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【発明の名称】 樹脂製書類フォルダ、および樹脂製書類フォルダ用シート
【発明者】 【氏名】深津 文起

【氏名】鈴木 呂昌

【要約】 【課題】印刷された紙等を貼付する必要がなく、インクジェット等のプリンタで直接印刷可能な樹脂製書類フォルダを提供すること。

【解決手段】1つの角隅部Aから延びる2辺が封止部21、22とされた平面矩形状の樹脂製書類フォルダ2は、該樹脂製書類フォルダ2を構成するシート20の内側面の少なくとも一部分に、吸水性または吸油性を有し、鉛筆硬度がH以上、厚みが0.2mm以下(乾燥時)のインク受容層が形成され、前記シート20の厚さが0.05mm〜2mmとされている。インク受容層が鉛筆硬度H以上、乾燥時の厚みが0.2mm以下であり、シート20の内側面に形成されることにより、油性または水性のどちらのインクでも自由な記載、印刷ができるとともに、インクがにじみにくく、かつ表面強度の高い樹脂製書類フォルダを提供することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】1つの角隅部から延びる2辺が封止部とされた平面矩形状の樹脂製書類フォルダであって、該樹脂製書類フォルダを構成するシートの内側面の少なくとも一部分に、吸水性または吸油性を有し、鉛筆硬度がH以上、厚みが0.2mm以下(乾燥時)のインク受容層が形成され、前記フォルダの総厚みが0.05mm〜2mmであることを特徴とする樹脂製書類フォルダ。
【請求項2】請求項1に記載の樹脂製書類フォルダにおいて、前記インク受容層は、該インク受容層に印刷を施すと、印刷面の反対側から印刷像が視認可能に形成されていることを特徴とする樹脂製書類フォルダ。
【請求項3】請求項1に記載の樹脂製書類フォルダにおいて、前記インク受容層は、該インク受容層に印刷を施すと、印刷面およびこの印刷面の反対側から印刷像が視認可能に形成されていることを特徴とする樹脂製書類フォルダ。
【請求項4】隣合う2つの角隅部から延びる3辺が封止部とされた平面矩形状の樹脂製書類フォルダであって、該樹脂製書類フォルダを構成するシートの内側面の少なくとも一部分に、吸水性または吸油性を有し、鉛筆硬度がH以上、厚みが0.2mm以下(乾燥時)のインク受容層が形成され、前記フォルダの総厚みが0.05mm〜2mmであることを特徴とする樹脂製書類フォルダ。
【請求項5】請求項4に記載の樹脂製書類フォルダにおいて、前記インク受容層は、該インク受容層に印刷を施すと、印刷面の反対側から印刷像が視認可能に形成されていることを特徴とする樹脂製書類フォルダ。
【請求項6】請求項4に記載の樹脂製書類フォルダにおいて、前記インク受容層は、該インク受容層に印刷を施すと、印刷面およびこの印刷面の反対側から印刷像が視認可能に形成されていることを特徴とする樹脂製書類フォルダ。
【請求項7】請求項1〜請求項6のいずれかに記載の樹脂製書類フォルダにおいて、前記インク受容層の厚さは、0.005mm〜0.05mmであることを特徴とする樹脂製書類フォルダ。
【請求項8】1つの角隅部から延びる2辺が封止部とされた平面矩形状の樹脂製書類フォルダを作成するための樹脂製書類フォルダ用シートであって、フォルダ作成時にシートの内側面となる部分に、吸水性または吸油性を有し、鉛筆硬度がH以上、厚みが0.2mm以下(乾燥時)のインク受容層が形成され、シート厚さが0.025mm〜1mmであることを特徴とする樹脂製書類フォルダ用シート。
【請求項9】請求項8に記載の樹脂製書類フォルダ用シートにおいて、前記インク受容層は、該インク受容層に印刷を施すと、印刷面の反対側から印刷像が視認可能に形成されていることを特徴とする樹脂製フォルダ用シート。
【請求項10】請求項8に記載の樹脂製書類フォルダ用シートにおいて、前記インク受容層は、該インク受容層に印刷を施すと、印刷面およびこの印刷面の反対側から印刷像が視認可能に形成されていることを特徴とする樹脂製フォルダ用シート。
