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【発明の名称】 空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】濱田 泰広
【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内

【要約】 【課題】ベルト耐久性に優れる空気入りタイヤを提供する。

【解決手段】対をなすビードコア3間でトロイド状に延びるカーカス4のクラウン部5の外周側に、平行配列したスチールコードをゴム被覆した少なくとも1層以上のコード層7a,7bからなる主ベルト8と、コードをタイヤ赤道面5に対し略平行にらせん巻回して形成してなる補助ベルト9と、これら主ベルト8及び補助ベルト9によって補強されたトレッド部12とを順次具え、主ベルト8と補助ベルト9の間に、酸化性物質が透過しにくい性質を有する特定ゴム層13を配設することを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 対をなすビードコア間でトロイド状に延びるカーカスのクラウン部の外周側に、平行配列したスチールコードをゴム被覆した少なくとも1層以上のコード層からなる主ベルトと、コードをタイヤ赤道面に対し略平行にらせん巻回して形成してなる補助ベルトと、これら主ベルト及び補助ベルトによって補強されたトレッド部とを順次具える空気入りタイヤにおいて、主ベルトと補助ベルトの間に、酸化性物質が透過しにくい性質を有する特定ゴム層を配設することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】 特定ゴム層は、それを構成するゴム成分として、ブチル系ゴムを含有する請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】 特定ゴム層は、それを構成するゴム100質量部に占めるブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムの成分比が、50質量部以上である請求項2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】 特定ゴム層の幅は、主ベルトの最大幅よりも広い請求項1、2又は3記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】 補助ベルトの幅は、特定ゴム層の幅よりも広い請求項1〜4のいずれか1項記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】 特定ゴム層の厚みは、0.5〜4.0mmの範囲である請求項1〜5のいずれか1項記載の空気入りタイヤ。
【請求項7】 補助ベルトのコードは、有機繊維コードである請求項1〜6のいずれか1項記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ベルト耐久性に優れた空気入りタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】空気入りタイヤ100、例えば乗用車用空気入りラジアルタイヤは、図4に示すように、カーカス101のクラウン部102の外周側に、平行配列したスチールコードをゴム被覆層した2層以上のコード層103a,103bを、コードが互いに交差するように積層して形成した主ベルト104と、有機繊維コードをタイヤ赤道面105に対し略平行にらせん巻回して形成した、主ベルト104と同幅の広幅コード層106及びこの両端位置に配設した狭幅コード層107からなる、いわゆるキャップアンドレイヤー構造を有する補助ベルト108と、これら主ベルト104及び補助ベルト108によって補強されたトレッド部109とを具えるのが一般的である。
【0003】かかるタイヤは、凹凸の少ない舗装路面を走行するだけではなく、小石や釘等の突起物が散在した非舗装路面を走行する場合が想定される。このような場合、タイヤは、走行時に前記突起物の踏みしめ等の理由によって、トレッド部踏面109a側からタイヤがカット傷等の外傷を受けることがあり、この外傷が主ベルトにまで達すると、主ベルト104を構成するスチールコードが破断したり、外傷から水分や酸素などの酸化性物質が浸入してスチールコードを腐食させたりしてベルト故障が生じるため、外傷が主ベルト104に到達しないようにすることが望ましい。
【0004】上記タイヤ100では、トレッド部109と主ベルト104との間に配設した補助ベルト108が、トレッド部踏面109a側から受けたタイヤの外傷が主ベルト104に到達するのを防止することができる。
【0005】しかしながら、発明者が上記構成を有するタイヤについて、ベルトの耐久性を更に向上させるための検討を行ったところ、以下の知見を得た。
