| 【発明の名称】 |
空気入りタイヤ |
| 【発明者】 |
【氏名】片山 昌宏 【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内
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| 【要約】 |
【課題】サイプの対向壁面に形成した小溝に工夫を凝らすことにより対向壁面の相対ずれを防止若しくは抑制し、もってサイプ本数の増加を可能として氷上ブレーキ性能、ウエットブレーキ性能および耐偏摩耗性能などを向上できる空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】トレッドの陸部に形成したサイプ20の対向壁面21,22にそれぞれ複数の小溝30を設け、これら小溝30によって形成した凹凸部分31の位相を、対向壁面21,22の一方に形成した凹部30aと他方に形成した凸部30bとが合致するように同位相とする。これによってブレーキング時に対向する凹凸部分31が相互に咬み合って、対向壁面21,22の相対ずれを防止若しくは抑制して、サイプ20を設けた陸部の剛性低下を抑制する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 トレッドの陸部にサイプを形成した空気入りタイヤにおいて、上記サイプの対向壁面にそれぞれ複数の小溝を設け、これら小溝によって形成される凹凸部分の位相を、対向壁面の一方に形成された凹部と他方に形成された凸部とが合致するように同位相としたことを特徴とする空気入りタイヤ。 【請求項2】 請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝は、上記対向壁面の幅方向を指向して相互に平行に形成したことを特徴とする空気入りタイヤ。 【請求項3】 請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝の指向方向を少なくとも2方向に異ならせて相互に交差させるとともに、同一方向の小溝を相互に平行に形成したことを特徴とする空気入りタイヤ。 【請求項4】 請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝は、少なくとも1箇所の屈曲部を設けて相互に平行に形成したことを特徴とする空気入りタイヤ。 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝によって形成される凹凸部分の断面形状は、凹部および凸部が角部となる蛇腹状、若しくは凹部および凸部が弧面となる波形状であることを特徴とする空気入りタイヤ。 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、サイプは、幅方向および/または深さ方向に折れ曲がり部や変曲点が設けられることを特徴とする空気入りタイヤ。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝は、深さを0.05〜1.5mmの範囲、かつ、ピッチを0.05〜2.0mmの範囲に設定したことを特徴とする空気入りタイヤ。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、トレッドの陸部にサイプを形成した空気入りタイヤに関し、とりわけ、サイプによるブレーキ性能を向上するようにした空気入りタイヤに関する。 【0002】 【従来の技術】従来の空気入りタイヤでは、例えば特開平10−86612号公報によって提案したように、トレッドの陸部にサイプを設けて氷上ブレーキ性能を向上するようにしたものが知られている。 【0003】サイプは、タイヤ幅方向にスリット状に形成された幅狭の深溝であり、サイプの角部で得られるエッジ効果によって氷上ブレーキ性能を得ることができる。従って、氷上ブレーキ性能をより向上させるためには、サイプの本数を増加させてエッジ効果を増加させることが考えられるが、サイプ本数を単に増加させた場合は、陸部剛性の低下に伴い接地性が悪化してしまうとともに、接地性の悪化による偏摩耗(ヒールアンドトウ)が生じてしまう。 【0004】一方、上記特開平10−86612号公報には、サイプの壁面に複数の小溝(厚さ変化部)を形成して氷上性能を向上するようにした技術思想が開示される。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる従来の空気入りタイヤにあっては、サイプ壁面に複数の小溝を形成することによりその断面形状は凹凸状となるが、それら小溝をサイプの対向壁面にそれぞれ形成した場合に、凹凸部分の位相が対向壁面で凸部同士が接触する逆位相となる場合がある。 