【請求項11】隣合う2つの角隅部から延びる3辺が封止部とされた平面矩形状の樹脂製書類フォルダを作成するための樹脂製書類フォルダ用シートであって、フォルダ作成時にシートの内側面となる部分に、吸水性または吸油性を有し、鉛筆硬度がH以上、厚みが0.2mm以下(乾燥時)のインク受容層が形成され、シート厚さが0.025mm〜1mmであることを特徴とする樹脂製書類フォルダ用シート。
【請求項12】請求項11に記載の樹脂製書類フォルダ用シートにおいて、前記インク受容層は、該インク受容層に印刷を施すと、印刷面の反対側から印刷像が視認可能に形成されていることを特徴とする樹脂製フォルダ用シート。
【請求項13】請求項11に記載の樹脂製書類フォルダ用シートにおいて、前記インク受容層は、該インク受容層に印刷を施すと、印刷面およびこの印刷面の反対側から印刷像が視認可能に形成されていることを特徴とする樹脂製フォルダ用シート。
【請求項14】請求項8〜請求項13のいずれかに記載の樹脂製書類フォルダ用シートにおいて、前記インク受容層の厚さは、0.005mm〜0.05mmであることを特徴とする樹脂製書類フォルダ用シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、樹脂製書類フォルダ、およびこの樹脂製書類フォルダを作成するための樹脂製書類フォルダ用シートに関する。
【0002】
【背景技術】近年、コンピュータとインクジェットプリンタとの普及により、きれいな印刷が家庭でも容易に、素早くできるようになるとともに、デジタルスチルカメラや、家庭用ムービーの普及により、個人で画像を手軽に印刷等することが一般化してきた。このような画像を印刷するインクジェットメディアとしては、一般的に紙が主流であり、様々な種類のものが市販されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、紙等のインクジェットメディアを、他の成形品にきれいに貼り付けることは困難である。また、インクジェットプリンタ用のラベルシートも市販されてはいるが、成形品に貼り付けた後に、剥がれたり、あるいは粘着剤が成形品上に残って成形品を汚す等の問題が生じる可能性がある。さらに、大面積の場合には、成形品表面とラベルシート間に空気が残留しやすく、きれいに貼り付けることは困難である。
【0004】一方、紙等を貼付するのではなく、直接成形品に印刷する手法も考えられるが、一般的に成形品表面は、インク吸収能力に乏しいため、自由な印刷、記載等は困難である。
【0005】本発明の目的は、印刷された紙等を貼付する必要がなく、インクジェット等のプリンタで直接印刷可能な樹脂製書類フォルダ、および樹脂製書類フォルダ用シートを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明の樹脂製書類フォルダは、1つの角隅部から延びる2辺が封止部とされた平面矩形状の樹脂製書類フォルダであって、該樹脂製書類フォルダを構成するシートの内側面の少なくとも一部分に、吸水性または吸油性を有し、鉛筆硬度がH以上、厚みが0.2mm以下(乾燥時)のインク受容層が形成され、前記フォルダの総厚みが0.05mm〜2mmであることを特徴とする。ここで、樹脂製書類フォルダにおける2つの封止部は、2枚のシートの2辺を熱溶着することで形成してもよく、1枚のシートを折り曲げて折り目を形成し、この折り目を1つの封止部とし、折り目の端部から延びる一辺を熱溶着して形成してもよい。
【0007】本発明において、インク受容層としては、樹脂バインダおよびインク吸収粒子を含んで構成されているものを、種々使用することができる。ここで、樹脂バインダとしては、例えば、ポリエステル系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン、アクリル系エマルジョン等を採用できる。これらの樹脂バインダは、溶媒と混合されて用いられることが好ましく、溶媒としては、水、アルコール、ブチルセルソルブ等を使用できる。
