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【発明の名称】 二輪車用空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】宮坂 淳
【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内

【氏名】中村 肇
【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内

【要約】 【課題】耐摩耗性とウエット操縦安定性の両立を図ることのできる二輪車用空気入りタイヤを提供すること。

【解決手段】トレッド中央領域24Cの中央部分に設けた一対のジグザグ周方向溝28には振幅があるため、あるキャンバー角を境にして接地面26からジグザグ周方向溝28が一気に離脱することは無く、ウエット操縦安定性の低下が抑えられる。キャンバー角が大きくなると、ジグザグ周方向溝28の外側に設けた傾斜溝32が接地面26内の水を排水する。トレッド中央領域24Cには傾斜溝32の急傾斜溝部32Aが配置され、ラグ溝成分が無いので、トレッド中央領域24Cの陸部は周方向剛性が高く、耐摩耗性が高い。トレッド側領域24Sでは、傾斜溝32の緩傾斜溝部32B、副傾斜溝38が配置されているため、大キャンバー角時の入力に対して陸部40の剛性は高く、耐摩耗性が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 比較的大きなトレッド踏面部外面曲率を有したトレッドと、前記トレッドのタイヤ軸方向中央部分に設けられタイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びる中央連続周リブを区画するタイヤ周方向に沿ってジグザグ状に延びる一対のジグザグ周方向溝と、前記一対のジグザグ周方向溝のタイヤ幅方向両側においてタイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられ、トレッド端からタイヤ赤道面に向って延びると共に前記ジグザグ周方向溝に接続することなく前記ジグザグ周方向溝の近傍で終端し、かつタイヤ赤道面側の端部がトレッド端側の端部よりもタイヤ回転方向側に位置するようにタイヤ幅方向に対して傾斜する一対の傾斜溝と、を備えた二輪車用空気入りタイヤであって、前記傾斜溝は、タイヤ赤道面側に配置されタイヤ周方向に対する角度が0〜20度の範囲内にある急傾斜溝部と、前記急傾斜溝部のタイヤ幅方向外側に配置されタイヤ周方向に対する角度が前記急傾斜溝部の前記角度よりも大きく設定された緩傾斜溝部とを有し、前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状を形成する辺と相面して前記急傾斜溝部のタイヤ赤道面側の主用部を配置すると共に、タイヤ周方向に隣接する他の傾斜溝の急傾斜溝部に対して一部分をタイヤ幅方向にオーバーラップさせることによって、前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状を形成する辺との間に、幅が略均一な第1の縦長陸部と、タイヤ回転方向とは反対方向に向うにしたがって幅が徐々に広くなる第2の縦長陸部とをタイヤ周方向に交互に連結配置した、ことを特徴とする二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項2】 タイヤ回転軸に沿った断面で見たときのタイヤ赤道面部分のトレッドクラウン半径が250mm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項3】 前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の振幅は、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地幅の50〜100%の範囲内にあり、前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の1/2波長は、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地長の50〜150%の範囲内にある、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項4】 前記第1の縦長陸部を形成している急傾斜溝部は、前記ジグザグ周方向溝の相面する辺と同方向に傾斜し、前記第2の縦長陸部を形成している急傾斜溝部は、前記ジグザグ周方向溝の相面する辺と逆方向に傾斜し、前記第2の縦長陸部は、前記第1の縦長陸部よりもタイヤ周方向の長さが短い、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項5】 前記一対の傾斜溝は、タイヤ赤道面を挟んで一方の傾斜溝のタイヤ赤道面側の端部と他方の傾斜溝のタイヤ赤道面側の端部とがタイヤ周方向に位相差を設けて配置され、タイヤ周方向に隣接する他の一対の傾斜溝とは、前記位相差が相反する方向に設定されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項6】 タイヤ周方向の傾斜溝間には、トレッド端からタイヤ赤道面側へ延びて前記トレッド中央領域と前記トレッド側領域との境界付近にて終端すると共に、タイヤ周方向に隣接する前記傾斜溝と略平行な補助傾斜溝が1または2本設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項7】 タイヤ周方向の傾斜溝間にタイヤ周方向の溝間隔が一定となるように前記補助傾斜溝を配置したことを特徴とする請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項8】 前記中央連続周リブの幅は、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地幅の20〜50%の範囲内である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項9】 前記緩傾斜溝部は、タイヤ周方向を基準としてタイヤ回転方向側からタイヤ軸方向外側へ計測する角度が90〜150度の範囲内である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項10】 溝で区画された各陸部分の最小幅は略同等である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項11】 前記急傾斜部と前記緩傾斜溝部とは、滑らかに連結されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項12】 前記第1の縦長陸部を形成している傾斜溝の全長は、前記第2の縦長陸部を形成している傾斜溝の全長より5〜20%長い、ことを特徴とする請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項13】 前記ジグザグ周方向溝以外の溝は、溝幅が実質状同一であり、かつ前記ジグザグ周方向溝の溝幅の60〜80%の範囲内の溝幅を有している、ことを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項14】 トレッド端における溝の周方向ピッチ長は、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地長の20〜50%の範囲内である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項15】 前記第1の縦長陸部のタイヤ回転方向側端部の幅、及び前記第2の縦長陸部のタイヤ回転方向側端部の幅は、前記中央連続周リブの幅の50〜120%の範囲内にある、ことを特徴とする請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項16】 前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の振幅は、中央連続周リブの幅の30〜150%の範囲内である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項15の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項17】 トレッド最大径部分からタイヤ最大幅部までのタイヤ径方向に計測した落ち高をTH、タイヤ最大幅をSWとしたときに、TH/SWが0.25〜0.45の範囲内であり、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地長は接地幅の200〜250%の範囲内であり、かつ接地形状は長軸がタイヤ周方向に向く略楕円形状である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項16の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項18】 