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【発明の名称】 ゴム−繊維複合体材料およびそれを用いたゴム物品
【発明者】 【氏名】随行 裕吾
【住所又は居所】東京都小平市小川東町3−1−1 株式会社ブリヂストン技術センター内

【要約】 【課題】タイヤ構造が簡単で製造が容易であるとともに、リムへの装着が容易で材質面でも経済的であり、低燃費性能を損なうことなく、しかも通常走行耐久性とランフラット耐久性に優れた安全空気入りタイヤに好適に使用し得るゴム−繊維複合体材料、該ゴム−繊維複合体材料を補強材として使用したことを特徴とするゴム物品及び該ゴム−繊維複合体材料を補強材として使用したことを特徴とするタイヤ又はタイヤ用チューブを提供することを目的とする。

【解決手段】不織布と不織布を被覆するゴムと該ゴムの表面の全部又は一部をコーティングする樹脂とからなるゴム−繊維複合体材料であって、該樹脂の厚みが0.02〜1mmであり、60℃での空気透過係数が20×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であり、かつ、引張破壊伸度が30%以上であることを特徴とするゴム−繊維複合体材料である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 不織布と不織布を被覆するゴムと該ゴムの表面の全部又は一部をコーティングする樹脂とからなるゴム−繊維複合体材料であって、該樹脂の厚みが0.02〜1mmであり、60℃での空気透過係数が20×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であり、かつ、引張破壊伸度が30%以上であることを特徴とするゴム−繊維複合体材料。
【請求項2】 前記樹脂が、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂及びイミド系樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載のゴム−繊維複合体材料。
【請求項3】 前記不織布が、10〜35μmの単繊維径、かつ、30〜100mmの繊維長を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のゴム−繊維複合体材料。
【請求項4】 前記不織布が、引張弾性率50GPa以上である有機繊維を少なくとも一部に含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のゴム−繊維複合体材料。
【請求項5】 前記有機繊維がパラ系アラミド繊維、ポリオレフィンケトン繊維、ポリベンゾアゾール繊維及びポリイミド繊維から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項4に記載のゴム−繊維複合体材料。
【請求項6】 パラ系アラミド繊維が、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド及びポリパラフェニレンイソフタルアミドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5に記載のゴム−繊維複合体材料。
【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載するゴム−繊維複合体材料を補強材として使用したことを特徴とするゴム物品。
【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載するゴム−繊維複合体材料を補強材として使用したことを特徴とするタイヤ又はタイヤ用チューブ。
【請求項9】 環状に形成されたトレッドと、該トレッドの両端からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォールと、該サイドウォールのタイヤ半径方向内側に埋設されたビードを具備するチューブレスタイヤと、該チューブレスタイヤの内側にチューブが内蔵され、空気充填状態において該チューブ外径側と前記チューブレスタイヤのクラウン部内壁との間に空間部が形成されている空気入りタイヤであって、前記チューブの少なくとも頂部に請求項1〜6のいずれかに記載するゴム−繊維複合体材料を補強材として使用したことを特徴とする空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム−繊維複合体材料およびそれを用いたゴム物品に関し、詳しくはタイヤ、チューブ、ベルト等のゴム物品の補強材として使用した場合に、該ゴム物品の耐久性を高めることができるとともに、軽量化を図ることのできるゴム−繊維複合体材料およびそれを用いたゴム物品、特にタイヤ及びタイヤ用チューブに関するものである。さらには、上記ゴム−繊維複合体材料を用いた、パンクその他によって、タイヤ内の空気圧が急激に低減してもなお継続的に走行を可能としたチューブレスの空気入り安全タイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、タイヤに適用されるゴム系複合材料の補強材は、有機繊維コードやスチールコードが知られているが、近年では不織布を用いたゴム系複合材料の適用が提案されている。
