トップ :: B 処理操作 運輸 :: B43 筆記用または製図用の器具;机上付属具




【発明の名称】 出没式ボールペン用レフィルの製造方法
【発明者】 【氏名】安部 洋康
【住所又は居所】愛知県名古屋市昭和区緑町3丁目17番地 パイロットインキ株式会社内

【要約】 【課題】スプリング係止突部を形成する際、インキや追従体が外部に押し出されることを防止し、さらには、製造工程を増加させることなく、ペン先の円滑な圧入を可能にする出没式ボールペン用レフィル1の製造方法を提供する。

【解決手段】合成樹脂製のインキ収容管3の外面に押圧変形によりスプリング係止突部31を形成する。その後、インキ収容管3内にインキ4を充填し、前記充填インキ4の前端をインキ収容管3の前端開口部に位置させる。その後、前記インキ収容管3の前端開口部にペン先2を圧入固着する。その後、前記インキ収容管3内のインキ4の後端に該インキ4の消費に伴い前進する追従体5を充填する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】合成樹脂製のインキ収容管の外面に押圧変形によりスプリング係止突部を形成した後、前記インキ収容管内にインキを充填してなる出没式ボールペン用レフィルの製造方法。
【請求項2】合成樹脂製のインキ収容管の外面に押圧変形によりスプリング係止突部を形成した後、前記インキ収容管内にインキを充填し、その後、前記インキ収容管内に充填されたインキの後端に、前記インキの消費に伴い前進する追従体を充填してなる出没式ボールペン用レフィルの製造方法。
【請求項3】合成樹脂製のインキ収容管の外面に押圧変形によりスプリング係止突部を形成した後、前記インキ収容管内にインキを充填し、前記インキ収容管内に充填されたインキの前端をインキ収容管の前端開口部に位置させ、その後、前記インキ収容管の前端開口部にペン先を圧入固着してなる出没式ボールペン用レフィルの製造方法。
【請求項4】合成樹脂製のインキ収容管の外面に押圧変形によりスプリング係止突部を形成した後、前記インキ収容管内にインキを充填し、前記インキ収容管内に充填されたインキの前端をインキ収容管の前端開口部に位置させ、その後、前記インキ収容管の前端開口部にペン先を圧入固着し、さらにその後、前記インキ収容管の後端開口部から前記インキ収容管内のインキの後端に、前記インキの消費に伴い前進する追従体を充填してなる出没式ボールペン用レフィルの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、出没式ボールペン用レフィルの製造方法に関する。詳細には、合成樹脂製のインキ収容管の外面に押圧変形によりスプリング係止突部を形成する出没式ボールペン用レフィルの製造方法に関する。尚、本発明で、「前」とは、ペン先側を指し、「後」とは、その反対側を指す。
【0002】
【従来の技術】従来、出没式ボールペン用レフィルは、出没式ボールペンの軸筒の内部に、スプリングにより後方へ弾発付勢されて収容され、ノック操作や回転操作により前記軸筒の先端孔からレフィル先端のペン先が出没自在に構成される。前記出没式ボールペン用レフィルにおいて、合成樹脂製のインキ収容管の外面にスプリング係止突部を押圧変形により形成したものが知られている。
【0003】前記従来の出没式ボールペン用レフィルは、押圧変形によって、インキ収容管の外面が径方向外方に突出され、それによりインキ収容管の外面にスプリング係止突部が形成されると同時に、インキ収容管の内面が縮径変形される。前記押圧変形する際に、インキ収容管の前端にペン先が固着され、且つ、インキ収容管の内部にインキが収容された状態である場合、前記インキ収容管の内面が縮径変形されることにより、インキ収容管内のインキが後方へ移動し、インキ収容管の後端開口部からインキが漏出するおそれがある。前記インキの移動は、油性インキの場合よりも、水性インキの場合に生じやすい。さらに、インキ収容管内のインキの後端に、該インキの消費に伴って前進する高粘度流体よりなる追従体が収容されたタイプの場合、前記追従体がインキ収容管の後端開口部から外部に押し出されたり、前記追従体中にインキが浸入し、その浸入したインキが追従体前方のインキ中に戻らないおそれがある。
