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【発明の名称】 工芸品及び工芸品の作成方法
【発明者】 【氏名】民 眞喜子

【要約】 【課題】装飾部材が有する光沢、質感、触感等を失うことなく、装飾部材の基板への固着強度を高めて装飾部材が基板から剥落しにくい工芸品を提供することを目的とする。

【解決手段】基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品であって、基板に凹部を形成し、該凹部に装飾部材を接着固定して形成したことを特徴とする工芸品。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品であって、基板に凹部を形成し、該凹部に装飾部材を接着固定して形成したことを特徴とする工芸品。
【請求項2】 基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品であって、基板に形成した凹部に接着固定された装飾部材間に設置する他の装飾部材を、前記凹部に接着固定された装飾部材で挟持すると共に、基板に接着固定して形成したことを特徴とする工芸品。
【請求項3】 基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品であって、基板に凹部を形成し、該凹部に一部の装飾部材を接着固定すると共に、該凹部に接着固定された装飾部材間に設置する他の装飾部材を、前記凹部に接着固定された装飾部材で挟持すると共に、基板表面に接着固定して形成したことを特徴とする工芸品。
【請求項4】 装飾部材の少なくても一部は鎖状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の工芸品。
【請求項5】基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品の作成方法であって、基板に凹部を形成し、該凹部に接着剤を塗布すると共に、装飾部材を設置し、装飾部材を凹部に接着固定させることを特徴とする工芸品の作成方法。
【請求項6】基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品の作成方法であって、基板に装飾部材を接着固定し、当該装飾部材に隣接して形成した凹部に他の装飾部材を接着固定し、前記基板に接着固定された装飾部材を挟持させることを特徴とする工芸品の作成方法。
【請求項7】装飾部材の少なくても一部は鎖状に形成されていることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の工芸品の作成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品に関し、特に、基板に凹部を形成し、該凹部に装飾部材を接着固定し、装飾部材の基板への固着強度を高めた装飾部材が基板から剥落しにくい工芸品に関する。
【0002】
【従来の技術】 従来、木、合成樹脂、金属等の基板に接着剤を用いてガラス、金属或いは合成樹脂等のビーズ、宝石等の装飾部材を固定して作成する工芸品は、基板の上に接着剤を塗布してその上に装飾部材を任意の模様を構成するように載置して装飾部材を基板上に固着して作成していた。又、これらの装飾部材は一つ一つが独立しているものを使用していた。
【0003】然し、このように作成した工芸品は、装飾部材の基板への固着強度が低く、基板から装飾部材が剥落し易かった。特にビーズ等の略球形の装飾部材の場合には装飾部材と基板の接触部が点となる為に、極めて装飾部材の基板への固着強度が低く、極めて基板から装飾部材が剥落し易かった。又、このようにして作成する工芸品の装飾部材の基板からの落剥を防止する為に強力な接着剤を使用したり、接着剤の使用量を増加させ、接着剤に装飾部材或いは装飾部材の一部を埋設する等していた。
【0004】然し、強力な接着剤の使用によっても、基板との接面積の少ない小さい装飾部材はある程度は装飾部材の基板への固着強度が高まるものの一定の限界があり、依然基板から装飾部材が剥落し易かった。又、接着剤の使用量を増加させ、接着剤に装飾部材或いは装飾部材の一部を埋設すると、装飾部材が有する光沢、質感、触感等が失われてしまうと共に、接着剤が目に付きやすく、工芸品の高級感が失われてしまっていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】 そこで、装飾部材が有する光沢、質感、触感等を失うことなく、装飾部材の基板への固着強度を高めて装飾部材が基板から剥落しにくい工芸品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】 上記課題を解決する為の第一の手段は、基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品であって、基板に凹部を形成し、該凹部に装飾部材を接着固定して形成したことを特徴とする工芸品である。
