| 【発明の名称】 |
車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】ベルント・ハルトマン
【氏名】アンドレアス・ケーベ
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| 【要約】 |
【課題】車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法を提供することである。
【解決手段】少なくとも各車軸、特に各車輪に発生する、最初の持続的かつ周期的で車輪回転数に比例する振動が回転数出力信号として信号処理装置に供給され、一つまたは複数の別に定められる、走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する周期的な振動が最初の振動または回転数出力信号に重畳しており、信号処理装置がこの最初の周期的な振動と別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の周期的な振動との重畳を検出し、警報信号を発する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 空気タイヤの走行トレッドの剥離開始にともない、少なくとも各車軸、特に各車輪に発生する、最初の持続的かつ周期的で車輪回転数に比例する振動が回転数出力信号として信号処理装置に供給され、一つまたは複数の別に定められる、走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する周期的な振動が最初の振動または回転数出力信号に重畳しており、信号処理装置がこの最初の周期的な振動と別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の周期的な振動との重畳を検出し、警報信号を発する、車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法。 【請求項2】 空気タイヤの走行トレッドの剥離開始にともない、少なくとも各車軸、特に各車輪に発生する、最初の持続的かつ周期的で車輪回転数に比例する振動が回転数出力信号として信号処理装置に供給され、その際この回転数出力信号は、この車両の車輪とともに回転する部分または固定された部分に配置された能動的または受動的な磁気装置、特に符号器に対応して、車輪回転数に比例した周期的な磁場の変化が生成され、これを能動的または受動的な磁場センサーによって読み取られることにより供給され、そして空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の際に、一つまたは複数の別に定められる、走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する周期的な振動が最初の振動または回転数出力信号に重畳しており、信号処理装置がこの最初の周期的な振動と別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の周期的な振動との重畳を検出し、警報信号を発する、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 回転数出力信号が、信号処理装置における処理に従い、一つまたは複数の参照値および/または閾値と比較され、参照値および/または閾値を超過していることにより、別の走行トレッドの剥離開始に特有の周期的な振動との重畳が識別され、警報信号を発することを特徴とする請求項1または2に記載の方法。 【請求項4】 一つの車輪または一つの車軸の回転数出力信号が、信号処理装置における処理に従い、参照値として残りの車輪または車軸の回転数出力信号と比較されることを特徴とする請求項3に記載の方法。 【請求項5】 信号処理装置において、予め定めた時間間隔における車輪速度が、回転数出力信号から算出されて、一つまたは複数の参照車輪速度および/または閾値と比較され、その際信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続した規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、その部分回転に対して検出された時間から複数の連続した規定の車輪回転角内に含まれる計数時間TLと、その計数時間における一つまたは複数の車輪回転に対する車輪回転速度の平均値が算出されて、保存され、c)その後、平均車輪回転速度またはその推移が参照値および/または閾値と比較され、d)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される、ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。 【請求項6】 信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の車輪回転に対して検出されたそのような複数の連続する時間から、平均値が算出されて、保存され、c)その後、a)により検出され、保存された時間とb)により算出された平均値との差分が検出され、d)さらに、その検出された差分が参照値および/または閾値と比較され、e)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される、ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。 【請求項7】 信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、a)により検出され、保存された時間の周波数が、逆数演算により算出された後、保存され、c)続いて、一つまたは複数の車輪回転に対する、b)により計算された周波数の平均値が算出されて、保存され、d)その後、b)により検出され、保存された周波数とc)により算出された平均値との差分が検出され、e)そして、その検出された差分が参照値および/または閾値と比較され、f)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される、ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。 【請求項8】 信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、a)により検出され、保存された時間の周波数スペクトルに対して、パワースペクトル密度を検出するための周波数分析が行われ、c)続いて、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、検出されたパワースペクトル密度が、規定の選択周波数間隔にわたって積分された後、保存され、d)その後、選択周波数間隔にわたる積分値が、参照値および/または閾値と比較され、e)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される、ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。 