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【発明の名称】 水性ボールペン用インキ追従体
【発明者】 【氏名】竹内 容治
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区入江二丁目5番12号 三菱鉛筆株式会社横浜研究開発センター内

【氏名】宮本 勝
【住所又は居所】神奈川県横浜市神奈川区入江二丁目5番12号 三菱鉛筆株式会社横浜研究開発センター内

【要約】 【課題】ペン体仕様や、筆記流量、筆記速度によらず安定した追従性を有し、筆記途中でのインキ追従体不足で起因するインキの逆流や、ペン体に加えられた衝撃によってもインキが飛散せず、高温下でのペン体保管においてもインキ収容管からのインキ流出が発生しない水性ボールペン用インキ追従体を提供する。

【解決手段】インキ収容管を有する水性ボールペンに用いる水性ボールペン用インキ追従体6において、該インキ追従体6はインキ収容管と略同径である吸蔵体又は多孔質体に、少なくとも非水溶性有機溶剤が含浸されていることを特徴とする水性ボールペン用インキ追従体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 インキ収容管を有する水性ボールペンに用いる水性ボールペン用インキ追従体において、該インキ追従体はインキ収容管と略同径である吸蔵体又は多孔質体に、少なくとも非水溶性有機溶剤が含浸されていることを特徴とする水性ボールペン用インキ追従体。
【請求項2】 非水溶性有機溶剤の温度25℃、剪断速度1〜400sec-1における粘度が15Pa・sec以下である請求項1記載の水性ボールペン用インキ追従体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性ボールペンのインキ収容管内のインキ尾端部に具備する水性ボールペン用インキ追従体に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、水性ボールペンのインキ粘度は、類似の形態をもつ油性ボールペンの粘度が3Pa・sec〜20Pa・secであるのに対して、50mPa・sec〜3Pa・secと低いため、ペン先を上向き又は横向きに放置した場合には、インキ収納管の尾端側からインキが漏出してしまうものである。また、軽度な衝撃でもインキが飛散し、手や服を汚してしまう恐れがある。そのため、水性ボールペンにあっては、上記インキの漏出又は飛散を防止すべく、通常、インキ収容管のインキ尾端部側にインキ追従体が具備されている。
【0003】これまでの水性ボールペン用インキ追従体としては、例えば、特許第3016749号公報には、基油にシリカ、金属石鹸、粘土増粘剤、熱可塑性エラストマーなどの粘度調整剤を配合し、増粘させたインキ追従体が開示されており、また、特開平7−61187号公報には、粘性応答をもつ疎水性増粘剤を配合したゲル状物と比重0.80〜1.10の値をもつ固形物を併用したインキ追従体が開示されている。
【0004】しかしながら、このような上記各公報に開示されるインキ追従体を用いて、特に、インキ消費量の多い(太字などの)水性ボールペンなどで使用すると、筆記途中でインキ追従難による筆記描線カスレを誘発させたり、インキ消費時にインキ追従体の一部がインキ収容管内壁に付着残留し、結局筆記途中でインキ追従体不足に陥り、インキが逆流したり、また、インキ追従体不足の影響により筆記流量が不安定になるなどの課題がある。また、太字以外の仕様であっても、筆記速度を高めたりすると、同様の課題が生じている。
【0005】このような課題は、インキ消費速度よりもインキ追従体の追従速度が遅いことが起因していると考えられる。追従速度は、インキ追従体の粘度に大きく依存しており、粘度値が高いインキ追従体ほど追従速度が遅く、インキ消費に伴う弊害が大きいものとなる。また、これらを改善するために、粘度値を低めに設計されたインキ追従体については、ペン体に衝撃を加えた際に追従体、及びインキが飛散したり、ペン体を高温下でペン先を上向きにして保存すると、インキ追従体がインキ収容菅から流出してしまうなどの課題を生じさせてしまうものである。そのため、追従性能と加衝撃時性能の両者をインキ追従体の物性により調整するのは非常に困難であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、ペン体仕様や、筆記流量、筆記速度によらず安定した追従性を有し、筆記途中でのインキ追従体不足で起因するインキの逆流や、ペン体に加えられた衝撃によってもインキ追従体が飛散せず、高温下でのペン体保管においてもインキ収容管からのインキ流出が発生しない水性ボールペン用インキ追従体を提供することを目的とするものである。