【0003】一方、空気入りタイヤがパンク等しても、修理,補修ができる場所までの相当距離を継続走行できることを可能としたランフラットタイヤまたは安全タイヤは、従来から各種のものが研究,開発されており、例えば、補強チューブ,多重室チューブ,充填チューブ,折りたたみチューブ,チューブ自体を工夫したランフラットタイヤや、シーラント剤塗布タイヤ,充填タイヤ,中子内蔵型タイヤなどが知られている。また近年、特開平7−276931号公報では、外部タイヤの内部に、これよりも若干小さい内部タイヤを入れた二重構造の安全タイヤが報告されている。
【0004】従来のこの種のタイヤは製造方法、補助部材の材質などが特殊で作りにくく、かつホイールリムへの装着や取り扱いに難点があることが多かった。例えば、チューブ改良型のランフラットタイヤで多重室のものは、チューブの製造が難しく非現実的であり、また、シーラント剤塗布タイヤや充填タイヤでは、シーラント剤の注入方法や材料の開発が難しく、中子内蔵型タイヤでは、その中子のリムへの装着に難点があった。さらに、スポンジ充填,弾性体充填等のムースタイプの安全タイヤも製造が難しく、また、形状の制御や安定化も困難であった。また、特開平7−276931号公報記載の安全タイヤは、タイヤを二重構造とすることからその分タイヤが重くなり、低燃費性能に問題があった。
【0005】こうした状況下、環状に形成されたトレッドと、該トレッドの両端からタイヤ半径方向内側に配設された一対のサイドウォールと、該サイドウォールのタイヤ半径方向内側に埋設されたビードを具備するチューブレスタイヤと、該チューブレスタイヤの内側にチューブが内蔵され、空気充填状態において該チューブ外径側と前記チューブレスタイヤのクラウン部内壁との間に空間部が形成されている安全空気入りタイヤアセンブリであって、前記チューブの少なくとも頂部に補強層を配置し、通常は前記空間を維持して走行し、外側タイヤがパンクなどにより内圧低下した場合には、前記補強層が伸びて、外側タイヤ内面にほぼ密着する形態をとり走行を可能とするチューブを有する安全空気入りタイヤアセンブリが開発され、空気入り安全タイヤとして有効であることがわかってきた。
【0006】チューブレスタイヤの内部にチューブを有する安全空気入りタイヤにおいて、該チューブは少なくともその頂部を覆う特定層で補強されている。この補強層は、タイヤ組立て適用時に要求される初期引張弾性率,破壊強度,破壊伸びを満足するとともに、通常走行時及び内圧低下走行時のチューブの耐久寿命を効果的に向上させる作用を有している。すなわち、この補強層は、通常走行時(例えば100km/h)には転動により作用する遠心力と、チューブとタイヤの内圧差(例えば、タイヤ900kPa、チューブ950kPaの場合は50kPa)により作用する張力とに抗してチューブの伸びを抑制し、タイヤがパンクした状態(例えば400kPa以下)になった時には、タイヤ内面まで伸張することでタイヤの撓みを抑制する作用を有する。また、このような作用を有する限りにおいて、補強層が伸びる領域は、その弾性域であっても塑性域であってもよい。しかしながら、チューブの頂部の補強層としていかなる材料が好適であるかについては、多くの知見はなく、より効果の高い材料の開発が望まれていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記の課題を解消して、タイヤ構造が簡単で製造が容易であるとともに、リムへの装着が容易で材質面でも経済的であり、低燃費性能を損なうことなく、しかも通常走行耐久性とランフラット耐久性に優れた安全空気入りタイヤに好適に使用し得るゴム−繊維複合体材料、該ゴム−繊維複合体材料を補強材として使用したことを特徴とするゴム物品及び該ゴム−繊維複合体材料を補強材として使用したことを特徴とするタイヤ又はタイヤ用チューブを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記パンク走行を可能とするランフラットタイヤのさらなる品質向上のために、従来のチューブを内蔵したタイプのタイヤを検討した結果、通常走行時の遠心力でクリープ変形してチューブ外径が大きくなり、タイヤと接触してインナーライナー部とチューブとのこすれによりチューブが損傷を受け、ランフラット走行性能を確保することができないこと、及びランフラット時の撓みを抑制するため、タイヤよりチューブの内圧を高めても、タイヤ内空間部が確保できずチューブが損傷を受け易いことを知見した。そして、不織布と不織布を被覆するゴムと該ゴムの表面の全部又は一部をコーティングする樹脂とからなるゴム−繊維複合体材料であって、該樹脂の厚みが0.02〜1mmであり、60℃での空気透過係数が20×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であり、かつ、引張破壊伸度が30%以上であることを特徴とするゴム−繊維複合体材料が、上記問題点を解決し、タイヤパンク時にタイヤ内面への拡張を可能とし、ランフラットタイヤの性能を格段に向上させることを見出し本発明に至ったものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明のゴム−繊維複合体材料は、不織布と不織布を被覆するゴムと該ゴムの表面の全部又は一部をコーティングする樹脂とからなるゴム−繊維複合体材料であって、該樹脂の厚みが0.02〜1mmであり、60℃での空気透過係数が20×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であり、かつ、引張破壊伸度が30%以上であることを必須とする。
