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【発明の名称】 タイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラム
【発明者】 【氏名】松浦 真一
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】1輪タイヤの減圧を検出することができるとともに、4輪タイヤの同時減圧を検出し、減圧判定の精度を向上させることができるタイヤ空気圧低下検出方法を提供する。

【解決手段】車両に装着したタイヤから得られる回転情報に基づいてタイヤの内圧低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤの回転情報を検出する工程と、前記各タイヤの回転情報から車輪速度を演算する工程と、前記各タイヤの車輪速度を記憶する工程と、前記車両の絶対速度を計測する工程と、当該計測された車両の絶対速度と前記各タイヤの車輪速度とを比較し、タイヤの空気圧低下を判定する工程を含んでいる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両に装着したタイヤから得られる回転情報に基づいてタイヤの内圧低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤの回転情報を検出する工程と、前記各タイヤの回転情報から車輪速度を演算する工程と、前記各タイヤの車輪速度を記憶する工程と、前記車両の絶対速度を計測する工程と、当該計測された車両の絶対速度と前記各タイヤの車輪速度とを比較し、タイヤの空気圧低下を判定する工程を含むタイヤ空気圧低下検出方法。
【請求項2】 車両に装着したタイヤから得られる回転情報に基づいてタイヤの内圧低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段と、該各タイヤの回転情報から車輪速度を演算する演算手段と、該各タイヤの車輪速度を記憶する記憶手段と、前記車両の絶対速度を計測する計測手段と、当該計測された車両の絶対速度と前記各タイヤの車輪速度とを比較し、タイヤの空気圧低下を判定する減圧判定手段とを備えてなるタイヤ空気圧低下検出装置。
【請求項3】 タイヤの空気圧低下を判定するためにコンピュータを、各タイヤの回転情報から車輪速度を演算する演算手段、該各タイヤの車輪速度を記憶する記憶手段、前記車両の絶対速度を計測する計測手段、当該計測された車両の絶対速度と前記各タイヤの車輪速度とを比較し、タイヤの空気圧低下を判定する減圧判定手段として機能させるためのタイヤ減圧判定のプログラム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。さらに詳しくは、タイヤの減圧を高精度に検出することができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来より、車両に装着された4輪タイヤの回転(車輪速)情報からタイヤの減圧を検出するタイヤ空気圧低下検出装置(DWS)がある。この装置は、タイヤが減圧すると正常内圧のタイヤより外径(タイヤの動荷重半径)が減少するため、他の正常なタイヤに比べると回転速度や回転角速度が増加するという原理を用いている。たとえばタイヤの回転角速度の相対的な差から内圧低下を検出する方法(特開昭63−305011号公報参照)では、判定値DELとして、DEL={(F1+F4)/2−(F2+F3)/2}/{(F1+F2+F3+F4)/4}×100(%)
を用いている。ここで、F1〜F4は、それぞれ前左タイヤ、前右タイヤ、後左タイヤおよび後右タイヤの回転角速度である。
【0003】たとえば自然に空気圧が漏れるなどの場合には、4輪タイヤが同時に減圧することがある。
【0004】しかしながら、従来の方法は4輪の対角にある回転角速度の和同士の差から減圧判定しているため、4輪タイヤの同時減圧を検出することができない。このため、減圧しているとわからず、走行を続けることにより、タイヤの転がり抵抗の増加による燃費の悪化、ひいてはバーストにつながるという問題がある。
【0005】本発明は、叙上の事情に鑑み、1輪タイヤの減圧を検出することができるとともに、4輪タイヤの同時減圧を検出し、減圧判定の精度を向上させることができるタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のタイヤ空気圧低下検出方法は、車両に装着したタイヤから得られる回転情報に基づいてタイヤの内圧低下を検出するタイヤ空気圧低下検出方法であって、前記各タイヤの回転情報を検出する工程と、前記各タイヤの回転情報から車輪速度を演算する工程と、前記各タイヤの車輪速度を記憶する工程と、前記車両の絶対速度を計測する工程と、当該計測された車両の絶対速度と前記各タイヤの車輪速度とを比較し、タイヤの空気圧低下を判定する工程を含むことを特徴とする。
【0007】また、本発明のタイヤ空気圧低下検出装置は、車両に装着したタイヤから得られる回転情報に基づいてタイヤの内圧低下を検出するタイヤ空気圧低下検出装置であって、前記各タイヤの回転情報を検出する回転情報検出手段と、該各タイヤの回転情報から車輪速度を演算する演算手段と、該各タイヤの車輪速度を記憶する記憶手段と、前記車両の絶対速度を計測する計測手段と、当該計測された車両の絶対速度と前記各タイヤの車輪速度とを比較し、タイヤの空気圧低下を判定する減圧判定手段とを備えてなることを特徴とする。
