トップ :: B 処理操作 運輸 :: B42 製本;アルバム;フアイル;特殊印刷物




【発明の名称】 マグネットホルダー
【発明者】 【氏名】広瀬 洋一

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体が非磁性材料で構成され、磁気吸着面が凸の湾曲面あるいは中央部の一部を平面としてその両側が凸の湾曲面で形成され、磁気吸着面の反対側の面が凹の曲面で形成され、かつ希土類磁石が本体にその磁極面が直接あるいは軟質磁性材製のヨークを介して本体の両表面とほぼ同一かわずかに凹んだ位置となるように、埋め込まれてなることを特徴とするマグネットホルダー。
【請求項2】 本体が非磁性材料で構成され、磁気吸着面が下になるように水平面上に置いた状態で第三角法にて描いた図面における本体の形状が、正面図では、(イ)下側が下に凸の滑らかな曲線を形成し、上面は上に凹の曲線であり、あるいは(イ’)下側の中央部の一部が水平線に接する直線であり、その幅が本体の幅の1/3未満で、かつその左右両側が下に凸の曲線で形成され、上面は上に凹の曲線であり、側面図では(ロ)下側の輪郭線は水平線に接する直線であり、かつ(ハ)希土類磁石が側面図の中央に位置し、かつその磁極面が直接あるいは軟質磁性材製のヨークを介し本体の両表面と同一かわずかに凹んだ位置となるように、埋め込まれてなることを特徴とするマグネットホルダー。
【請求項3】 平面図では円形、楕円形あるいは上下方向の中心線に鏡面対称であると同時にそれに直交する中心線にも鏡面対称の6角形あるいは8角形であることを特徴とする請求項1および請求項2に規定するマグネットホルダー。
【請求項4】 前記希土類磁石が厚さ方向に磁場配向するように製作され着磁した直方体形状の希土類磁石であり、かつその長手方向が側面図の左右方向になるようにマグネットホルダー本体に埋め込まれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。
【請求項5】 希土類磁石が厚さ方向に磁場配向するように製作されたアークセグメント形状の希土類磁石であり、かつその湾曲面がマグネット本ホルダー本体の曲面に一致する方向に本体に埋め込まれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。
【請求項6】 希土類磁石の片側に軟質磁性材料製のヨークが配置され、(イ)正面図ではヨークの左右方向の寸法が希土類磁石の左右方向の文法より小さく、かつ側面図ではヨークの左右方向の寸法が希土類磁石の左右方向の寸法より大きく、あるいは(イ’)正面図ではヨークの左右方向の寸法が希土類磁石の左右方向の寸法より大きく、かつ側面図ではヨークの左右方向の寸法が希土類磁石の左右方向の寸法より小さく、かつ(ロ)ヨークの外側がマグネットホルダー本体の表面とほぼ同一面となるように本体に埋め込まれていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。
【請求項7】 希土類磁石の両側に軟質磁性材料製のヨークが配置され、かつヨークの外側がマグネットホルダー本体の表面とほぼ同一面となるように本体に埋め込まれていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。
【請求項8】 厚さ方向に着磁した希土類磁石を2枚の軟質磁性材料製の2枚のヨークで挟み、その着磁方向が側面図の左右方向に一致するように、かつそのヨークの端面がマグネットホルダー本体の両表面とほぼ同一面で露出するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。
【請求項9】 希土類磁石としてNd系焼結磁石を用いることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。
【請求項10】 Nd系焼結磁石として、使用済の機器から取り出した磁石あるいは磁石の製造工程で発生するスクラップを用いることを特徴とする請求項9に記載のマグネットホルダー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は強力な希土類磁石を用いた紙片等をスチール製の冷蔵庫等の家電機器あるいはホワイトボードやキャビネット等の事務機器等の表面に磁気吸着力を利用して固定するのに用いられるマグネットホルダーに関わる。特に強力な希土類磁石を用いて保持力を大きくしたにもかかわらず、マグネットホルダーそのものの脱着が容易であり、またマグネットホルダーを取り外すことなくワンタッチでメモ等の紙片の脱着を可能にし、さらに上面も強力な磁気吸着力を持たせることにより、バインダークリップ等で固定した用紙類もその上面にバインダークリップを吸着することで簡単に保持できるようにしたものである。さらに、もし間違って反転させてしまった場合も簡単に取り外しが可能となるように工夫したものである。
【0002】
【従来の技術】ホワイトボードやスチールキャビネット等のスチール製の事務機器あるいは冷蔵庫等の家電機器の側面や扉等、スチール製の機器(以下、被掲示体と呼ぶ)にメモやポスター等の用紙(以下、掲示物と呼ぶ)を固定する目的で、磁気吸着力を利用したマグネットホルダーが広く用いられている。このようなマグネットホルダーに用いられている磁石の多くはフェライト磁石である。フェライト磁石は安価である反面、磁力が弱く、被掲示体に固定保持できる掲示物の大きさや枚数が限定され、一方、保持力を大きくしようとすると、大きな磁石が必要となり、覆い隠す面積が増えてしまうといった問題点が存在した。また、このような、単純な構造のマグネットホルダーでは例えば掲示物を固定しようとすると、一旦マグネットホルダーを外して、これらの被固定物を押えて、その上からマグネットホルダーを載せる必要があった。
【0003】そのため、上記不便さを解消するためクリップ機能を付加したマグネットホルダーも開発され市販されている。このようなマグネットホルダーでは磁石本体を脱着しなくてもクリップの開閉のみで掲示物の固定と取り外しが可能となっている。しかしながら、クリップの部分は鰐口とスプリングから構成されており、磁石とヨークさらにクリップをヨークに接続するジョイントまで含めると部品数が多く、構造が複雑になり、組み立てに工数がかかるため、そのほとんどが安価なフェライト磁石を用いているにもかかわらず、高コストとなっていた。
