| 【発明の名称】 |
スクラッチ隠蔽層付印刷物 |
| 【発明者】 |
【氏名】小野 朗 【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内
【氏名】渥美 浩司 【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号 凸版印刷株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】強い光を与えても機密情報データの陰影が視認できず、製造コストが嵩まず、スクラッチ隠蔽層にシャープ性があり、かつオフセット印刷機でのインライン加工を可能にし、デザインに自由度があるスクラッチ隠蔽層で構成されるスクラッチ隠蔽層付印刷物の提供にある。
【解決手段】基材10上に機密情報データ12でなる無色の非剥離層16とその周囲に無色の易剥離層14が施され、その上に有色のスクラッチ隠蔽層20が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物1であって、機密情報データ12として、スクラッチオフで残った非剥離層16上のスクラッチ隠蔽層20でなるスクラッチ隠蔽層付印刷物1とするもので、このスクラッチ隠蔽層20は、スチレンアクリル系樹脂およびウレタン系樹脂をバインダーとするスクラッチ用印刷インキで形成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】基材上に機密情報データの画像でなる非剥離層とその周囲に非剥離層を非画像部とする易剥離層が施され、その上に前記非剥離層と易剥離層とを覆うように有色で全面ベタのスクラッチ隠蔽層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記機密情報データは、スクラッチオフで掻き落とされない非剥離層上のスクラッチ隠蔽層でなることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物。 【請求項2】基材上に機密情報データの画像でなる非剥離層とその周囲に非剥離層を非画像部とする易剥離層が施され、その上に前記非剥離層と易剥離層とを覆うように有色で規則的もしくは不規則的線画紋様のスクラッチ隠蔽層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記機密情報データは、スクラッチオフで掻き落とされない非剥離層上のスクラッチ隠蔽層でなることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物。 【請求項3】前記非剥離層と易剥離層は、無色もしくは淡い同色の画像であることを特徴とする請求項1または2記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。 【請求項4】前記スクラッチ隠蔽層は、スチレンアクリル系樹脂および/またはウレタン系樹脂をバインダーとするスクラッチ用印刷インキでなることを特徴とする請求項1、2または3記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、抽選券やゲームカード等の如く機密情報データをスクラッチ隠蔽層で隠蔽してあるスクラッチ隠蔽層付印刷物に関するものであり、さらに詳しくは、スクラッチ隠蔽層をコイン等でスクラッチオフ(引っ掻き落とし)して機密情報データを認識するスクラッチ隠蔽層付印刷物に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、例えば、インスタント抽選券やゲーム用のカードなどにおいて、「当たり」、「外れ」あるいはそれに該当する絵柄などでなる機密情報データを隠蔽するために、隠蔽性とスクラッチ性(引っ掻き易さ性)を有し、凝集破壊性のあるゴム系のインキによりその機密情報データを隠蔽し、購入した顧客がその使用に際し、コイン等でスクラッチオフして機密情報データを視認するスクラッチ印刷物が知られ、種々の分野で利用されている。 【0003】上記のスクラッチ隠蔽層が施された印刷物として、例えば図4の積層断面で表した模式図に示すように、用紙などでなる基材(10)の上に絵柄、文字、数字などの機密情報データ(12)が印刷されていて、その機密情報データ(12)を覆うように透明な剥離ニスなどによる易剥離層(14)が形成され、その易剥離層(14)の上にスクラッチ隠蔽層(20)が施されているものであり、このスクラッチ印刷物を購入した顧客がコインや爪等でスクラッチ隠蔽層(20)をスクラッチオフ(引っ掻き落とすこと)して、「当たり」、「外れ」など、あるいはそれに該当する絵柄などの機密情報データ(12)を目視で認識できるようになっている。