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【発明の名称】 再帰反射領域が形成されたシート及び再帰反射領域の形成方法
【発明者】 【氏名】東口 繁二
【住所又は居所】東京都墨田区石原3丁目27番8号 株式会社宝來社内

【氏名】西宮 武志
【住所又は居所】東京都葛飾区四つ木4−20−6 有限会社西スクリーン内

【要約】 【課題】低コストで効率よく注目性が高い領域を形成することができる再帰反射領域が形成されたシート及び再帰反射領域の形成方法を提供する。

【解決手段】基体10上にマーク12が印刷された印刷物13を用意し(工程A)、再帰反射を希望する予め定めた領域(再帰反射領域)に接着層(ホットメルト層14)をスクリーン印刷し(工程B)、準備シート15上に再帰反射ビーズ16が仮接着された再帰反射領域形成用シート20を載置した状態で、押圧加熱し(工程C)、準備シート15と再帰反射領域形成用シート20とを剥離し(工程D、E)、接着層(ホットメルト層14)に位置する残存した再帰反射ビーズ16を定着することで(工程F)、再帰反射シート24を得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも表面に予めマークが形成された印刷物と、前記印刷物を再帰反射するための再帰反射素子を含む再帰反射層と、前記印刷物上の予め定めた領域に前記再帰反射素子を前記印刷物に接着する接着層と、を積層して構成されたことを特徴とする再帰反射領域が形成されたシート。
【請求項2】 前記接着層は、ホットメルト接着剤で形成されかつ溶融により前記再帰反射素子を前記印刷物に接着するためのホットメルト層、または紫外線硬化型の接着剤で形成されかつ紫外線照射により前記再帰反射素子を前記印刷物に接着するための紫外線硬化層であることを特徴とする請求項1に記載の再帰反射領域が形成されたシート。
【請求項3】 前記再帰反射層は、仮接着層をシート上に有しかつ該仮接着層に再帰反射素子が仮接着されて構成された基体から分離されて構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の再帰反射領域が形成されたシート。
【請求項4】 少なくとも表面に予めマークが形成された印刷物表面に、予め定めた領域に再帰反射素子を前記印刷物に接着するための接着層を形成し、前記接着層へ前記印刷物表面の予め定めた領域を再帰反射するための再帰反射素子を含む再帰反射層を形成し、前記接着層で前記印刷物表面に前記再帰反射素子を接着させ、その後、前記印刷物に再帰反射素子が接着された再帰反射領域以外の領域から前記再帰反射素子を剥離することを特徴とする印刷物の再帰反射領域の形成方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、再帰反射領域が形成されたシート及び再帰反射領域の形成方法にかかり、低コストでかつ効率的に再帰反射領域の形成を可能とする再帰反射領域が形成されたシート及び再帰反射領域の形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩ビ素材をはじめとする各種素材の印刷物に加飾することが盛んである。例えばユニホーム等をはじめとする各種衣類や物品に接着したり取り付けたりすることを目的とした、数字や文字及び図形等によるマークや図柄などに加飾する場合もある。一般的には、上記加飾は、ラミネート、スポット艶だしなどのように、フィルムを貼り付けたり、シルクスクリーン印刷の手法により個別に形成していた。
【0003】ところで、印刷物は、より多くの注目を集めることを目的として、注目性を高めることを望む要求がある。すなわち、単に印刷されたものであることを越えて、その領域が顕著に現れることが要求される場合がある。
