| 【発明の名称】 |
空気入りタイヤ |
| 【発明者】 |
【氏名】瀬田 英介 【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内
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| 【要約】 |
【課題】パターンステアを実質的に低減させ操縦安定性を向上させることができる空気入りタイヤを得る。
【解決手段】中間ブロック16の中心点Oを通る幅方向延在軸m及び周方向延在軸nによって区分けされるブロック踏面の各領域I、II、III、IVにブロック踏面の高さを漸増させる隆起部26を設け、各領域のブロック踏面の高さを中心部Oを中心として一定の回転方向に向かって増加させたため、中間ブロック16が路面に接地するとブロック踏面の接地圧の差により一定方向(図7中矢印Y方向)に回転(変形)が生じる。この中間ブロック16の回転方向をパターンステアTによる中間ブロック16の回転方向と逆方向になるように設定することにより、パターンステアTによる中間ブロック16の回転変形を抑えることができ、パターンステアTを低減できるため、操縦安定性を向上できる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 タイヤ周方向又はタイヤ周方向に対して傾斜して延びる周方向溝と、タイヤ幅方向又はタイヤ幅方向に対して傾斜し前記周方向溝に対して交差する横溝とによって区画されたブロックをトレッドに複数有する空気入りタイヤであって、前記ブロックの中心点を通る複数の軸によって区分けされるブロック踏面の各領域に、前記各領域のブロック踏面の高さを漸増又は漸減させる隆起部又は陥没部を設け、前記各領域のブロック踏面の高さを前記中心点を中心として一定の回転方向に向かって高くさせたことを特徴とする空気入りタイヤ。 【請求項2】 前記各領域のブロック踏面の形状は、前記中心点に関して点対称であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。 【請求項3】 前記ブロックの中心点を通る複数の軸によって前記ブロック踏面がN個の領域に区分けされ、各領域のブロック踏面の形状は、1つの領域のブロック踏面を前記中心点を中心として360/N度ずつ360度回転させて得た形状と同一であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。 【請求項4】 前記ブロック踏面の高さの高低変化幅は、0.1mm以上2.5mm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。 【請求項5】 前記ブロック踏面の高さの高低変化幅は、0.3mm以上1.0mm以下であることを特徴とする請求項4に記載の空気入りタイヤ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、トレッドにブロックを備えた空気入りタイヤに係り、特に操縦安定性に優れた空気入りタイヤに関する。 【0002】 【従来の技術】従来、空気入りタイヤにおいては、図13に示すように、ブロック100の高さは一定になっているのが通常であった。 【0003】ところで、一般にブロック剛性の大きさには入力方向依存性があるため、このような高さが一定とされたブロック100が路面に接地して前後力を負荷されると、図14に示すような回転力Tが発生する。 【0004】すなわち、図14に示すように、ブロック100(2点鎖線で図示)の軸線gがタイヤ周方向に対して傾斜しブロック100の踏込端100F側がタイヤ幅方向内側に位置し蹴出端100K側がタイヤ幅方向外側に位置している場合、このブロック100の接地の際に、ブロック100には路面からタイヤ周方向(回転方向と反対方向)に向かう力Fが作用する。 【0005】この力Fがブロック100(2点鎖線で図示)に作用すると、ブロック100全体がタイヤの反回転方向(図14中矢印X方向)に変形すると共に、ブロック100の軸線gが力Fの作用方向と一致していないため、ブロック100にはブロック100の蹴出端100K側がタイヤ幅方向内側に向かうような回転モーメントTが作用する。