| 【発明の名称】 |
キャスタ車輪及びキャスタ車輪を備えた台車 |
| 【発明者】 |
【氏名】安達 智巳 【住所又は居所】広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内
【氏名】大田 法隆 【住所又は居所】広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内
|
| 【要約】 |
【課題】走行方向を逆転する際に左右方向に振れることがなく、かつ逆キャスタ状態となり難いキャスタ車輪を提供することにある。
【解決手段】台車等に固定するための固定部11と、該固定部11に対して旋回可能に支承されたガイド部材12と、該ガイド部材12に対して水平方向にスライド可能に支持されたスライド部材13と、回転軸14を介して回転可能に支持された車輪15と、回転軸に支承されたストッパ部材16とを備え、スライド部材13は、ガイド部材12の側面に形成された長穴内で移動可能で、ストッパ部材16は、車輪15または回転軸14との摩擦力により上昇し、ガイド部材と咬み合い、車輪とガイド部材とのオフセット状態を保持し、走行方向を逆転する際に左右方向に振れることがなく、かつ逆キャスタ状態とならず安定走行が可能である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 台車等に固定するための固定部と、該固定部に対して、軸を中心として旋回可能に支承されたガイド部材と、該ガイド部材の旋回中心と交差する方向へスライド可能に支持されたスライド部材と、該スライド部材に回転軸を介して回転可能に支持された車輪と、前記回転軸に相対移動可能に支承されたストッパ部材とを備え、前記ストッパ部材は、前記車輪または回転軸との間に作用する摩擦力により上昇し、前記ガイド部材の一部と係合して、前記車輪の回転中心とガイド部材の回転中心とがオフセットした状態に前記スライド部材を保持することを特徴とするキャスタ車輪。 【請求項2】 前記ガイド部材とスライド部材とは、ころがり軸受によりスライド可能に支持されたことを特徴とする請求項1に記載のキャスタ車輪。 【請求項3】 前記スライド部材は、前記ガイド部材の側面に前記ガイド部材の旋回中心に対してほぼ直交する向きに形成された長穴内で移動可能であることを特徴とする請求項1または2に記載のキャスタ車輪。 【請求項4】 台車等に固定するための固定部と、該固定部に対して旋回可能に支承されたガイド部材と、該ガイド部材に対して水平方向にスライド可能に支持されたスライド部材と、該スライド部材に回転軸を介して回転可能に支持された車輪と、前記回転軸に回転可能に支承されたストッパ部材とを備え、前記スライド部材は、前記ガイド部材の側面に形成された長穴内で移動可能であり、前記ストッパ部材は、車輪または回転軸との摩擦力により上昇し、前記ガイド部材の一部と咬み合い、車輪とガイド部材とのオフセット状態を保持するキャスタ車輪を備えたことを特徴とする台車。 【請求項5】 前記ガイド部材とスライド部材とは、ころがり軸受によりスライド可能に支持されたことを特徴とする請求項4に記載の台車。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、キャスタ車輪に関し、特に車輪が走行方向を逆転する際に車輪軸芯からオフセットしたキャスタ軸周りに車輪が旋回することのない走行台車用のキャスタ車輪及びそのキャスタ車輪を備えた台車に関するものである。 【0002】 【従来の技術】従来のキャスタ車輪(自在車輪)は、図7、8に示すように車輪1の回転軸2が路面と平行に向けられるとともに、回転軸2が旋回軸3に対してHだけ変位(オフセット)して配設されている。また、旋回軸3は、固定部4によりボルト5等により、台車、家具、椅子等に固定される。このキャスタ車輪にあっては、前記オフセットの存在により、これが取り付けられた台車等に、所定方向の力が加えられると、車輪1が容易に旋回軸3を中心として旋回して、当該方向へ追従し、方向転換を行うことができるようになっている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した台車用のキャスタ車輪では、走行方向を反転させる際に車輪1にある程度の重量がかかっている場合、車輪1と路面との接地点Aを中心に旋回するため、キャスタ車輪の取り付けられた台車等は、オフセットした分だけ左右方向に振られることとなる。したがって、キャスタ車輪を取り付けた台車が軌条走行を行う台車であり、軌条側に設けられたラックピンに台車側のピンピニオン歯車をかみ合わせる方式の場合、台車を駆動するピンピニオン歯車と垂直配設されたロックピンとの歯丈方向の距離が変化して駆動力の伝達が不能となる虞がある。 