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【発明の名称】 空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】飯塚 洋
【住所又は居所】神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株式会社平塚製造所内

【要約】 【課題】リブのエッジ部にレールウェイ摩耗を防止する細溝を設けた空気入りタイヤにおいて、レールウェイ摩耗防止効果を損なうことなく、細溝の溝底にクラックが発生するのを抑制することが可能な空気入りタイヤを提供する。

【解決手段】リブ3X,3Yのエッジ部3X1,3Y1に設けた細溝4をトレッド面1から深さ方向中間部まで主溝2Aより離間するように傾斜して延びる第1溝部4Aと、第1溝部4Aの内端4A1で屈曲して溝底4xまで延びる第2溝部4Bとから構成する。タイヤ子午線断面において、第1溝部4Aの主リブ側角度αと第2溝部4Bの主リブ側角度βとの関係をα<βにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トレッド面のショルダー側にタイヤ周方向に延在する主溝を設け、該主溝に面してリブを形成し、該リブの前記主溝に面するエッジ部にタイヤ周方向に延びる細溝を設け、該細溝により前記リブを主リブと幅狭リブに区分形成した空気入りタイヤにおいて、前記細溝をトレッド面から深さ方向中間部まで前記主溝より離間するように傾斜して延びる第1溝部と、該第1溝部の内端で屈曲して溝底まで延びる第2溝部とから構成し、タイヤ子午線断面において、前記細溝の開口端の接線に対する前記第1溝部の主リブ側角度αと前記接線に対する前記第2溝部の主リブ側角度βとの関係をα<βにした空気入りタイヤ。
【請求項2】 前記主リブ側角度αを60〜80°にした請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】 前記主リブ側角度βを90〜120°にした請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】 前記主リブ側角度βを100〜110°にした請求項3に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】 前記細溝の溝幅を開口端側より溝底側を狭くした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】 前記細溝の溝幅を溝底側ほど狭くした請求項5に記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】 前記細溝の幅が0.3〜3mmである請求項1乃至6のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項8】 前記細溝の深さが前記主溝の深さの0.5〜1.2倍である請求項1乃至7のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項9】 前記細溝を前記主溝に面する両側のリブに形成した請求項1乃至8のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リブのエッジ部にレールウェイ摩耗を防止する細溝を設けた空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、レールウェイ摩耗を防止しながら細溝の溝底クラックを抑制するようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】トレッド面にリブ基調のパターンを設けた重荷重用の空気入りタイヤでは、ショルダー側に位置する主溝に面したリブのエッジ部に偏摩耗の一種であるレールウェイ摩耗を発生し易い。
【0003】そこで、従来、上記対策として、図4に示すように、ショルダー側に位置する主溝11に面するリブ12のエッジ部13にタイヤ周方向に延びる細溝14を設けるようにしている。細溝14は、溝底側ほど主溝11より離間するように傾斜して構成され、このような細溝14によりリブ12を主リブ15と幅狭リブ16とに区分形成し、その幅狭リブ16を摩耗させることにより、主リブ15にレールウェイ摩耗を発生し難くしている。
【0004】しかし、上記ように傾斜させた細溝14は、溝底において主リブ15の剛性を低下させるため、溝底に主リブ15側に向けてクラック17が発生し易くなり、そのクラック17が成長すると主リブ15が千切れるリブティアーを引き起こす。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、リブのエッジ部にレールウェイ摩耗を防止する細溝を設けた空気入りタイヤにおいて、レールウェイ摩耗防止効果を損なうことなく、細溝の溝底に発生するクラックの抑制を可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明は、トレッド面のショルダー側にタイヤ周方向に延在する主溝を設け、該主溝に面してリブを形成し、該リブの前記主溝に面するエッジ部にタイヤ周方向に延びる細溝を設け、該細溝により前記リブを主リブと幅狭リブに区分形成した空気入りタイヤにおいて、前記細溝をトレッド面から深さ方向中間部まで前記主溝より離間するように傾斜して延びる第1溝部と、該第1溝部の内端で屈曲して溝底まで延びる第2溝部とから構成し、タイヤ子午線断面において、前記細溝の開口端の接線に対する前記第1溝部の主リブ側角度αと前記接線に対する前記第2溝部の主リブ側角度βとの関係をα<βにしたことを特徴とする。
【0007】上記本発明によれば、トレッド面側の第1溝部を従来と同様に主溝より離間するように傾斜させるため、幅狭リブの方を摩耗させ、主リブにレールウェイ摩耗を発生しないようにすることができる一方、溝底側の第2溝部を上記のような関係にすることで、溝底における主リブ剛性を従来より増大させることができるので、クラックが細溝の溝底で主リブ側に向けて発生するのを抑制することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0009】図1は本発明の空気入りタイヤの一例を示し、トレッド面1には、タイヤ周方向Tにストレート状に延びる複数(図では3本)の主溝2が設けられており、これら主溝2によりタイヤ周方向Tに延在する複数のリブ3が区分形成されている。