前記トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域でのネガティブ率が30〜40%の範囲内、前記トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域よりもタイヤ幅方向外側の領域でのネガティブ率が20〜30%の範囲内である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項17の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項19】 トレッドクラウン半径/タイヤ最大幅を外輪郭フラットネス、前記トレッドの内、タイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の30〜50%の範囲内をトレッド中央領域、前記トレッド中央領域のタイヤ幅方向外側の領域をトレッド側領域と定義したときに、前記トレッド中央領域での外輪郭フラットネスが0.4〜0.7の範囲内にあり、前記トレッド側領域での外輪郭フラットネスが0.2〜0.7の範囲内にある、ことを特徴とする請求項1乃至請求項18の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項20】 前記傾斜溝は、踏面に立てた法線に対する溝踏み込み側の溝壁の角度が0〜45°の範囲内、踏面に立てた法線に対する溝蹴り出し側の溝壁の角度が0〜45°の範囲内であり、かつ、溝踏み込み側の溝壁の角度は溝蹴り出し側の溝壁の角度よりも小さい、ことを特徴とする請求項1乃至請求項19の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項21】 前記トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域では、各溝深さが実質上同一である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項20の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【請求項22】 ラジアル構造である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項21の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、二輪車用空気入りタイヤに係り、特に、耐摩耗性とウエット操縦安定性の両立を図ることのできる二輪車用空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】二輪車用空気入りタイヤには、ウエット路面走行時の排水性を確保するためにトレッドに溝を配置している。
【0003】従来の二輪車用空気入りタイヤのトレッドパターンとして、例えば、図5乃至図7に示すトレッドパターンがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】図5に示すトレッドパターンを有するタイヤ100は、排水性重視の小ブロックパターンと高弾性ゴムとの組み合わせであるが、有効なブロック剛性を得られず、大パワーを有するマシンには耐摩耗性の点で適さなかった。即ち、大パワーを有するマシンに用いると、ブロック102〜114の踏み込み側及び蹴り出し側のエッジ部分が偏摩耗し易く、操縦安定性の低下を招いていた。
【0005】図6に示すトレッドパターンを有するタイヤ200、及び図7に示すトレッドパターンを有するタイヤ300は、各々従来のブロック(陸部)のエッジでグリップを得るという考えに対して、面でグリップを得るという考えに基づいて設計されており、センター付近に実質上タイヤ幅方向に延びるラグ溝が無いため、周方向剛性が高く、トラクション性、耐摩耗性に優れているが、ブロックパターンのタイヤ対比で考えると、ネガティブ率が小さい事による排水性の悪さ、エッジ成分不足によるグリップ感の無さが考えられる。
【0006】図6に示すタイヤ200は、トレッド202のタイヤ赤道面CL両側にタイヤ周方向に直線状に延びる周方向直線溝204が各々1本づつ設けられており、タイヤ赤道面CL上には、タイヤ周方向に沿って直線状に延びるリブ205が区画されている。
【0007】一対の周方向直線溝204のタイヤ幅方向両側には、タイヤ赤道面CL側の端部がトレッド端よりもタイヤ回転方向側となるように傾斜した傾斜溝206がタイヤ周方向に複数形成されていると共に、トレッド端付近には傾斜溝206と傾斜溝206との間に、傾斜副溝208が形成されている。
【0008】傾斜溝206は、タイヤ赤道面CL側においては、タイヤ周方向に対する角度が略28度で一定あり、そのトレッド端付近ではタイヤ周方向に対する角度がトレッド端に向うにしたがって徐々に大となっている。
【0009】傾斜溝206は、タイヤ周方向に略等ピッチで配置され、かつ周方向直線溝204の近傍で終端しており、周方向直線溝204のタイヤ幅方向外側には、2点鎖線で示されるようなタイヤ回転方向側(矢印A方向側)の幅が比較的狭く、タイヤ回転方向とは反対方向の幅が比較的広い略台形の陸部210がタイヤ周方向に連続して形成されている。
【0010】図6のトレッド202内に記載した矢印は、走行中のタイヤ200のトレッド202に作用する入力の方向を示しており、直進時は主にタイヤ赤道面CL付近が接地して入力の方向はタイヤ周方向に向いているが、コーナリング時は入力の方向がタイヤ周方向に対して傾斜し、キャンバー角が大きくなるにつれて入力の方向はタイヤ幅方向に近づく傾向にある。
【0011】ところで、図6に示すタイヤ200の陸部210は、タイヤ回転方向側の剛性とタイヤ回転側とは反対側の剛性とに大きな差があるため、タイヤ周方向に向いた入力により偏摩耗を生じ易く、偏摩耗の発生により操縦安定性が低下してしまう問題がある。
【0012】また、図7に示すタイヤ300は、トレッド302のタイヤ赤道面CL両側にタイヤ周方向に直線状に延びる周方向直線溝304が各々3本づつ設けられており、タイヤセンター付近にはタイヤ幅方向の比較的広い範囲に渡ってタイヤ周方向に沿って直線状に延びるリブ305が5本形成されている。
【0013】また、周方向直線溝304のタイヤ幅方向外側には、タイヤ赤道面CL側の端部がトレッド端よりもタイヤ回転方向側となるように傾斜した傾斜溝306がタイヤ周方向に複数形成されている。
【0014】このタイヤ300の傾斜溝306は、タイヤ幅方向に対して一定角度で傾斜しており、かつタイヤ周方向に略等ピッチで配置されている。
【0015】したがって、周方向直線溝304のタイヤ幅方向外側には、平行四辺形の陸部308がタイヤ周方向に複数形成されている。
【0016】図7のトレッド302内に記載した矢印は、走行中のタイヤ300のトレッド302に作用する入力の方向を示している。
【0017】ところで、図7に示すタイヤ300では、タイヤ周方向に沿って直線状に延びるリブ305が、タイヤセンター付近のタイヤ幅方向の比較的広い範囲に渡って設けられているため、タイヤ周方向の入力に対しては陸部剛性が全体的に高いため偏摩耗を生じる虞は無い。しかしながら、傾斜溝306の角度が一定であるので、大キャンバー角でのコーナリング時においては、入力に対して陸部308の剛性が不足することとなり、トレッド端側で偏摩耗を生じ易く、偏摩耗の発生により操縦安定性が低下してしまう問題がある。
【0018】本発明は上記事実を考慮し、上記欠点を解消し、耐摩耗性とウエット操縦安定性の両立を図ることのできる二輪車用空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0019】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明は、比較的大きなトレッド踏面部外面曲率を有したトレッドと、前記トレッドのタイヤ軸方向中央部分に設けられタイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びる中央連続周リブを区画するタイヤ周方向に沿ってジグザグ状に延びる一対のジグザグ周方向溝と、前記一対のジグザグ周方向溝のタイヤ幅方向両側においてタイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられ、トレッド端からタイヤ赤道面に向って延びると共に前記ジグザグ周方向溝に接続することなく前記ジグザグ周方向溝の近傍で終端し、かつタイヤ赤道面側の端部がトレッド端側の端部よりもタイヤ回転方向側に位置するようにタイヤ幅方向に対して傾斜する一対の傾斜溝と、を備えた二輪車用空気入りタイヤであって、前記傾斜溝は、タイヤ赤道面側に配置されタイヤ周方向に対する角度が0〜20度の範囲内にある急傾斜溝部と、前記急傾斜溝部のタイヤ幅方向外側に配置されタイヤ周方向に対する角度が前記急傾斜溝部の前記角度よりも大きく設定された緩傾斜溝部とを有し、前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状を形成する辺と相面して前記急傾斜溝部のタイヤ赤道面側の主用部を配置すると共に、タイヤ周方向に隣接する他の傾斜溝の急傾斜溝部に対して一部分をタイヤ幅方向にオーバーラップさせることによって、前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状を形成する辺との間に、幅が略均一な第1の縦長陸部と、タイヤ回転方向とは反対方向に向うにしたがって幅が徐々に広くなる第2の縦長陸部とをタイヤ周方向に交互に連結配置した、ことを特徴としている。