【0004】このため、マークや図柄の形成時に、その表面が再帰反射されるように再帰反射層を形成した素材が用いられる場合がある。この場合、再帰反射が得られるようにするため、多数のビーズが封入された再帰反射シートを用いて、その上にマークや図柄を印刷することで、その印刷されたマークや図柄または製品自体で再帰反射効果を得ていた。また、他の方法として、再帰反射素子をインキに混入させて印刷することにより、その印刷部分で再帰反射効果を得ることもできる。このようにして形成した製品は、再帰反射効果を得る領域で再帰反射がなされ、より注目性を高めた製品例えば再帰反射効果を有する印刷物を提供することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のように、マークや図柄の形成時にその表面が再帰反射されるように再帰反射層にマークや図柄を形成する場合、再帰反射層の被形成側が平坦でないときには、その凸凹のために本来のマークの形状が不鮮明になり、高品質なマークを得ることができなかった。これは、球体であるビーズ上に印刷がなされるため、ビーズの表面に印刷されることとなり、マークが不鮮明になっていた。
【0006】また、再帰反射シートの平坦面にマークや図柄を形成する場合には、形状の鮮明性は得られるものの、マークや図柄の形成部位を光を通過させるために、透明インキを用いなければならなかった。透明インキは、使用できる色が制限されたり、再帰反射シート上に積層することによる反射効率の低下が余儀なくされたりしていた。また、再帰反射素子をインキに混入させて印刷する場合には、インキの粒子が粗いため、微細表現が困難であったり、平均的は反射効率が得られなかったり、被印刷対象の素材が限定されたりしていた。
【0007】本発明は、上記事実を考慮して、低コストで効率よく注目性が高い領域を形成することができる再帰反射領域が形成されたシート及び再帰反射領域の形成方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の再帰反射領域が形成されたシートは、少なくとも表面に予めマークが形成された印刷物と、前記印刷物を再帰反射するための再帰反射素子を含む再帰反射層と、前記印刷物上の予め定めた領域に前記再帰反射素子を前記印刷物に接着する接着層と、を積層して構成されたことを特徴とする。
【0009】前記接着層は、ホットメルト接着剤で形成されかつ溶融により前記再帰反射素子を前記印刷物に接着するためのホットメルト層、または紫外線硬化型の接着剤で形成されかつ紫外線照射により前記再帰反射素子を前記印刷物に接着するための紫外線硬化層で構成することができる。
【0010】なお、前記ホットメルト層は、前記印刷物に付着させたパウダー状のホットメルト接着剤を加熱してその表面を平滑にして構成することができる。
【0011】前記再帰反射層は、仮接着層をシート上に有しかつ該仮接着層に再帰反射素子が仮接着されて構成された基体から分離されて構成することができる。
【0012】前記再帰反射領域が形成されたシートは、次の印刷物の再帰反射領域の形成方法により、容易に形成することができる。詳細には、少なくとも表面に予めマークが形成された印刷物表面に、予め定めた領域に再帰反射素子を前記印刷物に接着するための接着層を形成し、前記接着層へ前記印刷物表面の予め定めた領域を再帰反射するための再帰反射素子を含む再帰反射層を形成し、前記接着層で前記印刷物表面に前記再帰反射素子を接着させ、その後、前記印刷物に再帰反射素子が接着された再帰反射領域以外の領域から前記再帰反射素子を剥離する。
【0013】本発明の再帰反射領域が形成されたシートは、少なくとも印刷物と、接着層と、再帰反射層と、が積層されている。印刷物は、少なくとも表面に予めマークや図柄が形成されている。この印刷物には、再帰反射素子を印刷物に接着するための接着層が形成される。接着層は、印刷物上の予め定めた領域に形成され、その領域で再帰反射素子を印刷物に接着するための層である。再帰反射層は、印刷物を再帰反射するための再帰反射素子を含むものであり、印刷物表面のパターンすなわちマークや図柄などを再帰反射するための層である。従って、接着層で、再帰反射素子が印刷物に密着され、印刷物上で接着層が形成された領域のみ再帰反射すがなされる領域としてシートを構成することができる。
【0014】前記接着層は、ホットメルト層、または紫外線硬化層で構成することができる。ホットメルト層は、ホットメルト接着剤で形成されかつ溶融により再帰反射素子を前記印刷物に接着することができる。紫外線硬化層は、紫外線硬化型の接着剤で形成されかつ紫外線照射により再帰反射素子を印刷物に接着するすることができる。従って、ホットメルト層を溶融したり紫外線硬化層を硬化することで、再帰反射素子が印刷物に密着され、印刷物上で接着層であるホットメルト層や紫外線硬化層が形成された領域のみ再帰反射すがなされる領域としてシートを構成することができる。
