トップ :: B 処理操作 運輸 :: B43 筆記用または製図用の器具;机上付属具




【発明の名称】 インキ筆記具
【発明者】 【氏名】大多和 清嗣
【住所又は居所】東京都北区豊島6丁目10番12号 株式会社トンボ鉛筆内

【要約】 【課題】インキタンク部の圧力が外気より高くなった場合には、余剰インキがインキ保溜体にスムーズかつ確実に保留され、インキ漏れを起こさない構造を持つと共に、インキタンク部の圧力が外気の圧力より低くなった場合には、インキタンク部内部への空気の供給がスムーズかつ確実に行われるインキ筆記具を提供する。

【解決手段】インキ保溜体11のスリット71が開口した後端面63に接しているインキ保持体131を配置したインキ筆記具において、インキ保持体131はインキ保溜体11のスリット71を極力塞がないように、半円柱状の形状にする。また、インキ保持体131が位置ずれし、スリット71を塞ぐことがないように、インキ保持体止め部147を設け、インキ保持体を本体軸3の孔7の外周とインキ保持止め部147で挟むように固定し、半円柱状を維持し、スリット71へのインキ、空気の流路を確保する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内部に孔を有し円筒状に形成された本体軸と、貫通孔を有し円筒状に形成され、貫通孔内に筆記部材を保持するインキ保溜体と、インキ保溜体の本体軸の孔内部に挿入された端部の端面に一部を接して配置され、本体軸の一端側の孔内部をインキを貯留するためのインキタンク部として画成するインキ含浸可能なインキ保持体と、インキ保溜体の貫通孔内に配置され、一端を筆記部材に他端をインキ保持体に接し、インキタンク部からインキ保持体を介して供給されたインキを筆記部材に誘導する誘導芯とを備えたインキ筆記具において、インキ保溜体には、外周側に本体軸外部から本体軸内部に挿入された一端の端面に至る連通路を有し、その連通路は、少なくとも端面から所定の長さの範囲において形成された軸方向に伸びる幅の狭いスリットを含み、スリットはインキタンク部とを連通しており、インキ保留体の端部の端面に一部を接したインキ含浸可能なインキ保持体が半円柱状の形状をしたことを特徴とする、インキ筆記具。
【請求項2】請求項1に記載のインキ筆記具において、インキ保溜体の本体軸の孔内部に挿入された端部の端面において、インキ保持体が半円柱状の形状を維持し、インキ保溜体とインキタンク部とを連通するスリットを塞いでしまうことを確実に防止するためのインキ保持体止め部を有していることを特徴とする、インキ筆記具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インキタンク部の圧力が外気より高くなった場合には、余剰インキがインキ保溜体にスムーズかつ確実に保留され、インキ漏れを起こさない構造を持つと共に、インキタンク部の圧力が外気の圧力より低くなった場合には、インキタンク部内部への空気の供給がスムーズかつ確実に行われるインキ筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インキを用いた、例えばボールペンやマーカー等の筆記具において、その内部のインキタンク部にインキを貯留し、インキ誘導芯を介してペン芯にインキを導く構造を備えたものがある。ここで、インキタンク部内部のインキや空気が、使用者の手の温度や外気温により温められ膨張した際、ペン芯からインキが溢れ出たり、使用してインキの量が減った際に、インキタンク部内部への空気の供給がスムーズに行われず、インキタンク部内部の圧力が下がり、ペン芯へのインキの供給が十分にできず、文字がかすれる等の問題が生じないように、以下に説明するような構成が採用されてきた。
【0003】図1は、従来のマーカー1の側面断面図であり、図2は、内圧制御機構2を構成するインキ保溜体11の平面図であり、図3(イ)、(ロ)、(ハ)はそれぞれ図2における、A-A断面図、B-B断面図、C-C断面図である。尚、マーカー1は図における左側を先端として使用するので、図1及び図2においての左方を前方、右方を後方として説明する。