【0020】次に、請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0021】二輪車がウエット路面を走行する際は、横転に注意するためキャンバー角は比較的小さくなり、路面に対しては主にタイヤ赤道面付近が接地する。
【0022】タイヤ赤道面近傍にはタイヤ周方向に沿って互いに略平行にジグザグ状に延びる一対のジグザグ周方向溝が設けられているので、ウエット路面走行時(直進時〜小キャンバー角時)の排水性が確保される。
【0023】仮に、タイヤ赤道面近傍に周方向に直線状に延びる周方向ストレート溝を設けた場合には、あるキャンバー角を境にして、接地面から周方向ストレート溝が一気に離脱してしまうため、排水性が一気に低下し、ウエット操縦安定性が低下してしまうが、タイヤ赤道面近傍に一対のジグザグ周方向溝を設けると、ジグザグ形状に振幅があるため、あるキャンバー角を境にして接地面からジグザグ周方向溝が一気に離脱することは無く、ウエット操縦安定性の低下が抑えられる。
【0024】ウエット路面を走行する際に、更にキャンバー角が大きくなるような場合には、左右何れかの傾斜溝の急傾斜溝部が接地面内に入るので、接地面内の水は傾斜溝を介して排水される。しかも、この傾斜溝は、タイヤ赤道面側の端部がトレッド端側の端部よりもタイヤ回転方向側に位置するようにタイヤ幅方向に対して傾斜して所謂方向性パターンを形成しているので、接地面内の水をスムーズに取り入れて排出することができる。
【0025】また、トレッドのタイヤ赤道面付近には、ジグザグ周方向溝と、このジグザグ周方向溝とは連結していないタイヤ周方向に対する角度が0〜20度の範囲内にある急傾斜溝部のみが配置されており、実質上タイヤ軸方向に延びるラグ溝成分が無いので、トレッド中央側の陸部、即ち、中央連続周リブ、第1の縦長陸部、及び第2の縦長陸部は周方向剛性が高くなる。このため、トレッドのタイヤ赤道面付近の耐摩耗性が高くなると共に、トレッドのタイヤ赤道面付近を接地させて走行する際のトラクション性が高くなる。
【0026】さらに、一対のジグザグ周方向溝で区画されたジグザグ状の中央連続周リブは、周方向に直線状に延びるリブとは異なってタイヤ幅方向のエッジ成分を有しているため、周方向に直線状に延びるのリブを設けた場合よりも高い制駆動力が得られる。
【0027】なお、ジグザグ周方向溝のジグザグ形状を形成する辺と相面して急傾斜溝部のタイヤ赤道面側の主用部を配置する理由は、溝間隔を一定に保って陸部剛性を均一にすることができるからである。
【0028】本発明では、主用部とはタイヤ赤道面側の端部からトレッド端側へ急傾斜溝部の全長の少なくとも30%の部分をいう。
【0029】急傾斜溝部を、タイヤ周方向に隣接する他の傾斜溝の急傾斜溝部の一部分とタイヤ幅方向にオーバーラップさせる理由は、溝間隔を一定に保つことにより陸部剛性を均一にすることができるからである。
【0030】また、トレッド側領域には、タイヤ周方向に対する角度を急傾斜溝部の角度よりも大きく設定した緩傾斜溝部を配置したので、大キャンバー角でのコーナリング時の入力に対して緩傾斜溝部に隣接する陸部の剛性が確保され、トレッド側領域の耐摩耗性が向上する。
【0031】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、タイヤ回転軸に沿った断面で見たときのタイヤ赤道面部分のトレッドクラウン半径が250mm以下である、ことを特徴としている。
【0032】次に、請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0033】タイヤ赤道面部分のトレッドクラウン半径を250mm以下とすることにより、二輪車用として最適な曲率となる。
【0034】上記クラウン半径が250mmを越えると、二輪車の場合、キャンバー角を与えたとき(コーナリング時)のキャンバースラストがとれなくなる虞がある。
【0035】なお、上記クラウン半径は、小さ過ぎるとタイヤに必要なセクション幅が確保できなくなるため30mm以上が好ましい。
【0036】請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の振幅は、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地幅の50〜100%の範囲内にあり、前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の1/2波長は、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地長の50〜150%の範囲内にある、ことを特徴としている。
【0037】次に、請求項3に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0038】ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の振幅が接地幅の50%未満になると、コーナリングに際し、キャンバー角度が増加して該ジグザグ周方向溝が接地面から離脱してゆく時、あるキャンバー角を境にして中央連続周リブのエッジが一気に接地面から離脱し易くなる傾向となり、ウエット操縦安定性が不十分となる虞がある。
【0039】一方、ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の振幅が接地幅の100%を越えると、ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の屈曲度が大きくなり過ぎて周方向に向けての排水性が悪化し、排水性が不十分となる虞がある。さらに、ジグザグ周方向溝が接地面の外側にはみ出す度合いが増えて、周方向にかけての排水効果が不安定に変動してウエット操縦安定性が悪化する虞がある。
【0040】請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記第1の縦長陸部を形成している急傾斜溝部は、前記ジグザグ周方向溝の相面する辺と同方向に傾斜し、前記第2の縦長陸部を形成している急傾斜溝部は、前記ジグザグ周方向溝の相面する辺と逆方向に傾斜し、前記第2の縦長陸部は、前記第1の縦長陸部よりもタイヤ周方向の長さが短い、ことを特徴としている。
【0041】次に、請求項4に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0042】第1の縦長陸部を形成している急傾斜溝部を、ジグザグ周方向溝の相面する辺と同方向に傾斜させることにより、第1の縦長陸部はタイヤ軸方向の幅をタイヤ周方向に略一様にすることができるが、第2の縦長陸部を形成している急傾斜溝部を、ジグザグ周方向溝の相面する辺と逆方向に傾斜させることにより、第2の縦長陸部はタイヤ軸方向の幅は、タイヤ回転方向と反対方向へ向うにしたがって広くなる。
【0043】請求項4に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、第2の縦長陸部のタイヤ周方向の長さを第1の縦長陸部のタイヤ周方向の長さよりも短くしたので、第2の縦長陸部のタイヤ軸方向の幅の周方向変動が小さくなり(即ち、第2の縦長陸部の最大幅が抑えられる)、その結果、タイヤ軸方向に隣り合う陸部相互間の陸部剛性の変動が抑制され、操縦安定性が確保される。
【0044】請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記一対の傾斜溝は、タイヤ赤道面を挟んで一方の傾斜溝のタイヤ赤道面側の端部と他方の傾斜溝のタイヤ赤道面側の端部とがタイヤ周方向に位相差を設けて配置され、タイヤ周方向に隣接する他の一対の傾斜溝とは、前記位相差が相反する方向に設定されている、ことを特徴としている。
【0045】次に、請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0046】請求項5に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、タイヤ赤道面側の端部が同位相で並んでいる場合と比較して、接地領域内の転動によるネガティブ率の変動を抑えることができる。
【0047】請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、タイヤ周方向の傾斜溝間には、トレッド端からタイヤ赤道面側へ延びて前記トレッド中央領域と前記トレッド側領域との境界付近にて終端すると共に、タイヤ周方向に隣接する前記傾斜溝と略平行な補助傾斜溝が1または2本設けられている、ことを特徴としている。
【0048】次に、請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0049】請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、補助傾斜溝により、大キャンバー角を与えた際の排水性を確保することができる。