【請求項9】 選択周波数間隔として、ちょうど車輪回転数の倍数、特に車輪回転数の小さい方の倍数(n=1,2,3)に相当する数が使用されることを特徴とする請求項8に記載の方法。 【請求項10】 信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、その時点の車輪速度が、a)により検出され、保存された時間から算出された後、保存され、c)続いて、一つまたは複数の車輪回転に対する、b)により算出された車輪速度の平均値が算出されて、保存され、d)その後、b)により算出され、保存された車輪速度とc)により算出された平均値との差分が検出され、e)そして、検出された差分が参照値および/または閾値と比較され、f)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される、ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。 【請求項11】 信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、その時点の車輪加速度が、a)により検出され、保存された時間から算出された後、保存され、c)続いて、一つまたは複数の車輪回転に対する、b)により算出された車輪加速度の平均値が算出されて、保存され、d)その後、b)により算出され、保存された車輪加速度とc)により算出された平均値またはゼロ値との差分が検出され、e)そして、検出された差分が参照値および/または閾値と比較され、f)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される、ことを特徴とする請求項3または4に記載の方法。 【請求項12】 一つまたは複数の時間制御装置(タイマー)により測定されたゼロ通過点(ゼロ通過時間)間の時間差が、更に処理される前に、車輪の一つの回転に関して同じ時間間隔または同じ回転角間隔で測定されたゼロ通過時間から、更に行われる信号処理の基礎となる、複数の車輪回転に対する平均値が求められる方法により、回転と同期した平均が取られることを特徴とする請求項6から10までの一つに記載の方法。 【請求項13】 請求項1から12までの一つに記載の車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法の空気タイヤを付けた車両の車輪用制御装置、特にアンチ・ロックブレーキシステム(ABS)での使用方法において、空気タイヤの走行トレッドの剥離開始にともない、この制御装置によって、少なくとも各車軸、特に各車輪に発生する、最初の持続的かつ周期的で車輪回転数に比例する振動が生成され、回転数出力信号としてこの制御装置の信号処理装置に供給され、一つまたは複数の別に定められる、走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する周期的な振動が最初の振動または回転数出力信号に重畳しており、信号処理装置がこの最初の周期的な振動と別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の周期的な振動との重畳を検出し、警報信号を発する使用方法。 【請求項14】 算出された平均値が、まずは各車輪のABS信号発生器(符号器)の製造誤差を表す暫定的な参照値に対して調整されることを特徴とする請求項13に記載の車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法の使用方法。 【請求項15】 タイヤの内圧が、回転数出力信号の検出と平行して、圧力検知装置により検出され、その際予め定めた設定値との差分が予め定めた値となる場合に、運転者が知覚しうる信号が出力されることを特徴とする請求項1から14までの一つに記載の車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法の使用方法。 【請求項16】 圧力検知装置により検出された圧力値が、回転数出力信号と相関を取られることを特徴とする請求項15に記載の車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法。 【請求項17】 空気圧により引き起こされるタイヤの回転周辺部の変化を検出する減圧検知装置(DDS)が、圧力検出装置として使用されることを特徴とする請求項16に記載の車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法に関する。 【0002】 【従来の技術】増大しつづける自動車の安全性に関する要求にともない、車の足回りと車両を制御、調整する知能システム内で利用するために、自動車の走行状態および動作状況に影響するとともにこれらを表すあらゆるパラメータを出来る限り広範囲に検出することがますます求められてきている。特に、空気タイヤの一部が突然剥がれることなどにより生じる典型的な危険な状態を確実に検出し、適切な警報信号あるいは制御信号を発することが求められている。 【0003】たいていの場合例えば走行時にタイヤ接地面の剥離から数秒以内に高い確率でタイヤのパンクが続いて起こるので、最も危険なタイヤの突然の破損は、すなわち走行トレッドの剥離から起こり、車両の操縦性の喪失と重大な事故につながる。 【0004】一瞬のうちに車両を制御しながら停止することができるように走行トレッドの剥離開始を検出し、表示することは、これらの状況を把握することがとにかく難しいので、従来から測定技術上の問題を提起している。そこで、従来は、走行トレッドの剥離が開始または既に起こっていることを把握するのに、空気タイヤの危機的な状態を示唆する別のパラメータの表示により済ませていた。 【0005】少なすぎるタイヤの内圧は、空気タイヤの危機的な破損に結びつく、または結びつく可能性があることが知られているので、すでにタイヤの空気圧を検出し、予め決めた閾値を下回った場合には運転者に車両を停止させるようにと表示する一連の解決策が提案されている。このような提案は、例えば欧州特許出願公開第630769号明細書、欧州特許出願公開第826525号明細書、欧州特許出願公開第787606号明細書、欧州特許出願公開第786362号明細書にある。最後に、ドイツ特許出願公開第19908701号明細書により、緊急時走行支持体(Notlaufst tzk rper)を持つタイヤを前提とした、いわゆる緊急時走行状態(Notlaufzustand)の検出装置が知られており、そこでは支持体は不平衡となり、それが空気圧が緩んだ状態のタイヤの内側が接触することにより周波数を発生させ、この周波数はセンサー、特に従来のABS装置により妨害信号として捕捉できるものである。 【0006】これらの解決策は、多くの事例での低すぎる空気圧とそれにより起こるタイヤ構造、特に走行トレッドの破損との相関を利用したものである。もちろん、低すぎる空気圧は、危険な走行トレッド剥離の単なる原因である。むしろ、これはタイヤの内圧と全く関係無く、例えばタイヤの形式に許された最高速度を超過することにより起こりうるものである。例えば、時速160キロメートルに制限されたスノータイヤが約20分間時速180キロメートルで走行すると、正しい空気圧でも過熱のため走行トレッド剥離が起こることがある。