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、例えば基材(10)が比較的薄い用紙の場合などでは、この印刷物に強い光を当てて、その反対面から透かして見ると、機密情報データ(12)の陰影が透けて見えて機密情報データとならず、セキュリティに欠けるという問題点があった。 【0005】この問題を解決する方法として、例えば図5の積層断面で表した模式図に示すように、基材(10)の裏面にグレー系のインキによる印刷等で透かし防止層(24)を設ける方法があるが、裏面の情報量が限られることと、デザイン的にも見栄えがせず自由度がない等の問題があり、あるいはスクラッチ隠蔽層(20)を2度刷り等で厚くするなどの方法で補ったり、あるいは基材(10)が高価で、印刷やその加工等がし難い(生産効率が悪くなる)ことを承知のうえで厚い紙を使用してこの透けて見える問題を解決していた。 【0006】このように強い光を当てても機密情報データ(12)の陰影が透けて見えないようにするための上記いずれの対策においても、基材(10)、インキ等の材料や印刷等の工程が増えるという問題、いわゆる製造コストが嵩むという問題点があった。 【0007】また、最表面のスクラッチ隠蔽層(20)は、機密情報データ(12)を隠蔽する役目であるため、シルバーあるいはグレイ系統の不透明な全ベタ(印刷用語で、印刷面に濃淡の差や白く抜けた部分がなく、印刷インキで完全に覆われている部分)で形成せざるをえないものであり、従ってこのスクラッチ隠蔽層(20)のデザインに対する自由度がなく、かつデザイン的には見栄えがしないという問題点のあるスクラッチ印刷物であった。 【0008】さらにまた、最表面のスクラッチ隠蔽層(20)の形成に、厚さ4〜10μm程度に形成するスクリーン印刷法が用いられるのが一般的で、そのインキとして、例えばアルミニウム粉15〜25重量部、アルミナ白等体質顔料を含めた着色顔料15〜25重量部、凝集破壊(団塊)性のあるSBR、NBR等合成ゴム系樹脂15〜25重量部、さらにこれらにトルエンやキシレン、メチルイソブチルケトン等芳香族炭化水素系溶剤35〜45重量部と消泡剤等助剤5〜15重量部を加えてスクリーン印刷用インキとするものであり、このように凝集破壊(団塊)性のあるゴム系の(ばさばさした)インキで厚さが4〜10μm程度と厚くするため、画像にシャープ性がなく、かつ遅乾性のスクリーン用のスクラッチインキでは、ラインスピードが遅いのでスクラッチ隠蔽層(20)の印刷後、乾燥までの間にインキのレベリングが進み、機密情報データ(12)の凹凸がスクラッチ隠蔽層(20)の表面に現れるので、機密とはならないという問題があった。さらに遅乾性なので生産性に劣り、特に他の画像などを印刷するオフセット印刷機でのインライン加工としては不適なもので、別ラインで形成せざるを得なかった。 【0009】本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、強い光を与えてもその反対面からは機密情報データの陰影が視認できないスクラッチ隠蔽層付印刷物で、従来のように透かし防止層を施して裏面のデザインに自由度が無くなったり、見栄えがしないという問題がなく、スクラッチ隠蔽層を2度刷りしたり、あるいは高価で印刷や加工等がし難い厚い紙を用いたりして製造コストが嵩むという問題点がなく、さらにまた最表面のスクラッチ隠蔽層の画像にシャープ性があり、かつそのスクラッチ隠蔽層の形成にオフセット印刷機でのインライン加工を可能にし、デザインに自由度があり、かつ見栄えのするスクラッチ隠蔽層で構成されるスクラッチ隠蔽層付印刷物を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、基材上に機密情報データの画像でなる非剥離層とその周囲に非剥離層を非画像部とする易剥離層が施され、その上に前記非剥離層と易剥離層とを覆うように有色で、全面ベタのスクラッチ隠蔽層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記機密情報データは、スクラッチオフで掻き落とされない非剥離層上のスクラッチ隠蔽層でなることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。 