【0006】このように小溝が逆位相で形成された場合には、ブレーキング時にタイヤ接地面でサイプが潰れた場合に、凹凸部分の凸部同士が接触するため対向壁面の相対ずれが簡単に発生して陸部の剛性確保を達し得なくなり、ひいては、前述したように陸部の接地性の悪化や偏摩耗が来されてしまう。 【0007】そこで、本発明はかかる従来の課題に鑑みて、サイプの対向壁面に形成した小溝に工夫を凝らすことにより対向壁面の相対ずれを防止若しくは抑制し、もってサイプ本数の増加を可能として氷上ブレーキ性能、ウエットブレーキ性能および耐偏摩耗性能などを向上できる空気入りタイヤを提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、トレッドの陸部にサイプを形成した空気入りタイヤにおいて、上記サイプの対向壁面にそれぞれ複数の小溝を設け、これら小溝によって形成される凹凸部分の位相を、対向壁面の一方に形成された凹部と他方に形成された凸部とが合致するように同位相としたことを特徴としている。 【0009】この場合、ブレーキングによってサイプの隙間が潰れて対向壁面が接触する際、それぞれの対向壁面に設けた小溝による凹凸部分が同位相となって対向する凹部と凸部が合致するため、対向する凹凸部分が相互に咬み合って対向壁面の相対ずれが防止若しくは抑制される。このため、サイプを設けた陸部の倒れ込み変形を抑制でき、ひいては、その陸部の剛性低下を抑制できることによりサイプ本数の増加が可能となる。このようにサイプ本数を増加させた場合にもブレーキング時の接地性悪化が抑制されて、良好な氷上ブレーキ性能やウエットブレーキ性能、更には耐偏摩耗性能が得られる。 【0010】請求項2の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝は、上記対向壁面の幅方向を指向して相互に平行に形成したことを特徴としている。 【0011】この場合、複数の小溝によって形成される凹凸部分の形成方向と、ブレーキング時に高頻度で発生する対向壁面の深さ方向の相対ずれ方向とが一致するため、対向壁面の相対ずれが最も効果的に抑制される。 【0012】請求項3の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝の指向方向を少なくとも2方向に異ならせて相互に交差させるとともに、同一方向の小溝を相互に平行に形成したことを特徴としている。 【0013】この場合、複数の小溝の指向方向が少なくとも2方向に異ならせて交差されるとともに、同一方向の小溝を相互に平行に形成されることにより、複数の小溝は各対向壁面に格子状若しくはローレット状に形成される。従って、対向壁面の相対ずれを抑制できる方向が深さ方向に限ることなく幅方向にも抑制できるため、対向壁面の相対ずれの抑制方向が幅広く設定され、ひいては、陸部の横ずれ剛性が高められるため、ブレーキ性能に限ることなく良好な操縦安定性能が得られる。 【0014】請求項4の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝は、少なくとも1箇所の屈曲部を設けて相互に平行に形成したことを特徴としている。 【0015】この場合、複数の小溝は屈曲部を境にそれらの指向方向が異なるため、対向壁面の相対ずれを抑制する方向が深さ方向に限ることなく幅方向にも抑制することができる。従って、対向壁面の相対ずれの抑制方向が幅広く設定され、ひいては、陸部の横ずれ剛性が高められるため、ブレーキ性能に限ることなく良好な操縦安定性能が得られる。 【0016】請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝によって形成される凹凸部分の断面形状は、凹部および凸部が角部となる蛇腹状、若しくは凹部および凸部が弧面となる波形状であることを特徴としている。 【0017】この場合、蛇腹状若しくは波形状となった凹凸部分は、それぞれ同位相で対向する凹部と凸部とが咬み合うのみならず、1ピッチまたは複数ピッチずれた位置でも確実に咬み合うことができるため、対向壁面が深さ方向にずれた場合にもそのずれた位置で咬み合ってそれ以上の相対ずれの防止効果が高められる。また、加硫金型を用いたタイヤ成形時に、金型内に設けたブレードによってサイプが成形されるが、このブレードを単に蛇腹状若しくは波形状に形成するのみで目的のサイプ形状が得られるため金型構造が簡単化される。 【0018】請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、サイプは、幅方向および/または深さ方向に折れ曲がり部や変曲点が設けられることを特徴としている。 