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【発明の名称】 印刷用ブランケット
【発明者】 【氏名】田島 啓
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号 住友ゴム工業株式会社内

【要約】 【課題】ダイレクト製版型印刷機における水なし印刷においても、静電気の発生が抑えられており、印刷版を破壊する恐れのない表面印刷層を有する印刷用ブランケットを提供する。

【解決手段】表面印刷層11と支持体層12とを有する印刷用ブランケット10(例示)において、前記表面印刷層11がエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体(ZSN)と他のゴム材料とを含むゴム組成物から構成されているおり、前記ZSNと他のゴム材料との合計量を100重量部とするとき、前記ZSNの割合が5〜35重量部であることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】表面印刷層と支持体層とを有する印刷用ブランケットにおいて、前記表面印刷層がエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体を含むゴム組成物から構成されていることを特徴とする印刷用ブランケット。
【請求項2】前記ゴム組成物において、前記エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体とゴム材料との合計量を100重量部とするとき、前記共重合体の割合が5〜35重量部である請求項1記載の印刷用ブランケット。
【請求項3】ダイレクト製版型印刷機における水なし印刷用のブランケットである請求項1または2に記載の印刷用ブランケット。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット印刷、とりわけダイレクト製版型印刷機における水なし印刷において有利に用いることができる印刷用ブランケットに関する。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷は、印刷版上のインキ像を、印刷用ブランケットを介して転移させ、印刷用紙等の被印刷物上に再現する印刷方法である。オフセット印刷ユニット部は、主に版胴、ブランケット胴、圧胴から構成される。前記版胴に装着される印版には、非画像部への湿し水の供給を必要とする水あり印刷用刷版と、非画像部への湿し水の供給を必要としない水なし印刷用刷版の二種類がある。この二種類の印刷用刷版による印刷方式において、水なし印刷方式では湿し水の管理や調整が不要であるため、近年になって水なし印刷方式が少しずつ増加してきている。
【0003】特に最近は、印刷機自体に製版機を備えたタイプの印刷機も市販されている。そこで用いられる版は、シリコン/金属/PETの積層体を用いて、レーザーによりシリコン/金属層をとばし、回像形成が行われている。そのような印刷機の印刷性および作業性よく実施するためには、そのための印刷に適した印刷用ブランケットが必要であるが、今のところまだ種々の改良すべき点が残されている。その改良すべき一つに、耐油性のあるニトリルブタジエンゴム(NBR)を主体として作製されるブランケットの場合、湿し水のない状態では静電気が発生し印刷版を破壊するという問題がある。これまでに、導電性ローラにおいては静電気を緩和する目的で導電性ゴム配合とするために、導電性物質としてカーボンブラックを配合することが行われている。
【0004】しかし、印刷用ブランケットの場合、カーボンブラックを、導電性を発揮し得る程度にまで配合し、その表面印刷層を常法により研磨すると、表面の粗度が微細になり印刷時の紙離れが悪くなるという問題が発生する。この紙離れ性の低下は、近年、高速印刷化が重要視されてきている折から大きな弊害となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、ダイレクト製版型印刷機における水なし印刷を実施するときの静電気発生は、印刷用ブランケットのゴム成分に通常の導電性物質を単に添加すれば解決するという問題ではなく、合わせて印刷性能や耐久性などの低下をもたらすことのないように改良する必要がある。本発明の目的は、かかる印刷用ブランケットを提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは印刷用ブランケットの表面印刷層を構成するゴム組成物を上記の目的遂行の面から種々検討した結果、水膨潤性高分子物質として知られているエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体(以下、ZSNと略称することがある)を他のゴム材料と組み合わせて用いることにより、静電気の発生防止に効果があり、また意外にも印刷インキと接触しても膨潤度合が少なく、柔軟性も従来のものと変わらないことを見出し、この知見に基づいてさらに検討を進めて本発明を完成したものである。