また、当然のこととして、インキと外気を遮断してインキ揮発を防止すること(挿発防止性)、上向き筆記時にインキの漏出がない水性ボールペン用インキ追従体を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来の課題等について鋭意検討した結果、インキ収容管を有する水性ボールペンに用いる水性ボールペン用インキ追従体において、特定構成のインキ追従体を用いることで、目的の水性ボールペン用インキ追従体が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)に存する。
(1) インキ収容管を有する水性ボールペンに用いる水性ボールペン用インキ追従体において、該インキ追従体はインキ収容管と略同径である吸蔵体又は多孔質体に、少なくとも非水溶性有機溶剤が含浸されていることを特徴とする水性ボールペン用インキ追従体。
(2) 非水溶性有機溶剤の温度25℃、剪断速度1〜400sec-1における粘度が15Pa・sec以下である請求項1記載の水性ボールペン用インキ追従体。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。本発明のインキ追従体は、インキ収容管を有する水性ボールペンに用いる水性ボールペン用インキ追従体において、該インキ追従体はインキ収容管と略同径である吸蔵体又は多孔質体に、少なくとも非水溶性有機溶剤が含浸されていることを特徴とするものである。
【0009】本発明における吸蔵体、または多孔質体は、基本的に非水溶性有機溶剤を毛細管力及び非水溶性有機溶剤の粘度により保持できる機能を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、繊維束から構成される吸蔵体、軟質樹脂フォームから構成される多孔質体、フェルト材などが挙げられる。これら吸蔵体又は多孔質体(以下、単に「吸蔵体」という)の材質としては、例えば、ポリアセタール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、セルロース、アクリル、ナイロンあるいはポリエステルなどの合成樹脂、または、綿、羊毛、兎毛等の動植物繊維などが挙げられる。
【0010】また、材質種により、吸蔵体が非水溶性有機溶剤に濡れにくい場合があるが、その際は、吸蔵体に表面改質などの処理を施すことにより使用可能となる。更に、吸蔵体の寸法は、インキ収容管内径に近いもの、例えば、インキ収容管内径がXmmであれば、X±0.1Xmmとなるものが好ましく、例えば、内径4.2mmの円筒状インキ収容菅においては、3.8mm〜4.6mm(4.2±0.4mm)程度の径の円柱体などが好ましい。
【0011】本発明に用いる吸蔵体の寸法が、インキ収容管より小さすぎると(上記例では内径がX−0.1Xmm未満であると)、ペン体に衝撃を加えた際に追従体、及びインキが飛散しやすくなり、また、ベン体を高温下でペン先を上向きにして保存すると、インキ追従体がインキ収容管から流出してしまうなどの問題を生じさせてしまうこととなる。また、吸蔵体の寸法がインキ収容管より大きすぎると(上記例では内径がX+0.1Xmm超過であると)、インキ追従体とインキ収容管内壁との摩擦抵抗が大きくなるため、インキ消費時における追従性が低下し、筆記途中での描線カスレを誘発させる可能性が大きい。また、2倍速度以上の筆記においても同様のカスレが発生してしまうこととなる。
【0012】また、非水溶性有機溶剤を含浸させた後、膨潤により寸法変化する吸蔵体については、膨潤後の寸法がインキ収容管内径に近づくものを使用した方が好ましい。吸蔵体の形状については、インキ収容管断面とほぼ同形状のものを使用した方が好ましい。例えば、円筒状のインキ収容管であれば、円柱状、球状などのものを使用した方が好ましい。
【0013】本発明に用いる吸蔵体の気孔率は、55%〜95%であることが好ましく、更に好ましくは、70〜90%となるものが望ましい。この吸蔵体の気孔率が55%未満であると、毛細管力による非水溶性有機溶剤の保持が困難となる場合があり、また、気孔率が95%を越えると、使用する非有機溶剤によっては、含浸が困難となる場合があり、好ましくない。なお、本発明(実施例等を含む)における気孔率は、下記式に基づいて算出した値である。
P=〔1−(W/d)×(1/V)〕×100P:気孔率(%)
W:吸蔵体の重量(g)
d:吸蔵体の比重(g/cm3
V:吸蔵体の体積(cm3