【0019】この場合、折れ曲がり部や変曲点を設けたサイプの幅方向および/または深さ方向には、陸部の倒れ込みを抑制するサイプ間接触力が増大されるため、氷上条件からドライ条件までの入力の大きさが幅広く異なる範囲でも効果が得られ、良好な氷上ブレーキ性能やウエットブレーキ性能およびドライブレーキ性能が得られる。 【0020】請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤにおいて、複数の小溝は、深さを0.05〜1.5mmの範囲、かつ、ピッチを0.05〜2.0mmの範囲に設定したことを特徴としている。 【0021】この場合、小溝の深さが0.05〜1.5mmの範囲であるため、対向壁面同士の凹凸部分間で十分な咬み合いを可能としつつ、タイヤ成形時に加硫金型から脱型する際にブレードによる割れや欠けの発生が防止される。また、小溝のピッチが0.05〜2.0mmの範囲であるため、対向壁面の凹凸部分の咬み合いが確実に行われるとともに、その咬み合い状態での接触力が十分に得られる。 【0022】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳細に説明する。 【0023】(第1実施形態)図1から図3は本発明の空気入りタイヤの第1実施形態を示し、図1はタイヤトレッドの一部を示す斜視図、図2はサイプ形状を壁面の端面(a)とタイヤ周方向に沿った断面図(b)と平面図(c)で示す説明図、図3は図2(b)中A部の拡大断面図である。 【0024】図1に示すように本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッド11は、タイヤ周方向Xに形成される主溝12がタイヤ幅方向Yに複数本形成されるとともに、隣接する主溝12間に適宜間隔をもって横溝13が形成されており、これら主溝12と横溝13で画成される各陸部14には、タイヤ幅方向Yに延びて陸部14を横切るサイプ20がタイヤ周方向Xに一定間隔をもって複数本形成されている。 【0025】上記陸部14は、図1に示すようにタイヤ周方向Xの長さLが30mm、タイヤ幅方向Yの幅Wが20mm、深さDが10mmとなるブロック状に形成されるとともに、上記サイプ20はスリット状の溝として形成され、図2に示すように陸部14の幅Wと等しい長さをもって深さD1が10mmとして形成されている。 【0026】サイプ20の対向壁面21,22には、図2(a)に示すように対向壁面21,22の幅W方向を指向して相互に平行に形成される多数の小溝30が、各対向壁面21,22の全面にそれぞれ形成されることにより、図2(b)に示すように各小溝30によって全体的に凹凸部分31が形成される。 【0027】上記凹凸部分31の断面形状は、凹部31aおよび凸部31bが角部となる蛇腹状として形成されるとともに、各小溝30は、図3に示すように幅wが0.1mm、深さdが0.1mmとして形成され、かつ、隣接される小溝30間のピッチpが0.1mmとして形成される。 【0028】ここで、本実施形態では上記小溝30によって形成される凹凸部分31の位相を、対向壁面21,22の一方に形成された凹部31aと他方に形成された凸部31bとが合致するように同位相として形成してある。 【0029】以上の構成により本実施形態の空気入りタイヤ10にあっては、ブレーキングによってタイヤ接地面に位置する陸部14に路面反力が作用した場合、その路面反力によってサイプ20の隙間が潰れて対向壁面21,22が接触する際、それぞれの対向壁面21,22に設けた小溝30による凹凸部分31が同位相となって対向する凹部31aと凸部31bとが合致するため、対向する凹凸部分31,31が相互に咬み合って対向壁面21,22の相対ずれを防止若しくは抑制することができる。 【0030】このように対向壁面21,22の相対ずれが防止若しくは抑制されることにより、サイプ20を設けた陸部14の倒れ込み変形を抑制でき、ひいては、その陸部14の剛性低下を抑制できることによりサイプ20の本数を増加することが可能となる。 【0031】従って、このようにサイプ20の本数を増加させた場合にも、ブレーキング時の接地性悪化が抑制されて良好な氷上ブレーキ性能、ウエットブレーキ性能、ドライブレーキ性能が得られ、更には良好な耐偏摩耗性能を得ることができる。 【0032】また、多数の小溝30を対向壁面21,22の幅W方向を指向して相互に平行に形成したことにより、多数の小溝30によって形成される凹凸部分31の形成方向と、ブレーキング時に高頻度で発生する対向壁面21,22の深さD1方向の相対ずれ方向とが一致するため、対向壁面21,22の相対ずれを最も効果的に抑制することができる。 