【0010】本発明において使用し得る樹脂は、特に限定されないが、その厚みが0.02〜1mmであることが必要である。0.02mm未満では空気透過を抑制するという本願発明の目的を十分に満足することができず、1mmを超えるとリム組み時に生ずる曲げ変性歪みが過大となり、損傷するという不都合を生じるからである。また、上記効果の観点からさらには0.05mm〜0.3mmの範囲がより好ましい。さらに、該樹脂は60℃での空気透過係数が20×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることが必要である。60℃での空気透過係数が20×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHgを超える場合には、空気透過を抑制するために、樹脂の厚みを大きくする必要が生じ、上述の不都合を生じるからである。該効果の観点から、60℃での空気透過係数は5×10-12cm3・cm/cm2・sec・cmHg以下であることがより好ましい。
【0011】また、前記樹脂は引張破壊伸度が30%以上であることを必須とする。引張破壊伸度が30%未満であると、例えばチューブの補強に適用した場合に、タイヤ内面までの伸張が困難になるという不都合を生じるからである。こうした効果の観点から、引張破壊伸度は100%であることがより好ましい。
【0012】前記樹脂の種類としては、特に限定されないが、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリニトリル系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリビニル系樹脂、セルロース系樹脂、フッ素系樹脂及びイミド系樹脂が好ましく、これらの樹脂を1種又は2種以上混合して使用してもよい。またこれらの樹脂の共重合体を使用することもできる。
【0013】次に、本発明において適用し得る不織布は、特に限定されず、いずれの製法で製造されたものでも差し支えない。例えば、カーディング法、抄紙法、エアレイ法、メルトブロー、スパンボンド法などの製法によりウェブを作製されたものなどが使用できる。メルトブロー、スパンボンド法以外のウェブでの繊維の結合方法として、熱融着、バインダによる方法、水流または針の力で繊維を交絡させる水流絡合法、ニードルパンチ法を好適に利用することができる。とりわけ水流または針で繊維を交絡させる水流絡合法、ニードルパンチ法およびメルトブロー、スパンボンド法により得られた不織布が好適である。
【0014】また、該不織布の単繊維径は10〜35μmの範囲が好ましく、さらには20〜30μmの範囲内にあることが望ましい。単繊維径が10μm未満の場合には繊維フィラメント間同士の隙間が十分でなく、不織布内部へのゴム浸透性が困難となるため、ゴムとの複合体として十分に機能を発現できなくなる場合があるからであり、一方、35μmを超える場合には繊維フィラメント自身の曲げ剛性が過大となってしまうため、不織布として十分な繊維間の交絡を得ることが困難となり、その結果ゴムとの複合体として十分に機能を発現できなくなるからである。なお、その断面形状は特に限定されず、円状のもの、円と異なる断面形状のもの、中空部を有するものなどを用いることができる。
【0015】さらに、該不織布の繊維長は30〜100mmの範囲であることが好ましく、さらには40〜60mmの範囲であることが望ましい。かかる繊維の長さが30mm未満の場合には、繊維フィラメント−繊維フィラメント間の絡み合いが十分でなく、補強層として剛性を保持できなくなる場合があるからであり、一方、フィラメント繊維の長さが100mmを超える場合は、繊維フィラメントの末端個数が少なくなり過ぎるため、この場合も繊維フィラメント−繊維フィラメント間の絡み合いが十分でなく、補強層として剛性を保持できなくなることがあるからである。
【0016】次に、該不織布の引張弾性率が50GPa以上である有機繊維を少なくとも一部に含むことが好ましく、50%以上含むことがより好ましい。かかる不織布に引張弾性率が50GPa未満である繊維フィラメントを用いた場合や、引張弾性率が50GPa以上である有機繊維の含有率(重量%)が小さすぎる場合には、通常走行時(100km/h)に、転動により作用する遠心力と、チューブとタイヤの内圧差(例えばタイヤが900kPaでチューブが950kPaの場合は50kPa)により作用する張力に抗してチューブの伸びを抑制することができなくなる場合があるからである。従って、こうしたチューブのクリープ変形を抑制しようとすると、例えば、補強層の積層数が過大となり、安全タイヤアセンブリの重量が増大し、その結果、低燃費性能等の通常走行性能が著しく低下する場合がある。