【0011】上記請求項1の発明によれば、機密情報データを、スクラッチオフで掻き落とされない非剥離層上のスクラッチ隠蔽層でなる画像とすることによって、この画像の部分の非剥離層は、スクラッチオフ前は、易剥離層上のスクラッチ隠蔽層と同じ厚さで一体となっているので、強い光を与えて透かしてみても、機密情報データとして視認し難いスクラッチ隠蔽層付印刷物となり、その結果として従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物のように裏面に透かし防止層を施す必要がないので、裏面のデザインに自由度が増し、またスクラッチ隠蔽層の2度刷りや厚紙を必要としないので製造コストの低減ともなる。 【0012】また上記のように易剥離層上のスクラッチ隠蔽層が機密情報データとして視認される構成なので、スクラッチ隠蔽層を従来のように厚く盛って、かつ隠蔽性を高くする必要がないので、スクラッチ隠蔽層を形成するインキも印刷適性を悪くするアルミニウム粉等を多くせずに有色のインキでよく、この印刷方法もスクリーン印刷のほか、生産効率のよいグラビア方式、樹脂凸版を用いたロールコート方式あるいはフレキソ方式などが適用できるようになる。 【0013】また、請求項2の発明では、基材上に機密情報データの画像でなる非剥離層とその周囲に非剥離層を非画像部とする易剥離層が施され、その上に前記非剥離層と易剥離層とを覆うように有色で、規則的もしくは不規則的線画紋様のスクラッチ隠蔽層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物であって、前記機密情報データは、スクラッチオフで掻き落とされない非剥離層上のスクラッチ隠蔽層でなることを特徴とするスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。 【0014】上記請求項2の発明によれば、上記の請求項1と同様にスクラッチオフ前は、易剥離層上のスクラッチ隠蔽層と同じ厚さで一体となっているので、強い光を与えて透かしてみても、機密情報データとして視認し難いスクラッチ隠蔽層付印刷物となり、その結果として従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物のように裏面に透かし防止層を施す必要がないので、裏面のデザインに自由度が増し、またスクラッチ隠蔽層の2度刷りや厚紙を必要としないので製造コストの低減ともなるとともに、スクラッチ隠蔽層を、例えば規則的な万線や網点等あるいは不規則的な地紋、細紋、さらには線画絵柄等でなる線画紋様で形成することによって、最表面のスクラッチ隠蔽層のデザインに自由度を与え、デザイン的に見栄えのするスクラッチ隠蔽層付印刷物を提供できる。 【0015】また、請求項3の発明では、前記非剥離層と易剥離層は、無色もしくは淡い同色の画像であることを特徴とする請求項1または2記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。 【0016】上記請求項3の発明によれば、非剥離層と易剥離層を無色もしくは淡い同色の画像(パターン)とすることによって、特にスクラッチ隠蔽層を規則的もしくは不規則的線画紋様として、この非剥離層と易剥離層の一部が見える状態とした場合でも、あるいは透かして見た場合でも、この非剥離層と易剥離層との境界が視認されないので、機密情報データがスクラッチオフ前には視認不可能なスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができ、かつ有色のスクラッチ隠蔽層が機密情報データを形成するときに非剥離層と易剥離層とのコントラストを取れるようにすることができる。 【0017】また、請求項4の発明では、前記スクラッチ隠蔽層は、スチレンアクリル系樹脂および/またはウレタン系樹脂をバインダーとするスクラッチ用印刷インキでなることを特徴とする請求項1、2または3記載のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたものである。 【0018】上記請求項4の発明によれば、スクラッチ隠蔽層を、スチレンアクリル系樹脂および/またはウレタン系樹脂をバインダーとした密着性に優れる印刷インキで形成することによって、このスクラッチ隠蔽層に対する易剥離層と非剥離層との密着性に大差をもたせ、その結果として易剥離層の非画像部を形成する非剥離層に対しより密着性が向上し、使用に際しスクラッチオフすると、易剥離層では容易にスクラッチオフされるが、その非剥離層上ではスクラッチオフされずに残り、この残った部分が機密情報データとして認識されるようになり、かつこのスクラッチ隠蔽層用の印刷インキは、従来のSBR、NBR等合成ゴム系樹脂をバインダーとした遅乾性のインキに比べ、速乾性なので規則的もしくは不規則的線画紋様、例えば万線、網点、細紋あるいは線画絵柄等がレベリングして流れたりせず、よってシャープ性等に優れ、最表面のスクラッチ隠蔽層のデザインに見栄えのするスクラッチ隠蔽層付印刷物を提供できる。