この回転モーメントTの作用により、ブロック100の根本側部分(タイヤ側部分)が固定されブロック100の踏面側部分が回転変形しようとする(図14中実線で図示)。 【0006】上記回転力Tは、操縦安定性に悪影響を及ぼし、特に微小蛇角領域での操縦安定性を悪化させるため、これを低減させることが操縦安定性改良上での課題であった。 【0007】これに対し、従来の検討では、上記回転力Tの低減のためにブロック形状の改良が行われてきたが、排水性の面やその他諸機能とのバランスから、ブロック剛性の入力依存性を低減させるには限界があるのが現状である。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上記事実を考慮し、トレッドに存在するブロックのブロック高さを適正化することにより、上記回転力を実質的に低減させ操縦安定性を向上させることができる空気入りタイヤを提供することを課題とする。 【0009】 【課題を解決するための手段】請求項1に記載の空気入りタイヤでは、タイヤ周方向又はタイヤ周方向に対して傾斜して延びる周方向溝と、タイヤ幅方向又はタイヤ幅方向に対して傾斜し前記周方向溝に対して交差する横溝とによって区画されたブロックをトレッドに複数有する空気入りタイヤであって、前記ブロックの中心点を通る複数の軸によって区分けされるブロック踏面の各領域に、前記各領域のブロック踏面の高さを漸増又は漸減させる隆起部又は陥没部を設け、前記各領域のブロック踏面の高さを前記中心点を中心として一定の回転方向に向かって高くさせたことを特徴とする。 【0010】次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。 【0011】高さが一定であるブロックが路面に接地して前後入力を受けた場合、一般にブロック剛性の大きさには入力方向依存性があるため、回転力が発生する。この回転力は、ブロック剛性の主軸(ブロック剛性の最も高い方向)と入力方向がずれることによって発生するブロックに作用する回転モーメントのことである。この回転力により入力方向から外れた部分であるブロックがブロック剛性の弱い方向(回転モーメントの作用方向)に倒れ込み、ブロック踏面は路面に対して回転する。この回転によりブロックの回転変形が生じ、この回転変形が生ずることにより操縦安定性が悪化する問題がある。 【0012】そこで、本発明では、ブロックの中心点を通る複数の軸によって区分けされるブロック踏面の各領域にブロック踏面の高さを漸増又は漸減させる隆起部又は陥没部を設け、各領域のブロック踏面の高さを中心点を中心として一定の回転方向に向かって高くさせたため、ブロックが路面に接地すると、一定方向に回転が生じる。 【0013】すなわち、各領域において、ブロック踏面の高さが高い部分の路面からの接地圧が高く、ブロック踏面の高さが低い部分の路面からの接地圧が低いため、ブロック踏面は接地圧の低い方から高い方に向かって移動しようとする。そして、各領域のブロック踏面の移動方向が1つの円を描くように連続することにより、ブロック全体として一定方向に回転する。 【0014】以上説明したように、各領域のブロック踏面の高さを中心点を中心として一定の回転方向に向かって高くさせることにより、ブロック踏面はブロックの中心点を中心として一定方向に回転しようとする。 【0015】このため、この接地圧の差によるブロックの回転方向を前記回転力による回転方向と逆方向になるように設定することにより、実質的に回転力によるブロックの回転変形を抑えることができ、結果として回転力を低減することができる。この結果、操縦安定性、特に微小蛇角域での操縦安定性を向上させることができる。 【0016】請求項2に記載の空気入りタイヤでは、前記各領域のブロック踏面の形状は、前記中心点に関して点対称であることを特徴とする。 【0017】次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。 【0018】ブロック踏面の各領域が2つ又は4つの場合、各領域のブロック踏面の形状は、中心点に関して点対称であることが好ましい。 【0019】各領域のブロック踏面の形状を中心点に関して点対称とすることにより、ブロック踏面の高さが変化したことによる接地時のブロックの回転が生じやすくなる。 