トップ :: B 処理操作 運輸 :: B60 車両一般




【発明の名称】 空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】西潟 宏志
【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内

【要約】 【課題】ドライ操縦安定性を損なうことなく、走行による摩耗発生後における雪上操縦安定性の向上を図った空気入りタイヤを提供する。

【解決手段】環状に形成されたトレッド部と、トレッド部の両側部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とを具備し、トレッド部の踏面部に、周方向に延びる複数の主溝と、主溝と交わる横溝とにより区分されたブロック1が形成され、ブロック1にサイプ3を有する空気入りタイヤである。ブロック1が周方向に対向する一対の鋭角ブロック角部2を有し、かつ、一対の鋭角ブロック角部2と2本のサイプ3とにより画成された一対の小ブロック4と、これら小ブロック4間に挟まれた小ブロック4より大なる中央ブロック5とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 環状に形成されたトレッド部と、該トレッド部の両側部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とを具備し、前記トレッド部の踏面部に、周方向に延びる複数の主溝と、該主溝と交わる横溝とにより区分されたブロックが形成され、該ブロックにサイプを有する空気入りタイヤにおいて、前記ブロックが周方向に対向する一対の鋭角ブロック角部を有し、かつ、該一対の鋭角ブロック角部と2本の前記サイプとにより画成された一対の小ブロックと、これら小ブロック間に挟まれた、該小ブロックより大なる中央ブロックとを有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】 前記ブロックの前後2辺がタイヤ幅方向に対し傾斜して周方向に延びる2辺とともに一対の鋭角ブロック角部が形成されている請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】 前記小ブロックを画成するサイプに屈曲点が存在し、前記小ブロックの踏面部の形状が略台形である請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】 前記小ブロックの踏面部の形状が略三角形である請求項1または2記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】 前記小ブロックの踏面部の表面積(Sa)と前記中央ブロックの踏面部の表面積(Sb)との比(Sa/Sb)が0.1〜0.5である請求項1〜4のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
【請求項6】 前記小ブロックを画成するサイプの溝底がブロック中央部より主溝への開口端部に向けてほぼ一定の深さに形成され、かつ開口端部では局部的に底上げされている請求項1〜5のうちいずれか一項記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空気入りタイヤに関し、詳しくは、乾燥路面での操縦安定性(以下「ドライ操縦安定性」と称する)を損なうことなく、走行による摩耗発生後における雪上路面での操縦安定性(以下、「雪上操縦安定性」と称する)の向上を図った空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】トレッドのブロックに設けられるサイプは、溝のエッジ効果と同様に路面の水膜を切る除水効果があるとともに、リブやブロックを変化させ易くし、ゴムのヒステリシスロスを発現させ易くする作用を有する。このようなことから、スノータイヤにおいては雪上性能向上のため、サイプを多数用いてエッジ成分(ひっかかり部分)を多く含む構成が一般的となっている。
【0003】従来は、通常、図3に示すように、サイプ13はタイヤ周方向に対してほぼ垂直方向に並列してブロック11に配置され、かかるサイプ13をブロック11に多く刻む(配置する)ことによって雪上操縦安定性の向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、1個のブロック11に多くのサイプ13を刻むと当該ブロック11の剛性が低下し、乾燥路面上での走行時には前後方向のブロック剛性が弱いことから、微小舵角時の安定性を損なう等の問題点があった。
【0005】さらに、長期走行により摩耗が発生するとサイプによるエッジ効果が低減し、雪上操縦安定性が低下するという問題もあった。
【0006】そこで本発明の目的は、ドライ操縦安定性を損なうことなく、走行による摩耗発生後における雪上操縦安定性の向上を図った空気入りタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決すべく、ブロックの形状とサイプの配置関係につき鋭意検討した結果、下記の構成とすることにより上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の空気入りタイヤは下記に示す通りである。
【0008】(1)環状に形成されたトレッド部と、該トレッド部の両側部からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォール部と、該サイドウォール部のタイヤ半径方向内側に連なるビード部とを具備し、前記トレッド部の踏面部に、周方向に延びる複数の主溝と、該主溝と交わる横溝とにより区分されたブロックが形成され、該ブロックにサイプを有する空気入りタイヤにおいて、前記ブロックが周方向に対向する一対の鋭角ブロック角部を有し、かつ、該一対の鋭角ブロック角部と2本の前記サイプとにより画成された一対の小ブロックと、これら小ブロック間に挟まれた、該小ブロックより大なる中央ブロックとを有することを特徴とする空気入りタイヤである。
【0009】(2)前記(1)の空気入りタイヤにおいて、前記ブロックの前後2辺がタイヤ幅方向に対し傾斜して周方向に延びる2辺とともに一対の鋭角ブロック角部が形成されている空気入りタイヤである。