さらにはこのスクラッチ隠蔽層用インキは、速乾性なのでレベリングせずに皮膜となり、易剥離層と非剥離層の境界の段差が表面で秘密情報データとして視認されることがなく、かつオフセット印刷機でのインライン化を可能にするスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。 【0019】上記請求項1でいう全面ベタとは、印刷用語で、印刷面に濃淡の差や白く抜けた部分がなく、印刷インキで完全に覆われている部分をいう。 【0020】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物は、図1(a)の側断面図に示すように、例えば基材(10)上に非剥離層(16)とその周囲に非剥離層(16)を非画像部とする易剥離層(14)が施され、それら非剥離層(16)と易剥離層(14)とを覆うようにして隠蔽している有色で全面ベタのスクラッチ隠蔽層(20)が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)である。 【0021】そこで本発明では、図1(b)の平面図およびそのB−B面断面を表す図1(c)の側断面図に示すように、例えばこのスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)のスクラッチ隠蔽層(20)をコイン等でスクラッチオフ(掻き落とす)すると、易剥離層(14)上のスクラッチ隠蔽層(20)は剥離されて図1(b)および(c)の右半分に示すようなスクラッチオフで掻き落とされずに非剥離層(16)上に残ったスクラッチ隠蔽層(20)が、「O」の字を形成しこの「O」の字が機密情報データ(12)となるようにしたものである。 【0022】上記易剥離層(14)としては、スクラッチ隠蔽層(20)がスクラッチオフされ易いインキでなり、例えばポリウレタンアクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂に添加剤としてシリコンやワックス(ポリエチレンワックス等)を5重量%以下添加したインキをスクリーン印刷法、グラビア印刷法あるいはアニロックスローラを介して印刷するフレキソ印刷法等で印刷されて得られる。 【0023】さらに、例えばオフセットインキのビヒクル(印刷インキの着色顔料と添加剤を除いた成分)に滑材(シリコンやポリエチレンワックス等)を5重量%程度添加した剥離ニスが用いられ、さらに具体的には、例えば樹脂として20〜30重量%のロジン変性フェノール樹脂、アルキッド樹脂等、植物油として10〜20重量%の大豆油、亜麻仁油、桐油等、溶剤として25〜35重量%の鉱物油、ナフテン、パラフィン等でなるオフセット油性枚葉インキのビヒクルに、上記シリコンやポリエチレンワックス等を添加し、さらに添加剤として5〜10重量%のナフテン酸コバルト等でなるドライヤー、酸化抑制剤、裏移り防止剤などで構成されるオフセット油性タイプの剥離ニスが挙げられ、また、例えば光重合性素材として30〜90重量%のポリオール、ポリエステル、ウレタン、エポキシの各アクリル酸エステル、改質用樹脂として10〜40重量%のケトン樹脂、石油樹脂、アルキッド樹脂等でなる紫外線硬化型オフセット枚葉インキのビヒクルに、上記シリコンやポリエチレンワックス等を添加し、さらに添加剤として5〜10重量%のベンゾフェノン、ベンジル、ジメチルアミンベンゾフェノン等でなる光重合開始剤、さらにハイドロキノン等熱重合禁止剤等添加剤などで構成される紫外線硬化型のオフセット用の剥離ニスが挙げられ、乾燥が速い等の点からこのスクラッチ隠蔽層付印刷物の製造には好適な易剥離層用のインキ(ニス)であり、オフセット印刷法にて形成される。 【0024】これに対し非剥離層(16)としては、例えば上記の紫外線硬化型オフセット枚葉インキのビヒクルの他、通常の酸化重合型のオフセット枚葉インキのビヒクル、あるいはグラビアインキのビヒクルなど透明で無色のニスが挙げられ、スクラッチ隠蔽層(20)との密着性が上記易剥離層(14)と大差のあるものが好適に使用され、よって両者上のスクラッチ隠蔽層(20)は、スクラッチオフで易剥離層(14)上では剥離され、非剥離層(16)上では剥離されずに残り、これが秘密情報データ(12)として視認されるものである。なおこれら無色のニス(インキ)に淡い着色を施してもよいが、特にスクラッチ隠蔽層(20)が請求項2の発明のように万線等の線画の場合は上記の易剥離層用のインキと同色とする必要がある。 