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【発明の名称】 空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】佐口 隆成
【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内

【要約】 【課題】ラグ溝などの剛性的な不連続部分で発生するタイヤ車軸力の変動に対して逆方向の車軸力を発生させることにより、トレッド部の剛性的な不連続部分に起因するパターンノイズを低下するようにした空気入りタイヤを提供する。

【解決手段】トレッド部11の踏み面部Tに、タイヤ周方向に延びる少なくとも1本のリブ溝12が形成され、リブ溝12によって形成したリブ列Bの周方向に、タイヤ車軸力の変動を発生する剛性的な不連続部分13が形成された空気入りタイヤ10にあって、リブ溝12内に、不連続部分13で発生されるタイヤ車軸力の変動分を打ち消す剛性変化部分20を設けることにより、車軸の加振力を低減して、これに起因するパターンノイズを効果的に減少する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トレッド部の踏み面部に、タイヤ周方向に延びる少なくとも1本のリブ溝が形成され、このリブ溝によって形成されるリブ列の周方向に、タイヤ車軸力の変動を発生する剛性的な不連続部分が形成された空気入りタイヤにおいて、前記リブ溝内に、前記不連続部分で発生されるタイヤ車軸力の変動分を打ち消す剛性変化部分を設けたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】 請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記剛性変化部分は、前記リブ溝の壁面に形成されてトレッド圧縮剛性を増加する突出部であることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項3】 請求項1または2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記不連続部分は、リブ列の周方向に適宜間隔をもって形成され、タイヤ幅方向に延びるラグ溝であることを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、前記剛性変化部分は、前記不連続部分に対してタイヤ幅方向に相対する位置に設けられたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、前記不連続部分と前記剛性変化部分は、タイヤの接地ライン上に同時に存在することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、前記剛性変化部分は、前記不連続部分の所定数毎に対応させて設けられたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リブ溝によって形成されたリブ列の周方向にタイヤ車軸力の変動を発生する剛性的な不連続部分が形成された空気入りタイヤに関し、とりわけ、この不連続部分に起因する車室内の騒音を低減するようにした空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車等の車両に装着されるラジアルタイヤ等の空気入りタイヤでは、路面とのグリップ性能を高めるためにトレッド部が形成される。このトレッド部は、路面に接触する踏み面部にタイヤ周方向に延びる複数本のリブ溝(周方向溝)を形成して複数のリブ列を形成し、更に、このリブ列にタイヤ幅方向に延びる多数のラグ溝(横溝)を適宜間隔をもって形成することにより構成され、これらリブ溝とラグ溝とによってブロック(陸部)が形成されるようになっている。
【0003】ところで、このようなトレッド部のパターンに起因するパターンノイズを改善するためには、トレッド部のパターン、とりわけリブ溝とラグ溝とで囲まれたブロックが路面と接触することによる衝撃という考え方から、接地形状と溝の幾何学的な関係を変化させる等の手法が多用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかるタイヤのパターンに起因する騒音の中で問題となる現象の1つに、車両が走行中に車室内で聞こえる騒音(以下、パターンノイズと称する)がある。
【0005】このパターンノイズ現象は、タイヤが直接放射している成分も有するが、その周波数が1000Hz 以下であることから、タイヤが車軸を加振して車体が振動することにより発生する間接音の影響も大きいと考えられる。