老朽タイヤ、使いすぎのタイヤなど、通常運転者の間違った行動のためとされる他の原因でも、規定通りの空気圧でも走行トレッド剥離を起こす。溝をつけ直したタイヤも問題を起こすこともある。 【0007】米国特許第6028508号明細書は、走行トレッドの剥離開始の問題を扱っている。そこでは、タイヤの走行トレッドに向けたレーザーの形のセンサーを提案している。走行トレッドに反りや膨らみが起こったら、レーザーと走行トレッド間の状態変化としてレーザーが検出する。しかし、このように設備するのは、レーザー光源を各車輪、例えば車輪カバー内に配備しなければならないので、比較的費用がかかり、高価である。また、ここではタイヤの溝の間に溜まる汚れた物や不用物が誤認識を起こすこともある。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】この発明の課題は、車両における空気タイヤの走行トレッドの剥離開始の検出方法を提供することであり、この方法は、あらゆる走行状態においてもこのような故障を確実に検出することを可能とし、出現するあらゆる大きな妨害や影響に耐え、あらゆる大きさのタイヤと車両ならびにあらゆるタイヤの構造に対しても同様に組み込め、大きな工事または測定技術上の負担なく測定値を確実に簡単な方法で観測でき、さらに経済的に組み込み可能で一連の大きさに対して入手可能なものである。 【0009】 【課題を解決するための手段】この課題は、一つまたは複数の別に定められる、走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する周期的な振動が最初の振動または回転数出力信号に重畳しており、信号処理装置がこの最初の周期的な振動と別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の周期的な振動との重畳を検出し、警報信号を発する、主請求項の特徴により解決される。 【0010】 【発明の実施の形態】最初の比例した振動と一つまたは複数の別に定められる、走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する周期的な振動との重畳により、最終的な走行トレッドの剥離開始を規定する特徴が作られ、速度、車輪の重さ、タイヤの磨耗、走路面などの影響度に関係無く明確に識別できる信号を生み出す。このような信号の発生により、別の走行状態の検査を実施することなく、明確に走行トレッドの剥離開始の存在を推論することができる。多くの場合、確実に識別できるためには、二番目の走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する周期的な振動と回転数出力信号との重畳だけで十分である。 【0011】この場合、恒久的に存在し、車輪の回転数に比例する最初の周期的な振動の形の回転数出力信号を能動的または受動的な磁場センサーを使って求めるのが有利であり、その際この車両の車輪とともに回転する部分または固定された部分に配置された能動的または受動的な磁気装置、特に符号器に対応して、車輪回転数に比例した周期的な磁場の変化が生成される。 【0012】この方法をそのように構成することにより、単純な、すでに存在し、検証ずみの測定値検査装置および信号発生装置を利用できるので、装置の負担を減らし、構成する装置を安い原価で生産できる。 【0013】有利な構成では、別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する周期的な振動が発生する。 【0014】この方法の別の有利な構成では、信号処理装置での処理において、回転数出力信号が一つまたは複数の参照値または閾値と比較され、この比較において参照値または閾値を超過することにより別の走行トレッドの剥離開始に特有の周期的な振動の重畳が検出され、警報信号が発せられる。 【0015】このように明らかにされた参照値および/または閾値との比較は、走行トレッドの剥離開始の検出時に発生する信号の判定の確度を高め、さらに擾乱の影響を排除する可能性を開くものである。 【0016】この場合、信号処理装置での処理において、一つの車輪または車軸の回転数出力信号を参照値としてその他の車輪または車軸の回転数出力信号と比較するのは、有利である。これは、走行トレッドの剥離開始の位置を特定するとともに、さらに同時にすべての車輪に作用する、特に短い時間発生する擾乱で警報信号が発生しないようにする。その場合、車両の片側、または一本の車軸にある車輪間の比較、または斜向いにある車輪間の比較が行われる。 【0017】さらに他の有利な構成では、信号処理装置において、予め定めた時間間隔における車輪速度が、回転数出力信号から算出されて、一つまたは複数の参照車輪速度および/または閾値と比較され、その際信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続した規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、その部分回転に対して検出された時間から複数の連続した規定の車輪回転角内に含まれる計数時間TLと、その計数時間における一つまたは複数の車輪回転に対する車輪回転速度の平均値が算出されて、保存され、c)その後、平均車輪回転速度またはその推移が参照値および/または閾値と比較され、d)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される。 【0018】この場合、規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間の検出または処理の基本となるものは、「タイムスロット」、すなわち規定の計数時間または測定時間TL、あるいは「ループ時間」とも呼ばれる。 【0019】このような車輪速度の検出は、単に回転数出力信号の比較的簡単な処理を内容としており、電子処理装置または計算能力における負担とともに、それによって対応する電子機器の経費を低減する。このような回転数出力信号の処理方法においては、もちろん規定の計数時間TL内に捕捉する単一パルス数の評価時に、車体または構造の振動あるいは共振が、必ずしもその決定力を本質的に弱めはしないが、評価結果に影響し、変化を及ぼすということを考慮して、出来るだけ容易な評価と出来るだけ正確な評価結果とを慎重に比較検討しなければならない。 【0020】すなわち、必ずしも他の走行状態を表す信号、例えば一瞬の縦または横の加速度と速度を捕捉しなくとも、この発明による方法で規定された、回転数出力信号と一つまたは複数の別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の振動との重畳によって、このような捕捉した速度の絶対値にもとづく単純化された測定と評価を行うことが可能である。すなわち、適当な測定値取得装置によってそれらを検出するには、大きな装置的な負担が必要となり、それらを電子的に処理するには、不必要に電子機器を基本的に複雑な構造にすることとなる。 【0021】重畳した別の走行トレッドの剥離開始に特有の付加振動は、そのような方法で速度振動、すなわち車輪の回転中の周期的な速度の変化として表され、それは、トレッドの剥離開始により回転半径が相異なる短い部分時間の間に変化するため発生する。