【0050】請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、タイヤ周方向の傾斜溝間にタイヤ周方向の溝間隔が一定となるように前記補助傾斜溝を配置したことを特徴としている。
【0051】次に、請求項7に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0052】請求項7に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、タイヤ周方向の傾斜溝間にタイヤ周方向の溝間隔が一定となるように補助傾斜溝を配置したので、陸部剛性を均一化することができる。
【0053】請求項8に記載の発明は、請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記中央連続周リブの幅は、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地幅の20〜50%の範囲内である、ことを特徴としている。
【0054】次に、請求項8に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0055】中央連続周リブの幅が接地幅の20%未満になると、中央連続周リブの陸部剛性が不足し、直進走行安定性、小キャンバー角度でのコーナリング時の操縦安定性、及び耐摩耗性等が劣る虞がある。
【0056】一方、中央連続周リブの幅が接地幅の50%を越えると、キャンバー角0度及び小キャンバー角度における接地面内の溝容積が減少し、特に高速直進走行時の周方向排水性が確保出来なくなる虞があり、ウエット操縦安定性が劣る虞がある。
【0057】請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記緩傾斜溝部は、タイヤ回転方向側から計測するタイヤ周方向に対する角度が90〜150度の範囲内である、ことを特徴としている。
【0058】次に、請求項9に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0059】緩傾斜溝部の、タイヤ回転方向側から計測するタイヤ周方向に対する角度が90度未満になると、トレッド側領域が接地する大キャンバー角時に、溝方向が排水方向と逆行するため、ウエット操縦安定性が劣る虞がある。
【0060】一方、緩傾斜溝部の、タイヤ回転方向側から計測するタイヤ周方向に対する角度が150度を越えると、トレッド側領域が接地する大キャンバー角時に、緩傾斜溝部間の陸部分の入力方向に面するエッジ部の長さが増え、該陸部分の剛性の弱さが表れ、ウエット操縦安定性が劣る虞がある。
【0061】請求項10に記載の発明は、請求項1乃至請求項9の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、溝で区画された各陸部分の最小幅は略同等である、ことを特徴としている。
【0062】次に、請求項10に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0063】請求項10に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、溝で区画された各陸部分の最小幅を略同等とすることにより、陸部剛性を均一化することができる。
【0064】請求項11に記載の発明は、請求項1乃至請求項10の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記急傾斜部と前記緩傾斜溝部とは、滑らかに連結されている、ことを特徴としている。
【0065】次に、請求項11に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0066】急傾斜部と緩傾斜溝部とを滑らかに連結したので、トレッド端へ向けてスムーズに水を流すことができる。
【0067】請求項12に記載の発明は、請求項1乃至請求項11の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記第1の縦長陸部を形成している傾斜溝の全長は、前記第2の縦長陸部を形成している傾斜溝の全長より5〜20%長い、ことを特徴としている。
【0068】次に、請求項12に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0069】第1の縦長陸部を形成している傾斜溝の全長を、第2の縦長陸部を形成している傾斜溝の全長より5〜20%長くすることにより、第1の縦長陸部及び第2の縦長陸部の剛性を略同等とすることができる。
【0070】請求項13に記載の発明は、請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記ジグザグ周方向溝以外の溝は、溝幅が実質状同一であり、かつ前記ジグザグ周方向溝の溝幅の60〜80%の範囲内の溝幅を有している、ことを特徴としている。
【0071】次に、請求項13に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0072】ジグザグ周方向溝以外の溝の溝幅が、ジグザグ周方向溝の溝幅の60%未満であると、溝幅が狭過ぎて特に高速走行時の排水性に劣る虞がある。
【0073】一方、ジグザグ周方向溝以外の溝の溝幅が、ジグザグ周方向溝の溝幅の80%を越えると、ネガティブ率が大きくなり過ぎてトレッド剛性が低下し、耐摩耗性が低下する虞がある。
【0074】請求項14に記載の発明は、請求項1乃至請求項13の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッド端における溝の周方向ピッチ長は、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地長の20〜50%の範囲内である、ことを特徴としている。
【0075】次に、請求項14に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0076】トレッド端における溝の周方向ピッチ長が接地長の20%未満では、トレッド端に開口する溝により区画される陸部分の周方向寸法が狭過ぎて剛性が低下し、耐摩耗性に劣る虞がある。
【0077】一方、トレッド端における溝の周方向ピッチ長が接地長の50%を越えると、接地面内に配置される溝の容積率が低下して耐排水性に劣る虞がある。
【0078】請求項15に記載の発明は、請求項1乃至請求項14の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記第1の縦長陸部のタイヤ回転方向側端部の幅、及び前記第2の縦長陸部のタイヤ回転方向側端部の幅は、前記中央連続周リブの幅の50〜120%の範囲内にある、ことを特徴としている。
【0079】次に、請求項15に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0080】第1の縦長陸部のタイヤ回転方向側端部の幅、及び第2の縦長陸部のタイヤ回転方向側端部の幅が、中央連続周リブの幅の50%未満になると、陸部剛性が低くなり過ぎて耐摩耗性、操縦安定性が劣る虞がある。
【0081】一方、第1の縦長陸部のタイヤ回転方向側端部の幅、及び第2の縦長陸部のタイヤ回転方向側端部の幅が、中央連続周リブの幅の120%を越えると、中央連続周リブとの剛性段差が急増し、キャンバー角の変化時に操縦安定性が不安定になって好ましくない。
【0082】請求項16に記載の発明は、請求項1乃至請求項15の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の振幅は、中央連続周リブの幅の30〜150%の範囲内である、ことを特徴としている。
【0083】次に、請求項16に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0084】ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の振幅が、中央連続周リブの幅の30%未満になると、コーナリングに際し、キャンバー角度が増加して該ジグザグ周方向溝が接地面から離脱してゆく時、あるキャンバー角を境にして中央連続周リブのエッジが一気に接地面から離脱し易くなる傾向となり、ウエット操縦安定性が不十分となる虞がある。
【0085】一方、ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の振幅が、中央連続周リブの幅の150%を越えると、ジグザグ周方向溝のジグザグ形状の屈曲度が大きくなり過ぎて周方向に向けての排水性が悪化し、排水性が不十分となる虞がある。さらに、ジグザグ周方向溝が接地面の外側にはみ出す度合いが増えて、周方向にかけての排水効果が不安定に変動してウエット操縦安定性が悪化する虞がある。
【0086】請求項17に記載の発明は、請求項1乃至請求項16の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッド最大径部分からタイヤ最大幅部までのタイヤ径方向に計測した落ち高をTH、タイヤ最大幅をSWとしたときに、TH/SWが0.25〜0.45の範囲内であり、標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地長は接地幅の200〜250%の範囲内であり、かつ接地形状は長軸がタイヤ周方向に向く略楕円形状である、ことを特徴としている。
