| 【発明の名称】 |
マグネットホルダー |
| 【発明者】 |
【氏名】広瀬 洋一
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 本体が非磁性材料で構成され、上下両面が互いに90度交差した凸の曲面で構成され、かつ希土類磁石が本体の中央部に、その磁極面が直接あるいは軟質磁性材製のヨークを介し本体の両表面とほぼ同一かわずかに凹んだ位置となるように、埋め込まれてなることを特徴とするマグネットホルダー。 【請求項2】 本体が非磁性材料で構成され、磁気吸着面が下になるように水平面上に置いた状態で第三角法にて描いた図面における本体の形状が、正面図では、(イ)下側が下に凸の曲線を形成し、上面の輪郭線は平らな直線であり、あるいは(イ’)下側の中央部が水平線に接する直線でその左右両側が下に凸の曲線で形成され、上面の輪郭線は平らな直線であり、あるいは(イ”)下側の中央部が水平線に接する直線でその左右両側がその直線と10〜40度を成す直線で形成され、上面の輪郭線は平らな直線であり、側面図では、(ロ)上側が上に凸の曲線を形成し、下側の輪郭線は水平線に接する直線であり、あるいは(ロ’)上側の中央部の一部が水平線に平行な直線でその左右両側が上に凸の曲線で形成され、下側の輪郭線は水平線に接する直線であり、あるいは(ロ”)上側の中央部が水平線に平行な直線で、その左右両側が中央部の直線に10〜40度を成す直線で形成され、下側の輪郭線は水平線に接する直線であり、かつ(ハ)希土類磁石が本体の中央部に、その磁極面が直接あるいは軟質磁性材製のヨークを介し本体の両表面と同一かわずかに凹んだ位置となるように、埋め込まれてなることを特徴とするマグネットホルダー。 【請求項3】 平面図では円形あるいは上下方向の中心線に鏡面対称であると同時にそれに直交する中心線にも鏡面対称の8角形であることを特徴とする請求項1あるいは請求項2に記載のマグネットホルダー。 【請求項4】 前記希土類磁石が厚さ方向に磁場配向するように製作され着磁した1個の希土類磁石あるいは2個以上の厚さ方向に重ねた希土類磁石で構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。 【請求項5】 磁石が厚さ方向に磁場配向するように製作され着磁した2個の同一寸法のディスク状、リング状あるいは4角柱形状の希土類磁石とその間に挿入された軟質磁性材製のヨークの3個が直列に並べ構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネットホルダー【請求項6】 厚さ方向に着磁した直方体形状の希土類磁石を2個、互いにSN磁極が密着しあるいは近接しかつ直交するように組み合わせ、密着面あるいは近接面と反対側の磁極面がマグネットホルダー本体の両表面と同一かわずかに凹んだ位置となるように埋め込まれていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。 【請求項7】 希土類磁石の両磁極面を軟質磁性材料製の2枚のヨークで覆い、かつそれぞれのヨークの外側がマグネットホルダー本体のそれぞれの表面とほぼ同一面となるように本体に埋め込まれていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。 【請求項8】 希土類磁石の両磁極面を2枚の軟質磁性材料製のヨークで挟み、そのヨークの端面がマグネットホルダー本体の両表面とほぼ同一面で露出するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。 【請求項9】 希土類磁石がNd系焼結磁石であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のマグネットホルダー。 【請求項10】 Nd系焼結磁石が使用済の機器から取り出した磁石あるいは磁石の製造工程で発生するスクラップであることを特徴とする請求項9に記載のマグネットホルダー。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は強力な希土類磁石を用いた紙片等をスチール製の冷蔵庫等の家電機器あるいはホワイトボードやキャビネット等の事務機器等の表面に磁気吸着力を利用して固定するのに用いられるマグネットホルダーに係わる。特に強力な希土類磁石を用いて保持力を大きくしたにも係わらず、マグネットホルダーそのものの脱着が容易であり、またマグネットホルダーを取り外すことなくワンタッチでメモ等の掲示物の脱着を可能にし、さらに上面も強力な磁気吸着力を持たせることにより、バインダークリップ等で固定した用紙類もその上面にバインダークリップを吸着することで簡単に保持できるようにしたものである。さらに、表裏上下の区別無く使えるようにして使い勝手を向上させたものである。 【0002】 【従来の技術】ホワイトボードやスチールキャビネット等のスチール製の事務機器あるいは冷蔵庫等の家電機器の側面や扉等、スチール製の機器(以下、被掲示体と呼ぶ)メモやポスター等の用紙(以下、掲示物と略称)を固定する目的で、磁気吸着力を利用したマグネットホルダーが広く用いられている。このようなマグネットホルダーに用いられている磁石の多くはフェライト磁石である。フェライト磁石は安価である反面、磁力が弱く、被掲示体に固定保持できる掲示物の大きさや枚数が限定され、一方、保持力を大きくしようとすると、大きな磁石が必要となり、掲示物を覆い隠す面積が増えてしまうといった問題点が存在した。 【0003】最近、上記問題点を解決する方法として希土類磁石の中でも最も強力なNd系磁石を透明な板状あるいは円盤状のプラスチックの裏面側に組み込んだマグネットホルダーが考案され(特開平11−11072)市販されている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】前記のNd系磁石をプラスチックに埋め込んだマグネットホルダーは、紙片等をその上面から押さえて固定するには適しているが、磁気吸着面を除いてプラスチックで覆われているため、吸着面を除くと磁気吸着力は極めて弱く、折角強力なNd系磁石を用いているにも拘わらず、例えばバインダークリップやゼムクリップ等の汎用固定部品で留めた用紙等をこれらの鉄製クリップの部分を利用して保持させることができないといった不便さがあった。 【0005】本発明のマグネットホルダーは上述の問題点に着眼して案出されたものであり、その目的は、■磁気吸着力が大きくかつ同時に被掲示体からの取り外しが容易であり、■ワンタッチでメモ等の掲示物の脱着を可能にし、かつ■バインダークリップやゼムクリップ等のスチール製の紙片固定具で留めた掲示物も、これらの部分をマグネットホルダーの上面に近づけるだけで、十分な強さで磁気吸着できる多目的に使えるマグネットホルダーを提供することにある。