【0006】すなわち、補助ベルト108の配設によって、トレッド部踏面109a側から受けたタイヤの外傷が主ベルト104に到達するのを有効に防止できるが、補助ベルト108が受けた外傷から、酸化性物質が浸入していき、その酸化性物質がさらに補助ベルト108と主ベルト104のゴム部分を通じて徐々に主ベルト104の内部に浸入して、最終的には、酸化性物質が、主ベルト104を構成するスチールコードと接触してスチールコードを腐食させ、このコードの腐食(錆び)の発生によってベルト故障が生じる場合があり、よって、補助ベルト108を配設しても、トレッド部踏面109a側からタイヤが受けた外傷によるベルト故障を完全に防止することができないことがわかった。尚、ここでいう「酸化性物質」とは、具体的には水、酸素、オゾン等のスチールコードを酸化もしくは酸化を促進させて腐食させる可能性のある全ての酸化性物質を意味する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、ベルト構造の適正化を図ることにより、ベルト耐久性に優れた空気入りタイヤを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、この発明は、対をなすビードコア間でトロイド状に延びるカーカスのクラウン部の外周側に、平行配列したスチールコードをゴム被覆した少なくとも1層以上のコード層からなる主ベルトと、コードをタイヤ赤道面に対し略平行にらせん巻回して形成してなる補助ベルトと、これら主ベルト及び補助ベルトによって補強されたトレッド部とを順次具える空気入りタイヤにおいて、主ベルトと補助ベルトの間に、酸化性物質が透過しにくい性質を有する特定ゴム層を配設することを特徴とする空気入りタイヤである。
【0009】また、特定ゴム層は、それを構成するゴム成分としてブチル系ゴムを含有すること、特定ゴム層は、それを構成するゴム100質量部に占めるブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムの成分比が50質量部以上であること、特定ゴム層の幅は主ベルトの最大幅よりも広いこと、補助ベルトの幅は特定ゴム層の幅よりも広いこと、特定ゴム層の厚みは0.5〜4.0mmの範囲であること、及び/又は、補助ベルトのコードは、有機繊維コードであることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、この発明に従う空気入りラジアルタイヤの幅方向左半断面(右半断面は、タイヤ赤道面を挟んで左半断面と対称に形成してあるので、図示を省略する。)を示したものであり、タイヤの図2は、図1のタイヤのベルト構造を拡大し全幅にわたって示したものである。
【0011】図1に示す空気入りラジアルタイヤ1は、対をなすビード部2にそれぞれ埋設されたビードコア3間でトロイド状に延びるラジアルカーカス4(具体的には、タイヤ赤道面5に対し70〜90°の角度でコードを配列したカーカスを意味する。)のクラウン部6の外周側に、平行配列したスチールコードをゴム被覆した少なくとも1層以上のコード層7、図1では、スチールコードが互いに交差するように積層して形成した2層のコード層7a,7bからなる主ベルト8と、コード、好適にはナイロンコード、ポリエチレンナフタレート(PEN)コードなどの有機繊維コードをタイヤ赤道面5に対し略平行にらせん巻回して形成した補助ベルト9と、これら主ベルト8及び補助ベルト9によって補強されたトレッド部12とを具えている。
【0012】尚、図1では、補助ベルト9が、主ベルト8と同幅の1枚の広幅コード層10と、広幅コード層10の両端位置に各1枚配設した狭幅コード層11からなる、いわゆるキャップアンドレイヤー構造を有する場合を示してあるが、この構成には限定されず、種々の態様が考えられる。
【0013】さらに、このタイヤは、図示は省略したが、トレッド部には、タイヤ周方向に沿って延びる複数本の周方向溝、及び/又は、該周方向溝を横断する方向に延びる複数本の横断溝等のトレッド溝や、複数本のサイプなどが用途に応じて適宜配設されている。
【0014】そして、この発明の構成上の主な特徴は、ベルト構造の適正化にあり、具体的には、主ベルト8と補助ベルト9の間に、酸化性物質が透過しにくい性質を有する特定ゴム層13を配設することにあり、この構成を採用することによって、ベルト耐久性を向上させることができる。
【0015】一般に、タイヤ1の主ベルト8及び補助ベルト9を構成するゴムとしては、水や酸素等の酸化性物質の透過については考慮されてなく、酸化性物質が透過が可能な性質を有するゴムが用いられていた。
【0016】このため、トレッド部踏面12a側からタイヤがカット傷等の外傷を受け、その外傷が補助ベルト9のゴム部分にまで達すると、酸化性物質が、該ゴム部分を徐々に透過して主ベルト8のゴム部分に到達し、主ベルト8のゴム部分も酸化性物質が徐々に透過して、最終的には、酸化性物質が、主ベルト8を構成するスチールコードと接触してスチールコード表面が酸化することで、ゴム−スチールコード間の接着が低下し、ベルト故障が生じる場合があった。