【0020】すなわち、各領域のブロック踏面の傾斜角度ないし高低変化幅が同一となり、各領域のブロック踏面に作用する路面からの接地圧の高低差が同一となる。このため、ブロック踏面の高さが変化したことによるブロックの回転力が大きくなる。この結果、ブロックの回転(変形)が生じ易くなる。 【0021】以上のように、各領域のブロック踏面の形状を中心点に関して点対称とすることにより、回転力によるブロックの回転変形を効果的に抑制することができる。このため、ブロックに作用する回転力をより効果的に低減することができ、操縦安定性、特に微小蛇角域での操縦安定性を大幅に向上させることができる。 【0022】請求項3に記載の空気入りタイヤでは、前記ブロックの中心点を通る複数の軸によって前記ブロック踏面がN個の領域に区分けされ、各領域のブロック踏面の形状は、1つの領域のブロック踏面を前記中心点を中心として360/N度ずつ360度回転させて得た形状と同一であることを特徴とする。 【0023】次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。 【0024】各領域のブロック踏面の形状は、1つの領域のブロック踏面を中心点を中心として360/N度ずつ360度回転させて得た形状と同一であるため、ブロック踏面の高さが変化したことによる接地時のブロックの回転が生じやすくなる。 【0025】すなわち、各領域のブロック踏面の傾斜角度ないし高低変化幅が同一となり、各領域のブロック踏面に作用する路面からの接地圧の高低差が同一となる。このため、ブロック踏面の高さが変化したことによるブロックの回転力が大きくなる。この結果、ブロックの回転(変形)が生じ易くなる。 【0026】以上のように、各領域のブロック踏面の形状を、1つの領域のブロック踏面を中心点を中心として360/N度ずつ360度回転させて得た形状と同一としたため、回転力によるブロックの回転変形を効果的に抑制することができる。このため、ブロックに作用する回転力をより効果的に低減することができ、操縦安定性、特に微小蛇角域での操縦安定性を大幅に向上させることができる。 【0027】請求項4に記載の空気入りタイヤでは、前記ブロック踏面の高さの高低変化幅は、0.1mm以上2.5mm以下であることを特徴とする。 【0028】次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。 【0029】タイヤが路面から受ける入力下では、ブロックの変形には限りがあるため、ブロック踏面の高さの高低変化幅が大きくなり過ぎると、各領域のブロック踏面で路面と接地しなくなる部分が生じる。すなわち、ブロック踏面の接地面積が減少する。ブロック踏面の接地面積が減少すると、接地圧のバランスが崩れ、ブロックの回転力が小さくなる。このため、回転力によるブロックの回転変形を効果的に抑制することができない。この結果、回転力を効果的に減少できず、操縦安定性が悪化する問題がある。 【0030】そこで、ブロック踏面の高さの高低変化幅の上限を2.5mmとしたので、ブロック踏面の極端な接地圧の減少を防止することができる。 【0031】一方、ブロック踏面の高さの高低変化幅が1.0mm未満になると、各領域においてブロック踏面の高さがほとんど変化しなくなり、路面と接地時におけるブロックの回転力が小さくなる。このため、回転力によるブロックの回転変形を効果的に抑制することができず、回転力を低減できない。 【0032】そこで、ブロック踏面の高さの高低変化幅の下限を0.1mmとしたので、路面との接地時におけるブロックの回転力が小さくなることを極力防止できる。 【0033】請求項5に記載の空気入りタイヤでは、前記ブロック踏面の高さの高低変化幅は、0.3mm以上1.0mm以下であることを特徴とする。 【0034】次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用効果について説明する。 【0035】ブロック踏面の高さの高低変化幅は、0.3mm以上1.0mm以下であることがさらに好ましい。このようにブロック踏面の高さの高低変化幅を、0.3mm以上1.0mm以下とすることにより、より効果的に回転力を低減でき、操縦安定性をより効果的に向上することができる。 【0036】 【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤについて説明する。 