【0004】符号3は本体軸であり、内部に孔7を有する円筒状に形成され、前方端部は開口した開口部9となっており、後端部は底部5により閉じられている。
【0005】内圧制御機構2は、インキ保溜体11と後述するインキ保持体111とで構成されている。インキ保溜体11は、図2に示されているように、略円筒状の形状をしていて、先端部13より所定の距離だけ隔てられた位置に外径の大きくなった大径部15が形成されている。大径部15の前方部19は、前方に向かって径が縮小するテーパー面となっている。また、大径部15の外周には図2に示されるように、軸方向に伸びる空気溝21が形成されている。
【0006】大径部15より後方は、本体軸3内に挿入される蛇腹部25となっており、先端部13及び大径部15より径の小さい軸部12と、後述する如く軸部12より径方向外方へ広がる前後のフランジ31、61と、そのフランジ31、61の間に形成された多数のフィン41を備えている。すなわち、大径部15から所定の距離隔てた後方には、本体軸3の孔7に嵌合する前方嵌合用フランジ31が形成されている。前方嵌合用フランジ31は、外径が本体軸3の孔7にややきつめに嵌合する寸法に形成されている。また、円周方向で大径部15の空気溝21に対応する位置にほぼ同じ幅で、所定の深さの空気溝33が形成されている。
【0007】前方嵌合用フランジ31と後述する後方嵌合用フランジ61との間には、本体軸3の孔7の内径より若干小さい外径を有するフィン41が多数形成されている。フィン41は、その外径及び厚みは全て略同じであるが、前方から後方に向かうに連れて、フィン41同士の間の間隙43が徐々に狭くなるように配置されている。そしてフィン41には、図1及び図3(イ)、(ロ)に示されるように、円周方向において前方嵌合用フランジ31の空気溝31と反対側に所定の幅及び深さの溝51が形成されている。
【0008】インキ保溜体11の後端部は、図2に示されるように、前方嵌合用フランジ31と同じ外径で、軸方向の長さが前方嵌合用フランジ31より長く形成された後方嵌合用フランジ61となっている。後方嵌合用フランジ61の後端面63と外周面65と角67は、図示のように円弧状に形成されている。
【0009】また、フィン41の前方から第2番目のフィン47のすぐ後方から後方嵌合用フランジ61の後端面63までの部分には、フィン41の外周面及び後端部61の外周面65から所定の深さのスリット71が、円周方向でフィン41に形成された溝51と反対側に形成されている。
【0010】インキ保溜体11は、図1に示されるように、大径部15の後方側面17を本体軸3の先端面10に当接し、大径部15より後方部分を本体軸3の孔7に挿入して、前方嵌合用フランジ31の外周面35と後方嵌合用フランジ61の外周面65を孔7に内接し、本体軸3に取り付けられている。
【0011】インキ保溜体11には貫通孔81が形成され、貫通孔81は図1に示されるように、先端側の大径部83と、それより後部側の小径部85とからなっている。大径部83から小径部85に移る部分には、肩部87が形成されている。先端部13側から、ペン芯91が、図示のように、大径部83の内径と同じ外径であるその後部93において挿入され、底面97を肩部87に接して取り付けられている。ペン芯先端部95は、図示のように筆記に適した形状に形成されていて、インキ保溜体11より突出している。
【0012】符号101は、インキ誘導芯であり、後述するインキ保持体111を介して送られる、後述するインキタンク部75に貯留されたインキを、ペン芯91に導くものであり、多孔質材で作製されている。インキ誘導芯101は、インキ保溜体11の貫通孔81の小径部85の内径と同じ寸法の外径を有し、図1に示されるように、先端面103をペン芯の底面97に接し、後端面105がインキ保溜体11の後端面63と同一面になるように、小径部85に挿入されている。
【0013】インキ保持体111は、本体軸3の孔7の内径と同じ寸法の外径を有する円柱状に形成されている。インキ保持体111には、常時インキが含浸され、インキ誘導芯101にインキを供給するためのものである。本従来例では、円筒状の形成されたフィルム113の中に綿115を詰めた、フィルム巻き中綿が用いられている。
