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【発明の名称】 空気入りラジアルタイヤ
【発明者】 【氏名】清宮 眞二
【住所又は居所】神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株式会社平塚製造所内

【氏名】清水 倫生
【住所又は居所】神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム株式会社平塚製造所内

【要約】 【課題】高い操縦安定性と耐久性能を両立させることが可能な空気入りラジアルタイヤを提供する。

【解決手段】ビードコア5の近傍からタイヤ径方向外側に延びる2層のサイド補強層9が、スチールコードsがタイヤ周方向Tに対する傾斜方向を逆向きにして交差する内側サイド補強層9Aと外側サイド補強層9Bから構成されている。内側サイド補強層9Aは、ビードフィラー6とそれに隣接するカーカス層4Aの端部4aとの間に配置され、そのスチールコードsのタイヤ周方向Tに対する傾斜角度θAが15°〜70°になっている。外側サイド補強層9Bは、カーカス層4Aの端部4aのタイヤ外側に配置され、そのスチールコードsのタイヤ周方向Tに対する傾斜角度θBが50°〜70°の範囲に設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ビードフィラーを外周側に配置したビードコアを左右のビード部に埋設し、該ビード部間に少なくとも1層のカーカス層を装架し、該カーカス層の両端部を前記ビードコアの周りに前記ビードフィラーを挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返し、前記ビードコアの近傍からタイヤ径方向外側に延びる環状の2層のサイド補強層を埋設し、該サイド補強層をタイヤ周方向に対して傾斜配列したスチールコードをゴム被覆して形成した空気入りラジアルタイヤにおいて、前記2層のサイド補強層をスチールコードがタイヤ周方向に対する傾斜方向を逆向きにして交差する内側サイド補強層と外側サイド補強層から構成し、前記内側サイド補強層をスチールコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度を15°〜70°にして前記ビードフィラーと該ビードフィラーに隣接するカーカス層の端部との間に配置する一方、前記外側サイド補強層をスチールコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度を50°〜70°にして前記カーカス層の端部のタイヤ外側に配置した空気入りラジアルタイヤ。
【請求項2】 前記外側サイド補強層のスチールコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度を50°〜60°にした請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項3】 前記内側サイド補強層が前記外側サイド補強層よりタイヤ径方向外側に延在する請求項1または2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項4】 前記内側サイド補強層の外周端の位置をタイヤ断面高さHの40%〜60%にした請求項3に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項5】 前記ビードフィラーの外周端を前記内側サイド補強層の高さの80%以下に位置させた請求項1,2,3または4に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項6】 前記カーカス層の両端部をトレッド部の前記カーカス層外周側に配置したベルト層の内周側まで延設した請求項1,2,3,4または5に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【請求項7】 前記カーカス層を2層から構成し、内側のカーカス層の両端部を前記ビードコアの周りに前記ビードフィラーを挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返し、外側のカーカス層の両端部をビードコアのタイヤ外側から内周側まで延設し、前記外側サイド補強層を前記内側のカーカス層と前記外側のカーカス層との間に配置した請求項1,2,3,4,5または6に記載の空気入りラジアルタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気入りラジアルタイヤに関し、更に詳しくは、高い操縦安定性と耐久性能を両立させるようにした空気入りラジアルタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】空気入りラジアルタイヤにおいて、従来、操縦安定性を改善するため、例えば、ビード部からサイドウォール部にかけて、ビードコアの近傍からタイヤ径方向外側に延びるサイド補強層を埋設するようにした技術が提案されている。