【0004】最近、Nd系磁石をプラスチックと組み合わせた方式の磁石が開発され市販されている。例えば、特開平11−11072にはバー状のプラスチックの底面の一部にテーパを設け、その上面を押すことにより、反対側を持ち上げ、ホワイトボードやスチールキャビネット等の磁性材料で造られた被掲示体の表面との間に隙間をあけて、紙片を挟み込んでから手を離し固定保持する方式のマグネットホルダーも開示されている。あるいは、バー状のプラスチックの代わりに、円盤状のプラスチックの底面の一部にテーパー部を設け、それとNd系磁石を組み合わせることにより、同様な機能を備えたものも開発され市販されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】市販されているプラスチックに磁石を組み込んだマグネットホルダーでは、例えば、図9に示すように、本体50aの底面は平らな磁気吸着面50bとそれと一定の角度をなすテーパー部50cの2つの面より形成され、磁石29は二つの面の交線50dの片側のみに位置している。そして、図9(c)の側面図の右側の上部を押すことにより、二つの面の交線50dを支点として、磁石が埋め込まれている磁気吸着面を持ち上げる。そのため、テーパー部の上面を押した時、ある一定以上の力が加わった時、急に磁石が被掲示体から離れ、その勢いで、テーパー面が被掲示体に当たり、そのショックで音を発する。このように動きがスムーズでなく、耳障りな音を発するといった問題点があった。
【0006】また、前記のNd系磁石をプラスチックに埋め込んだマグネットホルダーは、紙片等をその上面から押さえて固定するには適しているが、磁気吸着面を除いてプラスチックで覆われているため、吸着面を除くと磁気吸着力は極めて弱く、折角強力なNd系磁石を用いているにも拘わらず、例えばバインダークリップやゼムクリップ等の汎用固定部品で留めた用紙等をこれらの鉄製クリップの部分を利用して保持させることができないといった不便さがあった。
【0007】ところで、特開2000−318362あるいは特開2001−113870には、図10(a)、(b)に示すように磁石の底面が一定の角度をなす2つの平面51b、51cまたは52b、52cで構成された、あるいは(c),(d)に示すように底面の磁気吸着面に突起53d、54dを設けた“シーソー型マグネットホルダー”が開示されている。このような構成の磁石では、使用状態において、掲示物を下側から差し込む場合、掲示物の上端は支点で止まりそれ以上奥には入り込まない。そのような状態でも例えば用紙が数枚のように掲示物の厚さが薄い場合は問題なく保持できる。しかし、枚数が増え厚くなると、掲示物を差し込んだ場合、支点より反対側(上側)の磁石は、逆に保持側(下側)を持ち上げるように作用するため、掲示物を押さえ込む方向への復元力が急激に小さくなる。さらに、支点が常に被掲示体に接し、磁気吸着力が分散し掲示物の保持力が弱まる。そのため、折角、体積が大きな磁石を用いながら、保持力はその割に小さいといった欠点があった。
【0008】本発明のマグネットホルダーは上述の問題点に着眼して案出されたものであり、その目的は、■磁気吸着力が大きくかつ同時に被掲示体からの取り外しを容易にし、■ワンタッチでメモ等の紙片の脱着を可能にし、かつ■上面にも磁気吸着力を付与し、バインダークリップやゼムクリップ等のスチール製の紙片固定具で留めた用紙も、これらの部分をマグネットホルダーの上面に近づけるだけで、十分な強さで磁気吸着できる多目的に使えるマグネットホルダーを提供することにある。そして、このように上面に磁気吸着力を付与した場合、もし間違って反転させてしまった場合、取り外しにくくといった問題がつきまといやすいが、そのような問題をも解決したマグネットホルダーを提供することにある。
【0009】さらに、Nd系磁石の生産工程で、あるいは使用済みの家電やパソコン周辺機器等のエレクトロニクス機器から大量に発生するNd系磁石スクラップを有効に活用し、環境負荷の低減に役立つリサイクル、リユース技術を確立することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明のマグネットホルダーは、本体が非磁性材料で構成され、磁気吸着面が凸の湾曲面あるいは一部を平面としてその両側が湾曲面で形成され、上面が凹の曲面で形成され、かつ希土類磁石が本体に、その磁極面が直接あるいは軟質磁性材製のヨークを介し本体の両表面とほぼ同一かわずかに凹んだ位置となるように、埋め込まれてなることを特徴とする。
【00011】より具体的には、本発明のマグネットホルダーは、例えば、図1に吸着面が下になるように水平面上に置いた状態で第三角法にて描いた一例を示すように、本体の形状が、正面図では、(イ)下側が下に凸の滑らかな曲線を形成し、上面の輪郭線は上に凹の曲線であり、側面図では、(ロ)下側の輪郭線は水平線に接する直線であり、かつ(ハ)希土類磁石が側面図の中央に位置し、かつその磁極面が本体の両表面と同一かわずかに凹んだ位置となるように、埋め込まれていることを特徴とする。なお、(a)平面図の形状としては種々の形状が選択されるが、図1には代表的な例として円形の場合を示した。
【0012】あるいは、図2に他の例を示すように図1の磁気吸着面が湾曲面で構成されている代わりに中央部近傍がその幅が本体の幅の1/3未満の平面をなす曲面で構成されていることを特徴とする。
【0013】このように、磁気吸着面が外側に凸の曲面で形成されているため、被掲示体上に吸着させた状態で揺動し易く、例えば底面に隙間のある上面の端部を人差指で押すと同時に、他端部を親指で持ち上げることにより、マグネットホルダーを簡単に立ち上げることができる構造にしたものである。立ち上げた状態では、両指で掴み易く、また磁気吸着力がほとんど無くなるため、極めて容易に取り外すことができる。
【0014】また、本発明のマグネットホルダーは実際の使用状態において揺動方向が上下方向になるように被掲示体上に置き、上部を指で押さえ下側を持ち上げ、メモ等の掲示物の上端部を下側から差込んだ後に指を離すことで、固定することができる。取り外す時も、同様にして下側を持ち上げることで可能となる。このように脱着が極めて簡単になる。
