| 【発明の名称】 |
印刷版、製版装置、印刷装置、及び印刷方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】大東 千秋 【住所又は居所】東京都目黒区下目黒2丁目3番8号 松下電送システム株式会社内
【氏名】家村 茂 【住所又は居所】東京都目黒区下目黒2丁目3番8号 松下電送システム株式会社内
【氏名】美濃 規央 【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】基材の表面に形成された単分子膜を選択的に除去して像を形成する場合に、機械的な接触を伴うことなく単分子膜への作像が可能で、かつ高解像度の作像及び印刷が可能なものとする。
【解決手段】所要の表面特性が付与された基材1の表面1aにこれとは相反する表面特性を有する単分子膜2が形成されると共に、この単分子膜と基材との結合を切り離す分離作用を光により発現する光吸収物質を少なくとも基材並びに単分子膜のいずれかに含み、光の照射により基材の表面から単分子膜を選択的に分離除去して所要の像が形成されるものとする。特に光吸収物質が、光により発熱して熱による分離作用を発現する光吸収発熱物質、あるいは光により活性化して光触媒反応による分離作用を発現する光触媒物質であるものとする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 所要の表面特性が付与された基材の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜が形成されると共に、該単分子膜と前記基材との結合を切り離す分離作用を光により発現する光吸収物質を少なくとも前記基材並びに単分子膜のいずれかに含み、光の照射により前記基材の表面から前記単分子膜を選択的に分離除去して所要の像が形成されるようにしたことを特徴とする印刷版。 【請求項2】 前記光吸収物質が、光により発熱して熱による前記分離作用を発現する光吸収発熱物質であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版。 【請求項3】 前記光吸収発熱物質が、赤外光の照射により前記分離作用を発現することを特徴とする請求項2に記載の印刷版。 【請求項4】 前記光吸収物質が、光により活性化して光触媒反応による前記分離作用を発現する光触媒物質であることを特徴とする請求項1に記載の印刷版。 【請求項5】 前記光触媒物質が、紫外光の照射により前記分離作用を発現することを特徴とする請求項4に記載の印刷版。 【請求項6】 前記基材が、少なくとも表層に前記光触媒物質を含むことを特徴とする請求項4に記載の印刷版。 【請求項7】 前記単分子膜が、その表面側の末端に炭化水素基を有する分子からなることを特徴とする請求項1に記載の印刷版。 【請求項8】 前記単分子膜が、その表面側の末端にフッ化炭素基を有する分子からなることを特徴とする請求項1に記載の印刷版。 【請求項9】 前記単分子膜が、前記基材の表面にシロキサン結合を介して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の印刷版。 【請求項10】 前記単分子膜が、少なくともクロロシラン基、アルコキシシラン基、並びにイソシアネートシラン基のいずれかを有する分子からなることを特徴とする請求項9に記載の印刷版。 【請求項11】 前記単分子膜が、親水性部と疎水性部とを併せ持つ両親媒性分子からなることを特徴とする請求項1に記載の印刷版。 【請求項12】 前記単分子膜が、これを構成する分子中の硫黄原子と前記基材の表面の金属原子との化学結合を介して形成されたことを特徴とする請求項1に記載の印刷版。 【請求項13】 前記単分子膜が、炭素数8以上の直鎖状部分を有する分子からなることを特徴とする請求項1に記載の印刷版。 【請求項14】 所要の表面特性が付与された基材の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜が形成されると共に、該単分子膜と前記基材との結合を切り離す分離作用を光により発現する光吸収物質を少なくとも前記基材並びに単分子膜のいずれかに含む印刷版に対して光を照射して、前記基材の表面から前記単分子膜を選択的に分離除去して所要の像を形成する光照射手段を有することを特徴とする製版装置。 【請求項15】 所要の表面特性が付与された基材の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜が形成されると共に、該単分子膜と前記基材との結合を切り離す分離作用を光により発現する光吸収物質を少なくとも前記基材並びに単分子膜のいずれかに含む印刷版に対して光を照射して、前記基材の表面から前記単分子膜を選択的に分離除去して所要の像を形成する光照射手段を有することを特徴とする印刷装置。 【請求項16】 所要の表面特性が付与された像担持体と、該像担持体の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜を形成する単分子膜形成手段と、少なくとも前記像担持体の表層並びに単分子膜のいずれかに含有する光吸収物質に前記像担持体の基材と単分子膜との結合を切り離す分離作用を発現させる光を照射して、前記像担持体の表面から前記単分子膜を選択的に分離除去して所要の像を形成する光照射手段とを有することを特徴とする印刷装置。 【請求項17】 前記単分子膜形成手段が、前記像担持体の表面に前記単分子膜の形成材料を含む材料液を塗布するローラであることを特徴とする請求項16に記載の印刷装置。 