【0004】また、反転する直前までの走行方向(キャスタ車輪の方向)により台車の左右への振られ方向が異なるために、積載荷重のバランスがとりにくく荷崩れを起こしたり、場合によっては意図する方向とは逆方向へ台車が振られ走行安定性に欠けると共に、乗り心地の悪いものであった。更に、図8に示すように車輪1が旋回軸(キャスタ軸)3の周りに360度旋回するために、台車自体におけるキャスタ車輪の周囲に旋回半径分の余裕(デッドスペース)を設ける必要が存在した。 【0005】また別の従来例として、路面と平行に配置され車輪の回転軸を路面と平行方向に形成された長溝内に遊嵌し、走行方向を反転させる際にキャスタ軸周りに車輪が旋回するのを防止する構造のものが提案されている。しかし、このような構造のキャスタ車輪においては、車輪の回転軸が長穴内を自由に移動できるために、急勾配の斜面を下る際に、荷重の具合によって車輪の回転軸が進行方向に前進移動してしまい、逆キャスタ状態となってしまい、安定した走行を確保できないと云う虞があった。 【0006】上記問題点を解決するため、本発明は上部構造に対して車輪部をスライド可能に設定することで、走行方向を逆転する際に左右方向に振れることが無く、且つ急勾配の斜面でも逆キャスタ状態とならないキャスタ車輪及びキャスタ車輪を備えた台車を提供することを目的としている。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明は、台車等に固定するための固定部と、該固定部に対してほぼ垂直な軸を中心に旋回可能に支承されたガイド部材と、該前記軸と交差する方向へガイド部材に対してスライド可能に支持されたスライド部材と、該スライド部材に回転軸を介して回転可能に支持された車輪と、前記回転軸に回転可能に支承されたストッパ部材とを備え、前記ストッパ部材は、車輪または回転軸との間に作用する摩擦力により、前記ガイド部材の一部と係合して、前記車輪の回転中心とガイド部材の旋回中心とをオフセット状態に保持することを特徴とする。 【0008】また前記ガイド部材とスライド部材とは、ころがり軸受によりスライド可能に支持されたことを特徴とする。 【0009】また前記スライド部材は、前記ガイド部材の側面に形成された長穴内で移動可能であることを特徴とする。 【0010】また本発明は、前記キャスタ車輪を利用した台車であって、台車等に固定するための固定部と、該固定部に対して旋回可能に支承されたガイド部材と、該ガイド部材に対して水平方向にスライド可能に支持されたスライド部材と、該スライド部材に回転軸を介して回転可能に支持された車輪と、前記回転軸に回転可能に支承されたストッパ部材とを備え、前記スライド部材は、前記ガイド部材の側面に形成された長穴内で移動可能であり、前記ストッパ部材は、車輪または回転軸との摩擦力により上昇し、前記ガイド部材の一部と咬み合い、車輪とガイド部材とのオフセット状態を保持するキャスタ車輪を備えたことを特徴とする。 【0011】また、前記ガイド部材とスライド部材とは、ころがり軸受によりスライド可能に支持されたことを特徴とする。 【0012】 【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。図1は、本発明に関わるキャスタ車輪の一実施の形態を示す一部を切欠いた正面である。図2は、図1の側面図である。ここで、キャスタ車輪10は、台車等に固定するための固定部11と、この固定部11に対して旋回可能に内装支持されたガイド部材12と、このガイド部材12に対して水平方向にスライド可能に支持されたスライド部材13と、該スライド部材13に回転軸14を介して回転可能に支持された車輪15と、前記回転軸14に回転可能に支承されたストッパ部材16等を備えている。 【0013】ガイド部材12は、固定部11にベアリング17によって旋回軸L(通常は垂直に設けられる)を中心に旋回可能に支持されており、上部外周がリブ12fによって補強されている。また、ガイド部材12は、門型をしており中央に車輪15を収納する凹部12aを有している。また、ガイド部材12の両肩部にみぞ12bが形成されており、このみぞ12bにスライド部材13がころがり軸受18を介して水平方向(前記旋回軸Lと交差する方向)に摺動自在に支持されている。スライド部材13の側面には、突起13aが立設されており、この突起13aがガイド部材12の側面に形成された長穴12c内を左右に移動する。また、スライド部材13には、回転軸14が水平(図示の左右方向)に貫通して取付けられており、この回転軸14の中央に車輪15が回転自在に取付けられている。更に、回転軸14は、左右に延設されており、ガイド部材12の側面に形成された長穴12dから側方に突出している。