その場合、この振動は、計数時間(ループ時間)TL内において二進信号から検出された計数パルスの数を明らかに分かるように変化させる。 【0022】この方法の他の有利な構成は、信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の車輪回転に対して検出されたそのような複数の連続する時間から、平均値が算出されて、保存され、c)その後、a)により検出され、保存された時間とb)により算出された平均値との差分が検出され、d)さらに、その検出された差分が参照値および/または閾値と比較され、e)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される。 【0023】この場合、規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間の検出あるいは処理の基本となるものは、決して「タイムスロット」ではなく、車輪の部分回転そのもの、すなわち規定の車輪回転角または「角スロット」の測定である。 【0024】まず、回転数出力信号への変換は、通常ぎざぎざの付いた磁極車輪または類似の要素を符号器として有する一般的に使用されるセンサー装置を用いて、単一パルスから一つの信号または一つの方形信号への変換が行われる。これは、方形信号の変化点とぎざぎざの付いた磁極車輪の各歯によって生じる、回転数出力信号を表す、磁場センサーの通過信号との相関を取り、方形信号の方形の振動が例えば磁極車輪の歯の通過により規定される車輪回転角を表すようにすることにより行われる。 【0025】一般的にデジタル入力信号を処理するために必要な、短い時間の測定用に通常使われる時間測定装置(タイマー)を用いて、規定の車輪回転角で決まる車輪の部分回転に対応する時間を変化点の間隔、すなわち方向信号の変化点間の時間差を検出することにより測定することができる。方形の振動をそのように評価する場合には、常に信号の代表的で同じ位置において、変化点の間隔または方形信号の変化点のゼロ通過点間の時間差を観測するのが賢明である。 【0026】もちろん方形の振動の代りに他の適当な評価済みの振動ならどれも車輪の部分回転に対応する時間を検出するために利用することができる。 【0027】その場合には、車輪の部分回転時間は、ゼロ通過点(ゼロ通過時間)間の時間差、すなわち方形の振動の変化点間の時間差ΔT0(i)(t)として直接的に測定される。ΔT0は、各検出/測定i,i+1,i+2等におけるゼロ通過時間を表す。 【0028】特徴b)にもとづく平均値の生成に関して、車輪回転を連続して検出または算出した複数の値を平均する以外に特に好適な評価方法は、規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する各検出時間が、更に処理される前に、複数の車輪回転に対して、車輪の一つの回転に関して同じ時間間隔または同じ回転角間隔で測定された時間から、更に行われる信号処理の基礎となる、複数の車輪回転に対する平均値が求められる方法により、回転と同期した平均が取られるものである。 【0029】そのような回転と同期した平均を求める際には、車輪の一つの回転に関して同じ時間間隔または同じ回転角間隔で測定された、車輪上で測定、処理された後「時間値」として存在する信号、すなわち車輪の各回転にともなって磁極車輪または符号器の同じ歯によって生成される信号が、複数の車輪回転に対して平均される。これにより、別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の車輪の振動をともなう部分回転の特異な時間は、一般的に通常の擾乱により生じるこれらの時間への影響とは明らかに異なるので、信号ノイズまたは走行路のでこぼこ等のような短時間作用する擾乱の影響がさらに低減され、信号の決定力が強化される。 【0030】同様に、このような平均を求める方法は、規定の計数時間(ループ時間)を基本とする既に述べた評価法のほか、回転数出力信号の処理により生成される他の値、例えば以下において述べる、周波数、車輪速度等にも適している。 【0031】全体として、この方法の構成により、非常に正確で、構造および車体振動の影響をほぼ完全に受けない評価結果が可能となる一方、規定の車輪回転角で決まる車輪の部分回転に対応する時間の検出、あるいはゼロ通過時間の検出において、入力値または中間値が自由に使えるようになり、これらの値は、以下において述べるとおり、車輪またはタイヤの位置的な依存関係を知った上で、簡単な計算処理をさらに行うことにより、再処理してその時点の車輪速度または車輪加速度に関する判定のために利用したり、パターン認識や周波数評価に活用することができる。 【0032】この方法の他の有利な構成において、周波数評価のために、信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、a)により検出され、保存された時間の周波数が、逆数演算により算出された後、保存され、c)続いて、一つまたは複数の車輪回転に対する、b)により計算された周波数の平均値が算出されて、保存され、d)その後、b)により検出され、保存された周波数とc)により算出された平均値との差分が検出され、e)そして、その検出された差分が参照値および/または閾値と比較され、f)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される。 【0033】この場合、周波数の算出は、例えば式f(i)(t)=0.5/ΔT0(i)(t)による逆数演算により得られる。fは検出された周波数であり、ΔT0は、各検出/測定i,i+1,i+2等におけるゼロ通過時間を表す。この場合、係数0.5 は、正弦形の車輪の回転数出力信号の振動周期において、それぞれゼロ通過時間が2回測定されるために付けられている。 【0034】ここでは、複数の連続して検出または算出された車輪回転の値の平均を求めることのほかに、特徴c)により回転と同期して平均することが考えられ、これは、車輪の一つの回転に関して同じ回転角周期で測定された、車輪上で測定、処理された後「周波数値」として存在する信号が、複数の車輪の回転に対して平均されるものである。これによって、既に述べたように、別に定められる、走行トレッドの剥離開始に特有の振動の特異な時間は、例えばタイヤ周期のn次高調波振動として構成され、一般的に通常の擾乱により生じる影響とは明らかに異なるので、信号ノイズまたは走行路のでこぼこ等のような短時間作用する擾乱の影響がさらに低減され、信号の決定力が強化される。 【0035】周波数評価に関するこの方法の他の有利な構成は、信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、a)により検出され、保存された時間の周波数スペクトルに対して、パワースペクトル密度を検出するための周波数分析が行われ、c)続いて、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、検出されたパワースペクトル密度が、規定の選択周波数間隔にわたって積分された後、保存され、d)その後、選択周波数間隔にわたる積分値が、参照値および/または閾値と比較され、e)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される。 