| 【発明の名称】 |
空気入りラジアルタイヤ |
| 【発明者】 |
【氏名】上田 佳生 【住所又は居所】神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株式会社平塚製造所内
【氏名】由良 出 【住所又は居所】神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株式会社平塚製造所内
【氏名】兼平 尚樹 【住所又は居所】神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株式会社平塚製造所内
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| 【要約】 |
【課題】転がり抵抗低減、タイヤ運動性能向上、低価格化に対応しつつ、耐水高速耐久性とゴム被覆時の作業性を改善することが可能な空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】ベルト層7のスチールコード8を型付けして引き揃えた複数の第1スチール素線9と、その外周側に型付けして配置された第2スチール素線10とから構成する。第1,第2スチール素線9,10の直径d1,d2 はそれぞれ0.15〜0.40mm、型付け幅h1,h2 はh1 =1.2d1 〜5.0d1 、h2=1.2d2 〜5.0d2 、型付けピッチλ1,λ2 はそれぞれ3.0〜20.0mmである。第2スチール素線10は、巻付けピッチPを40〜100mmにして第1スチール素線9の外周側に螺旋状に巻き付けられている。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トレッド部のカーカス層外周側に、タイヤ周方向に傾斜して延在するスチールコードをタイヤ周方向に所定の間隔でゴム層内に配列したベルト層を配置した空気入りラジアルタイヤにおいて、前記スチールコードを、所定のピッチで型付けして引き揃えた複数の第1スチール素線と、その外周側に配置した所定のピッチで型付けした第2スチール素線とから構成し、前記第1スチール素線の直径d1 と前記第2スチール素線の直径d2 をそれぞれ0.15〜0.40mm、前記第1スチール素線の型付け幅h1と前記第2スチール素線の型付け幅h2 をh1 =1.2d1 〜5.0d1 とh2=1.2d2 〜5.0d2 、前記第1スチール素線の型付けピッチλ1 と前記第2スチール素線の型付けピッチλ2 をそれぞれ3.0〜20.0mmにし、かつ前記第2スチール素線を巻付けピッチを40〜100mmにして前記第1スチール素線の外周側に螺旋状に巻き付けた空気入りラジアルタイヤ。 【請求項2】 前記型付け幅h1,h2 をh1 =1.5d1 〜3.0d1 、h2 =1.5d2 〜3.0d2 にした請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。 【請求項3】 前記第1スチール素線及び第2スチール素線をスパイラル状に型付けした請求項1または2に記載の空気入りラジアルタイヤ。 【請求項4】 前記第1スチール素線及び第2スチール素線を波状に型付けした請求項1または2に記載の空気入りラジアルタイヤ。 【請求項5】 前記スチールコードを圧延加工により断面偏平状の偏平コードにした請求項1乃至4のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。 【請求項6】 前記複数の第1スチール素線が2〜6本である請求項1乃至5のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。 【請求項7】 前記第2スチール素線が1本である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の空気入りラジアルタイヤ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、空気入りラジアルタイヤに関し、さらに詳しくは、耐水高速耐久性とゴム被覆時の作業性を改善するようにした空気入りラジアルタイヤに関する。 【0002】 【従来技術】近年、空気入りラジアルタイヤ、特に乗用車用空気入りラジアルタイヤにおいては、転がり抵抗低減(低燃費化)、タイヤ運動性能向上、低価格化といった市場のニーズを受けて、ベルト層に使用するスチールコードの開発が進んでいる。 