【0087】次に、請求項17に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0088】TH/SWが0.25未満になると、接地面圧減少により排水性が悪化する虞があり、また、ハンドリングに重さが出過ぎることにより操縦安定性が低下する虞がある。
【0089】一方、TH/SWが0.45を越えると、接地面圧が上がり過ぎて耐摩耗性が低下する虞がある。
【0090】また、接地長が接地幅の200%未満になると、接地面圧が低くなり過ぎて耐ウエット性に劣る虞がある。
【0091】一方、接地長が接地幅の250%を越えると、接地面圧が高くなり過ぎて耐摩耗性に劣る虞がある。
【0092】請求項18に記載の発明は、請求項1乃至請求項17の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域でのネガティブ率が30〜40%の範囲内、前記トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域よりもタイヤ幅方向外側の領域でのネガティブ率が20〜30%の範囲内である、ことを特徴としている。
【0093】次に、請求項18に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0094】トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域でのネガティブ率が30%未満になると、該領域のネガティブ率が低過ぎて耐排水性に劣り、特に高速直進時の耐ウエット性に劣る虞がある。
【0095】一方、トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域でのネガティブ率が40%を越えると、該領域のネガティブ率が高すぎて耐摩耗性に劣る虞がある。
【0096】また、トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域よりもタイヤ幅方向外側の領域でのネガティブ率が20%未満になると、該領域のネガティブ率が低過ぎて排水性が低下する虞がある。
【0097】一方、トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域よりもタイヤ幅方向外側の領域でのネガティブ率が30%を越えると、該領域のネガティブ率が高すぎて大キャンバー角時、横力がかかった時の耐摩耗性が低下する虞がある。
【0098】請求項19に記載の発明は、請求項1乃至請求項18の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、トレッドクラウン半径/タイヤ最大幅を外輪郭フラットネス、前記トレッドの内、タイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の30〜50%の範囲内をトレッド中央領域、前記トレッド中央領域のタイヤ幅方向外側の領域をトレッド側領域と定義したときに、前記トレッド中央領域での外輪郭フラットネスが0.4〜0.7の範囲内にあり、前記トレッド側領域での外輪郭フラットネスが0.2〜0.7の範囲内にある、ことを特徴としている。
【0099】次に、請求項19に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0100】トレッド中央領域での外輪郭フラットネスが0.4未満になると、接地面圧が高くなり過ぎて耐摩耗性に劣る虞がある。
【0101】一方、トレッド中央領域での外輪郭フラットネスが0.7を越えると、接地面圧が低くなり過ぎて耐ウエット性に劣る虞がある。
【0102】また、トレッド側領域での外輪郭フラットネスが0.2未満になると、コーナリング時の接地面積が減少し過ぎて操縦安定性に劣る虞がある。
【0103】一方、トレッド側領域での外輪郭フラットネスが0.7を越えると、コーナリング時の接地面圧が低くなり過ぎて特に耐ウエット操縦安定性に劣る虞がある。
【0104】請求項20に記載の発明は、請求項1乃至請求項19の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記傾斜溝は、踏面に立てた法線に対する溝踏み込み側の溝壁の角度が0〜45°の範囲内、踏面に立てた法線に対する溝蹴り出し側の溝壁の角度が0〜45°の範囲内であり、かつ、溝踏み込み側の溝壁の角度は溝蹴り出し側の溝壁の角度よりも小さい、ことを特徴としている。
【0105】次に、請求項20に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0106】傾斜溝の溝踏み込み側の溝壁の角度が0°以内になると、路面に接触する時の溝壁の剛性が低くなり過ぎて早期偏摩耗を生じ易くなる。
【0107】一方、傾斜溝の溝踏み込み側の溝壁の角度が45°を越えると、路面に接触する時の有効なエッジ作用を得られず、ウエット操縦安定性に劣る虞がある。さらに、排水に必要な溝ボリュームを確保するのが困難になる。
【0108】また、傾斜溝の溝蹴り出し側の溝壁の角度が0°以内になると、駆動時の入力に対する陸部剛性が低くなり過ぎ、耐摩耗性に劣る虞がある。
【0109】一方、傾斜溝の溝蹴り出し側の溝壁の角度が45°を越えると、摩耗時の陸部の剛性変化が大きくなり、ウエット操縦安定性に劣る虞がある。さらに、排水に必要な溝ボリュームを確保するのが困難になる。
【0110】また、トラクション力は、溝踏み込み側(入力が入る側)の溝壁のエッジがしっかりと路面の水膜を破り、必要十分な陸部剛性により効果的に路面に伝達されるので、溝踏み込み側のエッジ部分を鋭くする必要がある。
【0111】請求項20に記載の二輪車用空気入りタイヤでは、溝踏み込み側の溝壁の角度を溝蹴り出し側の溝壁の角度よりも小さくしたので、溝踏み込み側のエッジ部分が鋭くなって水膜を破り易くなり、ウエット路面走行時に大きなトラクション力を得ることができる。
【0112】請求項21に記載の発明は、請求項1乃至請求項20の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、前記トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域では、各溝深さが実質上同一である、ことを特徴としている。
【0113】次に、請求項21に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0114】トレッドのタイヤ赤道面を中心としてトレッドペリフェリ幅の50%の範囲内の領域において、各溝深さを実質上同一とすることで、該領域内の陸部剛性のレベルを同等とし、また、溝深さ変化による排水性低下を避けることができる。
【0115】請求項22に記載の発明は、請求項1乃至請求項21の何れか1項に記載の二輪車用空気入りタイヤにおいて、ラジアル構造である、ことを特徴としている。
【0116】次に、請求項22に記載の二輪車用空気入りタイヤの作用を説明する。
【0117】二輪車用空気入りタイヤをラジアル構造とすることにより、アスファルト路における耐摩耗性に効果的となる。
【0118】なお、本発明において、標準リムとはJATMA(日本自動車タイヤ協会)のYear Book2002年度版規定のリムであり、標準空気圧とはJATMAのYear Book2002年度版の最大負荷能力に対応する空気圧であり、標準荷重とはJATMAのYear Book2002年度版の最大負荷能力に相当する荷重である。
【0119】日本以外では、荷重とは下記規格に記載されている適用サイズにおける最大荷重(最大負荷能力)のことであり、空気圧とは下記規格に記載されている単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムとは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、”Approved Rim"、”ecommended Rim")のことである。
【0120】規格は、タイヤが生産又は使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では、”The Tire and Rim Association Inc.のYear Book ”であり、欧州では”The European Tire and Rim Technical OrganizationのStandards Manual”である。
【0121】なお、使用地又は製造地において、TRA規格、ETRTO規格が適用される場合は各々の規格に従う。
【0122】本発明において「接地面」とは、タイヤを標準リムに装着し、標準空気圧とし、静止した状態で平板に対し垂直に置き、標準荷重を加えたときのタイヤ接触面をいう。
【0123】本発明において「接地長」とは上記「接地面」のタイヤ周方向長さであり、「接地幅」とは上記「接地面」のタイヤ軸方向長さである。
【0124】また、本発明において「トレッドペリフェリ幅」とは、タイヤを回転軸に沿った断面で見たときの、タイヤ最大幅部の一端から他端までの踏面に沿って計測したトレッドの幅寸法である。
【0125】
