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【発明の名称】 発泡樹脂立体品及びその製造方法
【発明者】 【氏名】中山 友二
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区伏見町4−1−1 大阪明治生命館6階 三菱化学フォームプラスティック株式会社大阪支店内

【氏名】中村 俊一
【住所又は居所】岡山県岡山市箕島296−3 株式会社マリンフロート内

【要約】 【課題】実用に耐え得る立体品を発泡樹脂で安価に製造する。

【解決手段】発泡樹脂のブロック3を機械加工して所定の立体品にするとともに、この立体品の表面に速乾性の樹脂液を吹き付けて樹脂コーティングを生成させたことを特徴とする発泡樹脂立体品5。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発泡樹脂のブロックを機械加工して所定の立体品にするとともに、この立体品の表面に速乾性の樹脂液を吹き付けて樹脂コーティングを生成させたことを特徴とする発泡樹脂立体品。
【請求項2】 発泡樹脂が難燃材を添加した自己消火性のものである請求項1又は2の発泡樹脂立体品。
【請求項3】 機械加工が、発熱鋼線による切断加工、工具による切削加工のいずれか又は双方からなる請求項1又は2の発泡樹脂立体品。
【請求項4】 樹脂液が、ウレタン樹脂、モルタル樹脂のいずれかである請求項1〜3いずれかの発泡樹脂立体品。
【請求項5】 立体品が複数の立体部品からなるものであり、この立体部品を接着又は締結によって立体品とした請求項1〜4いずれかの発泡樹脂立体品。
【請求項6】 請求項1〜5いずれかに記載の発泡樹脂立体品の製造方法において、発泡樹脂のブロックを所定の立体形状に加工するのにNC工作機械を用い、このNC工作機械を、立体成形品の3次元CADデータがある場合はその3次元データ、モデルがある場合は3次元デジタイザで取り込んで加工した3次元データ、平面描画がある場合はこれをスキャナーで読み取って加工した3次元データ、に基づく加工プロクラムで運転することを特徴とする発泡樹脂立体品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、養殖筏や浮桟橋等の海洋施設、建築物の内装材や外装材、立体造形物や看板等のサイン、屋上緑化の擬岩及び景観材といった立体品を発泡樹脂で製作した発泡樹脂立体品及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の立体品を製作するには、木材、石材及び金属等を機械加工によって削り出すか、FRPやセメント等の無機質材を用いる型成形をしていた。しかし、前者にあっては、材料コストが嵩む上に加工に時間がかかり、製作費が高くついていた。又、材料の採取が自然破壊につながる点も指摘されている。一方、後者にあっても、型製作費と成形作業に手間がかかることから、ある程度の数が揃わないと、割高になっていた。又、FRPは解体すると、産業廃棄物となることから、処分に困る問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、最近、断熱材等に使用されている発泡スチロール等の発泡樹脂に注目し、これを機械加工して所定の形状の立体品を得るようにしたものである。発泡樹脂は、軟らかくて加工が容易であること、価格が安いことから、簡単に、しかも、安価に製作できる反面、強度的に弱いといった面がある。しかし、樹脂材料そのものを工夫したり、これに樹脂コーティングを施すことで、その強度が補完できることがわかり、構造材以外の部分では、十分に実用に耐えることを見出したものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】以上の課題の下、本発明は、請求項1に記載した、発泡樹脂のブロックを機械加工して所定の立体品にするとともに、この立体品の表面に速乾性の樹脂液を吹き付けて樹脂コーティングを生成させたことを特徴とする発泡樹脂立体品を提供したものである。発泡樹脂は、中実のブロックとして成形し、このブロックを機械加工して所定の立体品にする。そして、この立体品の表面に速乾性の樹脂液を吹き付けて樹脂コーティングを生成させると、これで強度を補完できる。この場合の発泡樹脂は、請求項2に記載した、難燃材を添加した自己消火性のものであれば、建材等に使用した場合に好ましいものとなる。
【0005】この場合において、発泡樹脂は軟らかいことから、加工が容易であるし、これを立体品に加工したものに樹脂コーティングを施せば、強度を補完できる。一般に、発泡樹脂と言えば、ポリスチレン系樹脂を空隙の多い発泡体に精製したものであるから、これに樹脂液を吹き付ければ、内部に浸潤したり、発泡樹脂そのものを溶かしてしまって被膜(コーティング)は形成されないが、樹脂液に速乾性のものを使用すれば、表面のみへのコーティングが可能になる。この樹脂液として、請求項4に記載した、ウレタン樹脂、モルタル樹脂のいずれかが考えられるが、これらで発泡樹脂をコーティングすれば、強度が補完できる。