さらに、■マグネットホルダーの上下を反対にしても、あるいは裏返しても、前記機能を保持し、使い勝手を向上させたものである。 【0006】さらに、Nd系磁石の生産工程から、あるいは使用済みの家電やパソコン周辺機器等のエレクトロニクス機器から大量に発生するNd系磁石スクラップを有効に活用し、環境負荷の低減に役立つリサイクル、リユース技術を確立することにある。 【0007】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明のマグネットホルダーは、本体がプラスチック等の非磁性材料で構成され、立体的にはその上下両面が互いに90度交差しかつ表側に凸の曲面で構成され、かつ希土類磁石が本体の中央部に、その磁極面が直接あるいは軟質磁性材製のヨークを介して、本体表面とほぼ同一かわずかに凹んだ位置となるように埋め込まれていることを特徴とする。具体的には、例えば図1に吸着面が下になるように水平面上に置いた状態で第三角法にて描いた一例を示すように、マグネットホルダー21の本体21a(以下本体と略す)がプラスチック等の非磁性材料で構成され、その形状が、(b)正面図では、(イ)下側が下に凸の曲線21bを形成し、上面の輪郭線21cは平らな直線であり、(c)側面図では、(ロ)上側が上に凸の曲線21dを形成し、下側の輪郭線は水平線に接する直線21eであり、かつ(ハ)希土類磁石10が本体21aの中央部にその磁極面が本体の両表面と同一かわずかに凹んだ位置となるように埋め込まれていることを特徴とする紙片固定用のマグネットホルダーである。なお、(a)平面図の形状としては種々の形状が選択されるが、図1には代表的な例として円形の場合を示した。 【0008】あるいは、図2に他の例を示すように図1の片側あるいは両側の湾曲面の代わりに中央部近傍が平面で構成されていることを特徴とする。あるいは、図3にさらに別の例を示すように、片側あるいは両側の湾曲面の代わりに、片側あるいは両側の面が中央部の平面およびその平面と10度〜40度の角度を成す二つの平面の合計三つの平面で構成されていることを特徴とする。 【0009】このように、磁気吸着面が外側に凸の曲面で形成されているため、被掲示体上に吸着させた状態で揺動し易く、例えば底面に隙間のある上面の端部を人差指で押すと同時に、他端部を親指で持ち上げることにより、マグネットホルダーを簡単に立ち上げることができる構造にしたものである。立ち上げた状態では、両指で掴み易く、また磁気吸着力がほとんど無くなるため、極めて容易に取り外すことができる。 【0010】 【発明の実施の形態】このように本発明のマグネットホルダーは、第一に両面ともに外側に凸の曲面で構成したことを大きな特徴とする。片面のみを曲面とし残りの面を平面としたマグネットホルダーでは、平面側を被掲示体に吸着させてしまった場合、取り外しが難しくなるといった問題が発生する。特に希土類磁石は小さくても強力な保持力を有するため、マグネットホルダー全体としても小型化薄型化が可能となる。しかし、このようなマグネットホルダーでは日常的な使用において、表裏を反転させてしまうといった事態が十分起こりうる。両面ともに曲面で構成することにより、どちらの面を被掲示体に吸着させても取り外しが容易となるため、そのような事態が生じても問題なくなる。また、表裏を区別せずに使うことができ、使い勝手を向上させることができる。 【0011】さらに、本発明のマグネットホルダーは揺動方向が上下方向になるように被掲示体上に置いた状態で、上部を指で押さえ下側を持ち上げた状態で、メモ等の掲示物の上端部を下側から差込んだ後に指を離すことで、固定することができる。取り外す時も、同様にして下側を持ち上げることで可能となる。このように脱着が極めて簡単になる。 【0012】第二に本発明のマグネットホルダーは表裏の外側に凸の曲面を互いに90度交差させたことが最大の特徴であり、そのように工夫した理由について以下に説明する。もし、90度交差させずに曲面を向き合わせ構成すると、図10に曲面として湾曲面を選択した場合の一例を示すように、端部に薄くなる部分が生じ、極端な場合ナイフエッジとなり扱いにくくなる。このような問題を両面の湾曲面を90度交差させずに避けるためには、その曲率半径を大きくするか、マグネットホルダーの厚さを厚くする必要が生じる。前者の方法では、揺動範囲が狭くなり、取り外しが難しくなる。一方、後者の方法では、マグネットホルダーの商品価値が低下するだけでなく、不必要に厚めの磁石を用いることになりコストパフォーマンスが低下する。 【0013】さらに、一般的に、希土類磁石はその磁気特性から、大きさに対して着磁方向の厚さの薄い磁石が有利とされる。またマグネットホルダーの製造コストを下げるためには、希土類磁石の製造工程で発生する寸法不良等のスクラップや使用済みの機器から回収したマグネットを利用する方法が有効である。そして、これらの磁石も前記理由から大きさの割に薄い磁石が多い。マグネットホルダーを厚くすると、磁石も厚くする必要が生じ、再利用できる磁石が限られ、安価なマグネットホルダーの製作が難しくなる。 【0014】このような全ての問題点は、マグネットホルダーの両面の曲面を90度交差させることにより解決することが可能となる。例えば、具体例を示すと、本体形状を直径25mm、厚さ5.5mmのマグネットホルダーとした場合、曲率半径が30mmの湾曲面で構成すると、端部の厚さは湾曲面を交差せずに向かい合わせた場合は約0.04mmとほとんどナイフエッジとなり扱いにくくなる。一方、90度交差させた場合は、端部の厚さは2.77〜2.84mmと十分厚く、しかも全周囲にわたりほとんど同じ厚さとなる。そして、この場合、揺動範囲は両側に24.6度となり、十分大きく取り外しも容易となる。 【0015】さらに、取り外しのためマグネットホルダーの上端部を押す場合、湾曲面を90度交差させると、揺動方向に対して上面が平らとなり押し易く取り外しやすくなる。一方、90度交差させずに同じ方向に対向させ湾曲面を形成した場合、押そうとする部分が、被掲示体面側に落ち込むように傾いているため、押しにくく使い勝手が悪くなる。 【0016】以上、述べてきたように、上述したような問題点は、二つの湾曲面を凸面が外側になるように互いに90度交差させて向き合わせるように構成することにより始めて解決できる。そして、このような工夫で磁気吸着力が強くても取り外しが容易で、必要以上に厚くしなくても端部が適度な厚さを保ち丈夫で利用性能に優れ、かつコストも安いマグネットホルダーの製造が可能となる。