【0008】一方、インク吸収粒子としては、付着したインクを吸収してインクを発色させる粒子であれば特に限定はなく、種々の有機系インク吸収粒子および無機系インク吸収粒子を採用できる。有機系インク吸収粒子としては、例えば、セルロースパウダ、でんぷん、キトサン、アルギン酸、シルクパウダ、コラーゲンパウダ等が挙げられる。また、無機系インク吸収粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、タルク等が挙げられる。使用するインク吸収粒子の平均粒径は、1〜30μmであることが好ましい。これらの樹脂バインダおよびインク吸収粒子を混合する比率は、良好なインク受容層の強度、およびインク吸収性能が発揮される範囲であれば、特に限定はなく、例えば、重量比でインク吸収粒子/樹脂バインダ=40/60〜90/10の範囲とすることができる。
【0009】さらに、インク受容層としては、インク吸収能を有する樹脂や、吸水性を有するコラーゲン(ゼラチン)等を用いることもできる。インク吸収能を有する樹脂としては、ポリビニルアルコール、アクリル酸ソーダ等が挙げられる。インク吸収能を有する樹脂やコラーゲンを用いる場合、樹脂またはコラーゲンのみを単独で使用することもできるが、表面のブロッキングを防止するために、シリカ等のフィラーを0.1〜5wt%添加することが好ましい。なお、インク受容層は、少なくとも樹脂製書類フォルダの表面の一部分に存在すればよく、その位置、面積等は、用途等に応じて適宜設定することができる。
【0010】本発明のインク受容層は、上記割合で混合した樹脂バインダおよびインク吸収粒子、またはインク吸収性能を有する樹脂等を、書類フォルダに成形する前のシートフォルダ上に、コンマコータ、ナイフコータ、ダイコータ等によるコーティング、またはスクリーン印刷等の印刷を行うことで形成される。
【0011】この際、インク受容層の厚み(乾燥時)が0.2mmを超えると、コーティング後の乾燥が遅くなり生産性が低下する可能性がある。しかも、厚すぎるために樹脂製書類フォルダの可撓性についていけなくなり、フォルダが折れ曲がった際に、インク受容層が剥離する可能性が高くなる。より好ましくは、0.1mm以下(乾燥時)であり、特に0.005mm(5μm)〜0.05mmであることがより一層好ましい。なお、0.005mm未満であると、インク量に対するインク吸収成分の数が少ないため、吸水性、吸油性が不十分となり、乾燥時間が長くなるとともに、印刷後に、にじみが生じる可能性が高くなる。
【0012】また、鉛筆硬度とは、JIS K−5400に準拠した方法により測定される値である。ここでの鉛筆硬度は、インク受容層の硬さ、厚さ、およびインク受容層とフォルダを構成するシートとの密着性を加味した強度である。すなわち、鉛筆硬度試験においてH以上という場合、Hの濃度記号の試験用鉛筆で、樹脂製書類フォルダの表面を引っ掻いた際に、インク受容層が損傷せず、かつ、インク受容層とシートとの剥離等が生じないことを意味する。なお、鉛筆硬度がHB以下では、印刷面が容易に損傷し、印刷内容が判別し難くなる可能性が高く、実用的ではない。
【0013】さらに、前述のフォルダの総厚みは、インク受容層の厚さを含むものであり、この厚さが2mmを超えると、プリンタ印刷時の紙送り等に支障をきたすことがあり、実用的でない。紙送りをスムーズに行うためには、総厚みは2mm以下がより好ましく、より一層好ましくは、0.5mm以下、さらに好ましくは0.25mm以下である。また、樹脂製書類フォルダを構成する樹脂製シートの原料樹脂としては、特に限定はなく、用途等に応じた剛性、耐久性を有するものを種々選択することができ、例えば、ポリエステル樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニリデン樹脂等を採用できる。
【0014】このような本発明によれば、インク受容層が鉛筆硬度がH以上、乾燥時の厚みが0.2mm以下であることにより、油性または水性のどちらのインクでも自由な記載、印刷ができるとともに、インクがにじみにくく、かつ表面強度の高い樹脂製書類フォルダを提供することができる。これにより、インクジェット等のプリンタで容易に印刷ができるため、フォルダ内に収納した書類の内容をわかり易く表示することが容易になり、また好みの印刷を施して装飾することができる。さらに、インク受容層の耐熱性を調整すれば、熱転写プリンタによる印刷を行うこともできる。また、インク受容層が樹脂製書類フォルダを構成するシートの内側面に形成されているので、樹脂製書類フォルダの使用中にフォルダの外側に擦過傷等が生じても、インク受容層が傷等により損傷することもない。