【0015】前記ホットメルト層を、印刷物に付着させたパウダー状のホットメルト接着剤を加熱してその表面を平滑にして構成することによって、容易にホットメルト層を形成することができ、容易に溶融可能な層を構成することができる。
【0016】前記接着層は、ホットメルト剤や紫外線硬化型の接着剤を塗布したり、シルクスクリーン印刷したり、噴霧したり、ふりかけたりする何れかの手法で形成することができる。すなわち、ホットメルト剤や紫外線硬化型の接着剤は、液状であってもよいし、粉末状であってもよく、接着剤の状態に対応する形成手法で形成すればよい。
【0017】また、再帰反射層は、再帰反射ビーズなどの再帰反射素子を含むが、その再帰反射素子を均一に形成することが困難を伴う。そこで、仮接着層をシート上に有しかつ該仮接着層に再帰反射素子が仮接着されて構成された基体から分離して構成する。このようにすれば、再帰反射層は、ホットメルト層を介して印刷物上にほぼ均一に形成することができる。
【0018】前記シートを形成するためには、先ず、少なくとも表面に予めマークや図柄が形成された印刷物表面に、予め定めた領域に接着層、例えばホットメルト接着剤で形成されかつ溶融により前記再帰反射素子を前記印刷物に接着するためのホットメルト層、または紫外線硬化型の接着剤で形成されかつ紫外線照射により前記再帰反射素子を前記印刷物に接着するための紫外線硬化層を形成する。この場合、接着層の形成領域は、印刷物上に形成されているマークや図柄などの既存範囲に限定されない。すなわち、印刷物上で、再帰反射させたい予め定めた領域に形成する。そして、接着層へ、印刷物表面の予め定めた領域を再帰反射するための再帰反射素子を含む再帰反射層を形成する。この後には、接着層で再帰反射素子を印刷物に接着、例えばホットメルト層を加熱により溶融させて再帰反射素子に接着させたり、紫外線照射により紫外線硬化型の接着剤を硬化させて再帰反射素子を印刷物に接着する。そして、印刷物に再帰反射素子が接着された再帰反射領域以外の領域から再帰反射素子を剥離する。これによって、接着層が設けられた予め定めた領域にのみ再帰反射素子が形成され、その予め定めた領域の印刷物からの再帰反射が可能となる。
【0019】接着層としてホットメルト層を採用した場合、再帰反射層側から熱を加えると、該熱が、前記再帰反射層、前記ホットメルト層の順に伝えられ、前記印刷物側から熱を加えると、前記印刷物、前記ホットメルト層の順に伝えられ、両側から熱を加えると、該熱が、上述のそれぞれにおけるような順に伝えられる。該ホットメルト層は、熱により溶融し、再帰反射素子の表面に強固に接着する。これは再帰反射阻止表面が球面状であり、表面積が多い分だけ接着効果が増加するためである。その結果、印刷物に強固に保持された再帰反射層が、前記ホットメルト層を介して印刷物に強固に接着され、印刷物上に再帰反射素子による領域が形成される。
【0020】接着層として紫外線硬化層を採用した場合、再帰反射層側から紫外線を照射すると、該紫外線が、前記再帰反射層、前記紫外線硬化層の順に伝えられ、前記印刷物側から紫外線を照射すると、前記印刷物、前記紫外線硬化層の順に伝えられ、両側から紫外線を照射すると、該紫外線が、上述のそれぞれにおけるような順に伝えられる。該紫外線硬化層は、紫外線の照射により硬化し、再帰反射素子の表面に強固に接着する。
【0021】こうして形成された印刷物は、印刷物の印刷部分の再現性を低下させることなく、注目性を高めたものとなる。また、この再帰反射領域は、印刷物上に形成できるので、色数や色相の制限を有することはない。また、印刷物は、洗濯等がなされても、再帰反射素子と印刷物とが強固に保持されているので、再帰反射素子は印刷物から脱落せず、劣化せず、耐久性に優れる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態は、再帰反射領域を得るために、再帰反射ビーズが仮接着されたシートを用いてマークの再帰反射領域を形成した場合に本発明を適用したものである。
【0023】図1は、本発明の一実施の形態の再帰反射シートの製造過程を示す断面概略図である。図1(F)に示すように、再帰反射シート24は、基体10上に印刷された少なくともマーク12上に再帰反射ビーズ16が接着される。すなわち、本実施の形態の再帰反射シート24は、予めマーク12が設けられた基体10からなる印刷物13上に、注目性を高めたい予め定めた領域の再帰反射領域について再帰反射ビーズ16が固着された再帰反射層23が形成されている。