【0008】さらに本発明のタイヤ減圧判定のプログラムは、タイヤの空気圧低下を判定するためにコンピュータを、各タイヤの回転情報から車輪速度を演算する演算手段、該各タイヤの車輪速度を記憶する記憶手段、前記車両の絶対速度を計測する計測手段、当該計測された車両の絶対速度と前記各タイヤの車輪速度とを比較し、タイヤの空気圧低下を判定する減圧判定手段として機能させることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づいて、本発明のタイヤ空気圧低下検出方法および装置、ならびにタイヤ減圧判定のプログラムを説明する。
【0010】図1に示すように、本発明の一実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置は、たとえば4輪車両に備えられた4つのタイヤFL、FR、RLおよびRR(以下、総称してWiという。ここで、i=1〜4、1:前左タイヤ、2:前右タイヤ、3:後左タイヤ、4:後右タイヤ)の空気圧が低下しているか否かを検出するもので、タイヤWiにそれぞれ関連して設けられた通常の回転情報検出手段1を備えている。
【0011】前記回転情報検出手段1としては、電磁ピックアップなどを用いて回転パルスを発生させてパルスの数から車輪速度(回転速度)を測定する車輪速センサまたはダイナモのように回転を利用して発電を行ない、この電圧から車輪速度を測定するものを含む角速度センサなどを用いることができる。前記回転情報検出手段1の出力はABS(アンチロックブレーキシステム)などのコンピュータである制御ユニット2に与えられる。制御ユニット2には、空気圧が低下したタイヤWiを知らせるための液晶表示素子、プラズマ表示素子またはCRTなどで構成された低μ路警報表示器3、およびドライバーによって操作することができる初期化スイッチ4が接続されている。
【0012】制御ユニット2は、図2に示されるように、外部装置との信号の受け渡しに必要なI/Oインターフェイス2aと、演算処理の中枢として機能するCPU2bと、該CPU2bの制御動作プログラムが格納されたROM2cと、前記CPU2bが制御動作を行なう際にデータなどが一時的に書き込まれたり、その書き込まれたデータなどが読み出されるRAM2dとから構成されている。
【0013】前記回転情報検出手段1では、タイヤWiの回転数に対応したパルス信号(以下、車輪速パルスという)が出力される。またCPU2bでは、回転情報検出手段1から出力された車輪速パルスに基づき、所定のサンプリング周期ΔT(sec)、たとえばΔT=1秒ごとに各タイヤWiの回転角速度Fiが算出される。
【0014】ここで、タイヤWiは、規格内でのばらつき(初期差異)が含まれて製造されるため、各タイヤWiの有効転がり半径(一回転により進んだ距離を2πで割った値)は、すべてのタイヤWiがたとえ正常内圧であっても、同一とは限らない。そのため、各タイヤWiの回転角速度Fiはばらつくことになる。そこで、初期差異によるばらつきを打ち消すために補正した回転角速度F1iを算出する。具体的には、F11=F1F12=mF2F13=F3F14=nF4と補正される。前記補正係数m、nは、たとえば車両が直線走行していることを条件として回転角速度Fiを算出し、この算出された回転角速度Fiに基づいて、m=F1/F2、n=F3/F4として得られる。そして、前記F1iに基づき、各車輪のタイヤの車輪速度Viを算出する。
【0015】4輪タイヤの同時減圧は、ABSの制御に使用している推定車体速度と4輪タイヤの各車輪速度を比較して判定することができる。しかしながら、この推定車体速度は、あくまでも車両の推定速度であるので、路面から見た実際の車両速度とは異なり、正確に4輪タイヤの同時減圧を判定することは難しい。
【0016】そこで、減圧判定の精度を向上させるために、本実施の形態では、前記各タイヤWiの回転情報を検出する回転情報検出手段1と、前記各タイヤWiの回転情報から車輪速度を演算する演算手段と、該各タイヤの車輪速度を記憶する記憶手段と、前記車両の絶対速度を計測する計測手段と、当該計測された車両の絶対速度と前記各タイヤの車輪速度とを比較し、タイヤの空気圧低下を判定する減圧判定手段とを備えている。
【0017】そして、本実施の形態におけるタイヤ減圧判定のプログラムは、制御ユニット2を、各タイヤの回転情報から車輪速度を演算する演算手段、該各タイヤの車輪速度を記憶する記憶手段、前記車両の絶対速度を計測する計測手段、当該計測された車両の絶対速度と前記各タイヤの車輪速度とを比較し、タイヤの空気圧低下を判定する減圧判定手段として機能させる。
【0018】路面から見た車両の絶対速度は、たとえばITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)によりわかる。なお、ITSとは、カー・ナビゲーション・システムなど自動車をインテリジェント化するシステムと、広域交通管制システムなど道路をインテリジェント化するするシステムを融合させたマルチメディア時代の交通システムであり、現在、各省庁が連携してITS構築にあたっている。またはAHS(Automated Highway System:自動運転道路システム)などにより求めることができる。AHSとは、道路と自動車の協調により、危険警告や運転補助を行なって安全な走行を支援するシステムである。
【0019】前記絶対速度には、GPS(全地球測位システム)と時間により計測できる絶対速度や、路面埋め込みセンサと通過時間から計測できる絶対速度などがある。たとえば道路の一定区間に埋め込まれた磁気マーカを、図1〜2に示されるように、車両側に備えられた磁気センサ5が通過することで時間と距離により算出することができる。
