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【発明の名称】 非水系ボールペン用フォロワー
【発明者】 【氏名】市川 秀寿
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区入江2丁目5番12号 三菱鉛筆株式会社横浜事業所内

【氏名】猪飼 敬幸
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区入江2丁目5番12号 三菱鉛筆株式会社横浜事業所内

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アロマ分が0.3質量%以下でありかつ40℃での粘度が50mPa・s以上である難揮発性及び/又は不揮発性液状炭化水素からなる少なくとも一種の溶剤と、該溶剤とサスペンジョンを形成する物質とスチレン系熱可塑性エラストマー含有することを特徴とする非水系ボールペン用フォロワー。
【請求項2】 該溶剤とサスペンジョンを形成する物質がα−オレフィン共重合体である請求項1に記載の非水系ボールペン用フォロワー。
【請求項3】 該溶剤とサスペンジョンを形成する物質が無機金属微粒子である請求項1に記載の非水系ボールペン用フォロワー。
【請求項4】 20℃での蒸気圧が0.2〜50mmHgのアルコール類、グリコールモノエーテル類からなる溶剤がインキ溶剤の10〜100%を占める非水系ボールペンインキに使用される請求項1に記載の非水系ボールペン用フォロワー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インキ収容管内に直接収容する非水系ボールペン用インキの尾端部に使用するフォロワーに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、油系ボールペン用のフォロワーとしてはグリースの使用が見られるが、高温下や長時間の保存で離油が見られたり、インキと相溶する等品質的に不十分なばかりでなく、不透明なためインキとの区別がつき難く使用者がインキが残っているのに筆記できなくなったとの印象を持つ等の欠点がある。
【0003】しかし、従来の一般的な油性ボールペンにおいては、溶剤分の90%以上が2―フェノキシエタノール及び/又はベンジルアルコールで構成されており、これら溶剤の20℃における蒸気圧が0.2mmHg以下であることからペン後端部からの溶剤の揮発は問題にならない。加えてインキ粘度が3000〜20000mPa・sであることから衝撃による飛散もしにくい。
【0004】従って、従来の油性ボールペンでは、インキ収容管の内径が2.8mm以下のものは、ペンを上ないし横向きに放置した場合でもインキが後端部から漏れ出さないため、必ずしもフォロワーを必要としなかった。一方、水系のボールペン用としては、特公平6−33024号公報、特許第2859068号、特開平8−183286号公報、特開平9−76687号公報、特開平11−42882号公報に、インキ収容管に直接インキを収容せしめる水系ボールペンに具備されたフォロワーが開示されている。これらのフォロワーは、後端部からの水の揮発、ペンを上ないし横向きに放置した場合に生じてしまうインキの漏れ出し、衝撃によるインキの飛散を抑制する働きがある。
【0005】また、同様な目的でスチレン系熱可塑性エラストマーを配合したものが特許第3016749号、特開平7−216285号公報に開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記の水系ボールペン用に開示されているフォロワーは、確かに水系ボールペン用としては使用可能である。しかし、本発明者らは、従来の油性ボールペンとは異なり蒸気圧の高い溶剤を使用した非水系ボールペンを開発しているが、そのような蒸気圧の高い溶剤を使用した非水系ボールペン用インキにはフォロワーが必要であることが明らかになった。そこで、上記の従来開示されかつ普通に使用されている水系ボールペン用フォロワーを開発中の蒸気圧の高い溶剤を使用した非水系ボールペンに使用したところ、そのままでは使用できなかった。