【0003】その一環として、従来の撚りコードに代えて、複数本のスチール素線を引き揃えて構成した無撚りのスチールコードや、その外周側に更に1本のスチール素線を螺旋状に巻き付けた構成のスチールコードが提案されている。 【0004】しかし、これらのコードはスチール素線が互いに撚り合わされていないため、コードの形状安定性が悪く、その結果、ゴムを被覆する工程において負荷されるコード張力によってスチール素線同士の間隔が閉じ易く、スチールコードに対するゴムの浸透性が悪化する。そのため、スチール素線の耐腐食疲労性が低下し、耐水高速耐久性に悪影響を及ぼす。また、ゴム被覆時にスチール素線がバラケ易いため、作業性の悪化が避けられない。 【0005】他方、撚りピッチを従来より大幅に大きくした、所謂ロングピッチのスチールコードの提案もある。しかし、スチールコードを構成するスチール素線がバラケる問題が依然とあり、コードの形状安定性の改善もあまり望めない。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、転がり抵抗低減、タイヤ運動性能向上、低価格化に対応しつつ、耐水高速耐久性とゴム被覆時の作業性を改善することが可能な空気入りラジアルタイヤを提供することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明は、トレッド部のカーカス層外周側に、タイヤ周方向に傾斜して延在するスチールコードをタイヤ周方向に所定の間隔でゴム層内に配列したベルト層を配置した空気入りラジアルタイヤにおいて、前記スチールコードを、所定のピッチで型付けして引き揃えた複数の第1スチール素線と、その外周側に配置した所定のピッチで型付けした第2スチール素線とから構成し、前記第1スチール素線の直径d1 と前記第2スチール素線の直径d2 をそれぞれ0.15〜0.40mm、前記第1スチール素線の型付け幅h1 と前記第2スチール素線の型付け幅h2 をh1 =1.2d1 〜5.0d1 とh2 =1.2d2 〜5.0d2 、前記第1スチール素線の型付けピッチλ1 と前記第2スチール素線の型付けピッチλ2 をそれぞれ3.0〜20.0mmにし、かつ前記第2スチール素線を巻付けピッチを40〜100mmにして前記第1スチール素線の外周側に螺旋状に巻き付けたことを特徴とする。 【0008】このようにベルト層のスチールコードを上記のように規定した第1スチール素線と第2スチール素線とから構成することで、スチール素線が互いに食い込んでバラケ難くなるので、コードの形状安定性が増大し、その結果、ゴムを被覆する際の作業性を向上することができる。 【0009】また、スチール素線相互の間隔が閉じ難くなるので、スチールコード内にゴムを浸透させ易くすることができるため、スチール素線の耐腐食疲労性が改善し、耐水高速耐久性を高めることができる。第1スチール素線は、撚らずに引き揃え構造とするため、従来の引き揃え構造を採用したスチールコードと同様に、転がり抵抗低減、タイヤ運動性能向上、低価格化といった市場のニーズに対応することができる。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。 【0011】図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部、CLはタイヤセンターラインである。 【0012】左右のビード部3間にカーカス層4が装架され、その両端部4aがビード部3に埋設されたビ−ドコア5の周りにビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。トレッド部1のカーカス層4外周側には、タイヤ周方向に傾斜して延在するスチールコード8をタイヤ周方向に所定の間隔でゴム層G内に配列した2層のベルト層7が配置されている。 【0013】スチールコード8は、図2に示すように、スパイラル状に型付けして引き揃えた無撚りの複数(N本)の第1スチール素線9と、その外周側に配置したスパイラル状に型付けした1本の第2スチール素線10とから構成されたN+1構造になっている。 【0014】第1スチール素線9の直径d1 と第2スチール素線10の直径d2 は、それぞれ0.15〜0.40mmの範囲になっている。また、第1スチール素線9の型付け幅h1 と第2スチール素線10の型付け幅h2 は、h1 =1.2d1 〜5.0d1 、h2 =1.2d2 〜5.0d2 にしてある。