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【発明の名称】 トレッドパタ−ン交換式タイヤ
【発明者】 【氏名】金子 康子

【要約】 【課題】トレッドパタ−ン部の交換が可能であって、タイヤとしての路面転動性能を有して、廃タイヤ発生総量の減量、省資源、公害発生阻止及び環境保護等を可能にするトレッドパタ−ン交換式タイヤを提供する。

【解決手段】トレッドパタ−ン交換式タイヤは、トレッドパタ−ン部がゴム弾性を有する基盤層に分離可能に接触固着してタイヤ外周面を構成する空気圧充填方式のタイヤであって、トレッドパタ−ン部と基盤層とが、複数の凸部と凹部との嵌合による曲面若しくは曲面を含む面からなる嵌合接触面を含む接触面で固着されて、それらの物性及び接触面の形態等によって、タイヤの路面転動時にもトレッドパタ−ン部と基盤層との接触固着が維持されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(1)トレッドパタ−ン部がゴム弾性を有する基盤層に分離可能に接触固着してタイヤ外周面を構成する空気圧充填方式のタイヤであって、(2)トレッドパタ−ン部と基盤層とは、その接触固着をタイヤの路面転動時にも維持させる、複数の凸部と凹部との嵌合による曲面若しくは曲面を含む面からなる嵌合接触面を含む接触面で固着されていること、を特徴とするトレッドパタ−ン交換式タイヤ。
【請求項2】前記トレッドパタ−ン部とゴム弾性を有する基盤層との接触固着が、複数の凸部と凹部との嵌合による嵌合接触面の形状及び嵌合接触面が占める比率により調整されていること、を特徴とする請求項1に記載にトレッドパタ−ン交換式タイヤ。
【請求項3】前記トレッドパタ−ン部と基盤層の物性の組み合わせによって、カ−カス及びコ−ド層が最適化されていること、を特徴とする請求項1に記載にトレッドパタ−ン交換式タイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、トレッドパタ−ン部の交換が可能であって、タイヤとしての路面転動性能を有して、廃タイヤ発生総量の減量、省資源、公害発生阻止及び環境保護等を可能にするトレッドパタ−ン交換式タイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】過去においても、トレッドパタ−ンが摩耗した場合にトレッド全体を交換する方式のタイヤ(BSタイヤと称されている)が提案されている(代表的には、ピレリ−(イタリヤ)のBSタイヤ)。
【0003】図13は、過去に提案された代表的なBSタイヤの説明図であって、いずれのBSタイヤも図13のタイヤと近似の構造になっている。図13において、BSタイヤ130は、カ−カス131をラジアル方式による高剛性にして、かつ、それを保護するコ−ド層132も高剛性にして、それに交換式トレッド163に設けた金属リング134、…134を留め具により結合する構造になっている。
【0004】しかし、BSタイヤ130は、交換式トレッド133とカ−カス131及びコ−ド層132とが金属リング134、…134により結合しているので、タイヤが路面転動に際して横方向に変位すると、金属リング134、…134の結合が容易に外れる等の基本的欠点を有している。なお、BSタイヤ130の改良手段として、交換式トレッド133の金属リング134、…134の周辺部を高剛性にする提案が行われてはいるが、路面転動に際して生ずる交換式トレッド133の離脱を解決してない。
【0005】近年においても、BSタイヤに関して少数の提案が行われていて(特開昭63−212104号公報、特開平10−86609号公報等を参照)、そのいずれもが、カ−カスの周面に設けるプライコ−ド若しくはブレ−カベルトの剛性を増強して、タイヤの路面転動に際して金属リング134、…134の周辺部の寸法変化を低下させて金属リング134、…134の結合を安定させる提案が行われている。現在にあっては、交換式トレッドのタイヤについては、実用的に使用されておらず、工業的に有効な提案が実質的に行われていないのが実情である。そのために、タイヤは、トレッド部(路面との接地部のゴム層)の表面のパタ−ン(模様)が消失すると、再生タイヤ(生ゴムを張りつけて再加硫によりトレッド部を再生したタイヤ)としてリサイクルするものを除いて、多くが、焼却原料にされる。