【0007】そこで、本発明者らは、上記のような事情に鑑みて、上記の問題を解決し、蒸気圧の高い溶剤を使用した非水系ボールペンにも使用可能で、高温下や長期の保存においても離油することなく安定であり、強い落下衝撃に対する耐性を向上し、インキに対する適度な追従性があり、インキと外気を遮断してインキの揮発を防止し、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入り込むような経時変化がなく、更にインキとの比重差があっても放置状態によってチップ先端まで移動し、インキとフォロワーが逆転してしまう逆転現象が発生することで生じる筆記不良を起こし難い性能を兼ね備えた非水系ボールペン用フォロワーおよびそのようなフォロワーを含む非水系ボールペンを特願平2001−13719で示した。しかし、その発明では、スチレン系熱可塑性エラストマーの添加量により、フォロワーの物性値が決定されてしまうため、範囲(温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定したときの貯蔵弾性率が100Pa以下、位相のズレが25°以上)以上に貯蔵弾性率が高かったり、位相のずれが小さくなるような「固いフォロワー」にした場合、フォロワーの追従不足や、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響が生じてしまった。しかし、φ2.8mm以上の太軸のチューブを使用する場合は、固いフォロワーの方がフォロワーの逆転現象に関してより安全であり、このような設計が好まれる。本発明は、上記のような事情に鑑みて、従来の非水系フォロワーの満足すべき性能に加え、「固いフォロワー」にした場合でも、フォロワーの追従不足や、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響が生じ難い性能を兼ね備えた非水系ボールペン用フォロワーを提供することを目的とした。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を達成するために鋭意検討した結果、本発明では、以下に示す点を特徴とすることにより、課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
(1)アロマ分が0.3質量%以下でありかつ40℃での粘度が50mPa・s以上である難揮発性及び/又は不揮発性液状炭化水素からなる少なくとも一種の溶剤と、該溶剤とサスペンジョンを形成する物質とスチレン系熱可塑性エラストマー含有することを特徴とする非水系ボールペン用フォロワー。
(2)該溶剤とサスペンジョンを形成する物質がα−オレフィン共重合体である請求項1に記載の非水系ボールペン用フォロワー。
(3)該溶剤とサスペンジョンを形成する物質が無機金属微粒子である請求項1に記載の非水系ボールペン用フォロワー。
(4)20℃での蒸気圧が0.2〜50mmHgのアルコール類、グリコールモノエーテル類からなる溶剤がインキ溶剤の10〜100%を占める非水系ボールペンインキに使用される(1)に記載の非水系ボールペン用フォロワー。
【0009】
【発明の実施の形態】特願平2001−13719に示された非水系フォロワーの物性の範囲(温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定したときの貯蔵弾性率が100Pa以下、位相のズレが25°以上)以上に貯蔵弾性率が高くなったり、位相のズレが小さくなるような「固いフォロワー」にした場合でも、フォロワーの追従不足や、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響が生じないフォロワーが得られたことが本発明において新規なものであると解される。
【0010】本発明のフォロワーに用いる溶剤は、常温で難揮発性及び/又は不揮発性でなければならない。溶剤が揮発性であると、蒸発ロスが多くなり、フォロワーとして機能できないからである。98℃、5時間の条件下で蒸発ロスが0.4質量%以下であることが好ましい。蒸発ロスが0.4質量%超のとき、フォロワー溶剤の揮発が無視できなくなり、経時的にフォロワー物性が変化してしまうからである。
【0011】本発明のフォロワーに用いる溶剤は、液状炭化水素から選択する。炭化水素以外に、SP値の低いアルコール、エステル、有機酸、シリコーンオイル等が水系インキ用フォロワーには主溶剤として使用可能であるが、非水系インキ用フォロワーとしてはいずれも主溶剤としては使用できない。SP値の低いアルコール、エステル、有機酸等は、非水系インキ溶剤と親和性が強く、界面が見づらくなったり、インキに使用される色剤、樹脂、添加剤等も移行し不具合の原因となる。シリコーンオイルは、インキ溶剤が透過しやすいため経時的にインキの物性が変化してしまうため主溶剤としては好ましくない。
【0012】本発明のフォロワーに用いる液状炭化水素溶剤は、アロマ分が0.3質量%以下、好ましくは、0.1質量%以下の液状炭化水素でなければならない。液状炭化水素であっても、従来の多くの鉱物油が含むようにアロマ分が0.3質量%を超えるものでは、インキ中の色剤がフォロワー中へ移行しやすくなり、本発明の目的に使用できないからである。この理由は、色剤が分子構造中にベンゼン環などのアロマ分を含んでおり、フォロワー溶剤中のアロマ分と相溶するためである。アロマ分は、ASTM D−3238に示された試験法で測定される。