以上、面形状が湾曲面の場合について説明したが、湾曲面の中央部を平面とした曲面、あるいは三つの平面で構成した曲面の場合も同様である。 【0017】次に、本発明のマグネットホルダーの特徴である上下両面に強力な磁気吸着力を持たせた理由について説明する。本発明のマグネットホルダーでは例えば用紙の上端部をバインダークリップで留め、このスチール製のクリップの部分を用いて容易に脱着が可能となる。バインダークリップのような留め具は極めて広く用いられており、用紙の保持力も強い。磁石に留める時は、磁気力が働き、近づけるだけで吸引保持し、離すときは、用紙を掴んで引っ張るだけで、目的を達することができる。そのため、例えば、スチール製デスクの脇に、本発明のマグネットホルダーを固定して、社内電話帳等の頻繁に用いる掲示物を脱着する際、目標から多少ずれても問題がなく、使い勝手が極めて良好となる。すなわち、椅子に座ったままの姿勢で手探りでも目的を達成することができるようになり便利となる。 【0018】次に、正面図における下側の下に凸の曲線と、側面図における上側の上に凸の曲線の形状についてさらに詳細に説明する。これらの曲線の具体的な形状として例えば、円弧とすることができる。あるいは、図1(b)に示す中心点C近傍の曲率半径を、その周辺部の曲率半径より大きくすることにより、例えば、ディスク状等の磁極面が平らな磁石を、マグネットホルダーの表面より内側となるように磁石を埋め込んだ場合も、被掲示体と磁石との距離をより広い面積にわたり小さくして、磁気吸着力を高めることが可能となる。さらに、より望ましくは、中心点Cから離れるにつれて、連続的にその部分の曲率半径が小さくなるような曲線とすることもできる。そのような形状の例として、楕円の曲率半径が最も大きな部分を含む曲線とすることが可能である。あるいは放物線を選ぶこともできる。このような曲線形状を選択すると、実際に使用する場合、掲示体の抜き差しやマグネットホルダーの脱着のために、マグネットホルダーの上面の片側を押して揺動させた時に、その動きが滑らかとなり、使い勝手が良好となる。 【0019】底面の湾曲面の形状は、取り外し易さを考慮し、揺動させた時に指をかけやすくするため、持ち上げた部分の底面端部と被掲示体との間に生じる隙間が適度に大きくなるように決める。種々の形状のマグネットホルダーを試作して、取り外し易さを検討した結果、図1(b)に示すように両端部の湾曲面への接線が平面との成す角度、すなわち取り外しのために揺動させる時の角度θ(以後、揺動角θと呼ぶ)が10〜45度の範囲内から選択するのが望ましいことが知られた。さらに望ましくは10〜40度の範囲内から選択する。なお、実際に寸法を決める場合、周囲の最も薄くなる部分の厚さが薄くなりすぎないように決める。具体的にはこの厚さが、1.0mm以上、さらに望ましくは1.5mm以上となるようにする。 【0020】本発明のマグネットホルダーの他の例では、図2(b)、(c)に示すように吸着面が下になるように水平面上に置いた状態で第三角法にて描いた図面において本体の形状が、下側の中央部が水平線に接する直線でその左右両側が下に凸の曲線で形成され、上面の輪郭線は平らな直線であり、そして側面図では、上側の中央部の一部が水平線に平行な直線でその左右両側が上に凸の曲線で形成され、下側の輪郭線は水平線に接する直線とする。立体的には、図1の外側に凸の湾曲面の中央部のみを平面で構成したものである。両面の片側のみを、そのような曲面とする組み合わせも採用しうる。 【0021】あるいは、本発明のマグネットホルダーの他の例では、図3(b)、(c)に示すように吸着面が下になるように水平面上に置いた状態で第三角法にて描いた図面において、本体の形状が正面図では、下側の中央部が水平線に接する直線でその左右両側がその直線と10〜40度を成す直線で形成され、上面の輪郭線は平らな直線であり、側面図では、上側の中央部が水平線に平行な直線で、その左右両側が中央部の直線に10〜40度を成す直線で形成され、下側の輪郭線は水平線に接する直線とすることもできる。 【0022】立体的には、中央部の平面部とそれに10〜40度を成す平面の3面で構成される曲面を、互いに90度回転し、凸部を表側に向かい合わせた構造としたものである。角度を10度以上とするのは、それ以下では揺動範囲が小さ過ぎ、マグネットホルダーの片側を押して反対側を持ち上げた時に、被掲示体とマグネットホルダーとの下部に生じる隙間が小さく、取り外しにくくなる。一方、40度以上では、上面の片側を押した時、マグネットホルダーを被掲示体の面に平行方向に押し出す分力が大きくなり使い勝手が悪くなるからである。なお、この場合も片面のみ3つの平面で構成される曲面とし、反対側を湾曲面、あるいは湾曲面の中央部のみを平面とした曲面と組み合わせることも可能である。 【0023】湾曲面の中央部のみを平面で構成する場合、あるいは、中央部の平面部とそれに10〜40度を成す平面の3面で構成される曲面とする場合のいずれにおいても、中央部の平面部の幅は、本体の幅の1/2未満とする。1/2以上だと、マグネットホルダーの上面片側を押して揺動させる際、大きな力を必要とし、取り外しが難しくなるからである。さらに、望ましくは平面部の幅は本体の幅の1/2.5以下とする。なお、平面部の幅は、後述するように本体の中央に埋め込む磁石の直径あるいは幅に等しいかそれより僅かに大きくすることにより、磁石の磁極の全面で本体の表面のレベルと一致させることが可能となり、磁気吸着力を最大に高めると同時に揺動範囲を広くできるようになる。 【0024】なお、特開平11−11072には、本体の裏面もしくは外周縁に沿って面取り部が設けられたマグネットホルダーが開示されている。しかしながら、面取り部は用紙を差し込みやすくする目的で設けられており、その幅も狭い。面取り部を広く、あるいは表面全体を湾曲面あるいは一部平面を含む曲面で構成することにより、スムーズな揺動が可能となり、マグネットホルダーの被掲示体からの取り外しが極めて容易になるという本発明に特有の機能が生じることには言及されていない。 【0025】次に、マグネットホルダー本体の平面図形状について説明する。本発明の本体の形状は、水平面に磁気吸着面を下にして描いた平面図における代表的な形状として円形を選択する。あるいは図4に一例を示すように左右上下に鏡面対称の8角形がより望ましい形状として選択される。なぜならば、このような平面形状の場合、本発明のように外側に凸の曲面を90度交差させて向き合わせた構造を選択することと相俟って、本体の周辺部の厚さが大きく変動せず、すなわち局部的に薄い部分が生じず、強度を保つことができ、製品価値も増加するからである。