【0014】本体軸3の孔7内部でインキ保持体111より後方の空間は、インキが貯留されるインキタンク部75となる。
【0015】本体軸3のインキタンク部75は、インキ保持体111を介して、スリット71、フィン41の間隙3及び溝51、前方嵌合用フランジ31の空気溝33、大径部15に形成された空気溝21を経由して外気と連通し得るようになっている。しかし、通常の状態では、表面張力によりインキが、インキ保溜体11のスリット71の後方嵌合用フランジ61の部分をほぼ満たした状態で保溜され、それにより外気はインキタンク部75に入ってくることはなく、ペン芯91からインキが漏れることはない。
【0016】もし、インキタンク部75が、使用者の手の熱で温められるなどしてインキタンク部75内部のインキ及び空気が膨張し、外気より高圧となった場合、膨張したインキ及び空気の量に相当するインキが、インキタンク部75からインキ保持体111を介してインキ保溜体11の後端面63に開口したスリット71に供給され、スリット71及び41同士の間隙43に保溜される。そしてその量に対応する空気が大径部15の空気溝21より外気に放出される。よって、インキタンク部75内部の圧力は外気圧と同じになり、インキがペン芯91から漏れることはないよう設計されている。
【0017】しかし、インキ保持体111が図1に示されるように、その前面117をインキ保溜体11のスリット71が開口した後端面63に接し、外周119を本体軸3の孔7の内周に接して配置されると、インキタンク部75内部のインキ及び空気が膨張し、外気より高圧となった場合、膨張したインキ及び空気の量に相当するインキが、インキタンク部75からインキ保溜体11の後端面63に開口したスリット71に供給される流れをインキ保持体111が阻害し、スリット71及び41同士の間隙43に保溜される効果が得られないことがあった。余剰インキがスリット71へスムーズかつ確実に供給されないと、インキ保溜体としての効果をなさず、ペン芯91からインキ漏れしてしまうという問題があった。
【0018】また、逆にマーカー1を使用し、インキタンク部75内部のインキの量が減るなどして、インキタンク部75内部の圧力が外気より低圧となった場合、表面張力にゆるスリット71に形成されたインキの封が破封し、インキ保溜体11の大径部15の空気溝21より前述の経路を経由し、インキタンク部75内に空気が導入され、インキタンク部75内部は、外気と同じ圧力になる。よって、誘導芯101を介したペン芯91へのインキの補給がスムーズに行われる。
【0019】しかし、フィルム巻き中綿で形成されインキで満たされたインキ保持体111は通気性の乏しく、インキタンク部75が外気より低圧となった場合の外気からインキタンク部75への空気の流入が、インキ保持体111により妨げられ、インキタンク部75への空気の供給がスムーズにあるいは、確実に行われず、十分なインキがペン芯91へ供給されず、筆記不能になることがしばしば発生していた。
【0020】これらの課題を解決するために、特願平13-027081では、インキ保持体を収納している範囲において、軸方向に伸び径方向内側に隆起したリブを備えて、空気及びインキ流通路を確保するなどしている。これらの手段も効果はあるが、十分とはいえない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に対してなされたものであり、インキタンク部の圧力が外気の圧力より低くなった場合に、インキタンク部内部への空気の供給がスムーズかつ確実に行われると共に、インキタンク部の圧力が外気より高くなった場合に、余剰インキがインキ保溜体にスムーズかつ確実に保留され、インキ漏れを起こさない構造を持つインキ筆記具を提供することを、その課題とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は、以下のような構成を持つインキ筆記具を提供する。