【0013】本発明のフォロワーに用いる溶剤の粘度は、40℃での粘度が50mPa・s以上、好ましくは80mPa・s以上、更に好ましくは、100〜1000mPa・sでなければならない。40℃での粘度が50mPa・s未満のときは、インキ溶剤と相溶しやすいために経時的にインキとフォロワー界面の区別が付きにくくなってしまうからである。また、溶剤分子の分子量が小さく分子運動が激しく起こるため、インキ/フォロワー界面で離油を起こしやすくなってしまう。更に、相溶したインキ溶剤もフォロワー中で拡散しやすいため、インキ溶剤の透過が激しくなり、経時的なインキの品質劣化も起こりやすくなる。
【0014】本発明のフォロワーに用いる溶剤としては、鉱物油、流動パラフィン、ポリアルファオレフィンから選択することができ、本発明のフォロワーを製造するための条件を満たす溶剤の具体的な例には、ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産社製)、ダイアナプロセスオイルPW−380(出光興産社製)、ハイコールK−350(カネダ社製)、ピュアレックス400(エッソ社製)、ホワイトレックス2210(モービル社製)、出光PAO−5010(出光石油化学社製)などがある。
【0015】本発明のフォロワーに用いるスチレン系熱可塑性エラストマーは、ポリスチレンブロック−ゴムブロック−ポリスチレンブロックのトリブロック構造を持つものが適しており、更に詳細に示すと、ポリスチレンブロック−ポリブタジエンブロック−ポリスチレンブロック(SBS)、ポリスチレンブロック−ポリイソプレンブロック−ポリスチレンブロック(SIS)、ポリスチレンブロック−ポリエチレン/ブチレンブロック−ポリスチレンブロック(SEBS)、ポリスチレンブロック−ポリエチレン/プロピレンブロック−ポリスチレンブロック(SEPS)などがある。
【0016】具体的には、JSR社製のTRシリーズ、SISシリーズ、また、シェルジャパン社製のクレイトンDシリーズ、クレイトンGシリーズ等がある。
【0017】これらのスチレン系熱可塑性エラストマーの配合量としては、配合するスチレン系熱可塑性エラストマー単位濃度あたりの弾性を付与する強さ、及び、α−オレフィン共重合体や無機金属微粒子のようなフォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質および、その濃度にそれぞれ依存するので一概には決定することは出来なかった。しかし、上記に示したようなトリブロック構造をもつスチレン系熱可塑性エラストマーを使用した場合は、0.5〜7.0質量%の範囲の使用が目安となる。スチレン系熱可塑性エラストマーの配合量が0.5質量%未満の場合、フォロワーに付与される弾性が弱く流動しやすいため軽い衝撃に対しても飛散しやすくなってしまったり、フォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質が経時的に沈降してしまう怖れがある。また、φ2.8mm以上のチューブを使用した際には、上向き放置した際に後端部からフォロワーが流れ出るなどの不具合が発生する。スチレン系熱可塑性エラストマーの配合量が7.0質量%超となった場合、逆に弾性が強くなりすぎて、フォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質を配合しても追従性が悪くなったり、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響が生じる。
【0018】本発明のフォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質には、顔料、樹脂粒子等様々な物質があるが、α−オレフィン共重合体及び無機金属微粒子が特に好ましい。α−オレフィン共重合体は、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体があり、フォロワー溶剤に添加し、加熱攪拌した際に3%以上が溶解可能であるが、室温に冷却した際に溶解度が0.5質量%以下となり、サスペンジョンが形成されるものが好ましい。具体的には、三井化学社製のタフマーAシリーズ、タフマーXRシリーズ等がある。
【0019】無機金属微粒子は、高い比表面積値を持つ微粒子金属酸化物であり、代表的なものとして微粒子シリカがある。微粒子シリカとしては高純度で非常に細かな微粒子のものであれば、表面処理の有無や方法に関わらずどの様なものでもかまわない。具体的には、日本アエロジル(株)製のAEROSIL50、90G、130、200、200V、200CF、200FAD、300、300CF、380等の親水性シリカやR972、R972V、R972CF、R974等の疎水性シリカ等がある。その他デグサ社製R202、R805、R812、R812S、OX50、TT600、MOX80、MOX170、COK84やその他RX200、RY200等が挙げられる。また、水澤化学工業社製ミズカシルシリーズや高純度超微粒子状酸化アルミニウムや高純度超微粒子状二酸化チタン等も同様の性能を示す無機金属微粒子として挙げられる。