【0024】このように、マーク12上に再帰反射ビーズ16が密着された再帰反射層23が形成されるので、印刷物13上のマーク12を含む再帰反射ビーズ16が接着された予め定めた再帰反射領域において印刷物13の再帰反射を可能とし、再帰反射領域について注目性を高めることができる。
【0025】本実施の形態の再帰反射シート24は、以下のような工程で形成(製造)する。
【0026】図1(A)に示すように、工程Aでは、まず、ポリエステル製の透明シート上に仮接着層が形成された基体10上に、予めマーク12が印刷された印刷物13を用意する。本実施の形態では、基体10は、透明シート上に仮接着層を有してなる印刷物13を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、文字や図形などのマーク12が印刷された印刷物であれば何れの物品を用いても良い。図1の例では、マーク12として断面領域12A,12B,12Cからなるものを想定している。
【0027】すなわち、本実施の形態のマーク12は、基体10に予めマーク12が印刷された印刷物13に形成されている。この印刷物13には、紙や粘着性シールや透明シート及び不透明シートなどの基体に予め印刷などによる形成された単色または多色の文字や図形などのマーク12を有するものが含まれる。
【0028】ここで、図3にも示したが、印刷物13は、本実施の形態の再帰反射シート24を得るための独自のシートに限定されない。すなわち、本実施の形態で利用可能な印刷物13は、既存の印刷物を用いることができる。印刷物13は、基体10上にマーク12が印刷されていることが要求されるのみである。
【0029】図1(B)に示すように、工程Bでは、印刷物13上において、再帰反射を希望する予め定めた領域(再帰反射領域)に、平滑な表面を有するホットメルト層14をスクリーン印刷する。これによって、ホットメルト層14を有する印刷物13で構成された準備シート15を形成する。ここでは、断面領域12A、及び断面領域12B,12Cからなる2つの領域を、再帰反射を希望する予め定めた領域(再帰反射領域)と規定している。
【0030】なお、このとき、ホットメルト層14の表面は平滑であるので、ホットメルト層の上部へ微細な再帰反射ビーズを載置することは容易であり、段差によるズレ等も生じない。
【0031】ここで、再帰反射領域は、印刷物13上のマーク12の領域に限定されない。すなわち、図4にも示したが、再帰反射領域は、断面領域12Aを構成するマーク12の一部(図では「1」)の表面を少なくとも含む第1の再帰反射領域14Aと、断面領域12Bを構成するマーク12の一部(図では「2」)から断面領域12Cを構成するマーク12の一部(図では「3」)までの表面を少なくとも含む第2の再帰反射領域14Bと、から構成することができる。
【0032】この再帰反射領域は、後述する再帰反射ビーズ16を載置するための領域であるので、印刷物13上に形成されているマーク12に限定されることなく、再帰反射を希望する予め定めた領域に設定することができる。この領域の設定は、ホットメルト層14をスクリーン印刷するときの領域設定で実施が可能である。従って、マーク12に一致させたり小さくしたり大きくしたり、さらには、異なる図形や文字を再帰反射領域として形成することが可能となる。
【0033】前記ホットメルト層としては、熱により溶融して被接着物に強固に接着することができる限り特に制限はなく、公知のホットメルト接着剤を用いて形成することができる。例えば、ホットメルト接着剤としては、ナイロン等のポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、エチレン−酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、軟質プラスチックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、市販品を好適に用いることができる。
【0034】前記ホットメルト層は、例えば、フィルム状、粉状又は粒状のホットメルト接着剤を印刷物13の表面に配置して付着させることにより形成することができる。なお、このとき、余分なホットメルト接着剤は、除去することができる。