さらに、円形は最も単純な形状であり、射出成型法等の方法で制作する場合も金型の製作も含めて容易であるからである。一方、8角形はデザイン性からも優れているからである。本発明のマグネットホルダーの平面形状はこれらの形状に限定されず、例えば長径と短径の比が1から大きくずれない範囲で楕円形状とすることもできる。あるいは、6角形や10角形等の多角形を選択することもできる。 【0026】平面形状を円形とする場合、直径としては10mm以上とするのが望ましい。希土類磁石の磁気吸着力を示す磁気エネルギー積は大きく、直径10mmの本体に埋め込むのに適した例えば直径が5mm程度未満の磁石でも十分な保持力を有するが、本体の直径が小さすぎると掴みにくく取り外しが難しくなるためである。さらに望ましくは直径は15mm以上とする。本発明のマグネットホルダーは径を大きくして、それに比例して大きな磁石を埋め込んでも、取り外しが容易であるため、最大径は特に規定されない。但し、小さくても十分な磁気吸着力を有し、大きくするに従って、被掲示体に掲示物を固定するとき覆い隠す面積が増え、またコストパフォーマンスが低下するため、直径50mm程度以下を目安とする。 【0027】平面図形状として、上下方向の中心線に鏡面対称であると同時にそれに直交する中心線にも鏡面対称な8角形として、例えば正8角形やそれを縦あるいは横方向に一定の比率で拡大あるいは縮小変形させた図形を挙げることができる。ただし、対称性が増すことから、その時の拡大あるいは収縮の変形率は0.7〜1.4以内さらに望ましくは0.8〜1.2以内とするのが望ましい。 【0028】なお、8角形の場合、正四角形あるいはそれを一方向に引き延ばした長方形を基本形状として、その4隅を長方形の縦方向と横方向の中心線に鏡面対称となるようにカットした形状も望ましい形状として選択しうる。この場合も、基本となる長方形が正四角形から大きくずれない範囲、すなわち長方形の長辺aおよび短辺bの比a/bは1.4以下とするのが望ましい。 【0029】これらの8角形の大きさは、円形の場合と同様な理由から、小さすぎると掴みにくく取り外しが難しくなるため、正面図における幅W1および側面図における幅W2のうち小さい方の値が10mm以上さらに望ましくは15mm以上となるようにする。最大の大きさは特に規定されないが、円形の場合と同様な理由から、W1とW2のうちの大きい方の値が50mm程度以下を目安とする。本発明は、正面図と側面図形状が最も重要であり、既に述べたように平面図形状については上記の例に限定されない。 【0030】本発明のマグネットホルダーでは正面図における下側の下に凸の曲線と、側面図における上側の上に凸の曲線を、それぞれの中心線に対し鏡面対称とすることにより、上下、左右方向の区別がなくなり、さらに使い勝手を向上させることができる。なお、既にこれらの曲線として円弧や楕円でかつ曲率半径が最も大きな部分を含む曲線の例を挙げたが、これらの曲線は中心線に対し鏡面対称となる条件を満足する。 【0031】さらに、本発明のマグネットホルダーの内、本体の平面図形状が円形や正8角形等の90度回転対称の図形の場合、水平面に置いた状態で描いた図面を基準にして、水平方向に90度回転させ、裏返した状態で描いた場合の正面図と側面図がそれぞれ元の正面図と側面図に一致する形状を選択することにより、表裏の区別もなくなり、使い勝手を一段と向上させることができる。 【0032】次に、本発明のマグネットホルダーの本体中央部に埋め込む希土類磁石について説明する。これらの磁石としては、例えば厚さ(高さ)方向に着磁したディスク状の磁石、リング状の磁石あるいは正4角柱状の磁石を用いることができる。なお本発明のマグネットホルダーに用いるリング状の磁石としては、外径ODの割に内径IDが小さい磁石が望ましい。例えばID/OD=0.5以下であれば、外径がODのディスクと磁気吸着力は大きく変わらず、支障無く使える。 【0033】以上説明した、1つの希土類磁石を埋め込んだマグネットホルダーに加えて、2個以上の希土類磁石を厚さ方向に直列に重ねて埋め込んた構成とすることもできる。一般的に希土類磁石は大きさの割に着磁方向の厚さの薄い磁石が多く、このような構成とすることにより、特に使用済みの磁石や磁石製造工程で発生するスクラップを素材として再利用する場合、使える素材の範囲が広がり、材料費の節減を図ることができる。 【0034】あるいは、図5に一例を示すように、厚さ方向に磁場配向するように製作され着磁した2個の同一寸法のディスク状、リング状あるいは4角柱形状の希土類磁石とその間に挿入された軟質磁性材製のヨークを厚さ方向に直列に並べて用いることもできる。この場合、ヨークの厚さを調整することで、希土類磁石とヨークを含めた全厚さを、本体の厚さに合わせて調整することが可能となる。さらに、ヨーク30の面積を磁石の面積より若干大きくするか小さくすることにより、例えば、特に接着剤を用いなくても磁石のマグネットホルダーへ強固に固定することが可能となる。図5には、ディスク状の希土類磁石12を用い、間に挿入するヨーク30の直径を磁石径より若干小さくした例を示した。 【0035】ところで、既存のプラスティック本体の裏面に凹部を設けその部分にNd系磁石を接着剤で固定したマグネットホルダーの場合(図11参照)、Nd磁石の磁気吸着力は極めて強いため、脱着の回数が増えるとともに、被掲示体への吸着力に接着剤の強度が耐えず接着部で剥がれたり、あるいは磁石のメッキ膜が剥離し、磁石が脱落してしまい、使えなくなるといった問題が発生しやすかった。本発明の上述のような構成としたマグネットホルダーの場合、磁気吸着力そのものを利用して本体に固定できるため、そのような問題を回避することができる。 【0036】2個の磁石の間に挟むヨークとして磁石面積より広めの材料を用いる場合、例えば、本体を射出成型で造る際、磁石を埋め込む部分はキャビティにしてヨークは一体成型すれば良い。その後、キャビティに磁石を挿入すれば良い。一方、2個の磁石の間に挟むヨークとして磁石面積より狭い材料を用いる場合は、予め、射出成型等の方法で本体を製作する際、これらの材料を埋め込むのに適したキャビティを本体に設け、後からこれらの材料を挿入すれば良い。このように簡単に製造できるようになると同時に、マグネットホルダーとしての信頼性、耐久性を高めることができる。 【0037】本発明のマグネットホルダーの別の方法として、図6に示すように、厚さ方向に着磁した直方体形状の2個の希土類磁石13a、13bを、互いにSN磁極が密着しかつ直交するように組み合わせ、密着面と反対側の磁極面が本体の両表面と同一かわずかに凹んだ位置となるように埋め込んだ構成とすることもできる。