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【発明の名称】 出没式筆記具
【発明者】 【氏名】安藤 正史
【住所又は居所】愛知県名古屋市昭和区緑町3丁目17番地 パイロットインキ株式会社内

【要約】 【課題】ゲートマークが目立たず、軸筒の美観が損なわれず、しかも、ゲートマークが突出したとしてもレフィルの出没作動を阻害することがなく、その上、筆記時のペン先のぐらつきを十分に抑止する。

【解決手段】軸筒2の内部に筆記具レフィルを収容する。前記筆記具レフィルのペン先5が出没可能な先端口3を軸筒2の先端部21に設ける。前記軸筒2の先端部21を少なくとも合成樹脂の射出成形により構成する。前記先端口3の内周面の開口端部の一部に凹部31を設ける。前記凹部31内に射出成形用のゲート部32を設ける。前記先端口3の内周面の開口端部の凹部31を除いた部分に、筆記具レフィル(ペン先ホルダーの前部61)の外周面を支持する支持部33を設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】軸筒の内部に筆記具レフィルを収容し、前記筆記具レフィルのペン先が出没可能な先端口を軸筒の先端部に設け、前記軸筒の先端部を少なくとも合成樹脂の射出成形により構成した出没式筆記具であって、前記先端口の内周面の開口端部の一部に凹部を設け、前記凹部内に射出成形用のゲート部を設け、前記先端口の内周面の開口端部の凹部を除いた部分に、筆記具レフィルの外周面を支持する支持部を設けたことを特徴とする出没式筆記具。
【請求項2】前記支持部が合成樹脂製のペン先ホルダーの外周面を支持する請求項1記載の出没式筆記具。
【請求項3】前記ペン先が直円筒状の細管よりなるボールペンチップである請求項1または2記載の出没式筆記具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、出没式筆記具に関する。詳細には、軸筒の内部に筆記具レフィルを収容し、前記筆記具レフィルのペン先が出没可能な先端口を軸筒の先端部に設けた出没式筆記具に関する。尚、本発明で「前」とは先端口側を指し、「後」とはその反対側を指す。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の出没式筆記具において、特開平10−236066号公報には、ゲートマークが目立たず、外観の見栄えが良好なものになり、且つ、ゲートマークが多少突出したとしてもレフィル出没作動に影響を与えないようにするために、軸先端口(本発明の先端口)の開口部に、ゲートマークが現れるようにした拡口部を設け、該拡口部の後方にレフィル支持孔部(本発明の支持部)を設けた構成が開示されている。
【0003】前記従来の構成は、筆記時、レフィルが、拡口部の後方のレフィル支持孔部によって支持されており、拡口部(即ち先端口の開口端部)においてはレフィルが支持されていないため、ペン先がぐらつき、ユーザーに不安定な筆記感を与えるおそれがある。
【0004】また、筆記具レフィルが先端口の内周面に接触する箇所は、金属製のチップ本体の外周面である場合や、チップ本体を保持する合成樹脂製のペン先ホルダーの外周面である場合が考えられる。その中でも、合成樹脂製のペン先ホルダーの外周面と、先端口の内周面とが接触する場合、ペン先ホルダーが軟質となり変形しやすく、金属製のペン先チップ本体の場合に比べ、筆記時のペン先のぐらつきが発生しやすい。
【0005】また、ペン先が、直円筒状の細管よりなるボールペンチップ(いわゆるニードルチップ)の場合、ペン先自体が細くなり、筆記時のペン先のぐらつきが、一層、発生しやすい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、ゲートマークが目立たず、軸筒の美観が損なわれることがなく、しかも、ゲートマークが突出したとしてもレフィルの出没作動を阻害することがなく、その上、筆記時、ペン先のぐらつきが十分に抑えられ、ユーザーに安定した筆記感を与える出没式筆記具を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】〔1〕本発明は、軸筒2の内部に筆記具レフィル4を収容し、前記筆記具レフィル4のペン先5が出没可能な先端口3を軸筒2の先端部21に設け、前記軸筒2の先端部21を少なくとも合成樹脂の射出成形により構成した出没式筆記具1であって、前記先端口3の内周面の開口端部の一部に凹部31を設け、前記凹部31内に射出成形用のゲート部32を設け、前記先端口3の内周面の開口端部の凹部31を除いた部分に、筆記具レフィル4の外周面を支持する支持部33を設けること(請求項1)を要件とする。
