| 【発明の名称】 |
筆記具用インキ貯蔵体 |
| 【発明者】 |
【氏名】切田 和久 【住所又は居所】群馬県藤岡市立石1091番地 三菱鉛筆株式会社群馬研究開発センター内
【氏名】神谷 俊史 【住所又は居所】群馬県藤岡市立石1091番地 三菱鉛筆株式会社群馬研究開発センター内
【氏名】小山 隆雄 【住所又は居所】群馬県藤岡市立石1091番地 三菱鉛筆株式会社群馬研究開発センター内
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| 【要約】 |
【課題】インキ貯蔵壁が比較的薄く、透明性に優れた樹脂材が使用されても、湿気等の高い環境下でのガスバリアー性が低下せず、インキ貯蔵体内の加圧空気などの脱放やチップ部材等の脱抜等を起こすことのないボールペンリフィール等の筆記具用インキ貯蔵体を提供すること。
【解決手段】ガスバリアー性樹脂にて成形された筆記具用インキ貯蔵体であって、該筆記具用インキ貯蔵体には、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度(P1)が0.5g/m2・atm・24hr/25μm以下となる水蒸気難透過性の被覆層が形成されていることを特徴とする筆記具用インキ貯蔵体。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ガスバリアー性樹脂にて成形された筆記具用インキ貯蔵体であって、該筆記具用インキ貯蔵体には、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度(P1)が0.5g/m2・atm・24hr/25μm以下となる水蒸気難透過性の被覆層が形成されていることを特徴とする筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項2】 ガスバリアー性樹脂の25℃、50%RHにおける酸素透過度が100cc/m2・atm・24hr/25μm以下である請求項1に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項3】 ガスバリアー性樹脂の40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が10g/m2・atm・24hr/25μm以上である請求項1又は2に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項4】 ガスバリアー性樹脂がポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、セルロース樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート及びポリスチレンの中から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項5】 水蒸気難透過性の被覆層の膜厚が0.1μm〜1000μmである請求項1〜4の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項6】 水蒸気難透過性の被覆層がポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、塩化ビニリデンとメチルメタクリレートとの共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリテトラフロロエチレン、ポリ3フッ化エチレンから選ばれる少なくとも1種から形成される請求項1〜5の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項7】 水蒸気難透過性の被覆層が平均分子量300〜3000のワックス類により形成される請求項1〜5の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項8】 ワックス類がパラフィン系ワックス、微晶ワックス、ぺトロラクタム、長鎖のアルキル基を有する脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項9】 水蒸気難透過性の被覆層がワックス類に対して1〜30重量%の樹脂を含有してなる請求項7又は8に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項10】 樹脂がポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルの中から選ばれる少なくとも1種である請求項9に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項11】 樹脂がガラス転移温度10℃以上の樹脂である請求項9又は10に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項12】 筆記具用インキ貯蔵体には、油性インキが収容され、一端が封止されると共に他端が該インキの排出口となるキャップ状或いは管状の筒体からなり、該筒体内に上記油性インキの他に一部に気体が加圧状態で収容され、上記筒体はガスバリアー性樹脂壁からなると共に、上記筒体外壁に水蒸気難透過性の被覆層が形成されている請求項1〜11の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項13】 上記筒体の樹脂壁の厚みが0.5〜1.5mmの範囲にある請求項12に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 【請求項14】 請求項12又は13に記載の筆記具用インキ貯蔵体と、該インキ貯蔵体の排出口に取り付けられるボールペンチップとからなることを特徴とするボールペンリフィール。 【請求項15】 上記チップ取り付け端側のインキ貯蔵体内にインキが充填され、上記封止端側のインキ貯蔵体内に気体が加圧状態で充填され、上記筒体外壁の被覆層が上記チップ外壁の一部を覆って形成されている請求項14に記載のボールペンリフィール。