【0036】このような周波数分析は、例えばフーリエ解析の形で行うことができ、一つの計算ユニットでも、一つのアナログ回路でも実行できる。 【0037】このような評価または方法は、ゼロ通過時間の標準偏差を評価するために、それぞれ単独または他に続けて実施することができる。周波数分析およびそれに続く選択周波数間隔の統合の評価は、別に定められる、走行トレッドの剥離開始に特有の振動の特異な周波数配列が、例えばタイヤ周期のn次高調波振動として構成され、一般的に通常の擾乱により生じる影響とは明らかに異なるため、簡単な方法で決めることができるので、それによって判定の信頼性をさらに向上することができるという利点をもたらす。 【0038】この発明の他の構成において、ちょうど車輪回転数の倍数に相当するものを選択周波数周期として使用することが考えられる。この場合、特に車輪回転数の小さい方の倍数(n=1,2,3)が用いられる。 【0039】この意味で、この方法の評価結果を明確にする他の有利な構成においては、信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、その時点の車輪速度が、a)により検出され、保存された時間から算出された後、保存され、c)続いて、一つまたは複数の車輪回転に対する、b)により算出された車輪速度の平均値が算出されて、保存され、d)その後、b)により算出され、保存された車輪速度とc)により算出された平均値との差分が検出され、e)そして、検出された差分が参照値および/または閾値と比較され、f)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される。 【0040】この場合、車輪速度の算出は、例えば式v(i)(t)=0.02m/ΔT0(i)(t)により得られる。vは車輪速度であり、ΔT0は、各検出/測定i,i+1,i+2等におけるゼロ通過時間を表す。この場合、ゼロ通過時間の間における車輪/タイヤの回転範囲は、0.02mになる。このような車輪速度の評価は、ここでの規定の車輪回転角により決まる部分回転に対応する時間を検出または処理に当って、車輪の部分回転それ自体、すなわち規定の車輪回転角の測定が基礎となっているので、既に述べた、一つの「ループ時間」内における車輪の部分回転に対する時間の評価とは計算方法が異なっている。 【0041】同様に、この方法の他の有利な構成において、次のとおり、評価結果が明らかにされる。信号処理装置において、回転数出力信号を表す振動にもとづき、a)最初に、複数の連続する規定の車輪回転角に対して、これら規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対応する時間が検出されて、保存され、b)次に、一つまたは複数の計算ユニットを用いて、その時点の車輪加速度が、a)により検出され、保存された時間から算出された後、保存され、c)続いて、一つまたは複数の車輪回転に対する、b)により算出された車輪加速度の平均値が算出されて、保存され、d)その後、b)により算出され、保存された車輪加速度とc)により算出された平均値またはゼロ値との差分が検出され、e)そして、検出された差分が参照値および/または閾値と比較され、f)その結果、それが参照値および/または閾値を超える場合には、警報信号が出力される。 【0042】この場合、車輪加速度の算出は、例えば式a(i)(t)=[ v(i)−v(i-1)]/ΔT0(i)(t)により得られる。aは車輪加速度、vは車輪速度であり、ΔT0は、各検出/測定i,i+1,i+2等におけるゼロ通過時間を表す。 【0043】この方法の二つの構成、すなわち速度分析と加速度分析は、ゼロ通過時間の標準偏差の評価または周波数/周波数分析のために、単独または他に続けて実施することができ、その場合「ゼロ通過時間」の入力値または中間値にもとづく、他のまたは追加の評価は、どれも判定の信頼性の向上に関して有利に働く。そして、例えば非常にでこぼこしたり、大きくうねったり、地面の起伏や凹みを持った路面の場合には、種々の評価方法によって回転数出力信号を複数の閾値をもとに検査することができ、それにもとづきより高い確度で走行トレッドの剥離開始に特有の振動の出現と通常の擾乱とを区別することができる。 【0044】ところで、ぎざぎざの付いた磁極車輪または類似の要素を符号器として有するセンサー装置を使う場合に、信号の処理にシステム全体の「学習」および自動較正を含めることにより、もしかして存在するかもしれない歯の部分的欠陥や機械部材または電気部品における異なった誤差により起こる信号の誤った識別を回避するように、すべての評価方法を構成することができる。これは、例えば通常状態、すなわち走行トレッドの剥離開始のない走行において、一般的に起こる偏差を識別し、その信号部分を検出した基本信号から差し引くことにより実現することができる。 【0045】車両の車輪用空気タイヤ走行トレッド剥離開始検出方法を空気タイヤを付けた車両の車輪用制御装置、特にアンチ・ロックブレーキシステム(ABS)の中で使用するのが、特に有利であり、その場合この制御装置によって、少なくとも各車軸、特に各車輪に発生する、最初の持続的かつ周期的で車輪回転数に比例する振動が生成されて、回転数出力信号としてこの制御装置の信号処理装置に供給され、一つまたは複数の別に定められる、走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する周期的な振動が最初の振動または回転数出力信号に重畳しており、この制御装置の信号処理装置がこの最初の周期的な振動と別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の周期的な振動との重畳を検出し、警報信号を発する。 【0046】この方法をそのように使用することにより、車両データの検査用の既に成熟し、検証済みの装置の中に特に容易に組み込み、統合することができ、その結果そのような制御装置、例えばアンチ・ロックブレーキシステムの能力に関して、走行トレッドの剥離開始が車輪に存在するかどうかの重大な判定を行えるようにするためには、そのために必要な装置および所要の電気機器にほんの少しの変更を行うだけである。それから、現在ある測定機器や電子評価機器を利用することにより、一連の大きさに対しても特に経済的な方法で走行トレッドの剥離開始に関する最終的な判定を行えるようになった。 【0047】この発明の実際の実施例においては、算出された平均値が、まずは各車輪のABS信号発生器(符号器)の製造誤差を表す暫定的な参照値に対して調整されるものと考えることができる。 【0048】この発明の特に優先される実施例においては、タイヤの内圧が、回転数出力信号の検出と平行して、圧力検知装置により検出され、その際予め定めた設定値との差分が予め定めた値となる場合に、運転者が知覚しうる信号が出力される。 【0049】一定の条件において、すなわち走行トレッドの剥離が始まるとタイヤの内側の空気圧が低下する場合がある。空気圧の変化、すなわち特に圧力の減少は、特徴的な信号あるいは周波数が抑制され、そのため差分として捕捉されないという点では、この信号には負の効果をもたらす。