【請求項18】 印刷画像を更新する際に前記像担持体の表面を清掃する作像面清掃手段を有することを特徴とする請求項16に記載の印刷装置。 【請求項19】 前記作像面清掃手段が、前記像担持体の表面に付着した異物を拭い取る拭い材と、該拭い材に洗浄液をしみ込ませるための洗浄液供給源とからなることを特徴とする請求項18に記載の印刷装置。 【請求項20】 油性インキが用いられ、該油性インキの塗布に先だって湿し水を供給する湿し水供給手段を有することを特徴とする請求項15若しくは請求項16に記載の印刷装置。 【請求項21】 インキによる像の被印刷物への転写を仲介する中間転写体と、該中間転写体の表面を清掃する中間転写体清掃手段とを有することを特徴とする請求項15若しくは請求項16に記載の印刷装置。 【請求項22】 所要の表面特性が付与された基材の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜を形成する単分子膜形成工程と、少なくとも前記基材の表層並びに単分子膜中のいずれかに含有する光吸収物質に前記基材と単分子膜との結合を切り離す分離作用を発現させる光を照射して、前記基材の表面から前記単分子膜を選択的に分離除去して所要の像を形成する光照射工程とを有することを特徴とする印刷方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面に形成された単分子膜を選択的に除去することで作像される印刷版、この印刷版を製版する製版装置、並びに基材の表面に形成された単分子膜を選択的に除去して作像することで印刷を行う印刷装置及び印刷方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】平板印刷では種々の構成の印刷版が用いられており、例えば基材の表面に感光性樹脂からなる作像層を形成し、露光により作像層を選択的に硬化させた上で未硬化部分を除去して像を形成するようにした構成のものや、基材の表面にシリコン樹脂からなる作像層を形成し、露光により作像層を選択的に除去して像を形成するようにした構成のものが多用されている。 【0003】これに対して、特開平11−305494号公報及びWO98/34795号公報では、作像層を単分子膜で形成する構成の印刷方法が開示されている。これによると、単分子膜の形成材料に自己組織化特性を有するものを採用することで、材料液を基材の表面に塗布する簡単な操作で作像層を形成することができ、印刷版の製造が容易になり、しかも多部数印刷に耐える耐久性を備えた印刷版が得られる利点を有している。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかるに、前記従来の単分子膜を用いた印刷方法では、単分子膜からなる作像層を選択的に分離除去するために、サーマルヘッドで加熱する構成が採用されており、この場合、サーマルヘッドを単分子膜に密着させる必要があるが、この密着状態を適切に保持するには、サーマルヘッドを印刷版に押し付けて両者の機械的な誤差を印刷版や構成部材の弾性変形で対応させるなどの工夫が必要になり、さらに機械的な接触による印刷版や構成部材の損傷や磨耗を抑える工夫が必要になり、このために印刷版の基材の材料が制限されると共に印刷装置の構成が煩雑になる難点を有している。さらに、サーマルヘッドによる単分子膜の加熱が固体同士の接触による熱伝導によるものであるため、加熱範囲を絞り込むことが困難で高解像度化が制限される不都合を有している。 【0005】本発明は、このような従来技術の問題点を解消するべく案出されたものであり、その主な目的は、基材の表面に形成された単分子膜を選択的に除去して像を形成する場合に、機械的な接触を伴うことなく単分子膜への作像が可能で、かつ高解像度の作像及び印刷が可能なように構成された印刷版、製版装置、印刷装置、及び印刷方法を提供することにある。 【0006】 【課題を解決するための手段】このような目的を果たすために、本発明における印刷版では、請求項1に示すとおり、所要の表面特性が付与された基材の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜が形成されると共に、この単分子膜と基材との結合を切り離す分離作用を光により発現する光吸収物質を少なくとも基材並びに単分子膜のいずれかに含み、光の照射により基材の表面から単分子膜を選択的に分離除去して所要の像が形成されるようにした。 【0007】これによると、サーマルヘッドなどの作像手段を単分子膜に機械的に接触させることなく単分子膜への作像(パターニング)が可能となり、基材の材料に関する制約が少なくなると共に装置構成の煩雑化を避けることができる。さらに、直進性を有する光で作像を行うため、サーマルヘッドからの熱伝導に比較して高解像度の作像が可能である。 【0008】この場合、単分子膜は、単分子膜形成材料を含む材料液との接触により高度に分子配列した単分子膜が得られる自己組織化単分子膜が好ましいが、水面に形成された単分子膜を機械的な手法で基材上に移し取る操作で単分子膜を形成するLB(Langmuir-Blodgett)法により形成されるLB膜も可能である。LB膜は、主にファンデルワールス力による物理的吸着で基材の表面に固定されるが、自己組織化単分子膜では、分子末端の官能基が基板の構成原子に選択的に化学吸着し、共有結合や配位結合などの化学結合を介して基材に強固に固定されるため、容易に剥離しない単分子膜が得られ、優れた耐刷性を実現することができる。 【0009】また、光吸収物質には、単分子膜と基材との結合を切り離すのに十分な分離作用を適度な光照射で得ることが可能な特性が要求され、光吸収物質の分離作用を高める上で、光吸収物質の光吸収域に応じた波長の光、特にレーザ光を用いると良く、レーザのビーム径を調整することで高解像度化が可能である。