【0014】本発明に用いる非水溶性有機溶剤は、水に不溶もしくは難溶である性質を有するものであれば基本的に全てが使用可能である。具体的な非水溶性溶剤としては、シリコーンオイル、ポリブテン、鉱油、その他常温で液状を呈する脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの非水溶性有機溶剤は、1種若しくは2種以上を混合して用いることができる。本発明において、追従体に用いる非水溶性有機溶剤の性質として、高い追従応答性を得るために求められる最も重要な要素は、その粘度値である。非水溶性有機溶剤は、ほぼニュートニアン粘性(剪断速度にかかわらず粘度が一定)を示すため、測定は1〜400sec-1の範囲であれば、どの剪断速度下で測定してもよいが、25℃における粘度が15Pa・sec以下、更に好ましくは、10Pa・sec以下、更に好ましくは、5Pa・sec以下のものを用いることが望ましい。この粘度が15pa・secを越えた非水溶性有機溶剤を含むインキ追従体では、インキ追従体とインキ収容管内壁との摩擦抵抗が大きくなるため、インキ消費時における追従性が低下し、筆記途中での描線カスレを誘発させる可能性が大きく、また、2倍速度以上の筆記においても同様のカスレが発生してしまうため、好ましくない。
【0015】また、必要に応じて非水溶性有機溶剤を粘度調整するための粘度調整剤も使用することができる。粘度調整剤としては、例えば、シリカ、金属石鹸、粘土増粘剤、熱可塑性エラストマーなどが挙げられる。その他必要に応じて、界面活性剤、酸化防止剤なども配合することができる。
【0016】本発明において、吸蔵体に非水溶性有機溶剤を含浸させる方法としては、基本的に非水溶性有機溶剤中に吸蔵体を投入し、自然に含浸させる方法が最も簡易的であるが、吸蔵体の気孔率、非水溶性有機溶剤の粘度などにより含浸に時間がかかる場合は、必要に応じて撹拌、減圧、加熱、加圧、遠心などの各処理により含浸時間を短縮させることが可能である。
【0017】本発明のインキ追従体を用いる水性ボールペンとしては、インキ収容管を有する水性ボールペンであれば、特に限定されず、例えば、図1に示す水性ボールペンが挙げられる。この図1に示す水性ボールペンは、ボール、チップホルダーからなるペン先1を有し、該ペン先1は継手部材2により本体軸部3に固着され、該本体軸部3内には水性インキ4が充填されたインキ収容管5が装着されている。このインキ収容管5の尾端側には本発明のインキ追従体6が装入され、本体軸部3の後端部に尾栓7が固着される構成となっている。
【0018】このように構成される本発明の水性ボールペン用インキ追従体では、追従性能と加衝撃時性能の両性能を満足するものとなる。すなわち、本発明のインキ追従体では、繊維束などの吸蔵体とインキ収容管の間に介在する非水溶性有機溶剤が両者の摩擦抵抗を低下させるため、インキ消費に伴う追従難のような不具合は発生しないこととなる。用いる非水溶性有機溶剤は、それ自身の粘度が従来の追従体に較べて低いため、追従応答性が極めて高く、どの様な条件においても安定に筆記できる。一方で、ぺン体に衝撃を加えた際には、繊維束などの吸蔵体の毛細管力により、非水溶性有機溶剤を保持する性能を有するため、衝撃による耐性を発揮し、追従体及びインキが飛散、また、ベン体を高温下でペン先を上向きにして保存した際の、インキ追従体の流出を防止できることとなる。従って、本発明のインキ追従体は、ペン体仕様や、筆記流量、筆記速度によらず安定した追従性を有し、筆記途中でのインキ追従体不足で起因するインキの逆流や、ペン体に加えられた衝撃によってもインキ追従体が飛散せず、高温下でのペン体保管においてもインキ収容管からのインキ流出が発生しない水性ボールペン用インキ追従体が得られると共に、インキと外気を遮断してインキ揮発を防止すること(挿発防止性)、上向き筆記時にインキの漏出がないものとなる。
【0019】
【実施例】次に、実施例及び比較例により、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、下記実施例によって何等限定されるものではない。
【0020】〔実施例1〜4及び比較例1〜4〕下記に記載の各吸蔵体、非水溶性有機溶剤、界面活性剤、粘度調整剤等を用いて下記方法により各インキ追従体を作製した。なお、非水溶性有機溶剤の粘度は、E型粘度計(トキメック社製)により温度25℃、剪断速度10sec-1における粘度を測定し、インキ粘度は、E型粘度計により25℃、剪断速度384sec-1における粘度を測定した。
【0021】
(実施例1:インキ追従体1)
吸蔵体:ポリウレタン繊維束 (φ4.2mm×15mmの円柱型、気孔率93%)