【0003】タイヤ周方向に対して低い角度で傾斜配列したスチールコードをゴム被覆してなる1層のサイド補強層または2層のサイド補強層を、ビードフィラーとビードコアの周りに折り返したカーカス層の端部との間に上記のように配置することで、タイヤのサイド部におけるタイヤ周方向剛性を増大させて、操縦安定性を高めるようにしている。
【0004】ところで、近年の車両の高性能化に伴い、操縦安定性を一層改善した空気入りラジアルタイヤが強く求められている。そこで、その対策として、上述したサイド補強層をスチールコードがタイヤ周方向に対する傾斜方向を逆向きにして交差するように積層配置することで、サイド補強層による補強効果を高めるようにすると、リフトが加わるタイヤ加硫成形時において、サイド補強層間に作用する大きな剪断力によりサイド補強層のスチールコードが角度変化してサイド補強層に剪断変形が発生し、その結果、サイド補強層に接するカーカス層の補強コードに波打ち現象を招き、それが原因で耐久性能が満足できないレベルまで低下する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い操縦安定性と耐久性能を両立させることが可能な空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発明は、ビードフィラーを外周側に配置したビードコアを左右のビード部に埋設し、該ビード部間に少なくとも1層のカーカス層を装架し、該カーカス層の両端部を前記ビードコアの周りに前記ビードフィラーを挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返し、前記ビードコアの近傍からタイヤ径方向外側に延びる環状の2層のサイド補強層を埋設し、該サイド補強層をタイヤ周方向に対して傾斜配列したスチールコードをゴム被覆して形成した空気入りラジアルタイヤにおいて、前記2層のサイド補強層をスチールコードがタイヤ周方向に対する傾斜方向を逆向きにして交差する内側サイド補強層と外側サイド補強層から構成し、前記内側サイド補強層をスチールコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度を15°〜70°にして前記ビードフィラーと該ビードフィラーに隣接するカーカス層の端部との間に配置する一方、前記外側サイド補強層をスチールコードのタイヤ周方向に対する傾斜角度を50°〜70°にして前記カーカス層の端部のタイヤ外側に配置したことを特徴とする。
【0007】このようにビードコアの近傍からタイヤ径方向外側に延びる2層のサイド補強層をそのスチールコードがタイヤ周方向に対する傾斜方向を逆向きにして交差するように配置することで、サイド補強層におけるタイヤ径方向剛性及びタイヤ周方向剛性を効果的に増大させることができるため、操縦安定性の改善が可能になる。
【0008】また、2層のサイド補強層を直接重ねて配置せずにカーカス層を介して配置するため、リフトが加わるタイヤ加硫成形時に2層のサイド補強層間に働く剪断力を緩和することができる一方、サイド補強層のスチールコードの傾斜角度を上述したように規定することで、サイド補強層における高い剛性を確保しながら、タイヤ加硫成形時のサイド補強層のスチールコードの角度変化を抑えることができ、その結果、サイド補強層に接するカーカス層の補強コードに生じる波打ち現象を抑制することができるため、満足できるレベル以上の耐久性能を確保することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】図1は、本発明の空気入りラジアルタイヤの一例を示し、1はトレッド部、2はサイドウォール部、3はビード部である。タイヤ内側には左右のビード部3間にタイヤ幅方向に沿って有機繊維コードからなる補強コードを配列したカーカス層4が2層装架され、内側のカーカス層4Aの両端部4aが、ビード部3に埋設され、ビードフィラー6を外周側に配置したビードコア5の周りに、ビードフィラー6を挟み込むようにしてタイヤ内側から外側に折り返されている。外側のカーカス層4Bの両端部4bは、折り返されたカーカス層端部4aに沿ってビードコア5のタイヤ外側から内周側まで延設されている。
