましい。
【0060】センターリブ22には、第1の横補助溝24と第2の横補助溝26との間に、これら第1の横補助溝24と第2の横補助溝26と同じ方向に傾斜してセンターリブ22を横断するサイプ28と、タイヤ幅方向に隣接する第2の傾斜溝18のタイヤ赤道面CL側端部同士を連通するように設けたサイプ30とが形成されている。
【0061】このセンターリブ22のタイヤ幅方向両側には、周方向主溝14、第2の傾斜溝18、及び副傾斜溝20で区画されたセカンドブロック30が設けられている。
【0062】セカンドブロック30は、略扇形形状であり、略第2の傾斜溝18の方向に沿って細長く形成されている。
【0063】セカンドブロック30のタイヤ周方向中央部には、周方向主溝14からブロック中央付近で終端する副溝32が形成されている。
【0064】副溝32は、第2の傾斜溝18よりも溝幅が狭く、かつ溝深さも浅く設定されている。
【0065】また、セカンドブロック30には、ブロック長手方向と略直交する方向に延びるサイプ34が複数形成されている。
【0066】サイプ34の中間部には、サイプ延び方向と交差する方向に屈曲する変曲部36が形成されている。サイプ34は、略全体に渡って溝深さが一定であるが、変曲部36での溝深さは、他の部分よりも浅く設定されている。
【0067】このサイプ34において、変曲部36の溝深さは、サイプ34の他の部分の溝深さの25〜30%の範囲内であることが好ましい。
【0068】セカンドブロック30のタイヤ幅方向外側には、周方向主溝14、第1の傾斜溝16で区画されたショルダーブロック36が配置されている。
【0069】ショルダーブロック36は、第1の傾斜溝16に沿って細長く形成され、トレッド平面視形状が略長方形である。
【0070】ショルダーブロック36のタイヤ周方向中間部には、トレッド端12E側からタイヤ赤道面CL側へ第1の傾斜溝16と略平行に延び、ブロック中央部で終端する副溝38が形成されている。
【0071】副溝38は、第1の傾斜溝16よりも溝幅が狭く、かつ溝深さも浅く設定されている。
【0072】ショルダーブロック36の周方向主溝14側のブロック端縁は、タイヤ周方向の一方側の略半分と、他方側の略半分とでは、タイヤ幅方向の位置が異なり、これによって、周方向主溝14の溝幅がタイヤ周方向に向って大小交互に変化している。
【0073】また、ショルダーブロック36には、ブロック長手方向と略直交する方向に延びるサイプ40が複数形成されている。
【0074】サイプ40の中間部には、サイプ延び方向と交差する方向に屈曲する変曲部42が形成されている。サイプ40は、略全体に渡って溝深さが一定であるが、変曲部42での溝深さは、他の部分よりも浅く設定されている。
【0075】このサイプ40において、変曲部42の溝深さは、サイプ40の他の部分の溝深さの25〜30%の範囲内であることが好ましい。
(作用)本実施形態の空気入りタイヤ10では、トレッド12に1対の周方向主溝14、複数の第1の傾斜溝16、及び複数の第2の傾斜溝18を配置することにより、基本的なハイドロプレーニング性能、及び雪上性能が得られる。
【0076】ここで、第1の傾斜溝16を全て同方向に傾斜させ、第2の傾斜溝18を第1の傾斜溝16とは反対方向に全て傾斜させたので、踏面の接地圧均一化が図れる。
【0077】セカンドブロック30にブロック長手方向と交差する方向に延びるサイプ34を複数形成したので、局所的な偏摩耗が抑制され、雪上走行においてはセカンドブロック30のエッジ効果とサイプ34のエッジ効果を全方向に対して効率的に得ることが出来る。
【0078】また、サイプ34に溝深さの浅い変曲部36を形成したので、エッジ効果が増大し、サイプ34で区画された小ブロック部分の過度な倒れ込みを抑制する。このため、サイプ34のエッジ効果を最大限に発揮させることができ、さらに、変曲部36に生じやすい偏摩耗を抑制することができる。
【0079】ショルダーブロック36にブロック長手方向と交差する方向に延びるサイプ40を複数形成したので、局所的な偏摩耗が抑制され、雪上走行においてはショルダーブロック36のエッジ効果とサイプ40のエッジ効果を全方向に対して効率的に得ることが出来る。
【0080】また、サイプ40に溝深さの浅い変曲部42(溝深さは、他の部分の溝深さの25〜30%の範囲内)を形成したので、サイプ40で区画された小ブロック部分の過度な倒れ込みを抑制し、サイプ40のエッジ効果を最大限に発揮させることができ、さらに、変曲部42に生じやすい偏摩耗を抑制することができる。
【0081】センターリブ22に第1の横補助溝24と第2の横補助溝26を設けたことにより、雪上性能を更に向上することができる。
【0082】第1の横補助溝24と第2の横補助溝26は、第2の傾斜溝18よりも溝幅が狭く、かつ溝深さが浅く、さらに、第1の横補助溝24には浅溝部24A(溝深さは、他の部分の溝深さの25〜30%の範囲内)、第2の横補助溝26には浅溝ブロック26A(溝深さは、他の部分の溝深さの25〜30%の範囲内)が設けられているので、センターリブ22の剛性低下が抑えられ、操縦安定性が確保される。
【0083】センターリブ22の端縁のトレッド平面視形状を、タイヤ赤道面側へ凸となる複数の略円弧曲線で形成し、一方の端縁の略円弧曲線と他方の端縁の略円弧曲線とを互いに対向させたので、排水性が向上する。
【0084】周方向主溝14の溝幅をタイヤ周方向に向って大小交互に変化させたので、溝底の変形を抑えることができる。
【0085】また、ショルダーブロック36の周方向主溝14側の端縁の位置をタイヤ周方向に向ってタイヤ幅方向に変化させたので、溝底の変形を抑えることができる。
【0086】なお、上記実施形態では、サイプ1本に付き変曲部が1ヶ所設けられていたが、サイプが長いような場合には、サイプ1本に付き二ヶ所以上変曲部を設けても良い。
(試験例)本発明の効果を確かめるために、従来例の空気入りタイヤと本発明の適用された実施例の空気入りタイヤとを用意し、偏摩耗性能、雪上ブレーキ性能、雪上操縦安定性の比較を行った。
【0087】実施例の空気入りタイヤ:上記実施形態で説明したトレッドパターン(図1参照。)を有する空気入りタイヤである。
【0088】従来例の空気入りタイヤ:図2に示すトレッドパターンを有する空気入りタイヤである。
【0089】各タイヤの寸法等は以下の表1及び表2に記載した通りである。
【0090】
【表1】