【0015】以上において、前記インク受容層は、該インク受容層に印刷を施すと、印刷面の反対側から、または印刷面およびこの印刷面の反対側から印刷像が視認可能に形成されているのが好ましく、インク受容層を構成するインク吸収粒子として、例えば、セルロース等の有機系インク吸収粒子を採用するのが好ましい。このような本発明によれば、基材となるシート側の面から、または印刷面および基材となるシート側の両面から印刷像を視認できるとともに、隠蔽率が高く、濃淡が鮮明に表示でき、かつ塗膜強度や耐水性の高いフォルダとすることができる。
【0016】すなわち、インク受容層に、無機物であるシリカを使用した場合、シリカは多孔質であるためにインク吸収性能(吸水性能)に優れ、無機フィラーの持つ隠蔽率のために印刷面におけるインクの発色性は良好であるものの、逆に、印刷面と反対側に位置するシート側からの画像の透視性がよくなく、印刷面に転写された画像を、シート側から見ることができない。従って、印刷面およびシート間の光の透過性が好ましくなく、例えば、表面および裏面の両面からの光の透過が必要になるバックプリントフィルムとしての使用には、透視性のよいインク受容層を採用するのが好ましい。
【0017】また、本発明の樹脂製書類フォルダは、隣合う2つの角隅部から延びる3辺が封止部とされた平面矩形状の樹脂製書類フォルダであって、該樹脂製書類フォルダを構成するシートの内側面の少なくとも一部分に、吸水性または吸油性を有し、鉛筆硬度がH以上、厚みが0.2mm以下(乾燥時)のインク受容層が形成され、前記フォルダの総厚みが0.05mm〜2mmであることを特徴とする。
【0018】ここで、樹脂製書類フォルダにおける3つの封止部は、2枚のシートの3辺を熱溶着することで形成してもよく、1枚のシートを折り曲げて折り目を形成し、この折り目を1つの封止部とし、折り目の端部から延びる2辺を熱溶着して形成してもよい。なお、本発明のインク受容層、鉛筆硬度、総厚み、インク受容層の厚みについては、前述の2つの封止部を有する樹脂製書類フォルダの場合と同様である。このような本発明によっても、前記と同様の作用および効果が享受できるうえ、3辺が封止部とされた樹脂製書類フォルダであるから、2辺が封止部とされた樹脂製書類フォルダのように開口部が広がり易いという問題もない。
【0019】さらに、本発明は、前述の樹脂製書類フォルダを作成するための樹脂製書類フォルダ用シートとしても構成することができる。すなわち、本発明の樹脂製書類フォルダ用シートは、前述の樹脂製書類フォルダを作成するための樹脂製書類フォルダ用シートであって、該樹脂製書類フォルダを構成するシートの内側面の少なくとも一部分に、吸水性または吸油性を有し、鉛筆硬度がH以上、厚みが0.2mm以下(乾燥時)のインク受容層が形成され、シート厚さが0.025mm〜1mmであることを特徴とする。
【0020】また、本発明の樹脂製書類フォルダ用シートは、隣合う2つの角隅部から延びる3辺が封止部とされた平面矩形状の樹脂製書類フォルダであって、該樹脂製書類フォルダを構成するシートの内側面の少なくとも一部分に、吸水性または吸油性を有し、鉛筆硬度がH以上、厚みが0.2mm以下(乾燥時)のインク受容層が形成され、シート厚さが0.025mm〜1mmであることを特徴とする。
【0021】ここで、各樹脂製書類フォルダ用シートの封止部は、封止部となる端縁から外側に糊代部を形成することにより構成することができ、プリンタ等で印刷する際には、この糊代部を折り曲げてプリンタに挿入することがある。従って、シートの厚さが前記の範囲にあれば、折曲部分の総厚みを2mm以下とすることができるため、プリンタの紙送り等に支障をきたすこともない。