非水溶性有機溶剤:ダイナプロセスオイルMC−W90(出光興産社製)
25℃粘度:約0.2Pa・sec上記吸蔵体を非水溶性有機溶剤に投入し、約1kPaで20分間減圧含浸処理を行い、インキ追従体1を得た。
【0022】
(実施例2:インキ追従体2)
吸蔵体:ポリエステル繊維束 (φ3.9mm×10mmの円柱型、気孔率75%)
非水溶性有機溶剤:ニッサンポリブテン015N(日本油脂社製)
25℃粘度:1.9Pa・sec 界面活性剤:シリコーン系界面活性剤KF6015(信越化学工業社)
上記吸蔵体を非水溶性有機溶剤(99.5重量部)+界面活性剤(0.5重量部)を混合した混合物に投入し、約1kPaで20分間減圧含浸処理を行い、インキ追従体2を得た。
【0023】
(実施例3:インキ追従体3)
吸蔵体:軟質ポリウレタンフォーム (φ4.0mm×10mmの円柱型、気孔率80%)
非水溶性有機溶剤:ダイナプロセスオイルMC−W90(出光興産社製)
(25℃粘度:約0.2Pa・sec)
上記吸蔵体を非水溶性有機溶剤に投入し、2時間自然放置により含浸処理を行い、インキ追従体3を得た。
【0024】
(実施例4:インキ追従体4)
吸蔵体:軟質ポリウレタンフォーム (φ4.0mm×10mmの円柱型、気孔率80%)
非水溶性有機溶剤:エチレンとα−オレフィンのオリゴマー 〔ルーカントHC−100(三井化学社製)〕
(25℃粘度:約25Pa・sec)
上記吸蔵体を非水溶性有機溶剤に投入し、約1kPaで20分間減圧含浸処理を行い、インキ追従体4を得た。
【0025】(比較例1:インキ追従体5)
非水溶性有機溶剤:ダイナプロセスオイルMC−W90(出光興産社製)93重量部粘度調整剤:アエロジルR−972(日本アエロジル社)6.5重畳部界面活性剤:シリコーン系界面活性剤 KF6015(信越化学工業社製)0.5重量部以上の配合物を三本ロールミルで混練し、インキ追従体5を得た。
【0026】(比較例2:インキ追従体6)
非水溶性有機溶剤:ニッサンポリブテン 3N(日本油脂社製)97重量部粘度調整剤:ジメチルジオクタデシルアンモニウムベントナイトBenton34(ウィルバーエリス社製) 3重畳部以上の配合物を三本ロールミルで混練し、インキ追従体6を得た。
【0027】(比較例3:インキ追従体7)
非水溶性有機溶剤:ポリブテンHV−15(日本石油化学社製)97重量部粘度調整剤:アエロジルR−974D(日本アエロジル社)3重畳部以上の配合物を三本ロールミルで混練し、インキ追従体7を得た。
【0028】(比較例4:インキ追従体8)
非水溶性有機溶剤:エチレンとα−オレフィンのオリゴマー〔ルーカントHC−100(三井化学社製)〕
(25℃粘度:約25Pa・sec) 93重量部粘度調整剤:アエロジルR−974D(日本アエロジル社)7重畳部以上の配合物を三本ロールミルで混練し、インキ追従体8を得た。
【0029】上記で得た実施例1〜4及び比較例1〜4の各追従体0.1gを下記構成の黒インキ水性ボールペン(三菱鉛筆社製、uni−ball Signo)のインキ収容管インキ尾端側に図1に示す態様で充填した。
インキ収容管:形状:円筒状、内径4.0mm、ポリプロピレン製、長さ115mm インキ組成:(全量100重量%)
染料 :ウォーターブラックR455 7.0重量% (オリエント化学工業社製 商品名)
染料 :ウォーターイエロー6C 1.0重量% (オリエント化学工業社製 商品名)
液体媒体 :プロピレングリコール 20.0重量% 粘度調整剤:キサンタンガム KELZAN HP 0.3重量% (三晶社製 商品名)
界面活性剤:オレイン酸カリウム 0.5重量% 防腐剤 :ナトリウムオマジン 0.1重量% 防錆剤 :ベンゾトリアゾール 0.1重量% イオン交換水 残 部インキ粘度:30mPa・sec(384sec-1、25℃)
ボール径:1.0mm、ボール材質:超硬【0030】得られた各水性ボールペンについて、下記各評価方法により(1)速書筆記追従性、(2)落下衝撃耐性、(3)チューブへの付着、(4)インキ追従体の逆転、(5)インキ流出安定性及び(6)油分離・逆流性について評価した。これらの結果を下記表1に示す。
【0031】(1) 速書筆記追従性の評価方法各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、フリーハンドで2倍速と通常速度でそれぞれ筆記し、各筆記描線を下記評価基準で評価した。
評価基準:○:スムースに安定して筆記できる。
△:2倍速筆記で線切れが起きる。
×:通常に筆記してもインキが追従せず線切れが起こる。