【0015】本発明のマグネットホルダーでは、特に磁気吸着面を湾曲面で構成した場合、支点は磁石の中心に位置し、揺動させるときの力は極めて小さくて済む。また、磁気吸着面の中央の一部を平面で構成した場合も、その幅が狭く、てこの原理で小さな力で揺動させることができる。また、揺動とともに、支点が移動し、それとともに磁気吸着力が連続的に減少するため、極めて滑らかに揺動させることが可能となる。そのため、磁気吸着面を平面で構成した既存のマグネットホルダーのような、押して磁気吸着面を離した時に発生するような、音は発生しない。
【0016】一方、本発明のマグネットホルダーは、磁気吸着面を湾曲面で構成しているため、揺動操作により、しかも強力な磁気吸着力を有しているにもかかわらず小さな力で磁石の中心点を被掲示体表面から持ち上げ、掲示物が厚くても、容易に掲示物の上に磁石の中心点を乗り上げることが可能となり、保持力を大きくすることができる。また、磁気吸着面の中央の一部を平面で構成した場合も、その幅が狭く、てこの原理で比較的小さな力で揺動させ、さらに他の面が湾曲面で構成されているため、磁石の中心点を被掲示体表面から持ち上げることが可能となる。
【0017】本発明のマグネットホルダーは、第二に磁気吸着面の反対側を凹面で形成したことを特徴とする。磁気吸着面を凸の湾曲面とし残りの面を平面としたマグネットホルダーでは、平面側を被掲示体に吸着させてしまった場合、特に本発明のマグネットホルダーのように両面に磁気吸着力を付与した場合、取り外しが難しくなるといった問題が発生する。特に希土類磁石は小さくても強力な保持力を有するため、マグネットホルダー全体としても小型化薄型化が可能となる。しかし、このようなマグネットホルダーでは日常的な使用において、表裏を反転させてしまうといった事態が十分起こりうる。
【0018】本発明のマグネットホルダーでは、凹面側を被掲示体上に吸着させてしまった場合も、磁極が被掲示体と離れるため、磁気吸着力は小さい。しかも、特に平面形状として円形や楕円形、6角形、8角形を選択することによって、横方向(磁気吸着面の揺動方向に対して直角の方向)に揺動させることが可能であり、さらに磁気吸着力が弱くでき、また持ち上げた方の下部により大きな隙間ができるため、掴みやすく、極めて簡単に取り外しが可能となる。さらに、上面が凹の曲面で形成されていることから、取り外しのためあるいは掲示物を抜き差しするため、マグネットホルダーの上端部を押す場合、平らな場合より指で押しやすく、使い勝手が向上する。
【0019】
【発明の実施の形態】このように本発明のマグネットホルダーは、第一に磁気吸着面の全てを、あるいは一部を平面としてその大半を、湾曲面で構成したことを最大の特徴とする。次に、本発明のマグネットホルダーの特徴である上下両面に強力な磁気吸着力を持たせた理由について説明する。本発明のマグネットホルダーでは例えば用紙の上端部をバインダークリップで留め、このスチール製のクリップの部分を用いて容易に脱着が可能となる。バインダークリップのような留め具は極めて広く用いられており、用紙の保持力も強い。磁石に留める時は、磁気力が働き、近づけるだけで吸引保持し、離すときは、用紙を掴んで引っ張るだけで、目的を達することができる。そのため、例えば、スチール製デスクの脇に、本発明のマグネットホルダーを固定して、社内電話帳等の頻繁に用いる掲示物を脱着する際、目標から多少ずれても問題がなく、使い勝手が極めて良好となる。すなわち、椅子に座ったままの姿勢で手探りでも目的を達成することができるようになり便利となる。
【0020】次に、正面図における下側の下に凸の曲線の形状についてさらに詳細に説明する。
(第1の実施形態)曲線の具体的な形状として例えば、円弧とすることができる。あるいは、図1(b)に示す中心点C近傍の曲率半径を、その周辺部の曲率半径より大きくすることにより、例えば、直方体形状の磁極面が平らな磁石を、マグネットホルダーの表面より内側となるように磁石を埋め込んだ場合も、被掲示体と磁石との距離をより広い面積にわたり小さくして、磁気吸着力を高めることが可能となる。さらに、より望ましくは、中心点Cから離れるにつれて、連続的にその部分の曲率半径が小さくなるような曲線とすることもできる。そのような形状の例として、楕円の曲率半径が最も大きな部分を含む曲線とすることが可能である。あるいは放物線を選ぶこともできる。このような曲線形状を選択すると、実際に使用する場合、掲示体の抜き差しやマグネットホルダーの脱着のために、マグネットホルダーの上面の片側を押して揺動させた時に、その動きが滑らかとなり、使い勝手が良好となる。
【0021】底面の湾曲面の形状は、取り外し易さを考慮し、揺動させた時に指をかけやすくするため、持ち上げた部分の底面端部と被掲示体との間に生じる隙間が適度に大きくなるように決める。種々の形状のマグネットホルダーを試作して、取り外し易さを検討した結果、図1(b)に示すように両端部の湾曲面への接線が平面との成す角度、すなわち取り外しのために揺動させる時の角度θ(以後、揺動角θと呼ぶ)が10〜45度の範囲内から選択するのが望ましいことが知られた。さらに望ましくは10〜40度の範囲内から選択する。なお、図中31は軟磁性材料からなるヨークである。ヨークについては後で詳説する。
【0022】(第2の実施形態)本発明のマグネットホルダーの他の例では、図2(b)正面図に示すように吸着面が下になるように水平面上に置いた状態で第三角法にて描いた本体の形状が、下側の中央部が水平線に接する直線でその左右両側が下に凸の滑らかな曲線で形成する。立体的には、図1の吸着面の凸の湾曲面の中央部のみを平面で構成したものである。
【0023】中央部の平面部の幅は、本体の幅の1/3未満とする。1/3以上だと、マグネットホルダーの上面片側を押して揺動させる際、大きな力を必要とし、取り外しが難しくなるからである。さらに、望ましくは平面部の幅は本体の幅の1/4以下とする。なお、平面部の幅は、後述するように直方体形状の磁石を埋め込む場合、磁石の横幅に等しいかそれより僅かに大きくすることにより、磁石の磁極の全面で本体の表面のレベルと一致させることが可能となり、磁気吸着力を最大に高めると同時に揺動範囲を広くできるようになる。
【0024】なお、特開平11−11072には、本体の裏面もしくは外周縁に沿って面取り部が設けられたマグネットホルダーが開示されている。しかしながら、面取り部は用紙を差し込みやすくする目的で設けられており、その幅も狭い。面取り部を広く、あるいは表面全体を湾曲面あるいは一部平面を含む曲面で構成することにより、スムーズな揺動が可能となり、マグネットホルダーの被掲示体からの取り外しが極めて容易になるという本発明に特有の機能が生じることには言及されていない。