【0037】図1に示すように、空気入りタイヤ10のトレッド12には、タイヤ赤道線CL上をタイヤ周方向(図1中矢印A方向)に延びるセンター溝14が形成されている。 【0038】このセンター溝14のタイヤ幅方向外側には、タイヤ周方向に離間して配置された複数の中間ブロック16がそれぞれ形成されている。この中間ブロック16は、トレッド平面視において、長方形状となっている。 【0039】この中間ブロック16のタイヤ幅方向外側には、タイヤ周方向に延びる内側周方向溝18がそれぞれ形成されている。 【0040】内側周方向溝18のタイヤ幅方向外側には、タイヤ周方向に離間して配置された複数のショルダーブロック20がそれぞれ形成されている。このショルダーブロック20は、トレッド平面視において、長方形状となっている。 【0041】このショルダーブロック20のタイヤ幅方向外側には、タイヤ周方向に延びるショルダー周方向溝22がそれぞれ形成されている。 【0042】また、トレッド12には、タイヤ幅方向(図1中矢印B方向)に延び、センター溝14及び内側周方向溝18と交差する幅方向溝24が複数形成されている。 【0043】なお、この空気入りタイヤ10の内部構造は一般の空気入りタイヤの内部構造と何ら変わりないので、本明細書においてタイヤの内部構造の説明は省略する。 【0044】ここで、本発明の要部である各中間ブロック16及び各ショルダーブロック20の踏面形状について詳細に説明する。 【0045】なお、説明の便宜上、1つの中間ブロック16の踏面形状についてのみ以下に説明する。したがって、他の中間ブロック16及びショルダーブロック20の踏面も同様に形成されている。 【0046】図2及び図3に示すように、中間ブロック16の踏面は、タイヤ周方向に延びる各周方向端縁16A、16Bの周方向中心点M同士を結ぶ幅方向延在軸mと、タイヤ幅方向に延びる各幅方向端縁16C、16Dの幅方向中心点も同士を結ぶ周方向延在軸nと、により区分けされた4つの領域I、II、III、IVを有している。この幅方向延在軸mと周方向延在軸nとは、ブロック踏面の中心点O(図2では図示省略)で直交している。 【0047】領域Iのブロック踏面には連続的に変化した隆起部26が形成されており、ブロック踏面の高さが周方向端縁16B側かつ幅方向延在軸mに位置するに従って連続的に高くなるように形成されている。 【0048】なお、領域II、III、IVのブロック踏面にも同様に連続的に変化した隆起部26が形成されており、ブロック踏面の高さが連続的に変化している。 【0049】また、隆起部26ではなく、ブロック踏面に陥没部(図示省略)を形成して、ブロック踏面の高さに変化を持たせてもよい。 【0050】詳細には、図3及び図4(A)に示すように、領域Iの幅方向端縁16D側のブロック幅方向に延びるA1−A1’断面では、周方向延在軸n側から周方向端縁16B側に位置するに従ってブロック踏面の高さが一定の割合で高くなっている。 【0051】また、図3及び図4(B)に示すように、A1−A1’断面よりも幅方向延在軸m側に位置するブロック幅方向に延びるA2−A2’断面では、A1−A1’断面と同じく、周方向延在軸n側から周方向端縁16B側に位置するに従ってブロック踏面の高さが一定の割合で高くなっているが、A1−A1’断面におけるブロック踏面の高さと比較して、全体的に高くなっている。 【0052】また、図3及び図4(C)に示すように、領域Iのブロック踏面の中心を通るブロック幅方向に延びるA3−A3’断面では、周方向延在軸mから周方向端縁16B側に所定の距離だけ進んだ点Pまでのブロック踏面は、比較的傾斜角度が大きくなるように高さが一定の割合で高くなっており、点Pから周方向端縁16B側のブロック踏面は、比較的傾斜角度が小さくなるように高さが一定の割合で高くなっている。 【0053】また、図3及び図4(D)に示すように、A3−A3’断面より幅方向延在軸m側に位置し、ブロック幅方向に延びるA4−A4’断面では、A3−A3’断面と同様に、周方向延在軸nから周方向端縁16B側に所定の距離だけ進んだ点Qまでのブロック踏面は、比較的傾斜角度が大きくなるように高さが一定の割合で高くなっており、点Qから周方向端縁16B側のブロック踏面は、比較的傾斜角度が小さくなるように高さが一定の割合で高くなっている。 