また、赤外光あるいは紫外光を用いる場合には、その波長に適合した光吸収能を有する光吸収物質を採用すると良い。光吸収物質としてはメチレンブルーなどの色素物質、カーボンブラック、レーザ吸収性染料が好適である。 【0010】さらに、光吸収物質は、少なくとも基材及び単分子膜のいずれかに含まれ、均一な光吸収特性を有するように基材の表面に沿って均一に分布させる必要があり、基材側に光吸収物質を含む場合の例としては、少なくとも基材の表層を着色処理して光増感する構成、塗装その他の成膜処理や含浸処理などで光吸収物質からなる、あるいは光吸収物質を分散させた表層を基材に形成する構成を挙げることができる。単分子膜側に光吸収物質を含む場合の例としては、単分子膜の形成材料自体が光吸収特性を備えた構成、単分子膜の形成材料内に光吸収物質を分散させた構成を挙げることができる。 【0011】また、この印刷版では、光が照射された露光部分の単分子膜が除去されて基材の表面が露出し、その基材の露出部分と単分子膜の被覆部分とのいずれか一方がインキを付着させるべき画線部となり、他方がインキを排除すべき非画線部となり、画線部に設定された部分にインキを優先的に付着させるため、用いるインキの性状に応じて所要の表面特性(インキ受理性)を基材及び単分子膜に付与する。すなわち水性インキでは、水に対する親和性の相違に基づいて表面特性を選択し、画線部を親水性に、非画線部を疎水性・撥水性にすると良い。他方、油性インキでは、油に対する親和性の相違に基づいて表面特性を選択し、画線部を親油性に、非画線部を疎油性・撥油性にすると良い。また、親水性の非画線部に湿し水を付着させる処理を行って油性インキの排除性・反撥性を高めると、鮮明が印刷画像を得ることができる。 【0012】前記印刷版においては、請求項2に示すとおり、光吸収物質が、光により発熱して熱による分離作用を発現する光吸収発熱物質である構成をとることができる。これによると、熱的プロセスで基材の表面分子と単分子膜の構成分子との結合を切り離して、単分子膜を基材から分離除去することができる。 【0013】前記印刷版においては、請求項3に示すとおり、光吸収発熱物質が、赤外光の照射により分離作用を発現する構成をとることができる。これによると、昼光色に感応しないものとすることで、昼光色下での取り扱いが可能になり、暗室を必要としないため、大幅な作業性の改善を図ることができる。 【0014】前記印刷版においては、請求項4に示すとおり、光吸収物質が、光により活性化して光触媒反応による分離作用を発現する光触媒物質である構成をとることができる。これによると、非熱的な光触媒プロセスで基材の表面分子と単分子膜の構成分子との結合を切り離して、単分子膜を基材から分離除去することができる。この場合、光触媒材料にバンドギャップを越える強度の光を照射して励起することで、周囲の物質に酸化還元反応を生じさせる光触媒作用が発現し、この光触媒作用により単分子膜の構成分子が基材の表面から分離される。 【0015】前記印刷版においては、請求項5に示すとおり、光触媒物質が、紫外光の照射により分離作用を発現する構成をとることができる。これによると、熱に感応しないものとすることで、取り扱いや保存が容易になり、大幅な作業性の改善を図ることができる。この場合、紫外光の照射により光触媒作用を発現する二酸化チタンやこれに所要の組成を組み合わせた光触媒材料を用いれば良い。 【0016】前記印刷版においては、請求項6に示すとおり、基材が、少なくとも表層に光触媒物質を含む構成をとることができる。これによると、光照射により表層の光触媒物質が活性化することで、光触媒物質の作用で単分子膜が分離されると同時に、単分子膜が除去されて露出した基材の表面が超親水性を示すようになり、予め基材の表面を親水性化する処理の必要がなく、製造が容易になる。 【0017】前記印刷版においては、請求項7に示すとおり、単分子膜が、その表面側の末端に炭化水素基を有する分子からなる構成をとることができる。これによると、単分子膜の表面に疎水性を付与することができ、単分子膜による被覆部分で画線部を形成して油性インキを用いる場合に好適であり、これにより鮮明な印刷画像を得ることができる。なお、これとは逆に単分子膜表面を親水性にするには、基材上に疎水性表面を有する単分子膜を一旦形成した上でその上に親水基を有する分子を化学結合を介して固定する方法も可能である。 【0018】前記印刷版においては、請求項8に示すとおり、単分子膜が、その表面側の末端にフッ化炭素基を有する分子からなる構成をとることができる。これによると、単分子膜の表面に親油性・撥水性を付与することができ、単分子膜による被覆部分で画線部を形成して油性インキを用いる場合に好適であり、これにより鮮明な印刷画像を得ることができる。 【0019】前記印刷版においては、請求項9に示すとおり、単分子膜が、基材の表面にシロキサン(Si−O)結合を介して形成された構成をとることができる。これによると、基材の表面分子と単分子膜の構成分子とが強固に結合され、単分子膜が基材から容易に剥離することがなく、耐刷性の高い印刷版を得ることができる。さらに、自己組織化特性を利用してシラン化合物が分散する材料液と基材との接触で単分子膜を簡単に形成することができる。この場合、アルコキシ基を有するシラン化合物が好適であり、特にトリアルコキシシランまたはテトラアルコキシシランから選ばれたシラン化合物が望ましい。また、基材は、活性水素を表面に有するもの、特に水酸基を表面に高密度に有するものが望ましく、金属を用いる場合には表面に酸化膜を形成したものが好適である。