【0004】また、従来、ボールペンの製造方法において、インキ収容管の開口部へのペン先の圧入を円滑なものにする方法として、例えば、特開平7−299986号公報には、ホルダー(本願のペン先に相当)の外面に潤滑剤を塗布した後、前記ホルダーをインキ収容管の開口部内面に圧入固着する製造方法が開示され、また、特開平9−226287号公報には、インキ収容管の開口部の内周エッジ部(本願の内周縁部に相当)に押圧ピンの円錐面を圧接させた後、チップホルダー(本願のペン先に相当)をインキ収容管の開口部に圧入固着する製造方法が開示されている。しかし、これらは、いずれも、ペン先の圧入を円滑にするための特別な製造工程(即ち、潤滑剤塗布工程または押圧ピン圧接工程)が必要であり、製造コストが増加する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、スプリング係止突部を形成する際、インキや追従体が外部に押し出されることを防止し、その上、製造工程を増加させることなく、ペン先の円滑な圧入を可能にする出没式ボールペン用レフィルの製造方法を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】〔1〕本願の第1の発明は、合成樹脂製のインキ収容管3の外面に押圧変形によりスプリング係止突部31を形成した後、前記インキ収容管3内にインキ4を充填してなる出没式ボールペン用レフィル1の製造方法(請求項1)を要件とする。
【0007】請求項1により、スプリング係止突部31を形成するためにインキ収容管3の外面を押圧変形した際、押圧変形によりインキ収容管3の内面が縮径変形されたとしても、インキ収容管3の内部にはインキ4が充填されていないため、インキ4の移動によるインキ4の漏出が生じるおそれがない。
【0008】〔2〕本願の第2の発明は、合成樹脂製のインキ収容管3の外面に押圧変形によりスプリング係止突部31を形成した後、前記インキ収容管3内にインキ4を充填し、その後、前記インキ収容管3内に充填されたインキ4の後端に、前記インキ4の消費に伴い前進する追従体5を充填してなる出没式ボールペン用レフィル1の製造方法(請求項2)を要件とする。
【0009】請求項2により、スプリング係止突部31を形成するためにインキ収容管3の外面を押圧変形した際、押圧変形によりインキ収容管3の内面が縮径変形されたとしても、インキ収容管3の内部にはインキ4及び追従体5が充填されていないため、インキ4の移動によるインキ4及び追従体5が外部に押し出されることがない。
【0010】〔3〕本願の第3の発明は、合成樹脂製のインキ収容管3の外面に押圧変形によりスプリング係止突部31を形成した後、前記インキ収容管3内にインキ4を充填し、前記インキ収容管3内に充填されたインキ4の前端をインキ収容管3の前端開口部に位置させ、その後、前記インキ収容管3の前端開口部にペン先2を圧入固着してなる出没式ボールペン用レフィル1の製造方法(請求項3)を要件とする。
【0011】請求項3により、スプリング係止突部31を形成するためにインキ収容管3の外面を押圧変形した際、押圧変形によりインキ収容管3の内面が縮径変形されたとしても、インキ収容管3の内部にはインキ4が充填されていないため、インキ4の移動によるインキ4の漏出が生じるおそれがない。
【0012】その上、請求項3により、インキ収容管3内にインキ4を充填した後には、ペン先2を圧入固着する部分であるインキ収容管3の前端開口部に、前記充填されたインキ4の前端が位置している。前記インキ収容管3の前端開口部に位置するインキ4が、ペン先2を圧入する際の潤滑剤として機能し、ペン先2をインキ収容管3の前端開口部に円滑に圧入することができる。したがって、ペン先2の圧入を円滑にするための特別な工程を設ける必要がなく、製造コストを低減させることができる。
【0013】〔4〕本願の第4の発明は、合成樹脂製のインキ収容管3の外面に押圧変形によりスプリング係止突部31を形成した後、前記インキ収容管3内にインキ4を充填し、前記インキ収容管3内に充填されたインキ4の前端をインキ収容管3の前端開口部に位置させ、その後、前記インキ収容管3の前端開口部にペン先2を圧入固着し、さらにその後、前記インキ収容管3の後端開口部から前記インキ収容管3内のインキ4の後端に、前記インキ4の消費に伴い前進する追従体5を充填してなる出没式ボールペン用レフィル1の製造方法(請求項4)を要件とする。
【0014】請求項4により、スプリング係止突部31を形成するためにインキ収容管3の外面を押圧変形した際、押圧変形によりインキ収容管3の内面が縮径変形されたとしても、インキ収容管3の内部にはインキ4及び追従体5が充填されていないため、インキ4の移動によるインキ4及び追従体5が外部に押し出されることがない。