【0022】また、以上の樹脂製書類フォルダ用シートのインク受容層の厚さは、0.005〜0.05mmであるのが好ましい。このような本発明によれば、樹脂製書類フォルダ用シートを用いて樹脂製書類フォルダを作成することにより、前述の樹脂製書類フォルダで述べた作用および効果と、同様の作用および効果を享受することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。図1から図4には、本発明の第1実施形態に係る樹脂製書類フォルダ2が示されている。樹脂製書類フォルダ2は、図1に示されるように、1つの角隅部Aから延びる2辺が封止部21、22とされた平面矩形状に形成されている。2辺の封止部21、22のうち、一方の封止部となる平面矩形の短辺側の封止部21は、一枚の樹脂製書類フォルダ用シートである樹脂シート20を折り曲げた折り目により形成されている。また、この短辺側の封止部21と直交する方向に延びる長辺側の封止部22は、封止部21の折り目により折り曲げられて重ね合わされた樹脂シート20同士を、糊代部26で接着することにより形成されている。
【0024】このような構造の樹脂製書類フォルダ2の書類が収納される内面には、図2に示されるように、インク受容層20Aからなる印刷面24が形成されている。樹脂シート20は、基材シート20Bと、この上に全面に形成された吸水性または吸油性を有するインク受容層20Aとから構成されており、樹脂製書類フォルダ2の外側表面23の全面が、基材シート20Bとされている。なお、本実施形態では、基材シート20Bの材質としては、ポリプロピレンが採用されている。さらに、インク受容層20Aは、樹脂バインダとインク吸収粒子とを、所定割合で配合した塗工剤を塗布、乾燥することにより形成され、基材シート20Bの全体に塗布されて印刷面24を構成している。
【0025】以上のように構成された樹脂製書類フォルダ2を製造するための樹脂製書類フォルダ用シートである樹脂シート20は、次のようにして製造される。まず、Tダイ押出成形等により、原料樹脂をシート状に成形し(図示省略)、基材シート20Bとする。成形した基材シート20Bの一表面に、樹脂バインダとインク吸収粒子とを所定の割合で配合して調製した塗工剤を、ナイフコータ等のコータで塗布し、インク受容層20Aを有する樹脂シート20とする。
【0026】この際、樹脂バインダとインク吸収粒子との配合割合は、例えば、重量比でインク吸収粒子/樹脂バインダ=40/60〜90/10の範囲とするが、樹脂バインダおよびインク吸収粒子の配合を調整した塗工剤を用いて、最終的な乾燥時のインク受容層20Aが、厚さ0.005〜0.2mm、鉛筆硬度がH以上となるようにする。
【0027】その後、図3に示される展開形状に、樹脂シート20を裁断する。裁断に際しては、樹脂シート20の略中央部分に封止部21を構成する折り目21Aを形成しておく。また、樹脂シート20の長辺側端縁のうち、折り目21Aで区画される一方の端縁には、樹脂シート20の短辺方向外側に突出するように、糊代部26を形成しておく。尚、折り目21Aの幅W1は、一般家庭に普及しているプリンタ、例えば、JIS A4サイズまでの紙等に印刷できるプリンタを用いて模様を印刷することができるように、本実施形態においては、210mmとしてある。
【0028】樹脂シート20を組み立てて樹脂製書類フォルダ2とする手順は以下の通りである。まず、図4に示すように、インクジェットプリンタ3のフィーダに樹脂シート20を印刷面24に模様が印刷できるようにセットし、所定の模様を樹脂シート20に印刷する。次に、所定の模様が印刷された樹脂シート20の糊代部26の印刷面24の側に両面テープを貼り、糊代部26を印刷面24側に折る。さらに、封止部21の折り目21Aに沿って、印刷面24が内側になるように折り曲げ、重なり合った各樹脂シート20同士の長辺側端縁を糊代部26の両面テープで接着して、封止部22を形成する。