【0033】更に、凹凸部分31が蛇腹状として形成されることにより、凹凸部分31はそれぞれ同位相で対向する凹部31aと凸部31bとが咬み合うのみならず、1ピッチ(p)または複数ピッチ(n・p)ずれた位置でも確実に咬み合うことができるため、対向壁面21,22が深さD1方向にずれた場合にも、そのずれた位置で咬み合ってそれ以上の相対ずれの防止効果を高めることができる。 【0034】また、上記空気入りタイヤ10は、一般に行われるように図外の加硫金型を用いて成形されるが、このタイヤ成形時に、サイプ20は金型内に設けたブレードによって成形されるが、このブレードを単に蛇腹状に形成するのみで本実施形態の蛇腹状となったサイプ20の形状を得ることができ、この場合の金型構造を簡単化することができる。 【0035】ところで、この第1実施形態では小溝30の深さdを0.1mmとして形成し、かつ、隣接される小溝30間のピッチpを0.1mmとして形成した場合を開示したが、これに限ることなく上記深さdは0.05〜1.5mmの範囲に設定し、また、上記ピッチpは0.05〜2.0mmの範囲に設定すればよい。 【0036】従って、このように小溝30の深さdを0.05〜1.5mmの範囲とすることにより、対向壁面21,22同士の凹凸部分31,31間で十分な咬み合いを可能としつつ、前述したようにタイヤ成形時に加硫金型から脱型する際にブレードによる割れや欠けの発生を防止することができる。 【0037】また、小溝30のピッチpを0.05〜2.0mmの範囲とすることにより、対向壁面21,22の凹凸部分31,31の咬み合いを確実に行うことができるとともに、その咬み合い状態での接触力を十分に得ることができるようになる。 【0038】つまり、小溝30の深さdが0.05mm以下では十分な咬み合いが得られず、逆に小溝30が設けられない平坦な対向壁面21,22の接触よりも接触力が低下されてしまう一方、上記深さdが1.5mm以上では接触力を十分に得ることができるものの、通常、サイプ20を成形するブレードの板厚が0.4〜2.0mmであるため、タイヤ成形時の脱型工程でブレードによって引き抜かれるなどして、サイプ20に割れや欠けが発生されて十分な加工性が得られなくなってしまう。 【0039】また、小溝30ピッチpが0.05mm以下では、対向壁面21,22の凸部31b同士が接触してしまうため十分な咬み合いが得られず、一方、ピッチpが2.0mm以上では対向壁面21,22の凹部31aと凸部31bとが確実に咬み合うことができるものの、それら凹部31aおよび凸部31bの個数が減少することと、これら凹部31aおよび凸部31bの成す角度が鈍角方向に大きくなるため十分な接触力が得られなくなってしまう。 【0040】(第2実施形態)図4は本発明の空気入りタイヤの第2実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0041】図4はサイプ形状を壁面の端面(a)とタイヤ周方向に沿った断面図(b)と平面図(c)で示す説明図で、この第2実施形態のサイプ20が第1実施形態と主に異なる点は、多数の小溝30によって形成される凹凸部分31の断面形状が、凹部31aおよび凸部31bが弧面となる波形状に形成されたことにある。 【0042】勿論、この第2実施形態にあっても小溝30によって形成される凹凸部分31の位相は、第1実施形態と同様に同位相として形成される。 【0043】尚、この第2実施形態の多数の小溝30は、第1実施形態と同様に対向壁面21,22の幅W方向を指向して相互に平行に形成されるとともに、各小溝30の深さdが0.05〜1.5mmの範囲、かつ、ピッチpが0.05〜2.0mmの範囲に設定されている。 【0044】従って、この第2実施形態の空気入りタイヤは、凹凸部分31の断面形状が波形状となるものの、第1実施形態の空気入りタイヤ10と同様の機能を奏することができる。 【0045】(第3実施形態)図5は本発明の空気入りタイヤの第3実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0046】図5はサイプ形状を壁面の端面(a)とタイヤ周方向に沿った断面図(b)と平面図(c)で示す説明図で、この第3実施形態のサイプ20が上記各実施形態と主に異なる点は、サイプ20の幅W方向に変曲点23を設けてジグザグに形成するとともに、深さD1方向に折れ曲がり部24を設けて蛇行させて形成したことにある。 【0047】勿論、この第3実施形態にあっても小溝30によって形成される凹凸部分31は、第1実施形態と同様に同位相として形成される。 【0048】尚、この第3実施形態の小溝30にあっても、第1実施形態と同様に対向壁面21,22の幅W方向を指向して相互に平行に形成されるとともに、各小溝30の深さdが0.05〜1.5mmの範囲、かつ、ピッチpが0.05〜2.0mmの範囲に設定されることが好ましい。 