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【発明の名称】 タイヤおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】中寺 恵一
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】プライトッピング工程における加工性の低下を招くことなく、加硫時間の短縮されたタイヤを提供する。

【解決手段】ゴム成分、硫黄、ベンゾチアジルスルフェンアミド類から選ばれた1種以上の1次加硫促進剤およびチウラム類から選ばれた1種以上の2次加硫促進剤からなるタイヤ用ゴム組成物を、タイヤのクリンチエイペックスまたはビードエイペックスに使用する。また、前記タイヤは、前記クリンチエイペックスまたはビードエイペックスとカーカスプライとを8時間以上接触させたのち、加硫することにより製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ゴム成分、硫黄、ベンゾチアジルスルフェンアミド類から選ばれた1種以上の1次加硫促進剤およびチウラム類から選ばれた1種以上の2次加硫促進剤からなるタイヤ用ゴム組成物を、クリンチエイペックスまたはビードエイペックスに使用したタイヤ。
【請求項2】 クリンチエイペックスまたはビードエイペックスとカーカスプライとを8時間以上接触させたのち、加硫する請求項1記載のタイヤの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、短時間で加硫できるタイヤおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】タイヤ製造工程における加硫工程は、未加硫ゴムを加硫ゴムに変えるという意味で性能面、品質面で重要な工程である。この加硫工程の加硫時間を短くすることは、生産性向上、省エネ(環境にやさしい)という面から推進されるべきであり、タイヤ製造工程において、重要な課題となっている。
【0003】従来行なわれている加硫時間を短縮する手法としては、a)ブラダーゲージを薄くする方法b)加硫温度を上げる方法などがある。
【0004】しかし、ブラダーゲージを薄くする方法a)の場合、ブラダーライフの低下という問題が生じる。
【0005】一方、加硫温度を上げる方法b)の場合、配合内容にもよるが(とくに天然ゴム系で顕著にみられる)リバージョンという現象がみられ、物性低下を招くので、加硫温度を上げすぎるのは好ましくない。
【0006】加硫時間を短縮するそのほかの手法として、使用する配合そのものを、加硫速度を速めることのできる配合とすることも有効な手法である。たとえば、現在の乗用車用タイヤにおいては、ビード部のプライトッピング配合の加硫が遅れる場合が多い。そこで、プライトッピング配合の加硫速度を速めるために、プライトッピング配合の加硫促進剤を特定のものとすることが有効である(特開平11−49897号公報)。しかしながら、使用配合の加硫速度を速める手法は、押し出し工程、トッピング工程での加工性の低下を招くという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プライトッピング工程における加工性の低下を招くことなく、加硫時間の短縮されたタイヤ、および、該タイヤの製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、ゴム成分、硫黄、ベンゾチアジルスルフェンアミド類から選ばれた1種以上の1次加硫促進剤およびチウラム類から選ばれた1種以上の2次加硫促進剤からなるタイヤ用ゴム組成物を、クリンチエイペックスまたはビードエイペックスに使用したタイヤに関する。
【0009】また、本発明は、クリンチエイペックスまたはビードエイペックスとカーカスプライとを8時間以上接触させたのち、加硫する前記タイヤの製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は、本発明のタイヤのビード部近辺の構成の一例を示す断面図である。図1において、1はクリンチエイペックス、2はビードエイペックス、3はカーカスプライ、4はチェーファー、5はインナーライナー、6はサイドウォール部、7はビードコアである。クリンチエイペックス1またはビードエイペックス2は、カーカスプライ3と隣接している。
【0011】本発明では、タイヤのカーカスプライプライに隣接する部分、すなわち、クリンチエイペックスまたはビードエイペックスに、ゴム成分、硫黄、ベンゾチアジルスルフェンアミド類から選ばれた1種以上の1次加硫促進剤およびチウラム類から選ばれた1種以上の2次加硫促進剤からなるゴム組成物を使用する。