【0010】(3)前記(1)または(2)の空気入りタイヤにおいて、前記小ブロックを画成するサイプに屈曲点が存在し、前記小ブロックの踏面部の形状が略台形である空気入りタイヤである。
【0011】(4)前記(1)または(2)の空気入りタイヤにおいて、前記小ブロックの踏面部の形状が略三角形である空気入りタイヤである。
【0012】(5)前記(1)〜(4)のいずれかの空気入りタイヤにおいて、前記小ブロックの踏面部の表面積(Sa)と前記中央ブロックの踏面部の表面積(Sb)との比(Sa/Sb)が0.1〜0.5である空気入りタイヤである。
【0013】(6)前記(1)〜(5)のいずれかの空気入りタイヤにおいて、前記小ブロックを画成するサイプの溝底がブロック中央部より主溝への開口端部に向けてほぼ一定の深さに形成され、かつ開口端部では局部的に底上げされている空気入りタイヤである。
【0014】ブロックに上述のようにサイプを配置することで、サイプと主溝とに囲まれた小ブロックのブロック剛性が中央ブロックのそれと比較して低くなる。その結果、一般道の乾燥路で走行すると小ブロックはブロック剛性が低いため、ブロックが倒れ、接地圧が低くなり摩耗しにくく、サイプで区切られたブロック中央部と小ブロックとの間で段差を生じ、所謂ヒールアンドトウ摩耗を生じる。これにより、個々のブロックは相対的に小ブロックが突出した状態になる。かかる状態においては、雪上走行するとき、小ブロックの倒れ込みは小さくエッジ圧が高くなることで、雪をサイプで捕らえることができ、走行による摩耗発生後の雪上操縦性能が向上する。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明に係るブロックは、図1にその一つを拡大して示すように、周方向に対向する一対の鋭角ブロック角部2を有する。このブロック1は、鋭角ブロック角部2と2本のサイプ3とにより画成された一対の小ブロック4と、これら小ブロック4間に挟まれた中央ブロック5とからなる。
【0016】ブロック1の形状は、周方向に対向する一対の鋭角ブロック角部2を有するものであれば特に制限されるべきものではなく、例えば、図1に示すように、ブロック1の前後2辺をタイヤ幅方向に対し傾斜させ、周方向に延びる2辺とともに一対の鋭角ブロック角部2を形成させることができる。
【0017】鋭角ブロック角部2において小ブロック4を画成するサイプ3は、その途中に屈曲点6が存在し、小ブロック4の踏面部の形状が略台形であることが好ましい。また、図示はしないが、小ブロック4の踏面部の形状を略三角形としてもよい。
【0018】小ブロック4の踏面部の表面積(Sa)と中央ブロック5の踏面部の表面積(Sb)との比(Sa/Sb)は、好ましくは0.1〜0.5である。この比が0.1未満であると、雪上走行するとき、小ブロック4の剛性が小さ過ぎ、小ブロック4の倒れ込みが大きくエッジ圧が小さいので、雪をサイプで良好に捕らえることができなくなる。一方、0.5を超えると、ヒールアンドトウ摩耗による小ブロックの相対的突出が小さく、走行による摩耗発生後の雪上操縦性能を良好に向上させることができなくなる。
【0019】また、小ブロック4を画成するサイプ3の溝底は、ブロック中央部より主溝への開口端部に向けてほぼ一定の深さに形成され、かつ開口端部では局部的に底上げされていることが好ましい。すなわち、小ブロック4を形成するサイプ3は深い程、小ブロック4の剛性が低く、摩耗時に凸部を形成しやすくなるが、タイヤに急制動や駆動等の大きな力が作用した場合に、小ブロック4が欠けるのを防ぐために、サイプ3の主溝への開口端を底上げすることが好ましい。
【0020】本発明に係るブロックを有する空気入りタイヤのトレッドパターンの好適実施形態の概要を図2に示す。図示すように、本発明に係るブロック1は、ショルダー陸部列を除く複数列(図示する例では2列)のブロック列に好適に適用される。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明する。
実施例図2に示すように、2本のブロック列の個々のブロック1に、2本のサイプ3により画成された一対の小ブロック4と、これら小ブロック4間に挟まれた中央ブロック5とを有するサイズ205/65R15の試験タイヤを下記の表1に示す条件にて製造した。なお、サイプ3の溝底は、ブロック中央部(7mm)より主溝への開口端部に向けてほぼ一定の深さに形成され、かつ開口端部では局部的に底上げ(2mm)されている。次いで、このタイヤを6J×15のリムに装着して空気圧200kPaの下、5000km走行させ、摩耗タイヤとした。この摩耗タイヤに対し、雪上操縦安定性とドライ操縦安定性の実車試験を実施した。
【0022】比較例図4に示すトレッドパターンを有する以外は実施例と同様の試験タイヤを下記の表1に示す条件にて製造し、実施例と同様の実車試験を実施した。なお、図4に示すタイヤでは2本のブロック列の個々のブロック11はサイプにより分離されておらず、2本のサイプで略3等分されている。このため、2本のサイプで挟まれた部分の踏面部面積をSbとし、その両側の踏面部面積を夫々Saとした。
【0023】雪上操縦安定性は、雪路面上に20m間隔で直線状に配置した10個のパイロンをスラローム走行した場合の走行時間を計測し、比較例の走行時間を試験タイヤの走行時間で割り100倍して指数化した。ドライ操縦安定性は、路面をアスファルト路面のドライ状態とした以外は同様にして評価した。得られた結果を下記の表1に示す。
【0024】
【表1】

【0025】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明の空気入りタイヤにおいては、ドライ操縦安定性を損なうことなく、走行による摩耗発生後における雪上操縦安定性の向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
【出願日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【代理人】 【識別番号】100096714
【弁理士】
【氏名又は名称】本多 一郎
【公開番号】 特開2003−182315(P2003−182315A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−391991(P2001−391991)