【0049】従って、この第3実施形態の空気入りタイヤは、第1実施形態の空気入りタイヤ10と同様の機能を奏するのは勿論のこと、更に、サイプ20に変曲点23や折れ曲がり部24を形成したことにより、このサイプ20は、変曲点23を設けた幅W方向および折れ曲がり部23を設けた深さD1方向に、陸部14(図1参照)の倒れ込みを抑制するサイプ20間の接触力を増大することができる。 【0050】このため、氷上条件からドライ条件までの入力の大きさが幅広く異なる範囲でも効果が得られ、良好な氷上ブレーキ性能やウエットブレーキ性能およびドライブレーキ性能を得ることができる。 【0051】この場合、変曲点23および折れ曲がり部24は同時に形成することなく、いずれか一方を形成した場合にもそれぞれの効果を発揮することができる。 【0052】(第4実施形態)図6は本発明の空気入りタイヤの第4実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0053】図6はサイプ形状を壁面の端面(a)とタイヤ周方向に沿った断面図(b)と平面図(c)で示す説明図で、この第4実施形態のサイプ20が上記各実施形態と主に異なる点は、多数の小溝30の指向方向を2方向に異ならせて相互に交差させるとともに、同一方向の小溝30を相互に平行に形成したことにある。 【0054】即ち、指向方向の異なる一方の小溝30aは、第1実施形態と同様に対向壁面21,22の幅W方向を指向して相互に平行に形成されるとともに、他方の小溝30bは対向壁面21,22の深さD1方向を指向して平行に形成される。 【0055】勿論、この第4実施形態にあっても小溝30a,30bによって形成される凹凸部分31の位相は、第1実施形態と同様に同位相として形成される。 【0056】尚、この第4実施形態の小溝30にあっても、各小溝30a,30bの深さdが0.05〜1.5mmの範囲、かつ、ピッチpが0.05〜2.0mmの範囲に設定されることが好ましい。 【0057】従って、この第4実施形態の空気入りタイヤは、第1実施形態の空気入りタイヤ10と同様の機能を奏するのは勿論のこと、更に、指向方向の異なる一方の小溝30aが対向壁面21,22の幅W方向を指向するとともに、他方の小溝30bが対向壁面21,22の深さD1方向を指向して形成されたことにより、これら小溝30a,30bによって小溝30は全体的に格子状となる。 【0058】このため、対向壁面21,22の相対ずれを抑制できる方向が深さD1方向に限ることなく、対向壁面21,22の幅W方向にも抑制できるようになり、対向壁面21,22の相対ずれの抑制方向を幅広く設定することができ、ひいては、陸部14(図1参照)の横ずれ剛性をも高めることができるため、ブレーキ性能に限ることなく良好な操縦安定性能を得ることができる。 【0059】(第5実施形態)図7は本発明の空気入りタイヤの第5実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0060】図7はサイプ形状を壁面の端面(a)とタイヤ周方向に沿った断面図(b)と平面図(c)で示す説明図で、この第5実施形態のサイプ20が上記各実施形態、特に第4実施形態と主に異なる点は、指向方向の異なる一方の小溝30cと他方の小溝30dとを、対向壁面21,22の幅W方向および深さD1方向の両者のいずれにも傾斜させて形成し、小溝30を全体としてローレット状に形成したことにある。 【0061】勿論、この第5実施形態にあっても小溝30c,30dによって形成される凹凸部分31の位相は、第1実施形態と同様に同位相として形成される。 【0062】尚、この第5実施形態の小溝30にあっても、各小溝30c,30dの深さdが0.05〜1.5mmの範囲、かつ、ピッチpが0.05〜2.0mmの範囲に設定されることが好ましい。 【0063】従って、この第5実施形態の空気入りタイヤは、第1実施形態の空気入りタイヤ10と同様の機能を奏するのは勿論のこと、更に、指向方向の異なる一方の小溝30cと他方の小溝30dとによって、全体の小溝30がローレット状に形成されたことにより、第4実施形態と同様に対向壁面21,22の相対ずれの抑制方向を幅広く設定して、陸部14(図1参照)の横ずれ剛性をも高めることができる。 【0064】(第1〜第5実施形態の性能試験)上記第1〜第5の各実施形態において、タイヤサイズ185/70R14の空気入りタイヤを用いて、氷上ブレーキ性能、ウエットブレーキ性能、ドライブレーキ性能の各性能試験を行った結果を次の第1表に示す。 【0065】この場合の性能評価は、タイヤを車両に装着して時速20Km/hで走行中に急制動し、制動した地点から停止した地点までの距離を測定し、その逆数をブレーキ性能として従来のタイヤを100とする指数で表示してある。尚、この場合の従来のタイヤは、図10(a),(b)に示すようにサイプ20の対向壁面21,22が平坦面として形成されたものである。 【0066】 【表1】