【0006】この場合の間接音の原因は、タイヤの周方向に剛性的に不連続成分となるラグ溝に起因するタイヤ車軸力の変動として捉えることができる。つまり、ラグ溝が路面に接触した瞬間は、このラグ溝の空間が剛性の低下部分となって荷重が大きく低下し、タイヤ車軸力が大きく変動することになる。
【0007】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて成されたもので、ラグ溝などの剛性的な不連続部分で発生するタイヤ車軸力の変動に対して逆方向の車軸力を発生させることにより、トレッド部の剛性的な不連続部分に起因するパターンノイズを低下するようにした空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するために請求項1の発明は、トレッド部の踏み面部に、タイヤ周方向に延びる少なくとも1本のリブ溝が形成され、このリブ溝によって形成されるリブ列の周方向にタイヤ車軸力の変動を発生する剛性的な不連続部分が形成された空気入りタイヤにおいて、前記リブ溝内に、前記不連続部分で発生されるタイヤ車軸力の変動分を打ち消す剛性変化部分を設けたことを特徴としている。
【0009】この場合、リブ列に形成された不連続部分がタイヤ回転に伴って接地ラインに到達した場合、この不連続部分によってタイヤ車軸力が変動されるが、このタイヤ車軸力の変動分を、リブ溝内に設けた剛性変化部分によって打ち消すことができる。このため、前記不連続部分に起因するタイヤ車軸力の変動が前記剛性変化部分で抑制され、ひいては、車軸の加振力を低減して、これに起因するパターンノイズを効果的に減少することができる。
【0010】また、不連続部分によるタイヤ車軸力の変動を打ち消す剛性変化部分をリブ溝内に設けたことにより、この剛性変化部分がタイヤ表面から突出することが無いため、剛性変化部分が踏み面部の領域内に位置した場合にもタイヤ表面を滑らかに接地させることができる。
【0011】ここで、前記接地ラインとは、タイヤと路面との接地縁のことであり、タイヤを車両へ装着した状態で測定することができるが、タイヤ単体としては以下の状態で測定することも可能である。この場合、荷重は下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)であり、内圧は下記規格に記載されている適用サイズにおける単輪の最大荷重(最大負荷能力)に対応する空気圧のことであり、リムは下記規格に記載されている適用サイズにおける標準リム(または、Approved Rim 、Recommended Rim )のことである。
【0012】また、規格とは、タイヤが生産または使用される地域に有効な産業規格によって決められている。例えば、アメリカ合衆国では The Tire and Rim Association Inc. の Year Book であり、欧州では The European Tire and Rim TechnicalOrganization の Standards Manual であり、日本では日本自動車タイヤ協会のJATMA Year Book にて規定されている。
【0013】請求項2の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記剛性変化部分を、前記リブ溝の壁面に形成されてトレッド圧縮剛性を増加する突出部としたことを特徴としている。
【0014】この場合、リブ溝の壁面に突出部が形成されることにより、この突出部の形成部分でリブ列がタイヤ幅方向に増幅されて剛性を簡単に増大することができ、この剛性増大部分が接地された際にトレッド圧縮剛性が増加される。このとき、前記突出部を、リブ溝の壁面を突出させるという簡単な構造とすることができる。
【0015】請求項3の発明は、請求項1または2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記不連続部分は、リブ列の周方向に適宜間隔をもって形成されタイヤ幅方向に延びるラグ溝であることを特徴としている。
【0016】この場合、ラグ溝はリブ列に形成されるタイヤ幅方向の溝部分であって、空気入りタイヤの一般的なトレッドに設けられ、このラグ溝の空間が路面に接触した瞬間に剛性の低下部分となり、このラグ溝によって発生するタイヤ車軸力の変動を前記剛性変化部分によって抑制できる。
【0017】請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、前記剛性変化部分を、前記不連続部分に対してタイヤ幅方向に相対する位置に設けたことを特徴としている。
【0018】この場合、タイヤは、これの回転に伴って略タイヤ幅方向に順次連続して接地していくことになるが、剛性変化部分がタイヤ幅方向で不連続部分に相対することにより、これら剛性変化部分と不連続部分とは略同時に接地することになり、不連続部分で発生するタイヤ車軸力の変動分を安定的に打ち消すことができる。請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、前記不連続部分と前記剛性変化部分は、タイヤの接地ライン上に同時に存在することを特徴としている。