【0008】先端口3の開口端部の内周面における凹部31を除いた箇所に、筆記具レフィル4の外周面を支持する支持部33を設けたことにより、筆記具レフィル4の外周面の、従来よりも前方位置を支持できるため、筆記時、ペン先5がぐらつくおそれがない。また、先端口3の凹部31内に射出成形用のゲート部32を設けたことにより、ゲートマークが目立たず、軸筒2の外観が損なわれることがなく、さらに、ゲートマークが多少突出しても、ゲートマークが筆記具レフィル4の外周面に接触しないため、筆記具レフィル4の円滑な出没作動が阻害されることがない。
【0009】前記支持部33は、先端口3の開口端部の内周面のみに設ける構成の他、先端口3の開口端部の内周面から凹部31後方の先端口3の内周面に連設する構成でもよい。また、前記凹部31の周方向の範囲は、先端口3の中心からの角度αが70度以内(好ましくは65度以内)に設定されることが、ペン先5の十分なぐらつき防止がなされる点で好ましい。
【0010】〔2〕前記請求項1の出没式筆記具1において、前記支持部33が金属製のペン先(例えば、金属製ボールペンチップ、またはペン先外周を保護する金属製ペン先保護部材)の外周面を支持する構成であってもよいが、前記支持部33が合成樹脂製のペン先ホルダー6の外周面を支持する構成(請求項2)が好ましい。
【0011】筆記時、合成樹脂製のペン先ホルダー6の外周面と支持部33とが接触する場合、筆記時のペン先5のぐらつきが発生しやすいが、前記請求項1の構成と相まって、筆記時のペン先5のぐらつきが十分に抑えられる。
【0012】〔3〕前記請求項1または2の出没式筆記具1において、前記ペン先5は、例えば、先端部に大きな円錐面を備えた金属製ボールペンチップ、多孔質ペン体、繊維ペン体、シャープペンシル等、いずれであってもよいが、前記ペン先5が直円筒状の細管よりなるボールペンチップである構成(請求項3)が好ましい。
【0013】ペン先5が直円筒状の細管よりなる場合、ペン先5自体が細くなり、筆記時のペン先5のぐらつきが発生しやすいが、前記請求項1の構成と相まって、筆記時のペン先5のぐらつきが十分に抑えられる。尚、前記直円筒状の細管よりなるボールペンチップとは、チップ本体のボール抱持部の後方が均一肉厚を有する細管からなるものであって、例えば、その細管の外径は、2mm以下(好ましくは1.5mm以下)の細管が有効である。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】図1乃至図5は本発明の出没式筆記具1の一実施例であって、図1及び図2はペン先突出状態を示し、図3乃至図5はペン先没入状態を示す。
【0016】図1及び図2に示すように、本実施例の出没式筆記具1は、軸筒2の後端部のノック部22を前方に押圧操作することによりペン先5が軸筒2の先端口3から出没する後端ノック式の出没機構を備えた筆記具である。前記出没式筆記具1は、主に、軸筒2と、該軸筒2内に収容される筆記具レフィル4と、該筆記具レフィル4を後方に付勢し且つ軸筒2内に収容されるコイルスプリング9とからなる。尚、前記出没機構は、前記後端ノック式以外にも、例えば、回転式やサイドノック式等が挙げられる。
【0017】前記軸筒2は、合成樹脂(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等)の射出成形により得られる円筒体である。前記軸筒2の先端部21は、先細状に形成され、該先端部21に先端口3が前方に開口される。また、前記軸筒2の後端部外面には、クリップ23が突設される。本実施例では、軸筒2の先端部21がその後方の軸筒2の前部と合成樹脂の射出成形により一体に構成されているが、この他にも、先端口3を備える先端部21のみを合成樹脂の射出成形体の別部材により構成してもよい。
【0018】前記筆記具レフィル4は、ペン先5と、該ペン先5の後部63が圧入固着されるペン先ホルダー6と、該ペン先ホルダー6の後端部が圧入固着されるインキ収容管8とからなる。
【0019】前記ペン先5は、金属製(例えば、SUS304、SUS321等のオーステナイト系のステンレス鋼製)の均一肉厚を有する直円筒状の細管よりなるチップ本体51と、該チップ本体51の先端部に回転可能に抱持されるボール52(例えば、外径が0.5mmまたは0.7mm)とからなる。前記チップ本体51の先端には、内方への押圧変形により環状の内向きの先端縁部53が形成される。さらに、前記先端縁部53の後方のチップ本体51の側壁内面には、内方への押圧変形により複数の内方突出部54(即ちボール受け座)が周方向等間隔に形成される。前記先端縁部53内面と前記内方突出部54前面との間(即ちボール抱持部)にボール52が回転可能に抱持される。