【0025】次に、マグネットホルダー本体の平面図形状について説明する。本発明の本体の形状は、水平面に磁気吸着面を下にして描いた平面図における代表的な形状として円形を選択する。平面形状を円形とする場合、直径としては10mm以上とするのが望ましい。希土類磁石の磁気吸着力を示す磁気エネルギー積は大きく、直径10mmの本体に埋め込むのに適した例えば直径が5mm程度未満の磁石でも十分な保持力を有するが、本体の直径が小さすぎると掴みにくく取り外しが難しくなるためである。さらに望ましくは直径は15mm以上とする。本発明のマグネットホルダーは径を大きくして、それに比例して大きな磁石を埋め込んでも、取り外しが容易であるため、最大径は特に規定されない。但し、小さくても十分な磁気吸着力を有し、大きくするに従って、被掲示体に掲示物を固定するとき覆い隠す面積が増え、またコストパフォーマンスが低下するため、直径50mm程度以下を目安とする。
【0026】(第3の実施形態)あるいは図3に一例を示すように左右上下に鏡面対称の8角形あるいは6角形が望ましい形状として選択される。なぜならば、このような平面形状の場合、本発明のように磁気吸着面と反対側を凹面で形成することと相俟って、反対側を吸着させてしまった場合も、磁気吸着面の揺動方向と90度方向に揺動させることが可能となり、取り外しが容易になるからである。さらに、円形は最も単純な形状であり、射出成型法等の方法で制作する場合も金型の製作も含めて容易であるからである。一方、8角形や6角形はデザイン性からも優れているからである。なお、図3には平面図の上下、左右方向に8角形の辺が位置する例を示したが、それを45度回転させた、平面図の上下、左右方向に8角形の点が位置する例もより好ましい形状として推奨される。6角形についても同様である。本発明のマグネットホルダーの平面形状はこれらの形状に限定されず、例えば長径と短径の比が1から大きくずれない範囲で楕円形状とすることもできる。あるいは、長方形を選択することもできる。
【0027】平面図形状として、上下方向の中心線に鏡面対称であると同時にそれに直交する中心線にも鏡面対称な6角形あるいは8角形として、例えば正6角形や正8角形やそれを縦あるいは横方向に一定の比率で拡大あるいは縮小変形させた図形を挙げることができる。ただし、対称性が増すことから、その時の拡大あるいは収縮の変形率は0.7〜1.4以内さらに望ましくは0.8〜1.2以内とするのが望ましい。
【0028】なお、8角形の場合、正4角形あるいはそれを一方向に引き延ばした長方形を基本形状として、その4隅を長方形の縦方向と横方向の中心線に鏡面対称となるようにカットした形状も望ましい形状として選択しうる。この場合も、基本となる長方形が正四角形から大きくずれない範囲、すなわち長方形の長辺lおよび短辺sの比l/sは1.4以下とするのが望ましい。
【0029】これらの6角形や8角形の大きさは、円形の場合と同様な理由から、小さすぎると掴みにくく取り外しが難しくなるため、正面図における幅Wおよび側面図における幅Wのうち小さい方の値が10mm以上さらに望ましくは15mm以上となるようにする。最大の大きさは特に規定されないが、円形の場合と同様な理由から、WとWのうちの大きい方の値が50mm程度以下を目安とする。本発明は、正面図形状と側面図形状が最も重要であり、既に述べたように平面図形状については上記の例に限定されない。
【0030】本発明のマグネットホルダーでは正面図における下側の下に凸の曲線と、上側の凹の曲線を、それぞれの中心線に対し鏡面対称とした場合、上下、左右方向の区別がなくなり、使い勝手を向上させることができる。なお、既にこれらの曲線として円弧や楕円でかつ曲率半径が最も大きな部分を含む曲線の例を挙げたが、これらの曲線は中心線に対し鏡面対称となる条件を満足する。
(第4の実施形態)一方、図4に示すように磁石の位置を正面図の中央からずらし、片側に寄せた場合は、(b)正面図の右側の揺動角θが右側の揺動角θより大きくなり、左側方向の揺動範囲が広がる。また、てこの原理でマグネットホルダーを持ち上げるための押圧力も小さくて済み、クリップ機能を重視した用途にはより適している。このように、目的によって使い分けることができるため、このようなマグネットホルダーも本発明に含まれる。
【0031】次に、本発明のマグネットホルダーの本体中央部に埋め込む希土類磁石について説明する。これらの磁石としては、例えば厚さ(高さ)方向に着磁した直方体形状の磁石を用いることができる。そして、磁石の寸法を縦幅a×横幅b×厚さc、かつa>b、着磁方向を厚さc方向とした場合、図1〜図4に示した例のように正面図の左右方向がb方向となるように、すなわち側面図では左右方向がa方向になるように、磁石を本体に埋め込むように構成する。このような構成とすることにより、湾曲面を広く、したがって揺動範囲を広くすることが可能となり使い勝手が向上する。
【0032】(第5の実施形態)あるいは、図5に示すように、モーターの磁界形成用に用いられるのと同様な、断面がC字形状のいわゆるアークセグメント形状の磁石を用いることができる。図には、このような形状の磁石を用いて、図1〜図4と同様に、上面にヨークを配置した例を示した。このような、アークセグメント形状の磁石は両面が湾曲面で形成されているため、そのまま、本発明のマグネットホルダーの湾曲面に合わせて用いることができる。
【0033】次に、本発明のマグネットホルダーに用いる軟質磁性材製のヨークの形状について説明する。本発明のマグネットホルダーでは、希土類磁石の片側に軟質磁性材料製のヨークを配置し、その際、そのヨークの寸法と希土類磁石の寸法との比較において(イ)正面図ではヨークの左右方向の寸法が希土類磁石の左右方向の寸法より小さく、かつ側面図ではヨークの左右方向の寸法が希土類磁石の左右方向の寸法より大きく、あるいは(イ’)正面図ではヨークの左右方向の寸法が希土類磁石の左右方向の寸法より大きく、かつ側面図ではヨークの左右方向の寸法が希土類磁石の左右方向の寸法より小さく、かつ(ロ)ヨークの外側がマグネットホルダー本体の表面とほぼ同一面となるように本体に埋め込むことができる。