【発明の実施の形態】本発明の二輪車用空気入りタイヤの一実施形態を図1乃至図4にしたがって説明する。
【0126】本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10は、タイヤサイズが180/55ZR17であり、図2に示すように、タイヤ赤道面CLに対して交差する方向に延びるコードが埋設された第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14からなるカーカス16を備えている。
【0127】第1のカーカスプライ12及び第2のカーカスプライ14は、各々両端部分がビード部18に埋設されているビードコア20の周りに、タイヤ内側から外側へ向かって巻き上げられている。
【0128】カーカス16のタイヤ半径方向外側には周方向ベルト層22が設けられている。
【0129】周方向ベルト層22のタイヤ径方向外側には、トレッド24が配置されている。
【0130】タイヤ赤道面CL部分のトレッドクラウン半径Rは70〜200mmの範囲内である。
【0131】トレッド24の最大径部分からトレッド端24E(タイヤ最大幅部)までのタイヤ径方向に計測した落ち高をTH、トレッド24のタイヤ最大幅をSWとしたときに、TH/SWが0.25〜0.45の範囲内であることが好ましい。
【0132】図1に示すように、この二輪車用空気入りタイヤ10の接地面26の接地長L26は、接地幅W26の200〜250%の範囲内とすることが好ましく、接地面26は長軸がタイヤ周方向に向く略楕円形状であることが好ましい。
【0133】ここで、本実施形態では、「トレッドクラウン半径R/タイヤ最大幅SW」を外輪郭フラットネスとしている。また、タイヤ赤道面CLを中心としてトレッドペリフェリ幅TWの30〜50%の範囲内の領域をトレッド中央領域24C、トレッド中央領域24Cのタイヤ幅方向外側の領域をトレッド側領域24Sとしている。
【0134】なお、トレッド中央領域24Cでの外輪郭フラットネスは0.4〜0.7の範囲内にあることが好ましく、トレッド側領域24Sでの外輪郭フラットネスは0.2〜0.7の範囲内にあることが好ましい。
【0135】本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10のトレッド24には、タイヤ軸方向中央部分にタイヤ周方向に沿ってジグザグ状に延び、かつ互いに平行とされた一対のジグザグ周方向溝28が設けられている。
【0136】このため、トレッド24のタイヤ赤道面CL上には、一対のジグザグ周方向溝28によりタイヤ周方向に連続してジグザグ状に延びる中央連続周リブ30が区画されている。
【0137】図3に示すように、中央連続周リブ30の幅W30は、二輪車用空気入りタイヤ10を標準リムに装着し、標準空気圧を充填し、かつキャンバー角0度の状態で標準荷重を掛けたときの接地面26の接地幅W26の20〜50%の範囲内であることが好ましい。
【0138】ジグザグ周方向溝28は、互いに逆方向に傾斜する直線状の辺をタイヤ周方向に交互に連結したジグザグ形状である。
【0139】ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状の振幅Aは、上記接地面26の接地幅W26の50〜100%の範囲内にあることが好ましい。
【0140】また、ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状の振幅Aは、中央連続周リブ30の幅W30の30〜150%の範囲内であることが好ましい。
【0141】ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状の1/2波長λ/2は、上記接地面26の接地長L26の50〜150%の範囲内にあることが好ましい。
【0142】図1に示すように、ジグザグ周方向溝28のタイヤ幅方向両側には、トレッド端24Eからタイヤ赤道面CLに向って延びると共にジグザグ周方向溝28に接続することなくジグザグ周方向溝28の近傍で終端し、かつタイヤ赤道面CL側の端部がトレッド端24E側の端部よりもタイヤ回転方向側(矢印A方向側)に位置するようにタイヤ幅方向に対して傾斜する一対の傾斜溝32が、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0143】以後、本実施形態では、傾斜溝32のうち、トレッド中央領域24Cに配置されてタイヤ周方向に対する角度が比較的小さい部分を急傾斜溝部32A、トレッド側領域24Sに配置されてタイヤ周方向に対する角度が急傾斜溝部32Aの角度よりも大きい部分を緩傾斜溝部32Bとする。
【0144】ここで、急傾斜溝部32Aのタイヤ周方向に対する角度θAは、0〜20度の範囲内が好ましい。
【0145】一方、緩傾斜溝部32Bは、タイヤ周方向を基準としてタイヤ回転方向側からタイヤ軸方向外側へ計測する角度θBは90〜150度の範囲内であることが好ましい。
【0146】本実施形態では、急傾斜溝部32Aは略直線形状であり、緩傾斜溝部32Bは略円弧形状である。
【0147】急傾斜溝部32Aと緩傾斜溝部32Bとは、図1に示すように徐々に傾斜を変化させながら滑らかに接続することが好ましい。
【0148】ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状を形成する直線状の辺と相面するように、急傾斜溝部32Aのタイヤ赤道面CLの主用部(本実施形態において、タイヤ赤道面CL側の端部からトレッド端側へ急傾斜溝部32Aの全長の少なくとも20%の部分)が配置されている。
【0149】さらに、各傾斜溝32は、タイヤ周方向に隣接する急傾斜溝部32A同士がタイヤ幅方向に一部分オーバーラップするように配置されており、ジグザグ周方向溝28のタイヤ幅方向外側には、ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状を形成する直線状の辺と急傾斜溝部32Aとの間に形成されタイヤ軸方向の幅が略均一な第1の縦長陸部34と、ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状を形成する直線状の辺と急傾斜溝部32Aとの間に形成されタイヤ軸方向の幅がタイヤ回転方向とは反対方向に向うにしたがって徐々に幅広となる第2の縦長陸部36とが、タイヤ周方向に交互に連結配置されている。
【0150】第1の縦長陸部34を形成している急傾斜溝部32Aは、ジグザグ周方向溝28の相面する辺と同方向に傾斜させ、第2の縦長陸部36を形成している急傾斜溝部32Aは、ジグザグ周方向溝28の相面する辺と逆方向に傾斜させ、さらに第2の縦長陸部36のタイヤ周方向の長さを第1の縦長陸部34よりも短く設定することが好ましい。
【0151】なお、図中の二点鎖線37は、第1の縦長陸部34と第2の縦長陸部36との境界線である。
【0152】第1の縦長陸部34を形成している傾斜溝32の全長(溝に沿って計測した長さ)は、第2の縦長陸部36を形成している傾斜溝32の全長(溝に沿って計測した長さ)より5〜20%長いことが好ましい。
【0153】また、図3に示すように、少なくとも2つの溝で挟まれる各陸部の最小幅Wminは略同等(幅の差が±20%以内)であることが好ましい。
【0154】第1の縦長陸部34のタイヤ回転方向側の端部の幅(本実施形態では最小幅)及び第2の縦長陸部36のタイヤ回転方向側の端部の幅(本実施形態では最小幅)は、中央連続周リブ30の幅W30の50〜120%の範囲内にあることが好ましい。
【0155】図1に示すように、一対の傾斜溝32は、タイヤ赤道面CLを挟んで一方の傾斜溝32のタイヤ赤道面CL側の端部(終端部)と、他方の傾斜溝32のタイヤ赤道面CL側の端部(終端部)とをタイヤ周方向に位相差を設けて配置し、タイヤ周方向に隣接する他の一対の傾斜溝32とは、位相差が相反する方向に設定することが好ましい。なお、一対の傾斜溝32は、タイヤ赤道面CLを挟んで一方の傾斜溝32のトレッド端24E側の端部と、他方の傾斜溝32のトレッド端24E側の端部とは、タイヤ周方向に対して実質上位相差は付けられていない。
【0156】一方の傾斜溝32と他方の傾斜溝32との位相差としては、1ピッチを360度としたときに135〜225度程度が好ましい。
【0157】図4に示すように、傾斜溝32は、踏面に立てた法線HLに対する溝踏み込み側(陸部で考えると、陸部蹴り出し側。)の溝壁32a(タイヤ幅方向外側の溝壁)の角度θINが0〜45°の範囲内、踏面に立てた法線HLに対する溝蹴り出し側(陸部で考えると、陸部踏み込み側)の溝壁32b(タイヤ幅方向内側の溝壁)の角度θOUTが0〜45°の範囲内であることが好ましく、かつ、溝踏み込み側の溝壁32aの角度θINが溝蹴り出し側の溝壁32bの角度θOUTよりも小さいことが好ましい。
【0158】図1に示すように、タイヤ周方向の傾斜溝32間には、トレッド端24Eからタイヤ赤道面CL側へ延びてトレッド中央領域24Cとトレッド側領域24Sとの境界付近にて終端すると共に、隣接する傾斜溝32と略平行な補助傾斜溝38を1または2本設けることが好ましい。本実施形態では、タイヤ周方向の傾斜溝32間に補助傾斜溝38が等間隔で2本設けられている。
【0159】なお、ジグザグ周方向溝28以外の溝、本実施形態では、傾斜溝32、及び補助傾斜溝38は、溝幅が実質状同一(溝幅の差が±20%以内)であり、かつジグザグ周方向溝28の溝幅の60〜80%の範囲内の溝幅を有していることが好ましい。