表面に十分な水酸基が存在しないプラスチックなどの材料では酸処理などで水酸基を形成すれば良い。 【0020】前記印刷版においては、請求項10に示すとおり、単分子膜が、少なくともクロロシラン基、アルコキシシラン基、並びにイソシアネートシラン基のいずれかを有する分子からなる構成をとることができる。これによると、基材の表面にシロキサン結合を介した強固な単分子膜を形成することができる。 【0021】前記印刷版においては、請求項11に示すとおり、単分子膜が、親水性部と疎水性部とを併せ持つ両親媒性分子からなる構成をとることができる。これによると、LB法などにより均一な単分子膜を基材上に形成することができる。この場合、親水性部が、少なくともカルボキシル基並びにアミノ基のいずれかを有すものが好適である。 【0022】前記印刷版においては、請求項12に示すとおり、単分子膜が、これを構成する分子中の硫黄原子と基材の表面の金属原子との化学結合を介して形成された構成をとることができる。これによると、自己組織化により均一な単分子膜を基材上に形成することができる。例えば単分子膜の形成材料がチオール基を有する直鎖状炭化水素分子からなり、チオール基の硫黄原子が基材表面の金などの金属原子と化学結合して強固なチオラート単分子膜が形成される。 【0023】前記印刷版においては、請求項13に示すとおり、単分子膜が、炭素数8以上の直鎖状部分を有する分子からなる構成をとることができる。これによると、単分子膜の構成分子の分子鎖に乱れが生じ難くなり、所要の表面特性を付与するための基が単分子膜の表面側に位置し、所期の表面特性を単分子膜に確実に付与することができる。 【0024】また、本発明における製版装置では、請求項14に示すとおり、所要の表面特性が付与された基材の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜が形成されると共に、この単分子膜と基材との結合を切り離す分離作用を光により発現する光吸収物質を少なくとも基材並びに単分子膜のいずれかに含む印刷版に対して光を照射して、基材の表面から単分子膜を選択的に分離除去して所要の像を形成する光照射手段を有するものとした。 【0025】これによると、光照射により作像(パターニング)が可能となり、機械的な接触による不都合を避けると共に、高解像度の製版が可能となる。この場合、印刷装置外で作像を行うオフプレス作像となり、作像が終了した印刷版を印刷装置に付け替えて印刷が行われる。 【0026】また、本発明における印刷装置では、請求項15に示すとおり、所要の表面特性が付与された基材の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜が形成されると共に、この単分子膜と基材との結合を切り離す分離作用を光により発現する光吸収物質を少なくとも基材並びに単分子膜のいずれかに含む印刷版に対して光を照射して、基材の表面から単分子膜を選択的に分離除去して所要の像を形成する光照射手段を有するものとした。 【0027】これによると、光照射により作像(パターニング)が可能となり、機械的な接触による不都合を避けると共に、高解像度の印刷が可能となる。この場合、印刷装置上で印刷版に作像を行うオンプレス作像となり、印刷装置上での機械的な印刷版の位置合せを厳密に行う必要がなくなるため、印刷版の取付に熟練を必要とせず、短時間で印刷版の取付が終了し、作業の効率化を図ることができる。なお、本印刷装置は、光照射手段の他に、印刷版を着脱可能に保持する版保持手段と、作像が終わった印刷版にインキを塗布するインキ塗布手段とを備え、印刷版上に形成されたインキによる像を被印刷物に転写して印刷画像が得られる。 【0028】また、本発明における印刷装置では、請求項16に示すとおり、所要の表面特性が付与された像担持体と、この像担持体の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜を形成する単分子膜形成手段と、少なくとも像担持体の表層並びに単分子膜のいずれかに含有する光吸収物質に像担持体の基材と単分子膜との結合を切り離す分離作用を発現させる光を照射して、像担持体の表面から単分子膜を選択的に分離除去して所要の像を形成する光照射手段とを有するものとした。 【0029】これによると、光照射により作像(パターニング)が可能となり、機械的な接触による不都合を避けると共に、高解像度の印刷が可能となる。この場合、印刷版が不要で、印刷版の付け替えの手間が不要になり、印刷画像を新規なものに更新する場合には、像担持体上で像の書き換えを行えば良い。この場合、単分子膜の形成材料に自己組織化特性を有するものを採用すると良く、更新前の単分子膜をそのままにしてインキなどの異物を除去する簡単なクリーニングの後に材料液を再度塗布するだけで未作像の新規な作像層を形成することができ、像の書き換えが容易である。なお、本印刷装置は、単分子膜形成手段及び光照射手段の他に、像担持体の表面にインキを塗布するインキ塗布手段を備え、像担持体上にインキにより形成された像を被印刷物に転写して印刷画像が得られる。なお、本印刷装置においては、前記請求項2乃至請求項13に示した印刷版と同一構成の基材及び単分子膜を適用することができ、その場合、像担持体の表面を形成する部材が基材に相当する。 【0030】前記印刷装置においては、請求項17に示すとおり、単分子膜形成手段が、像担持体の表面に単分子膜の形成材料を含む材料液を塗布するローラである構成をとることができる。これによると、簡易な構成で容易に均一な単分子膜を形成することができる。この場合、ローラは、材料液を染み込ませて保持するスポンジ層を備えた構成とすると良い。