更に、図3に示すように、第1スチール素線9の型付けピッチλ1 と第2スチール素線10の型付けピッチλ2 は、それぞれ3.0〜20.0mmの範囲に設定されている。 【0015】上記のように型付けされた第2スチール素線10は、巻付けピッチPを40〜100mmにして引き揃えた複数の第1スチール素線9の外周側に螺旋状に巻き付けられている。 【0016】上述した本発明によれば、ベルト層7のスチールコード8を上記のように特定した第1スチール素線9と第2スチール素線10とから構成することにより、スチール素線9,10同士の食い込みによりバラケ難くなるため、コードの形状安定性が向上し、従ってゴムを被覆する際の作業性を改善することができる。 【0017】また、スチール素線同士の間隔が閉じ難くなるので、スチールコード8内へのゴム浸透性を高めることができ、その結果、スチール素線の耐腐食疲労性が向上し、耐水高速耐久性を改善することができる。 【0018】しかも、第1スチール素線9を撚らずに引き揃え構造とするため、転がり抵抗低減、タイヤ運動性能向上、低価格化といった市場のニーズに対応することができる。 【0019】スチール素線9,10の直径d1 ,d2 が0.15mm未満であると、ベルト曲げ剛性の低下により耐水高速耐久性や操縦安定性(タイヤ運動性能)が低下する。逆に0.40mmを超えると、スチール素線に加わる歪みが大きくなり過ぎてベルト折れが発生し、耐水高速耐久性の悪化を招く。 【0020】スチール素線9,10の型付け幅h1 ,h2 が、1.2d1 あるいは1.2d2 より小さいと、ゴム浸透性が低下して耐水高速耐久性が悪化する。逆に5.0d1 あるいは5.0d2 より大きいと、スチールコード8の伸縮作用が大きくなり過ぎてベルト引張剛性の低下を招く。型付け幅h1 ,h2 は、好ましくはh1=1.5d1 〜3.0d1 、h2 =1.5d2 〜3.0d2 にするのがよい。 【0021】スチール素線9,10の型付けピッチλ1 ,λ2 が3.0mm未満であると、ベルト引張剛性が低下し、逆に20.0mmを超えるとゴム浸透性が悪化する。 【0022】第2スチール素線10の巻付けピッチPが40mmより小さいと、第2スチール素線10への張力分担率低下によりベルト引張剛性が低下し、逆に100mmより大きいと、コードの形状安定性低下によりゴム浸透性の悪化を招く。 【0023】本発明において、スチールコード8のスチール素線9,10は、上述したようにスパイラル状に型付けするのが、スチール素線相互の食い込み量を高めてよりバラケ難くすることができるので好ましいが、波状などに型付けしてもよく、所定のピッチで型付けしたものであればよい。 【0024】第1スチール素線9の本数Nとしては、2〜6本にすることができる。本数Nが1本であると、素線同士の接点が無くなる為にコードの衝撃減衰特性が低下し、操縦安定性能・乗心地性能が低下する。逆に6本を超えると、コード内部へのゴム浸透性が低下する。 【0025】上述したスチールコード8は、スチール素線9,10相互の食込みを確実にし、また各スチールコード8のコード径を均一に揃えるため、第2スチール素線10を巻き付けた後、圧延加工を施すことにより断面偏平状にした偏平コードにするのが好ましい。 【0026】本発明は、特に乗用車用の空気入りラジアルタイヤに好適に用いることができるが、当然のことながらそれに限定されない。 【0027】 【実施例】タイヤサイズを195/60R14で共通にし、ベルト層のスチールコードの構造を表1のようにした本発明コード1,2とそれを使用した図1に示す構成の本発明タイヤ1,2(実施例1,2)、比較コード1〜8と比較タイヤ1〜8(比較例1〜8)、ベルト層のスチールコードを撚り構造にし、その撚りピッチを60mmと長くした、所謂ロングピッチの従来コード1とそれを使用した従来タイヤ1(従来例1)、及び型付けしていないスチール素線を引き揃えて構成した無撚りの従来コード2とそれを使用した従来タイヤ2(従来例2)とをそれぞれ作製した。 【0028】なお、各試験タイヤにおけるベルト層のスチールコ−ドの総重量は同一である。また、比較タイヤ1は第1,第2スチール素線の直径d1,d2 を本発明の範囲より小さく(0.15mm未満)したもの、比較タイヤ2は直径d1,d2 を本発明の範囲より大きく(0.40mm超)したもの、比較タイヤ3は第1,第2スチール素線の型付け幅h1,h2 を本発明の範囲より小さく(1.2d1 未満及び1.2d2 未満)したもの、比較タイヤ4は型付け幅h1,h2 を本発明の範囲より大きく(5.0d1 超及び5.0d2 超)したもの、比較タイヤ5は第1,第2スチール素線の型付けピッチλ1,λ2 を本発明の範囲より小さく(3.0mm未満)したもの、比較タイヤ6は型付けピッチλ1,λ2 を本発明の範囲より大きく(20.0mm超)したもの、比較タイヤ7は第2スチール素線の巻付けピッチPを本発明の範囲より小さく(40mm未満)したもの、比較タイヤ8は巻付けピッチPを本発明の範囲より大きく(100mm超)したものである。 