【0054】なお、A4−A4’断面におけるブロック踏面の高さは、A3−A3’断面におけるブロック踏面の高さと比較して、全体的に高くなっている。 【0055】また、図3及び図4(E)に示すように、幅方向延在軸m側のブロック幅方向に延びるA5−A5’断面では、ブロック踏面の高さに変化がない。 【0056】一方、図3及び図5(A)に示すように、領域Iの周方向延在軸n側のブロック周方向に延びるB1−B1’断面では、ブロック踏面の高さに変化がない。 【0057】また、図3及び図5(B)に示すように、B1−B1’断面よりも周方向端縁16B側に位置するブロック周方向に延びるB2−B2’断面では、幅方向端縁16Dから幅方向延在軸m側に所定の距離だけ進んだ点Rまでのブロック踏面は、比較的傾斜角度が小さくなるように高さが一定の割合で高くなっており、点Rから幅方向延在軸m側のブロック踏面は、比較的傾斜角度が大きくなるように下り傾斜している(高さが低くなっている)。 【0058】また、図3及び図5(C)に示すように、領域Iのブロック踏面の中心を通るブロック周方向に延びるB3−B3’断面では、幅方向端縁16Dから幅方向延在軸m側に所定の距離だけ進んだ点Sまでのブロック踏面は、比較的傾斜角度が小さくなるように高さが一定の割合で高くなっており、点Sから幅方向延在軸m側のブロック踏面は、比較的傾斜角度が大きくなるように下り傾斜している。 【0059】なお、B2−B2’断面におけるブロック踏面の高さと比較して、B3−B3’断面におけるブロック踏面の高さが全体的に高くなっている。 【0060】また、図3及び図5(D)に示すように、B3−B3’断面よりも周方向端縁16B側のB4−B4’断面では、幅方向端縁16Dから幅方向延在軸m側に所定の距離だけ進んだ点Tまでのブロック踏面は、比較的傾斜角度が小さくなるように高さが一定の割合で高くなっており、点Tから幅方向延在軸m側のブロック踏面は、比較的傾斜角度が大きくなるように下り傾斜している。 【0061】なお、B3−B3’断面におけるブロック踏面の高さと比較して、B4−B4’断面におけるブロック踏面の高さが全体的に高くなっている。 【0062】また、図3及び図5(E)に示すように、周方向端縁16B近傍のB5−B5’断面では、幅方向端縁16Dから幅方向延在軸m側に一定の距離だけ進んだ点Uまでのブロック踏面は、比較的傾斜角度が小さくなるように高さが一定の割合で高くなっており、点Uから幅方向延在軸m側のブロック踏面は、比較的傾斜角度が大きくなるように下り傾斜している。 【0063】なお、B4−B4’断面におけるブロック踏面の高さと比較して、B5−B5’断面におけるブロック踏面の高さが全体的に高くなっている。 【0064】以上、領域Iのブロック踏面の形状について詳細に説明したが、図6に示すように、領域Iのブロック踏面全体では、矢印C方向に向かってブロック踏面の高さが高くなっている。 【0065】つまり、領域Iのブロック踏面では、矢印C方向に向かってブロック踏面の高さが漸増しており、逆に言うと矢印C方向と反対方向に向かってブロック踏面の高さが漸減している。 【0066】また、図2に示すように、領域IIのブロック踏面は、領域Iのブロック踏面を中心点Oを基準として90度回転させた形状となっている。したがって、図6に示すように、領域IIのブロック踏面全体では、矢印D方向にブロック踏面の高さが高くなっている。 【0067】また、図2に示すように、領域IIIのブロック踏面は、領域Iのブロック踏面を中心点Oを基準として180度回転させた形状となっている。したがって、図6に示すように、領域IVのブロック踏面全体では、矢印E方向にブロック踏面の高さが高くなっている。 【0068】さらに、図2に示すように、領域IVのブロック踏面は、領域Iのブロック踏面を中心点Oを基準として270度回転させた形状となっている。したがって、図6に示すように、領域IVのブロック踏面全体では、矢印F方向にブロック踏面の高さが高くなっている。 【0069】また、各領域I、II、III、IVのブロック踏面の高さが最も低い部分と高い部分との差である高低変化幅は、0.1mm以上2.5mm以下となっている。 【0070】その中でも、高低変化幅は、0.3mm以上1.0mm以下となっていることが好ましい。 