また、単分子膜の形成材料にはシラン化合物などの自己組織化特性を有するものが採用され、これを所要の溶媒中に分散させた溶液を材料液に用いると良い。 【0031】前記印刷装置においては、請求項18に示すとおり、印刷画像を更新する際に像担持体の表面を清掃する作像面清掃手段を有する構成をとることができる。これによると、作像のための単分子膜形成に先だって像担持体の表面を清掃することで、インキなどの異物が均一な単分子膜の形成を阻害する不具合を避けることができる。なお、印刷画像を更新する場合、更新前の単分子膜を除去する必要はなく、これに重ねて材料液を塗布することで像担持体の表面に単分子膜が均一に形成される。 【0032】前記印刷装置においては、請求項19に示すとおり、作像面清掃手段が、像担持体の表面に付着した異物を拭い取る拭い材と、この拭い材に洗浄液をしみ込ませるための洗浄液供給源とからなる構成をとることができる。これによると、表面に付着するインキなどの汚れを確実に除去することができる。この場合、拭い材は、織物や不織布などの布帛からなり、一方のローラから繰り出されて像担持体の表面を清掃した後に他方のローラに巻き取って回収される構成とすると良い。 【0033】前記印刷装置においては、請求項20に示すとおり、油性インキが用いられ、この油性インキの塗布に先だって湿し水を供給する湿し水供給手段を有する構成をとることができる。これによると、油性インキの反撥性を高める湿し水が親水性の非画線部に付着してインキを確実に排除し、鮮明な印刷画像を得ることができる。この場合、シラン化合物の化学結合による単分子膜形成の都合で表面に水酸基を有する金属酸化膜を基材に形成してその表面が親水性を示す構成に有効である。 【0034】前記印刷装置においては、請求項21に示すとおり、インキによる像の被印刷物への転写を仲介する中間転写体と、この中間転写体の表面を清掃する中間転写体清掃手段とを有する構成をとることができる。これによると、印刷版や像坦持体上に形成されたインキによる像がここから一旦、中間転写体に転写された上で被印刷物に転写されるため、印刷版や像坦持体が被印刷物に直接接触することにより招く損傷を避けることができる。そして中間転写体清掃手段により、中間転写体上のインキや紙粉などの異物が除去されるため、鮮明な印刷画像を得ることができる。この場合、中間転写体の清掃は、一定周期で、または印刷画像を更新する際に行うように構成すると良い。 【0035】また、本発明における印刷方法では、請求項22に示すとおり、所要の表面特性が付与された基材の表面にこれとは相反する表面特性を有する単分子膜を形成する単分子膜形成工程と、少なくとも基材の表層並びに単分子膜中のいずれかに含有する光吸収物質に基材と単分子膜との結合を切り離す分離作用を発現させる光を照射して、基材の表面から単分子膜を選択的に分離除去して所要の像を形成する光照射工程とを有するものとした。 【0036】これによると、光照射により作像(パターニング)が行われるため、機械的な接触による不都合を避けると共に、高解像度の印刷が可能となる。なお、本印刷方法は、単分子膜形成工程及び光照射工程の他に、基材の表面にインキを塗布するインキ塗布工程と、基材の表面上に形成されたインキによる像を被印刷物に転写する転写工程とを有する。この場合、印刷版を用いる構成では、ベース(アルミニウム合金などの金属製プレートや合成樹脂製フィルムなど)が基材に相当し、印刷版を用いない構成では、シリンダなどの像担持体の作像表面を構成する部材が基材に相当する。 【0037】 【発明の実施の形態】以下に添付の図面を参照して本発明の構成を詳細に説明する。 【0038】図1は、本発明による印刷版の第1の例を模式的に示す断面図である。この印刷版は、図1(a)に示すように所要の表面特性が付与された基材1の表面1aにこれとは相反する表面特性を有する単分子膜2が均一に形成されると共に、この単分子膜2と基材1との結合を切り離す発熱作用を光により発現する光吸収発熱物質からなる表層3が基材1に形成され、図1(b)に示す製版工程で、形成すべき画像情報にしたがってレーザ光を部分的に照射すると(光照射工程)、基材1の表層3における光照射部分5が発熱してその近傍の単分子膜2の構成分子4の結合が切り離され、これにより図1(c)に示すように基材1の表面1aから単分子膜2が選択的に分離除去されて、所要の像が形成されるようになっている。なお、作像により除去される量が僅かであるため、水洗いなどの後処理は特に必要ない。 【0039】基材1の表層3は、赤外レーザ光を吸収する色相の着色処理を酸化アルミニウム被膜に施すことにより光吸収発熱機能が付与されてなるものである。なお、この表層3は、赤外レーザ光を吸収する色相の色素物質からなる、あるいは色素物質を分散させた構成としても良い。例えば所要の光吸収能を有する色素物質を含む塗料を塗布して光吸収発熱能を有する塗膜を形成する構成も可能である。 【0040】ここでは、単分子膜2が除去されずに残った単分子膜被覆部分7がインキを付着させるべき画線部となり、その表面は油性インキを受理可能な疎水性を示す。単分子膜2が除去されて基材1の表面1aが露出した基材露出部分8はインキを排除すべき非画線部となり、ここは表層3を形成する酸化アルミニウムにより親水性を示している。 【0041】単分子膜2は、オクタデシルトリクロロシランで形成され、このオクタデシルトリクロロシランは、一端にクロロシラン基を有し、他端に炭化水素基を有する直鎖状分子であり、クロロシラン基により、水酸基を有する基材の表面にシロキサン(Si−O)結合を介して耐刷性に優れた単分子膜が形成される。