【0020】フォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質の配合量としては、配合する物質の単位濃度あたりの粘弾性を付与する強さ及び同時に配合するスチレン系熱可塑性エラストマーおよび、その濃度にそれぞれ依存するので一概には決定することは出来なかった。しかし、上記に示したようなα−オレフィン共重合体及び無機金属微粒子を使用した場合は、0.1〜7.0質量%の範囲の使用が目安となる。α−オレフィン共重合体及び無機金属微粒子の配合量が0.1質量%未満の場合、添加効果が小さく、フォロワーが追従不足になったり、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響が生じる。また、フォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質自体も弾性を付与するため、7.0重量%以上の場合は、弾性が強くなりすぎて、フォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質を配合しても追従性が悪くなったり、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響が生じる。
【0021】本発明のフォロワーには、前記の必須成分に加え、添加剤等を添加することができる。添加剤としては、ジブロック構造のエラストマー、シリコーンオイル、フォロワー溶剤に可溶な樹脂等がある。
【0022】また、本発明におけるフォロワーのレオロジー特性の測定には、周期的応力または周期的ひずみを物質に与えるような周期的測定(動的測定)が可能な装置(レオメータ)で測定することが好ましい。更に、測定周波数を変化させても物質に与える応力を一定にコントロールできるようなレオメータで測定することがより好ましい。
【0023】本発明のフォロワーのレオロジー特性の測定には、HAAKE社製のレオメータ RheoStress RS−100を使用し、プレートにはプレート径が35mmのパラレルプレートのPP35を使用した。測定ギャップは、1.00mmで行った。
【0024】本発明のフォロワーの製法は次の通りである。難揮発及び/又は不揮発性溶剤にスチレン系熱可塑性エラストマー及びフォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質を添加し、加熱撹拌し、その後室温まで冷却する。撹拌温度は、エラストマーが溶解、又は、均一に膨潤すれば特に制限はないが、80〜200℃、より好ましくは140〜185℃が好ましい。撹拌温度が80℃以下の場合は、エラストマーが溶解、又は、均一に膨潤しにくく、200℃以上の場合は、エラストマー及びフォロワー溶剤が酸化されやすく、撹拌時間により完成品の物性が大きく異なる。エラストマー及びフォロワー溶剤の酸化を防止するために窒素雰囲気下で撹拌を行っても良い。また、フォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質がエラストマーを溶解又は、均一に膨潤させる温度で溶解すれば溶解させてしまい、室温に冷却後サスペンジョンとさせても良く、溶解しないものであれば、あらかじめ3本ロールやミルのような分散機等により、分散させてサスペンジョンとしておいても良い。
【0025】また、加熱撹拌後の冷却環境は、冷却後に得られるフォロワーが容器のいかなる部分でもほぼ同一な物性を示せば、どの様な環境で冷却してもかまわない。しかし、冷却条件をコントロールしなかった際に、得られるフォロワーが容器内で物性の異なる部分が生じる場合は、冷却速度をコントロールしたり、振動を与えたりして冷却条件をコントロールすることが好ましい。
【0026】また、冷却後、必要に応じて、3本ロールやニーダー等の分散機で混練してもよい。本発明のフォロワーは、非水系ボールペンインキ用に開発されたものである。本発明において、非水系ボールペンインキとは、インキが本質的に水を含まないインキのことであるが、アルコールなどの非水系溶剤では、親水性があるので経時的に自然に吸湿し、水を含んで平衡することがある。また、吸湿するインキの物性変化を少なくするため製造時から適度な水を含ませることも行われる。しかし、水の濃度がインキの製造時から10質量%、好ましくは5質量%を超えることはない。