したがって、スライド部材13のガイド部材12に対する水平方向の移動範囲がこの長穴12dまたは長穴12cによって規制される。また、長穴12dは、旋回軸Lを中心として左右対称に形成されている。また、ガイド部材12は、下方端部に係止突部20a、20bが形成されている。 【0014】また、回転軸14の両端には、ストッパ部材16が回転可能に垂下されている。ストッパ部材16は、内方向に突出した摺動片19を有しており、車輪15の側面に常に当接している。したがって、車輪15の回転にともなって車輪から摩擦力が作用することよって、車輪15の回転方向へのトルクを受けることとなる。更に、回転軸14の回転により、回転軸14とストッパ部材16との摩擦力に伴っても車輪15の回転方向のトルクを受ける。また、ストッパ部材16には、前述のガイド部材12の下方端部に形成された係止突部20a、20bと係合可能な係合凹部16a、16bが形成されている。更に、係合凹部16a、16bは、回転軸14と同心円状の曲面を有しており、回転軸14が長穴12dの何れかの端部に移動した際に摩擦トルクによってストッパ部材16が上昇した時、ガイド部材12の係止突部20a、20bと係合する。ストッパ部材16が、車輪15または回転軸14との摩擦力により上昇し、ガイド部材12と係合すると、スライド部材13の移動が制限されて車輪15とガイド部材12とのオフセット状態が保持される。 【0015】以上のように構成されたキャスタ車輪の動作について、図3、4に従って説明する。まず、図3に示すようにキャスタ車輪10が矢印R方向に走行すると、車輪15と床面30の走行抵抗によりスライド部材13及び車輪15が長穴12dの後端部まで後退する。同時に、突起13aが長穴12c内を後端部まで後退する。この突起13aと長穴12cとの関係によって、スライド部材13及び車輪15の移動量が規制される。また、ストッパ部材16は、摺動片19と車輪15との摩擦トルクまたは、回転軸14との摩擦トルクによって矢印S方向へ回転して上昇する。この上昇により、ストッパ部材16の係合凹部16bとガイド部材の係止突部20bとが係合し、ロックされる。したがって、車輪15のガイド部材12に対するオフセット(変位)状態が維持される。 【0016】車輪15がオフセット状態で矢印R方向へ床面30或るいはレール上を走行しても、安定した走行が可能である。また、床面30が前方へ急傾斜していても、車輪15はロックされているので、逆キャスタ状態となることもなく、安定した走行ができる。 【0017】次に、キャスタ車輪10が今まで走行していた方向と逆方向へ走行する場合について説明する。図3に示す状態から車輪15が逆方向へ回転を始めると、ストッパ部材16は、摺動片19が逆方向の回転トルクを受けて、係合状態から解除される。ストッパ部材16とガイド部材12との係合が解除されると、スライド部材13及び車輪15は、ガイド部材12に対して、走行抵抗によって逆方向へ移動する。同時に突起13aが長穴12c内を先端部まで前進する。更に車輪15が回転すると、摺動片19による摩擦抵抗によりストッパ部材16が、図4に示すように上昇して係止突部20aと係合する。ストッパ部材16の係合凹部16aとガイド部材12の係止突部20aとの係合によりロックされ、車輪15のオフセット状態が維持される。 【0018】図4に示すように車輪15がガイド部材12に対して変位(オフセット)しているので床面が逆方向に急傾斜していても、逆キャスタ状態となって不安定となることがない。方向を変換する際に、車輪15がガイド部材12の長穴12d内を水平移動するのみで、旋回軸L周りに回転することがないので周囲に余分なスペースを必要としない。また、一定方向への走行時には、車輪15がオフセットしているので、路面の変化や軌道のカーブに対しても安定した走行を確保できる。 【0019】図5は、本発明のキャスタ車輪を備えた台車の側面図、図6は、その正面図である。台車21は、台車フレーム22の下にキャスタ車輪10が4個取り付けられており、軌条23の上に載っている。また、左右の軌条23の間にラックピン24が等間隔で敷設されており、このラックピン24に台車21に設けられたピンピニオン歯車25が噛み合っている。したがって、台車21側に設けたモータ等の駆動機構26によってピンピニオン歯車25を回転させることにより、急傾斜軌条であっても台車21を前進、後退させることができる。また、台車21に設けられたガイドローラ27は、ラックピン24の部上に設けられた補強フランジ28に当接して、台車の幅方向への移動を規制している。キャスタ車輪10は、台車21の下面の4箇所に取り付けられており、台車の重量を支えると共に従動する。キャスタ車輪10は、上記した構造からなっている。 