【0034】なお、ヨーク材としては、例えばJIS C2504に規定する電磁軟鉄板やJIS G3141に規定する冷間圧延鋼板を用いることができる。あるいは、磁性ステンレス鋼であるSUS430等のフェライト系ステンレス鋼を用いることができる。特にSUS444等のC、N等の侵入型不純物元素を低減したフェライト系ステンレス鋼がより最適な材料として選択しうる。特に、フェライト系ステンレス鋼は耐食性が優れており、メッキ等の表面処理を施すことなく使用できる利点がある。
【0035】既に図1〜図4に示したマグネットホルダーでは、正面図ではヨークの左右方向の寸法を磁石の左右方向の寸法より若干大きく、側面図では反対に磁石より若干小さくしたヨークを配置した例を示した。このような寸法のヨークを選ぶことにより、磁石の磁気吸着力を利用して、磁石とヨークを同時に本体に強固に固定することができるようになる。なぜなら、磁石を本体から取り外そうとしても、磁石に強固に吸着されているヨークが本体に引っかかり、一方反対にヨークを引き出そうとする場合、磁石が本体に引っ掛かり、本体から外れなくなるためである。なお図1〜図4とは反対に、図5の例のように正面図では磁石より左右方向の寸法を小さくし、一方側面図では磁石より左右方向の寸法を大きくしても同様である。なお、磁石とヨークの接触面積は、両者の吸着力を増すため、磁石の表面積の50%以上、さらには60%以上となるようにするのが望ましい。
【0036】このような構成のマグネットホルダーを作製するには、あらかじめ、磁石とヨーク形状に合わせてキャビティを形成した本体を射出成型等の方法で製作し、それぞれのキャビティに着磁した磁石とヨークを挿入すれば良い。このように、極めて簡単に作製できる。あるいは、本体を射出成型する際、磁石とヨークを一体成型しても良い。なお、磁石の着磁は磁石を本体に固定してから、マグネットホルダー全体を着磁器に装入して、実施しても良い。
【0037】本発明のマグネットホルダーでは希土類磁石の両側に軟質磁性材料製のヨークを配置し、かつヨークの外側がマグネットホルダー本体の表面とほぼ同一面となるように本体に埋め込むように構成することもできる。このような構成の場合、前記の片側にヨークを配置する場合と同様な寸法形状のヨークを配置し、その反対側には例えば横a×縦b×厚さcの直方体形状の磁石を用いる場合(ただしa>b、厚さc方向に着磁)、ヨーク形状を横a’×縦b’×c’として、a’>a、b’≧bあるいはa’≧a、b’>bとすることにより、本体を射出成型等の方法で、作製した後、別途準備した磁石やヨークを本体に装着することができるようになる。
【0038】(第6の実施形態)あるいは、両面にヨークを配置する場合は、図6に一例を示すように両側のヨークとも正面図あるいは側面図における左右方向の寸法を大きくしても、磁気吸着力のみで、磁石やヨークを本体に固定できるようになる。また、本体を射出成型法等の方法で作成してから、磁石やヨークを装着できるようになる。なお、本体を成型する際、磁石やヨークを一体成型すれば、ヨーク形状を磁石の寸法より小さくしても、本体に強固にこれらの部材を固定できるようになるため、ヨーク形状は上記の例に限定されない。なお、例えば直方体形状の磁石を用いる場合、磁気吸着面側に配置するヨークの形状は本体の湾曲面に合わせ作製することにより、揺動がスムーズなマグネットホルダーとすることが可能となる。
【0039】既存のプラスティック本体の裏面に凹部を設けその部分にNd系磁石を接着剤で固定したマグネットホルダーの場合、Nd磁石の磁気吸着力は極めて強いため、脱着の回数が増えるとともに、被掲示体への吸着力に接着剤の強度が耐えず接着部で剥がれたり、あるいは磁石のメッキ膜が剥離してしまい、使えなくなるといった問題が発生しやすかった。既に説明したような寸法のヨークを配置した本発明のマグネットホルダーの場合、磁石はヨークに磁気吸着力でも保持されるようになり、そのような問題を心配する必要はなくなる。
【0040】なお、磁石の両側にヨークを配置した構成とした場合、磁石は外部に露出しないようになる。希土類磁石は、概して脆く、また耐食性に劣る。通常、Niメッキ等の表面処理が施されるが、マグネットホルダーの使用状態によっては、磁石が露出している場合、メッキが剥げたりして、錆びが発生する可能性もある。上記のような構成とすることにより、磁石が表面より露出しないようになり、耐久性をさらに向上することができる。
【0041】また、軟質磁性材製のヨークの場合、加工性が良好であり、マグネットホルダー本体の表面形状に合わせた形状とすることも容易である。それにより、磁石の形状についても自由度が増す。例えば、単純な直方体形状の磁石を用いる場合でも、図6に示した例のようにヨークの表面に露出する側を本体表面形状に合わせ作製すれば、取り外しのための揺動がスムーズに行えるマグネットホルダーとすることができるようになる。
【0042】なお、本発明のマグネットホルダーに用いる希土類磁石は1個に限定されず、2個以上の希土類磁石を厚さ方向に重ねて用いることもできる。一般的に希土類磁石は大きさの割に着磁方向の厚さの薄い磁石が多く、このような構成とすることにより、特に使用済みの磁石や磁石製造工程で発生するスクラップを素材として再利用する場合、使える素材の範囲が広がり、材料費の節減を図ることができる。
【0043】(第7の実施形態)さらに、図7に示すように、希土類磁石の両磁極面を2枚の軟質磁性材製のヨーク板材で挟み、そのヨーク板材の端面がマグネットホルダー本体の両表面とほぼ同一面で露出するように構成することも可能である。この方式以外の磁石の場合、着磁方向は、全てマグネットホルダー本体の厚さ方向であるのに対し、この方式では、磁石の着磁方向は本体の厚さ方向に直角の方向となり、本体の両表面にそれぞれN極とS極の両磁極が現れる点が異なる。
【0044】さらに、上記方式では、ヨークより磁石がはみ出さないよう設計することにより、磁石は本体に完全に埋め込まれた形となる。このように磁石は外気から遮断されるため、例えば、磁石はメッキしなくても腐食することなく、製造コストの低減が可能となる。厳密には、ヨークの上端面と下端面のみからはみ出さないような形状寸法の磁石を選択すれば良いことになり、そのような磁石は全て、本方式のマグネットホルダーに用いることができる。また、薄い磁石を2枚以上重ねて用いることもできる。あるいは並列に並べて用いることもできる。このように、磁石の選択範囲が広がることも、本方式のマグネットホルダーの大きな利点となる。
【0045】なお、図7に示した例のように、軟質磁性材製のヨークの端面を本体に合わせ湾曲面で形成した場合、極めて小さい力で揺動が可能となり、しかも十分な磁気吸着力を保ち、使い勝手がさらに向上する。