【0027】本発明のフォロワーは、非水系ボールペンインキ、特に、20℃での蒸気圧が0.2〜50mmHgのアルコール類、グリコールモノエーテル類からなる溶剤がインキ溶剤の10〜100%を占めるボールペンインキ溶剤で形成された非水系ボールペンインキと共に用いるときに、先に説明したような理由から好適である。20℃での蒸気圧が0.2〜50mmHgの溶剤としては、アルコール類としてはエタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、isoブチルアルコール、tertブチルアルコール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、isoペンチルアルコール、tertペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール等が挙げられる。
【0028】グリコールモノエーテル類としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール等が挙げられる。
【0029】また、グリコールモノエステル類もグリコールモノエーテル同様に使用することも可能である。以上に挙げられるような溶剤がインキ溶剤の10〜100%、さらには30〜100%、特に50〜100%を占める場合は、後端部からのインキ溶剤の揮発が起こり、インキの品質が経時的に変化することを抑制するためフォロワーが必要となる。この目的に本発明のフォロワーは最適である。
【0030】上記溶剤と組み合わせ、インキ溶剤の0〜90%の範囲で不揮発性の溶剤を補助溶剤として併用しても良い。本発明のフォロワーを必要とする非水系ボールペンインキ組成物としては、上記溶剤の他、必ず色材と樹脂を含む。色材としては顔料あるいは染料あるいは併用により調整され、樹脂は非水系ボールペン性能を発揮できるもので、インキ中の不安定要素でなければ特にどのようなものでもよい。
【0031】また、溶剤としては上記溶剤と組み合わせ、インキ溶剤の0〜90%の範囲で不揮発性の溶剤を併用しても良い。また、性能に応じて各種添加剤を使用することもできる。インキの粘度は、25℃での20Pa・s 以下が望ましく、インキ収容管内径は5mm以下であることが好ましく、特に好ましくは4mm以下である。これは毛細管によるインキの保持力を考慮に入れるとあまり内径を大きくすることは好ましくないためである。
【0032】本発明のフォロワーは、非水系ボールペン以外にもインキ収容管に直接インキを収容する水系ボールペン用の水系インキなど他のインキに使用することを妨げるものではない。
【0033】
【作用】本発明において、フォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質をスチレン系熱可塑性エラストマーと同時に含有させると「固いフォロワー」でもフォロワーの追従不足や、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響が生じ難い理由は以下のように考えられる。スチレン系熱可塑性エラストマーを含有したフォロワーは、スチレン系熱可塑性エラストマーが3次元構造を作り、その編み目の中に溶剤が抱え込まれた形になっていると考えられている。ただし、フォロワーとチューブ、インク、気体の界面では、溶剤分子が界面に出て来易く微妙な離油状態にあると考えられる。このように構成されているものの中にサスペンジョンを生じる物質を添加すると、サスペンジョンの粒子界面で離油が起こると考えられる。サスペンジョン粒子は、フォロワーとチューブの固液界面にも分布するため、フォロワーとチューブの固液界面で離油量が増す。そのため、フォロワーがチューブを滑りやすくなるため、フォロワーの追従性が向上すると考えられる。また、固−液界面にフォロワーの溶剤が多くあるため、固液界面にもインキが入りにくく、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響も生じにくいと考えられる。つまり、フォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質をスチレン系熱可塑性エラストマーと同時に含有させることにより、フォロワーとチューブ界面での離油量がコントロールできるため、追従性やフォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような現象が改善されると考えられる。また、フォロワー溶剤とサスペンジョンを形成する物質は、弾性付与剤としても効果を示すため、フォロワーの貯蔵弾性率を高くしたり、位相のズレを小さくする働きがあり、「固いフォロワー」を形成させるためにも役立つ。
【0034】