【0160】トレッド端24Eにおける溝の周方向ピッチ長Pは、上記接地長L26の20〜50%の範囲内であることが好ましい。
【0161】トレッド24のタイヤ赤道面CLを中心としてトレッドペリフェリ幅TWの50%の範囲内の領域では、各溝深さが実質上同一(溝深さの差が±5%以内)であることが好ましい。
【0162】トレッド24のタイヤ赤道面CLを中心としてトレッドペリフェリ幅TWの50%の範囲内の領域でのネガティブ率は30〜40%の範囲内、該領域のタイヤ幅方向外側の領域でのネガティブ率は20〜30%の範囲内であることが好ましい。
【0163】(作用)次に、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10の作用を説明する。
【0164】本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10では、トレッド中央領域24Cに一対のジグザグ周方向溝28を設けたので、ウエット路面走行時(直進時〜小キャンバー角時)の排水性が確保される。
【0165】また、ジグザグ周方向溝28には振幅があるため、あるキャンバー角を境にして接地面からジグザグ周方向溝28が一気に離脱することは無く、ウエット操縦安定性の低下が抑えられる。
【0166】ウエット路面走行時、更にキャンバー角が大きくなるような場合には、左右何れかの傾斜溝32の急傾斜溝部32Aが接地面内に入り、接地面内の水は傾斜溝32を介して排水されウエット性能が確保される。
【0167】なお、傾斜溝32、及び補助傾斜溝38は、タイヤ赤道面CL側の端部がトレッド端側の端部よりもタイヤ回転方向側に位置するようにタイヤ幅方向に対して傾斜しており、これによりトレッド24には所謂方向性パターンが形成されているので、地面内の水をスムーズに取り入れてタイヤ軸方向外側へ排出することができる。
【0168】トレッド中央領域24Cには、ジグザグ周方向溝28と急傾斜溝部32Aのみが配置されており、所謂ラグ溝成分が無いので、トレッド中央領域24Cの中央連続周リブ30、第1の縦長陸部34、及び第2の縦長陸部36は周方向剛性が高くなる。このため、トレッド中央領域24Cの耐摩耗性が高くなると共に、トレッド中央領域24Cを接地させて走行する際のトラクション性が高くなる。
【0169】さらに、ジグザグ状の中央連続周リブ30は、タイヤ幅方向のエッジ成分を有しているため、周方向に直線状に延びるリブを設けた場合よりも高い制駆動力が得られる。
【0170】傾斜溝32の急傾斜溝部32Aのタイヤ赤道面側の主用部を、ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状を形成する各辺と相面して配置したので、急傾斜溝部32Aの主用部とジグザグ周方向溝28との溝間隔が一定となり、急傾斜溝部32Aの主用部とジグザグ周方向溝28との間の陸部の剛性を均一にすることができる。
【0171】急傾斜溝部32Aと、タイヤ周方向に隣接する他の傾斜溝32の急傾斜溝部32Aとをタイヤ幅方向に一部分オーバーラップさせたので、ジグザグ周方向溝28と急傾斜溝部32A、及び急傾斜溝部32Aと隣接する急傾斜溝部32Aとの最小溝間隔を同等とし、剛性段差を少なくすることができる。
【0172】トレッド側領域24Sには、タイヤ周方向に対する角度が急傾斜溝部32Aよりも大きく設定された緩傾斜溝部32B、及び補助傾斜溝38を配置したので、大キャンバー角でのコーナリング時の入力に対して緩傾斜溝部32B及び補助傾斜溝38によって区画される陸部40の剛性が確保され、トレッド側領域24Sの耐摩耗性が向上する。
【0173】第1の縦長陸部34を形成している急傾斜溝部32Aを、ジグザグ周方向溝28の相面する辺と同方向に傾斜させることにより、第1の縦長陸部34はタイヤ軸方向の幅をタイヤ周方向に略一様にすることができるが、第2の縦長陸部36を形成している急傾斜溝部32Aを、ジグザグ周方向溝の相面する辺と逆方向に傾斜させることにより、第2の縦長陸部36のタイヤ軸方向の幅は、タイヤ回転方向と反対方向へ向うにしたがって広くなる。
【0174】しかしながら、本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10では、第2の縦長陸部36のタイヤ周方向の長さL36を第1の縦長陸部34のタイヤ周方向の長さL34よりも短くしたので、第2の縦長陸部36のタイヤ軸方向の幅W36の周方向変動が小さくなり、その結果、タイヤ軸方向に隣り合う陸部相互間の陸部剛性の変動が抑制され、操縦安定性が確保される。
【0175】タイヤ赤道面CLを挟んで一方の傾斜溝32と他方の傾斜溝32とをタイヤ周方向に位相差を設けるように一対の傾斜溝32を配置し、かつタイヤ周方向に隣接する他の一対の傾斜溝32とは、位相差を相反する方向に設定したので、同位相で並んでいる場合と比較して、接地領域内の転動によるネガティブ率の変動を抑えることができる。
【0176】タイヤ周方向の傾斜溝32間に、補助傾斜溝38を2本設けたので、大キャンバー角を与えた際の排水性を確保することができる。
【0177】タイヤ周方向の傾斜溝32間に2本の補助傾斜溝38を等間隔で設けたので、傾斜溝32と補助傾斜溝38との溝間隔、及び補助傾斜溝38と補助傾斜溝38との溝間隔が略一定となり、陸部の剛性段差を小さくすることが出来る。
【0178】各陸部の最小幅を略同等としたので、局部的な剛性の弱いところが無くなり、陸部剛性段差を小さくすることができる。
【0179】急傾斜溝部32Aと緩傾斜溝部32Bとを滑らかに接続したので、トレッド端24Eへ向けてスムーズに水を流すことができる。
【0180】第1の縦長陸部34を形成している傾斜溝32の全長を、第2の縦長陸部36を形成している傾斜溝32の全長より5〜20%長くすることにより、第1の縦長陸部34と第2の縦長陸部36の剛性を略同等にすることができる。
【0181】なお、ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状の振幅Aが接地幅W26の50%未満になると、コーナリングに際し、キャンバー角度が増加してジグザグ周方向溝28が接地面から離脱してゆく時、あるキャンバー角を境にして中央連続周リブ30のエッジが一気に接地面から離脱し易くなる傾向となり、ウエット操縦安定性が不十分となる虞がある。
【0182】一方、ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状の振幅Aが接地幅W26の100%を越えると、ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状の屈曲度が大きくなり過ぎて周方向に向けての排水性が悪化し、排水性が不十分となる虞がある。さらに、ジグザグ周方向溝28が接地面26の外側にはみ出す度合いが増えて、周方向にかけての排水効果が不安定に変動してウエット操縦安定性が悪化する虞がある。
【0183】中央連続周リブ30の幅が接地幅の20%未満になると、中央連続周リブ30の陸部剛性が不足し、直進走行安定性、小キャンバー角度でのコーナリング時の操縦安定性、及び耐摩耗性等が劣る虞がある。
【0184】一方、中央連続周リブ30の幅が接地幅の50%を越えると、キャンバー角0度及び小キャンバー角度における接地面内の溝容積が減少し、特に高速直進走行時の周方向排水性が確保出来なくなる虞があり、ウエット操縦安定性が劣る虞がある。
【0185】緩傾斜溝部32Bの、タイヤ回転方向側から計測するタイヤ周方向に対する角度が90度未満になると、トレッド側領域24Sが接地する大キャンバー角時に、溝方向が排水方向と逆行するため、ウエット操縦安定性が劣る虞がある。
【0186】一方、緩傾斜溝部32Bの、タイヤ回転方向側から計測するタイヤ周方向に対する角度が150度を越えると、トレッド側領域24Sが接地する大キャンバー角時に、緩傾斜溝部32B間の陸部分の入力方向に面するエッジ部の長さが増え、該陸部分の剛性の弱さが表れ、ウエット操縦安定性が劣る虞がある。
【0187】トレッド中央領域24Cにおいて、ジグザグ周方向溝28以外の溝(傾斜溝32)の溝幅がジグザグ周方向溝28の溝幅の60%未満であると、溝幅が狭過ぎて特に高速走行時の排水性に劣る虞がある。
【0188】一方、トレッド中央領域24Cにおいて、ジグザグ周方向溝28以外の溝(傾斜溝32)の溝幅がジグザグ周方向溝28の溝幅の80%を越えると、ネガティブ率が大きくなり過ぎてトレッド剛性が低下し、耐摩耗性が低下する虞がある。
【0189】トレッド端24Eにおける溝の周方向ピッチ長Pが接地長L26の20%未満では、トレッド端24Eに開口する溝(傾斜溝32、補助傾斜溝38)により区画される陸部40の周方向寸法が狭過ぎて剛性が低下し、耐摩耗性に劣る虞がある。
【0190】一方、トレッド端24Eにおける溝(傾斜溝32、補助傾斜溝38)の周方向ピッチ長Pが接地長L26の50%を越えると、接地面内に配置される溝の容積率が低下して耐排水性に劣る虞がある。
【0191】第1の縦長陸部34のタイヤ回転方向側の端部の幅(本実施形態では、最小幅)、及び第2の縦長陸部36のタイヤ回転方向側の端部の幅(本実施形態では、最小幅)が、中央連続周リブ30の幅W30の50%未満になると、陸部剛性が低くなり過ぎて耐摩耗性、操縦安定性が劣る虞がある。