【0006】更に、ここでの機械加工としては、請求項3に記載した、発熱鋼線による切断加工又は工具による切削加工が考えられる。特に、ポリスチレン系の発泡樹脂は、比較的低い温度で溶融するので、発熱したニクロム線等による溶融切断は、加工時間の大幅短縮が可能である。殊に、難燃材を添加したものであると、溶融切断面に硬度を高めるとともに、後の樹脂コーティング等をやり易くする被膜が形成されて好ましいものとなる。工具による切断も、勿論、簡単である。一般に、前者は荒加工に適しており、後者は仕上げ加工に適している。
【0007】又、本発明は、請求項1〜5いずれかに記載の発泡樹脂立体品の製造方法において、発泡樹脂のブロックを所定の立体形状に加工するのにNC工作機械を用い、このNC工作機械を、立体成形品の3次元CADデータがある場合はその3次元データ、モデルがある場合は3次元デジタイザで取り込んで加工した3次元データ、平面描画がある場合はこれをスキャナーで読み取って加工した3次元データ、に基づく加工プロクラムで運転することを特徴とする発泡樹脂立体品の製造方法を提供する。
【0008】立体品の加工機械としてNC工作機械を用いれば、熟練さを要求されないとともに、加工時間が短縮されて精度も高い。NC工作機械は、プログラムで運転されるが、このプログラムを作成するデータとして、製作しようとする立体品の3次元CADデータがある場合はその3次元データ、モデルがある場合は3次元デジタイザで取り込んで加工した3次元データ、平面描画(図)がある場合はこれをスキャナーで読み取って加工した3次元データ、を採用すれば、あらゆる手段で表された対象物を加工できる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。本発明に係る立体品の製作は、機械加工、樹脂コーティング、サーフェイサー(下地処理)、塗装の順番で行われる。このうち、この機械加工については、発熱鋼線による切断加工と切削工具による切削加工の二つがある。いずれもNC工作機械を使用するが、その加工データを作成する基礎データとして、以下の三様がある。
【0010】3次元CADデータがある場合設計を3次元CADで行っており、そのデータがある場合は、これをそのまま加工データに利用することができる。
【0011】モデルがある場合モデルにレーザー光線を当ててその輝点をCCDカメラ等でコンピュータに取り込み、表面形状を3次元直交座標値として数値化する。この場合、3次元のモデルの表面形状は一度には取り込めないため、モデルを回転させて複数回取り込み、これをコンピュータで合成して一つの形状にまとめる。取り込まれた座標点は加工データに使用できるようにするため、変換ソフトを用いてCADデータ形式(DXF、STL等)に変換する。
【0012】平面描画(図)がある場合この場合、完全な立体形状には復元できないが、レリーフ状にはできる。その手順は、まず、画像をスキャナーで読み取り、この画像をグレー(白黒)スケールに変換し、画像編集ソフトによって高く加工したい部分を白く、低く加工したい部分を黒く塗り分けてゆく。そして、各画素ごとに明暗を高低に変換してゆけば立体データが得られる。
【0013】以上によって基礎データが得られたなら、これを基にして加工データ(加工プログラム)を作成する。加工プログラムの作成には、CAMソフトを使用する。通常の3次元CAMソフトは、サーフェスデータ(NURBS等の曲面を数式で表したもの)から加工プログラムを作成するが、ここでは、ポリゴン(小さい三角形の集合で表現された3次元形状)データ又は面のデータを持たない点群(XYZの座標値を持つ点の集合)から直接加工プログラムを作成すればよい。
【0014】以上の加工プログラムによってNC工作機械で加工される機械加工には、ニクロム線やタングステン線或いはステンレスに0.3%の胴を溶射した金属線を発熱させた発熱鋼線による切断加工と切削工具による切削加工とがある。機械加工に供されるのは発泡樹脂の中実体であるブロックを使用する。この場合の樹脂は、安価であることから、ポリスチレン系の樹脂が適するが、この他、ポリエチレンやポリプロピレン系のものであってもよい。これらは価格は高いものの、強度が高くて柔軟性に優れる利点がある。
【0015】原料となる、例えば、精製されたポリスチレンの粒子に蒸気を吹き込むと発泡するが、ここでの発泡倍率は、35〜60倍程度、好ましくは45〜50倍のものが適する。この場合、発泡樹脂には難燃性のブロム等を加えて自己消火性グレードのものとしているが、発熱鋼線による溶融切断を採用すると、このブロム等と樹脂成分が溶けて切断表面に硬度を向上させる被膜が形成される。この被膜形成は、発熱鋼線の速度と熱量に関係するが、この倍率にも影響され、上記した倍率が被膜形成にとって適したものとなる。
