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【発明の名称】 空気入りタイヤ
【発明者】 【氏名】原 憲悟
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】駆動力と旋回力とを両立して高めることができ、不整地走行性能を大幅に向上しうる。

【解決手段】傾斜縦溝10と傾斜横溝20とによって区分されるブロックB0からなるブロック列R0を含む。傾斜縦溝10のタイヤ周方向線に対する角度αは10゜〜45゜、かつ傾斜横溝20のタイヤ軸方向線する角度βは10゜〜45゜である。又傾斜縦溝10と傾斜横溝20は、タイヤ回転方向に対して拡がる向きに傾斜するとともに、前記角度の和α+βは20゜〜55゜の範囲である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】トレッド部に、タイヤ周方向線に対して傾斜する傾斜縦溝と、タイヤ軸方向線に対して傾斜する傾斜横溝とによって区分されかつタイヤ周方向に配列する複数のブロックからなるブロック列を含み、前記傾斜縦溝は、タイヤ周方向線に対してタイヤ回転方向に対して拡がる向きに10゜より大かつ45゜より小の角度αで傾斜するとともに、前記傾斜横溝は、タイヤ軸方向線に対してタイヤ軸方向外側がタイヤ回転方向となる向きに10゜より大かつ45゜より小度の角度βで傾斜し、しかも前記角度の和α+βを20゜より大かつ55゜より小としたことを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】空気入りタイヤが自動二輪車用タイヤであることを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】前記ブロック列のブロックは、タイヤ周方向に長い第1のブロックと、この第1のブロックと交互に並ぶタイヤ軸方向に長い第2のブロックとからなることを特徴とする請求項1又は2記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に自動二輪車用タイヤとして好適であり、不整地での駆動力と旋回力(横グリップ性)との両立を図りうる空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】バランスを保持して走行する自動二輪車で不整地を旋回走行する場合、四輪車の場合以上に旋回力(横グリップ性)の確保が重要となる。
【0003】一般に、不整地兼用のタイヤでは、図4(A)に示すように、駆動力を横溝aに、旋回力を縦溝bにそれぞれ分担させるため、前記横溝aをタイヤ軸方向と実質的に平行に、又縦溝bをタイヤ周方向と実質的に平行に形成したブロックパターンが主流となっている。
【0004】しかし、このようなパターンでは、旋回力を高めるために、縦溝bを多く配置した場合(図4(B)に示す)、駆動力が大きく低下し、タイヤが空回転する傾向となる。その結果、駆動力だけでなく旋回力の発生も不十分となってしまい、不整地走行性能の向上が期待できなくなるという問題がある。逆に、横溝aを多く配置した場合(図4(C)に示す)には、高い駆動力は確保されるものの、旋回力が大きく低下し、同様に、不整地走行性能の向上が期待できなくなる。
【0005】このように、従来のブロックパターンでは、駆動力と旋回力とを両立してバランス良く高め、不整地走行性能を向上させることは難しいものであった。
【0006】そこで本発明は、特に不整地兼用の自動二輪車用タイヤとして好適であり、タイヤ周方向線に対して所定の角度αで傾斜する傾斜縦溝と、タイヤ軸方向線に対して所定の角度βで傾斜する傾斜横溝とを用いることを基本として、この傾斜縦溝と傾斜横溝との双方に駆動力と旋回力との発生機能を持たすことができ、該駆動力と旋回力とを両立して高め、不整地走行性能を大幅に向上しうる空気入りタイヤの提供を目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部に、タイヤ周方向線に対して傾斜する傾斜縦溝と、タイヤ軸方向線に対して傾斜する傾斜横溝とによって区分されかつタイヤ周方向に配列する複数のブロックからなるブロック列を含み、前記傾斜縦溝は、タイヤ周方向線に対してタイヤ回転方向に対して拡がる向きに10゜より大かつ45゜より小の角度αで傾斜するとともに、前記傾斜横溝は、タイヤ軸方向線に対してタイヤ軸方向外側がタイヤ回転方向となる向きに10゜より大かつ45゜より小度の角度βで傾斜し、しかも前記角度の和α+βを20゜より大かつ55゜より小としたことを特徴としている。