また、オクタデシルトリクロロシランは、分子の自発的な吸着及び自己制御プロセスにより固体表面に単分子膜を形成する自己組織化特性を有し、これを分散させた溶液を基材1に塗布する操作で単分子膜2を簡単に形成することができる。さらに、オクタデシルトリクロロシランは、単分子膜2の表面側の末端に炭化水素基が位置し、単分子膜2の表面が疎水性を示し、油性インキを優先的に付着させることができ、さらに炭素数が18の直鎖状分子であるため、分子鎖に乱れが生じ難く、所要の表面特性を確保することができる。 【0042】なお、単分子膜2の形成材料には、クロロシラン基に代わり、アルコキシシラン基を有するオクタデシルトリエトキシシランや、イソシアネートシラン基を有するシラン化合物も可能である。また、単分子膜2に所要の表面特性、すなわち疎水性を付与するため、炭化水素基に代わり、フッ化炭素基を表面側の末端に有するものも可能であり、このうちシロキサン結合を形成するものとしてフルオロアルキルシラン化合物を挙げることができる。 【0043】また、単分子膜2の形成材料には、親水性部と疎水性部とを併せ持つ両親媒性分子からなるもの、例えばカルボキシル基からなる親水性部と炭化水素基からなる疎水性部とを有するアラキン酸などの直鎖状炭化水素カルボン酸や、その親水性部のカルボキシル基に代えてアミノ基を有するものも可能である。この場合、LB法、すなわち気水界面に形成した単分子膜を横方向から加圧して配列させて基材上に掬い取る方法により基材1に単分子膜2を形成することができる。 【0044】さらに、単分子膜2の形成材料には、単分子膜2を構成する分子中の硫黄原子と基材1の表面1aの金属原子との化学結合を介して単分子膜2を形成するもの、例えばチオール基を有する直鎖状炭化水素分子も可能である。この場合、自己組織化特性を有するため、材料液の塗布で均一な単分子膜2を基材1上に簡単に形成することができる。 【0045】図2は、図1に示した製版工程を経た印刷版による印刷工程の手順を段階的に示す断面図である。まず、基材露出部分8での油性インキの排除性を高めるために湿し水が供給され(湿し水供給工程)、図2(a)に示すように、親水性の基材露出部分8に湿し水11が付着する。ついで、インキを塗布すると(インキ塗布工程)、図2(b)に示すように、画線部である疎水性の単分子膜被覆部分7にインキ12が付着し、その表面にインキ12により像が形成される。このインキ12による像は、図2(c)に示すように、中間転写体13に一旦転写された上で、図2(d)に示すように、被印刷物14に転写され(転写工程)、これにより被印刷物14に所要の画像が形成される。 【0046】図3は、本発明による印刷版の第2の例を模式的に示す断面図である。この印刷版では、図3(a)に示すように、前記第1の例と同様に基材21の表面21aに単分子膜22が形成されているが、ここでは前記の例とは異なり、基材21上の単分子膜22自体が光吸収発熱物質23を含み、特にこの光吸収発熱物質23は基材21の表面21aに対する化学吸着能を有する、換言すれば光吸収発熱特性を有する単分子膜構成分子を含み、他の単分子膜構成分子24と共に基材21の表面21aに化学結合している。 【0047】この印刷版では、図3(b)に示すように、赤外レーザ光を照射すると(光照射工程)、単分子膜22中の光照射部分25内に分散する光吸収発熱物質23が発熱してそれ自身並びにその近傍の単分子膜構成分子24の結合が切り離され、これにより図3(c)に示すように単分子膜22が選択的に分離除去されて所要の像が形成される。このようにして製版された印刷版は、前記図2に示した印刷工程と同様の手順で印刷を行うことができる。なお、単分子膜22の構成分子が全て赤外光吸収能を有する構成も可能である。また、化学吸着能を有しない光吸収発熱物質を単分子膜22中に分散させる構成も可能である。 【0048】図4は、本発明による印刷版の第3の例を模式的に示す断面図である。この印刷版では、図4(a)に示すように、前記第1の例と同様に基材31の表面31aに単分子膜32が形成されると共に、基材31が光吸収発熱物質を含んでいるが、特にここでは、酸化アルミニウム被膜内に形成される空隙に光吸収発熱物質を含浸させるなどの方法で、基材31の表層33に光吸収発熱物質34が均一に分散している。 【0049】この印刷版では、図4(b)に示すように、赤外レーザ光を照射すると(光照射工程)、表層33中の光照射部分36内の光吸収発熱物質34が発熱してその近傍の単分子膜構成分子35の結合が切り離され、これにより図4(c)に示すように単分子膜32が選択的に分離除去されて所要の像が形成される。このようにして製版された印刷版は、前記図2に示した印刷工程と同様の手順で印刷を行うことができる。 【0050】図5は、本発明による印刷版の第4の例を模式的に示す断面図である。この印刷版では、図5(a)に示すように、前記の各例と同様に基材41の表面41aに単分子膜42が形成されているが、ここでは前記の各例とは異なり、紫外レーザ光により単分子膜42と基材41との結合を切り離す触媒作用を発現する酸化チタンなどの光触媒物質を含む表層43が基材41に薄膜状に形成されている。 【0051】この印刷版では、図5(b)に示すように、紫外レーザ光を照射すると(光照射工程)、表層43中の光照射部分45内の光触媒物質が光触媒作用を発現してその近傍の単分子膜構成分子44の結合が切り離され、これにより図5(c)に示すように単分子膜42が選択的に分離除去されて所要の像が形成される。このようにして製版された印刷版は、前記図2に示した印刷工程と同様の手順で印刷を行うことができる。 【0052】図6は、本発明による製版装置の例を模式的に示す断面図である。