【0012】プライよりも加工性の点で有利であるクリンチエイペックスまたはビードエイペックスに、移行性の高いチウラム系加硫促進剤を配合し、未加硫タイヤを成形したのち、所定の時間放置することにより、プライに隣接する部分(クリンチエイペックスまたはビードエイペックス)からプライ配合に加硫促進剤が移行し、プライ配合の加硫速度が速くなり、結果としてタイヤの加硫時間が短縮される。そのうえ、この方法では、プライトッピング工程の生産性低下は招かない。
【0013】前記ゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)およびスチレン−ブタジエンゴム(SBR)からなる群から選ばれた少なくとも1種をあげることができる。これらのゴム成分は、加硫速度の順でみると、普通、下記の順序となる。
【0014】(速い) NR>IR>BR>SBR (遅い)
【0015】したがって、加硫速度の遅いゴム成分に対して加硫促進剤をより有効に働かせるという観点からは、SBR配合が好ましい。他方、接着性向上などの点からは、NRを主体とすることが一般的であり、これにBRおよび/またはSBRを少量、たとえば、ゴム成分中に約30重量%配合することもできる。
【0016】前記硫黄の配合量は、好ましくはゴム成分100重量部に対して1〜5重量部であり、さらに好ましくは2〜3重量部である。硫黄の配合量が1重量部よりも少ないと、補強性が低下する傾向があり、5重量部をこえると、耐クラック性能に劣る傾向がある。
【0017】前記1次加硫促進剤は、加硫剤である硫黄の配合量を減らし、加硫時間を短縮し、加硫温度を低下させるために配合される成分であり、これ単独でも加硫促進効果を発揮する。1次加硫促進剤としては、加硫促進効果が高く、スコーチが安定している(スコーチ時間が長い)という点で、ベンゾチアジルスルフェンアミド類から選ばれた1種以上が用いられる。
【0018】ベンゾチアジルスルフェンアミド類としては、たとえば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)などがあげられる。
【0019】前記1次加硫促進剤の配合量は、好ましくはゴム成分100重量部に対して1〜5重量部であり、さらに好ましくは2〜3重量部である。1次加硫促進剤の配合量が1重量部よりも少ないと、加硫促進効果が不充分となる傾向があり、5重量部をこえると、スコーチが短くなりすぎる傾向がある。
【0020】前記2次加硫促進剤は、それ自身では充分な加硫促進効果を示さないが、前記1次加硫促進剤に対して、補助的な作用を示す。2次加硫促進剤としては、加硫促進効果が高く、移行性が高いという点でチウラム類から選ばれた1種以上が用いられる。
【0021】チウラム類としてはとくに限定されないが、移行性が高い点から、たとえば、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMTD)、テトラエチルチウラムジサルファイド(TETD)などが好ましい。
【0022】前記2次加硫促進剤の配合量は、好ましくはゴム成分100重量部に対して1〜3重量部であり、さらに好ましくは1〜2重量部である。2次加硫促進剤の配合量が1重量部よりも少ないと、加硫促進効果が充分でない傾向があり、3重量部をこえると、スコーチが短くなりすぎる傾向がある。
【0023】また、前記ゴム組成物には必要に応じて、たとえば、パラフィン系、ナフテン系、芳香族系などの鉱物油系軟化剤や、ジオクチルフタレート(DOP)、ジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルセパケート(DOS)、ジオクチルアジペート(DOA)などの可塑剤;酸化亜鉛、ステアリン酸などの加硫助剤;発泡剤;老化防止剤;ワックスなどの添加剤を配合することができる。これらの添加剤の配合割合はとくに限定がない。
【0024】前記ゴム組成物の製造方法としては、公知の方法を採用することができ、たとえば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練り装置を用いて、120〜150℃で、5〜10分間混練りする方法があげられる。
【0025】前記クリンチエイペックスまたはビードエイペックスは、前記ゴム組成物を押出し機を用いて押し出すことにより成形することができる。
【0026】カーカスプライのトッピング配合に用いられるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)などがあげられる。また、前記カーカスプライには前記ゴム成分のほかにも、硫黄、加硫促進剤などの添加剤を適宜配合してもよく、とくに限定されない。
【0027】カーカスプライのトッピング配合に用いられる硫黄の配合量は、前記カーカスプライのゴム成分100重量部に対して3〜4重量部であることが好ましい。硫黄の配合量が3重量部未満では補強性、接着性が不充分となる傾向があり、4重量部をこえると剛性が高くなりすぎ、耐クラック性能に劣る傾向がある。