危険な状態を把握するために、タイヤの内圧を同時に捕捉し、相関値として利用することができる。これは、特にこの発明の他の有利な形態において、圧力検知装置により検出された圧力値が、回転数出力信号と相関を取られるものと考えることができる。 【0050】この発明の実際の形態においては、さらに空気圧により引き起こされるタイヤの回転周辺部の変化を検出する減圧検知装置(DDS)が、圧力検出装置として使用されるものと考えることができる。 【0051】以下に、実施例をもとに、この発明をより詳しく説明する。 【0052】 【実施例】自動車内へのこの発明による装置の配置を描いた図1は、まず各車輪6−9に配設されたセンサー装置2−5と、これと接続された中央処理装置または評価装置1を示している。 【0053】センサー装置は、各車輪の回転数出力信号を検出し、これらを中央処理装置に送っており、この中央処理装置の出力側には、表示/警報装置10、例えばダッシュボードの運転者の見える場所に配置された光学的な警報表示が接続されている。 【0054】中央処理装置は、各車輪の回転数出力信号の評価と比較ならびに表示装置10への警報信号の発出のためのすべての機能を持った信号処理装置を有する。 【0055】図2は、この発明による装置に組み込まれた周知のセンサー装置の原理図を示しており、この場合各能動的送出装置は、各車輪とともに回転し、磁場センサー12に周期的な磁場変化を発生させるぎざぎざの付いた車輪11の形状で存在し、この磁場変化は、車輪回転数と比例した周期的な振動の形で回転数出力信号として中央処理装置に属する信号処理装置により評価および処理される。 【0056】図3は、従来の技術と同様の代替となるセンサー装置の原理図を示しており、この場合受動的送出装置は、周りにぎざぎざが付いた車輪13の形状で存在し、その回転数はこれに対応して構成された磁場センサー14により検出される。 【0057】図4は、代替となる周知の別のセンサー装置の原理図を示しており、この場合能動的送出装置は、タイヤ側面15に配設された永久磁石領域16の形状で構成されている。そして、この方法により構成されたタイヤの回転数は、これに対応して構成された磁場センサー17により検出される。 【0058】図5aは、規定の計数時間TL(ループ時間)内でセンサー装置を用いて車輪回転数から検出され、信号処理装置で処理された各車輪の車輪速度の評価を示すグラフである。 【0059】この場合、規定の計数時間は、横座標上に描かれているのに対して、縦座標は各車輪の車輪速度を表している。この表は、4輪全部、すなわち左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)、右後輪(RR)の車輪速度を同時に示している。 【0060】図5aで印が付いた時間間隔24部分を拡大して描いた図5b(拡大図)において、相異なる車輪速度がより明確に識別できる。 【0061】この場合、図5aと5bは、左後輪(RL)に走行トレッドの剥離開始が現れている車両についてのこの発明の方法による評価を示している。 【0062】この非常に簡単な速度評価だけで、左後輪の速度推移が残り車輪の速度推移と明らかに異なっていることが識別でき、この場合約11計数時間(ループ)の車輪回転を示している。左後輪の速度推移を表す速度曲線200は、その特性が別に定められる車輪回転数に比例する周期的な振動により生まれ、車体または構造の振動および共振により影響を受ける場合においても、従来の方法で平均した値を用いて車輪速度に対する参照値または閾値201、202により容易に検査され、走行トレッドの剥離開始を表す速度曲線として検出されている。 【0063】図6a、6b、7a−7eは、回転数出力信号に重畳した、別に定められる走行トレッドの剥離開始に特有の車輪回転数に比例する振動が明らかに識別できることを示しており、その振動は不均衡な形における典型的な不規則性から起こる。 【0064】この基本的で定性的なことだけを示す一連の図において、はじめに図6aは、曲線203で走行トレッドの剥離開始の無い一定速度、すなわち標準状態における標準回転数出力信号、例えばABS信号の時間的挙動を示している。 【0065】不規則な振動が現れた場合には、曲線203の重畳されていない、すなわち標準の回転数出力信号と比較して示された、図6bの曲線204で定性的に表された重畳回転数出力信号の時間的挙動が得られる。 【0066】図7aは、曲線205と206によって、図6bの標準および重畳回転数出力信号のゼロ通過時間信号ΔT0(i)(t)の形式で、時間軸上に展開された、規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対して検出された時間を表しており、その時間は、その中に含まれる単一パルスのゼロ通過点間の時間/時間差を測る時間制御装置(タイマー)を用いて検出される。 【0067】この場合、曲線205で表される図6bの標準回転数出力信号のゼロ通過時間信号が、例えば速度変化、走路面、信号ノイズ等により発生する可能性のある、僅かな振動により生じる擾乱の影響を除いては、基本的には一定のまま、ほぼ0.8ミリ秒付近にあることが分かる。 【0068】それに対して、曲線206で表される図6bの重畳回転数出力信号のゼロ通過時間が明らかに分かる周期的な約0.02ミリ秒の差分を示し、その絶対値はほぼ0.78ミリ秒と0.82ミリ秒の間を変動する。 【0069】そして、図7bは、時間軸上に展開された、既に述べた式f(i)(t)=0.5/ΔT0(i)(t)に対応する逆数演算により検出された図7aのゼロ通過時間の周波数を表す。ここでもまた、曲線207で表される図6bの標準回転数出力信号のゼロ通過時間信号の検出周波数は、ただ僅かな振動により生じる擾乱の影響を除いては、基本的には一定のままで、この場合はほぼ625ヘルツ付近にあることが明らかである。 【0070】それに対して、曲線208で表される図7aの重畳回転数出力信号のゼロ通過時間に対応する検出周波数が、明らかに分かるとともに特に明確に識別できる周期的な差分を示し、その周波数は、絶対値がほぼ610ヘルツと640ヘルツの間を変動する。 【0071】そして、図7cは、時間軸上に展開された、既に述べた式v(i)(t)=0.02m/ΔT0(i)(t)に対応する図7aのゼロ通過時間から算出された車輪速度を表す。ここでもまた、曲線209で表される標準回転数出力信号から算出された車輪速度が、基本的には一定のままで、この場合はほぼ毎秒25メートル付近にあることが明らかである一方、それに対して、曲線210で表される重畳回転数出力信号から算出された車輪速度が、明確に識別できる周期的な差分を示し、その車輪速度は、絶対値がほぼ毎秒24.2メートルと毎秒25.8メートルの間を変動する。 【0072】そして、図7dは、時間軸上に展開された、既に述べた式a(i)(t)=[ v(i)−v(i-1)]/ΔT0(i)(t)に対応する図7cの車輪速度から算出された車輪加速度を表す。ここでは、曲線211で表される標準回転数出力信号の車輪速度から算出された車輪加速度が、基本的には一定のままであることが認められる一方、それに対して、曲線212で表される重畳回転数出力信号の車輪速度から算出された車輪加速度が、明確に識別できる周期的な差分を示す。