【0011】トレッド部1のカーカス層4外周側には、複数(図では2層)のベルト層7が設けられている。このベルト層4の内周側まで、内側のカーカス層4Aの両端部4aが延設してある。ベルト層7の外周側には、有機繊維コードをタイヤ周方向に配列したベルト補強層8が配設されている。
【0012】ビード部3からサイドウォール部2にかけて、ビードコア5の近傍からタイヤ径方向外側に延びる環状の2層のサイド補強層9が埋設されている。2層のサイド補強層9は、図2に示すように、タイヤ周方向Tに対して傾斜配列したスチールコードsをゴム被覆して形成され、かつスチールコードsのタイヤ周方向Tに対する傾斜方向を逆向きにした内側サイド補強層9Aと外側サイド補強層9Bとから構成されている。
【0013】内側サイド補強層9Aは、ビードフィラー6とそれに隣接する内側のカーカス層4Aの端部4aとの間に配置され、タイヤ周方向Tに対して一方側に傾斜するスチールコードsのタイヤ周方向に対する傾斜角度θAが15°〜70°の範囲になっている。
【0014】外側サイド補強層9Bは、内側のカーカス層4Aと外側のカーカス層4Bとの間に配置され、タイヤ周方向Tに対して他方側に傾斜するスチールコードsのタイヤ周方向に対する傾斜角度θBが50°〜70°の範囲に設定されている。
【0015】上述した本発明の空気入りラジアルタイヤによれば、ビードコア5の近傍からタイヤ径方向外側に延びる2層のサイド補強層9A,9Bをスチールコードsがタイヤ周方向に対する傾斜方向を逆向きにして交差する構成にすることで、サイド補強層9のタイヤ径方向及び周方向剛性を効果的に高めることができるので、操縦安定性を向上することができる。
【0016】しかも、2層のサイド補強層9A,9Bを直接積層配置せずに、有機繊維コードを用いた補強コードを配列したカーカス層4Aの端部4aを介在させるようにして配置したので、リフトが加わるタイヤ加硫成形時において、サイド補強層9A,9B間に作用する剪断力を緩和することができ、また、サイド補強層9A,9Bのスチールコードsの傾斜角度θA,θBを上記のように特定することにより、サイド補強層9の高い剛性を確保しながら、リフトが加わるタイヤ加硫成形時のスチールコードsの角度変化を効果的に抑制することができる。そのため、サイド補強層9に接するカーカス層4の補強コードに生じる波打ち現象を低減することができるので、耐久性能の確保が可能になる。
【0017】従って、高い操縦安定性を確保しながら、耐久性能を満足させるレベルに維持することができ、高い操縦安定性と耐久性能を両立させることができる。
【0018】サイド補強層9A,9Bのスチールコードsの傾斜角度θA,θBが上記範囲を外れると、上述した効果を奏することが難しくなる。内側サイド補強層9Aのスチールコードsの傾斜角度θAを外側サイド補強層9Bのスチールコードsの傾斜角度θBより広い範囲にすることができるのは、内側サイド補強層9Aがその外側に配置されたタイヤ構成部材により拘束されるため、スチールコードsの角度変化が外側サイド補強層9Bよりも起こり難いためである。外側サイド補強層9Bのスチールコードsの傾斜角度θBは、好ましくは50°〜60°の範囲がよい。
【0019】本発明において、内側サイド補強層9Aの外周端9A1は、タイヤ断面高さHの40%〜60%の範囲に位置させるのがよい。この外周端9A1の位置がタイヤ断面高さHの40%よりタイヤ径方向内側にあると、タイヤ周方向剛性の低下を招く。逆に60%を越えると、剛性の高い内側サイド補強層9Aの外周端9A1がタイヤ径方向外側まで延在しすぎるため、耐久性の問題が生じる。内側サイド補強層9Aの内周端9A2の位置としては、ビードコア5の外周端5a位置からタイヤ径方向外側に10mmの位置までの範囲とするのがよい。内周端9A2が、ビードコア5の外周端5a位置よりタイヤ径方向外側に10mmを越えた位置にあると剛性の低下を招く。逆にビードコア5の外周端5a位置よりタイヤ径方向内側に位置しすぎると耐久性の低下につながる。
【0020】ビードフィラー6の外周端6aは、内側サイド補強層9Aの高さ(内側サイド補強層9Aの内周端9A2から外周端9A1までタイヤ径方向に沿って測る高さ)hの80%以下(80%の位置かそれよりもタイヤ径方向内側)に位置させるのが好ましい。ビードフィラー6の外周端6aの位置が、内側サイド補強層9Aの高さhの80%よりタイヤ径方向外側にあると、内側サイド補強層9Aの外周端9A1とビードフィラー6の外周端6aとが近くなり過ぎて、これらの箇所に応力集中を招き易くなる。ビードフィラー6の外周端6aの下限位置としては、内側サイド補強層9Aの高さhの50%以上がよい。