【0020】以上のように構成された台車21は、キャスタ車輪10がストッパ部材16を備えており、変位量が保持されているので、急傾斜を下る場合でも車輪15が勝手に前方へ移動して逆キャスタ状態となることがなく、安定した走行を維持することができる。また、走行方向を転換する際にも、車輪15及びスライド部材13が、ガイド部材12に対して、走行抵抗によって水平に移動するのみであるので、従来のように車輪15と軌条23との接点を中心に回転することがないので、台車が左右に振られて、積荷のバランスを崩す虞がない。また、台車が意図した方向と異なる方向に振られることがないので、走行の安定性と乗り心地の向上を図ることができる。さらに、車輪が旋回軸の周りに旋回することがないので車輪の周囲のデッドスペースが小さくなり、台車の下部へ有効に機器等を設置及び収納することができる。 【0021】また、走行方向を反転する際に、台車が幅方向に振られて台車を駆動するラックピン24とピンピニオン歯車25の歯丈方向の距離が変化して、駆動力の伝達が不能となる虞がない。 【0022】なお、以上の実施の形態では、ラックピンとピンピニオン歯車による駆動機構を有する台車の例について説明したが、これに限ることなく、自動車や鉄道車両等の車両駆動方式における従動車両についても適用することができる。また、ストッパ部材が回転軸の両端に設けられた場合について説明したが、回転軸の片側であってもよい。 【0023】 【発明の効果】以上説明したように本発明のキャスタ車輪は、台車等に固定するための固定部と、該固定部に対して旋回可能に支承されたガイド部材と、該ガイド部材に対して水平方向にスライド可能に支持されたスライド部材と、該スライド部材に回転軸を介して回転可能に支持された車輪と、前記回転軸に回転可能に支承されたストッパ部材とを備え、前記ストッパ部材は、車輪または回転軸との摩擦力により上昇し、前記ガイド部材の一部と咬み合い、前記車輪とガイド部材とのオフセット状態を保持するので、走行方向を逆転する際に車輪が左右方向に振れ回ることがない。また、急勾配の斜面を下る場合でも逆キャスタ状態となることがなく、安定して走行することができる。 【0024】また、前記ガイド部材とスライド部材とは、ころがり軸受によりスライド可能に支持されたので、車輪に荷重がかかっていても、円滑にガイド部材に対して車輪を水平移動することができる。 【0025】また、前記スライド部材が前記ガイド部材の側面に形成された長穴内で移動可能であるので、走行方向を変換する際に、車輪がガイド部材の長穴内を水平移動し、旋回軸L周りに回転することがないので周囲に余分なスペースを必要としない。また、一定方向への走行時には、車輪がオフセットしているので、安定した走行を確保できる。 【0026】また、台車等に固定するための固定部と、該固定部に対して旋回可能に支承されたガイド部材と、該ガイド部材に対して水平方向にスライド可能に支持されたスライド部材と、該スライド部材に回転軸を介して回転可能に支持された車輪と、前記回転軸に回転可能に支承されたストッパ部材とを備え、前記スライド部材は、前記ガイド部材の側面に形成された長穴内で移動可能であり、前記ストッパ部材は、車輪または回転軸との摩擦力により上昇し、前記ガイド部材の一部と咬み合い、車輪とガイド部材とのオフセット状態を保持するキャスタ車輪を備えた台車であるので、台車の走行方向を変更する場合に台車が横方向に振れて荷崩れを起こす虞がない。また、急斜面を下る際にも逆キャスタ状態となることがなく、安定した走行を実現できる。 【0027】また、前記ガイド部材とスライド部材とがころがり軸受によりスライド可能に支持されたので、台車に荷重がかかっていても、円滑にガイド部材に対して車輪を水平移動することができ、旋回軸周りに車輪が回転することがないので軌条の周囲に余分なスペースを必要としない。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社 【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
|
| 【出願日】 |
平成14年5月29日(2002.5.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100108578 【弁理士】 【氏名又は名称】高橋 詔男 (外2名)
|
| 【公開番号】 |
特開2003−341303(P2003−341303A) |
| 【公開日】 |
平成15年12月3日(2003.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−155485(P2002−155485) |
|