この場合、曲線213は、曲線212に対して平均値演算によりフィルタをかけた車輪加速度である。そのようなフィルタをかけることは、差動歯車が粗い表面を持つ特性により加速度曲線がしばしば特に消失することがあり、フィルタをかけた後はより確実でより簡単な評価を実現することができるので、場合によっては有意義であることがある。 【0073】図7eは、図7aのゼロ通過時間信号の周波数分析を用いて、この場合はすなわち高速フーリエ変換(FFT)を用いて検出した周波数上に展開したパワースペクトル密度を表す。この場合、曲線215で表される重畳回転数出力信号のゼロ通過時間信号から検出されたパワースペクトル密度が、曲線214で表される標準回転数出力信号のゼロ通過時間信号から検出されたパワースペクトル密度と比較して、明らかにピークを示していることが分かる。ここに現れたピークは、周囲を13等分した窪みにより走行トレッドの剥離が始まる構造部分に起こるタイヤ周期の13次高調波振動によってその形と配列が決まり、その際測定する周波数間隔は、特に重畳した振動の次数および車輪の速度に依存する。さらに評価するために、そのように規定した周波数範囲においてパワースペクトル密度曲線を積分し、これを参照値または閾値と、あるいは相互に比較する。 【0074】図7fは、前述の定性的な記述とは反対に、実際に走行中の車両で捕捉した回転数出力信号の評価を表し、ここでは図7cの一つの車輪に関する定性的な記述と類似した、既に述べた式v(i)(t)=0.02m/ΔT0(i)(t)に対応するゼロ通過時間から算出された4輪全部の車輪速度が表されている。また、認識度の向上と信号ノイズの影響の低減のために、ゼロ通過時間の連続した6つの計算値(6つの変化点信号)の平均をとっている。 【0075】この評価にもとづき、この発明による方法において、実環境における走行トレッドの剥離開始を明確に検出できることが明らかとなった。曲線209'(FL) 、209''(FR)、209'''(RR) で表される、標準回転数出力信号から検出された車輪速度は、擾乱値と信号ノイズを除いて、基本的に一定のまま、あるいはそこにある速度上昇(加速度)でほぼ同様に増加する一方、それに対して、曲線210' で表された走行トレッドの剥離開始を示している左後輪(RL)の重畳回転数出力信号から算出された車輪速度は明確に識別できる周期的な差分を示す。 【0076】図8は、この発明の方法による標準または重畳回転数出力信号の規定の計数時間TL(ループ時間)内に含まれる単一パルス数の評価にもとづくこの発明による装置の実施例としての信号処理装置の模式図を示し、ここに示された処理構成において、複数の連続する規定の車輪回転角に含まれる計数時間TLの平均車輪回転速度がその部分回転に対して検出された時間と計数時間TL(ループ時間)内の一つまたは複数の車輪回転に対するその値から計算される。 【0077】ここでは、始めに左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)、右後輪(RR)の各車輪に取り付けられた、図2aのぎざぎざの付いた車輪として構成された能動的送出装置27−30とそれぞれ配置された磁場センサー31−34から成るセンサー装置が模式的に図示されている。 【0078】それから、センサー装置によって検出された回転数出力信号は、中央処理装置1に属する信号処理装置100に送られ、そこでローパスフィルター35−38を用いて高い周波数のノイズ成分をフィルターされた後、回転数出力信号を表す振動がシュミットトリガ39−42により単一パルスから方形信号に変換される。 【0079】各車輪の回転数出力信号からそのように生成された単一パルスは、それから複数の連続する規定の車輪回転角に関して規定の車輪回転角で決まる車輪の部分回転に対応する時間を測定する時間制御装置43−46(タイマー)に送られ、その際時間の測定は、方形信号の変化点の二つの立ち上がりまたは立ち下がり間の時間差(ゼロ通過時間)を検出し、部分回転に対応する時間で補正することにより行われる。 【0080】これと平行して、方形信号の単一パルスは規定の計数時間TL内に含まれる単一パルス数n(TL)または測定時間を検出するために、計数装置43'−46'に送られる。 【0081】それから、複数の連続する計数時間に含まれる単一パルス数、ここでは各車輪のそれぞれ処理された回転数出力信号の10個連続した計数時間(i=1−10)の数、n(TL)FL(i)、n(TL)FR(i)、n(TL)RL(i)、n(TL)RR(i)、ならびに規定の車輪回転角により決まる車輪の部分回転に対して検出された時間が記憶装置47に読み込まれ、後続の計算回路48で更に処理され、そこでは部分回転に対して検出された時間から、一つまたは複数の車輪回転に関する計数時間TL内の平均車輪回転速度V(TL)FL(i)、V(TL)FR(i)、V(TL)RL(i)、V(TL)RR(i)および計数時間TL内の数が計算され、保存される。 【0082】つぎに、平均された車輪回転速度が比較器49で参照値および/または閾値と比較され、そして比較器は、参照値および/または閾値との差が設定値を超える場合にはダッシュボードの運転者の見える場所に配置された表示装置に信号を送る。 【0083】さらに、中央処理装置1は、通常のマイクロコンピュータと呼ばれるような装置が保有し、必要とする、ここでは詳しく述べられていないエネルギー供給装置およびエネルギー供給路、場合によって信号増幅装置、信号伝送装置、冷却装置等を有する。 【0084】この場合、時間制御装置43−46および計数装置43' −46' をそれぞれ、およそ図9および図10で表される時間制御装置(タイマー)と同様に、車軸または車輪の各回転数出力信号を短い時間間隔で時間的に順番に処理する、一つの多重処理装置として構成することができる。 【0085】図9は、この発明の方法によるゼロ通過時間ΔT0(i)(t)の評価にもとづくこの発明による装置の実施例としての信号処理装置の模式図を示し、そこでは、車輪の部分回転に対する時間がゼロ通過点間の時間差(ゼロ通過時間)、すなわち方形の振動の変換点間の時間間隔ΔT0(i)(t)によって直接的に測定され、この場合ΔT0 は各検出/測定i,i+1,i+2等に対するゼロ通過時間を表す。 【0086】ここでもまた、始めに左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)、右後輪(RR)の各車輪に取り付けられた、図2aのぎざぎざの付いた車輪として構成された能動的送出装置27−30とそれぞれ配置された磁場センサー31−34から成るセンサー装置が模式的に図示されている。 【0087】そして、既に図8に図示された信号処理装置のところで述べたとおり、センサー装置によって検出された回転数出力信号は、中央処理装置1に属する信号処理装置100に送られ、そこでローパスフィルター35−38を用いて高い周波数のノイズ成分をフィルターされた後、回転数出力信号を表す振動がシュミットトリガ39−42により単一パルスから方形信号に変換される。 