【0025】上記のような構成のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)では、図1(a)に示すように、スクラッチオフで機密情報データとなる非剥離層(16)上のスクラッチ隠蔽層(20)と易剥離層(14)上のスクラッチ隠蔽層(20)とが同じ厚さで一体となっていて、かつ非剥離層(16)と易剥離層(14)は無色か淡い同色でなるので、強い光を与えて透かしてみても、機密情報データ(12)として視認し難いスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。さらに図5に示す従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物のように裏面に透かし防止層(24)を施す必要がないので、裏面のデザイン等情報の量と自由度が増すメリットを備えたものとすることができる。 【0026】また、本発明では、図2(a)の側断面図に示すように、請求項1の発明の全面ベタのスクラッチ隠蔽層を、例えば規則的な万線状のパターン(20a)とするものである。このような規則的な万線状のパターン(20a)でなるスクラッチ隠蔽層としたスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)をスクラッチオフすると、図2(b)に示すように、易剥離層(14)上のスクラッチ隠蔽層は掻き落とされ、非剥離層(16)上のスクラッチ隠蔽層は規則的な万線状のパターン(20a)として機密情報データ(12)として視認されるようになる。このようにスクラッチオフ前後を問わずスクラッチ隠蔽層を規則的な万線状のパターン(20a)とすることによって、最表面のスクラッチ隠蔽層や機密情報データとしてのデザインに自由度を与え、デザイン的に見栄えのするスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とすることができる。 【0027】上記事例ではスクラッチ隠蔽層を規則的な万線状のパターン(20a)としたが、この規則的な線画紋様としては、この他に例えば網点状、格子状、斜め格子状などが挙げられ、また不規則的な線画紋様としては、例えば地紋、細紋、あるいは図3に示すように迷彩パターン(20b)でなるスクラッチ隠蔽層とすることもでき、さらには画線でなる絵柄、粗い(60線/インチ以下の)網点でなる絵柄などが挙げられ、これら線画紋様によってデザイン的に見栄えのするスクラッチ隠蔽層(20)として適宜選定することができる。 【0028】また、本発明では、図1(a)に示すように、スクラッチ隠蔽層(20)の形成に、スチレンアクリル系樹脂および/またはウレタン系樹脂をバインダーとする印刷インキを用いてスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)とするものである。 【0029】上記のスクラッチ隠蔽層(20)を形成するスクラッチ用の印刷インキの組成は、例えば有色で、ある程度の隠蔽性とスクラッチ性を付与するためのアルミニウムペースト(アルミニウム微粉末を脂肪酸等で表面処理し、沸点の高いミネラルスピリットなどでペースト状としたもの)と着色顔料が20〜45重量部、バインダーとしてのポリウレタン系合成樹脂あるいはスチレン/アクリル系共重合樹脂、またはポリウレタン系合成樹脂とスチレン/アクリル系共重合樹脂の混合体25〜50重量部、消泡剤等助剤1〜10重量部を、10〜35重量部の水と5重量部未満のイソプロピルアルコール等低級アルコールに分散させたものが挙げられ、非剥離層(16)への密着性(接着性)と速乾性を備えたスクラッチ用印刷インキとすることができる。 【0030】また、従来のゴム系のスクラッチ用印刷インキは、溶剤としてトルエンやキシレン等を使用していて、消防法や有機溶剤中毒予防規則(労働安全衛生法)の遵守の面から多くのコスト的負荷があることなどから、オフセット印刷機でのインライン化としては不適であったが、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物で使用するスチレンアクリル系樹脂および/またはウレタン系樹脂をバインダーとし、水と少量のイソプロピルアルコールに分散させてエマルジョンとしたスクラッチ用印刷インキは、この消防法や有機則の遵守の面からもオフセット印刷機でのインライン化を可能にする好適なものである。 【0031】また、本発明のスクラッチ隠蔽層付印刷物(1)を構成する基材(10)としては、例えばインスタント抽選券やゲームカードなどでは、アート紙、コート紙、あるいは上質紙などの洋紙やコートボール、コートマニラ、両面カードなどの板紙、あるいは特殊証券用紙などが挙げられ、また有価証券としてのスクラッチカードなどでは、白色PET(ポリエチレンテレフタレート)、白色PVC(ポリ塩化ビニル)シートなどが挙げられ、適宜用途等に応じて選定されるものである。 