トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 タイヤ
【発明者】 【氏名】松本 忠雄
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】クラックの発生を防止しかつ泥はけ性を高めうるとともに、他の従来的な標章との間に、視認性に大きな強弱を付与できる。

【解決手段】サイドウォール表面2Sに、細溝6を並設することにより該細溝6、6間で立ち上がるリッジ状体7から形成されるセレーション3の装飾部4を形成する。装飾部4は、細溝6内に、この細溝6の深さhaを違えた表示溝部9を、標章5B又はその輪郭に沿って設けることにより、標章表示部10を形成した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】タイヤのサイドウォール表面に、細溝を並設することにより該細溝間で立ち上がるリッジ状体から形成されるセレーションからなりかつ周方向にのびる装飾部を形成するとともに、該装飾部は、前記細溝内に、この細溝の深さを違えた表示溝部を、前記サイドウォール表面に表示する標章又はその輪郭に沿って設けることにより、前記標章を表示する標章表示部を形成したことを特徴とするタイヤ。
【請求項2】前記表示溝部は、前記細溝よりも浅いことを特徴とする請求項1記載のタイヤ。
【請求項3】前記リッジ状体は、前記標章の輪郭に沿って形成されることにより該標章を強調する途切れ部を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のタイヤ。
【請求項4】前記装飾部は、前記サイドウォール表面から突出するリブ要素を、前記標章とは異なる凸標章に沿って設けることにより、前記凸標章を表示する非セレーションからなる凸標章表示部を形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、サイドウォール表面に、細溝を並設してなるセレーション模様の装飾部を設けたタイヤにおいて、その細溝内に深さを違えた表示溝部を設けることにより該表示溝部によって標章を表示させたタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術、及び発明が解決しようとする課題】タイヤのサイドウォール表面には、図7(A)、(B)に例示するように、文字、数字、図形などからなる標章aの視認性を高めるために、一般に、細溝bを並設することにより該細溝b、b間で立ち上がるリッジ状体cから形成されるセレーションからなる帯状の装飾部eを、標章aの背景として形成するとともに、前記標章aを、リッジ状体cよりもタイヤ外方に突出する高いリブ要素a1で構成し、このリブ要素a1の表面を平滑面、或いは装飾部eとは異なるセレーション模様で形成するなどの工夫が施されている。
【0003】しかしながら、サイドウォールは、走行に際して最も屈曲変形しやすい部位の一つであり、従って、リブ要素a1からなる従来の標章aを多用した場合には、屈曲疲労によって標章表面にクラック等が生じやすくなるため、見映えや耐久性の低下傾向を招く。また標章a内に、高いリブ要素a1で囲まれる袋状部dが形成されるため、泥はけ性が悪くなり、汚れが落ちにくいという問題もある。
【0004】又タイヤには、表示させる標章aとして、商標やメーカ名に加え、規格に基づき義務づけられたものなど多くのものがあるが、これら全てをリブ要素a1で形成した場合には、視認性に大きな強弱を付与することが難しく、全体として雑然とした外観となるなど、最も強調したい標章への視認性が逆に低下する傾向ともなっている。
【0005】そこで本発明は、リッジ状部の間の細溝内に、この細溝の深さを違えた表示溝部を、標章又はその輪郭に沿って設けることを基本として、クラック等の発生を防止しかつ泥はけ性を高めうるとともに、他の従来的な標章との間に、視認性に大きな強弱を付与することができるタイヤの提供を目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、タイヤのサイドウォール表面に、細溝を並設することにより該細溝間で立ち上がるリッジ状体から形成されるセレーションからなりかつ周方向にのびる装飾部を形成するとともに、該装飾部は、前記細溝内に、この細溝の深さを違えた表示溝部を、前記サイドウォール表面に表示する標章又はその輪郭に沿って設けることにより、前記標章を表示する標章表示部を形成したことを特徴としている。
【0007】又請求項2の発明では、前記表示溝部は、前記細溝よりも浅いことを特徴としている。
【0008】又請求項3の発明では、前記リッジ状体は、前記標章の輪郭に沿って形成されることにより該標章を強調する途切れ部を設けたことを特徴としている。
【0009】又請求項4の発明では、前記装飾部は、前記サイドウォール表面から突出するリブ要素を、前記標章とは異なる凸標章に沿って設けることにより、前記凸標章を表示する非セレーションからなる凸標章表示部を形成したことを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は、本発明のタイヤのサイドウォールを示す側面図である。図1において、タイヤ1は、そのサイドウォール表面2Sに、セレーション3からなる装飾部4と、この装飾部4を背景として形成される例えば文字、数字、図形などからなる標章5とを設けている。
【0011】前記装飾部4は、タイヤ軸心廻りを周方向にのびる帯状体であり、本例では、タイヤ一周に亘って連続してのびる環状のものを例示しているが、タイヤ一周のうちの一部分、或いは複数部分に配される円弧状であってもよい。
【0012】又前記装飾部4をなすセレーション3は、その断面を図2に拡大して示するように、前記サイドウォール表面2Sに、細溝6を並設することによりこの細溝6、6間で立ち上がるリッジ状体7によって形成される。このリッジ状体7として、従来的な種々の断面形状のものが使用しうるが、本例の如く、頂角αが例えば略90°程度の三角形状断面、或いはその頂部を面取りした台形状断面のものが好ましく用いうる。なおリッジ状体7は、前述の如く、サイドウォール表面2Sに凹設される細溝6の間の陸部として形成されることから、各リッジ状体7の頂部を連ねた仮想面は、前記サイドウォール表面2Sと実質的に同一な面として構成される。