【0088】各車輪の回転数出力信号からそれぞれ得られた単一パルスは、それから複数の連続する規定の車輪回転角に関して規定の車輪回転角で決まる車輪の部分回転に対応する時間を測定する時間制御装置50−53(タイマー)に送られ、その際時間の測定は、方形信号(ゼロ通過時間)の変化点の二つの立ち上がりまたは立ち下がり間の時間差ΔT0(i)(t)を検出し、部分回転に対応する時間で補正することにより行われる。 【0089】各車輪のそれぞれ処理された回転数出力信号の複数の連続する時間に対して測定されたゼロ通過時間ΔT0FL(i)、ΔT0FR(i)、ΔT0RL(i)、ΔT0RR(i)が後続の記憶装置54に保存され、この場合それぞれ10個の連続する時間測定(i=10)に対して保存される。 【0090】後続の計算回路55において、車輪の部分回転に対する時間と車輪の部分回転に対する時間を一つまたは複数の車輪回転に関してここで計算した平均値あるいは複数の連続して測定されたゼロ通過時間との差が計算され、比較器56に送られ、そこで計算された差が参照値および/または閾値と比較され、参照値および/または閾値との差が設定値を超える場合には、同様にダッシュボードの運転者の見える場所に配置された警報装置10に警報信号が送られる。 【0091】図10は、複数の連続して測定されたゼロ通過時間の周波数を逆数演算にもとづく計算により実現する、この発明による装置の実施例としての信号処理装置の模式図を示す。 【0092】ここでも、始めに左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)、右後輪(RR)の各車輪に取り付けられた、図2aのぎざぎざの付いた車輪として構成された能動的送出装置27−30とそれぞれ配置された磁場センサー31−34から成るセンサー装置が模式的に図示されている。 【0093】それから、センサー装置によって検出された回転数出力信号は、中央処理装置1に属する信号処理装置100に送られ、そこでローパスフィルター35−38を用いて高い周波数のノイズ成分をフィルターされた後、回転数出力信号を表す振動がシュミットトリガ39−42により単一パルスから方形信号に変換される。 【0094】各車輪の回転数出力信号からそれぞれ得られた単一パルスは、それから複数の連続する規定の車輪回転角に関して規定の車輪回転角で決まる車輪の部分回転に対応する時間を測定する時間制御装置50−53(タイマー)に送られ、その際時間の測定は、方形信号(ゼロ通過時間)の変化点の二つの立ち上がりまたは立ち下がり間の時間差ΔT0(i)(t)を検出し、部分回転に対応する時間で補正することにより行われる。 【0095】そのようにして得られたゼロ通過時間は、それから計算ユニット57−60に送られ、そこでゼロ通過時間の周波数の計算が式f(i)(t)=0.5/ΔT0(i)(t)に対応する逆数演算により行われる。この場合、f(i)(t)は検出された周波数でΔT0(i)(t)は各検出/測定i,i+1,i+2等に対するゼロ通過時間を表し、この場合、係数0.5 は、正弦形の車輪の回転数出力信号の一つの振動周期において、それぞれゼロ通過時間が2回測定されるために付けられている。 【0096】後続の記憶装置61において、各車輪の回転数出力信号それぞれのゼロ通過時間から検出された周波数fFL(i) 、fFR(i) 、fRL(i) 、fRR(i) に対応する複数の連続する処理が行われ、この場合それぞれ10個の連続して検出された周波数(i=10)が保存される。 【0097】後続の計算回路62において、複数の連続して検出された周波数と一つまたは複数の車輪回転に関してここで計算した周波数の平均値との差が計算され、比較器63に送られ、そこで計算された差が参照値および/または閾値と比較され、参照値および/または閾値との差が設定値を超える場合には、ダッシュボードの運転者の見える場所に配置された警報装置10に警報信号が送られる。 【0098】図11は、計算ユニットを用いて、時間(時間信号)にもとづくゼロ通過時間の周波数スペクトルに対してパワースペクトル密度を検出するための周波数分析を行う、この発明による装置の実施例としての信号処理装置の模式図を示す。 【0099】ここでも、始めに左前輪(FL)、右前輪(FR)、左後輪(RL)、右後輪(RR)の各車輪に取り付けられた、図2aのぎざぎざの付いた車輪として構成された能動的送出装置27−30とそれぞれ配置された磁場センサー31−34から成るセンサー装置が模式的に図示されている。 【0100】それから、センサー装置によって検出された回転数出力信号は、中央処理装置1に属する信号処理装置100に送られ、そこでローパスフィルター35−38を用いて高い周波数のノイズ成分をフィルターされた後、回転数出力信号を表す振動がシュミットトリガ39−42により単一パルスから方形信号に変換される。 【0101】各車輪の回転数出力信号からそれぞれ得られた単一パルスは、それから複数の連続する規定の車輪回転角に関して規定の車輪回転角で決まる車輪の部分回転に対応する時間を測定する時間制御装置50−53(タイマー)に送られ、その際時間の測定は、方形信号(ゼロ通過時間)の変化点の二つの立ち上がりまたは立ち下がり間の時間差ΔT0(i)(t)を検出し、部分回転に対応する時間で補正することにより行われる。 【0102】そのようにして得られたゼロ通過時間信号の周波数スペクトルは、それから計算ユニット64−67に送られ、そこでパワースペクトル密度を検出するためにフーリエ変換の形で周波数分析FT(ΔT0 )が行われる。 【0103】つづいて、計算ユニット68−71において、各車輪のそれぞれ適当に処理された回転数出力信号のパワースペクトル密度が規定の周波数範囲にわたり積分され、その結果その積分に対しては、以下の式にもとづく値が得られる。 【0104】∫FT(ΔT0 )df=If(i)各車輪の回転数出力信号それぞれに関して検出された積分値IfFL(i)、IfFR(i)、IfRL(i)、IfRR(i)が最初に記憶装置72に、その次に比較器73に送られ、そこで検出された積分値が参照値および/または閾値と比較され、参照値および/または閾値との差が設定値を超える場合には、ダッシュボードの運転者の見える場所に配置された警報装置10に警報信号が送られる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390040431 【氏名又は名称】コンテイネンタル・アクチエンゲゼルシヤフト 【氏名又は名称原語表記】CONTINENTAL AKTIENGESELLSCHAFT
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| 【出願日】 |
平成14年9月10日(2002.9.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100069556 【弁理士】 【氏名又は名称】江崎 光史 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−146036(P2003−146036A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2002−264269(P2002−264269) |
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