| 【発明の名称】 |
軸受装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】村田 英司 【住所又は居所】大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内
【氏名】清水 功一 【住所又は居所】大阪市中央区南船場三丁目5番8号 光洋精工株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】軸受装置において、ハブ軸のフランジに対してボルトを適正な姿勢で取り付ける構造を安価で提供できるようにする。
【解決手段】ハブ軸2に備えるフランジ21のボルト座面においてハブ軸2の中心軸Pと直角な線Sに対する傾斜角αを、未切削の鍛造加工のみで0.48度以下に管理している。これにより、フランジ21の貫通孔24に対してボルト10を適正な姿勢で取り付けることが可能となり、しかも、製造コストを低減できるようなる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】固定輪と、この固定輪に転動体を介して回転可能に支持される回転輪とからなり、回転輪にフランジ部を形成するとともに、このフランジ部に形成した貫通孔にブレーキのディスクロータ取付用のボルトを圧入固定した軸受装置であって、前記回転輪の中心軸に直交する平面に対するフランジ部のボルト座面の傾斜角を規格値以内に設定している、軸受装置。 【請求項2】前記回転輪の中心軸に直交する平面に対するボルト座面の傾斜角の規格値が、0.48度に設定されている、請求項1の軸受装置。 【請求項3】前記回転輪の中心軸に直交する平面に対するボルト座面の傾斜角の規格値が、0.32度に設定されている、請求項1の軸受装置。 【請求項4】前記フランジ部のボルト座面が、鍛造加工のみにより形成されている、請求項1から3のいずれかの軸受装置。 【請求項5】前記フランジ部において前記ディスクロータが当接される面が、切削加工により仕上げられている、請求項1から4のいずれかの軸受装置。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、軸受装置に関する。 【0002】 【従来の技術】一般的に、自動車などの車輪を支持する軸受装置では、回転輪側ハブ軸(内輪)または外輪の外周部にフランジを形成し、このフランジの円周数ヶ所に貫通孔を設け、この貫通孔に対して車輪およびブレーキのディスクロータを固定するためのボルトを圧入して取り付けている。 【0003】なお、上記ハブ軸(内輪)または外輪は、鍛造加工により整形した後、フランジにおいてディスクロータが当接される面に対して切削加工を施すことにより製作される。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上記従来例において、ボルトの中心軸がハブ軸の中心軸に対して傾斜していると、車輪やディスクロータをハブ軸のフランジに円滑に取り付けることができなくなる。 【0005】このため、上述した使用分野の軸受装置では、ハブ軸の中心軸に対するボルトの中心軸の傾きを許容範囲に収める必要がある。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の軸受装置は、固定輪と、この固定輪に転動体を介して回転可能に支持される回転輪とからなり、回転輪にフランジ部を形成するとともに、このフランジ部に形成した貫通孔にブレーキのディスクロータ取付用のボルトを圧入固定したもので、前記回転輪の中心軸に直交する平面に対するフランジ部のボルト座面の傾斜角を規格値以内に設定している。 【0007】なお、ボルト座面とは、フランジにおいてボルトの頭部が接触する領域のことである。 【0008】要するに、本発明では、ボルト座面の平面度について規格値内に管理することにより、軸受装置の中心軸に対するボルトの中心軸の傾きを適正化している。この場合、前記フランジの貫通孔に対してボルトを取り付けたときに、ボルトの頭部をフランジのボルト座面に密に接触させるだけで、ボルトの姿勢が適正になる。 【0009】ところで、上記回転輪の中心軸に直交する平面に対するボルト座面の傾斜角の規格値を、0.48度、あるいは0.32度に設定することができる。この場合、ボルトの中心軸の傾斜をより小さくすることができ、好ましい。 【0010】また、上記フランジ部のボルト座面を、鍛造加工のみにより形成することができる。この場合、従来例必須であった切削加工を行わない分、製造工程を減らせるようになる。 【0011】また、上記フランジ部において前記ディスクロータが当接される面を、切削加工により仕上げることができる。この場合、上記フランジのディスクロータが当接される面の平滑度を管理できるようになり、ディスクロータの面振れを抑制するうえで好ましい。 【0012】 【発明の実施の形態】図1から図4に本発明の一実施形態を示している。ここでは、自動車の駆動輪側に用いられる軸受装置を例に挙げる。図例の軸受装置1は、中空形状のハブ軸2と、複列外向きアンギュラ玉軸受3とを有している。 