【0019】この場合、不連続部分と剛性変化部分とがタイヤの接地ライン上に同時に存在するため、剛性的な不連続部分が路面に接触した瞬間に同じタイミングで剛性変化部分の形成部分も接地し、剛性的な不連続部分で変動するタイヤ車軸力を高精度で打ち消すことができる。
【0020】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、前記剛性変化部分を、前記不連続部分の所定数毎に対応させて設けたことを特徴としている。
【0021】この場合、剛性変化部分を不連続部分の所定数毎に対応させた場合にも、タイヤ全体におけるタイヤ車軸力の変動低減効果をさほど低下することなく、剛性変化部分の形成総数を減少させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。
【0023】(基本構造)本実施形態を開示するにあたって、まず、図1から図7によって本発明の空気入りタイヤ10の基本構造を説明する。
【0024】図1はトレッド部11の要部を示す拡大図、図2はトレッド部11の要部斜視図、図3はリブ溝12に形成した突出部20の基本的な平面形状を示す要部拡大図、図4は前記突出部20の基本的な断面形状を示す要部拡大図、図5はトレッド部11の平面形状の寸法例を示す要部拡大図、図6はリブ溝12の断面形状の寸法例を一般部分(a)と突出部20の形成部分(b)で示す要部拡大図、図7はタイヤ車軸力の比較特性を示すグラフである。
【0025】即ち、本発明の空気入りタイヤ10のトレッド部11は、図1に示すようにトレッド部11の踏み面部Tに、タイヤ周方向Xに延びる少なくとも1本(通常は複数本)のリブ溝(周方向溝)12が形成され、このリブ溝12によってリブ列Bが形成されるとともに、このリブ列Bの周方向には、このリブ列Bをタイヤ幅方向Yに横切って、タイヤ周方向Xに対して剛性的な不連続部分となるラグ溝(横溝)13が適宜間隔をもって多数形成される。
【0026】そして、前記リブ溝12と前記ラグ溝13によって多数のブロック(陸部)14が形成され、これらブロック14の表面が図外の路面との接地面となる。尚、この基本例では、前記ラグ溝13はタイヤ周方向Xに対して若干傾斜して形成されるようになっており、かつ、隣接したリブ列Bに形成したラグ溝13がタイヤ幅方向Yに重ならないように、これら隣接したリブ列B,B間ではラグ溝13がタイヤ周方向Xにずれて形成されている。
【0027】前記空気入りタイヤ10は、前記踏み面部Tの境界に接地ラインKが形成されるが、この接地ラインKは走行時のタイヤ回転に伴って、矢印Uで示す図中上方に移動するものとする。この接地ラインKは、空気入りタイヤ10のタイヤ幅方向Yのセンター部分では車幅方向Yに延びている。
【0028】ここで、本発明にあっては、図2に示すように前記リブ溝12の壁面12aに、前記ラグ溝13で発生されるタイヤ車軸力の変動分を打ち消す剛性変化部分としての突出部20を形成してある。即ち、ラグ溝13は路面との間に空間部が形成され、従来の課題点としても記載したように、このラグ溝13が剛性の低下部分となってタイヤ車軸力を大きく低下する。
【0029】このとき、前記突出部20は、これを設けたリブ溝12を形成するリブ列Bに対して相対する側、つまり離れる側の壁面12aに形成される。また、突出部20は、図1ではラグ溝13を挟んで両側のリブ溝12の壁面12aに形成したが、いずれか一方のリブ溝12のみに形成することもできる。
【0030】また、前記突出部20の中心C1は、図1に示すように接地ラインKがラグ溝13に最初に接触する接触開始点P1を通る第1ライン位置K1と、最後にこのラグ溝13から離れる接触終了点P2を通る第2ライン位置K2と、の範囲Zに存在しておればよい。
【0031】図3,図4はトレッド部11に対する前記突出部20の形状およびその大きさを示し、図3に示すように突出部20は、先端に平坦面20aを設けて平面形状が略円弧状となるように前記壁面12aから突設されるとともに、図4に示すようにリブ溝12の底面12bからリブ溝12の開放部12cに向かって除々に突出量が減少して、断面が略三角形状となるように突設される。
【0032】このとき、図3,図4に示すようにリブ溝12のタイヤ表面の幅をW1、ラグ溝13のタイヤ表面の幅をW2とすると、突出部20のタイヤ周方向Xの長さWaは、0.5W2≦Wa≦4W2として設定することが好ましく、また、突出部20の突出量Wbは、0.05W1≦Wb≦0.5W1として設定することが好ましい。更に、リブ溝12の深さをD1とすると、突出部20の底面12bからの高さDcは、0.3D1≦Dc≦1.0D1として設定することが好ましい。