【0035】本実施の形態では、これらのホットメルト層の中でも、印刷物13に付着させたパウダー状のホットメルト接着剤を加熱してその表面を平滑にしてなるものが特に好ましい。このホットメルト層は、例えば、印刷物13の表面に、パウダー状(粉状乃至粒状)の公知のホットメルト接着剤を付着させた後、その表面を加熱して溶融させ、平滑にすることにより形成することができる。この付着の方法、即ち、前記ホットメルト接着剤を印刷物13の表面に付着させる方法としては、特に制限はなく、噴霧、散布等の公知の手法が挙げられる。
【0036】本実施の形態では、ホットメルト付着の後、該ホットメルト接着剤の表面を加熱する前に、余分なホットメルト接着剤を除去しておくことが好ましい。この除去は、ブラシ等を用いて手作業で行ってもよいし、機械作業で行ってもよい。この場合、回転ブラシ、バキューム式集塵機などを好適に用いることができる。また、余分なホットメルト接着剤を先ず回転ブラシを用いて機械的に除去した後、完全に除去し切れなかったホットメルト接着剤をブラシを用いて手作業にて除去するのが好ましい。
【0037】なお、ホットメルト層14の厚みとしては、目的に応じて適宜選択することができるが、該ホットメルト層がフィルム状に形成される場合は、50〜200μm程度である。ホットメルト層14は、その一方の表面が印刷物13に強固に接着し、他方の表面が熱により溶融して再帰反射ビーズ16に強固に接着する機能を有する。
【0038】図1(C)に示すように、工程Cでは、準備シート15上に、剥離シート18上に再帰反射ビーズ16が仮接着された再帰反射領域形成用シート20を載置する。この載置状態で、この準備シート15上の再帰反射領域形成用シート20側から、押圧しながら加熱する。このとき、加熱の結果、熱は、再帰反射領域形成用シート20から準備シート15のホットメルト層14へと順次伝達され、ホットメルト層14は、該熱により溶融し、マーク12と再帰反射ビーズ16とが仮接着される。この後、ホットメルト層14を冷却し、常温にすると、ホットメルト層14はマーク12を含む再帰反射領域に強固に接着される。
【0039】ホットメルト接着剤の加熱溶融は、例えば、該ホットメルト接着剤の融点以上の温度で該ホットメルト接着剤を加熱することにより行うことができる。このホットメルト接着剤の融点以上の温度としては、該ホットメルト接着剤の種類により異なり、一概に規定することはできないが、通常130〜140℃程度である。また、ホットメルト接着剤の加熱溶融の時間としては、前記ホットメルト接着剤が加熱により溶融し得る範囲内であればよく、目的に応じて適宜選択することができるが、通常数秒程度で十分である。
【0040】本実施の形態では、ホットメルト接着剤の加熱溶融の際に、あるいはその後に、該ホットメルト接着剤の表面を軽く押圧するのが好ましい。その場合、離型性を有する面(再帰反射領域形成用シート20の再帰反射ビーズ16側)を介して前記ホットメルト接着剤の表面を押圧するのがより好ましい。こうすると、加熱により溶融したホットメルト接着剤の表面を平滑面にすることができる点で有利である。なお、前記押圧の力としては、前記ホットメルト接着剤の表面を平滑にすることができる範囲内であればよく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0041】押圧を行う場合、再帰反射ビーズ16による形成される隙間にホットメルト接着剤が充分に膨潤するようにすることが好ましい。
【0042】なお、本実施の形態では、接着層としてホットメルト層を用いた場合を説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、紫外線硬化型の接着剤を用いた接着層を採用することもできる。紫外線硬化型の接着剤は、紫外線照射によって硬化される材料であり、上記ホットメルト層のホットメルト剤に代えて容易に利用することができる。
【0043】上記ホットメルト層や紫外線硬化層による接着層は、ホットメルト剤や紫外線硬化型の接着剤を塗布したり、シルクスクリーン印刷したり、噴霧したり、ふりかけたりする何れかの手法のように、接着剤の状態に対応する形成手法で形成すればよく、液状や粉末状のホットメルト剤や紫外線硬化型の接着剤で形成することができる。