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ガスバリアー性樹脂にて成形された筆記具用インキ貯蔵体に関し、更に詳しくは、直液式筆記具等に好適なガスバリアー性、耐吸湿性に優れた筆記具用インキ貯蔵体や、インキ貯蔵体の一部に気体を加圧して充填し、内部を加圧化してインキをスムースにボールペンチップ方向に押し出すようにした、いわゆる加圧式のボールペンリフィールなどに好適な筆記具用インキ貯蔵体に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に、ガスバリアー性樹脂にて成形された筆記具用インキ貯蔵体は、保香やインキの揮発を抑える目的で芳香性インキや揮発性インキを充填した筆記具に使用されている。 【0003】この筆記具用インキ貯蔵体に用いられているガスバリアー性樹脂は、その分子内に親水基を有するものが多く、親水性樹脂であるため空気中の水蒸気及びインキ中の水分の揮発により吸湿が起こり、その結果、ガスバリアー性及び機械強度が低下するという課題がある。特に、ガスバリアー性は、吸湿に伴い指数関数的に低下することが知られている。そのため、親水性のガスバリアー性樹脂を筆記具用部材に用いるときは、その外側をポリプロピレン(PP)等の疎水性樹脂で被覆し空気中の水蒸気を遮断する必要がある。 【0004】しかしながら、筆記具の軸体やインキ貯蔵体の外側に更に成形軸部材を追加することは軸径が太くなることとなり、使用感や携帯性が低下するという課題がある。 【0005】一方、従来からインキ貯蔵体からなるボールペンリフィールには、種々の構造のものが提案されている。例えば、インキ貯蔵管と、このインキ貯蔵管の一方側に固定したボールペンチップを備え、かつ、反チップ側が尾栓などにより密閉されており、インキ貯蔵管のチップ側にはインキが充填され、インキ貯蔵管の反チップ側にはガスが加圧化して充填され、このガスの加圧により、インキをチップ方向に押し出すようにしたいわゆる加圧式のボールペンリフィールが提供されている。 【0006】このような加圧式のボールペンリフィールでは、インキは陽圧状態により常にチップ方向に押し出されるような力を受けるため、チップを上向きにした状態でも筆記が可能である。そのため、加圧式のボールペンリフィールでは、非加圧式でインキ貯蔵管の反チップ側が解放されているボールペンリフィールで発生する上向き筆記時のインキ逆流が発生することがなく、例えば、壁に貼り付けた紙面への書き込みや、クリップボードを手に持って筆記する際のチップ上向き筆記に好適である。 【0007】上述したような加圧式のボールペンリフィールでは、長期間加圧力を維持するために、非ガス透過性壁を有する金属製インキ貯蔵管を用いたり、樹脂製インキ貯蔵管では管の厚さを厚くしてガスの透過による加圧力低下を防止する工夫がなされている。しかし、金属製インキ貯蔵管では、インキ貯蔵管内部が見えないため、インキ残量を確認することができず、また、高価であるという欠点がある。また、樹脂製インキ貯蔵管では、安価で望みの形状のインキ貯蔵管を得やすい利点はあるが、加圧式ボールペンリフィールに使用可能になるまでガスバリアー性を向上するためには、管の厚さを厚くする必要があるため、材質によってはインキ残量を確認しにくく、また、部材の設計上の自由度が低く、また、成形後のひけ、曲がりなどがでやすいという課題がある。 【0008】また、樹脂製インキ貯蔵管の素材として、エチレン・ビニルアルコールコポリマーからなる樹脂、例えば、エチレン・ビニルアルコールコポリマー、該コポリマーとポリオレフィン等の他の樹脂とのアロイ、または、ブレンド、または、コンポジットからなる難ガスバリアー性樹脂組成物を素材とすることにより、前記樹脂製インキ貯蔵管の厚さをある程度薄くすることができる。しかしながら、これらのエチレン・ビニルアルコールコポリマーを組成物とする樹脂壁は、乾燥雰囲気下において良好にガス透過を抑制することができるが、加湿雰囲気下等の環境化にすると、樹脂が空気中の水蒸気で膨潤し、ガスバリアーが低下し、かつ、寸法変化が起こるため、常に加圧力を受けているチップが抜けやすくなったり、インキが漏れ出しやすいという課題がある。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするのものであり、ガスバリアー性樹脂で成形された筆記具用軸材において軸径を太くすることなくガスバリアー性樹脂の吸湿を防ぐことができ、また、インキ貯蔵壁が比較的薄く、透明性に優れた樹脂材が使用されても、湿気等の高い環境下でのガスバリアー性が低下せず、インキ貯蔵体内の加圧空気などの脱放やチップ部材等の脱抜等を起こすことのないボールペンリフィール等の筆記具用インキ貯蔵体を提供することを目的とするものである。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来技術等について鋭意検討した結果、ガスバリアー性樹脂にて成形された筆記具用インキ貯蔵体であって、該筆記具用インキ貯蔵体に特定物性の水蒸気難透過性の被覆層を形成することにより、上記目的の筆記具用インキ貯蔵体が得られることを見い出し、また、ガスバリアー性樹脂組成物をインキ貯蔵体の容器素材とする一方、該貯留体の外壁に特定物性の水蒸気難透過性の被覆層を形成することで、その貯蔵壁が透明で比較的薄く形成されていても、また該貯蔵内のガスがどのような環境下にあってもその壁を介しては容易に放出されないこと、及び貯蔵壁が高湿下において寸法変化を起こさない加圧式のボールペンリフィールなどに好適な筆記具用インキ貯蔵体が得られることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。 【0011】すなわち、本発明は、次の(1)〜(15)に存する。 (1) ガスバリアー性樹脂にて成形された筆記具用インキ貯蔵体であって、該筆記具用インキ貯蔵体には、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度(P1)が0.5g/m2・atm・24hr/25μm以下となる水蒸気難透過性の被覆層が形成されていることを特徴とする筆記具用インキ貯蔵体。 (2) ガスバリアー性樹脂の25℃、50%RHにおける酸素透過度が100cc/m2・atm・24hr/25μm以下である上記(1)に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (3) ガスバリアー性樹脂の40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が10g/m2・atm・24hr/25μm以上である上記(1)又は(2)に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (4) ガスバリアー性樹脂がポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、セルロース樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート及びポリスチレンの中から選ばれる少なくとも1種である上記(1)〜(3)の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (5) 水蒸気難透過性の被覆層の膜厚が0.1μm〜1000μmである上記(1)〜(4)の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (6) 水蒸気難透過性の被覆層がポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、塩化ビニリデンとメチルメタクリレートとの共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリテトラフロロエチレン、ポリ3フッ化エチレンから選ばれる少なくとも1種から形成される上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (7) 水蒸気難透過性の被覆層が平均分子量300〜3000のワックス類により形成される上記(1)〜(5)の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (8) ワックス類がパラフィン系ワックス、微晶ワックス、ぺトロラクタム、長鎖のアルキル基を有する脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩から選ばれる少なくとも1種である上記(7)に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (9) 水蒸気難透過性の被覆層がワックス類に対して1〜30重量%の樹脂を含有してなる上記(7)又は(8)に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (10) 樹脂がポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルの中から選ばれる少なくとも1種である上記(9)に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (11) 樹脂がガラス転移温度10℃以上の樹脂である上記(9)又は(10)に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (12) 筆記具用インキ貯蔵体には、油性インキが収容され、一端が封止されると共に他端が該インキの排出口となるキャップ状或いは管状の筒体からなり、該筒体内に上記油性インキの他に一部に気体が加圧状態で収容され、上記筒体はガスバリアー性樹脂壁からなると共に、上記筒体外壁に水蒸気難透過性の被覆層が形成されている上記(1)〜(11)の何れか一つに記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (13) 上記筒体の樹脂壁の厚みが0.5〜1.5mmの範囲にある上記(12)に記載の筆記具用インキ貯蔵体。 (14) 上記(12)又は(13)に記載の筆記具用インキ貯蔵体と、該インキ貯蔵体の排出口に取り付けられるボールペンチップとからなることを特徴とするボールペンリフィール。 (15) 上記チップ取り付け端側のインキ貯蔵体内にインキが充填され、上記封止端側のインキ貯蔵体内に気体が加圧状態で充填され、上記筒体外壁の被覆層が上記チップ外壁の一部を覆って形成されている上記(14)に記載のボールペンリフィール。 【0012】 【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。尚、本発明に係る筆記具用インキ貯蔵体は以下の実施形態及び実施例に限るものではない。 【0013】本発明の筆記具用インキ貯蔵体は、ガスバリアー性樹脂にて成形された筆記具用インキ貯蔵体であって、該筆記具用インキ貯蔵体には、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度(P1)が0.5g/m2・atm・24hr/25μm以下となる水蒸気難透過性の被覆層が形成されていることを特徴とするものである。 【0014】本発明の筆記具用インキ貯蔵体としては、筆記具用インキを貯留することができるインキ貯蔵体であれば、特に限定されず、例えば、直液式筆記具のインキ貯蔵体、ボールペンリフィール、加圧型ボールペンリフィールなどを挙げることができる。また、インキ貯蔵体に貯蔵するインキは、筆記具用インキであれば、特に限定されず、油性インキ、水性インキ、ゲルインキ等を挙げることができる。本発明の筆記具用インキ貯蔵体の本体部(被覆層以外の部材)を構成するガスバリアー性樹脂としては、優れたガスバリアー性及び耐吸湿性を発揮せしめる点から、好ましくは、25℃、50%RHにおける酸素透過度が100cc/m2・atm・24hr/25μm以下であり、また、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度が10g/m2・atm・24hr/25μm以上であるものから構成されることが望ましい。このような上記酸素透過度、水蒸気透過度を有するものとしては、例えば、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリアクリロニトリル、ポリアミド(ナイロン等)、セルロース樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート及びポリスチレンの中から選ばれる少なくとも1種(各単独、または2種以上の混合物、以下同様)から構成されるものが挙げられる。