従って、この性能試験では評価値が100より大きい程優れた性能であり、本発明の各実施形態が氷上、ウエット、ドライの全ての性能試験に良好な結果が得られるとともに、特に、第3実施形態の空気入りタイヤが各ブレーキ性能に優れることが理解される。 【0067】(第6実施形態)図8は本発明の空気入りタイヤの第6実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0068】図8はサイプ形状を壁面の端面(a)とタイヤ周方向に沿った断面図(b)と平面図(c)で示す説明図で、この第6実施形態のサイプ20が上記各実施形態と主に異なる点は、多数の小溝30に1箇所の屈曲部32を設けて相互に平行に形成したことにある。 【0069】即ち、前記小溝30は、屈曲部32を設けたことにより図8(a)に示すように、この屈曲部32を境にしてV字状を成す形状となり、この第6実施形態では屈曲部32が対向壁面21,22の幅W方向の略中央部に設けられて、この屈曲部32を境にして小溝30はV字状を成すように斜め上方に傾斜され、かつ、傾斜された多数の小溝30は相互に平行に形成される。 【0070】勿論、この第6実施形態にあっても小溝30によって形成される凹凸部分31の位相は、第1実施形態と同様に同位相として形成される。 【0071】また、この第6実施形態の小溝30にあっても、小溝30の深さdが0.05〜1.5mmの範囲、かつ、ピッチpが0.05〜2.0mmの範囲に設定される。 【0072】従って、この第6実施形態の空気入りタイヤは、第1実施形態の空気入りタイヤ10と同様の機能を奏するのは勿論のこと、多数の小溝30は屈曲部32を境にそれらの指向方向が異なるため、対向壁面21,22の相対ずれを抑制する方向が深さD1方向に限ることなく幅W方向にも抑制することができる。 【0073】このため、対向壁面21,22の相対ずれの抑制方向が幅広く設定され、ひいては、陸部14(図1参照)の横ずれ剛性が高められるため、ブレーキ性能の向上に限ることなく良好な操縦安定性能をも得ることができる。 【0074】(第7実施形態)図9は本発明の空気入りタイヤの第7実施形態を示し、第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。 【0075】図9はサイプ形状を壁面の端面(a)とタイヤ周方向に沿った断面図(b)と平面図(c)で示す説明図で、この第7実施形態のサイプ20が上記各実施形態、特に第6実施形態と主に異なる点は、多数の小溝30に設ける屈曲部32を3箇所としたことにある。 【0076】即ち、この第7実施形態では屈曲部32を3箇所設けたことにより、小溝30は図9(a)に示すように各屈曲部32を境にして、正V字状および逆V字状を成すように斜め上方および斜め下方に傾斜され、かつ、傾斜された多数の小溝30は相互に平行に形成される。 【0077】勿論、この第7実施形態にあっても小溝30によって形成される凹凸部分31の位相は、第1実施形態と同様に同位相として形成される。 【0078】また、この第7実施形態の小溝30にあっても、小溝30の深さdが0.05〜1.5mmの範囲、かつ、ピッチpが0.05〜2.0mmの範囲に設定されることが好ましい。 【0079】従って、この第7実施形態の空気入りタイヤは、第1実施形態および第6実施形態の空気入りタイヤ10と同様の機能を奏して、ブレーキ性能に限ることなく操縦安定性能をも向上することができる。 【0080】(第6,第7実施形態の性能試験)上記第6,第7実施形態において、タイヤサイズ185/70R14の空気入りタイヤを用いて、氷上ブレーキ性能、ウエット操縦安定性能の各試験を行った結果を次の第2表に示す。 【0081】この場合の性能評価は、氷上ブレーキ性能ではタイヤを車両に装着して時速20Km/hで走行中に急制動し、制動した地点から停止した地点までの距離を測定して、その逆数をブレーキ性能として指数表示する一方、ウエット操縦安定性能はフィーリング評価点を指数表示したもので、いずれも従来のタイヤを100とする指数で表示してある。 【0082】尚、この場合の従来のタイヤは、図10(a),(b)に示したようにサイプ20の対向壁面21,22が平坦面として形成されたものであり、また、第2表には第1実施形態の空気入りタイヤ10を比較例として示してある。 【0083】 【表2】