【0044】ここで、図5にも示したが、印刷物13上に再帰反射領域を形成するため、再帰反射領域形成用シート20の剥離シート18は、印刷物13の少なくとも一部が目視可能な透明性を有することが好ましい。これは、印刷物13を目視しつつ再帰反射ビーズ16を仮接着することを可能とするためである。
【0045】図1(D)に示すように、工程Dでは、準備シート15と再帰反射領域形成用シート20とを剥離する。このとき、マーク12を含む再帰反射領域上における再帰反射ビーズ16は、ホットメルト層14に仮接着されているので、両者の界面において容易に剥離可能であると共に、ホットメルト層14に位置しない再帰反射ビーズ16は剥離シート18に残存し、ホットメルト層14に位置する再帰反射ビーズ16はホットメルト層14すなわち準備シート15側に残存する。
【0046】離型性を有するシートすなわち再帰反射領域形成用シート20は、再帰反射ビーズ16と剥離シート18とから構成される。この再帰反射領域形成用シート20は、加熱溶融したホットメルト接着剤が、その溶融温度近傍で溶融された時に、好ましくは常温程度に冷却された時に、該ホットメルト接着剤による層すなわちホットメルト層14に再帰反射ビーズ16が固着されて剥離シート18から剥離される程度の仮接着力で固定されるのが好ましい。加熱溶融したホットメルト接着剤の冷却が不十分な状態で離型性を有する部材の剥離を行うと、ホットメルト層14に再帰反射ビーズ16が定着せずに剥離不良が生ずることがある点で好ましくない。
【0047】再帰反射領域形成用シート20は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離シート18として離型剤を被覆、塗布、含浸等させた、紙、平板、ロール等の透明シートに再帰反射ビーズ16が仮接着されたものが挙げられる。離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の材料の中から適宜選択することができ、例えば、フッ素系樹脂、フッ素系ゴム、シリコーン系樹脂、シリコーン系ゴムなどが挙げられる。
【0048】透明シートとしては、耐熱性、可撓性、機械的強度等を有していれば特に制限なく、目的に応じて適宜選択することができるが、その素材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニルなどが挙げられる。本実施の形態では、前記素材の中でも、耐熱性、耐熱収縮性等の点でポリエステルが好ましい。透明シートの形状、大きさ、構造等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その厚みとしては、例えば、50〜200μm程度である。
【0049】ここで、図6にも示したが、印刷物13上には、第1の再帰反射領域14A及び第2の再帰反射領域14Bからなる再帰反射領域が形成され、印刷物13上の所定範囲にのみ再帰反射ビーズ16が仮接着される。
【0050】この結果、図1(E)に示すように、工程Eでは、再帰反射領域に再帰反射ビーズ16が残存した初期再帰反射シート21が形成される。この初期再帰反射シート21は、再帰反射ビーズ16がホットメルト層14による片側の接着効果のみで接着されているので、印刷物13から再帰反射ビーズ16の剥離が容易である。
【0051】そこで、図1(F)に示すように、工程Fでは、初期再帰反射シート21上に透明媒体によるコーティングを施した保護層22を形成することにより、印刷物13上に再帰反射ビーズ16を固着させて、再帰反射シート24を得る。
【0052】ここで、図7にも示したが、印刷物13上に再帰反射ビーズ16が第1の再帰反射領域14Aと第2の再帰反射領域14Bとに少なくとも固着される。これにより、第1の再帰反射領域14Aと第2の再帰反射領域14Bとの再帰反射領域の注目性を高めた再帰反射シート24を得ることができる。
【0053】以上のように、再帰反射シート24は、マーク12を有する印刷物13の所定範囲に形成されたホットメルト層14を介して再帰反射ビーズ16が強固に接着されている。図2(A)に示すように、初期再帰反射シート21の時点では、再帰反射ビーズ16はホットメルト層14によりマーク12に接着される。このホットメルト層14と再帰反射ビーズ16との接着界面は、完全な平面ではなく、再帰反射ビーズ16の表面による極微小な凹凸が存在する面になっているため、ホットメルト層14と再帰反射ビーズ16との接着強度は再帰反射領域形成用シート20を印刷物13から剥離するに充分な強度を有するものとなる。