【0020】前記GPSを用いる場合、送受信機、たとえばGPSアンテナなどを使用したカーナビゲーション装置などの車両位置検出手段を備える必要がある。
【0021】つぎに図3に基づいて本実施の形態にかかわるタイヤ空気圧低下検出装置の動作について説明する。
【0022】まずABSセンサなどのセンサから得られた車両の各車輪タイヤのある時点の車輪速データを用いて、車両の4輪タイヤのそれぞれの車輪速度Vi(i:1〜4)を計算する(ステップS1)。そして、たとえばITSにより車両の絶対速度Vを計測する(ステップS2)。ITSにより正しい車両車速(車両の絶対速度)がわかれば、各車輪タイヤの車輪速度Viを補正などする必要性はないので、各車輪速度Viと車両の絶対速度SVとの大小関係を直接比較し、各タイヤがどのような状態であるかを判断する(ステップS3)。ついで車両の絶対速度SVより大きい(速い)車輪速度、たとえばV1があれば、現在車両が直線走行をしているか否かを判断する(ステップS4)。ここで、タイヤの回転角速度は、初期差異によるばらつきだけでなく、たとえば車両がコーナーを走行するときのコーナー内側のタイヤの旋回半径とコーナー外側のタイヤの旋回半径との差(以下、タイヤ旋回半径差という)および車両の荷重移動によってもばらつく。すなわち車両の荷重移動によって、コーナー内側のタイヤの有効ころがリ半径およびコーナー外側のタイヤの有効ころがり半径が、それぞれ(1+β×横方向加速度G)おとび(1−β×横方向加速度G)に示した分だけ変動するので、回転角速度はこれらに示した分に対応するようにばらつくことになる。なお、定数βは、(車両の荷重×車両の重心の地面からの高さ×タイヤの有効転がり半径の変動率)/(キングピン間の距離(トレッド幅)×100)から求めることができる。したがって、たとえば旋回半径計算処理にて車両の荷重移動に起因するばらつきを排除した車両の旋回半径が計算され、ついで該旋回半径に基づいて、タイヤ旋回半径差に起因するばらつきを排除するように、算出された初期補正後の回転角速度から車輪速度が補正される(ステップS5)。ついでT時間以上、車輪速度Vi(i=1)が絶対速度SVより所定値、たとえば10秒間以上、差が0.03をこえる大きさであれば、当該タイヤは減圧していると判断して、警報を発する(ステップS6、S7)。T時間までに車輪速度Vi(i=1)が絶対速度SVに等しくなっていればタイヤは減圧していないと判断する。また、前記ステップS3において、4輪タイヤの各車輪速度Vi(i=1〜4)が車両の絶対速度SVより大きい場合についても同様なステップS4〜6により、4輪減圧も判定することができる。また、本実施の形態では、前記ステップS3において、4輪タイヤのうち、たとえば車輪速度Vi(i=2、4)が車両の絶対速度SVより大きい場合についても同様なステップS4〜6により、4輪車両の同サイド(右側)の2輪タイヤの同時減圧も検出することができる。
【0023】つぎに本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
【0024】実施例14輪に正常内圧(200kPa)のタイヤ(タイヤサイズ:215/50R17)が装着されたセドリック(車両)を用意した。そして、絶対速度を計測するようにプログラミングされたタイヤ空気圧低下検出装置を搭載した。
【0025】ついでAHS(自動運転道路システム)と同様なシステムを設定するために、住友ゴム工業(株)の岡山テストコースに、10m間隔の位置に光電管を設置した。ついで光電管を用いて、10mを通過する時間を求め、距離と時間で計算された速度を車両の絶対速度と定義する。ついで前記光電管のあいだを5回走行させたのちの絶対速度と各車輪速度を計算した結果を表1に示す。表1から、車両の絶対速度と各車輪速度との差は0.01km/h程度である。
【0026】
【表1】

【0027】つぎに前記4つのタイヤの空気圧をそれぞれ25%減圧(150kPa)したのち、同様な走行試験を5回行なった。このときの絶対速度と各車輪速度を計算した結果を表2に示す。表2から、車両絶対速度と各車輪速度との差は0.06km/h程度である。
【0028】
【表2】

【0029】このように車両の絶対速度に対し、内圧が下がると動荷重半径が小さくなり車輪の回転速度が速くなることから、絶対速度と各車輪速度をモニターし、その大小関係の差が所定値、たとえば0.03をこえかつ10秒以上持続している場合に、警報を発する。したがって、4輪タイヤの同時減圧の場合でもドライバーに注意を喚起して安全走行させることができる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明によれば、1輪タイヤの減圧を検出することができるとともに、減圧判定の精度を向上させるために、4輪タイヤの同時減圧を検出することができる。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜四丁目5番33号
【出願日】 平成13年11月14日(2001.11.14)
【代理人】 【識別番号】100065226
【弁理士】
【氏名又は名称】朝日奈 宗太 (外1名)
【公開番号】 特開2003−146037(P2003−146037A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−348533(P2001−348533)