【0006】我が国の廃タイヤ発生総量は、約1億100万本にも達していて(1999年度の実績)、約32%が再生タイヤに利用されて、約56%が焼却原料に利用されている(2001年度版「ゴム年鑑」(株)ポスティコ−ポレ−ション発行、2000年11月)。しかも、廃タイヤは、硫黄及びカ−ボンブラックを含むので、焼却原料にする場合にも、セメントキルン等の硫黄及びカ−ボンブラックの発生が許容される焼却炉に限定されて、焼却原料にし得るる廃タイヤの量も制約されている。従って、廃タイヤ発生総量の減量、省資源、公害発生阻止及び環境保護等を可能にする新たな構造のタイヤに関する提案が産業的に強く要請されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、それらの産業上の要請を実現する新たな構造のタイヤが、本発明者により詳細に検討されて、本発明によるトレッドパタ−ン交換式タイヤが創案された。
(a)本発明は、タイヤ発生総量の減量、タイヤ再使用の高効率、省資源、公害発生阻止及び環境保護に有効なトレッドパタ−ン交換式タイヤタイヤを提供すること、を目的とする。
(b)本発明は、トレッドパタ−ン部の交換が可能であって、タイヤ性能(例えば、走行性能)においても通常のタイヤと等価若しくはそれ以上にすることを可能にするトレッドパタ−ン交換式タイヤを提供すること、をも目的とする。
(c)本発明は、各種用途及び各種寸法のタイヤにも応用可能なトレッドパタ−ン交換式タイヤタイヤを提供すること、をも目的とする。
【0008】
【発明を解決するための手段】本発明(請求項1に記載の本発明)によるトレッドパタ−ン交換式タイヤは、(1)トレッドパタ−ン部がゴム弾性を有する基盤層に分離可能に接触固着してタイヤ外周面を構成する空気圧充填方式のタイヤであって、(2)トレッドパタ−ン部と基盤層とは、その接触固着をタイヤの路面転動時にも維持させる、複数の凸部と凹部との嵌合による曲面若しくは曲面を含む面からなる嵌合接触面を含む接触面で固着されていること、を特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明によるトレッドパタ−ン部の交換が可能なタイヤ(以下において、交換式タイヤと略称することがある)を図1〜図12の具体例に基づいて説明する。図1〜図12は、本発明の実施の形態の好適な具体例ではあるが、本発明に包含される多様な実施の形態の具体例の例示の一部である。なお、図1〜図12において、同一符号を付したものは同一若しくは同等のものを示している。
【0010】〔交換式タイヤの概要〕:図1は本発明の交換式タイヤの一具体例を表す斜視図であって、図示の交換式タイヤ1は、トレッドパタ−ン部2の裏面がゴム弾性を有する基盤層(以下において、基盤層と略称することがある)3の表面に分離可能に接触固着(しっかりとくっつけられて)されて、基盤層3がカ−カス4上のコ−ド層5に固定されて、それによって、トレッドパタ−ン部2が基盤層3を介してカ−カス4に支持されてタイヤ外周面部を構成する。トレッドパタ−ン部2は、その表面(外周面)に刻られた模様(パタ−ン)が消耗すると基盤層3から分離されて新しいものと交換される。
【0011】なお、従来のタイヤの接地部は、「トレッド」若しくは「トレッド部」の名称で特定されて、カ−カス円周面に設けたコ−ド層(ベルト、ブレ−カ等)上にトレッドが固定されたタイヤの「接地部分のゴム層」の意味で使用されている(JISD4230:自動車タイヤ)。一方、本発明の交換式タイヤは、従来の「トレッド部」に該当する部分が、狭義の接地部分と、それと一体的に路面に対して作用して、狭義の接地部分とカ−カス等とを共働させる役割をする部分とから構成されている。本明細書にあっては、前者(狭義の接地部分)を「トレッドパタ−ン部」の名称で特定して、後者を「基盤層」の名称で特定している。
【0012】コ−ド層5は、ベルト(ラジアルタイヤ用コ−ド層)及びブレ−カ−(バイアスタイヤ用コ−ド層)等であることが可能であって、本発明の交換式タイヤに適する新たな構造のコ−ド層であることも可能である。交換式タイヤ1は、カ−カス4がショルダ−部(図示を省略)及びサイド部(図示を省略)のゴム層で覆われて、ビ−ドワイヤ6、6を内包するビ−ド部7、7がリム(図示を省略)に嵌合される。なお、リムは、従来の構造のリム、従来の構造を改良したリム若しくは本発明の交換式タイヤの性能向上に適する新たに創作されたリムの使用であることが可能である。