また、このガスバリアー性樹脂で構成される本体部の厚みは、その透明度、強度等の関係から、好ましくは、1.5mm以下、更に好ましくは、0.5〜1.5mmとすることが望ましい。 【0015】本発明において、上記ガスバリアー性樹脂で構成された筆記具用インキ貯蔵体の本体部の外層に被覆する水蒸気難透過性の被覆層は、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度(P1)が0.5g/m2・atm・24hr/25μm以下となることが必要である。上記水蒸気透過度(P1)が0.5g/m2・atm・24hr/25μmを越えるものであると、加湿雰囲気下等の環境化で、ガスバリアー樹脂が空気中の水蒸気で膨潤し、ガスバリアーが低下し、かつ、寸法変化が起こったりし、好ましくなく、また、加圧ボールペン用のリフィールでは常に加圧力を受けているチップが抜けやすくなったり、インキが漏れ出しやすいという課題が生じることとなる。好ましくは、更に優れた耐吸湿性を発揮せしめる点から、40℃、90%RHにおける水蒸気透過度(P1)は、0.1g/m2・atm・24hr/25μm以下とすることが望ましい。 【0016】本発明における上記特性の水蒸気難透過性の被覆層としては、上記特性を有するポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、塩化ビニリデンとメチルメタクリレートとの共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリテトラフロロエチレン、ポリ3フッ化エチレンから選ばれる少なくとも1種を溶媒に溶解せしめて本体部に塗布する、または、これらのフィルムを貼着することにより形成することができ、また、平均分子量〔又は分子量、以下、単に「平均分子量」という〕300〜3000のワックス類を溶媒等により本体部に塗布することにより形成することができる。 【0017】上記平均分子量300〜3000のワックス類としては、パラフィン系ワックス、微晶ワックス、ぺトロラクタム、長鎖のアルキル基を有する脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸金属塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。ワックス類の平均分子量が300未満であると、本発明の効果を発揮することができず、また、平均分子量が3000を越えると、溶媒に溶解しなくなるため、本体部への塗布が困難となり、好ましくない。用いることができる具体的な上記平均分子量範囲となるワックス類としては、パラフィンワックス、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アミド等を挙げることができる。 【0018】また、塗布するワックス類の種類によっては、ワックス類塗布面が柔らかいために、擦過や圧力によりワックス類塗布膜の変形や剥離を起こし吸湿を防ぐ能力が低下することがある。このような不都合を防止する点から、好ましくは、上記ワックス類に対してワックス類中に1〜30重量%(以下、単に「%」という)の樹脂を含有してなるものが望ましい。このワックス類に含有せしめる樹脂としては、ポリアクリロニトリル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリスチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルの中から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、更に好ましくは、ガラス転移温度10℃以上の樹脂(上記樹脂の中でも比較的高分子量の樹脂)となるものが望ましい。この樹脂の添加量がワックス類に対して1%未満であると、ワックス類の更なる改質が不十分であり、また、30%を越えると、ワックス類の吸湿を防ぐ能力が低下することとなり、好ましくない。 【0019】本発明において、上記特性の水蒸気難透過性の被覆層の膜厚は、好ましくは、0.1μm〜1000μm、更に好ましくは1μm〜100μmとすることが望ましい。この膜厚が1μm未満であると、ガスバリアー性樹脂の吸湿が効果的に抑えることができず、また、この膜厚が1000μmを越えると、インキ吸蔵体の透明性が低下しインキの視認性が低下することとなる。 【0020】次に、本発明に係る筆記具用インキ貯蔵体をボールペンリフィールに適用した場合の好ましい実施の形態を、添付図面を参照しながら詳述する。図1は、本発明に係る筆記具用のインキ貯蔵体を有するボールペンリフィールの概略断面図である。図2は、図1に示すインキ貯蔵体の壁部の拡大断面図である。図3(a)乃至(c)は本発明に係る筆記具用のインキ貯蔵体を有する他のボールペンリフィールのそれぞれの概略断面図である。図4は、図3に示す各ボールペンリフィールのペン先部分の拡大断面図である。 【0021】本発明の筆記具用のインキ貯蔵体は、図1乃至図4に示す如く、油性インキ2が収容され、一端3aが封止されると共に他端3bがインキ2の排出口となるキャップ状或いは管状の筒体3からなる。そして、筆記具用のインキ貯蔵体1において、筒体3内が油性インキ2の他に一部に気体4が加圧状態で収容され、筒体3は、上記ガスバリアー性樹脂、例えば、エチレン・ビニルアルコールコポリマーを成分とするガスバリアー性の樹脂壁5からなると共に、筒体外壁5に水蒸気難透過性の被覆層6が形成されている。 【0022】図1及び図3に示す実施の形態の筆記具用のインキ貯蔵体1はボールペンリフィールとして構成され、筒体3の排出口3bにはボールペンチップ7が挿入して取り付けられている。また、筒体3がキャップ状でない場合は、図3の(a)乃至(c)に示すように、筒体3の一端3aに尾栓8が設けられている。そして、筒体3内には油性インキ2の他に加圧状態で気体、例えば、空気又は窒素ガスが収容される。また、図3(b)及び(c)に示すように、筒体3内には液体フォロワー9a或いは固体フォロワー9bが設けられ、各フォロワー9a、9bによって、油性インキ2がボールペンチップ7側に常に偏在、或いは位置するようになっている。このため、気体4の加圧により、インキ2はチップ7方向に押し出すように作用している。 【0023】通常、インキ貯蔵体1の筒体3の素材は、加圧気体等が封入されるため、その筒壁が全く気体を透過させないか、実質的に気体を透過させないガス非透過性のアルミニウム等の金属層等で形成されていることが望ましい。