そして、磁石の寸法を縦幅a×横幅b×厚さc、かつa>b、着磁方向を厚さc方向とした場合、図6に示すように正面図の左右方向が下側の磁石のb方向そして上側の磁石のa方向と一致するように、したがって側面図では左右方向が上側の磁石のb方向そして下側の磁石のa方向と一致するように、磁石を本体に埋め込むように構成する。このような構成とすることにより、湾曲面を広く、したがって揺動範囲を広くすることが可能となり使い勝手が向上する。なお、図6には湾曲面の中央部を平面とし、その中央部平面の幅をbより若干大きくした例を示した。 【0038】上記構成のマグネットホルダーの場合、予め射出成型等の方法で、磁石を埋め込む部分がキャビティとなるように作製した本体を準備し、そのキャビティ部に、着磁した2個の磁石をSN極が互いに吸着するような向きに両側からそれぞれ一個挿入することによって、マグネットホルダーが完成する。磁石同士は、互いに強固に磁気吸着し合うため、特に接着剤を用いなくても本体に固定できる。このように極めて簡単にマグネットホルダーの作製ができる。さらに、磁石の固定に接着剤を用いて補強しても良い。なお、予め、磁石を組み込むように本体と一体成型しても良い。 【0039】上記構成に加えて、それぞれの直方体磁石の内側に磁石の縦幅a×横幅bにほぼ等しい軟質磁性材製のヨークを挿入することもできる。このような構成では、ヨークの厚さtyの調整で磁石とヨークを合わせた全厚さ(t+ty)の調整が可能となり、したがって全厚さを本体のキャビティの深さに合わせることが容易となる。すなわち、磁石の厚さtの自由度が増し、使える磁石の範囲が広がる。また、このようにすることで、例えば、予め本体のキャビティに両側から1枚ずつヨークを挿入し、2枚のヨークをスポット溶接等の方法で接合し、それらヨークに磁気吸着力を利用して磁石を装着するだけで、本体に強固に磁石を固定できるようになる。なお、本発明のマグネットホルダーでは上記構成に限定されず、例えば2個の縦幅a×横幅bの直方体形状の磁石の間に縦幅b×横幅bのヨークを挿入した例や、さらにヨークを介せず2個の直方体形状の磁石が互いに離れている場合も含まれる。 【0040】さらに、今までに説明した全てのマグネットホルダーについて、例えば一例を図7に示すように、軟質磁性材料よりなる2枚のヨーク31aと31bで磁石の両面を挟み、かつそれぞれのヨークの外側がマグネットホルダー本体のそれぞれの表面とほぼ同一面となるように本体に埋め込んだ構成とすることができる。このような構成とすることにより、磁石が外部に露出しないようになる。希土類磁石は、概して脆く、またその組成にもよるが概して耐食性に劣る。そのため、通常Niメッキ等の表面処理が施される。しかしながら、マグネットホルダーの使用状態によっては、磁石が露出している場合、メッキが剥げたりして、錆びが発生する可能性もある。上記のような構成とすることにより、磁石が表面より露出しないようになり、耐久性をさらに向上することができる。また、軟質磁性材製のヨークの場合、加工性が良好であり、マグネットホルダー本体の表面形状に合わせた形状とすることも容易である。それにより、本体の形状についても自由度が増す。 【0041】例えば、本体の形状についても、磁石の形状にとらわれずに、単純な湾曲面として、図7に示した例のようにヨーク31aと31bの外側を本体の湾曲面に合わせた形状にすれば、取り外しのための揺動がスムーズに行えるマグネットホルダーを作製できるようになる。また、ヨーク31aと31bの面積を希土類磁石10の磁極面の面積より大きくすれば、磁石を磁気吸着力のみでも本体に固定することが可能となり、より強固に本体に磁石を固定したマグネットホルダーの作製が可能となる。ただし、その場合、ヨークの面積を磁石の面積より大きくし過ぎると磁気吸着力が弱まるため、ヨーク面積の磁石面積に対する増加率は30%以内にとどめるのが望ましい。 【0042】その他、本発明のマグネットホルダーでは、図8に示すように厚さ方向に着磁した希土類磁石14の両磁極面を2枚の軟質磁性材製の板状ヨーク32a、32bで挟み、そのヨークの端面がマグネットホルダー本体の両表面とほぼ同一面で露出するように構成することも可能である。この方式以外の磁石の場合、着磁方向は、全てマグネットホルダー本体28aの厚さ方向であるのに対し、この方式では、磁石の着磁方向は本体の厚さ方向に直角の方向となり、本体の両表面にヨークを介してそれぞれN極とS極の両磁極が現れる点が異なる。 【0043】さらに、上記方式では、ヨークより磁石がはみ出さないよう設計することにより、磁石は本体に完全に埋め込まれた形となる。このように磁石は外気から遮断されるため、例えば、磁石はメッキしなくても腐食することなく、製造コストの低減が可能となる。厳密には、ヨークの上端面と下端面のみからはみ出さないような形状寸法の磁石を選択すれば良いことになり、そのような磁石は全て、本方式のマグネットホルダーに用いることができる。また、2個以上の磁石を並列にあるいは直列に並べて用いることもできる。このように、磁石の選択範囲が広がることも、本方式のマグネットホルダーの大きな利点となる。 【0044】なお、図8(b)に示した例のように、ヨークの下側の端面32cを本体に合わせ湾曲面で形成した場合、極めて小さい力で揺動が可能となり、しかも十分な磁気吸着力を保ち、使い勝手がさらに向上する。なお、ヨーク材としては、例えば磁JIS C 2504に規定する電磁軟鉄板やJIS G 3141に規定する冷間圧延鋼板を用いることができる。あるいは、磁性ステンレス鋼であるSUS430等のフェライト系ステンレス鋼を用いることができる。特にSUS444等のC、N等の侵入型不純物元素を低減したフェライト系ステンレス鋼がより最適な材料として選択しうる。特に、フェライト系ステンレス鋼は耐食性が優れており、メッキ等の表面処理を施すことなく使用できる利点がある。 【0045】ところで、代表的な希土類磁石のNd系磁石の大半が、ハードディスクドライブのヘッドの駆動機構であるボイスコイルモーター(VCM)に用いられている。そして、VCM磁石の場合、品質要求が厳しく、規格外品の発生率も大きい。そのため、磁石のスクラップの中でも、VCM磁石の占める比率が圧倒的に大きい。また、使用済みのHDDからのVCM磁石の回収再利用も重要な課題とされている。しかしながら、VCM磁石の場合、扇型をした特殊な形状をしており、ディスク状、リング状、直方体形状等の比較的単純な形状の磁石より、回収再利用は難しい。 【0046】上記ヨークで挟む構造の磁石の場合、例えば、図9のような形状のVCM磁石40から切り出した磁石も有効活用することが可能となる。