【0007】又、第二の手段は、基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品であって、基板に形成した凹部に接着固定された装飾部材間に設置する他の装飾部材を、前記凹部に接着固定された装飾部材で挟持すると共に、基板に接着固定して形成したことを特徴とする工芸品である。
【0008】又、第三の手段は、基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品であって、基板に凹部を形成し、該凹部に一部の装飾部材を接着固定すると共に、該凹部に接着固定された装飾部材間に設置する他の装飾部材を、前記凹部に接着固定された装飾部材で挟持すると共に、基板表面に接着固定して形成したことを特徴とする工芸品である。
【0009】又、第四の手段は、第一乃至第三の手段に於いて装飾部材の少なくても一部は鎖状に形成されていることを特徴とする工芸品である。
【0010】又、第五の手段は、基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品の作成方法であって、基板に凹部を形成し、該凹部に接着剤を塗布すると共に、装飾部材を設置し、装飾部材を凹部に接着固定させることを特徴とする工芸品の作成方法である。
【0011】又、第六の手段は、基板に接着剤を用いて装飾部材を固着させる工芸品の作成方法であって、基板に装飾部材を接着固定し、当該装飾部材に隣接して形成した凹部に他の装飾部材を接着固定し、前記基板に接着固定された装飾部材を挟持させることを特徴とする工芸品の作成方法である。
【0012】又、第七の手段は第五又は第六の手段に於いて装飾部材の少なくても一部は鎖状に形成されていることを特徴とする工芸品の作成方法である。
【0013】以上のような第一乃至第七の手段によれば、装飾部材が有する光沢、質感、触感等を失うことなく、装飾部材の基板への固着強度を高めて装飾部材が基板から剥落しにくい工芸品を提供することが可能となった。
【0014】
【発明の実施の形態】 以下本発明を図に従って詳細に説明する。工芸品たるブローチ1は基板2の表面21上に装飾部材3,3…が接着剤4により固着されている。又、基板2の裏面22にはブローチ1を服等に止着する為の止着部材5が固設されている。
【0015】基板2は木を円形等適宜の形状に形成し、表面21に凹部211を形成する。勿論表面21を平面状に形成する他適宜凹凸を形成してもよい。凹部211は凹部211に設置する装飾部材3の形状及び装飾部材3を表面21上に突出させる程度に適応させて適宜の深さに形成する。凹部211の縦断面形状は特に限定されず、U字形、V字形、半円形、方形等適宜の形状で形成するが、凹部211に埋入される装飾部材3の下部の縦断面形状と略同形状とすることは推奨される。凹部211は表面21に固着する装飾部材3,3…の固着箇所に対応して形成するが、必ずしも総ての装飾部材3,3…の固着箇所に形成しなくてもよい。
【0016】例えば、環状に形成した凹部211に装飾部材3,3…を固着した場合には、当該装飾部材3,3…にて囲繞された表面21とこれら凹部211に固定された装飾部材3,3…により凹部212が形成されるので、凹部211を形成しなくても、凹部211に接着固定された装飾部材3,3…にて囲繞、挟持される装飾部材31の下部は凹部212に埋設されるからである。又、複数の装飾部材3,3…を隣接させて基板2に固着させる場合には、装飾部材3,3に挟持された装飾部材32の固着箇所にも同様の理由から凹部211を形成しないこととしてもよい。尚、挟持とは二方向から挟み込んで支持することのみならず、二以上の多方向から挟み込んで支持すること及び囲繞して支持することを含む意である。
【0017】又、基板2は木に限定されず、金、銀、アルミニウム等の金属、合成樹脂、皮革、鼈甲等で形成することとしてもよい。更に、これらの部材にニス、漆、絵の具、ペンキ等でコーティングし或いはメッキを施す等してもよい。尚、木で形成する場合には工芸品たるブローチ1に反りが生じないように合板とすることは推奨される。
【0018】装飾部材3はブローチ1の模様を構成するもので、ステンドグラス、ガラス玉、ガラス、金属或いは合成樹脂等のビーズ、宝石、ボールチェーン、珊瑚、鼈甲、琥珀等を用い適宜形状、大きさに形成したものである。装飾部材3に用いるものは特に限定されず、上記のものの他、金属製のチェーン、木製等の適宜形状のもの等を用いることができることは勿論である。