この製版装置では、前記のいずれかの構成からなる印刷版51がドラム52に巻き付けて保持され、印刷版51に対して光源(光照射手段)53から光を照射する処理を行って、印刷版51の表面に形成された単分子膜を選択的に分離除去して所要の像が形成される。印刷版51はクランプ54で端部を固定されてドラム52に密着した状態で所定位置に保持されている。光源53は、印刷すべきページ単位でラスター化されたデジタル信号により制御され、光源53からの光はレンズ55で焦点を絞った上で印刷版51に照射される。光源53は、印刷版51の光吸収物質に単分子膜と基材との結合を切り離す分離作用を発現させるのに適した波長の光、すなわち図1〜図4に示した印刷版では、赤外レーザ光を発するものが採用され、図5に示した印刷版では、紫外レーザ光を発するものが採用される。 【0053】図7は、本発明による印刷装置の第1の例を模式的に示す斜視図である。この印刷装置は、前記図6に示した製版装置で製版された印刷版51を装着して印刷を行うものであり、印刷版51を着脱可能に保持する版保持シリンダ(版保持手段)62と、印刷版51に湿し水を付着させる水着けローラ(湿し水供給手段)63と、印刷版51にインキを塗布するインキ着けローラ(インキ塗布手段)64と、印刷版51上に形成されたインキによる像が転写されるブランケットシリンダ(中間転写体)65と、このブランケットシリンダ65上のインキによる像を記録紙(被印刷物)66に転写する際に記録紙66の裏面から圧力を加える加圧ローラ67と、ブランケットシリンダ65を清掃するブランケットクリーニングローラ(中間転写体清掃手段)68とを有している。 【0054】この印刷装置では、まず版保持シリンダ62に印刷版51が巻き付けられてクランプ69で端部が固定され、このとき印刷版51を精密に位置決めする必要がある。そして刷り動作オンモードに設定されて印刷工程に入り、版保持シリンダ62の回転駆動部(図示せず)が作動状態となり、まず水着けローラ63により印刷版51に湿し水が供給され、印刷版51における非画線部を形成する基材露出部分に湿し水が付着する。ついでインキ着けローラ64により印刷版51にインキが塗布され、画線部を形成する単分子膜被覆部分にインキが付着する。これにより、印刷版51上にインキによる像が形成され、このインキによる像はブランケットシリンダ65に一旦転写された上で記録紙66に転写される。このようにして所要部数の印刷が終了すると、刷り動作オフモードに設定されて中間転写体清掃工程に移行し、ブランケットクリーニングローラ68によりブランケットシリンダ65の清掃が行われる。この刷り動作オフモードでは、ブランケットクリーニングローラ68のみがブランケットシリンダ65に接触する。なお、新規の画像の印刷は、印刷版51を交換して行われる。 【0055】図8は、図7に示した印刷装置の模式的な断面図である。水着けローラ63を介して印刷版51に湿し水を供給する湿し水装置71は、湿し水が蓄えられた水舟72と、この水舟72内の湿し水に一部浸漬された水元ローラ73と、この水元ローラ73から受け取った湿し水をブラシで飛散させるブラシローラ74と、このブラシローラ74で飛散された湿し水を受け取って表面に均一な薄い水膜を形成するクロムローラ75とを有し、このクロムローラ75から適切な量の湿し水が均一に水着けローラ63に供給される。 【0056】インキ着けローラ64を介してインキを印刷版51に供給するインキング装置77は、インキを蓄えるインキつぼ78と、このインキつぼ78内のインキに一部浸漬されたファンテンローラ79と、このファンテンローラ79でくみ上げられたインキを受け取るピックアップローラ80と、このピックアップローラ80との間でインキを混練するインキシリンダ81とを有し、このインキシリンダ81から適切な量のインキが均一にインキ着けローラ64に送られる。 【0057】ブランケットクリーニングローラ68は、ブランケットシリンダ65の表面に接触してここに付着したインキ、紙粉、水などの異物を除去し、このブランケットクリーニングローラ68で回収された異物が再度ブランケットシリンダ65を汚さないようにブレード83で除去される。 【0058】図9は、本発明による印刷装置の第2の例を模式的に示す斜視図である。この印刷装置は、前記図1〜図5に示した印刷版と同様の構成の未作像の印刷版91を取り付けて、作像から印刷までをまとめて行うオンプレス製版が可能なように構成されており、前記第1の例とは異なり、版保持シリンダ(版保持手段)92に取り付けられた印刷版91に対して、形成すべき画像情報にしたがって選択的に光を照射する光照射部(光照射手段)93を備えている。この他、前記第1の例と同様に、水着けローラ(湿し水供給手段)94、インキ着けローラ(インキ塗布手段)95、ブランケットシリンダ(中間転写体)96、加圧ローラ97、並びにブランケットクリーニングローラ(中間転写体清掃手段)98が設けられている。 【0059】光照射部93は、レーザ発振器100と、これが発するレーザ光を版保持シリンダ92上の印刷版91の表面に導くための光学系機器として、レーザ発振器100から発するレーザ光を集光するコリメータレンズ101と、このレンズ101を通過したレーザ光を高速で回転して版保持シリンダ92の軸方向に直線走査するポリゴンミラー102と、レーザ光の焦点距離を補正するfθレンズ103とを有し、印刷版91の表面上でレーザ光が所定のビーム径となる。 【0060】この印刷装置では、まず版保持シリンダ92に印刷版91がクランプ105で固定され、このとき正確な位置合わせは不要である。そして製版モードに設定されて製版工程に入り、光照射部93と版保持シリンダ92の回転駆動部(図示せず)とが作動状態となり、レーザ光による作像が行われ、印刷すべきページ単位でラスター化されたデジタル信号によりレーザ発振器100及びポリゴンミラー102の駆動部(図示せず)が制御される。