すなわち、内部に孔を有し円筒状に形成された本体軸と、貫通孔を有し円筒状に形成され、貫通孔内に筆記部材を保持するインキ保溜体と、インキ保溜体の本体軸の孔内部に挿入された端部の端面に一部を接して配置され、本体軸の一端側の孔内部をインキを貯留するためのインキタンク部として画成するインキ含浸可能なインキ保持体と、インキ保溜体の貫通孔内に配置され、一端を筆記部材に他端をインキ保持体に接し、インキタンク部からインキ保持体を介して供給されたインキを筆記部材に誘導する誘導芯とを備えたインキ筆記具において、インキ保溜体には、外周側に本体軸外部から本体軸内部に挿入された一端の端面に至る連通路を有し、その連通路は、少なくとも端面から所定の長さの範囲において形成された軸方向に伸びる幅の狭いスリットを含み、スリットはインキタンク部とを連通しており、インキ保留体の端部の端面に一部を接したインキ含浸可能なインキ保持体が半円柱状の形状をしている。また、インキ筆記具は、インキ保溜体の本体軸の孔内部に挿入された端部の端面において、インキ保持体が半円柱状の形状を維持し、インキ保溜体とインキタンク部とを連通するスリットを塞いでしまうことを確実に防止するためのインキ保持体止め部を有している。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明するが、本発明の範囲は、以下に説明される実施の形態に限定されるものではない。
【0024】図4(イ)は、本実施形態に係るマーカー121の側面断面図であり、図4(ロ)は、図4(イ)におけるD-D断面図である。マーカー121は図1に示す従来のマーカー1と同等のものであり、同じ部材には同じ符号を用い、それらについての詳細な説明は省略する。
【0025】インキ保持体131は前面137をインキ保溜体11のスリット71が開口した後端面63を塞がないように、半円柱状をしている。
【0026】また、インキ保持体131は振動や衝撃によって本体軸内部で位置ずれし、インキ保溜体131がスリット71を塞ぐことがないように、インキ保溜体11の後端面63付近にインキ保持体止め部147を設け、インキ保持体を本体軸3の孔7の外周とインキ保持止め部147で挟むように固定し、半円柱状を維持し、スリット71へのインキ、空気の流路を確保する。
【0027】ここで、インキ保持体131が半円柱状をし、スリット71を塞がないようにしている作用は、インキタンク部75内部のインキ及び空気が膨張し、外気より高圧となった場合、膨張したインキ及び空気の量に相当するインキが、インキタンク部75からインキ保溜体11の後端面63に開口したスリット71に供給される流れを妨げず、スムーズかつ確実にインキ保溜体11に余剰インキを保溜させる効果がある。余剰インキがスリット71へスムーズに供給されないと、インキ保溜体としての効果をなさず、ペン芯91からインキ漏れしてしまう。
【0028】また、インキタンク部75内部のインキの量が減るなどして、インキタンク部75内部の圧力が外気の圧力より低圧となった場合、外気が空気溝21より導入され、スリット71を通り、インキタンク部75内部に供給され、外気と同じ圧力になる。この時、インキ保持体131は半円柱状をしており、スリット71を塞ぐことがないように設計されているので、インキタンク部75への空気の流入がスムーズかつ確実に行われる。
【0029】以上に、実施の形態におけるマーカー121を示したが、マーカー以外にも、先端にボールペンチップを備えたボールペンや万年筆などのインキを用いる筆記体に採用することができる。
【0030】
【発明の効果】上記説明から分かるように、本願発明によりインキタンク部の圧力が外気より高くなった場合には、余剰インキがインキ保溜体にスムーズかつ確実に保留され、インキ漏れを起こさない構造を持つと共に、インキタンク部の圧力が外気の圧力より低くなった場合には、インキタンク部内部への空気の供給がスムーズかつ確実に行われる。
【出願人】 【識別番号】000134589
【氏名又は名称】株式会社トンボ鉛筆
【住所又は居所】東京都北区豊島6丁目10番12号
【出願日】 平成14年2月14日(2002.2.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−237284(P2003−237284A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−36827(P2002−36827)