しかしながら、このような金属製の筒体にあっては、インキ残量の確認ができないこと、一般的に樹脂成形物に比べて加工成形性に欠けること、及び高価となることの問題がある。そこで、本発明の筆記具用のインキ貯蔵体1における筒体3(場合によっては上述の尾栓8を含む。)は、ガスバリアー性樹脂、例えば、エチレン・ビニルアルコールコポリマーを成分とするガスバリアー性の樹脂壁5からなる。筒体3の素材が上述のガスバリアー性樹脂組成物であれば、成形加工が簡単であること、内部のインキ残量が確認できること、及び安価で所望の形状のインキ貯蔵体1が得られる等の利点がある。 【0024】上記エチレン・ビニルアルコールコポリマーを成分とするガスバリアー性樹脂としては、エチレン・ビニルアルコールコポリマー、該コポリマーと他の樹脂とのアロイ、或いはそのブレンド組成物、更にはこれらの樹脂組成物を含むコンポジット等であり、特に、アロイ、ブレンド物としては、ポリオレフィン類とのアロイ或いはブレンド組成物であることが望ましい。このようなエチレン・ビニルアルコールコポリマーの具体的なものとしてはエバールF(クラレ株式会社製)、エチレン・ビニルアルコールコポリマーとポリオレフィンのアロイ(クラレ株式会社製:BPO−10A)等を挙げることができる。 【0025】上記エチレン・ビニルアルコールコポリマー成分のガス難透過性の機能としては、樹脂厚みを1mmとしたとき、JIS K 7126の差圧法により、温度23℃における酸素透過度を測定したときに、1cc・mm/m2・24hr・atm以下、特に、0.1cc・mm/m2・24hr・atm以下となるものが望ましい。上記酸素透過度が1cc・mm/m2・24hr・atm以下である樹脂を筒体3に用いた場合、樹脂壁5の厚みを極力薄くできると共に、その透明性を十分に維持することができるため、インキ残量の確認が容易となる。 【0026】上記筒体3の樹脂壁5自体の温度23℃における酸素透過度は、その筒体3の形状、全体の表面績等にものよるが、通常、1cc/m2・24hr・atm以下、特に0.1cc/m2・24hr・atm以下であることが好ましい。また、筒体3の樹脂壁5の厚みは、その壁の透明度等の関係から、1.5mm以下であることが望ましい。 【0027】例えば、筒体3に、厚み1mmで、温度23℃における酸素透過率が0.05cc・mm/m2・24hr・atmのエチレン・ビニルアルコールコポリマー樹脂組成物を用い、その筒体3の成形において、直径6mm、長さ80mm、厚み1mmのインキ貯蔵体1を用いた場合、その一日における酸素透過量は0.05×1.5×10-3=7.5×10-5cc/24hrであり、これらの値は、加圧式のボールペンリフィールに好適なものとなる。これに対して、ちなみに、開放型のボールペンリフィールに汎用されているポリプロピレンの酸素透過度は60〜100cc・mm/m2・24hr・atmであり、かなり透過量が多く、加圧式のボールペンリフィールには好適ではない。 【0028】上記筒体3の樹脂壁5は、上述したようにガスバリアー性樹脂組成物であるが、これらの成分を含む単独層からなる必要はなく、その他の異なる樹脂層、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン層と多層形成されていても良い。上記筒体3の樹脂壁5は、上述のようなガスバリアー性機能を有し、単独層或いは多層形成された樹脂壁であっても良いが、特に、上記筒体3の樹脂壁5の厚みは0.5mm乃至1.5mmの範囲にあることが望ましい。上記筒体3の樹脂壁5の厚みが0.5mm未満では、インキ貯蔵体1をボールペンリフィールとして使用した場合に、その成形性、及び機械的強度に問題が生じる虞がある。一方、上記筒体3の樹脂壁5の厚みが、1.5mmを上回ると、樹脂壁5自体及び後述する被覆層6を設けたことと相まって、その透明性が低下する虞が生じ、インキ貯蔵体1内のインキ残量の確認のしづらさや設計自由度の低下を招く場合がある。 【0029】本来、インキ貯蔵体1における筒体3の樹脂壁5の厚みが厚いほど、ガスバリアーが向上するが、それに反して肉厚の厚すぎるインキ貯蔵体1の弊害であるインキ残量の確認のしづらさや設計自由度の低下のおそれがある。筒体3の厚みが0.5mm以上、1.5mm以下であれば、より確実に、上述のような不具合のない実施の形態のボールペンリフィールを得ることができる。また、筒体3の厚みが0.5mm未満であれば、成形性、インキ貯蔵管強度の面で不具合があるおそれがある。 【0030】本実施形態の筆記具用のインキ貯蔵体1の筒体3の樹脂外壁5には、水蒸気難透過性の被覆層6が形成される。通常、上記エチレン・ビニルアルコールコポリマー等は、乾燥状態で単独でも非常に優れたガスバリアー性を有するが、加湿条件下ではその性能が低下する。また、樹脂壁5は水蒸気によって膨潤し、寸法安定性を欠くためリフィール性能にも悪影響がある。これに対して、本発明の水蒸気難透過性の被覆層6が樹脂外壁5に形成されていると、外部からの水蒸気の侵入における拡散係数が通常の樹脂透過のそれよりもかなり低いため、水蒸気のインキ貯蔵体1内への侵入を抑えることができ、その樹脂壁4のガスバリアー性が維持される。 【0031】上記被覆層を樹脂外壁5に設けるには、その作業性からコート層として形成することが望ましいが、これに限ることはなく水蒸気難透過性樹脂フィルム等を貼着して形成しても良い。上記被覆層の材料としては、上記樹脂壁5の機能を維持できる水蒸気難透過性がある限り、どのような材料でも使用可能であるが、特に、非透明壁となるアルミニウム等の金属層からなる、実質的に水蒸気を透過しない水蒸気非透過性材料でなく、透明壁となる水蒸気を透過させ難い水蒸気難透過性材料であることが望ましい。 【0032】上記水蒸気難透過性の被覆層6は、温度40℃、90%RHにおける水蒸気透過度(P1)は、0.5g/m2・atm・24hr/25μm以下、特に、0.1g/m2・atm・24hr/25μm以下であることが望ましい。上記被覆層の水蒸気透過度が0.5g/m2・atm・24hr/25μmを越えると、長期間経過後、インキ貯蔵体1の樹脂壁5が空気中の水蒸気で膨潤し、ガスバリアーが低下し、かつ、寸法変化が起こるため、常に加圧力を受けているチップ7等が抜けやすくなったり、インキが漏れ出すものがでてくる。 