【0008】又請求項2の発明では、空気入りタイヤが自動二輪車用タイヤであることを特徴としている。
【0009】又請求項3の発明では、前記ブロック列のブロックは、タイヤ周方向に長い第1のブロックと、この第1のブロックと交互に並ぶタイヤ軸方向に長い第2のブロックとからなることを特徴としている。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は、本発明の空気入りタイヤ1が、不整地兼用の自動二輪車用タイヤとして形成された場合の子午断面図、図2はそのトレッドパターンの展開図、図3はその部分拡大図、を夫々示している。
【0011】図1において、空気入りタイヤ1(以下タイヤ1という)は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカ6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されるブレーカ層7とを具える。
【0012】なおタイヤ1がラジアル構造の場合には、前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ周方向に対して75〜90度の角度で配列した1枚以上、例えば1枚のカーカスプライからなり、その両端は、前記ビードコア5の周りで折返して係止される。又前記ブレーカ層7は、ブレーカコードをタイヤ周方向に対して0〜30度の角度で配列した1枚以上、例えば1枚のブレーカプライからなり、トレッド部2をタガ効果を有して補強しかつトレッド剛性を高めている。前記カーカスコード及びブレーカコードには、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、芳香族ポリアミド等の有機繊維コードが好適に使用される。なおタイヤ1がバイアス構造の場合には、通常カーカス6は、カーカスコードを25〜60度程度の角度で配列した2枚以上、例えば2枚のカーカスプライから形成され、又ブレーカ層7は、ブレーカコードを35〜60度の角度で配列した1枚以上、例えば1枚のブレーカプライから形成される。
【0013】次に、前記トレッド部2には、図2に示すように、タイヤ周方向線に対して傾斜する傾斜縦溝10と、タイヤ軸方向線に対して傾斜する傾斜横溝20とによって区分される複数のブロックB0からなるブロック列R0を少なくとも含んだブロックパターンが形成される。
【0014】詳しくは、本例のブロックパターンは、タイヤ赤道C上でタイヤ周方向にのびる縦溝11と、その両外側で例えば3列に配される前記傾斜縦溝10とを具えるとともに、前記縦溝11と傾斜縦溝10との間、及び前記傾斜縦溝10,10の間には、各間を横切る傾斜横溝20が配されている。
【0015】即ち、本例のブロックパターンでは、前記傾斜縦溝10,10と傾斜横溝20,20とによって区分されるブロックB0がタイヤ周方向に並んでなるブロック列R0の4本、及び前記縦溝11と傾斜縦溝10と傾斜横溝20,20とによって区分されるブロックB1がタイヤ周方向に並んでなるブロック列R1の2本を具えたものが例示されている。
【0016】ここで本発明のタイヤ1では、前記ブロック列R0が少なくとも1本配されていれば良いが、好ましくは2本以上配するのが望ましい。また前記ブロックパターンは、車両に装着されるときのタイヤの向き、即ちタイヤ回転方向Jが特定される所謂方向性パターンであって、本例では、タイヤ赤道Cを中心とした左右対称のものを例示している。
【0017】なお前記縦溝11、傾斜縦溝10、傾斜横溝20の溝深さH(図1に示す)は、不整地での走破性を高めるために、7mm以上、さらには10mm以上、さらには13mm以上とするのが好ましい。
【0018】そして本実施形態では、前記傾斜縦溝10が、タイヤ周方向線に対してタイヤ回転方向Jに対して拡がる向きに10゜より大かつ45゜より小の角度αで傾斜するとともに、前記傾斜横溝20が、タイヤ軸方向線に対してタイヤ軸方向外側がタイヤ回転方向Jとなる向きに10゜より大かつ45゜より小度の角度βで傾斜し、しかも前記角度の和α+βが20゜より大かつ55゜より小であることに特徴を有している。
【0019】このように傾斜した傾斜縦溝10と傾斜横溝20とで囲むブロックB0では、図3に略示するように、タイヤ回転時、傾斜縦溝10に向くブロック壁W1において、該ブロック壁W1と直角な向きの力Fが発生する。この力Fは、タイヤ軸方向に向く旋回力Fs(=F×cosα)と、タイヤ周方向に向く駆動力Ft(F×sinα)との分力にそれぞれ分解できる。