【0029】このような第1実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1) インク受容層20Aが鉛筆硬度H以上、乾燥時の厚みが0.2mm以下であることにより、油性または水性のどちらのインクでも自由な記載、印刷ができるとともに、インクがにじみにくく、かつ表面強度の高い樹脂製書類フォルダ2を提供することができる。これにより、インクジェットプリンタ3で容易に印刷ができるため、樹脂製書類フォルダ2内に収納した書類の内容をわかり安く表示することが容易になり、また好みの印刷を施して装飾することができる。さらに、インク受容層20Aの耐熱性を調整すれば、熱転写プリンタによる印刷を行うこともできる。
【0030】(2) インク受容層20Aが樹脂製書類フォルダ2を構成する基材シート20Bの内側面に形成されているので、樹脂製書類フォルダ2の使用中にフォルダの外側に擦過傷等が生じても、印刷面24に損傷が生じることもない。
(3) 樹脂製書類フォルダ2の一方の封止部21を折り目として形成することにより、樹脂製書類フォルダ2を製造する樹脂シート20を、折り目で連続する1枚とすることができるので、該樹脂シート20を、インクジェットプリンタ3に1回通すだけでインク受容層20A上に模様等を印刷できるうえ、折り目による封止部21の接合作業を省略することができる。
(4) 糊代部26によって、基材シート20Bの長辺側を封止するので、基材シート20Bを溶着等で接着して封止するより容易に、樹脂製書類フォルダ2を作成することができる。
【0031】(5) 樹脂シート20の短辺側の封止部21が樹脂シート20の折り目として形成されていることにより、樹脂シート20の短辺側をインクジェットプリンタ3のフィーダに通すことができるため、樹脂シート20の送り方向に沿って長辺側の封止部の長さを自由に設定でき、背高の大きな樹脂製書類フォルダも自由に作ることができる。特に、本例の場合、JIS A4の短辺方向となる210mm側の封止部を折り目21Aにより形成しているため、小型のプリンタを含む種々のインクジェットプリンタ3に対応することができる。
(6) 基材シート20Bの材質としてポリプロピレンを採用することにより、ポリプロピレンが、軽く、丈夫で耐熱性・透明度・耐薬品性にすぐれ、また環境適応性にも優れた素材であるため、軽く、丈夫で耐熱性・透明度・耐薬品性に優れ、環境適応性にも優れた樹脂製書類フォルダ2を作成することができる。
【0032】次に、本発明の第2実施形態を説明する。尚、以下の説明では、既に説明した部分または部材と同一の部分等については、同一符号を付してその説明を省略する。前記第1実施形態では、樹脂製書類フォルダ2は、フォルダの短辺方向に延びる封止部21を樹脂シート20に形成される折り目21Aとして構成し、他方の封止部22を、重ね合わされた樹脂シート20同士を糊代部26で接着することにより構成していた。また、前記第1実施形態におけるインク受容層20Aは、基材シート20Bの内側全体に形成されていた。
【0033】これに対して、本実施形態に係る樹脂製書類フォルダ4は、図5に示すように、樹脂製書類フォルダ4の角隅部Aから延びる封止部41、42のうち、フォルダの長辺方向に延びる封止部42を樹脂シート40の折り目として構成し、折り目により重ね合わされた樹脂シート40の端縁同士を熱溶着することにより、他の封止部41を構成している点が相違する。また、樹脂シート40の折り目により区画される一方の領域にのみ印刷面44が形成されている点が相違する。樹脂シート40の内側面に形成される印刷面44は、封止部41側の樹脂シート40の端縁から所定寸法控えられ、封止部41の熱溶着時に印刷面44が障害とならないようになっている。また、折り目による封止部42に沿った樹脂シート40の幅寸法は、インクジェットプリンタでの印刷を可能とするために、JIS A4用紙の長辺方向の幅寸法297mmに応じた寸法とされている。尚、樹脂シート40の材質、製造方法、印刷面44を構成するインク受容層の材質、樹脂シート40に対する塗布方法は、前述の第1実施形態と同様である。
【0034】印刷面44に所定の模様をプリンタ等で印刷して、樹脂製書類フォルダ4を製造する場合、まず、展開した状態の樹脂シート40をインクジェットプリンタ等にセットして、所望の模様を印刷する。次に、印刷面44が内側となるように樹脂シート40を、封止部42の折り目位置で折り曲げた後、汎用の溶着シーラー等の機器により、重ね合わせられた樹脂シート40の短辺方向の端縁同士を溶着して、封止部41を形成する。