【0033】上記水蒸気難透過性材料の具体的なものには、上述の如く、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、塩化ビニリデンとメチルメタクリレートとの共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリテトラフロロエチレン、ポリ3フッ化エチレン、塩酸ゴム、ポリエチレン、ポリプロピレン等のように水蒸気バリア性の高い透明性のある樹脂層、上述のワックス層、更にはアルミニウム、珪素、マグネシウム、チタン、銀、金等の土類金属若しくは金属、又はその酸化物の蒸着層等であって、ある程度の透明性を有するものである。特に、本発明においては、特に、水蒸気難透過性材料とし、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、塩化ビニリデンとメチルメタクリレートとの共重合体、塩素化ポリエチレン等、並びに、上述のワックス層を用いることが望ましい。また、このような材料を溶媒に溶解して溶液し、或いはラテックスなどにして樹脂壁4に塗布し、乾燥することにより、上記被覆層6が容易に得られる。また、ポリオレフィンを熱トルエン溶液で溶解した溶液塗布によっても容易に得られる。 【0034】従って、本実施形態では、インキ貯蔵体1の樹脂壁5、または必要により尾栓8のガスバリアー性能を低下させないために、樹脂壁5、及び/又は尾栓8の外側に被覆層6を設ける。この被覆層6は、(a).被覆層6と同じ材質で、被覆層6と同じ厚みTlを有する単独フイルムの温度40℃における水蒸気透過度が0.5g/m2・atm・24hr/25μm以下であるような被覆層6、または、(b).被覆層6と違う材質で厚さがT2であり、温度40℃における水蒸気透過度がP2g/m2・atm・24hr/25μmの樹脂フイルム上に被覆層6と同じ材質で、被覆層6と同じ厚みTlを有するコートを施した積層フイルムの25℃における水蒸気透過度がP3g/m2・atm・24hr/25μmである時、Pl=P2・P3・Tl/(P2(Tl+T2)−P3・T2)により算出されるPlが0.5g/m2・atm・24hr/25μm以下であるような被覆層であることが必要である。 【0035】前記(b)で用いた式について以下に詳細を説明する。材質Aであり、厚さT1の単独フイルムの透過度をP1とし、材質Bであり、厚さT2の単独フイルムの透過度P2としたとき、これら2種のフイルムを積層した2層フイルムのガスの透過度P3は、一般に以下の関係を持つ。 (T1+T2)/P3=T1/P1+T2/P2上式をP1について整理すると、P1=P2・P3・Tl/(P2(Tl+T2)−P3・T2) となり、単独フイルムで測定が難しい材質の被覆層においても、本式から容易に透過度が求められる。この結果は、(a)により測定された結果と同じ性能を示すので、(a)、(b)は、ともに透過度が0.5g/m2・atm・24hr/25μm以下であるような被覆層を示している。 【0036】上記被覆層6の厚みは、0.1〜1000μm、特に、5〜100μmであることが望ましい。更に、20〜80μmであることが望ましい。上記被覆層6の厚みが0.1〜1000μmの範囲内であれば、より確実にインキ貯蔵体1外の水蒸気による影響を防止することができる。上記被覆層6の厚みが1000μmを超えると、被覆層によるインキ貯蔵体の肉厚化が生じ、設計自由度の低下を招く虞がある。即ち、上記被覆層6の厚みを上記範囲(0.1〜1000μm、好ましくは、5〜100μm)に調整することで、より確実に、上記被覆層6から筒体3の樹脂壁5層への水蒸気の侵入を防止することができ、長期間経過後も、樹脂壁5が空気中の水蒸気で膨潤し、ガスバリアーが低下し、かつ、寸法変化が起こることがないようにすることができる。 【0037】なお、上記加圧型のボールペンリフィールにおいては、上記被覆層6の厚みを0.1μm未満にすると、層又は膜が薄いために、ピンホール発生、層或いは膜の機械的強度の低下、耐擦過性の低下により、上記被覆層5から樹脂壁6、場合によっては尾栓への水蒸気の侵入を防止することができなくなる虞がある。また、上記被覆層6の厚みが1000μmを越えると、または、筒体3壁の全体が肉厚設計となり、インキ貯蔵体1の壁の透明性の低下、及びインキ貯蔵体1、場合によっては尾栓8等の寸法が大きくなるため、設計自由度の減少する虞がある。 【0038】また、上記筒体3内の気体4は、インキ物性を損なわないものであれば特に限定されず、好ましくは、空気又は窒素であることが望ましい。上記インキ貯蔵体1内に充填する気体4の種類を上記空気又は窒素とすることにより、上記筒体3の樹脂材質と相まって、より確実に気体透過を抑制することができる。即ち、インキ貯蔵体1における筒体3、場合よっては尾栓8の樹脂材料は、上述したように、酸素透過度の少ないものを選定している。一方、安価かつ安全に製造に用いることができる加圧ガスには、空気、窒素、炭酸ガスがある。プラスチック類のガス透過量は炭酸ガス>酸素>窒素の順に小さい値をとることが知られている。それゆえ、加圧式のボールペンリフィール等の筒体3内の加圧気体4に空気、または、窒素のいずれかを用いれば、気体4の樹脂壁5からの透過がより確実に阻止され、気体透過によるインキ貯蔵体1内の圧力が減じることがなく、かつ、より安価にインキ貯蔵体1を得ることができる。 【0039】更に、上記気体の選択を詳細に説明すると、ガス透過性については、パーマコール値π(cal/cc)を用いてその性能を計算することがあり、特に、プラスチックフィルムなどでこの値が適用されている。すなわち、ポリマーの凝集エネルギー密度をδ(cal/cc)、自由体積分率をfv、パーマコール値をπ(cal/cc)としたとき、π=71{ln(δ2/fv)−5.7}であり、このπを用いて、ガス透過度:P=A・e-sπである。上式のA、Sはガスにより固有の数値で、A(cc・cm/cm2・sec・cmHg)とSは下記表1のようになる。 【0040】 【表1】