【0029】これら各試験タイヤを以下に示す試験方法により、耐水高速耐久性と操縦安定性の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。 【0030】また、各試験コードを以下に示す試験方法により、ゴム被覆時の作業性の代替試験としてコードのバラケ性の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。 耐水高速耐久性各試験タイヤを温度70℃、湿度95%の雰囲気中で3か月間放置して耐水劣化させた後、リムサイズ14×6JJのリムに装着し、空気圧を230kPaにしてドラム試験機に取り付け、荷重5kNの条件下で直径1707mmの回転ドラム上を初速121km/hで走行させ、30分毎に速度を8km/hずつ増加させてタイヤが故障するまでの走行距離を測定し、その結果を従来例1を100とする指数で評価した。この値が大きいほど耐水高速耐久性が優れている。 操縦安定性各試験タイヤをリムサイズ14×6JJのリムに装着し、空気圧を230kPaにして排気量1.8リットルの前輪駆動の乗用車に取り付け、テストコースにおいて、訓練された5名のテストドライバーによるフィーリングテストを実施し、その結果を各テストドライバーによる10段階で評価し、その平均値(小数点第1位を四捨五入)で示した。この値が大きいほど操縦安定性が優れている。 コードのバラケ性各試験コードの端末部をペンチで切断した際のコードのバラケ状態を、下記に示す4段階の判断基準で評価した。 【0031】1:各試験コード端末部の切り口を手で持ってペンチで切断し、これを3回繰り返して、1回以上バラケる状態。 2:1と同様にペンチで切断し、これを3回繰り返して、3回ともバラケない状態。 3:各試験コード端末部の切り口から50mm離れたところを手で持ち、ペンチで切断し、その状態で切り口にバラケがないが、軽く叩くとバラケる状態。 4:3と同様にペンチで切断し、軽く叩いてもバラケない状態。この数値が大きいほどバラケ難く、従って、ゴム被覆時の作業性が優れている。 【0032】 【表1】
表1から、本発明タイヤは、従来タイヤと同レベルの操縦安定性を確保しながら、耐水高速耐久性とゴム被覆時の作業性を改善できることがわかる。 【0033】 【発明の効果】上述したように本発明は、スチールコードを型付けして引き揃えた複数の第1スチール素線と、その外周側に型付けして螺旋状に巻き付けた第2スチール素線とから構成し、第1,2スチール素線の直径、型付け幅、型付けピッチ、及び第2スチール素線の巻付けピッチを上記のように規定することにより、転がり抵抗低減、タイヤ運動性能向上、低価格化といったニーズに対応しつつ、耐水高速耐久性とゴム被覆時の作業性を改善することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006714 【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社 【住所又は居所】東京都港区新橋5丁目36番11号
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| 【出願日】 |
平成14年5月15日(2002.5.15) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100066865 【弁理士】 【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−326914(P2003−326914A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月19日(2003.11.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−139384(P2002−139384) |
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