【0046】ところで、代表的な希土類磁石のNd系磁石の大半が、ハードディスクドライブのヘッドの駆動機構であるボイスコイルモーター(VCM)に用いられている。そして、VCM磁石の場合、品質が厳しく、規格外品の発生率も大きい。そのため、磁石のスクラップの中でも、VCM磁石の占める比率が圧倒的に大きい。また、使用済みのHDDからのVCM磁石の回収再利用も重要な課題とされている。しかしながら、VCM磁石の場合、扇型をした特殊な形状をしており、ディスク状、リング状、直方体形状等の比較的単純な形状の磁石より、回収再利用は難しい。
【0047】上記、ヨークで挟む構造の磁石の場合、例えば、図8のようにVCM磁石から切り出した磁石も有効活用することが可能となる。図8(b)は磁石のVCM磁石の外側のアール部をそのまま利用し、直線で切り出す方法であり、図8(c)は切断歩留まりを向上することを目的とし、VCM磁石のアール部にほぼ平行に、例えばワイヤーカット等の方法で曲線状に切り出し、さらにそれを分割し小片磁石として利用する方式であり、図8(d)は切断効率を重視し、最初にマルチソーで切断し最終的に直方体形状の磁石とする方式である。なお、図8(b)あるいは(d)の切断方法により得られる直方体形状の磁石は、図1、図2、図3、図4、図6に示す直方体形状の磁石を用いる方式のマグネットホルダーに用いることができる。また図8(b)の切断方式で得られる片側の端部が凸状の曲線状の磁石片、あるいは図8(c)の切断方式で得られる、アーク状の磁石片は、図7の方式のマグネットホルダーに用いるのが望ましい。
【0048】工業的に生産されている希土類磁石としては、Nd系磁石の他にSmCo系磁石が存在する。前者の方が磁気特性が優れ、安価でかつ機械的特性も優れれいるため、本発明のマグネットホルダーとしてより適している。これらの希土類磁石は一般的に粉末冶金法を用いて製造される。すなわち原料合金の微粉砕、磁場中成型、焼結、熱処理、表面処理等のプロセスを経て製造される。本発明のマグネットホルダーも同様な方法を用いて製造することができる。さらに、VCM磁石の例を示したように、磁石の製造工程でメッキ不良、コーナー部の割れ欠け、寸法不良等の原因で発生する磁石スクラップを素材として切削加工や研削加工等により製造することができる。あるいは、使用済の機器から取り出した磁石スクラップを用いることもできる。
【0049】本発明のマグネットホルダーのような事務用品に希土類磁石を用いる場合、産業用の用途と比べて磁気特性に対する品質基準は極めて緩く、また寸法精度等の基準も緩くて済む。また本発明のマグネットホルダーの場合、種々の形状あるいは寸法のものを使うことができ、希土類磁石スクラップのリユース方法として適している。
【0050】従来、このようなNd系磁石スクラップのリサイクル方法として、再溶解法(例:特開平08−31624)や粉砕して磁石製造工程に戻すといった技術(例:特開平06−340902)が提案されている。しかし、極めて歩留まりが悪かったり、得られる磁石の特性が低下するため、現実には経済的な手法として確立しているとは言えない状況にあった。地球環境負荷低減のためにも、これらのNd系磁石の有効なリサイクル技術、リユース技術の確立が望まれており、本発明はそのような趣旨にも添ったものである。
【0051】Nd系磁石は、一般的に化学的に活性なNdを始めとしてDy、Pr等の希土類元素を30〜32wt%程度含有し、そのため概して耐食性が劣る。そのため、切断や研削加工後は、ニッケルメッキ等の防錆対策を施すことが望ましい。なお、Nd系磁石によっては耐食性と同時に耐熱性を向上する目的で、Coを添加した磁石が主流になってきており、そのような磁石では、特に本発明のようにマグネットホルダーとして用いる場合、ニッケルメッキ処理せずに、塗装等の方法で済ますこともできる。
【0052】特に、希土類磁石の両磁極面を挟むように2枚の軟質磁性材料よりなるヨーク板材で挟み、そのヨーク板材の端面がマグネットホルダー本体の両表面と同一面で露出するように構成した場合、磁石はプラスティック本体に埋め込まれ、外気には直接触れないため、ニッケルメッキ等の表面処理を施さなくても十分使用に耐える。
【0053】本発明の非磁性材製の本体としては、プラスチックが適している。プラスチックの材質としてはアクリル、ポリプロピレン、塩化ビニールあるいはポリカーボネイト等の材料を用いることもできる。
【0054】以下に、本発明のマグネットホルダーの実施形態について実施例を用いてさらに詳細に説明する。なお、作製したマグネットホルダーの保持力の測定方法として、以下に述べる2種類の方法を採用した。
【0055】(試験方法1)簡単でかつ実用的な方法として、鉛直方向にセットされたスチール製のホワイトボードを用いて、A4サイズのコピー用紙の上をマグネットホルダーで押さえ、用紙を何枚固定保持できるか調べた。なお、試験に用いたA4サイズの用紙の1枚あたりの重さは4.2g、厚さは0.083mmであった。
【0056】(試験方法2)試験方法1で用いたのと同じコピー用紙の上端部をバインダークリップで留め、このクリップの部分をホワイトボードに固定したマグネットホルダー上面に磁気吸着させ何枚のコピー用紙を保持できるか調べた。ただし、バインダークリップは事務用品として市販されているものの中から最も小さいもの((株)ライオン事務器製:バインダークリップNo.105)を選定した。さらに、バインダークリップの代わりにゼムクリップを用いて同様にしてA4サイズの用紙を何枚保持できるか調べた。なお、ゼムクリップは事務用品として汎用されている、外形幅6.3mm、長さ23.5mmのものを用いた。ただし、試験に用いたバインダークリップとゼムクリップで固定保持できる用紙の枚数はそれぞれ約60枚および20枚であり、それ以上ではマグネットホルダーにクリップが残ったまま用紙が落下してしまうため、そのような場合それぞれ“≧60枚”および“≧20枚”と表示した。
【0057】
【実施例】(実施例1) (図1参照)