【0041】従って、上述のように、酸素又は窒素のほうが、ガス透過によるインキ貯蔵体1内の減圧が少なく、かつより安価に製造することができる。 【0042】図1及び図3に示すように上記実施の形態において、筆記具用のインキ貯蔵体1と、該貯留体1の排出口に取り付けられるボールペンチップ7とからなるボールペンリフィールについて説明した。そして、ボールペンリフィールは上記チップ7の取り付け端側のインキ貯蔵体1内にインキ4が充填され、上記封止端側のインキ貯蔵体1内に気体4が加圧状態で充填されるが、この場合、筒体3外壁の被覆層6が上記チップ7外壁の一部を覆って形成されていることが望ましい。 【0043】本発明の筆記具用のインキ貯蔵体1では、酸素透過性の少ない筒体3の樹脂外壁5に水蒸気難透過性の被覆層6を設けており、通常の筆記具用のインキ貯蔵体の場合、これで十分に目的を達成することができる。しかしながら、更にボールペンリフィールに用いて、大量生産する場合、特に自動組み立て機械を用いて生産する場合には、ボールペンチップ圧入時にインキ貯蔵体1とチップ7との嵌合部に微少なキズなどが発生し、その隙間からインキ漏れなどの不具合が発生する虞がある。この場合、上記被覆層6を組立後にコート層とする。インキ貯蔵体1の筒体3の他端3bのチップ7側にインキが充填され、かつ、上記筒体3の一端3a側に加圧ガスが充填され、かつ、ボールペンチップが装着された後に上記被覆層6であるコート層が形成され、かつ、コート層が筆記に影響のない範囲でボールペンチップの基端面側にもコートすることで、組み立て時の微少なキズなどがあっても、そのキズを覆う形でコート層が形成される。このため、より確実にインキ貯蔵体1の気密性を保つことができる。 【0044】本発明の被覆層は、水蒸気透過性のみを限定しているが、本発明の課題とするキズは微少なものであり、上記のごとく、インキ貯蔵体内部の気体4やインキ2が、微少なキズから漏れ出ることを防止することもできるのである。また、上記実施の形態ではボールペンリフィール等の筆記具用のインキ貯蔵体について説明したが、このようなボールペンリフィールに限る必要はなく、他の筆記具用のインキ貯蔵体にも適用することができる。 【0045】 【実施例】本発明に係る筆記具用のインキ貯蔵体を実施例により更に具体的に説明する。尚、本発明に係る筆記具用のインキ貯蔵体は以下の実施例に限るものではない。 【0046】〔実施例1〜10、参考例1、2及び比較例1〜9〕実施例1〜10、参考例1、2及び比較例1〜9について、下記表2の樹脂組成物を用いてインキ貯蔵体の筒体を成形すると共に、下記表3の樹脂組成物の用いて上記被覆層をコーティング処理により成形した。 【0047】 【表2】
【0048】上記表2中において、EVOH系基材は日本合成化学工業株式会社製、PP基材は三菱化学社製である。 【0049】 【表3】
【0050】上記表3中において、上記環状ポリオレフィン(*1)は商標名APEL:三井石油化学社製、塩化ビニリデン(*2)は商標名サンラテックスL502:旭化成社製、塩素化ポリオレフィン(*3)は商標名スーパークロンHE510:日本製紙社製、飽和ポリエステル(*4)は商標名ポリエスターTP290:日本合成化学社製である。 【0051】ここで、各実施例及び各比較例に示す各ボールペンリフィールの組立は、インキ貯蔵体のチップ側に下記の組成のインキを1g充填し、場合によってはフォロアーを反チップ側のインキ面上に位置するように配置してインキ充填し、その後ボールの材質が超硬合金で、ホルダーの材質がステンレスで、ボールの直径が0.7mmであるボールペン用チップを挿入した後、ボールペンリフィールの反チップ側を窒素、空気等のガスを絶対圧で0.3MPaに加圧しながらボールペンリフィールの反チップ側に尾栓をして加圧ガスをボールペンリフィール内に封入することによりペン組みを行った。 【0052】 (インキ組成) ベンジルアルコール(溶剤) 37.4%フェノキシエタノール(溶剤) 1.5%オレイン酸(添加剤) 8.0%ニグロシンEX(着色剤) 22.5%スピロンバイオレットC−RH(着色剤) 9.0%スピロンイエローC−2GH(着色剤) 6.0%カーボンブラックMA−100(着色剤・構造粘性付与剤) 8.0%ハイラック#111(樹脂) 5.4%ポリビニルピロリドンK−90(樹脂) 0.8%アエロジル380(構造粘性付与剤) 1.4%【0053】次に、組み立てたボールペンリフィールをチップの先端部を除く全ての部分を所定の濃度に調整された上述のコーティング用樹脂溶液にディッピング処理した後に熱処理等の溶剤除去処理を行って被膜を構築させた。その構成を下記表4に示した。尚、リフィールにおける筒体とチップとの継ぎ手部分(嵌合部)をコーティングしなかったものを組立後のコート層の無とした。「膜厚」は、コーティング処理による重量変化を測定し、基材の表面積と樹脂等の比重から計算した。 【0054】 【表4】
【0055】被覆処理が完了したボールペンリフィールを手書きで筆記して良好に筆記でき且つ被膜に傷等の欠陥が無いことを確認したものについて下記の評価を行った。その結果を表5に示した。 【0056】「上向き筆記性」の試験は、ペン組み後、温度40℃、90%RHの環境下に一ケ月間保存した後に、温度25℃、65%RHの環境下で手書きにてペン先を真上に向けて筆記した。また、「上向き筆記性」の評価は、10本のボールペンリフィールについて行った。 (イ)500m以上の連続筆記が可能・・・・・・評価「○」 (ロ)10m以上500m未満の連続筆記が可能・評価「△」 (ハ)10m未満の連続筆記が可能・・・・・・・評価「×」 とした。 【0057】「インキ消費率」の試験は、ペン組み後、温度40℃、90%RHの環境下に一ケ月間保存した後に、筆記できなくなるまで筆記したときに消費したインキ量Wlを測定して、初期に充填したインキ量W0で除して評価した。 消費率=(Wl/W0)×100%「インキ消費率」の評価は、10本のボールペンリフィールについて行った。 (イ)インキ消費率90%以上・・・・・・・・評価「○」 (ロ)インキ消費率50%以上90%未満・・・評価「△」 (ハ)インキ消費率50%未満・・・・・・・・評価「×」 とした。 【0058】「インキ漏れ」の試験は、ペン組み後、温度40℃,90%RHの環境下に一ケ月間保存した後に、ボールペンリフィールを目視にて観察し評価した。「インキ漏れ」の評価は、10本のボールペンリフィールについて行った。 (イ)インキ貯蔵体とチップの嵌合部からインキ漏れは無かった・・評価「○」 (ロ)インキ貯蔵体とチップの嵌合部からインキ漏れが極僅か観察された・・・・・評価「△」 (ハ)インキ貯蔵体とチップの勘合部からインキ漏れが観察された・評価「×」 とした。 