【0015】さらに、請求項4により、インキ収容管3内にインキ4を充填した後には、ペン先2を圧入固着する部分であるインキ収容管3の前端開口部に、前記充填されたインキ4の前端が位置している。前記インキ収容管3の前端開口部に位置するインキ4が、ペン先2を圧入する際の潤滑剤として機能し、ペン先2をインキ収容管3の前端開口部に円滑に圧入することができる。したがって、ペン先2の圧入を円滑にするための特別な工程を設ける必要がなく、製造コストを低減させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に従って説明する。(図1及び図2参照)
【0017】図1は、本発明の出没式ボールペン用レフィル1の製造方法の実施の形態を示すものであり、製造工程は、上図から下図へ、図1(a)、図1(b)、図1(c)、図1(d)、図1(e)、図1(f)の順に移行する。
【0018】〔図1(a)の状態〕図1(a)及び図2(a)に、インキ収容管3の初期状態を示す。インキ収容管3は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン樹脂)の押出成形体よりなり、両端が開口された外径3mm、内径1.7mmの円筒体である。
【0019】〔図1(b)の状態〕図1(b)及び図2(b)に、スプリング係止突部31を形成した後の状態を示す。前記図1(a)の状態のインキ収容管3の外側面の一部の対向する位置を、押圧工具によって挟み込むように押圧変形する。それにより、インキ収容管3の外側面の対向する位置に一対の偏平状のスプリング係止突部31が形成される。前記スプリング係止突部31を有するインキ収容管3の内面は、押圧変形により、横断面形状が円形から長円形状に縮径変形され、インキ収容管3内の空間部の横断面の断面積が押圧変形前より縮小される。
【0020】〔図1(c)の状態〕図1(c)に、インキ4を充填している状態を示す。金属製の先細状の充填ノズル6の傾斜面状外面を、前記図1(b)の状態のインキ収容管3の前端開口部の内周縁部32に圧接させると共に、前記充填ノズル6の先端を前記インキ収容管3の前端開口部に位置させ、前記充填ノズル6からインキ収容管3の内部にインキ4を充填する。それにより、前記インキ収容管3内に充填されたインキ4の前端が、前記インキ収容管3の前端開口部に位置される。尚、前記インキ4は、水性インキ(具体的には、剪断減粘性を有する水性インキ)が好ましいが、油性インキであってもよい。
【0021】インキ充填時、前記充填ノズル6の傾斜面状外面がインキ収容管3の前端開口部の内周縁部32に圧接する構成であるため、インキ収容管3と充填ノズル6との間で位置ズレが生じたとしても、傾斜面状の外面によりインキ収容管3の前端開口部の内周縁部32がガイドされ、前記インキ収容管3の前端開口部の内周縁部32との確実な圧接が可能となる。また、インキ充填時、充填ノズル6の先端が、ペン先2が圧入されるインキ収容管3の前端開口部に位置し、インキ収容管3の前端開口部から内方に深く挿入されない構成であるため、インキ収容管3の内径が2mm以下の小さいものであっても、充填ノズル6の先端が折れ曲がるおそれがなく、充填不良のない安定したインキ充填工程が得られる。
【0022】〔図1(d)の状態〕図1(d)に、ペン先2を圧入する直前の状態を示す。前記図1(c)に示した充填ノズル6の圧接により、インキ収容管3の前端開口部の内周縁部32は、押圧変形され、円錐面状の内面が形成されると同時に、ペン先2が圧入固着される部分であるインキ収容管3の前端開口部に、充填インキ4の前端が位置している。そのため、ペン先2をインキ収容管3の前端開口部に圧入する際、ペン先2が、インキ収容管3の前端開口部の内周縁部32に引っ掛かることなく、また、インキ収容管3の前端開口部に存在するインキ4が、ペン先2の外面との間で潤滑剤として機能する。それにより、インキ収容管3へのペン先2の圧入が円滑なものとなり、ペン先2の圧入不良(例えば、不完全な圧入、または圧入部分の損傷等)が発生するおそれがない。
【0023】また、インキ収容管3へのペン先2の圧入を円滑なものにするための特別な製造工程(例えば、押圧ピンの円錐面状の外面をインキ収容管3の内周縁部32に圧接させる工程や、ペン先2の外面に潤滑剤を塗布する工程)を設ける必要がなく、製造工程を増加させず、製造コストを安価に抑えることが可能となる。