【実施例】次に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。
【0035】(実施例1)
イアナプロセスオイルPW−90(出光興産社製)97.3質量%タフマーA−4085(三井化学社製)0.7質量%クレイトンG1654X(シェルジャパン社製)2.0質量%ダイアナプロセスオイルPW−90とタフマーA−4085を120℃で3時間加熱攪拌した後、175℃まで温度を上昇させ、クレイトンG1654Xを添加し、50分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。ここで、使用したダイアナプロセスオイルPW−90はアロマ分0.0%、40℃の粘度は90mPa・sであった。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率が134Paであり、位相のズレが21°であった。
【0036】(実施例2)
ダイアナプロセスオイルPW−380(出光興産社製)96.7質量%タフマーA−4085(三井化学社製)1.5質量%クレイトンG1654X(シェルジャパン社製)1.8質量%ダイアナプロセスオイルPW−380とタフマーA−4085を120℃で3時間加熱攪拌した後、175℃まで温度を上昇させ、クレイトンG1654Xを添加し、50分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。ここで、使用したダイアナプロセスオイルPW−380はアロマ分0.0%、40℃の粘度は383mPa・sであった。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率が247Paであり、位相のズレが26°であった。
【0037】(実施例3)
ダイアナプロセスオイルPW−380(出光興産社製)95.5質量%タフマーXR110T(三井化学社製)1.0質量%クレイトンG1730M(シェルジャパン社製)3.5質量%ダイアナプロセスオイルPW−380とタフマーXR110Tを120℃で3時間加熱攪拌した後、175℃まで温度を上昇させ、クレイトンG1730Mを添加し、90分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率が116Paであり、位相のズレが36°であった。
【0038】(実施例4)
ピュアレックス400(エッソ社製)94.7質量%アエロジルR972(日本アエロジル社製)3.0質量%クレイトンG1654X(シェルジャパン社製)2.3質量%ピュアレックス400とアエロジルR972を混合し、3本ロールで5パスした後、クレイトンG1654Xを加え175℃で50分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。ここで使用したピュアレックス400はアロマ分0.1%、40℃の粘度409mPa・sであった。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率が175Paであり、位相のズレが30°であった。
【0039】(比較例1)
ダイアナプロセスオイルNS−100(出光興産社製)96.8質量%タフマーA−4085(三井化学社製)0.7質量%クレイトンG1654X(シェルジャパン社製)2.0質量%ダイアナプロセスオイルNS−100とタフマーA−4085を120℃で3時間加熱攪拌した後、175℃まで温度を上昇させ、クレイトンG1654Xを添加し、50分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。ここで、使用したダイアナプロセスオイルNS−100はアロマ分5.3%、40℃の粘度は95mPa・sであった。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率が125Paであり、位相のズレが23°であった。
【0040】(比較例2)
ダイアナプロセスオイルPW−32(出光興産社製)96.8質量%タフマーA−4085(三井化学社製)1.5質量%クレイトンG1654X(シェルジャパン社製)1.7質量%ダイアナプロセスオイルPW−32とタフマーA−4085を120℃で3時間加熱攪拌した後、175℃まで温度を上昇させ、クレイトンG1654Xを添加し、50分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。ここで、使用したダイアナプロセスオイルPW−32はアロマ分0.0%、40℃の粘度は31mPa・sであった。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率が105Paであり、位相のズレが15°であった。