【0071】また、図示しないが、隆起部26又は陥没部(図示省略)の形状を滑らかに変化させることにより、中間ブロック16及びショルダーブロック20を高さ方向に切断した断面においてブロック踏面の踏面輪郭線を滑らかな曲線とすることが好ましい。 【0072】ブロック踏面の踏面輪郭線を滑らかな曲線とすることにより、ブロック踏面高さが変化することで起こる局所的な摩耗を極力防止できる。 【0073】以上のように、各領域I、II、III、IVのブロック踏面の形状は中心点Oを基準として点対称となっている。 【0074】なお、本実施形態では、各中間ブロック16及び各ショルダーブロック20のブロック踏面が4つの領域I、II、III、IVに区分けされた例を説明したが、これに限られることはない。 【0075】ここで、一般的に、ブロックの中心点Oを通る複数の軸によってブロック踏面がN個の領域に区分けされた場合、各領域のブロック踏面の形状は、1つの領域のブロック踏面を中心点Oを中心として360/N度ずつ360度回転させて得た形状と同一となることが好ましい。 【0076】次に、空気入りタイヤ10の作用及び効果について説明する。 【0077】一般に、図13及び図14に示すような高さが一定であり、ブロック踏込端100Fがタイヤ幅方向内側に、ブロック蹴出端縁100Kがタイヤ幅方向外側に向くようにタイヤ周方向に対して軸線gが傾斜して配置されたブロック100が接地する場合、ブロック100の軸線方向とブロック100への入力方向とが一致しないため、回転力Tが発生する。この回転力Tにより特にブロック100の踏面側部分は、一定の方向に回転しようとし、操縦安定性に悪影響を与える。 【0078】ここで、図1に示す本発明の空気入りタイヤ10の中間ブロック16及びショルダーブロック20のように、中間ブロック16及びショルダーブロック20の軸線方向がタイヤ周方向に対して傾斜していない場合、すなわち、中間ブロック16及びショルダーブロック20の軸線方向とタイヤ周方向とが一致している場合においても、ホイールアライメントの調整等により、実際にタイヤを車両に装着すると、中間ブロック16及びショルダーブロック20の軸線方向と中間ブロック16及びショルダーブロック20への入力方向とが一致しない場合があり、この場合にも回転力Tが発生し、操縦安定性が悪化する。 【0079】さらに、ブロックの軸線方向とブロックへの入力方向とが一致した場合においても、ハンドルを左右にきった場合には、ブロックの軸線方向とブロックへの入力方向とが一致しなくなる場合があり、この場合にも回転力Tが発生し、操縦安定性が悪化する。 【0080】そこで、本発明の空気入りタイヤ10では、図2乃至図6に示すように、中間ブロック16及びショルダーブロック20の中心点Oを通る幅方向延在軸m及び周方向延在軸nによって4つに区分けされるブロック踏面の各領域I、II、III、IVにブロック踏面の高さを漸増又は漸減させる隆起部26を設け、各領域I、II、III、IVのブロック踏面の高さを中心点Oを中心として一定の回転方向に向かって増加させたため、中間ブロック16及びショルダーブロック20が路面に接地すると、図7に示すように、一定方向(図7中矢印Y方向)に回転が生じる。 【0081】すなわち、各領域I、II、III、IVにおいて、ブロック踏面の高さが高い部分の路面からの接地圧が高く、ブロック踏面の高さが低い部分の路面からの接地圧が低いため、ブロック踏面は接地圧の低い方から高い方に向かって移動しようとする(図7中矢印C、D、E、F方向)。そして、各領域I、II、III、IVのブロック踏面の移動方向が1つの円を描くように連続することにより、中間ブロック16及びショルダーブロック20全体として一定方向(図7中矢印Y方向)に回転する。 【0082】このため、この接地圧の差による中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転方向(図7中矢印Y方向)を回転力Tによる中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転方向と逆方向になるように設定することにより、実質的に回転力Tによる中間ブロック16及びショルダーブロック20の踏面側部分の回転変形、すなわち中間ブロック16及びショルダーブロック20の踏面側部分の根本側部分(タイヤ側部分)に対する変形を抑えることができ、結果として回転力Tを低減することができる。