【0024】尚、本実施の形態のペン先2は、先端に回転可能にボールを抱持した金属製(例えば、ステンレス鋼製)のボールペンチップ21と、該ボールペンチップ21の後部外面を保持する合成樹脂製(ポリプロピレン樹脂製)のペン先ホルダー22とからなり、合成樹脂製のペン先ホルダー22の外面と合成樹脂製のインキ収容管3の内面が圧入固着される構成である。前記合成樹脂製のペン先ホルダー22を合成樹脂製のインキ収容管3に圧入する場合、金属製のボールペンチップまたは金属製のペン先ホルダーを合成樹脂製のインキ収容管3に圧入する場合に比べ、ペン先ホルダー22が変形して前記圧入不良が発生しやすいが、前記図1(c)のインキ充填方法により、圧入不良を十分に防止することができる。
【0025】これ以外にも、本発明のペン先2は、先端に回転可能にボールを抱持した金属製または合成樹脂製のボールペンチップ21のみの構成であってもよく、その場合、ボールペンチップ21の外面とインキ収容管3の内面とが圧入固着される。また、本実施の形態のボールペンチップ21は、ボール受け座を金属製(例えば、ステンレス鋼製)の細管の先端に内方への押圧変形により形成したものであるが、これ以外にもボール受け座を金属材料の切削加工により形成したものであってもよい。
【0026】〔図1(e)の状態〕図1(e)に、ペン先2を圧入固着した直後の状態を示す。前記図1(d)に示した状態から、ペン先2とインキ収容管3との圧入固着が完了すると、ペン先2の外面とインキ収容管3の前端開口部の内面とは、環状に密接され、インキ4の漏出が防止される。また、前記インキ収容管3の内径及び外径は、ペン先2の圧入により、僅かに拡径される。
【0027】〔図1(f)の状態〕図1(f)は、追従体5を充填した後の状態を示す。追従体5は、高粘度流体よりなり、前記図1(e)に示した状態のインキ収容管3の後端開口部より充填され、前記インキ収容管3内のインキ4の後端に配置される。そして、遠心力によりインキ4及び追従体5が前方に移動されると同時に、ペン先2内部の残留空気、インキ4中の残留空気、及び追従体5中の残留空気が、インキ収容管3の後端開口部から除去され、それにより、筆記可能状態の出没式ボールペン用レフィル1が得られる。尚、前記追従体5は、高粘度流体のみの構成の他、高粘度流体中に固形物を収容させた構成、または弾性材料よりなるスライド栓であってもよい。
【0028】
【発明の効果】請求項1により、スプリング係止突部を形成するためにインキ収容管の外面を押圧変形した際、インキ収容管の内面が縮径変形されたとしても、インキ収容管の内部にはインキが充填されていないため、インキの移動によるインキの漏出を防止できる。
【0029】請求項2により、スプリング係止突部を形成するためにインキ収容管の外面を押圧変形した際、インキ収容管の内面が縮径変形されたとしても、インキ収容管の内部にはインキ及び追従体が充填されていないため、インキの移動によるインキ及び追従体が外部に押し出されることを防止できる。
【0030】請求項3により、スプリング係止突部を形成するためにインキ収容管の外面を押圧変形した際、インキ収容管の内面が縮径変形されたとしても、インキ収容管の内部にはインキが充填されていないため、インキの移動によるインキの漏出を防止できる。さらに、ペン先をインキ収容管の前端開口部に円滑に圧入することができ、ペン先の圧入を円滑にするための特別の工程を設ける必要がなく、製造コストを低減させることができる。
【0031】請求項4により、スプリング係止突部を形成するためにインキ収容管の外面を押圧変形した際、インキ収容管の内面が縮径変形されたとしても、インキ収容管の内部にはインキ及び追従体が充填されていないため、インキの移動によるインキ及び追従体が外部に押し出されることを防止できる。さらに、ペン先をインキ収容管の前端開口部に円滑に圧入することができ、ペン先の圧入を円滑にするための特別の工程を設ける必要がなく、製造コストを低減させることができる。
【出願人】 【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市昭和区緑町3−17
【出願日】 平成14年5月27日(2002.5.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−341277(P2003−341277A)
【公開日】 平成15年12月3日(2003.12.3)
【出願番号】 特願2002−152140(P2002−152140)