【0013】又前記リッジ状体7は、図3に示す如く、タイヤの半径方向線Rに対して一定の角度θを有して配列し、これによって隣接するリッジ状体7とは略平行な縦縞模様の前記セレーション3を形成する。
【0014】このとき、前記リッジ状体7は、一定のピッチ間隔Pで配列することが好ましく、装飾部4の半径方向内縁位置4aにおける前記ピッチ間隔Pは、標章5の視認性の観点から、0.6〜1.5mmの範囲が好ましい。又リッジ状体7の前記角度θとしては、0±45°(−45°〜+45°)の範囲が好ましく、この範囲を超えると、前記リッジ状体7が傾斜し過ぎ、金型への切削加工を難しいものとする他、装飾部4の半径方向内外縁の間で、ピッチ間隔Pの差が大きくなるなど標章5の視認性に不利となる。本例では、前記角度θを略20°としたものを例示している。
【0015】次に本実施形態では、図2、4に示す如く、前記細溝6内に、この細溝6の深さhaと違えた表示溝部9を、前記標章5又はその輪郭に沿って設けることにより、該表示溝部9によって標章5を表示する標章表示部10を形成している。
【0016】ここで本例では、前記標章5として、図1の如く、強い視認性が要求される例えば「DPNLGR」、「UOASPC」などの文字列からなる第1の標章5Aと、この第1の標章5Aよりも弱い視認性が要求される例えば「STUDLESS」、「265/70R16」などの文字列からなる第2の標章5Bとを含む場合を例示している。そして、本例では、このうちの第2の標章5Bを、前記表示溝部9からなる標章表示部10によって表示している。
【0017】この表示溝部9としては、その深さhbを細溝6の深さhaよりも浅くした、浅底部分として形成することが、前記ピッチ間隔Pを一定とする上で有利であり、又タイヤの耐久性の観点からも好ましい。なお表示溝部9の前記深さhbは、前記細溝の深さhaの30〜70%の範囲が、視認性を確保する上で好ましい。
【0018】さらに、図4に示すように、表示溝部9の溝底部を平面で形成し、リッジ状体7の溝底部には平面からなる底面部を有しない形状とすることが、視認性を向上させるために有効である。
【0019】また本例では、前記表示溝部9が、第2の標章5Bに沿って設けられることにより、標章表示部10は、標章全体が細溝6の溝底から隆起した外観で表示している。なお前記表示溝部9を、第2の標章5Bの輪郭に沿う輪郭線状に形成することもでき、かかる場合には、標章表示部10は、標章5Bを袋文字状に表示しうる。
【0020】しかし、何れの場合にも、標章表示部10は、その外表面が、装飾部4と同一模様かつ同高さ位置のセレーションで覆われる。従って、視認性が弱い反面、見る角度によって、標章5Bが出現したり喪失したり、隠し文字状に見映えが変化するなど意外性に富み、見る者に強い印象を付与しうる。
【0021】又表示溝部9がリッジ状体7の頂部よりも低いため、屈曲疲労によって標章5Bにクラックが発生することがなく、見映えや耐久性の低下を防止しうる。又標章5B内に従来的な袋状部d(図7(A)に示す)がないため、泥はけ性が良く汚れが落ち易いなど、タイヤの手入れを容易とする。
【0022】なお図5に示す如く、前記標章表示部10には、その視認性を高めるために、前記リッジ状体7に、前記標章5Bの輪郭に沿って形成されることにより該標章5Bを強調する途切れ部11を設けることもできる。
【0023】又要求により、前記細溝6内に、さらに、細溝6及び表示溝部9とは深さを違えたサブ表示溝部(図示しない)を、前記標章5Bとは異なるサブ標章又はその輪郭線に沿って形成することにより、サブ標章を表示するサブ標章表示部を形成することもできる。このとき、前記サブ表示溝部を前記表示溝部9内に形成することもでき、かかる場合には、標章5B内に他のサブ標章が表示されることとなる。
【0024】次に、前記第1の標章5Aは、従来と同様、図6に示す如く、サイドウォール表面2Sから突出するリブ要素12により表示される。即ち、前記リブ要素12を標章5Aに沿って形成することにより、該標章5Aを凸標章13として表示する凸標章表示部14を形成している。このとき、前記リブ要素12を平滑面で形成することにより、前記標章5A(凸標章13)を、非セレーションとすることが好ましい。これにより、標章5A、5B間の視認性に大きな強弱が付与され、強い視認性が要求される第1の標章5Aを、いっそう強調することが可能となる。なお図6に一点鎖線で示す如く、要求により、前記標章5A(凸標章13)の表面に、前記セレーション3とは異なる模様のセレーション15を形成しても良い。
【0025】以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0026】
【発明の効果】叙上の如く本発明は、装飾部をなすリッジ状部の間の細溝内に、この細溝の深さを違えた表示溝部を、標章又はその輪郭に沿って設け、これによって標章表示部を形成している。従って、クラック等の発生を防止しうるとともに、泥はけ性を高めることができる。
【0027】しかも、他の従来的な標章との間に、視認性に大きな強弱を付与することができ、整然としたデザイン設計を高い自由度を有して行いうるとともに、最も強調したい標章への視認性が高めることができる。又標章表示部は、隠し文字状に見る角度によって見映えが変化するため、意外性に富み、見る者に強い印象を付えことができる。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【出願日】 平成13年12月14日(2001.12.14)
【代理人】 【識別番号】100082968
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 正 (外1名)
【公開番号】 特開2003−182317(P2003−182317A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−382061(P2001−382061)