図9(b)は磁石のVCM磁石の外側のアール部を含む部分はそのまま利用し、直線で磁石切断片15aと15bを切り出す方法であり、図9(c)は切断歩留まりを向上することを目的とし、VCM磁石40のアール部にほぼ平行に、例えばワイヤーカット等の方法で曲線状に切り出し、さらにそれを分割し磁石切断片16として利用する方法であり、(d)は切断効率を重視し、最初にマルチソーで切断し、次にその切断方向と直角方向に端部を切断し、最終的に直方体形状の磁石切断片17を得る方法である。なお、図9(d)あるいは(b)の切断方法により得られる直方体形状の磁石(磁石切断片15b、磁石切断片17)は、図6に示す2個の直方体形状の磁石を用いる方式のマグネットホルダーにも用いることができる。 【0047】工業的に生産されている希土類磁石としては、Nd系磁石の他にSmCo系磁石が存在する。前者の方が磁気特性が優れ、安価でかつ機械的特性も優れれいるため、本発明のマグネットホルダーとしてより適している。これらの希土類磁石は一般的に粉末冶金法を用いて製造される。すなわち原料合金の微粉砕、磁場中成型、焼結、熱処理、表面処理等のプロセスを経て製造される。本発明のマグネットホルダーに用いる希土類磁石も同様な方法を用いて製造することができる。さらに、VCM磁石の例を示したように、磁石の製造工程でメッキ不良、コーナー部の割れ欠け、寸法不良等の原因で発生する磁石スクラップを素材として切削加工や研削加工等により製造することができる。あるいは、使用済の機器から取り出した磁石スクラップを用いることもできる。 【0048】本発明のマグネットホルダーのような事務用品に希土類磁石を用いる場合、産業用の用途と比べて磁気特性に対する品質基準は極めて緩く、また寸法精度等の基準も緩くて済む。また本発明のマグネットホルダーの場合、種々の形状あるいは寸法のものを使うことができ、希土類磁石スクラップのリュース方法として適している。 【0049】従来、このようなNd系磁石スクラップのリサイクル方法として、再溶解法(例:特開平08−31624)や粉砕して磁石製造工程に戻すといった技術(例:特開平06−340902)が提案されている。しかし、極めて歩留まりが悪かったり、得られる磁石の特性が低下するため、現実には経済的な手法として確立しているとは言えない状況にあった。地球環境負荷低減のためにも、これらのNd系磁石の有効なリサイクル技術、リュース技術の確立が望まれており、本発明はそのような趣旨にも添ったものである。 【0050】Nd系磁石は、一般的に化学的に活性なNdを始めとしてDy、Pr等の希土類元素を30〜32wt%程度含有し、そのため概して耐食性が劣る。そのため、切断や研削加工後は、ニッケルメッキ等の防錆対策を施すことが望ましい。なお、Nd系磁石によっては耐食性と同時に耐熱性を向上する目的で、Coを添加した磁石が主流になってきており、そのような磁石では、特に本発明のようにマグネットホルダーとして用いる場合、ニッケルメッキ処理せずに、塗装等の方法で済ますこともできる。 【0051】特に、図7に示すような希土類磁石の両磁極面を軟質磁性材製のヨークで覆う構成とした場合、あるいは図8に示すような希土類磁石の両磁極面を挟むように2枚の板状ヨークで挟み、そのヨークの端面がマグネットホルダー本体の両表面と同一面で露出するように構成した場合、磁石はプラスチック等を素材とした本体に埋め込まれ、外気には直接触れないため、ニッケルメッキ等の表面処理を施さなくても十分使用に耐える。 【実施例】 【0052】以下に、本発明のマグネットホルダーの実施形態について実施例を用いてさらに詳細に説明する。なお、作製したマグネットホルダーの保持力の測定方法として、以下に述べる2種類の方法を採用した。 【0053】(試験方法1)簡単でかつ実用的な方法として、鉛直方向にセットされたスチール製のホワイトボードを用いて、A4サイズのコピー用紙の上をマグネットホルダーで押さえ、用紙を何枚固定保持できるか調べた。なお、試験に用いたA4サイズの用紙の1枚あたりの重さは4.2g、厚さは0.083mmであった。 【0054】(試験方法2)試験方法1で用いたのと同じコピー用紙の上端部をバインダークリップで留め、このクリップの部分をホワイトボードに固定したマグネットホルダー上面に磁気吸着させ何枚のコピー用紙を保持できるか調べた。ただし、バインダークリップは事務用品として市販されているものの中から最も小さいもの((株)ライオン事務器製:バインダークリップNo.105)を選定した。さらに、バインダークリップの代わりにゼムクリップを用いて同様にしてA4サイズの用紙を何枚保持できるか調べた。なお、ゼムクリップは事務用品として汎用されている外形幅6.3mm、長さ23.5mmのものを用いた。但し、このゼムクリップで固定保持できる用紙の枚数はおよそ20枚であり、それ以上ではマグネットホルダーにゼムクリップが残ったまま用紙が落下してしまうため、その場合“≧20枚”と表示した。 【0055】(実施例1) (図1参照) 直径25mm、厚さ4.5mmのアクリル樹脂製のディスクを素材として、両側の表面を互いに90°交差し中心部近傍の曲率半径が50mm、周辺部の曲率半径が30mmとなるように湾曲面に研削加工した。さらに、中心部に直径10mmのキリ穴を開けて本体21aを得た。加工後の本体周囲の厚さは最も薄い部分で2.2mm、厚い部分で2.4mmであり、ほぼ同じ適度の厚さを有していた。揺動角θは約22度であった。次に、本体21aの中心部のキリ穴に直径10mm厚さ4mmでかつ着磁方向が厚さ方向のNd系焼結磁石10を挿入し、エポキシ系接着剤で固定し、模式的に図1に示すマグネットホルダー21を得た。 【0056】マグネットホルダー21について、試験方法1および試験方法2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、試験方法1ではA4の用紙を16枚と十分な保持力を有することが分かった。特に、試験方法2ではバインダークリップの場合はもちろんのこと、ゼムクリップのような小さな留め具で留めた場合でもA4の用紙を20枚以上も固定保持できることが分かり、強力な保持力を有することが分かった。 【0057】 【表1】