配向方向が厚さ方向で、寸法が厚さ3mm×幅5mm×長さ16mmの直方体形状のNd系磁石21と、厚さ1.5mmのフェライト系ステンレス鋼SUS444の鋼板を素材として幅7mm×14mmの長方形に切り出したヨーク31を準備した。次に、予め準備したシリコンゴム製の鋳型を用いて、市販されているポリエステル系樹脂((株)土筆レジン手芸研究所製“ポリテル”)を流し込み図1に模式的に示す形状のマグネットホルダー用本体11aを作製した。なお、鋳込みの際、磁石21とヨーク31がセットされる部分がキャビティになるように造り込んだ。そして、図1(a)平面図における本体11aの直径は30mmとし、図1(b)正面図における本体11aの下側曲線は中央部の曲率半径が35mm、周辺部は約25mmのスムーズな曲線となるように、本体11aの上側曲線は曲率半径約40mmの曲面となるように、かつ中央部の厚さが4.8mmとなるように成形した。揺動角θは約29度であった。その後、ヨーク31を本体11aの凹面側のキャビティに、着磁した磁石21を凸面側のキャビティにセットしてマグネットホルダー11を得た。
【0058】マグネットホルダー11について、試験方法1および2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、試験方法1ではA4の用紙を17枚と十分な保持力を有することが分かった。特に、試験方法2ではバインダークリップの場合はA4の用紙を45枚、ゼムクリップのような小さな留め具で留めた場合でもA4の用紙を18枚も固定保持できることが分かり、強力な保持力を有することが分かった。さらに、このように強力な保持力を有しているにもかかわらず、用紙を用いずに直接ホワイトボードに留めた場合でも、磁気吸着面が下に凸の曲面で形成されているため揺動し易く、底面に隙間のある端部の上部を人差指で押すと同時に、他端部を親指で持ち上げることにより、マグネットホルダーを立ち上げ、両指で掴み、容易に取り外すことができた。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、被掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。さらに、このように凸側の磁気吸着面と反対側も強力な磁気吸着力を有するにも拘わらず、反転させた場合は、磁気吸着力が弱まり、その上磁気吸着面の揺動方向とは直角方向に揺動させることができ隙間が広がるため、掴みやすく取り外しが極めて容易であった。
【0059】
【表1】

【0060】(実施例2) (図2参照))
実施例1と同じ形状の希土類磁石22とヨーク32を準備した。また、同様な製造方法にて本体12aを作製した。但し、図2に示すように(a)平面図における本体12aの直径は30mmとし、(b)正面図における本体12aの下側曲線は中央部の一部を幅6mmの直線12cとし、その左右を曲率半径が30mmから25mmに連続的に変化させた滑らかな曲線12bとなるように、本体12aの上側曲線は中央部の幅8mmの直線12dとしその左右が曲率半径約40mmの曲線12eとなるように、かつ中央部の厚さが4.5mmとなるように成形した。揺動角θは約28度であった。その後、ヨーク32を本体12aの凹面側のキャビティにセットし、着磁した希土類磁石22を凸面側のキャビティにセットしてマグネットホルダー12を得た。
【0061】マグネットホルダー12について、試験方法1および2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、試験方法1ではA4の用紙を19枚と十分な保持力を有することが分かった。特に、試験方法2ではバインダークリップの場合はもちろんのことゼムクリップのような小さな留め具で留めた場合でも18枚も固定保持できることが分かり、強力な保持力を有することが分かった。さらに、このように強力な保持力を有しているにもかかわらず、被掲示体上で揺動し易く、取り外しが容易であることが分かった。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、被掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。反転させた場合も、実施例1と同様、取り外しが容易であった。
【0062】(実施例3) (図3参照))
配向方向が厚さ方向で、寸法が厚さ3mm×幅6mm×長さ12mmの直方体形状のNd系希土類磁石23と、厚さ1.5mmのフェライト系ステンレス鋼SUS444の鋼板を素材として幅7mm×10mmの長方形に切り出したヨーク33を準備した。また実施例1と同様な製造方法にて本体13aを作製した。但し、図3に示すように(a)平面図において本体13aは対辺25mmの正8角形とし、(b)正面図における本体13aの下側曲線は中央部の一部を幅8mmの直線13bとし、その左右を曲率半径が30mmから25mmに連続的に変化させた滑らかな曲線13cとなるように、本体22aの上側曲線は中央部の幅8mmの直線13dとしその左右が曲率半径約40mmの曲線13eとなるように、かつ中央部の厚さが4.5mmとなるように成形した。揺動角θは約25度であった。その後、ヨーク33を本体13aの凹面側のキャビティにセットし、着磁した希土類磁石23を凸面側のキャビティにセットしてマグネットホルダー13を得た。
【0063】マグネットホルダー13について、試験方法1および2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、試験方法1ではA4の用紙を15枚と十分な保持力を有することが分かった。特に、試験方法2ではバインダークリップの場合はもちろんのこと、ゼムクリップのような小さな留め具で留めた場合でもA4の用紙を17枚も固定保持できることが分かり、強力な保持力を有することが分かった。さらに、このように強力な保持力を有しているにもかかわらず、被掲示体上で揺動し易く、取り外しが容易であることが分かった。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、被掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。反転させた場合も、取り外しが容易であった。
【0064】(実施例4) (図5参照)