【0032】(2) 落下衝撃によるインキ追従体の飛散性の評価方法各ペン体をペン先を上向きにし、1.5m上空から厚さ2cmの杉板上へ1回落下させ、落下後のペン体を目視で観察し、インキ追従体のインキ収容管外への飛散の度合いを下記評価基準で評価した。
評価基準:〇:インキ追従体の飛散がなく、インキとインキ追従体の界面も鮮明である。
△:インキ追従体の飛散はみられないが、インキとインキ追従体の界面がぺン体落下前と比べてやや乱れている。
×:明らかにインキ追従体の飛散が認められ、インキがチューブ外へ逆流している。
【0033】(3) インキ消費時におけるインキ追従体のチューブへの付着性の評価方法各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、筆記試験機にて下記条件で終筆まで「らせん筆記」し、筆記後のリフィールチューブを目視で観察し、インキ追従体のチューブ内壁への付着性を下記評価基準で評価した。
評価基準:○:インキ追従体のチューブ内壁への付着がほとんど認められない。
〇´:インキ追従体のチューブ内壁への付着がわずかにみられる。
△:インキ追従体のチューブ内壁への付着が明らかに認められる。
×:インキ追従体がチューブ内壁へ全て付着してしまい、筆記途中でインキ追従体不足に陥った。
【0034】(4) インキ追従体の逆転の評価方法各ペン体を50℃湿度65%の条件でペン先(キャップ側)を上向きにして一ケ月間放置し、取り出し後、リフィールを目視で観察し、インキ追従体がペン先側へ移動したかどうか(インキ追従体の逆転があるか否か)を下記評価基準で評価した。
評価基準:○:インキ追従体の逆転が認められない。
×:インキ追従体の逆転が認められる。
【0035】(5) インキ流出安定性の評価方法各ペン体をISO規格に準拠した筆記用紙に、筆記拭験機にて下記条件で終筆まで「らせん筆記」し、100mごとの筆記流量の推移と描線状態を下記の基準で評価した。
筆記条件:筆記速度;4.5m/分、筆記角度;60°、筆記荷重:100g評価基準:O:流量が安定しており、終筆までカスレや濃度ムラが発生しない。
○´:流量が僅かにバラツいているが、終筆までカスレや濃度ムラは発生しない。
△:流量に多少乱れが生じ、わずかにカスレや濃度ムラがみられる。
×:流量に大きなバラツキがみられ、明らかなカスレや濃度ムラが認められる。
【0036】(6) インキ追従体の油分離及び逆流性各ペン体を50℃、湿度65%の条件でペン先(キャップ側)を上向きにして一ケ月間放置し、取り出し後、リフィールを目視で観察し、インキ追従体の油のインキ中への混入、及びリフィール外への油の漏れだしの有無を下記評価基準で評価した。
評価基準:○:油のインキ中への混入、あるいはリフィール外への漏れだしが認められない。
×:油のインキ中への混入、あるいはリフィール外への漏れだしが認められる。
【0037】
【表1】

【0038】上記表1の結果から明らかなように、本発明の範囲となる実施例1〜4は、本発明の範囲外となる比較例1〜4に較べて、全ての性能を満足することができる優れたものであることが判明した。すなわち、実施例1〜4のインキ追従体は、■速書筆記追従性において、スムースに安定して筆記でき、■落下衝撃によってもインキ追従体の飛散がなく、インキとインキ追従体の界面も鮮明であり、■インキ消費時におけるインキ追従体のチューブ(インキ収容管)内壁への付着がほとんど認められず、■インキ追従体の逆転が認められず、■流量が安定しており、終筆までカスレや濃度ムラが発生せず、■油のインキ中への混入、あるいはリフィール外への漏れだしも認められない優れた性能を有するものであった。
【0039】
【発明の効果】本発明によれば、ペン体仕様や、筆記流量、筆記速度によらず安定した追従性を有し、筆記途中でのインキ追従体不足で起因するインキの逆流や、ペン体に加えられた衝撃によってもインキ追従体が飛散せず、高温下でのペン体保管においてもインキ収容管からのインキ流出が発生しない水性ボールペン用インキ追従体が提供される。
【出願人】 【識別番号】000005957
【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東大井5丁目23番37号
【出願日】 平成13年11月9日(2001.11.9)
【代理人】 【識別番号】100112335
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 英介 (外2名)
【公開番号】 特開2003−145986(P2003−145986A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−344948(P2001−344948)