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【発明の名称】 筆記具の軸筒
【発明者】 【氏名】澤 幸儀
【住所又は居所】群馬県藤岡市立石1091番地 三菱鉛筆株式会社群馬研究開発センター内

【氏名】深井 明
【住所又は居所】群馬県藤岡市立石1091番地 三菱鉛筆株式会社群馬研究開発センター内

【要約】 【課題】コストを削減し、デザイン自由度の制約を解消し、しかも、インク残量の視認を可能とし、かつグリップ部材の手感を向上させることのできる筆記具の軸筒を提供する。

【解決手段】プラスチックからなる透明の軸筒1と、軸筒1に一体成形される黒色のグリップ部材10と、軸筒1に挿入される透明のリフィール20とを備える。そして、軸筒1にグリップ部材10用の縮径取付部5を凹み形成し、グリップ部材10をゴム等の高分子により略円筒形に形成し、グリップ部材10に肉厚差を設けてその一部を厚肉部11とするとともに、残部を光透過性の薄肉部12とし、薄肉部12からリフィール20内の黒色のインク21の残量を把握可能とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 プラスチックからなる略透明の軸筒と、この軸筒に一体成形される半透明あるいは不透明のグリップ部材と、軸筒に挿入されるインク収容用のリフィールとを含んでなる筆記具の軸筒であって、軸筒にグリップ部材用の縮径取付部を形成し、グリップ部材を高分子により略筒形に形成し、このグリップ部材に肉厚差を設けてその一部を厚肉部とするとともに、残部を光透過性の薄肉部とし、この薄肉部からリフィールのインクの有無を視認可能としたことを特徴とする筆記具の軸筒。
【請求項2】 軸筒の縮径取付部の周面から凸部を突出させ、縮径取付部の周面からグリップ部材の外周面までをグリップ部材の厚肉部とし、縮径取付部の凸部からグリップ部材の外周面までをグリップ部材の薄肉部とした請求項1記載の筆記具の軸筒。
【請求項3】 軸筒の縮径取付部の周面に凹部を形成し、縮径取付部の周面からグリップ部材の外周面までをグリップ部材の薄肉部とし、縮径取付部の凹部からグリップ部材の外周面までをグリップ部材の厚肉部とした請求項1記載の筆記具の軸筒。
【請求項4】 グリップ部材の薄肉部を0.2〜0.8mmの範囲で形成した請求項1、2、又は3記載の筆記具の軸筒。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、滑り止め用のグリップ部材を備えた筆記具の軸筒の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の筆記具は、長時間の筆記に伴い、図示しない軸筒の握り部が滑ったり、あるいは指が痛くなるという弊害が生じるので、この弊害を解消すべく、軸筒の握り部に、ゴム等の軟質材料からなる筒形のグリップ部材が嵌合される。しかしながら、グリップ部材を単に嵌合する場合には、筆記具が事務業務に多用されている透明軸のボールペンであるときには、不都合を生じることとなる。すなわち、透明軸のボールペンは、インクの残量を視覚で容易に把握することができるという大きな利点があるが、グリップ部材を嵌合すると、係る利点を損なうという問題が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記問題を解決する方法として、グリップ部材を半透明あるいは透明にすることにより、インクの残量を視覚で把握できるようにするという方法がある。しかしながら、この方法によると、透明性の材料を使用せざるを得ないのでコスト高になったり、透明性の確保に伴いデザインの自由度が制約される。また、半透明の材料を使用するときには、肉厚を薄くせざるを得ないので、グリップ部材の手感が悪化するという問題がある。
【0004】また、上記問題を解決する別の方法として、特許第2681750号のように、透明な軸筒に突起を設け、グリップ部材から略浮島状に露出させることにより、軸筒のインク収容管内におけるインクの残量を視認できるようにするという方法もある。しかし、この方法によると、グリップ部材に軸筒の一部を略浮島状に露出させるので、手に露出部が当たると不快感を催すという問題がある。また、指に当たらない位置に浮島を設けると、インクの残量が終わりに近づいたときに把握することが実に困難である。
【0005】本発明は、上記に鑑みなされたもので、コストを削減し、デザイン自由度の制約を解消し、しかも、グリップ部材の手感を向上させることのできる筆記具の軸筒を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明においては、上記課題を達成するため、プラスチックからなる略透明の軸筒と、この軸筒に一体成形される半透明あるいは不透明のグリップ部材と、軸筒に挿入されるインク収容用のリフィールとを含んでなるものであって、軸筒にグリップ部材用の縮径取付部を形成し、グリップ部材を高分子により略筒形に形成し、このグリップ部材に肉厚差を設けてその一部を厚肉部とするとともに、残部を光透過性の薄肉部とし、この薄肉部からリフィールのインクの有無を視認可能としたことを特徴としている。
【0007】なお、軸筒の縮径取付部の周面から凸部を突出させ、縮径取付部の周面からグリップ部材の外周面までをグリップ部材の厚肉部とし、縮径取付部の凸部からグリップ部材の外周面までをグリップ部材の薄肉部とすることができる。また、軸筒の縮径取付部の周面に凹部を形成し、縮径取付部の周面からグリップ部材の外周面までをグリップ部材の薄肉部とし、縮径取付部の凹部からグリップ部材の外周面までをグリップ部材の厚肉部とすることもできる。さらに、グリップ部材の薄肉部を0.2〜0.8mmの範囲で形成することが好ましい。