【0033】図5,図6は前記トレッド部11および突出部20の具体的な寸法例を示し、リブ溝12は幅W1および深さD1が共に8mmとなる断面正方形の溝形状とし、かつ、ラグ溝13も幅W2および深さ(符号無し)が共に8mmとなる断面正方形の溝形状として形成してある。このラグ溝13の傾斜角θは30度である。また、突出部20は長さWaが8mm、突出量Wbが3mm、高さDcが8mmとして形成してある。図5中CLはタイヤ幅方向Yのタイヤ赤道面を示す。
【0034】(作用)かかる構成になる空気入りタイヤ10では、トレッド部11の踏み面部Tに形成されたリブ溝12の壁面12aに、リブ列Bの周方向に適宜間隔をもって形成されたラグ溝13に対応させて突出部20を形成し、この突出部20を剛性変化部分として用いたので、リブ列Bは突出部20の形成部分でトレッド圧縮剛性を増加することができる。
【0035】従って、タイヤ回転に伴って接地ラインKにラグ溝13が到達した時点で発生するタイヤ車軸力の変動分(この場合、ラグ溝13が剛性低下部分となってタイヤ車軸力は減少される)を、前記突出部20によって打ち消すことができるため、ラグ溝13に起因するタイヤ車軸力の変動が突出部20で抑制でき、ひいては、車軸の加振力を低減して、これに起因するパターンノイズを効果的に減少することができる。これによって、走行中における車室内の静粛性を確保して乗り心地性を向上することができる。
【0036】また、前記突出部20がリブ溝12内に設けられることにより、この突出部20がタイヤ表面から突出することが無いため、突出部20が踏み面部Tの領域内に位置した場合にもタイヤ10表面を滑らかに接地させることができる。このため、前記突出部20によってタイヤ10に別の振動原因が発生するのを防止することができる。
【0037】更に、前記突出部20を前記ラグ溝13に対してタイヤ幅方向Yに相対する位置に設けたので、タイヤ10がこれの回転に伴って略タイヤ幅方向Yに順次連続して接地していく際に、突出部20とラグ溝13とは略同時に接地することになり、このラグ溝13で発生するタイヤ車軸力の変動分を突出部20の剛性変化部分で安定的に打ち消して、パターンノイズの低減効果を高めることができる。
【0038】更にまた、前記ラグ溝13と前記突出部20を、タイヤの接地ラインK上に同時に存在させたことにより、ラグ溝13が路面に接触した瞬間に同じタイミングで突出部20の形成部分も接地し、ラグ溝13で変動するタイヤ車軸力を高精度で打ち消すことができ、パターンノイズの抑制効果を著しく高めることができる。
【0039】また、本実施形態の空気入りタイヤ10では、剛性変化部分を、リブ溝12の壁面12aに形成されてトレッド圧縮剛性を増加する突出部20としたので、この突出部20を前記壁面12aを突出させるという簡単な構造とすることができるため、タイヤの加硫型枠の構造を大幅に複雑化することなく剛性変化部分を簡単に形成することができる。
【0040】次に、前記空気入りタイヤ10を、タイヤサイズ195/65R14 ,内圧200kPa ,荷重4kN として構成したものをタイヤ車軸力検出装置によって試験し、その結果を図7のグラフによって示す。
【0041】即ち、この試験は、■突出部20を設けないラグ溝16のみの場合(ピーク値F1で示す)と、■リブ溝12の片側の壁面12aのみに突出部20を設けた場合(ピーク値F2で示す)と、■リブ溝12の対向する両壁面12aに突出部20を設けた場合(ピーク値F3で示す)とをそれぞれ比較したもので、それぞれをP−P値で比較した場合にF1>F2>F3となり、■のラグ溝16のみの場合に比較して、■の突出部20を両壁面12aに設けた場合は40パーセントの改善効果が得られた。
【0042】(実施形態)以上説明した空気入りタイヤ10の基本的構成に基づいて、図8〜図14に示す第1〜第7実施形態によって具体的な空気入りタイヤ10a〜10gを開示する。
【0043】(第1実施形態)図8は本発明の第1実施形態の空気入りタイヤ10aのトレッド部11を示す底面図で、前記基本構造と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0044】この第1実施形態の空気入りタイヤ10aのトレッド部11は、タイヤ幅方向Yの中央部に3列のリブ列B1,B2,B3が設けられるとともに、両肩部分(幅方向Y両側部分)に幅広のリブ列B4,B5が設けられる。
【0045】この場合、中央部の3列のリブ列B1,B2,B3は、B1をセンターリブ、B2,B3をセカンドリブと称し、かつ、両肩部分のリブ列B4,B5をショルダーリブと称するものとする。勿論、各リブ列B1,B2,B3,B4,B5はタイヤ周方向Xに延びる複数のリブ列12で形成され、かつ、各リブ列B1,B2,B3,B4,B5には多数のラグ溝13が形成されており、これらリブ溝12およびラグ溝13によって多数のブロック14が形成され、この実施形態ではタイヤ周方向Xに60個のブロック14が配置されるようになっている。