この製版工程が終了すると、刷り動作オンモードに設定されて印刷工程に移行し、前記の例と同様にして記録紙(被印刷物)106に印刷が行われる。印刷工程が終了すると、刷り動作オフモードに設定されて清掃工程に移行し、前記の例と同様にしてブランケットクリーニングローラ98によりブランケットシリンダ96の清掃が行われる。なお、新規の画像の印刷は、印刷版91を交換して行われる。 【0061】図10は、本発明による印刷装置の第3の例を模式的に示す斜視図である。この印刷装置は、前記の各例とは異なり印刷版を用いずに作像から印刷までをまとめて行うように構成されており、表面111a上で単分子膜による像が形成される像担持シリンダ(像担持体)111と、この像担持シリンダ111の表面111aに均一に単分子膜を形成する材料液塗布ローラ(単分子膜形成手段)112と、形成すべき画像情報にしたがって像担持シリンダ111の表面111aに選択的に光を照射する光照射部(光照射手段)113と、像担持シリンダ111の表面111aを清掃する作像面クリーニングローラ(作像面清掃手段)114とを備えている。光照射部113は、前記第2の例と同様のもので良い。この他、前記の各例と同様に、水着けローラ(湿し水供給手段)116、インキ着けローラ(インキ塗布手段)117、ブランケットシリンダ(中間転写体)118、加圧ローラ119、並びにブランケットクリーニングローラ(中間転写体清掃手段)120が設けられている。なお、ここでの単分子膜の作像原理は、前記図1〜図5に示した印刷版と同様であり、像担持シリンダ(像担持体)111の表面111aを形成する基材並びに単分子膜形成材料に所要の構成を採用すれば良い。 【0062】この印刷装置では、まず材料液塗布モードに設定されて単分子膜形成工程に入り、材料液塗布ローラ112により像担持シリンダ111の表面111aに単分子膜が形成される。この単分子膜形成工程が終了すると、製版モードに設定されて製版工程に移行し、前記の例と同様にして光照射部113により作像が行われる。製版工程が終了すると、刷り動作オンモードに設定されて印刷工程に移行し、前記の例と同様にして記録紙(被印刷物)121に印刷が行われる。印刷工程が終了すると、刷り動作オフモードに設定されて清掃工程に移行し、前記の例と同様にしてブランケットクリーニングローラ120によりブランケットシリンダ118の清掃が行われる。さらにこの清掃工程では、作像面クリーニングローラ114により像担持シリンダ111の清掃が行われ、これにより印刷画像を更新する準備が整い、新規の画像の印刷では前記の単分子膜形成工程を経て製版工程及び印刷工程が繰り返される。 【0063】図11は、図10に示した印刷装置に適用される材料液供給装置を模式的に示す断面図である。この材料液供給装置は、図10に示した材料液塗布ローラ112を介して像担持シリンダ111の表面111aに材料液を供給するものであり、オクタデシルトリクロロシランなどの自己組織化特性を有する単分子膜構成分子を含む材料液が入った液皿122と、この液皿122の材料液に一部浸漬されたテイクアップローラ123とを有し、このテイクアップローラ123から材料液が材料液塗布ローラ112に供給される。材料液塗布ローラ112は、材料液を染み込ませて保持する保液性に富み、かつ所要の柔軟性を有する多孔質材料からなるスポンジ層124を備えている。 【0064】図12は、図10に示した印刷装置に適用される作像面清掃装置を模式的に示す断面図である。この作像面清掃装置では、図10に示した作像面クリーニングローラ114が像担持シリンダ111の表面111aに接触してここに残留するインキなどの異物を除去し、この作像面クリーニングローラ114で捕捉された異物が像担持シリンダ111を再汚染しないようにブレード126で回収される。作像面クリーニングローラ114による清掃工程では、作像面クリーニングローラ114のみを像担持シリンダ111に接触させる。 【0065】図13は、作像面清掃装置の他の例を模式的に示す断面図である。ここでは、像担持シリンダ111の表面111aに付着した異物を拭い取る拭い材131と、この拭い材131に洗浄液をしみ込ませるための洗浄液供給源132とを有し、拭い材131は、拭い材供給ローラ133から繰り出されて像担持シリンダ111を清掃した後に拭い材回収ローラ134に巻き取って回収される。 【0066】 【発明の効果】このように本発明によれば、光の照射により光吸収物質に分離作用を発現させて単分子膜を分離除去するため、機械的な接触を伴うことなく単分子膜への作像が可能となり、印刷版の基材の材料に対する制約や印刷装置の構成の煩雑化といった機械的な接触による不都合を解消することができる。さらに、直進性を有する光で作像を行うため、高解像度化を容易に実現することができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】597000489 【氏名又は名称】パナソニック コミュニケーションズ株式会社 【住所又は居所】福岡県福岡市博多区美野島四丁目1番62号
|
| 【出願日】 |
平成14年1月25日(2002.1.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100089266 【弁理士】 【氏名又は名称】大島 陽一
|
| 【公開番号】 |
特開2003−211861(P2003−211861A) |
| 【公開日】 |
平成15年7月30日(2003.7.30) |
| 【出願番号】 |
特願2002−17360(P2002−17360) |
|