【0017】また、前記有機繊維としては、アラミド繊維、ポリオレフィンケトン繊維、ポリベンゾアゾール繊維、ポリイミド繊維、ポリエステル繊維、カーボン繊維及びポリエーテルケトン繊維等が挙げられるが、その中でも、パラ系アラミド繊維、ポリオレフィンケトン繊維、ポリベンゾアゾール繊維及びポリイミド繊維から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0018】前記パラ系アラミド繊維としては、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド又はポリパラフェニレンテレフタルアミド等が挙げられ、特にコポリパラフェニレン−3,4’オキシジフェニレンテレフタルアミドを好適に用いることができる。なお、これらは市販品として、帝人(株)製テクノーラ(商標)、デュポン社製ケブラー(商標)として入手することができる。また、前記ポリオレフィンケトン繊維は、一酸化炭素とオレフィンの共重合体からなる繊維であり、該オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ドデセン、スチレン、メチルアクリレート、メチルメタクリレート及びビニルアセテート等が挙げられる。
【0019】前記ポリベンゾアゾール繊維としては、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール等が挙げられ、市販品としては、東洋紡績(株)社製「ザイロン」等が挙げられる。また、ポリイミド繊維としては、例えばインスペックファイバーズ社製「P84」等の市販品が挙げられる。その他、ポリエステル繊維としてはポリエチレンテレフタレート繊維、ポリエチレンナフタレート繊維等が挙げられる。
【0020】また、不織布の厚さに関しては、10g/cm2(約981Pa)の加圧下で測定した不織布の厚さを、200g/cm2(約19613Pa)の加圧下で測定した不織布の厚さで除した値が2以上であることが好ましい。この値が2より小さい場合には、ロール圧延などの複合化方法によるゴムの浸透性が悪い場合があり、複合化したゴム−繊維複合体材料の剛性が不十分なものとなる可能性があるからである。
【0021】さらに、前記ゴム−繊維複合体に用いる不織布は、目付重量30〜120g/m2のものが好ましい。目付重量が30g/m2未満では、チューブの伸びを抑制することが困難な場合があり、120g/m2を超えるとタイヤ圧低下時に充分な伸びが得られないことがある。また、20g/cm2(約1961Pa)の加圧下で測定した不織布の厚さは、0.2〜1.4mmであることが好ましい。
【0022】このゴム−繊維複合体のゴム成分は特に限定されないが、例えば天然ゴム,ブタジエンゴム,スチレンーブタジエンゴム,イソプレンゴムなどが好ましい。また、この複合体におけるゴム組成物の100%モジュラスは、その用途により適宜設定することができる。例えば、本発明の複合体材料を、ゴム製の安全装置に用いる場合は、1.0〜5.0MPaの範囲が好ましく、またサイドウォールに用いる場合は、0.3〜0.5MPaの範囲であることが好ましい。
【0023】また、上記繊維には一定量のクレー(粘土鉱物)をミクロ分散させることができ、そのことによって繊維の弾性率を向上させると同時に熱収縮率を小さくすることができ、ゴム−繊維複合体材料のさらなる改良が可能である。クレーのような無機材料の有機繊維などへの分子レベルでの分散は、クレーのインターカレーション(クレーの表面処理による表面の有機化に伴うマトリックスポリマーでの分散)により、クレーが繊維などのポリマー中にミクロンないしナノオーダーで分散することにより達成される。
【0024】また、本発明における不織布は、ゴムとの接着性を向上させ、ゴム−繊維複合体としての耐久性を高めるために、所望により、不織布を構成するフィラメント表面に硫黄と反応可能な金属または金属酸化物を物理的気相成長法(PVD)または化学的気相成長法(CVD)、好ましくはスパッタ法により皮膜を形成することができる。
【0025】本発明において、使用するゴムと不織布との複合化は、プレスまたはロールなどによりシート状未加硫ゴム組成物を、上下両面または片面から圧着して、不織布内部の空気をゴムと置換する方法がある。または、他の複合化の方法としては、未加硫ゴム組成物を、溶媒を用いて液状化させ、不織布に塗布する方法などがある。このようにして得られた未加硫複合部材を繊維補強部材層として適用して生タイヤを成型し、続いて加硫成型を施すことで、タイヤが製造される。
【0026】前記不織布とゴムとの複合化は、従来、有機繊維コードやスチールコードをゴム引きするのに使用される設備を用いて、比較的容易に行なうことができる。このようにして得られる本発明におけるゴム−繊維複合体の引張弾性率は2〜20GPaであることが好ましい。さらに、本発明のタイヤにおいて用いられる補強層は、このゴム−繊維複合体3〜6層を積層した構成にしたものが好ましい。