【0058】さらに、このように強力な保持力を有しているにもかかわらず、用紙を用いずに直接ホワイトボードに留めた場合でも、磁気吸着面が下に凸の曲面で形成されているため揺動し易く、底面に隙間のある端部の上部を人差指で押すと同時に、他端部を親指で持ち上げることにより、マグネットホルダーを立ち上げ、両指で掴み、容易に取り外すことができた。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。 (実施例2) (図2参照) 直径25mm、厚さ4.0mmのアクリル樹脂製ディスクを素材として、両側の表面を互いに90°交差し中心部の幅10mmを残し、曲率半径が30mmとなるように湾曲面に研削加工した。さらに、中心部に直径10mmのキリ穴を開けて本体22aを得た。加工後の本体周囲の厚さは最も薄い部分で2.1mm、厚い部分で2.2mmであり、ほぼ同じ適度の厚さを有していた。揺動角θは約25度であった。次に、本体22aの中心部に開けたキリ穴に、実施例1と同じ着磁したNd系焼結磁石10を挿入し、エポキシ系接着剤で固定し、模式的に図2に示すマグネットホルダー22を得た。 【0059】マグネットホルダー22について、試験方法1および試験方法2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、いずれの試験結果においても十分な保持力を有することが分かった。特に、磁極面と被掲示体との距離が実施例1の場合より近づくため、マグネットホルダー21の磁気吸着力を若干上回る保持力を有することが分かった。さらに、用紙を用いず、直接ホワイトボードに留めた場合でも、磁気吸着面が中心部の一部を除いて下に凸の曲面で形成されているため、揺動し易く、脱着が極めて容易であった。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。 【0060】(実施例3) (図4参照) 1辺30mmの正四辺形、厚さ6.0mmのアクリル樹脂製の板材を素材として使用した。図4に示すように素材板の4隅の角を切り落とし、対辺距離30mmの正8角形に加工、さらに、中央部の幅10mmの部分を平面のまま残し、その平面から20°となるように両側を研削加工した。同様にして反対側の面も互いに外側に凸の曲面が90°交差するように研削加工した。さらに、中心部に直径8mmのキリ穴を開けて本体24aを得た。加工後の周囲の厚さは最も薄い部分で2.2mm、厚い部分で2.4mmであり、ほぼ同じ適度の厚さを有していた。次に、本体24aの中心部に開けたキリ穴に厚さ方向に着磁したφ8mm×t6mmのNd系焼結磁石11を挿入し、エポキシ系接着剤で固定し、図4に模式的に示すように、マグネットホルダー24を得た。 【0061】マグネットホルダー24について、試験方法1および試験方法2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、磁石形状は異なるものの、ほとんど同じ体積の磁石10を用いたマグネットホルダー22とほとんど同じ十分な保持力を有していた。さらに、用紙を用いず、直接ホワイトボードに留めた場合でも、磁気吸着面が下に凸の曲面で形成されているため、揺動し易く、脱着が極めて容易であった。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。 【0062】(比較例1)実施例1および実施例2の素材として用いたのと同じNd系焼結磁石10を用いて、そのままの状態で試験方法1および試験方法2により保持力を調べた。その結果は表1に示すように、保持力は実施例2と同じであった。ただし、ホワイトボードに取り付けた状態では素手では取り外すことができなかった。取り外すためには、ペンチ等の道具を用いて取り外す必要があり、極めて使い勝手が悪かった。 【0063】(比較例2)実施例1および実施例2の素材として用いたのと同じNd系焼結磁石10を用いて、片面のみ平面のままとしたことを除き、その他は実施例2と同様にしてマグネットホルダーを作成した。曲面に加工した側を磁気吸着面とした場合は、実施例2と同じように揺動するため、脱着は容易であった。しかしながら、平面側を吸着面とした場合は、磁石をそのままの状態で用いた比較例1よりは楽なものの、素手では無理して何とか外せる状況であり、極めて使いにくかった。 【0064】(比較例3)強力磁石16をプラスチック製ディスク50aの片側の偏心した位置に開けた空洞部に接着剤で固定した図11に示す市販品マグネットホルダー50(コクヨ製、商品名“カラーマグネット”)を用いて、試験方法1および2にて試験を行った。ディスク50aの外径は30mm、厚さは6.2mmであり、磁石16を取り出し寸法を測定した結果、直径10mm×厚さ2mmであった。また、成分分析等により磁石16はNd系焼結磁石であることが判明した。保持力の試験結果は表1に示すように、当該マグネットホルダー50は試験方法1では本発明のマグネットホルダー21〜23に比べてその保持力は小さいものの十分実用的な保持力を有していた。しかし、試験方法2ではほとんど保持力を示さず、折角強力なNd系焼結磁石を用いているにもかかわらず、利用方法が限定されることが分かった。また、使用を繰り返す内に、メッキが剥離したりして磁石が本体から脱落し、使えなくなる頻度が高かった。 【0065】(実施例4) (図5参照) 実施例2と同様にして、直径30mm、厚さ5.5mmのアクリル樹脂製のディスク素材を用いて、両側の表面を互いに90°交差し中心部の幅10mmを残し、曲率半径が中心部近傍の50mmから周辺部の30mmに連続的に変化する湾曲面となるように研削加工した。さらに、中心部にまず直径8mmの貫通穴を開け、次に両側からエンドミルを用いて直径10mmの穴を深さ2mmまで開けて本体25aを得た。加工後の本体周囲の厚さは最も薄い部分で2.8mm、厚い部分で2.9mmであり、ほぼ同じ適度の厚さを有していた。揺動角θは約25度であった。次に、本体25aの中心部に開けた穴の深さ方向中央部に直径8mm厚さ1.5mmの電磁軟鉄製のヨーク30を挿入し、さらに直径10mm厚さ2mmでかつ着磁方向が厚さ方向のNd系焼結磁石12を本体25aの両側から各1個挿入し、模式的に図5に示すマグネットホルダー25を得た。 【0066】マグネットホルダー25について、試験方法1および試験方法2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、いずれの試験結果においても十分な保持力を有することが分かった。磁石体積はマグネットホルダー21〜23と同じであるが、若干上回る保持力を有することが分かった。さらに、用紙を用いず、直接ホワイトボードに留めた場合でも、磁気吸着面が中心部の一部を除いて下に凸の曲面で形成されているため、揺動し易く、脱着が極めて容易であった。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。 【0067】(実施例5) (図6参照) 素材として、横幅6.0mm、長さ:12mm、厚さ:3.0mmの直方体形状のNd系焼結磁石13を2枚準備した。ただし磁場成型時の配向方向は厚さ方向である。次に模式的に図6に示すような形状の本体部26aをアクリル樹脂を使用して射出成型法で作製した。