【0020】尚、前記ボール52の外径が、0.5mmの場合、前記細管の外径は、0.8mmに設定され、前記内方突出部54の個数は、3個に設定される。前記ボール52の外径が、0.7mmの場合、前記細管の外径は、1.0mmに設定され、前記内方突出部54の個数は、4個に設定される。
【0021】前記ペン先ホルダー6は、合成樹脂(例えば、ポリプロピレン、ポリアセタール等)の射出成形により得られる筒状体である。前記ペン先ホルダー6は、ペン先5が取り付けられる先細状の前部61と、インキ収容管8の先端面と当接する鍔部62と、インキ収容管8の先端開口部に圧入される後部63とからなる。前記ペン先ホルダー6の内部には、ペン先5が圧入固着される取付孔64と、該取付孔64後端と連通するインキ流通孔65とが形成される。また、前記ペン先ホルダー6の先細状の前部61の外周面には、外周面に複数本の軸方向のリブ(図示せず)が一体に形成され、前記リブが先端口3の内周面により支持される。
【0022】前記インキ流通孔65及びチップ本体51内には、ストレート部71とコイル部72よりなるスプリング7が挿入配置される。前記スプリング7のストレート部71が、チップ本体51内に挿入され、ボール52の後面を前方に押圧し、ボール52前面と先端縁部53内面とを環状に密接させる。それにより、非筆記時、前記スプリング7のストレート部71によりボール52が前方に押圧され、前記ボール52と前記先端縁部53の内面とが密接され、ペン先5がシールされる。その結果、ペン先5を下向き状態で保管したとしても、ペン先5からのインキ漏出が防止され、また、ペン先5を上向き状態で保管したとしても、ペン先5からの空気混入が防止される。
【0023】また、前記スプリング7のコイル部72は、後端部が膨出され、それがインキ流通孔65の内面の係止突起66と乗り越え係止される。
【0024】前記インキ収容管8は、両端が開口された円筒体であり、合成樹脂の押出成形により得られる。前記インキ収容管8の先端開口部には、ペン先5を有するペン先ホルダー6の後部63が圧入固着され、一方、前記インキ収容管8の後端開口部には、通気孔が貫設された尾栓(図示せず)が圧入固着される。前記インキ収容管8の内部には、インキ(例えば、剪断減粘性が付与された水性ゲルインキ、または中粘度の油性インキ)と、該インキの後端に配置され且つ該インキの消費に伴って前進するグリス状の追従体(図示せず)とが充填される。尚、前記インキ収容管8は、合成樹脂の射出成形によって、ペン先ホルダー6と一体に構成されてもよい。
【0025】図3乃至図5に示すように、前記先端口3の内周面の開口端部には、凹部31が形成される。前記凹部31は、径方向内方に開口し且つ軸方向前方に開口している。前記凹部31の周方向の範囲は、先端口3の中心からの角度αが60度に設定されている。
【0026】前記凹部31を除く先端口3の内周面には、ペン先ホルダー6の外周面を支持する支持部33が形成される。前記支持部33は、凹部31後方の先端口3の内周面及び凹部31を除く先端口3の開口縁の内周面に形成される環状内面であり、その内径は、ペン先突出状態のペン先ホルダー6の、支持部33内面に接触する部分の外径(即ちリブ外接円径)より僅かに小さく設定される。
【0027】さらに、前記凹部31内には、射出成形用のゲート部32が位置される。図3及び図5においてドット部分は、径方向内方に突出したゲートマークを示す。前記ゲートマークは、凹部31内において径方向内方に僅かに突出し且つ先端口3の支持部33の内周面より内方へは突出していないため、ペン先5の出没作動の際、ペン先ホルダー6の外周面と接触せず、円滑な出没作動が維持される。
【0028】
【発明の効果】請求項1により、ゲートマークが目立たず、軸筒の美観が損なわれることがなく、また、ゲートマークが突出したとしてもペン先の出没作動を阻害することがなく、さらに、筆記時のペン先のぐらつきが十分に抑止される。
【0029】請求項2により、支持部が合成樹脂製のペン先ホルダーの外周面を支持する場合であっても、筆記時のペン先のぐらつきが十分に抑止される。
【0030】請求項3により、ペン先が直円筒状の細管よりなるボールペンチップの場合であっても、筆記時のペン先のぐらつきが十分に防止される。
【出願人】 【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
【住所又は居所】愛知県名古屋市昭和区緑町3−17
【出願日】 平成14年2月19日(2002.2.19)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−237282(P2003−237282A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−41131(P2002−41131)