【0041】(比較例3)
ピュアレックス400(エッソ社製)97.2質量%クレイトンG1654X(シェルジャパン社製)2.8質量%これらの材料を175℃で50分加熱撹拌した後、室温まで放冷し、60gのフォロワーを得た。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率が130Paであり、位相のズレが28.0°であった。
【0042】(比較例4)
ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産社製)97.45質量%アエロジルR972(日本アエロジル社製)0.05質量%クレイトンG1654X(シェルジャパン社製)2.5質量%ダイアナプロセスオイルPW−90とアエロジルR972を混合し、3本ロールで5パスした後、クレイトンG1654Xを加え175℃で50分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率で107Paであり、位相のズレが18°であった。
【0043】(比較例5)
ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産社製)90.0質量%タフマーA−4085(三井化学社製)7.5質量%クレイトンG1654X(シェルジャパン社製)2.5質量%ダイアナプロセスオイルPW−90とタフマーA−4085を120℃で3時間加熱攪拌した後、175℃まで温度を上昇させ、クレイトンG1654Xを添加し、50分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率で6500Paであり、位相のズレが9°であった。
【0044】(比較例6)
ダイアナプロセスオイルPW−380(出光興産社製)98.0質量%タフマーXR−110T(三井化学社製)1.5質量%クレイトンG1654X(シェルジャパン社製)0.5質量%ダイアナプロセスオイルPW−380とタフマーXR110Tを120℃で3時間加熱攪拌した後、175℃まで温度を上昇させ、クレイトンG1654Xを添加し、50分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率で8Paであり、位相のズレが82°であった。
【0045】(比較例7)
ダイアナプロセスオイルPW−90(出光興産社製)98.0質量%アエロジルR972(日本アエロジル社製)2.5質量%クレイトンG1730M(シェルジャパン社製)7.5質量%ダイアナプロセスオイルPW−90とアエロジルR972を混合し、3本ロールで5パスした後、クレイトンG1730Mを加え175℃で90分加熱攪拌した。その後、室温まで放冷し、フォロワーを得た。また、得られたフォロワーは、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定した時の貯蔵弾性率で1600Paであり、位相のズレが7°であった。
【0046】(評価方法と結果)以上の様な配合及び調整方法で得られたフォロワーを下記に示す非水系インキと組み合わせ、下記評価テストにより評価し、表1のような結果を得た。
【0047】なお、フォロワーの充填には、国産遠心機社製遠心分離器H−103N型遠心機を用い、ペンの尾端部からペン先方向に遠心力がかかるように毎分2000回転で5分間遠心をかけた。実施例及び比較例は、チューブ径が3.8mmのポリプロピレンチューブを使用しペン体とした。
【0048】非水系インキとフォロワーを組み合わせたペン体は、ボール径が1.0mmのチップを使用した。
<非水系インキ配合>バリファーストバイオレット1702(オリエント化学社製)20.0質量%スピロンイエローC−GNH(保土谷化学社製)10.0質量%ポリピニルブチラール BM−S(積水化学社)5.0質量%プロピレングリコールモノメチルエーテル20.0質量%3−メトキシ−ブタノール20.0質量%3−メトキシ−3メチルブタノール25.0質量%【0049】<評価テスト>1)チップ上向き逆転性:室温下にて1ヶ月放置し、インキとフォロワーの逆転の有無を観察した。下記の基準で評価した。
逆転しなかったもの;○少し離油が起こりリフィール先端部が透明なもの;△ほとんど逆転したもの;×後端部からフォロワーが流れ出したもの;××【0050】2)フォロワー−チューブ界面の経時変化:上記1)のチップ上向き逆転性テストでフォロワーとチューブ界面の状態を観察した。下記の基準で評価した。
界面が全く問題ないもの;○界面にインキの進入が見られる物;×【0051】3)インキ追従性:PPC用紙にフリーハンド筆記(丸書き)し、かすれ度合いの観察した。下記の基準で評価した。