【0013】つまり、上記ハブ軸2の一方軸端寄りには、径方向外向きに延びるフランジ21が設けられており、このハブ軸2においてフランジ21よりも車両インナー側の領域に複列外向きアンギュラ玉軸受3が外装されている。 【0014】複列外向きアンギュラ玉軸受3は、二列の軌道溝を有する単一の外輪31と、ハブ軸2の小径外周面22に外嵌される一列の軌道を有する単一の内輪32と、二列で配設される複数の玉33と、二つの冠形保持器34,35とを備えており、前述のハブ軸2の大径外周面23を一方内輪とする構成になっている。外輪31の外周には、径方向外向きに延びるフランジ36が設けられている。 【0015】上記ハブ軸2のフランジ21の円周数ヶ所には、貫通孔24が設けられており、この貫通孔24に対しボルト10が軸方向ならびに周方向に引っ掛かりを持つ状態でかつ突出する状態で挿入されている。なお、上記ボルト10は、例えば円筒形の頭部11と、軸部12とを有している。軸部12において、頭部11寄りの領域の外周にはセレーション13が、また、先端寄りの領域の外周にはねじ溝14がそれぞれ設けられている。セレーション13の歯先円径は、ねじ溝14の歯先円径よりも大きく設定されている。 【0016】そして、上記複列外向きアンギュラ玉軸受3の外輪31のフランジ36が、車体の一部となるキャリア(またはナックル)7に対してボルト8で非回転に取り付けられ、上記ハブ軸2の内周にドライブシャフト4がスプライン嵌合されてナット5により一体的に結合される。また、ハブ軸2のフランジ21の外側面(図1における右側で、車両アウター側の面)と、ボルト10に対して螺合されるナット15とで、ディスクブレーキ装置のディスクロータ6および車輪のホイール9が挟持されて固定されている。なお、ディスクロータ6および車輪のホイール9には、ボルト10が挿入される孔6a,9aがボルト10に対応する位置にそれぞれ形成されている。 【0017】このような構成の軸受装置1において、ハブ軸2のフランジ21におけるボルト座面の傾斜角αを特定しているので、以下で詳細に説明する。 【0018】具体的に、上記ハブ軸2は、JIS規格S55Cなどを母材として鍛造加工により整形した後、ハブ軸2において複列外向きアンギュラ玉軸受3の取付面(22,23)やハブ軸2のフランジ21においてディスクロータ6が当接される外側面に対して、切削加工を施すことにより製作される。 【0019】但し、上記鍛造加工によりハブ軸2のフランジ21を形成するとき、このフランジ21のボルト座面においてハブ軸2の中心軸Oに直交する平面Sに対する傾斜角αを、前記鍛造加工の精度管理のみにより0.48度以下に設定している。この鍛造加工後のフランジ21におけるボルト座面の表面粗さは、十点平均粗さ(Rz)で200〜400になる。 【0020】このようにしていれば、フランジ21の貫通孔24に対してボルト10を取り付けたときに、ボルト10の頭部11をフランジ21のボルト座面に密に接触させるだけで、ボルト10の姿勢(ハブ軸2の中心軸Oに対するボルト10の中心軸の平行度)を適正にすることができる。 【0021】なお、自動車の車輪支持用の軸受装置1については、図1からもわかるように、ハブ軸2の中心軸Oに対するボルト10の中心軸Pの傾きが大きいと、フランジ21にディスクロータ6およびホイール9を取り付ける際に、ボルト10の先端とディスクロータ6およびホイール9の孔6a,9aとが干渉してフランジ21にディスクロータ6およびホイール9を円滑に取り付けることが困難になる。このために、ハブ軸2の中心軸Oに対するボルト10の中心軸Pの傾きを許容範囲に収める必要がある。しかし、上述したように、ボルト座面の傾斜角αを管理することにより、ハブ軸2の中心軸Oに対するボルト10の中心軸Pの傾きを適正化すると、ディスクロータ6およびホイール9の取付時にボルト10と孔6a,9aが干渉することなく、円滑に取り付けることができる。 【0022】なお、上記実施形態では、鍛造加工の精度管理のみにより、ボルト座面の傾斜角αを管理するようにしたが、鍛造加工後にボルト座面を切削加工することで管理することも可能になる。しかしながら、フランジ21のボルト座面を鍛造加工のみで可及的に平滑に仕上げて、従来例において必須であった切削加工を行わないようにした方が、製造工程を減らすことができ、コスト低減に貢献できる。 【0023】ちなみに、フランジ21のボルト座面の傾斜角αと、ボルト10の軸部12の先端における中心のずれ量Δ1との関係を調べているので、説明する。 【0024】ここでは、試料として、ボルト10の頭部11の最大直径を18mm、軸部12のセレーション13の軸方向中心点から軸部12の先端までの軸長を32mm、ボルト10の軸部12の硬度をビッカース硬さ(Hv)で350〜550、フランジ21の硬度をビッカース硬さ(Hv)で200〜300にそれぞれ設定している。ボルト10の圧入時の加圧力は、約4〔t〕に設定している。ボルト10のセレーション13と貫通孔24のはめ合い中央値は、約0.27mmに設定している。 【0025】ここで、フランジ21のボルト座面は、意図的に傾斜させるように切削加工で形成している。このボルト座面の傾斜としては、図3に示すように、フランジ21の厚みが径方向外向きに漸次厚くなるような傾斜としており、この傾斜角αをいろいろ変えている。