【0028】カーカスプライのトッピング配合に用いられる加硫促進剤の量は、前記カーカスプライのゴム成分100重量部に対して2〜3重量部であることが好ましい。加硫促進剤の配合量が2重量部未満では加硫促進効果が不充分となる傾向があり、3重量部をこえるとスコーチが短くなりすぎる傾向がある。
【0029】カーカスプライのトッピング配合に用いられる加硫促進剤としては、たとえば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)などがあげられる。なかでも、加硫効果が大きい点で、CBSが好ましい。
【0030】また、前記カーカスプライは、トッピング配合を混練りし、カレンダー工程にてトッピングすることにより成形することができる。
【0031】未加硫タイヤは、未加硫タイヤの成形工程で、プライとクリンチエイペックスまたはビードエイペックスを接触させてから、好ましくは8時間以上、さらに好ましくは8〜12時間放置したのち加硫する。放置時間が8時間より短いと2次加硫促進剤の移行が不充分で加硫時間が短くならない傾向があり、12時間より長くても、それ以上移行しない傾向がある。なお、放置温度は、20〜30℃が好ましい。
【0032】本発明のタイヤは、成形されたクリンチエイペックスまたはビードエイペックスとカーカスプライを用いて、通常の方法により未加硫タイヤを成形し、加硫することにより得られる。加硫条件は、たとえば、100〜190℃で、8〜16分間とすることができる。加硫温度が100℃よりも低いと、加硫反応をおこさない傾向があり、190℃よりも高いと、配合によるが、リバージョン(物性低下)の傾向がある。
【0033】
【実施例】以下に実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0034】実施例1〜3および比較例1(原料)
天然ゴム(NR):RSS#3硫黄:軽井沢精錬所(株)製の粉末硫黄1次加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
2次加硫促進剤TMTD:大内新興化学工業(株)製のノクセラーTT(テトラメチルチウラムジサルファイド)
2次加硫促進剤TETD:大内新興化学工業(株)製のノクセラーTET(テトラエチルチウラムジサルファイド)
【0035】(加工方法)表1に示した配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーを用いて130℃で5〜10分間混練りして、各種供試ゴム組成物を得た。ついで、得られた各種供試ゴム組成物をクリンチエイペックスまたはビードエイペックスの形状に、押し出機を用いて成形した。
【0036】また、前記と同様の方法で混練りし、トッピングすることにより、カーカスプライ(ゴム成分:天然ゴム(NR)、硫黄の含有量:ゴム成分100重量部に対して3重量部、加硫促進剤の成分:加硫促進剤CZ、加硫促進剤の含有量:ゴム成分100重量部に対して3重量部)を成形した。
【0037】得られたクリンチエイペックスまたはビードエイペックスとプライを用いて未加硫タイヤを成形し、成形が終了した時点(プライとクリンチエイペックスまたはビードエイペックスが接触した時点)から、それぞれ室温で表1に示す時間放置した。所定時間放置した未加硫タイヤを、185℃で10分間加圧することにより、加硫タイヤを得た。
【0038】これらについて、以下に示す評価を行なった。結果を表1に示す。
【0039】(タイヤ加硫時間比)加硫タイヤのカーカスプライ部分のコード−加硫ゴム複合体のコードおよびトッピングゴム間の剥離試験を行なって、トッピングゴムの剥離面に空孔がみられなくなった最小時間を加硫時間とし、比較例1を100として指数表示をした。指数が小さい方が加硫時間が短いことを示す。
【0040】チウラム系の加硫促進剤を使用せず、また、未加硫タイヤを放置せずに加硫した比較例1(標準)と比べて、チウラム系の加硫促進剤を使用し、未加硫タイヤを放置したのち加硫した実施例1、2、3は、タイヤ加硫時間が短縮された。
【0041】
【表1】

【0042】
【発明の効果】本発明によれば、タイヤのクリンチエイペックスまたはビードエイペックスに移行性の高いチウラム系の加硫促進剤を配合し、未加硫タイヤを成形してから所定の時間放置したのち加硫することにより、プライトッピング工程における加工性の低下を招くことなく、短い加硫時間でタイヤを製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【出願日】 平成13年12月19日(2001.12.19)
【代理人】 【識別番号】100065226
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
【公開番号】 特開2003−182319(P2003−182319A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−386065(P2001−386065)