【0035】このような第2実施形態に係る樹脂製書類フォルダ4によれば、前述の第1実施形態の(1)、(2)、(6)で述べた効果に加えて、次のような効果がある。
(7) インク受容層40Aからなる印刷面44が、一方の基材シート40Aの一部にのみ形成され、他の基材シート40Bには形成されていないので、樹脂製書類フォルダ4に収納された書類の内容確認も、基材シート40Bの透明性を利用して外側から容易に行うことができる。また、インク受容層20Aは、適度な透明性を付与することで、収納された書類の確認を容易にすることも可能である。この場合、インク受容層20Aの隠蔽率は望ましくは90%以下、さらに望ましくは85%以下とするのがよい。
【0036】なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。前記第1実施形態では、インク受容層20Aからなる印刷面24Aが、樹脂製書類フォルダ2の全体に形成されていたが、少なくとも、プリンタ等で印刷を施す一部分に形成されていればよく、その位置、面積等も任意に設定することができる。また、インク受容層20Aは、樹脂バインダとインク吸収粒子とを配合した塗工剤により形成されていたが、これに限られない。すなわち、インク吸収性能を有する樹脂を用いることでも形成できる。このようなインク吸収性能を有する樹脂を用いる際には、表面のブロッキングを防止するために、無機フィラーを0.1〜5wt%添加することもできる。
【0037】さらに、印刷面24、44の模様はインクジェットプリンタで印刷して形成されていたが、これに限らず、その他のプリンタを用いてもよい。例えば、インク受容層の耐熱性を調整することで、熱転写プリンタによる印刷も可能となる。そして、前記第1実施形態では、糊代部26は、所定の模様が印刷された樹脂シート20の糊代部26の印刷面24側に両面テープを貼り、接着していたが、これに限定されず、糊代部26の印刷面24の裏側に両面テープを貼り、糊代部26を接着してもよい。
【0038】また、前記各実施形態では、一方の封止部21、42を樹脂シート20、40の折り目として形成していたが、これに限られず、いずれの封止部も糊代部や溶着によって形成してもよい。その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造としてもよい。
【0039】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、インク受容層を形成するための塗工剤は、以下のように樹脂バインダ、インク吸収粒子等を配合したものを使用した。
[塗工剤組成]
[1]樹脂バインダ(ウレタンエマルジョン):スーパーフレックス460(第一工業製薬(株)製)、50g[2]インク吸収粒子:プロテインパウダー(出光石油化学(株)製)、80g[3]水:60g【0040】[実施例1]基材シート20Bとして、厚み100μmのポリエステルシートを用い、インク受容層20Aが約25μm(乾燥時)の厚みになるように、上記塗工剤をナイフコータで基材シート20Bの表面に塗布し、インク受容層20Aを有するポリエステル製の樹脂シート20を得た。この樹脂シート20を、図3に示される展開形状に裁断し、折り目21Aを形成しておくとともに、糊代部26にも折り目を形成して樹脂製書類フォルダ用シートとした。そして、後述するプリンタによる印刷面への印刷を施した後、糊代部を貼り合わせて樹脂製書類フォルダを作成した(総厚み250μm)。
【0041】[実施例2]易接着処理を施した厚み225μmのポリエチレン製の基材シート20Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート20を得、樹脂製書類フォルダを作成した(総厚み500μm)。
[実施例3]易接着処理を施した厚み475μmのポリプロピレン製の基材シート20Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シート20を得、樹脂製書類フォルダを作成した(総厚み1.0mm)。