【0054】図2(B)に示すように、初期再帰反射シート21に、再帰反射ビーズ16をより強固な接着状態を維持するため、再帰反射ビーズ16が接着されたマーク12の表面に、保護層22を形成する。これによって、再帰反射ビーズ16は、マーク12に強固に固定され、マーク12が印刷されている印刷物13から再帰反射ビーズ16の脱落を抑止できる。
【0055】以上説明したように、本実施の形態の再帰反射シート24の形成は、印刷物13に対する再帰反射領域設定工程と、再帰反射領域形成工程と、加熱工程と、剥離工程との順に行う。
【0056】再帰反射領域設定工程は、印刷物13に対する注目性を高める領域を設定する工程であり、印刷物13に既存のマーク12の領域を設定してもよく、また独自に設定してもよい。また、再帰反射領域形成工程は、上記設定された再帰反射領域を形成する工程であり、ホットメルト層を上記設定された再帰反射領域だけ印刷物13に形成する工程である。
【0057】加熱工程は、ホットメルト層14が形成された印刷物13からなる準備シート15のホットメルト層14が再帰反射領域形成用シート20の再帰反射ビーズ16側に接するように配置し、ホットメルト層に熱を加え、これを溶融させる工程である。加熱方法としては、特に制限はないが、再帰反射領域形成用シート20の全面を直接あるいは間接的に、均一に押圧しながら加熱する方法が好ましく、公知の衣料用転写機、加熱加圧装置、加熱プレス機、アイロンなどを用いて好適に行うことができる。
【0058】この場合の加熱温度としては、ホットメルト層が溶融するのに十分な温度であればよく、通常120℃以上である。前記加熱の時間としては、10〜60秒程度が好ましい。また、加熱工程は、加圧下で行うのが好ましく、その圧力としては、100〜500g/cm2 程度が好ましい。
【0059】前記加熱工程により、準備シート15のホットメルト層が溶融し、該ホットメルト層に再帰反射ビーズ16が仮接着される。この加熱工程においては、ホットメルト層が溶融した後、該ホットメルト層を冷却するのが好ましい。溶融したホットメルト層は、自然に冷却されるため、特に冷却をしなくてもよいが、ここで公知の冷却装置等を用いて冷却すると、加熱工程の時間を短縮することができる点で有利である。
【0060】剥離工程は、加熱工程を施した準備シート15と再帰反射領域形成用シート20において、剥離シート18を、準備シート15から引き剥がす方向に引っ張り、剥離除去する工程である。この剥離工程は、機械作業により行うこともできるが、手作業により好適に行うことができる。
【0061】この剥離工程の結果、印刷物13には、再帰反射ビーズ16が接着した状態で残る。このようにして再帰反射ビーズ16が残存した印刷物13にコーティングなどの処理を施して、再帰反射シート24を得る。再帰反射シート24としては、数字、文字、図形等の単独からなる、あるいは任意の組合せによるもの、例えば、背番号、チーム名のロゴ、シャツ等のデザイン用図柄などのマークを対象とすることで、際だった注目性を有するシートを得ることができる。
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも印刷物と、ホットメルト層と、再帰反射層と、が積層され、この印刷物に再帰反射素子がホットメルト層により印刷物上の予め定めた領域に形成され、その領域を溶融して再帰反射素子を印刷物に接着するので、再帰反射素子が印刷物に密着され、印刷物上でホットメルト層が形成された領域のみ再帰反射がなされる領域を構成することができる、という効果がある。
【出願人】 【識別番号】399132386
【氏名又は名称】株式会社宝來社
【住所又は居所】東京都墨田区石原3丁目27番8号
【識別番号】501484987
【氏名又は名称】有限会社西スクリーン
【住所又は居所】東京都葛飾区四つ木4−20−6
【出願日】 平成13年12月17日(2001.12.17)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳 (外3名)
【公開番号】 特開2003−182292(P2003−182292A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−382888(P2001−382888)