従って、この性能試験にあっても評価値が100より大きい程優れた性能であり、特に屈曲部32を設けた第6,第7実施形態の空気入りタイヤがウエット操縦安定性能に優れることが理解される。 【0084】 【発明の効果】請求項1に記載の発明によれば、サイプの対向壁面にそれぞれ設けた複数の小溝によって形成される凹凸部分を同位相としたので、ブレーキングによってサイプの隙間が潰れて対向壁面が接触する際、対向する凹凸部分が相互に咬み合って対向壁面の相対ずれを防止若しくは抑制して陸部の剛性低下を抑制できるため、サイプ本数の増加を可能としてブレーキング時の接地性悪化を抑制し、もって良好な氷上ブレーキ性能やウエットブレーキ性能、更には耐偏摩耗性能を向上することができる。 【0085】請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、複数の小溝を、対向壁面の幅方向を指向して相互に平行に形成したので、複数の小溝によって形成される凹凸部分の形成方向と、ブレーキング時に高頻度で発生する対向壁面の深さ方向の相対ずれとを一致させることができるため、対向壁面の相対ずれを最も効果的に抑制することができる。 【0086】請求項3の記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、複数の小溝の指向方向を少なくとも2方向に異ならせて相互に交差させるとともに、同一方向の小溝を相互に平行に形成したので、対向壁面の相対ずれを抑制できる方向を深さ方向に限ることなく幅方向にも幅広く抑制して、陸部の横ずれ剛性を高めることができるため、ブレーキ性能に限ることなく操縦安定性能をも向上することができる。 【0087】請求項4に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、複数の小溝を少なくとも1箇所の屈曲部を設けて相互に平行に形成したので、複数の小溝は屈曲部を境にそれらの指向方向を異ならせることができるため、対向壁面の相対ずれの抑制方向を幅広く設定して陸部の横ずれ剛性を高めることができ、ブレーキ性能に限ることなく操縦安定性能を向上することができる。 【0088】請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の発明の効果に加えて、複数の小溝によって形成される凹凸部分の断面形状を、蛇腹状、若しくは波形状としたので、対向壁面が深さ方向にずれた場合にもそのずれた位置で咬み合ってそれ以上の相対ずれの防止効果を高めることができる。また、加硫金型を用いたタイヤ成形時に、金型内に設けたブレードを単に蛇腹状若しくは波形状に形成するのみで目的のサイプ形状を得ることができるため、金型構造を簡単化することができる。 【0089】請求項6に記載の発明によれば、請求項1〜5の発明の効果に加えて、サイプの幅方向および/または深さ方向に折れ曲がり部や変曲点を設けたので、陸部の倒れ込みを抑制するサイプ間接触力を増大して、氷上条件からドライ条件までの入力の大きさが幅広く異なる範囲でも効果を得ることができ、氷上ブレーキ性能やウエットブレーキ性能およびドライブレーキ性能を向上することができる。 【0090】請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6の発明の効果に加えて、複数の小溝の深さを0.05〜1.5mmの範囲に設定したので、対向壁面同士の凹凸部分間で十分な咬み合いを可能としつつ、タイヤ成形時に加硫金型から脱型する際にブレードによる割れや欠けの発生を防止できるとともに、ピッチを0.05〜2.0mmの範囲に設定したので、対向壁面の凹凸部分の咬み合いを確実に行うことができるとともに、その咬み合い状態での接触力を十分に得ることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005278 【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン 【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
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| 【出願日】 |
平成13年12月21日(2001.12.21) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100083806 【弁理士】 【氏名又は名称】三好 秀和 (外7名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−182314(P2003−182314A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月3日(2003.7.3) |
| 【出願番号】 |
特願2001−389458(P2001−389458) |
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