【0046】尚、この実施形態ではセンターリブB1およびセカンドリブB2,B3に形成されるラグ溝13は一定方向に傾斜(傾斜角θ)されるが、ショルダーリブB4,B5に形成されるラグ溝13はタイヤ幅方向Yに平行に形成されている。
【0047】前記空気入りタイヤ10が接地した際の踏み面部Tの外周境界が接地ラインKとなり、この接地ラインKはタイヤ回転に伴って図中上方へと連続的に移動する。また、踏み面部Tのタイヤ幅方向Yの境界はショルダーリブB4,B5上に位置し、接地幅ラインKwが設定される。
【0048】ここで、この第1実施形態では前記各リブ列B1,B2,B3,B4,B5の各ラグ溝13に対応して突出部20が設けられるようになっており、各突出部20は各ラグ溝13に相対するリブ溝12の壁面12aに形成される。従って、この実施形態では各リブ溝12の両壁面12aにそれぞれ突出部20が設けられることになる。
【0049】また、突出部20は全てのラグ溝13に対応させて設けたことにより、各壁面12aのタイヤ周方向Xにはブロック14の個数に対応した60個の突出部20が設けられる。
【0050】ところで、前記突出部20の形成位置は、図1に示したようにそのラグ溝13に対して接地ラインKが接触開始点P1を通る第1ライン位置K1と、接触終了点P2を通る第2ライン位置K2との間に設定されるが、ショルダーリブB4,B5にあっては、接触開始点P1′はラグ溝13と接地幅ラインKwとの交点によって設定される。このことは以下の各実施形態において同様となる。尚、ショルダーリブB4,B5の接触終了点P2′は、中央部のリブ列B1,B2,B3と同様にラグ溝13と接地ラインKとの交点によって決定される。
【0051】(第2実施形態)図9は本発明の第2実施形態の空気入りタイヤ10bのトレッド部11を示す底面図で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0052】この第2実施形態の空気入りタイヤ10bのトレッド部11は、第1実施形態と同様の形状および数をもってリブ溝12およびラグ溝13が形成されるとともに、各リブ列B1,B2,B3,B4,B5にはタイヤ周方向Xに60個のブロック14が設けられている。
【0053】ここで、この第2実施形態では前記各リブ列B1,B2,B3,B4,B5の各ラグ溝13に対して1つ置きに突出部20が設けられ、各壁面12aのタイヤ周方向Xにはブロック14の個数の半数となる30個の突出部20が設けられることになる。
【0054】この場合、ブロック14の個数に対して半数となる突出部20は、センターリブB1およびセカンドリブB2,B3では、これら各リブB1,B2,B3に形成されたブロック14に対して1つ置きの両側に配置されている。
【0055】ところで、この第2実施形態では、タイヤ周方向Xに形成したラグ溝13の1つ置きに対応させて突出部20を設けたが、このように突出部20をラグ溝13の所定数毎に対応させた場合にも、タイヤ全体におけるタイヤ車軸力の変動低減効果をさほど低下することなく、突出部20の形成総数を減少させてタイヤのコスト低下を達成することができる。また、このことは次に示す第3実施形態にあっても同様である。
【0056】(第3実施形態)図10は本発明の第3実施形態の空気入りタイヤ10cのトレッド部11を示す底面図で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0057】この第3実施形態の空気入りタイヤ10cのトレッド部11にあっても、第1実施形態と同様の形状および数をもってリブ溝12およびラグ溝13が形成されるとともに、各リブ列B1,B2,B3,B4,B5にはタイヤ周方向Xに60個のブロック14が設けられている。
【0058】ここで、この第3実施形態では前記第2実施形態と同様に、各リブ列B1,B2,B3,B4,B5の各ラグ溝13に対して1つ置きに突出部20が設けられる。従って、各壁面12aのタイヤ周方向Xには、ブロック14の個数の半数となる30個の突出部20が設けられるが、これら突出部20は、各リブB1,B2,B3に形成されたブロック14の片側のみに配置される。
【0059】(第4実施形態)図11は本発明の第4実施形態の空気入りタイヤ10dのトレッド部11を示す底面図で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0060】この第4実施形態の空気入りタイヤ10dのトレッド部11にあっても、第1実施形態と同様の形状および数をもってリブ溝12およびラグ溝13が形成されるとともに、各リブ列B1,B2,B3,B4,B5にはタイヤ周方向Xに60個のブロック14が設けられている。