【0059】「インキ視認性」の試験は、ペン組み後のボールペンリフィールを目視にて観察し評価した。「インキ視認性」の評価は、100人の人に観察してもらうことにより行った。 (イ)視認性良好が、90人以上・・・・・評価「O」 (ロ)視認性良好が、89人〜50人・・・評価「△」 (ハ)視認性良好が、49人以下・・・・・評価「×」 とした。 【0060】「リフィール強度」の評価試験は、10本のボールペンリフィールにて行った。 (イ)リフィール中央部に1kgf/cm2の圧力をかけてもリフィールの変形、クラックが無く加圧ガス及びインキ漏れが無かった・・・・評価「○」 (ロ)リフィール中央部に1kgf/cm2の圧力をかけるとリフィールの変形が著しく加圧ガスとインキ漏れがごく僅か観察された・・・・評価「△」 (ハ)リフィール中央部に1kgf/cm2の圧力をかけるとリフィールの破損、クラックが生じ加圧ガス漏れ、インキ漏れが観察された・・・・評価「×」 【0061】 【表5】
【0062】上記表5の結果から、実施例1〜10のボールペンリフィールにおいては、上向き筆記性及びインキ消費率に優れていることが判るが、比較例1〜9にあっては、上向き筆記性及びインキ消費率が悪くなっていることが判る。また、筒体とチップとの継ぎ手部或いは嵌合部をコートしない比較例7及び9にあっては、インキ漏れを生じるものが見られた。更に、参考例1にあってはコート層の膜厚が薄すぎて実質的なコート層の効果が見られず、上向き筆記性及びインキ消費率に悪影響が見られた。また、参考例2にあっては、若干、インキ視認性が悪くなった。 【0063】〔実施例11〜22及び比較例10〕実施例11〜22及び比較例10について、下記表6の樹脂組成物を用いてインキ貯蔵体の筒体を成形すると共に、下記表7の樹脂組成物を用いて下記方法により調製した(1)〜(4)の塗工液1〜12を用いてワックス被覆層をコーティング処理により成形した。 (1) パラフィンワックス150(日本精蝋社製ワックス、平均分子量458、以下同様)をキシレンに1%、5%、10%、30%溶かし、それぞれ塗工液1、2、3、4とした。 (2) ステアリン酸カルシウム(和光純薬工業社製、分子量607)をキシレンに1%、5%、10%、30%溶かし、それぞれ塗工液5、6、7、8とした。 (3) パラフィンワックス150をキシレンに5%溶かし、さらにポリエスターTP−290(日本合成化学社製)をパラフィンワックス150に対し1%、10%、20%、100%を添加し、それぞれ塗工液9、10、11、12とした。 【0064】 【表6】
【0065】上記表6中において、EVOHは日本合成化学工業社製である。 【0066】 【表7】
【0067】ここで、各実施例及び各比較例に示す各ボールペンリフィールの組立は、インキ貯蔵体のチップ側に上記の組成のインキを1グラム充填し、場合によってはフォロアーを反チップ側のインキ面上に位置するように配置してインキ充填し、その後ボールの材質が超硬合金で、ホルダーの材質がステンレスで、ボールの直径が0.7mmであるボールペン用チップを挿入した後、ボールペンリフィールの反チップ側を窒素、空気等のガスを絶対圧で0.3MPaに加圧しながらボールペンリフィールの反チップ側に尾栓をして加圧ガスをボールペンリフィール内に封入することによりペン組みを行った。 【0068】次に、組み立てたボールペンリフィールをチップの先端部を除く全ての部分を所定の濃度に調整された上述の塗工液にディッピング処理した後に熱処理等の溶剤除去処理を行って被膜を構築させた。その構成を下記表8に示した。尚、リフィールにおける筒体とチップとの継ぎ手部分(嵌合部)をコーティングしなかったものを組立後のコート層の無とした。 【0069】 【表8】
【0070】被覆処理が完了した各ボールペンリフィールを手書きで筆記して良好に筆記でき且つ被膜に傷等の欠陥が無いことを確認したものについて、上記各評価法により上向き筆記性、インキ消費率、インキ漏れ、インキ視認性、リフィール強度について評価した。これらの結果を下記表9に示す。「平均膜厚」は、ワックス塗工による重量変化を測定し、基材の表面積とワックスの比重から計算した。 【0071】 【表9】
【0072】上記表9の結果から明らかなように、実施例11〜22のボールペンリフィールにおいては、上向き筆記性及びインキ消費率に優れていることが判るが、比較例10にあっては、上向き筆記性及びインキ消費率が悪くなっていることが判る。 【0073】 【発明の効果】請求項1〜8記載の発明によれば、湿気等の高い環境下でのガスバリアー性が低下せず、インキ貯蔵体内のインキ物性も安定的に維持される筆記具用インキ貯蔵体が提供される。また、請求項9〜11記載の発明によれば、水蒸気難透過性の被覆層の耐擦過性を高めることができる筆記具用インキ貯蔵体が提供される。更に、請求項12〜15記載の発明によれば、インキ貯蔵壁が比較的薄く、透明性に優れた樹脂材が使用されても、湿気等の高い環境下でのガスバリアー性が低下せず、インキ貯蔵体内の加圧空気などの脱放やチップ部材等の脱抜等を起こすことのない筆記具用インキ貯蔵体が提供される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005957 【氏名又は名称】三菱鉛筆株式会社 【住所又は居所】東京都品川区東大井5丁目23番37号
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| 【出願日】 |
平成14年8月28日(2002.8.28) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100112335 【弁理士】 【氏名又は名称】藤本 英介 (外2名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−145985(P2003−145985A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2002−249373(P2002−249373) |
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