【0020】又同様に、ブロックB0では、傾斜横溝20に向くブロック壁W2において、該ブロック壁W2と直角な向きの力fが発生し、この力fは、タイヤ軸方向に向く旋回力fs(=f×sinβ)と、タイヤ周方向に向く駆動力ft(f×cosβ)との分力にそれぞれ分解できる。
【0021】即ち、一つのブロックB0に、旋回力Fs+fsと、駆動力Ft+ftとの双方の発生機能を持たせることができ、この旋回力Fs+fsと、駆動力Ft+ftとを両立して高めることが可能となる。
【0022】ここで、前記角度の和α+βが55゜以上では、ブロック剛性が不十分となり、発生する力F、f自体が過小となって、旋回力Fs+fsおよび駆動力Ft+ftの上昇が見込めなくなってしまう。逆に、前記角度の和α+βが20゜以下では、力F、f自体は大であるものの、この力F、fから生じる旋回力Fs+fsおよび駆動力Ft+ftが小さくなるなど、何れの場合にも、不整地走行性能の向上効果が充分に発揮されなくなる。
【0023】又前記角度の和α+βが20°〜55゜の範囲であっても、それぞれの角度α、βが10°以下或いは45°以上では、旋回力Fs+fsおよび駆動力Ft+ftの双方をバランス良く高めることが困難であり、特に角度αが10°以下の場合には駆動力が不足し、又角度βが10°以下の場合には旋回力が不足し、不整地走行性能の向上が期待できなくなる。
【0024】又本例のブロックパターンでは、図2の如く、傾斜縦溝10および傾斜横溝20の少なくとも一端は、前記ブロックB1又はブロックB0のブロック壁に遮られてT字状に途切れるT字状途切れ部Pを具える。このT字状途切れ部Pは、不整地からの力が大きく作用する部分であり、従って、傾斜縦溝10および傾斜横溝20に、このT字状途切れ部Pをそれぞれ設けることにより、旋回力および駆動力の双方をより増加させることができ、不整地走行性能のさらなる向上を達成できる。
【0025】又本例のブロックパターンではさらに、前記ブロック列R0のブロックB0を、タイヤ周方向に長い第1のブロックB01と、この第1のブロックB01と交互に並ぶタイヤ軸方向に長い第2のブロックB02との二種類のブロックによって構成するとともに、タイヤ赤道側のブロック列R1のブロックB1も同様に、タイヤ周方向に長い第1のブロックB11と、この第1のブロックB11と交互に並ぶタイヤ軸方向に長い第2のブロックB12との二種類のブロックによって構成している。
【0026】このように、タイヤ周方向の剛性が大なブロックB01,B11と、タイヤ軸方向の剛性が大なブロックB02,B12とを分散させることにより、ブロックパターン全体のパターン剛性がアップし、前記旋回力および駆動力に有利となる。
【0027】以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
【0028】
【実施例】タイヤサイズが140/80−18の不整地兼用の自動二輪車用タイヤを、表1の仕様に基づき試作するとともに、各試供タイヤの不整地走行時の駆動力、旋回力をテストし、その結果を表1に記載した。
【0029】(1)駆動力及び旋回力;試供タイヤを、リム(3.50×18)、内圧(200kPa)にて、自動二輪車(ダートトラック用レース車両;650cc)の後輪に装着し、不整地コース(フラットのダートトラック)を走行するとともに、そのときの駆動力および旋回力を、ドライバーの官能評価により、従来例を4.0とした10点法で評価した。数値が大きいほど優れている。
【0030】表1の如く、実施例のタイヤは、駆動力および旋回力がそれぞれ増加し、不整地走行性能が大幅に向上したのが確認できる。
【0031】
【表1】

【0032】
【発明の効果】叙上の如く本発明は、所定の角度α、βで傾斜する傾斜縦溝および傾斜横溝を用いてブロック列を形成しているため、一つのブロックに駆動力と旋回力との双方を発生させることが可能となる。その結果、この駆動力と旋回力とを両立して高めることができ、不整地走行性能を大幅に向上しうる。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【出願日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【代理人】 【識別番号】100082968
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 正 (外1名)
【公開番号】 特開2003−146017(P2003−146017A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−345024(P2001−345024)