【0061】ここで、この第4実施形態では、ショルダーリブB4,B5に形成したラグ溝13のみに対応させて突出部20を設けるようになっており、従って、突出部20はセカンドリブB2,B3とショルダーリブB4,B5との間のリブ溝12であって、セカンドリブB2,B3側の壁面12aに形成されている。
【0062】また、この第4実施形態ではショルダーリブB4,B5の全てのラグ溝13に対応させて突出部20を設けたため、これら突出部20はタイヤ周方向Xに60個が設けられている。
【0063】(第5実施形態)図12は本発明の第5実施形態の空気入りタイヤ10eのトレッド部11を示す底面図で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0064】この第5実施形態の空気入りタイヤ10eのトレッド部11にあっても、第1実施形態と同様の形状および数をもってリブ溝12およびラグ溝13が形成されるとともに、各リブ列B1,B4,B5にはタイヤ周方向Xに60個のブロック14が設けられている。
【0065】ここで、この第5実施形態の空気入りタイヤ10eは、前記第4実施形態の空気入りタイヤ10dに設けたセカンドリブB2,B3に、ラグ溝13を形成することなくこれらセカンドリブB2,B3を連続した帯状として形成してある。
【0066】(第6実施形態)図13は本発明の第6実施形態の空気入りタイヤ10fのトレッド部11を示す底面図で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0067】この第6実施形態の空気入りタイヤ10fのトレッド部11にあっては、第1実施形態と同様にセンターリブB1、セカンドリブB2,B3、ショルダーリブB4,B5が設けられるが、特にこの第6実施形態では、ラグ溝13がセンターリブB1およびセカンドリブB2,B3のみに形成されて、ショルダーリブB4,B5にはラグ溝13が形成されないようになっている。尚、ショルダーリブB4,B5には、ラグ溝13に代えてサイプ15が形成されている。
【0068】そして、この第6実施形態ではセカンドリブB2,B3に形成したラグ溝13のみに対応させて突出部20を設けるようになっており、従って、突出部20はセカンドリブB2,B3とショルダーリブB4,B5との間のリブ溝12であって、ショルダーリブB4,B5側の壁面12aに形成されている。
【0069】また、この第6実施形態ではセカンドリブB2,B3の全てのラグ溝13に対応させて突出部20を設けたため、これら突出部20はタイヤ周方向Xに60個が設けられている。
【0070】(第7実施形態)図14は本発明の第7実施形態の空気入りタイヤ10gのトレッド部11を示す底面図で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0071】この第7実施形態の空気入りタイヤ10gのトレッド部11にあっては、第1実施形態と同様にセンターリブB1、セカンドリブB2,B3、ショルダーリブB4,B5が設けられるが、特にこの第7実施形態では、ラグ溝13がセカンドリブB2,B3およびショルダーリブB4,B5に形成されて、センターリブB1にはラグ溝13が形成されることなく連続した帯状として形成されている。
【0072】そして、この第7実施形態にあっても前記第6実施形態と同様に、セカンドリブB2,B3に形成したラグ溝13のみに対応させて突出部20を設けるようになっているが、この第7実施形態では突出部20は、センターリブB1とセカンドリブB2,B3との間のリブ溝12であって、センターリブB1側の壁面12aに形成されている。
【0073】また、この第7実施形態にあっても、セカンドリブB2,B3の全てのラグ溝13に対応させて突出部20を設けたため、これら突出部20はタイヤ周方向Xに60個が設けられている。
【0074】(各実施形態のトレッド部および突出部の寸法)ところで、前記第1〜第7実施形態に示した各空気入りタイヤ10a〜10gのトレッド部11および突出部20の具体的な寸法(図3,図4参照)は、各実施形態で共通しており、リブ溝12は幅W1および深さD1が共に8mm、ラグ溝13は幅W2および深さ(符号無し)が共に8mmとなる。また、突出部20は周方向長さWaが10mm、突出量Wbが3mm、高さDcが8mmとなっている。尚、中央部のリブ列B1,B2,B3のリブ幅は24mmとなっている。
【0075】(各実施形態の車室内騒音評価試験)次に、2000ccクラスの乗用車で、第1実施形態〜第7実施形態の空気入りタイヤ10a〜10g(タイヤサイズを195/65R14,内圧200kPaとする)をそれぞれ用いて、従来タイヤ対比の車室内騒音(パターンのピッチ1次周波数を含む400〜600Hz の帯域値)を個々に測定し、その結果を次表に示す。この場合、車室内騒音はドライバーの耳元音を基準に測定し、ドライバーの官能評価も併せて記載する。尚、乗用車の走行条件は、2名の乗車状態で、車速50Km/hにて平滑なコンクリート路を走行するものとする。