【0017】これに対し、この発明の空気入りタイヤは、主ベルト8と補助ベルト9の間に、酸化性物質が透過しにくい性質を有する特定ゴム層13を配設することによって、トレッド部踏面12a側からタイヤが受けた外傷から浸入した酸化性物質が、補助ベルト9のゴム部分を透過したとしても、主ベルト8のゴム部分に達するのを有効に防止することができ、これによって、主ベルト8を構成するスチールコードの腐食によるベルト故障の発生が抑制される結果、ベルト耐久性が向上する。
【0018】尚、特定ゴム層13の酸化性物質が透過しにくい性質とは、具体的には、30℃におけるガス透過係数が300×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下であることが好ましく、より好ましくは20×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下、さらに好ましくは2×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下とする。これは、空気入りタイヤのインナーライナーとして、通常、ガス透過係数が300×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)以下であるゴムを用いた場合に、十分な内圧保持機能を有している実績を鑑み、酸素等のガスの透過を防止できれば、それよりも分子サイズの大きな水分等の液体の透過も防止できると考えられるからである。
【0019】また、特定ゴム層13の幅W1は、図2に示すように、主ベルト8の最大幅W2よりも広いことが、トレッド部踏面12a側から受けたタイヤの外傷を通じて酸化性物質が主ベルト8のゴム部分にまで達するのを防止する上で好ましい。
【0020】さらに、補助ベルト9(図2では広幅コード層10)の幅W3は、特定ゴム層13の幅W1よりも広いことが、トレッド部踏面12a側から受けたタイヤの外傷が、特定ゴム層13に達するのを防止するとともに、特定ゴム層13と主ベルト8間のセパレーションを抑制する点で好ましい。
【0021】さらにまた、特定ゴム層13の厚みtは、0.5〜4.0mmの範囲であることが、酸化性物質の透過を防止する点でより好適である。
【0022】加えて、特定ゴム層13を構成するゴム成分として、ブチル系ゴムを含有することが好ましく、特定ゴム層を構成するゴム100質量部に占めるブチルゴム及び/又はハロゲン化ブチルゴムの成分比は、50質量部以上であることがより好適である。
【0023】上述したところは、この発明の実施形態の一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更を加えることができる。
【0024】
【実施例】次に、この発明に従う空気入りタイヤを試作し、ベルト耐久性の評価を行ったので、以下で説明する。本発明タイヤは、図1に示す幅方向半断面を有し、タイヤサイズが195/60R15である乗用車用空気入りラジアルタイヤであり、主ベルトと補助ベルトの間に特定ゴム層を配設し、特定ゴム層のゴム成分は、ブチルゴム100質量部であり、ガス透過係数が5×10−12(cc・cm/cm・s・cmHg)、ゴム厚みtが2mm、幅W1が150mmであり、主ベルトの最大幅W2が145mmであり、補助ベルトを構成する広幅コード層の幅W3を155mmとした。ベルト構造以外のタイヤ構造については、一般的な乗用車用空気入りラジアルタイヤと同様の構成にした。比較のため、特定ゴム層を、主ベルトと補助ベルトの間に配設する代わりに、図2に示すように補助ベルトの外周上に配設した比較タイヤ(図3)、及び、特定ゴム層を配設しない従来タイヤ(図4)についても併せて試作した。
【0025】上記各供試タイヤについて、15×6JJのリムに組み付けたタイヤ車輪を乗用車に装着し、かかる車両を平均速度60km/hで未舗装路面を8万km走行させた後、タイヤ(n=16本)を解体して、主ベルトのスチールコード表面に錆びが生じているか否かを調べ、この錆び発生率からベルトのスチールコード耐酸化性を評価した。表1に評価結果を示す。
【0026】
【表1】

【0027】表1に示す結果から、従来タイヤ及び比較タイヤはいずれも、主ベルトのスチールコード表面に錆びが生じる場合があったが、本発明タイヤは主ベルトのスチールコード表面に錆びが全く発生していない。
【0028】
【発明の効果】この発明によれば、ベルト構造の適正化を図ることにより、ベルト耐久性に優れた空気入りタイヤの提供が可能になった。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
【出願日】 平成14年2月13日(2002.2.13)
【代理人】 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作
【公開番号】 特開2003−237311(P2003−237311A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−35022(P2002−35022)