【0192】一方、第1の縦長陸部34のタイヤ回転方向側端部の幅、及び第2の縦長陸部36のタイヤ回転方向側端部の幅が、中央連続周リブ30の幅W30の120%を越えると、中央連続周リブ30との剛性段差が急増し、キャンバー角の変化時に操縦安定性が不安定になって好ましくない。
【0193】また、急傾斜溝部32Aの終端部におけるタイヤ周方向に対する角度θAが20度を越えると、ジグザグ周方向溝28との間隔が広くなりすぎる部分が生じ、剛性段差が発生する虞がある。
【0194】ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状の振幅Aが、中央連続周リブ30の幅の250%未満になると、コーナリングに際し、キャンバー角度が増加してジグザグ周方向溝28が接地面から離脱してゆく時、あるキャンバー角を境にして中央連続周リブ30のエッジが一気に接地面から離脱し易くなる傾向となり、ウエット操縦安定性が不十分となる虞がある。
【0195】一方、ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状の振幅Aが、中央連続周リブ30の幅の350%を越えると、ジグザグ周方向溝28のジグザグ形状の屈曲度が大きくなり過ぎて周方向に向けての排水性が悪化し、排水性が不十分となる虞がある。
【0196】さらに、ジグザグ周方向溝28が接地面の外側にはみ出す度合いが増えて、周方向にかけての排水効果が不安定に変動してウエット操縦安定性が悪化する虞がある。
【0197】TH/SWが0.25未満になると、接地面圧減少により排水性が悪化する虞があり、また、ハンドリングに重さが出過ぎることにより操縦安定性が低下する虞がある。
【0198】一方、TH/SWが0.45を越えると、接地面圧が上がり過ぎて耐摩耗性が低下する虞がある。
【0199】また、接地長L26が接地幅W26の200%未満になると、接地面圧が低くなり過ぎて耐ウエット性に劣る虞がある。
【0200】一方、接地長L26が接地幅W26の250%を越えると、接地面圧が高くなり過ぎて耐摩耗性に劣る虞がある。
【0201】トレッド24のタイヤ赤道面CLを中心としてトレッドペリフェリ幅TWの50%の範囲内の領域でのネガティブ率が30%未満になると、ネガティブ率が低過ぎて耐排水性に劣り、特に高速直進時の耐ウエット性に劣る虞がある。
【0202】一方、トレッド24のタイヤ赤道面CLを中心としてトレッドペリフェリ幅TWの50%の範囲内の領域でのネガティブ率が40%を越えると、ネガティブ率が高すぎて耐摩耗性に劣る虞がある。
【0203】また、トレッド24のタイヤ赤道面CLを中心としてトレッドペリフェリ幅TWの50%の範囲内の領域よりもタイヤ幅方向外側の領域でのネガティブ率が20%未満になると、ネガティブ率が低過ぎて排水性が低下する虞がある。
【0204】一方、トレッド24のタイヤ赤道面CLを中心としてトレッドペリフェリ幅TWの50%の範囲内の領域よりもタイヤ幅方向外側の領域でのネガティブ率が30%を越えると、ネガティブ率が高すぎて大キャンバー角時、横力がかかった時の耐摩耗性が低下する虞がある。
【0205】トレッド中央領域24Cでの外輪郭フラットネスが0.4未満になると、接地面圧が高くなり過ぎて耐摩耗性に劣る虞がある。
【0206】一方、トレッド中央領域24Cでの外輪郭フラットネスが0.7を越えると、接地面圧が低くなり過ぎて耐ウエット性に劣る虞がある。
【0207】また、トレッド側領域24Sでの外輪郭フラットネスが0.2未満になると、コーナリング時の接地面積が減少し過ぎて操縦安定性に劣る虞がある。
【0208】一方、トレッド側領域24Sでの外輪郭フラットネスが0.7を越えると、コーナリング時の接地面圧が低くなり過ぎて特に耐ウエット操縦安定性に劣る虞がある。
【0209】傾斜溝32の踏み込み側の溝壁32aの角度θINが0°以内になると、路面に接触する時の溝壁32aの剛性が低くなり過ぎて早期偏摩耗を生じ易くなる。
【0210】一方、傾斜溝32の踏み込み側の溝壁32aの角度θINが45°を越えると、路面に接触する時の有効なエッジ作用を得られず、ウエット操縦安定性に劣る虞がある。
【0211】また、傾斜溝32の蹴り出し側の溝壁32bの角度θOUTが0°以内になると、駆動時の入力に対する陸部剛性が低くなり過ぎ、耐摩耗性に劣る虞がある。
【0212】一方、傾斜溝32の蹴り出し側の溝壁32bの角度θOUTが45°を越えると、摩耗時の陸部の剛性変化が大きくなり、ウエット操縦安定性に劣る虞がある。
【0213】また、トラクション力は、踏み込み側の溝壁32aのエッジがしっかりと路面の水膜を破り、必要十分な陸部剛性により効果的に路面に伝達されるので、踏み込み側のエッジ部分32aEを鋭くする必要がある。
【0214】本実施形態の二輪車用空気入りタイヤ10では、踏み込み側の溝壁32aの角度θINを蹴り出し側の溝壁32bの角度θOUTよりも小さくしたので、踏み込み側のエッジ部分32aEが鋭くなって水膜を破り易くなり、ウエット路面走行時に大きなトラクション力を得ることができる。
【0215】トレッド24のタイヤ赤道面CLを中心としてトレッドペリフェリ幅TWの50%の範囲内の領域において、各溝深さを実質上同一としたので、該領域内の陸部剛性のレベルを同等とし、また、溝深さ変化による排水性低下を避けることができる。
【0216】二輪車用空気入りタイヤ10をラジアル構造とすることにより、アスファルト路における耐摩耗性に効果的となる。
(試験例)本発明の効果を確かめるために、本発明の適用さた実施例のタイヤ、従来例のタイヤ2種、及び比較例のタイヤ2種を用意し、ブレーキング時、コーナリング時、トラクション時のフィーリング評価の比較を行うと共に、耐久性の比較を行った。
【0217】以下に試験タイヤを説明する。
【0218】実施例のタイヤ:実施形態で説明した二輪車用空気入りタイヤである。
【0219】従来例1のタイヤ:図5に示すパターンを有する二輪車用空気入りタイヤである。
【0220】比較例1のタイヤ:図8に示すパターンを有する二輪車用空気入りタイヤである。図8に示すように、この比較例1のタイヤ400のトレッド402には、トレッド端からタイヤ赤道面CLに向けて延び、タイヤ赤道面CL付近で終端する第1の傾斜溝404と、第1の傾斜溝404よりも短い第2の傾斜溝406とがタイヤ周方向に交互に配置されている。また、タイヤ赤道面CLを挟んで一方の第1の傾斜溝404及び第2の傾斜溝406は、各々他方の第1の傾斜溝404及び第2の傾斜溝406に対して位相差を付けられている。
【0221】比較例2のタイヤ:図9に示すパターンを有する二輪車用空気入りタイヤである。図9に示すように、この比較例2のタイヤ500のトレッド502には、タイヤ幅方向中央にタイヤ周方向に沿って直線状に延びる一対の直線状周方向溝504が設けられている。さらに、直線状周方向溝504のタイヤ幅方向外側には、トレッド端からタイヤ赤道面CLに向けて延び、直線状周方向溝504付近で終端する第1の傾斜溝506が設けられており、タイヤ周方向の第1の傾斜溝506間には第1の傾斜溝506よりも短い第2の傾斜溝508が2本配置されている。また、タイヤ赤道面CLを挟んで一方の第1の傾斜溝506及び第2の傾斜溝508は、各々他方の第1の傾斜溝506及び第2の傾斜溝508に対して位相差を付けられている。
【0222】従来例2のタイヤ:図6に示すパターンを有する二輪車用空気入りタイヤである。
【0223】なお、これら試験タイヤの各部の比較は以下の表1内に記載した通りである。
【0224】次に、試験方法を説明する。
【0225】試験は、タイヤサイズ180/55ZR17の試験タイヤを17インチのリムに組み付け、内圧230KPa を充填し、実車の後輪に装着して行った。
【0226】ブレーキング試験、コーナリング試験、及びトラクション試験は、サーキットにおけるパネラーnフィーリング試験とした。
【0227】耐久性試験は、サーキットにおけるロングラン試験(Race Lap Run)であり、Race Lap=30(周回)、Race Distance=120kmとした。
【0228】なお、各テストの評価結果は、下記の表1に記載した通りである。また、評価の説明は表2に記載した通りである。
【0229】
【表1】

【0230】
【表2】

試験の結果から、本発明の適用された実施例の二輪車用空気入りタイヤは、ブレーキ、コーナリング、トラクション、摩耗耐久性の全てを高次元で両立させていることが分かる。
【0231】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の二輪車用空気入りタイヤは上記の構成としたので、耐摩耗性とウエット操縦安定性の両立を図ることができる、という優れた効果を有する。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
【出願日】 平成14年1月18日(2002.1.18)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2003−211917(P2003−211917A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−10896(P2002−10896)