【0021】外側サイド補強層9Bの外周端9B1の位置としては、内側サイド補強層9Aの外周端9A1よりタイヤ径方向内側で、かつ内側サイド補強層9Aの高さhの50%以上にすることができる。内周端9B2の位置としては、ビードコア5の外周端5aよりタイヤ径方向外側に10mmの位置までの範囲とするのがよい。
【0022】外側サイド補強層9Bは、上記実施形態では、カーカス層4A,4Bの間に配置したが、それに代えて、外側のカーカス層4Bのタイヤ外側に埋設するようにしてもよい。
【0023】本発明は、特に、上述したようにカーカス層を2層設けた高性能車両に使用される乗用車用の空気入りラジアルタイヤに好ましく用いることができるが、それに限定されず、カーカス層を少なくとも1層有する空気入りラジアルタイヤにも好適に用いることができる。
【0024】
【実施例】タイヤサイズを235/40R17で共通にし、図1に示す構成のタイヤにおいて、内側サイド補強層と外側サイド補強層のスチールコードの傾斜角度θA,θBを表1,2のように変えた本発明タイヤ1〜7、比較タイヤ1〜5及び従来タイヤとをそれぞれ作製した。なお、従来タイヤは、2層のサイド補強層をビードフィラーと内側のカーカス層の端部間に配置したものである。
【0025】本発明タイヤ、比較タイヤ、及び従来タイヤ共に、内側サイド補強層の外周端は0.55Hに位置し、外側サイド補強層の外周端は0.50Hに位置している。
【0026】これら各試験タイヤをリムサイズ17×8JJのリムに装着し、以下に示す測定条件により、耐久性、タイヤ縦(径方向)剛性、タイヤ周(周方向)剛性、及び操縦安定性の評価試験を行ったところ、表1に示す結果を得た。
耐久性各試験タイヤに対し、JIS D4230による耐久性試験を実施し、その結果を比較タイヤ1を100とする指数値で評価した。この値が大きい程、耐久性が優れている。なお、105以上を顕著な効果ありとする。
タイヤ縦剛性各試験タイヤにおいて、空気圧を230kPa にして、4.0KNの垂直負荷荷重を与えた時の撓み量当たりの垂直負荷荷重を求め、その結果を比較タイヤ1を100とする指数値で評価した。この値が大きい程、タイヤ縦剛性が優れている。
タイヤ周剛性各試験タイヤにおいて、空気圧を230kPa にして、上記と同じ負荷荷重を与え、接地面に対して接線方向となる周方向負荷荷重を求め、その結果を比較タイヤ1を100とする指数値で評価した。この値が大きい程、タイヤ周剛性が優れている。
操縦安定性各試験タイヤの空気圧230kPa にして、3000ccの車両に装着し、テストコースにおいて、テストドライバーによるフィーリングテストを実施し、その結果を比較タイヤ1を100とする指数値で評価した。この値が大きい程、操縦安定性が優れている。なお、105以上を顕著な効果ありとする。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

表1,2から明らかなように、本発明タイヤは、高い操縦安定性を確保しながら、耐久性を105以上と大きく改善できることがわかる。
【0029】
【発明の効果】上述したように本発明は、2層のサイド補強層をスチールコードがタイヤ周方向に対する傾斜方向を逆向きにして交差する内側サイド補強層と外側サイド補強層から構成し、内側サイド補強層をビードフィラーとそれに隣接するカーカス層の端部との間に配置してそのスチールコードの傾斜角度を上記のように特定する一方、外側サイド補強層をカーカス層の端部のタイヤ外側に配置してそのスチールコードの傾斜角度を上述した範囲に設定するため、高い操縦安定性と耐久性能を両立させることが可能になる。
【出願人】 【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
【住所又は居所】東京都港区新橋5丁目36番11号
【出願日】 平成13年12月14日(2001.12.14)
【代理人】 【識別番号】100066865
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 信一 (外2名)
【公開番号】 特開2003−182320(P2003−182320A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−381117(P2001−381117)