【0008】ここで、特許請求の範囲における軸筒とグリップ部材とは、二色成形法により成形されるのが好ましい。軸筒の略透明には、透明と半透明とが含まれる。また、グリップ部材は、高分子、具体的には、各種のエラストマーやゴム等により成形され、着色の有無を問わない。リフィールのインクは、黒色でも良いし、白色、赤色、青色等でも良い。また、凹部と凸部とは単数複数いずれでも良い。さらに、薄肉部は、単なる孔でも良いし、各種の文字、模様、図形等からなるものでも良い。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における筆記具の軸筒は、図1ないし図5に示すように、所定のプラスチック(例えば、ABS樹脂やアクリル樹脂等)からなる透明の軸筒1と、この軸筒1に成形される不透明で黒色のグリップ部材10と、軸筒1内に着脱自在に挿入される透明のリフィール20とを備えている。
【0010】軸筒1は、図1や図2に示すように、略中空円錐台形のキャップ2と、このキャップ2の開口末端部に着脱自在に螺合挿着される中空の本体軸3とを備える。キャップ2は、図2に示すように、尖った先端部にリフィール20復帰用のコイル形のスプリング4が嵌入される。また、本体軸3は、開口先端部側の外周壁にグリップ部材10用の縮径取付部5が半径内方向に凹み成形され、この縮径取付部5から複数の凸部6が軸方向に並んで突出する(図2、図3参照)。本体軸3の開口末端部側には図1に示すように、ポケットクリップ7が嵌着されるとともに、リフィール20の押圧操作用のプッシュボタン8が進退動可能に嵌入される。
【0011】グリップ部材10は、図1や図2に示すように、例えば非付着性、耐老化性、弾性回復力に優れた熱可塑性エラストマー等により略円筒形に成形され、軸筒1の縮径取付部5に二色成形法で被覆一体化される。このグリップ部材10は、肉厚差が設けられてその一部が厚肉部11とされるとともに、残部が光透過性の薄肉部12とされ、この薄肉部12からリフィール20内のインク21の残量が把握できるようになっている。
【0012】具体的には、グリップ部材10は、図2や図3に示すように、縮径取付部5の周面から外周面までが厚肉部11とされ、縮径取付部5の各凸部6から外周面までがある程度の光線を透過させる薄肉部12とされる。このグリップ部材10の厚肉部11は1mm以上、薄肉部12は0.2〜0.8mm、好ましくは0.5mm以上にすると良い。薄肉部12を0.2〜0.8mmの範囲とするのは、0.2mm未満の場合には、指が痛くなったり、強度の低下を招き、逆に0.8mmを超える場合には、光透過性が悪化するからである。薄肉部12は、図1に示す楕円の孔でも良いし、図5に示す複数の文字等からなるものでも良い。
【0013】リフィール20は、図1に示すように、黒色のインク21が充填され、キャップ2から突出する先端部のペン先が軸筒1のスプリング4に嵌入されており、封止された末端部が軸筒1のプッシュボタン8に対向される。
【0014】上記構成において、筆記具を使用して長時間筆記する場合、軸筒1の握り部に軟質材料からなる円筒形のグリップ部材10が一体成形されているので、軸筒1の握り部が滑ったり、指の痛くなることがない。また、インク21が残存する場合には、グリップ部材10全体が黒く見える(図4参照)が、インク21を消費し、インク21の境界線がグリップ部材10の薄肉部12を通過する場合、薄肉部12がある程度光を透過するので、当該部分が浮き上がって視認されることとなる(図5参照)。
【0015】上記構成によれば、透明性の材料を必ずしも使用する必要がないので、コスト高になったり、透明性の確保に伴いデザインの自由度(形状・色)が制約されるという大きな問題をきわめて有効に解消することができる。また、グリップ部材10の肉厚を部分的に薄くするだけなので、筆記時にグリップ部材10の手感が悪化することがない。また、グリップ部材10に軸筒1の一部を略浮島状に露出させる全く必要がないので、筆記時に不快感を催すことがなく、インク21の残量が終わりに近づいても簡単に把握することができる。さらに、薄肉部12を複数の文字やシンボル等に形成すれば、ディスプレイ性を大幅に向上させることが可能になる。
【0016】次に、図6は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、軸筒1の縮径取付部5の周面に、複数の凹部9を軸方向に並べて凹み成形し、縮径取付部5の周面からグリップ部材10の外周面までをグリップ部材10の薄肉部12とし、縮径取付部5の各凹部9からグリップ部材10の外周面までをグリップ部材10の厚肉部11とするようにしている。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、軸筒1の縮径取付部5の周面に、複数の凸部6を軸方向に並べて成形することができない場合に有意義なのは明らかである。
【0017】なお、上記実施形態ではグリップ部材10とインク21とをそれぞれ黒色としたが、なんらこれに限定されるものではない。例えば、グリップ部材10を黒色として肉厚を調整するとともに、インク21を白色とすれば、インク21の残存時に薄肉部12が浮かび上がり、インク21の消費時には見えなくすることができる。
【0018】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、コストを低減し、デザインの自由度の制約を有効に解消し、しかも、グリップ部材の手感を向上させることができるという効果がある。
【出願人】 【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東大井5丁目23番37号
【出願日】 平成13年12月17日(2001.12.17)
【代理人】 【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介 (外2名)
【公開番号】 特開2003−182281(P2003−182281A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−383409(P2001−383409)