この結果、操縦安定性、特に微小蛇角域での操縦安定性を向上させることができる。 【0083】特に、図2及び図3に示す本発明の空気入れタイヤ10のように、ブロック踏面の各領域が2つ又は4つの場合、各領域I、II、III、IVのブロック踏面の形状は、中心点Oに関して点対称であることが好ましい。 【0084】各領域I、II、III、IVのブロック踏面の形状を中心点Oに関して点対称とすることにより、ブロック踏面の高さが変化したことによる接地時の中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転が生じやすくなる。 【0085】すなわち、各領域I、II、III、IVのブロック踏面の傾斜角度ないし高低変化幅が同一となり、各領域I、II、III、IVのブロック踏面に作用する路面からの接地圧の高低差が同一となる。このため、ブロック踏面の高さが変化したことによる中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転力が大きくなる。この結果、中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転(変形)が生じ易くなる。 【0086】以上のように、各領域I、II、III、IVのブロック踏面の形状を中心点Oに関して点対称とすることにより、回転力Tによる中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転変形を効果的に抑制することができる。 【0087】このため、中間ブロック16及びショルダーブロック20に作用する回転力Tをより効果的に低減することができ、操縦安定性、特に微小蛇角域での操縦安定性を大幅に向上させることができる。 【0088】ところで、空気入りタイヤ10が路面から受ける入力下では、中間ブロック16及びショルダーブロック20の変形には限りがあるため、ブロック踏面の高さの高低変化幅が大きくなり過ぎると、各領域I、II、III、IVのブロック踏面で路面と接地しなくなる部分が生じる。すなわち、ブロック踏面の接地面積が減少する。 【0089】ブロック踏面の接地面積が減少すると、接地圧のバランスが崩れ、中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転力が小さくなる。このため、回転力Tによる中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転変形を効果的に抑制することができない。この結果、回転力Tを効果的に減少できず、操縦安定性が悪化する問題がある。 【0090】そこで、ブロック踏面高さの高低変化幅の上限を2.5mmとしたので、ブロック踏面の極端な接地圧の減少を防止することができる。 【0091】一方、ブロック踏面の高さの高低変化幅が1.0mm未満になると、各領域においてブロック踏面の高さがほとんど変化しなくなり、路面と接地時における中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転力が小さくなる。このため、回転力Tによる中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転変形を効果的に抑制することができず、回転力Tを低減できない。 【0092】そこで、ブロック踏面高さの高低変化幅の下限を0.1mmとしたので、路面との接地時における中間ブロック16及びショルダーブロック20の回転力が小さくなることを極力防止できる。 【0093】なお、図8に示すように、周方向溝50をタイヤ周方向(図中矢印A方向)に対して傾斜させ、幅方向溝52をタイヤ幅方向(図中矢印B方向)に対して傾斜させ、各ブロック54をトレッド平面視において平行四辺形状に形成してもよい。 【0094】この場合、図9及び図10(A)に示すように、領域Iの幅方向端縁54D側の幅方向延在軸mと略平行にブロック幅方向に延びるA−A’断面では、周方向延在軸nからタイヤ幅方向外側の周方向端縁54B側に向けて直線的にブロック踏面の高さが高くなるように形成されている。 