【0016】図1は本発明に係る発泡樹脂立体品の一例を示す建造物の装飾外装材の断面図であるが、この外装材は一様な断面をして一定の長さになっている。このようなものは、発熱鋼線による切断加工が適する。即ち、往復動するテーブル1の両脇に二つのヘッドを設けてこのヘッドにテーブル1と交差する発熱したニクロム線2を張り、テーブル1の上に発泡樹脂のブロック3を載せて(適宜固定して)求められる形状に即してテーブル1の動きに合わせてニクロム線(ヘッド)2の両端を同期又は違えて上下させればよい。
【0017】すると、ニクロム線2が通過した後は溶融した空間4となり、求める立体品5の外郭を切り出すことができる。尚、テーブル1の一度の往復では、テーブル1に伏せた下面等は加工できないから、このような面にも加工を要するときには、段取り変えして加工することになる。ポリスチレン系の発泡樹脂は80℃程度で溶融するから、この方法によれば、極めて短時間で加工できる。このとき、切断面には上記した被膜が形成され、この被膜が硬度を高めるとともに、樹脂液の浸潤等を抑制する。更に、このような断面が一様なものは、この加工だけで足り、切削加工は必要ない場合もある。
【0018】一方、3次元空間に展開する立体物等の場合は、以上の切断加工で荒加工をした後、仕上げ加工として切削工具による切削加工をする(場合によっては、切削加工のみによる場合もある)。この切削加工は、NC工作機械を用いてエンドミル等を使用した通常の型削りを行えばよく、これに5軸制御の機械を用いれば、複雑な形状をしたものでも削り出せる。このときも、発泡樹脂は軟らかいから、加工時間は短くて足りる。尚、これらの機械加工の後に、バリの部分をサンドペーパーやヤスリで擦ったり、出っ張った部分をカッターで削り取ったりする微細な仕上げは、必要に応じて行われる。ところで、以上のような機械加工をすると、残材や切削屑が発生するが、このような樹脂は再利用ができるから、地球環境にとっても好ましいと言える。更に、製品である立体品そのもののリサイクルも可能である。
【0019】以上の機械加工が終了すると、樹脂コーティングを行う。樹脂コーティングは、軟らかい発泡樹脂に強さと弾力性を付与するためであるが、通常、樹脂液を吹き付けることで行う。樹脂液の材料としては、ウレタン樹脂が一般的であるが、この他にウレア樹脂やゴム系樹脂等もある。又、樹脂にモルタルを混ぜたモルタル樹脂も用いられ、これによると、製品に立体感や質感を付与できる利点がある。発泡樹脂に樹脂液を吹き付けてその表面に樹脂コーティングを生成させるには、吹き付けた樹脂が発泡樹脂の中に浸潤しないこと、発泡樹脂を溶融させないことが重要であるから、素早く乾く、即ち、速乾性があることが条件となる。
【0020】このため、樹脂液の中にイソシアネートのような硬化材を主材100に対して50〜200重量%の割合で混ぜるが、この混合をスプレーガンの射出口直前のノズルの部分で行うことで、速乾を可能にしている。この硬化時間は、40秒以内、好ましくは20秒程度である必要がある。このようにして樹脂コーティングが施されると、発泡樹脂の通気、通水性が遮断されるとともに、強度が補完され、実用に耐える得るものとなる。この樹脂コーティングの厚みとしては、求められる強度等によるが、0.2〜7mm程度、好ましくは1〜3mmが適する。
【0021】以上の処理が終了すると、次には、サーフェイサー(下地処理)を行う。この下地処理材としては、アクリル、ウレタン系が多く用いられ、刷毛塗りやスプレーで行われる。この下地処理は、次に行われる塗装の下地処理であって、塗料のひびや剥離を防ぐとともに、耐水性、耐酸性、耐アルカリ性を付与するためのものである。以上の処理が終了すると、塗装をして完成品となる。このとき使用される塗料や塗装手順は通常のものでよい。
【0022】図2は上記した外装材の斜視図であるが、以上のようにして製作された外装材は、発泡樹脂立体品5の表面に樹脂コーティング6、下地処理材7、塗料8が積層されていることになる。尚、以上は、立体品が単体で構成される場合であるが、この他に、以上の方法で部品を製作し、これを接着又はビス等による締結で一体化して一つの立体品にすることもある。
【0023】
【発明の効果】以上、本発明に係る発泡樹脂立体品及びその製造方法によれば、実用に耐える強度のものを安価に、短時間で製作できる。加えて、製作しようとする立体品がどのような態様で表されていても、これをNC工作機械によって自動的に製作することができる。
【出願人】 【識別番号】599050893
【氏名又は名称】三菱化学フォームプラスティック株式会社
【住所又は居所】東京都千代田区有楽町一丁目10番1号
【識別番号】501482938
【氏名又は名称】株式会社マリンフロート
【住所又は居所】岡山県岡山市箕島296−3
【出願日】 平成13年12月14日(2001.12.14)
【代理人】 【識別番号】100088993
【弁理士】
【氏名又は名称】板野 嘉男
【公開番号】 特開2003−182300(P2003−182300A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−381148(P2001−381148)