【0013】交換式タイヤ1は、チュ−ブレスタイヤの空気圧保持のための薄いゴム層からなるインナ−ライナ−(図示を省略)がカ−カス4に内張りされて、インナ−ライナ−から空気漏れして、空気圧を保持するためのゴムチュ−ブをカ−カス4内に装着使用するタイヤ、及びゴムチュ−ブにより空気圧を保持する方式のタイヤであることも可能である。交換式タイヤ1は、ラジアルタイヤ、バイアスタイヤ若しくはベルテッドバイアスタイヤ等であってもよいが、タイヤ転動時のトレッドパタ−ン部2と基盤層3との接触固着性の維持が容易な方式のタイヤ(例えば、スチ−ルラジアルタイヤ等)である場合には本発明の効果の享受が容易である。次に、本発明の交換式タイヤのトレッドパタ−ン部及び基盤層を図2〜図6の具体例に基づいて説明する。
【0014】〔トレッドパタ−ン部及び基盤層〕:図2は、空気圧充填によるタイヤ膨張時の交換式タイヤのトレッドパタ−ン部と基盤層との接触固着を模式的に示す説明図であって、トレッドパタ−ン部20は、外周面(表面)にパタ−ン21、…21が刻られて、裏面には、曲面からなる凹部と凸部とが配設されて、基盤層22の表面には対応形状の凹部と凸部とが配設されて、それらの嵌合接触面(凹部と凸部との嵌合により生ずる接触面)を含む接触面23で密接固着されてタイヤ路面転動時にも接触固着の維持が可能にされている。本発明の交換式タイヤは、トレッドパタ−ン部20、30と基盤層22、31との凹凸部の条件及び物性的条件等の変更によってタイヤ路面転動時のトレッドパタ−ン部20、30の周方向及び横方向の相対変位によるせん断力が制御される構造になっている。
【0015】図3は、図2と同様の説明図であって、トレッドパタ−ン部30と基盤層31とが、図2と相違する曲面から凹部と凸部との嵌合による嵌合接触面を含む接触面32で密接固着して同様の効果を生ずる。
【0016】トレッドパタ−ン部20、30及び基盤層22、31は、凹部及び凸部の形状・深さ・大きさ・配置・配置数等からなる凹凸部の条件に対して、粘弾性等のゴム高分子物性等からなる物性的条件と厚み等の基礎的条件とが相互的に作用してタイヤ路面転動時にも密接固着を維持して、例えば、凹凸部の条件を変えて路面転動時のトレッドパタ−ン部20、30に働く横方向及び周方向の変位を制御することができる。
【0017】図2及び図3では、凹部と凸部とによる嵌合接触面と隣に配置の嵌合接触面と連続して繋がる面に構成されているが、隣に配置の嵌合接触面とは非連続になっていてもよい。凹部と凸部とは、その両方が、トレッドパタ−ン部20、30と基盤層22、31とに配設されていてもよく、その一方のみが配設されていてよく、タイヤ路面転動時の接触面23、32の密接状態の維持条件との関連で決めるれる。
【0018】凹部と凸部とによる嵌合接触面が、接触面23、32の全体に占める比率の23〜90%の範囲内である場合には、密接状態の維持のための他の条件設定(例えば、ゴムの粘弾性の設定)等が容易になる。凹部と凸部とは、全体が曲面からなる場合であるのが代表的ではあるが、本発明の効果が得られる限りにおいて曲面以外の面を含むことが可能であって、本発明の「複数の凸部と凹部との嵌合による曲面を含む面」は、そのことを意味している。
【0019】なお、曲面は、曲線が動いてできる面であって、曲線は、角がなく、連続的に曲がっている線であって、緩やかに曲がる線から急激に曲がる線が含まれることが可能で、放物線、双曲線及びその他の名称で定義される線に含まれる曲線であってもよい。曲線は、複数の相違する曲がり状態が含まれる曲がっている線であることも可能である。
【0020】トレッドパタ−ン部20、30は、ゴム層から構成されて、タイヤ接地部としてゴム特性と、基盤層22、31の静的及び動的な特性と相互的に作用する物性を備えている。
【0021】基盤層22、31は、ゴム層、ゴム弾性(例えば、厚さ方向のゴム弾性)を有する小伸長層(すなわち、周方向の変形が小さい層)若しくは不伸長層(すなわち、周方向が不変形の層)から構成されて、トレッドパタ−ン部20、30の基盤となる層としての特性と、コ−ド層5及びカ−カス4と一体的となってトレッドパタ−ン部20、30に発生する力に対してに対抗する層としての特性を備えるものにされている。本発明の「ゴム弾性を有する基盤層」は、ゴム層であるのが代表的ではあるが、ゴム弾性を有する小伸長層及び不伸長層であることが可能であることを意味していて、例えば、コ−ドをゴムにより繋いだ構造の層及びゴム層の一部にコ−ドを入れて厚み方向にゴム弾性を有する構造の層等がある。