【0095】一方、図9及び図10(B)に示すように、領域Iの周方向端縁54B側の周方向延在軸nと略平行にブロック周方向に延びるB−B’断面では、幅方向端縁54Dから幅方向延在軸m側に向けて一定の距離だけ進んだ点Zまでのブロック踏面は、比較的傾斜角度が小さくなるように高さが一定の割合で高くなっており、点Zから幅方向延在軸m側のブロック踏面は、比較的傾斜角度が大きくなるように下り傾斜している。 【0096】さらに、中間ブロック16及びショルダーブロック20が長方形状、平行四辺形状以外のものでも良く、例えば、図示しないが、周方向溝及び横溝の向き、ブロック踏面の面取り、ブロック踏面に入れられる切欠き等の追加により、トレッド平面視でブロックが六角形も八角形などの多角形とされたり、略コ字形状とされた場合でも良く、さらに円形や楕円形等であっても良い。 (試験例)次に、本発明の空気入りタイヤを用いて、操縦安定性の評価を行った。 【0097】試験対象のタイヤとして、本発明の空気入りタイヤである実施例1乃至4の各タイヤと、比較タイヤである比較例1及び2と、従来タイヤである従来例の各タイヤについて実施した。 【0098】ここで、下記表1に記載したように、「従来例」とは、ブロック踏面高さが一定(高低変化幅がゼロ)のタイヤである。 【0099】「比較例1」とは、ブロック踏面の高さの高低変化幅が0.05mmのタイヤである。 【0100】「比較例2」とは、ブロック踏面の高さの高低変化幅が3.0mmのタイヤである。 【0101】「実施例1」とは、ブロック踏面の高さの高低変化幅が0.1mmのタイヤである。 【0102】「実施例2」とは、ブロック踏面の高さの高低変化幅が0.3mmのタイヤである。 【0103】「実施例3」とは、ブロック踏面の高さの高低変化幅が1.0mmのタイヤである。 【0104】「実施例4」とは、ブロック踏面の高さの高低変化幅が2.5mmのタイヤである。 【0105】試験条件として、全てのタイヤサイズを195/50R15とし、内圧200kPaを充填して実車走行を行った。 【0106】また、図11に示すように、試験に用いたタイヤの各ブロック70はトレッド平面視において長方形状であり、ブロック70のタイヤ周方向長さが30mm、タイヤ幅方向長さが20mm、ブロック高さ(最高位置)が9mmである。 【0107】なお、上記高低変化幅として、図12に示すブロック70のブロック踏面の変化幅Dmmの値とした。 【0108】評価は、テストドライバーによるフィーリング評価であり、以下の表1に示す通りになった。表1中の数値は、従来例を基準(100)とした指数表示であり、数値が大きいほど性能が良いことを意味している。 【0109】 【表1】
上記表1に示すとおり、本発明の空気入りタイヤである実施例1乃至4では、従来例及び比較例1、2と比較して、操縦安定性が向上したことが判明した。 【0110】 【発明の効果】本発明の空気入りタイヤによれば、トレッドに存在するブロックのブロック高さを適正化することにより、回転力を実質的に低減させ操縦安定性を向上させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005278 【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン 【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
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| 【出願日】 |
平成14年1月21日(2002.1.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100079049 【弁理士】 【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−211919(P2003−211919A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月30日(2003.7.30) |
| 【出願番号】 |
特願2002−11445(P2002−11445) |
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