【0091】
【表2】

【0092】なお、タイヤサイズは何れのタイヤも265/70R16である。
【0093】以下に試験方法及び評価を簡単に説明する。
【0094】試験は、何れもタイヤを実車(三菱自動車工業株式会社製パジェロ)に装着して行った。
・偏摩耗性能:一般坑道10000km走行後に、ブロックの周方向の段差量を測定した。評価は従来例の段差量を100とする指数で表しており、数値が小さいほど偏摩耗性能に優れていることを表している。
・雪上ブレーキ性能:雪上テストコースにて、初速40km/hからのブレーキによる停止距離を測定。評価は、従来例の停止距離を100とする指数で表しており、数値が小さいほど雪上ブレーキ性能に優れていることを表している。
・雪上操縦安定性能:圧雪テストコースにおけるテストドライバーの官能評価。評価は10点満点評価であり、数値が大きいほど雪上操縦安定性能に優れていることを表している。
【0095】評価は以下の表3に示す通りである。
【0096】
【表3】

【0097】試験の結果から、本発明の適用された実施例の空気入りタイヤは、従来例の空気入りタイヤに対し、全ての性能が大幅に向上していることが分かる。
【0098】
【発明の効果】以上説明したように請求項1に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、雪上性能と耐偏摩耗特性とを両立することができる、という優れた効果を有する。
【0099】請求項2に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、雪上性能を更に向上することができ、操縦安定性能も確保できる。
【0100】請求項3に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、偏摩耗が向上する、という優れた効果を有する。
【0101】請求項4に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、ブロックの変曲部の偏摩耗を確実に抑制でき、また、サイプのエッジ効果を確実に高めることができる、という優れた効果を有する。
【0102】請求項5に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、センターリブの剛性低下を確実に抑えることができる、という優れた効果を有する。
【0103】請求項6に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、溝底の変形が小となり、接地性向上により偏摩耗が向上する、という優れた効果を有する。
【0104】請求項7に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、溝底の変形が小となり、接地性向上により偏摩耗が向上する、という優れた効果を有する。
【0105】請求項8に記載の空気入りタイヤは上記の構成としたので、接地性向上により摩耗性能、雪上性能共に向上する。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
【出願日】 平成14年5月30日(2002.5.30)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2003−341306(P2003−341306A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−157883(P2002−157883)