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【発明の名称】 ラジアルタイヤ
【発明者】 【氏名】金澤 謙一
【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内

【要約】 【課題】ショルダー片落ちおよび偏摩耗を防止するとともに、走行によるトレッドの摩耗中後期におけるウエット性能の低下の抑制を図ったラジアルタイヤを提供する。

【解決手段】トレッド部の踏面部に、タイヤ周方向に延びる複数の周方向主溝と、周方向主溝に挟まれた複数のリブとを備え、複数のリブのうちショルダーリブにはラグ溝が存在せず、かつショルダー片落ち防止用周方向サイプ5を有するラジアルタイヤである。ショルダー片落ち防止用周方向サイプ5の溝幅が走行による摩耗により徐々に広くなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 環状に形成されたトレッド部と、該トレッド部の両端からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とを具備し、前記トレッド部の踏面部に、タイヤ周方向に延びる複数の周方向主溝と、該周方向主溝に挟まれた複数のリブとを備え、該複数のリブのうちショルダーリブにはラグ溝が存在せず、かつショルダー片落ち防止用周方向サイプを有するラジアルタイヤにおいて、前記ショルダー片落ち防止用周方向サイプの溝幅が走行による摩耗により徐々に広くなることを特徴とするラジアルタイヤ。
【請求項2】 前記ショルダー片落ち防止用周方向サイプの摩耗前のトレッド表面での幅(t1)が0.7〜2.0mmである請求項1記載のラジアルタイヤ。
【請求項3】 前記ショルダー片落ち防止用周方向サイプのタイヤ幅方向断面形状がフラスコ状である請求項1または2記載のラジアルタイヤ。
【請求項4】 前記フラスコ状のタイヤ幅方向断面の最大幅部分(t2)が前記幅(t1)の1.5〜2倍である請求項3記載のラジアルタイヤ。
【請求項5】 前記ショルダー片落ち防止用周方向サイプに適宜間隔で、走行による摩耗により該サイプに対し垂直方向に出現するパドル状サイプが設けられている請求項1〜4のうちいずれか一項記載のラジアルタイヤ。
【請求項6】 前記パドル状サイプの、タイヤ幅方向最大長さ(X)が前記幅(t1)の3〜4倍である請求項5記載のラジアルタイヤ。
【請求項7】 前記パドル状サイプが1ピッチ当り3〜5箇所存在する請求項5または6記載のラジアルタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ショルダー片落ちおよび偏摩耗を防止するとともに、走行によるトレッドの摩耗中後期における湿潤路面に対する排水性能、制動性能、耐ハイドロプレーニング性等(以下「ウエット性能」と総称する)の低下の抑制を図ったラジアルタイヤ、特には小型トラック用ラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、トレッド部の踏面部に、タイヤ周方向に延びる複数の周方向主溝と、この主溝に挟まれた複数のリブとを備えたラジアルタイヤにおいては、複数のリブのうちショルダーリブにはラグ溝を設けないようにすることにより偏摩耗の発生を防止することができることが知られている。すなわち、かかるラグ溝を設けると、その前後で段差を生じ、所謂ヒールアンドトウ摩耗を生じることが知られている。その一方で、ショルダーリブには、ショルダー片落ちを防止するために、一般にショルダー片落ち防止用周方向サイプが設けられていた(図1参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記偏摩耗を防止すべくショルダーリブにラグ溝を設けなかった従来のラジアルタイヤにおいては、走行による摩耗によりウエット性能が大幅に低下することが分かった。かかるウエット性能の低下を抑制することと偏摩耗発生の防止を図ることとは二律背反的事項であり、これまで両者ど同時に満足できる解決策は存在し得なかった。
【0004】そこで本発明の目的は、ショルダー片落ちおよび偏摩耗を防止するとともに、走行によるトレッドの摩耗中後期におけるウエット性能の低下の抑制を図ったラジアルタイヤを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決すべく、ラジアルタイヤのショルダー片落ち防止用周方向サイプの形状等につき鋭意検討した結果、以下の構成とすることにより前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
【0006】(1)環状に形成されたトレッド部と、該トレッド部の両端からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とを具備し、前記トレッド部の踏面部に、タイヤ周方向に延びる複数の周方向主溝と、該周方向主溝に挟まれた複数のリブとを備え、該複数のリブのうちショルダーリブにはラグ溝が存在せず、かつショルダー片落ち防止用周方向サイプを有するラジアルタイヤにおいて、前記ショルダー片落ち防止用周方向サイプの溝幅が走行による摩耗により徐々に広くなることを特徴とするラジアルタイヤである。
【0007】(2)前記(1)のラジアルタイヤにおいて、前記ショルダー片落ち防止用周方向サイプの摩耗前のトレッド表面での幅(t1)が0.7〜2.0mmであるラジアルタイヤである。
【0008】(3)前記(1)または(2)のラジアルタイヤにおいて、前記ショルダー片落ち防止用周方向サイプのタイヤ幅方向断面形状がフラスコ状であるラジアルタイヤである。
【0009】(4)前記(3)のラジアルタイヤにおいて、前記フラスコ状のタイヤ幅方向断面の最大幅部分(t2)が前記幅(t1)の1.5〜2倍であるラジアルタイヤである。
【0010】(5)前記(1)〜(4)のいずれかのラジアルタイヤにおいて、前記ショルダー片落ち防止用周方向サイプに適宜間隔で、走行による摩耗により該サイプに対し垂直方向に出現するパドル状サイプが設けられているラジアルタイヤである。