なお、図3では、傾斜角α,βを誇張して示している。また、図3とは逆にボルト座面の傾斜は、フランジ21の厚みが径方向内向きに漸次厚くなる傾斜となる場合もある。 【0026】ボルト10の軸部12の先端における中心のずれ量Δ1は、図4に示すような測定治具40および3次元測定機(図示省略)を用いて測定した。50は測定補助具であり、ハブ軸2の姿勢を位置決めするものである。 【0027】この測定治具40は、円柱形状の鋼材の中心に円形凹部41を設けたものである。この測定治具40の外周面は、研磨仕上げすることにより十点平均粗さ(Rz)で約3μmに設定されており、円形凹部41の内周面にはボルト10に螺合するねじ溝が形成されている。 【0028】測定方法としては、図4および図5に示すように、フランジ21の貫通孔24に圧入されているボルト10の軸部12に対して測定治具40を螺合装着しておき、測定治具40の外周面の軸方向2ヶ所X,Yで円周方向90度おきの4点X1〜X4,Y1〜Y4の計8点を3次元測定機の接触子42を接触させることにより、それぞれの位置座標を求める。この測定した位置座標により、軸方向2ヶ所X,Yの各中心座標を求め、ボルト10の傾斜角βを求めた。なお、ボルト10の先端の測定中心と正規中心軸O´とのずれ量Δ1は、前記傾斜角βに対して経験的に設定した係数を乗ずることにより求めることができる。上記正規中心軸O´とは、ハブ軸2の中心軸Oと平行であり、図3に示されている。 【0029】結果を図6に示す。図6に示すグラフから明らかなように、フランジ21のボルト座面の傾斜角αを0.48度以下にした場合、ボルト10の傾斜角βが0.18度以下に、また、ボルト10の先端における中心のずれ量Δ1が0.1mm以下になった。このような実験結果に基づき、フランジ21のボルト座面の傾斜角αを、0.48度以下に特定したのである。なお、図6からわかるように、フランジ21のボルト座面の傾斜角αを0.32度以下にすれば、上記ずれ量Δ1を、およそ0.05mm以下にすることができ、ボルト10の姿勢をより適正化できる。 【0030】なお、ボルト座面の傾斜角αは、フランジ21のボルト座面の高低差つまりボルト座面における最大厚みAと最小厚みBとの差Δ2であらわすこともできる。ボルト座面の傾斜角αとΔ2との関係は次の表1のとおりである。 【0031】 【表1】
ところで、ボルト10の軸長寸法が長くなればなるほど、ボルト10の先端における中心のずれ量Δ1が大きくなるので、フランジ21におけるボルト座面の傾斜角αの上限値は、いろいろな仕様のボルト10のうち、軸長寸法が最大となる仕様のボルト10を考慮して、特定している。 【0032】また、ボルト10の軸部12の硬度は、ビッカース硬さ(Hv)で350〜550、ハブ軸2のフランジ21の硬度は、ビッカース硬さ(Hv)で200〜300に設定するのが好ましい。ボルト10の圧入時の加圧力は、4〜5〔t〕に設定するのが好ましい。 【0033】なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、例えば図7に示すような従動輪用の軸受装置1とすることができる。要するに、本発明は、自動車の車輪を支持する軸受装置において、図1や図7で示したもの以外で、ハブ軸2のフランジ21にボルト10を取り付ける構造を有するもの全般に適用できる。また、本発明は、外輪に形成されたフランジにボルトを取り付ける構造を有するものにも適用できる。 【0034】 【発明の効果】本発明では、フランジの貫通孔に対してボルトを取り付けたときに、ボルトの頭部をフランジのボルト座面に密に接触させるだけで、ボルトの姿勢を適正にできる。そのため、フランジへの車輪の取り付け、およびブレーキのディスクロータの取り付けが円滑にできる。 【0035】特に、前記フランジのボルト座面を鍛造加工のみで平滑に仕上げており、従来例のように切削加工を行わないので、製造工程を減らすことができるなど、コスト低減に貢献できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001247 【氏名又は名称】光洋精工株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区南船場3丁目5番8号
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| 【出願日】 |
平成14年5月29日(2002.5.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100086737 【弁理士】 【氏名又は名称】岡田 和秀
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| 【公開番号】 |
特開2003−341302(P2003−341302A) |
| 【公開日】 |
平成15年12月3日(2003.12.3) |
| 【出願番号】 |
特願2002−155351(P2002−155351) |
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