かすれがほとんどないもの;○かすれが多少あるもの;△かすれがひどいもの;×【0052】4)透過減量性:内径10mmのガラス管(円筒状)にインキ4.0gを入れ、フォロワー1.5gを充填し、遠心した後、50℃条件下でのインキの1ヶ月の透過減量を測定した。表中の数値の単位はmgである。
【0053】5)拡散性:上記4)の透過減量性テスト終了後、インキとフォロワーとの界面での状態を観察した。下記の基準で評価した。
界面がはっきりしているもの;○界面の境界が解りにくいもの;△界面の境界がひどく解りにくいもの;×【0054】
【表1】

【0055】実施例1〜4はいずれの試験も問題ない結果となった。比較例1はフォロワー中への染料の拡散が見られ、また、インキとフォロワーの界面が消失し、透過減量も多い結果となった。これは、アロマ分の多いフォロワー溶剤を使用したことから、非水系インキを使用した際に、インキ溶剤及びインキ成分とフォロワー溶剤の親和性が強いためと推測される。
【0056】比較例2は、比較例1ほどではないがフォロワー中に染料の拡散が多少見られ、また、インキとフォロワーの界面もわかりにくくなり、透過減量も多い結果となった。これは、粘度の低いフォロワー溶剤を使用したことから、非水系インキを使用した際に、インキ溶剤及びインキ成分とフォロワー溶剤の親和性が強いためと推測される。また、インキ−フォロワー界面で離油が起こってしまい、上向き放置した際に離油したフォロワー溶剤の一部がペン先に移動してしまった。これは、溶剤分子の分子量が小さく分子運動が激しく起こるためと推測される。
【0057】比較例3は、該溶剤とサスペンジョンを形成する物質を加えておらず、貯蔵弾性率が100Pa超なるような「固いフォロワー」である。この場合は、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入り込む現象が起こった。これは、インキ溶剤及びインキ部材とフォロワー溶剤の親和性が強いことに加え、フォロワー自体の凝集力が強すぎるためと推測される。
【0058】比較例4は、比較例3と同様にフォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入り込む現象が起こった。これは、該溶剤とサスペンジョンを形成する物質を0.05質量%しか加えておらず、その効果が発揮されなかったためと推測される。
【0059】比較例5は、追従不良となり、また、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入り込む現象が起こった。これは、該溶剤とサスペンジョンを形成する物質が7.5質量%と多すぎたためフォロワー自体の弾性が強くなりすぎたためと推測される。
【0060】比較例6は、フォロワーが非常に流動し易く、上向き放置した際に、後端部より、フォロワーが流れ出てしまった。これは、スチレン系熱可塑性エラストマーの添加量が少ないためと推測される。
【0061】比較例7は、追従不良となった。スチレン系熱可塑性エラストマーの添加量が多すぎたため、弾性が強くなりすぎたことが原因と推測される。
【0062】以上の結果から明らかなように本発明の範囲となる実施例1〜4の非水系ボールペン用フォロワーは、本発明の範囲外となる比較例1〜7の非水系ボールペン用フォロワーに比べてチップ上向き逆転性、フォロワー/チューブ界面の経時変化、インキ追従性、透過減量、拡散性の点で非常に優れていることが判明した。また、温度25℃、周波数1Hzで応力10Paをかけて測定したときの貯蔵弾性率が100Paを越えたり、位相のズレが25°未満となるような「固いフォロワー」にした場合でも、フォロワーの追従不足や、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響が生じ難いフォロワーが得られることが判明した。
【0063】
【発明の効果】本発明により、チップ上向き逆転性、フォロワー/チューブ界面の経時変化、インキ追従性、透過減量、拡散性の点で非常に優れた非水系ボールペン用フォロワーを提供することが可能となった。特に、逆転現象において安全になるような「固いフォロワー」にした際にもフォロワーの追従不足や、フォロワーとチューブ壁面の固液界面にインキが入ってしまうような悪影響が生じ難いフォロワーが提供することができた。
【出願人】 【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東大井5丁目23番37号
【出願日】 平成14年2月22日(2002.2.22)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−237279(P2003−237279A)
【公開日】 平成15年8月27日(2003.8.27)
【出願番号】 特願2002−46139(P2002−46139)