【0011】(6)前記(5)のラジアルタイヤにおいて、前記パドル状サイプの、タイヤ幅方向最大長さ(X)が前記幅(t1)の3〜4倍であるラジアルタイヤである。
【0012】(7)前記(5)または(6)のラジアルタイヤにおいて、前記パドル状サイプが1ピッチ当り3〜5箇所存在するラジアルタイヤである。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、小型トラック用空気入りラジアルタイヤのトレッドの周辺を拡大して示す線図的右半断面図である。図示する片側のトレッド1の踏面部には、排水性確保に寄与する周方向主溝2a、2bと、これら周方向主溝2a、2bによって画成された中央リブ3a、3bと、ショルダーリブ4が形成されている。本発明においては、このショルダーリブ4にはラグ溝は存在しておらず、かつ、このショルダーリブ4にはショルダー片落ち防止用周方向サイプ5が設けられている。なお、図中、6は2層のベルト層からなるベルトであり、7はカーカスプライである。
【0014】本発明においては、このショルダー片落ち防止用周方向サイプ5を利用して本発明の目的を達成し得るものであり、そのタイヤ幅方向の断面形状を図2に示す。本発明の好適例として図2中の(イ)に示すショルダー片落ち防止用周方向サイプ5のタイヤ幅方向断面形状はフラスコ状である。かかるフラスコ状とすることにより、走行によるトレッドの摩耗によりサイプ幅が徐々に広くなり、排水性が向上しウエット性能の低下を抑制することができる。
【0015】本発明の他の好適例として図2中の(ロ)に示すショルダー片落ち防止用周方向サイプ5のタイヤ幅方向断面形状は、前記(イ)と同様にフラスコ状であるが、周方向に適宜間隔で、走行による摩耗によりサイプ5に対し垂直方向に出現するパドル状サイプ8が形成されている。
【0016】なお、参考のために、従来のショルダー片落ち防止用周方向サイプ15のタイヤ幅方向断面形状を(ハ)に示す。
【0017】図2の(イ)〜(ハ)に示すショルダー片落ち防止用周方向サイプ5および15は、走行による摩耗により、図2に対応する図3の(イ)〜(ハ)に示すようにトレッド表面に出現することになる。すなわち、図3の(イ)に示すショルダー片落ち防止用周方向サイプ5は、(ハ)に示すショルダー片落ち防止用周方向サイプ15よりも幅が広くなっている。また、(ロ)に示すショルダー片落ち防止用周方向サイプ5は、(イ)に示すように幅が広くなるとともに、適宜間隔で、サイプ5に対し垂直方向にパドル状サイプ8が出現し、エッジ成分として作用することになる。すなわち、本発明に係るショルダー片落ち防止用周方向サイプ5は、ショルダーの片落ちを防止し、同時にショルダーリブに対するラグ溝の配置で問題となる偏摩耗を防ぎつつ、摩耗により徐々にサイプ5が広がり、特にはエッジ成分としてのサイプ8の出現によりウエット性能の低下を良好に防止することができる。
【0018】図2および図3の(ロ)に示すショルダー片落ち防止用周方向サイプ5とパドル状サイプ8とをショルダーリブに形成せしめるには、タイヤ製造時に図4に示すサイプブレード10を使用する。このサイプブレード10は断面がフラスコ状であり、1枚のサイプブレード10にこれと垂直方向に3〜5枚のパドル形状板11が配置されている。1個のサイプブレード10はタイヤ1ピッチ当り1枚使用し、1ピッチは20〜50mm程度である。ブロックの剛性を考慮した場合、上述のように3〜5枚が適当である。
【0019】また、製造において、かかるサイプブレード10のタイヤ抜けを考慮した場合、サイプブレード10の上端の幅(t1)は0.7〜2.0mmであり、フラスコ状の断面の最大幅部分(t2)は前記幅(t1)の1.5〜2倍であり、さらにパドル形状板11の、タイヤ幅方向最大長さ(X)は前記幅(t1)の3〜4倍であることが好ましい。
【0020】本発明のタイヤにおいては、トレッド踏面部のショルダー領域の構造以外の構造および材料は、ラジアルタイヤにおける技術分野の慣用に従い適宜定めることができ、特に制限されるべきものではない。本発明は、特に、小型トラック用ラジアルタイヤに好適である。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
実施例図4に示すタイプのサイプブレード10(t1:1.0mm.t2:2.0mm,X:4.0mm,1ピッチ当り4枚のパドル形状板)を用いてショルダー片落ち防止用周方向サイプ5を形成せしめ、ショルダーリブにラグ溝の存在しないサイズ195/85R16のタイヤ(実施例)と、かかるショルダー片落ち防止用周方向サイプを形成せしめなかった以外は同様にして製造したタイヤ(比較例)とを夫々製造した。これらタイヤを夫々2トン車に装着して空気圧600kPa、積荷半積の下、鉄板上でウエットブレーキ性能の評価を行った。
【0022】評価は、ともに新品時のウエットブレーキ性能を100としたときの主溝50%摩耗時の同性能を評価した。この結果、主溝50%摩耗時のウエットブレーキ性能は、実施例が95であったのに対し、比較例では70と、大幅に低下していた。
【0023】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のラジアルタイヤにおいては、ショルダー片落ちおよび偏摩耗を防止するとともに、走行によるトレッドの摩耗中後期におけるウエット性能の低下の抑制を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
【出願日】 平成14年1月21日(2002.1.21)
【代理人】 【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
【公開番号】 特開2003−211922(P2003−211922A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−11750(P2002−11750)