Nd系磁石スクラップの中から、幅12mm×長さ12mm×厚さ3.2mmで、曲率半径40mmに円弧を描いたセグメント状の希土類磁石25を選び出した。磁場配向方向は厚さ方向であった。また、厚さ1.5mmのフェライト系ステンレス鋼SUS444の鋼板を素材として幅10mm×長さ14mmの長方形に切り出した後、プレス加工にて幅方向に曲率半径40mmに成形したヨーク35を準備した。また実施例1と同様な製造方法にて本体15aを作製した。但し、図5に示すように(a)平面図において本体15aは直径30mmの円形とし、(b)正面図における本体15aの下側曲線は磁石形状に合わせて中央部の曲率半径を40mmとし、その左右を曲率半径が40mmから30mmに連続的に変化させた滑らかな曲線となるように、本体25aの上側曲線は曲率半径約40mmの曲線となるように、かつ中央部の厚さが4.5mmとなるように成形した。揺動角θは約26度であった。その後、ヨーク35を本体15aの凹面側のキャビティにセットし、着磁した希土類磁石25を凸面側のキャビティにセットしてマグネットホルダー15を得た。
【0065】マグネットホルダー15について、試験方法1および2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、試験方法1ではA4の用紙を26枚と十分な保持力を有することが分かった。特に、試験方法2ではバインダークリップの場合はもちろんのこと、ゼムクリップのような小さな留め具で留めた場合でもA4の用紙を20枚以上も固定保持できることが分かり、強力な保持力を有することが分かった。さらに、このように強力な保持力を有しているにもかかわらず、被掲示体上で揺動し易く、取り外しが容易であることが分かった。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、被掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。反転させた場合も、実施例1と同様、取り外しが容易であった。
【0066】(実施例5) (図7参照)
フェライト系ステンレス鋼SUS444の厚さ1.2mmの鋼板を素材として、幅10mm×15mmの長方形を切り出し、片側の端面を曲率半径が35mmの凸状に反対側を曲率半径40mmの凹状に研削加工しヨーク37a,37bとした。また、配向方向が厚さ方向で、寸法が厚さ4mm×幅5mm×長さ10mmの直方体形状のNd系希土類磁石27を着磁し、両側に前記ヨーク37a,37bをセットし、予め準備したシリコンゴム製の鋳型を用いて、実施例1と同じポリエステル系樹脂を流し込み図7に模式的に示す形状のマグネットホルダー17を作製した。本体の直径は30mmである。図7(b)の正面図の本体の下側は中央部の曲率半径が35mm、周辺部は約25mmのスムーズな曲線となるように、鋳込み成型後さらに研削加工により仕上げた。一方、側面図の上面の曲線は曲率半径約40mmの曲面となるように、成型後研削加工により仕上げを行った。揺動角θは約27度であった。
【0067】マグネットホルダー17について、試験方法1および2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、いずれの試験結果においても十分な保持力を有することが分かった。さらに、このように強力な保持力を有しているにもかかわらず、被掲示体上で極めて小さい力で揺動し易く、取り外しが容易であることが分かった。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、被掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。反転させた場合も、実施例1と同様、取り外しが容易であった。
【0068】(比較例1)実施例1および2の素材として用いたのと同じ直方体形状のNd系焼結希土類磁石を用いて、そのままの状態で保持力を調べた。その結果は表1に示すように、試験方法1では実施例1あるいは2よりやや保持力は小さいものの、試験方法2では実施例1および2の結果を僅かではあるが上回る結果を示した。しかしながら、ホワイトボードに取り付けた状態では素手では取り外すことができなかった。取り外すためには、ペンチ等の道具を用いて取り外す必要があり、極めて使い勝手が悪かった。
【0069】(比較例2) (図9参照)
Nd系焼結希土類磁石29を円形プラスチックの本体50aの片側の偏心した位置に開けた空洞部に接着剤で固定した図9に示すマグネットホルダー50(市販品、コクヨ製、商品名“カラーマグネット”)を用いて、試験方法1および2にて試験を行った。本体部の外径は30mm、厚さは6.2mmであり、希土類磁石29を取り出し寸法を測定した結果、直径10mm×厚さ2.1mmであった。保持力の試験結果は表1に示すように、当該マグネットホルダーは試験方法1では本発明のマグネットホルダー11〜17に比べてその保持力は小さいものの十分実用的な保持力を有していた。しかし、試験方法2ではほとんど保持力を示さず、折角強力なNd系焼結磁石を用いているにもかかわらず、利用方法が限定されることが分かった。また、使用を繰り返す内に、メッキが剥離したりして磁石が本体から脱落し、使えなくなる頻度が高かった。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のマグネットホルダーは極めて大きな磁気吸着力を有するにもかかわらず被掲示体からの取り外しが容易である。また、マグネットホルダーの表側も磁気吸着力を有する。そのため、バインダークリップのような汎用留め具で留めた用紙も、これらの磁性部をマグネットホルダーの上面に吸着させることにより十分な保持力で固定できる特長を有する。しかも、近づけるだけで、磁気吸引力が働き、極めて容易に固定できる。さらに用紙を引っ張ることにより、簡単に外すことができる。また、マグネットホルダーを揺動させることで、掲示物の脱着が可能となり、使い勝手は極めて良好となる。
【0071】さらに、Nd系磁石の生産工程で、あるいは使用済みの家電やエレクトロニクス関連機器から大量に発生するNd系磁石スクラップを有効に活用し、リユース、リサイクルを可能にするため、地球環境への負荷低減にも役立ち、かつ貴重かつ高価なNd系磁石を使っているにもかかわらず、安価とすることができる。
【0072】
【出願人】 【識別番号】500560691
【氏名又は名称】広瀬 洋一
【出願日】 平成13年12月24日(2001.12.24)
【代理人】
【公開番号】 特開2003−182276(P2003−182276A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−402970(P2001−402970)