【0010】ショルダー側の主溝2Aに面して両側に形成されたリブ3X,3Yには、主溝2Aに面するエッジ部3X1,3Y1にタイヤ周方向Tに主溝2Aに沿ってストレート状に延びる細溝4が設けられており、この細溝4によりリブ3X,3Yを主リブ3Xa,3Yaと幅狭リブ3Xb,3Ybとに区分形成している。両細溝4は、0.3〜3mmの溝幅を有し、また主溝2Aの深さの0.5〜1.2倍の深さになっている。
【0011】各細溝4は、図2に示すように、トレッド面1から深さ方向中間部まで主溝2Aより次第に離間するように傾斜してストレート状に延びる第1溝部4Aと、この第1溝部4Aの内端4A1で屈曲して溝底4xまでストレート状に延びる第2溝部4Bとから構成されている。
【0012】タイヤ子午線断面において、細溝4の開口端4m(の溝幅中心位置)での接線Nに対する第1溝部4Aの主リブ側角度α(第1溝部4Aの溝幅中心線aと接線Nとのなす主リブ側角度)と接線Nに対する第2溝部4Bの主リブ側角度β(第2溝部4Bの溝幅中心線bと接線Nとのなす主リブ側角度)とをα<βの関係にし、主リブ側角度βを大きくした傾斜溝に形成してある。なお、図1において、CLはタイヤセンターラインである。
【0013】このようにリブ3X,3Yを主リブ3Xa,3Yaと幅狭リブ3Xb,3Ybとに区分する細溝4のトレッド面1側の第1溝部4Aを従来と同様に主溝2Aより離間するように傾斜した構成にすることで、幅狭リブ3Xb,3Ybを摩耗させて、主リブ3Xa,3Yaに対するレールウェイ摩耗の発生を防止することができる。
【0014】他方、溝底4x側の第2溝部4Bを上記のように主リブ側角度βを大きくすることで、溝底4xにおける主リブ3Xa,3Yaの幅を従来より広くして剛性を高くすることができるので、細溝4の溝底4xでクラックが主リブ3Xa,3Ya側に向けて発生するのを抑制することが可能になる。
【0015】本発明において、第1溝部4Aの主リブ側角度αとしては、従来の細溝と同様にすることができ、例えば、60〜80°にすることができる。主リブ側角度αが60°より小さいと、タイヤ加硫後にモールドからの抜け難くなり、逆に80°より大きいと、主リブ3Xa,3Yaに対するレールウェイ摩耗の発生を防止することが難しくなる。
【0016】第2溝部4Bの主リブ側角度βとしては、90〜120°の範囲にするのがよい。主リブ側角度βが90°未満であると、クラックを効果的に抑制することが難しくなる。逆に120°を超えると、タイヤ加硫後にモールドから抜け難くなる。好ましくは、100〜110°がよい。
【0017】第1溝部4Aの内端4A1の位置としては、トレッド面1から主溝2Aの溝深さの0.3〜0.7倍の位置することができる。0.3倍より浅いとレールウェイ摩耗を効果的に抑制することができない。逆に0.7倍より深い位置になると、クラック発生抑制効果を得ることが難しくなる。
【0018】上述した細溝4は、図3に示すように、その溝幅を溝底4x側ほど狭くするように形成するのが好ましい。このように細溝4の開口端4m側より溝底4x側を狭い構成にすることで、細溝4に小石が入り込む石噛みが発生しても、それを押し出すことができるので、石噛みによるパンクを回避することが可能になる。
【0019】本発明は、上記実施形態では、細溝4を主溝2Aの両側のリブ3X,3Yに設けた例を示したが、いずれか一方のリブに細溝4を設けた空気入りタイヤであっても好適に用いることができる。
【0020】本発明は、特にトラックやバスなどの重荷重車両に使用される重荷重用の空気入りタイヤに好ましく用いることができるが、当然のことながらそれに限定されない。
【0021】
【実施例】タイヤサイズを11R22.5で共通にし、図1に示すトレッドパターンを有するタイヤにおいて、細溝を図2に示すように第1溝部と第2溝部とから構成し、その主リブ側角度α,βを表1のようにした本発明タイヤ1〜4と、細溝を溝底までストレート状にした従来タイヤ(主リブ側角度:80°)と比較タイヤ(主リブ側角度:90°)をそれぞれ各20本作製した。各試験タイヤにおける細溝の溝幅は、いずれも2mmである。
【0022】これら各試験タイヤを7.0×22.5のリムに装着し、空気圧を700kPaにして、各2本を左右の車輪にして10台の10tトラックに装着し、以下に示す測定条件により、レールウェイ摩耗と溝底クラックの評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
レールウェイ摩耗一般車道を10万km走行した後、主リブの細溝側エッジ部に発生したレールウェイ摩耗の幅を各20本の試験タイヤにおいて測定し、その平均値で評価した。
溝底クラック上記レールウェイ摩耗を測定した各20本の試験タイヤにおいて、細溝の溝底に主リブ側に発生したクラックのタイヤ幅方向長さを測定し、その平均値で評価した。
【0023】
【表1】

【0024】表1から明らかなように、本発明タイヤは、レールウェイ摩耗の発生がなく、また溝底のクラックを、従来5mmであったのに対して2mm以下にすることができ、従って、レールウェイ摩耗を防止し、かつ細溝の溝底クラックの発生を抑制できることがわかる。
【0025】
【発明の効果】上述したように本発明は、リブのエッジ部にレールウェイ摩耗を防止する細溝を設けた空気入りタイヤにおいて、細溝を上記のような第1溝部と第2溝部とから構成することにより、レールウェイ摩耗防止効果を損なうことなく、細溝の溝底にクラックが発生するのを抑制することができる。
【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【住所又は居所】東京都港区新橋5丁目36番11号
【出願日】 平成14年5月27日(2002.5.27)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2003−341304(P2003−341304A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−152059(P2002−152059)