寸法は直径:30mm、最大厚さ:6mmとし、それぞれの面を中央部の幅8mmを除いて、中央部近傍の曲率半径が40mm、周辺部の曲率半径が30mmとなるように成型した。なお、成型時に、前記磁石が収まるキャビティを両側に造り込んだ。着磁した前記磁石13a、13bを、両側からキャビティに挿入し、マグネットホルダー26を得た。本体の円周部の厚さは最も薄い部分で2.8mm、厚い部分で3.0mmであり、ほぼ同じ適度の厚さを有していた。揺動角θは約27度であった。 【0068】マグネットホルダー26について、試験方法1および試験方法2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように十分な保持力を有することが分かった。また、平面部の幅が狭く、湾曲面が広いため揺動し易く、マグネットホルダーの脱着が容易であるだけでなく、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。 【0069】(実施例6) (図7参照) 直径25mm、厚さ5.0mmのアクリル樹脂製のディスクを素材として、両側の表面を互いに90度交差し中心部近傍の曲率半径が50mm、周辺部の曲率半径が30mmとなるように湾曲面に研削加工した。次に、中心部に両側から直径11mm、深さ0.5mmのキリ穴をエンドミルを用いて開け、さらに直径10mmのキリ穴を貫通させ、本体27aを得た。加工後の本体周囲の厚さは最も薄い部分で2.5mm、厚い部分で2.9mmであり、ほぼ同じ適度の厚さを有していた。揺動角θは約22度であった。次に、本体中心部の直径10mmのキリ穴に実施例1と同じNd系焼結磁石10を挿入し、さらに両面から直径11mm、厚さ0.5mmのSUS444製の円盤形状のヨーク31a、31bで蓋をし、これらをエポキシ系接着剤で固定した。さらに、本体の表面形状に合わせて、ヨークを研削加工し模式的に図7に示すマグネットホルダー27を得た。 【0070】マグネットホルダー27を着磁後、試験方法1および試験方法2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、同じ磁石を用いたマグネットホルダー22、23には若干劣るものの、十分な保持力を有していた。さらに、本形式のマグネットホルダーは磁石10がヨーク31で覆われているため、金属面で滑らせたり過酷な使い方をしても、磁石には全く影響しなかった。また、磁石は磁力でも本体に強固に固定されているため脱落せず耐久性が優れていることが分かった。なお、用紙を用いず、直接ホワイトボードに留めた場合でも、磁気吸着面がスムーズな下に凸の曲面で形成されているため、揺動し易く、脱着が極めて容易であった。また、被掲示体にマグネットホルダーを吸着させた状態で、上端を押すことにより、掲示物の抜き差しが極めて容易に行えることが分かった。 【0071】(実施例7) (図8参照) 厚さ1.2mmのフェライト系ステンレス鋼SUS444の鋼板を素材として、幅8mm×15mmの長方形に切り出し、15mm長さ方向の片側の端面を曲率半径が35mmとなるように研削加工しヨーク32とした。配向方向が厚さ方向で、寸法が厚さ3mm×幅5mm×長さ10mmの直方体形状のNd系磁石13を着磁し、両側に前記ヨーク32をセットし、予め準備したシリコンゴム製の鋳型を用いて、市販されているポリエステル系樹脂((株)土筆レジン手芸研究所製“ポリテル”)を流し込み図8に模式的に示す形状のマグネットホルダー28を作製した。本体28aの直径は30mmである。鋳込み成型後さらに、図8(b)正面図の本体28aの下側曲線は中央部の曲率半径が35mm、周辺部は約25mmのスムーズな曲線となるように、研削加工により仕上げた。一方、図8(c)側面図の本体28aの上側曲線は中央部の約5mmを平面とし、その両側が曲率半径約30mmの曲面となるように、成型後研削加工により仕上げを行った。研削加工後の本体aの中央部の厚さは7.5mm、周辺部の厚さは最も薄い部分で3.4mm、厚い部分で3.6mmであり、ほぼ同じ十分な厚さを有していた。揺動角θは約29度であった。 【0072】マグネットホルダー28について、試験方法1および試験方法2により保持力を調べた。その結果、表1に示すように、いずれの試験結果においても十分な保持力を有することが分かった。特に、正面図に示す下側が吸着面になるようにホワイトボードに留めた場合は、極めて小さな力で揺動し、掲示物の脱着がし易く極めて便利であることが分かった。その反対側を吸着面とした場合は、表1の下段に()内に示すように、20枚と磁極となるヨークの端面の全面が掲示物に密着するため、試験方法1での磁気吸着力がより強くなることが知られた。このような特徴から使用目的によって、両面を使い分けることができる。 【0073】 【発明の効果】以上説明したように、本発明のマグネットホルダーは極めて大きな磁気吸着力を有するにもかかわらず被掲示体からの取り外しが容易である。また、マグネットホルダーの表側も磁気吸着力を有する。そのため、バインダークリップのような汎用留め具で留めた用紙も、これらの磁性部をマグネットホルダーの上面に吸着させることにより十分な保持力で固定できる特長を有する。しかも、近づけるだけで、磁気吸引力が働き、極めて容易に固定できる。さらに用紙を引っ張ることにより、簡単に外すことができる。また、マグネットホルダーを揺動させることで、掲示物の脱着が可能となり、使い勝手は極めて良好となる。 【0074】さらに、Nd系磁石の生産工程で、あるいは使用済みの家電やエレクトロニクス関連機器から大量に発生するNd系磁石スクラップを有効に活用し、リュース、リサイクルを可能にするため、地球環境への負荷低減にも役立ち、かつ貴重かつ高価なNd系磁石を使っているにもかかわらず、安価にすることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】500560691 【氏名又は名称】広瀬 洋一
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| 【出願日】 |
平成13年11月12日(2001.11.12) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2003−145973(P2003−145973A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−383784(P2001−383784) |
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