【0076】
【表1】

従って、前記表から車室内騒音は、第1実施形態で3.5dB、第2,第3実施形態で3dB、第4,第5実施形態で2.5dB、第6,第7実施形態で2dBの改良(低減)が認められ、かつ、ドライバーの官能評価では全ての実施形態において向上された。
【0077】ところで、前記各実施形態の突出部20はいかなる形状でも良く、トレッド圧縮剛性を増加できる形状であればよい。
【0078】また、本実施形態では剛性的な不連続部分としてタイヤ車軸力を減少するラグ溝13を問題としたことにより、剛性変化部分として剛性を増大する突起部20を設けた場合を開示したが、これに限ることなく前記不連続部分がスタッドピン等のように剛性を増大する場合は、剛性変化部分としてタイヤ剛性を低下する凹設部とすることができる。
【0079】更に、剛性変化部分は、突出部20や凹設部等の凹凸部分に限ることなく、その部分の材質を部分的に変化させることにより剛性を変化させることもできる。
【0080】また本発明の空気入りタイヤは前記各実施形態に限ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態をとることができる。
【0081】
【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、リブ溝内に、不連続部分で発生されるタイヤ車軸力の変動分を打ち消す剛性変化部分を設けたので、不連続部分に起因するタイヤ車軸力の変動を剛性変化部分で抑制することができ、ひいては、車軸の加振力を低減してこれに起因するパターンノイズを効果的に減少できるため、車室内の静粛性を確保して乗り心地性を向上することができる。また、不連続部分によるタイヤ車軸力の変動を打ち消す剛性変化部分をリブ溝内に設けたことにより、タイヤ表面を滑らかに接地させることができるため、前記剛性変化部分によって別の振動原因が発生するのを防止することができる。
【0082】請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、前記剛性変化部分を、前記リブ溝の壁面に形成されてトレッド圧縮剛性を増加する突出部としたので、リブ溝の壁面を突出させるという簡単な構造であるため、タイヤの加硫型枠の構造を大幅に複雑化することなく剛性変化部分を簡単に形成することができる。
【0083】請求項3に記載の発明によれば、請求項1,2の発明の効果に加えて、前記不連続部分が、リブ列の周方向に適宜間隔をもって形成されタイヤ幅方向に延びるラグ溝であるので、このラグ溝によって発生するタイヤ車軸力の変動を前記剛性変化部分によって抑制できるため、一般的な空気入りタイヤのパターンノイズを効率良く低減することができる。
【0084】請求項4に記載の発明によれば、請求項1〜3の発明の効果に加えて、前記剛性変化部分を、前記不連続部分に対してタイヤ幅方向に相対する位置に設けたので、これら剛性変化部分と不連続部分とを略同時に接地させることができるため、不連続部分で発生するタイヤ車軸力の変動分を安定的に打ち消して、パターンノイズの低減効果を高めることができる。
【0085】請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の発明の効果に加えて、前記不連続部分と前記剛性変化部分を、タイヤの接地ライン上に同時に存在させたので、剛性的な不連続部分が路面に接触した瞬間に同じタイミングで剛性変化部分の形成部分も接地させることができるため、剛性的な不連続部分で変動するタイヤ車軸力を高精度で打ち消すことができ、パターンノイズの抑制効果を著しく高めることができる。
【0086】請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の発明の効果に加えて、前記剛性変化部分を、前記不連続部分の所定数毎に対応させて設けたので、タイヤ全体におけるタイヤ車軸力の変動低減効果をさほど低下することなく、剛性変化部分の形成総数を減少させてタイヤのコスト低下を達成することができる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
【出願日】 平成14年1月18日(2002.1.18)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
【公開番号】 特開2003−211916(P2003−211916A)
【公開日】 平成15年7月30日(2003.7.30)
【出願番号】 特願2002−10747(P2002−10747)