【0032】 【発明の効果】本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。即ち、基材上に機密情報データと同じ画像の非剥離層とその周囲にこの非剥離層を非画像部とする易剥離層が施され、これら非剥離層と易剥離層とを覆うように有色で全面ベタのスクラッチ隠蔽層が施されているスクラッチ隠蔽層付印刷物において、機密情報データを、スクラッチオフで掻き落とされない非剥離層上のスクラッチ隠蔽層でなる構成のスクラッチ隠蔽層付印刷物としたので、この機密情報データの部分では、スクラッチオフ前は、易剥離層上のスクラッチ隠蔽層と同じ厚さで一体となっているので、強い光を与えて透かしてみても、機密情報データとして視認し難いものとなり、その結果として従来のスクラッチ隠蔽層付印刷物のように裏面に透かし防止層を施す必要がないので、裏面のデザインに自由度が増し、またスクラッチ隠蔽層の2度刷りや厚紙を必要としないので製造コストの低減ともなる効果がある。 【0033】また上記のように易剥離層上のスクラッチ隠蔽層が機密情報データとして視認される構成なので、スクラッチ隠蔽層を従来のように厚く盛って、かつ隠蔽性を高くする必要がなく、スクラッチ隠蔽層を形成するインキも印刷適性を悪くするアルミニウム粉等を多くせずに有色のインキでよく、従ってこの印刷方法もスクリーン印刷のほか、例えば生産効率のよいグラビア方式、樹脂凸版を用いたロールコート方式あるいはフレキソ方式などが適用できるようになる。 【0034】また、前記スクラッチ隠蔽層を、例えば規則的な万線や網点等あるいは不規則的な地紋、細紋、さらには線画絵柄等でなる線画紋様で形成することによって最表面のスクラッチ隠蔽層のデザインに自由度を与え、デザイン的に見栄えのするスクラッチ隠蔽層付印刷物を提供できる。 【0035】また、前記非剥離層と易剥離層を無色もしくは淡い同色の画像(パターン)とすることによって、特にスクラッチ隠蔽層を規則的もしくは不規則的線画紋様として、この非剥離層と易剥離層の一部が見える状態とした場合でも、あるいは透かして見た場合でも、この非剥離層と易剥離層との境界が視認されないので、機密情報データがスクラッチオフ前には視認不可能な、信頼性に優れたスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができ、かつ有色のスクラッチ隠蔽層が機密情報データを形成するときに非剥離層と易剥離層とのコントラストを取れるようにすることができる。 【0036】さらにまた、前記スクラッチ隠蔽層を、スチレンアクリル系樹脂および/またはウレタン系樹脂をバインダーとした密着性に優れる印刷インキで形成し、このスクラッチ隠蔽層に対する易剥離層と非剥離層との密着性に大差をもたせたので、その結果として非剥離層に対し密着性が向上し、使用に際しスクラッチオフすると、易剥離層では容易にスクラッチオフされるが、非剥離層上ではスクラッチオフされずに残り、この残った部分が機密情報データとして認識されるようになり、かつこのスクラッチ隠蔽層用の印刷インキは、従来のSBR、NBR等合成ゴム系樹脂をバインダーとした遅乾性のインキに比べ、速乾性なので規則的もしくは不規則的線画紋様、例えば万線、網点、細紋あるいは線画絵柄等がレベリングして流れたりせず、よってシャープ性等に優れ、最表面のスクラッチ隠蔽層のデザインに見栄えのするスクラッチ隠蔽層付印刷物を提供できる。さらにはこのスクラッチ隠蔽層用インキは、速乾性なのでレベリングせずに皮膜となり、易剥離層と非剥離層の境界の段差がスクラッチ隠蔽層の表面で秘密情報データとして視認されることがなく、かつオフセット印刷機でのインライン化を可能にするスクラッチ隠蔽層付印刷物とすることができる。 【0037】従って本発明は、インスタント抽選券やゲームカード等の如く機密情報データをスクラッチ隠蔽層で隠蔽してあるスクラッチ隠蔽層付印刷物として、優れた実用上の効果を発揮する。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000003193 【氏名又は名称】凸版印刷株式会社 【住所又は居所】東京都台東区台東1丁目5番1号
|
| 【出願日】 |
平成13年11月14日(2001.11.14) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2003−145967(P2003−145967A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2001−348378(P2001−348378) |
|