【0042】[比較例1]厚さ約1mmのポリエステル製の基材シートを用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを得、実施例1と同様に裁断して樹脂製書類フォルダを作成した。(総厚み>2.0mm)
[比較例2]樹脂バインダとしてスーパーフレックスE4000(第一工業製薬(株)製)に変更した(固形分配合割合は実施例1と同様)以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを得、実施例1と同様に裁断して樹脂製書類フォルダを作成した。
【0043】[比較例3]基材シートとして、易接着処理を施していない厚さ100μmポリプロピレン製のシートを用いた以外は、実施例1と同様にして、樹脂シートを得、実施例1と同様に裁断して樹脂製書類フォルダとした。上記各実施例および比較例で得られた樹脂製書類フォルダについて、耐傷付き性および紙送り性能について評価を行い、結果を表1にまとめた。
【0044】
【表1】

【0045】ここで、各項目は以下のように測定、評価した。
[1]耐傷付き性JIS K−5400に準拠した鉛筆硬度にて評価した。具体的には、濃度記号Hの鉛筆で、樹脂製書類フォルダの表面を引っ掻き、以下の基準により評価した。
樹脂シートの露出がない:○樹脂シートの露出がある:×【0046】[2]紙送り性能プリンタとしてDeskJet720C(日本ヒューレットパッカード(株)製)を使用し、図3の糊代部26を折り曲げた樹脂シートを、プリンタに10部セットして連続印刷を行い、紙送りの状態を確認し、以下の基準により評価した。
10部とも確実に紙送りが行われた:○10部中2部以下で紙送りに失敗した:△10部中5部以上で紙送りに失敗した:×[3]総合評価耐傷付き性、紙送り性能の両方とも○または△の場合を○とし、1つ以上が×の場合は、×とした。
【0047】表1に示されるように、実施例1〜3で得られた樹脂製書類フォルダは、インク受容層を含むフォルダの総厚みが、糊代部の折曲部分で0.05〜2mm、インク受容層の厚みが0.2mm以下(乾燥時)であり、かつ、鉛筆硬度がH以上であるため、強度、紙送り性能とも実用上問題ないことがわかる。一方、比較例1では、インク受容層を含むフォルダの総厚みが、糊代部の折曲部分で2mmを超えているため、紙送り性能が悪化していることがわかる。比較例2では、インク受容層の皮膜が柔らかい、すなわち、表面の鉛筆硬度がH以下であり、実用的でないことがわかる。比較例3では、易接着処理を施していないために、インク受容層とポリプロピレン製の基材シートが密着せず、強度が不足して耐傷付き性が悪化しており、実用的でないことがわかる。
【0048】
【発明の効果】前述のような本発明の樹脂製書類フォルダによれば、インク受容層が鉛筆硬度がH以上、乾燥時の厚みが0.2mm以下であることにより、油性または水性のどちらのインクでも自由な記載、印刷ができるとともに、インクがにじみにくく、かつ表面強度の高い樹脂製書類フォルダを提供することができる。これにより、インクジェット等のプリンタで容易に印刷ができるため、フォルダ内に収納した書類の内容をわかり易く表示することが容易になり、また好みの印刷を施して装飾することができる。さらに、インク受容層の耐熱性を調整すれば、熱転写プリンタによる印刷を行うこともできる。また、インク受容層が樹脂製書類フォルダを構成するシートの内側面に形成されているので、樹脂製書類フォルダの使用中にフォルダの外側に擦過傷等が生じても、インク受容層が傷等により損傷することもない。
【出願人】 【識別番号】500242384
【氏名又は名称】出光テクノファイン株式会社
【出願日】 平成13年11月16日(2001.11.16)
【代理人】 【識別番号】100079083
【弁理士】
【氏名又は名称】木下 實三 (外2名)
【公開番号】 特開2003−145976(P2003−145976A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−351820(P2001−351820)