【0019】尚、装飾部材3,3…の一部として予め鎖状に形成した装飾部材33を使用することは推奨される。この鎖状装飾部材33は工芸品の新規な意匠を形成するのみならず、一個一個の装飾部材3,3…の基板2への接着強度を高めることが可能となるからである。ここで、鎖状とは上述のような装飾部材をテグス、金属等で一連に形成した状態をいい、鎖状の装飾部材33には例えば、各種素材のボールチェーン、各種素材の有孔ビーズの孔にテグスを挿通して当該ビーズを連にしたもの等がある。
【0020】装飾部材3,3…は基板2の表面21に形成した凹部211に装飾部材3,3…の下部を埋入して接着剤4にて固定する。又、装飾部材31,31…又は/及び32,32…を上述の理由から凹部211を形成しない表面21上に固定する場合は、表面21に直接接着剤4にて固定する。装飾部材31,31…又は/及び32,32…はこれらの装飾部材を囲繞し或いはこれらの装飾部材に隣接する装飾部材3,3…にて挟持することは推奨される。尚、装飾部材31,31…又は/及び32,32…は隣接する凹部211に接着固定した装飾部材3,3…とも接着剤にて接着することとしてもよい。又、装飾部材3,3…にて挟持された装飾部材31乃至装飾部材32は基板2の表面のみならず、当該装飾部材31乃至装飾部材32の設置箇所にも凹部211を形成して凹部211に接着固定することとしてもよい。
【0021】接着剤4は基板2に装飾部材3,3…を固着させる為のものであり、基板2と装飾部材3,3…の材質を考慮してその材質に適合する適宜の公知の接着剤を使用する。尚、接着剤4は異なる材質の接着が可能なもの、更には乾燥した際に無色透明になるものを使用することは推奨される。
【0022】止着部材5はブローチ1を服等に止着する為のものであり、公知のピンを基板2の裏面22に接着剤、螺子等にて固定する。勿論、止着部材5はピンに限定されずクリップ等を用いることとしてもよい。
【0023】次に本発明工芸品たるブローチ1の製造方法について説明する。先ず、シナベニヤ板を電動糸鋸で工芸品の使用態様に応じて適宜の形状にカットし基板2を形成し、鑢をかけて滑らかにする。次に基板2にモデリングペースト、ジェッソを混合してペースト状にしたものを塗って乾燥させる。乾燥後に基板2の表面21に図案を描き、模様、意匠を構成する装飾部材3,3…を固着する箇所に彫刻刀や小刀等を使用して凹部211を形成する。
【0024】次にアクリル絵の具等を使用して基板2を着色する。尚、表面21にはアクリル絵の具等で適宜模様を描き、又、彫刻刀等により凹凸を形成してもよく、特に固着する装飾部材3が透明であり、表面21や凹部211が透視可能である場合には表面21に限らず凹部211に模様を描くことにより異なった意匠を構成することが可能となる。
【0025】次に、装飾部材3,3…を基板2の表面21に接着するが、装飾部材3,3…の接着は凹部211を形成していない表面21に接着する装飾部材31及び/又は装飾部材32から行うことは推奨される。表面21に凹部211を形成しない箇所即ち、装飾部材3,3…で囲繞される箇所或いは装飾部材3,3にて挟まれる箇所に装飾部材31或いは装飾部材32を接着する場合には該箇所の表面21にエポキシ系接着剤を塗布して装飾部材31或いは装飾部材32を接着する。次に、凹部211にエポキシ系接着剤を塗布し、装飾部材3,3…の下部が凹部211に挿入されるように上方から押圧して接着する。ここで、一部の装飾部材3及び/又は装飾部材31及び/又は装飾部材32をこれらの装飾部材に隣接し、或いはこれらの装飾部材を囲繞する装飾部材3,3…にて挟持することは推奨される。
【0026】最後にクリアニスをかけて仕上げを行う。尚、基板2が合成樹脂を使用する場合、基板2は上述と同様に合成樹脂の板を適宜にカットして形成する他、射出成形等により形成すればよく、凹部211は上述と同様に彫刻刀等で形成する他、基板2成形時に同時に成形する等して形成する。
【0027】尚、以上本発明工芸品の実施の形態をブローチで説明したが、本発明工芸品はブローチに限定されず、腕輪、ペンダント、指輪、イヤリング等の装飾品、バック等の取っ手、財布等の縁部、傘や杖の柄、ブラシや櫛、釦、履物、眼鏡の縁、食器、家具等様々なものとして利用可能である。
【0028】
【発明の効果】 以上のような本発明により、装飾部材が有する光沢、質感、触感等を失うことなく、装飾部材の基板への固着強度を高めて装飾部材が基板から剥落しにくい工芸品を提供することが可能となった。
【出願人】 【識別番号】301078179
【氏名又は名称】民 眞喜子
【出願日】 平成13年12月25日(2001.12.25)
【代理人】 【識別番号】100063842
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 三雄 (外2名)
【公開番号】 特開2003−182293(P2003−182293A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−390811(P2001−390811)