【0022】本発明の交換式タイヤは、基盤層22、31の特性(例えば、ゴム弾性及び剛性)を調整することによっても、コ−ド層(例えば、ベルト)・カ−カスの弾性・剛性を制御する等してタイヤ自体の動的特性をも制御できる構造になっている。本発明の交換式タイヤは、トレッドパタ−ン部20、30と基盤層22、31の物性(例えば、粘弾性、剛性等)を組み合わせ(例えば、トレッドパタ−ン部20、30を高強度のゴムにする等)によって、カ−カス及びコ−ド層(例えば、ベルト、ブレ−カ−)を最適化することも可能である。
【0023】本発明の交換式タイヤにあっては、トレッドパタ−ン部と基盤層とが、物理的手段、化学的手段及びその他の手段により固着される。物理的手段は、例えば、孔を設けてそれに抜け止め突部を設けたゴムその他の材料からなる楔(キ−)等を挿入する、孔を設けてゴムの拡張スリ−ブを挿入する等してゴム弾性を利用して固着する手段である。化学的手段は、接着剤を利用して固着する手段である。その他の手段は、例えば、レ−ザの特性を利用して固着する手段である。なお、トレッドパタ−ン部20、30と基盤層22、31との固着の解除は公知の手段によることが可能である。本発明の交換式タイヤは、トレッドパタ−ン部と基盤層との固着に際して一体的にショルダ−部及びサイド部を固定してもよく、個別に固定してもよい。
【0024】図4〜図12は、嵌合用凹凸の例示の説明図であって、図4は緩やかな頂点の円錐面で、図5は半円面、図6は楕円面、図7〜図12は曲線が連続的に変化してできた曲面である。
【0025】〈パタ−ン〉:パタ−ンは、交換式タイヤの、制動特性、摩擦係数、耐摩耗性、耐振動性、低騒音特性、駆動特性及びコ−ナリング特性等をも考慮して決めらことが可能であって、交換式タイヤに適する特別のパタ−ンであることも可能である。
【0026】〈タイヤホイ−ル及びタイヤ〉:タイヤホイ−ルは、本発明の交換式タイヤのビ−ド部をより強固に固定保持する構造のリムフランジ(耳)とリムベ−ス部を備えることによって、ができる。本発明の交換式タイヤは、各種用途のタイヤ、例えば、乗用車、トラック、バス、産業車両、建設車両、モ−タサイクル、スク−タ−及び二輪自動車等のタイヤ(例えば、JISD4202、JISD6401、JISB9202、JISD4203等を参照)等の本発明の応用が許容可能なタイヤに適用可能であって、代表的には、乗用車のタイヤに用いられる。
【0027】なお、本発明においては、本発明の目的に沿うものであって、本発明の効果を特に害さない限りにおいては、改変あるいは部分的な変更及び付加は任意であって、いずれも本発明の範囲である。
【0028】
【発明の効果】本発明の交換式タイヤによれば、下記(i)〜(v)に代表される様々な効果が得られる。
(i)パタ−ン溝が摩滅したトレッドパタ−ン部を新しいものと交換して、タイヤ本体を長期に使用するので、タイヤ発生総量の減量、タイヤ再使用の高効率、省資源、公害発生阻止、リサクル性及び環境保護に優れるタイヤになる。
(ii)コ−ド層、カ−カス及びタイヤ全体の特性の制御が容易である。
(iii)路面走行の条件に適合する性能のタイヤになる。
(iv)通常の路面転動に際しても路面走行性能が実用的に高いタイヤになる。
(v)種類及び用途が相違するタイヤにも応用し得る応用的価値が高いタイヤになる。
(vi)タイヤへの新たな価値の付与が容易なる。
【出願人】 【識別番号】501248921
【氏名又は名称】株式会社黒沢総研
【出願日】 平成14年3月6日(2002.3.6)
【代理人】 【識別番号】100097010
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 豊広
【公開番号】 特開2003−182308(P2003−182308A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2002−60393(P2002−60393)