【0027】本発明のゴム−繊維複合体材料は、特に安全空気入りタイヤに好適に使用することができるため、以下、安全空気入りタイヤに関して、さらに詳細に説明する。本発明の安全空気入りタイヤに関する、実施の形態を図面に基づいて具体的に説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係る安全空気入りタイヤの概略を示す断面図である。チューブレスタイヤ1は、環状に形成されたトレッド2と、トレッド2の両端からタイヤの半径方向内側に埋設された一対のサイドウォール3と、サイドウォール3のタイヤの半径方向内側端に形成されたビード部4とを具備し、ビード部4がリム6に装着され、その内側にチューブ5が内蔵されて、チューブ5の少なくとも頂部を覆って補強層7が位置している。また、チューブ5の外径側とチューブレスタイヤ1のクラウン部の内壁との間には、大きな空間部Sが形成されている。さらに、チューブ5の左右両側部は、チューブレスタイヤ1のビード部4の内面に密着するようにしてある。空気充填時、チューブ5の内圧P2は、空間部Sの内圧P1より高く、通常は20〜100kPa高くなるように維持される。
【0028】本発明の安全空気入りタイヤは、釘踏み等によりタイヤ内の空気が抜ける外的要因で空間部Sの内圧P1が低下すると、チューブ5の内圧P2とチューブレスタイヤ1内の圧力P1とのバランスが崩れ、チューブ5の内圧が大きくなる結果、チューブ5がチューブレスタイヤ1の内面にフィットすべく拡張し、最終的にタイヤ形状を保つことができる。また、この際、P2はP1より高めに設定されているので、チューブ補強層7がない場合より高いチューブ内圧を保ってランフラット走行が可能となるため、サイドウォール部の撓みは抑制され、その結果、ランフラット走行距離を大幅に増大させることができる。
【0029】尚、上記のゴム−繊維複合材料は、これを補強材として用いたゴム物品の耐久性を損なうことなく、該ゴム物品の剛性を高めることができ、チューブの補強層として使用する以外にも、例えば、ラジアルタイヤの場合、かかるゴム−繊維複合体材料をタイヤサイドウォール部に適用することで、該サイドウォール部の剛性を効果的に高め、タイヤの操縦安定性を向上させることもできる。
【0030】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、この例によってなんら限定されるものではない。なお、タイヤの性能は以下の方法により測定した。
(1)室内ドラム耐久性(通常走行耐久性)
タイヤとリム(9.00×22.5)とを所定内圧でリム組みし、34.81kNの荷重下周速度60km/時で回転するドラムに押し当て、故障発生までの走行距離を測定し、従来例の値を100として指数表示した。指数が大きい程、ランフラット性は良好である。
(2)ランフラット耐久性タイヤとリム(9.00×22.5)とを所定内圧でリム組みし、バルブのコアを抜き内圧を大気圧として、荷重570kg、速度89km/時、室温38℃の条件でドラム走行テストを行なった。この時の故障発生までの走行距離をランフラット耐久性とし、従来例(新品時)の値を100として指数表示した。指数が大きい程、ランフラット性は良好である。
【0031】実施例1〜3第1表に示す繊維径、単繊維長の異なる不織布(目付重量;50g/m2)をゴムと複合化し、補強部材を作製した後、低級アルコールに溶解した樹脂を表面に塗布し、80℃で15分間乾燥した。その後、該補強部材をチューブの補強層として用いて、通常の方法により、TBR 315/60R22.5を製造した。このタイヤについて、前記の方法により室内ドラム耐久性及びランフラット耐久性を評価した。結果を第1表に示す。
【0032】従来例補強層を有しない点を除いて、実施例1〜3と同様にタイヤを製造し、同様に評価した。結果を第1表に示す。
【0033】比較例1不織布に樹脂をコーティングしないこと以外は実施例1〜3と同様にタイヤを製造し、同様に評価した。結果を第1表に示す。
【0034】
【表1】

【0035】(注)
*1 テクノーラ;商標,帝人(株)製、コポリパラフェニレン−3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド【0036】
【発明の効果】本発明にかかる、ゴム−繊維複合体材料をゴム物品の補強材として使用した場合に、該ゴム物品の耐久性を高めることができるとともに、軽量化を図ることができる。また、本発明の安全空気入りタイヤによれば、上記の特定の不織布とゴムとからなるゴム−繊維複合体でチューブを補強することにより、タイヤ内圧に対してチューブ内圧を高めに設定することが可能となり、タイヤパンク時にチューブが伸張した状態のエアボリュームが大きくなった結果、ランフラット走行時の撓みが抑制されランフラット耐久性も大幅に向上することが可能となる。また、安全空気入りタイヤの過大な重量増加を抑制し、低燃費性能などの通常走行時性能を改良することもできる。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【住所又は居所】東京都中央区京橋1丁目10番1号
【出願日】 平成13年11月13日(2001.11.13)
【代理人】 【識別番号】100078732
【弁理士】
【氏名又は名称】大谷 保
【公開番号】 特開2003−146032(P2003−146032A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−347512(P2001−347512)