【0007】すなわち、本発明は、1)表面印刷層と支持体層とを有する印刷用ブランケットにおいて、前記表面印刷層がエチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体を含むゴム組成物から構成されていることを特徴とする印刷用ブランケット、2)前記ゴム組成物において、前記エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体とゴム材料との合計量を100重量部とするとき、前記共重合体の割合が5〜35重量部である上記1)項記載の印刷用ブランケット、および、3)ダイレクト製版型印刷機における水なし印刷用のブランケットである上記1)または2)項に記載の印刷用ブランケット、である。
【0008】本発明の印刷用ブランケットは、ダイレクト製版型印刷機における水なし印刷に連続使用しても静電気の発生が抑えられていることから印刷版が破壊される恐れが極めて少ないものである。しかもインキ浸漬による膨潤度合が小さく、転写に必要な柔軟性も備えている。具体的には、本発明の印刷用ブランケットの表面抵抗値は、7乗以下であって、前記ZSNを加えない場合の少なくとも2/3以下に抑えることが可能である。
【0009】従来、ZSNのような水膨潤性物質を、表面印刷層の成分として加えることは知られておらず、むしろこれまではごく薄いゴム層よりなる表面印刷層は耐油性ゴム材料を基調とし膨潤性等の面からすると水膨潤性物質を共存させることは避ける方がよいと認識されていた傾向がある。このように、従来の見方からすると、上記の本発明の効果はきわめて意外であり予測の範囲外であるといえる。因みに、特許第3111510号公報にはZSN水膨潤性加硫ゴムが開示されているが、このものを他のゴム材料と併用するという開示はなく、その具体的な用途に関しても言及がなされていない。一方、特開2001−115005号公報には、ゴム材料として特定性状のポリエーテル系共重合体をそれ単独もしくはエチレン性不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合ゴムと併用することにより調製した架橋性ゴム組成物をゴムロールに用いることが開示されているものの、主としてOA機器用などのゴムロールへの利用を意図したものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施形態を詳細に説明する。印刷用ブランケットの構成例として、図1に例示するように、圧縮性層14および補強層(この例では基布層13a、13b、13cよりなる)よりなる支持体層12の上に、上層布13dを介して表面印刷層11を、この順に積層した、平板状の印刷用ブランケット10が挙げられる。このタイプのブランケットは、全体が加硫により一体成型されており、印刷機の胴に装着して使用される。
【0011】また、表面印刷層を交換可能とした印刷用ブランケット、例えば特開平6−344682号公報に開示されているような、補強層に、任意に圧縮層を設けた土台層に、さらに表面層を設けた印刷用ブランケットにおいて、前記土台層および表面層のいずれか一方または両方に粘着層を設けた印刷用ブランケットにおいて、その表面印刷層に本発明でいう表面印刷層を適用することも可能である。一方、長尺ブランケットを巻きつけた供給ロールとその回収ロールを備えた印刷装置(例えば特開11−309937号公報)に適用するための印刷用ブランケットであって、表面印刷層と支持体層(圧縮性層を含む)タイプのものであってもよい。
【0012】本発明の印刷用ブランケットは、表面印刷層とこれを支持するための支持体層から構成されるものであればよく、当該表面印刷層がZSNを含むゴム組成物から構成されていることを特徴とする。前記ZSNは、アリルグリシジルエーテルを架橋点として共重合させたポリアルキレンオキサイドであり、例えばエチレンオキサイドを40〜90モル%、プロピレンオキサイドを10〜60モル%、アリルグリシジルエーテルを1〜5モル%共重合させたものが用いられる。エチレンオキサイドの共重合割合がこの範囲に達しないときは、電気抵抗低減効果が小さくなるので好ましくない。
【0013】本発明の印刷用ブランケットにおける表面印刷層は、前記のZSNを他のゴム材料と共に用いてゴム組成物を調製し、所望の形状の加硫物として形成される。ここでいう他のゴム材料としては、インキ膨潤性が少なく、耐油性のあるゴムが用いられ、その例としてはNBRのほか、クロロプレンゴム、ポリウレタンゴム、多硫化ゴム等の合成ゴムが使用可能である。これらの中でも、NBRが特に好ましく使用できる。
【0014】前記ゴム組成物において、前記ZSNはゴム材料との合計量を100重量部とするとき、その割合が5〜35重量部であるように配合することが好ましい。この配合割合を下回るときは、表面電気抵抗値を下げる効果が小さく、印刷に使用時に静電気の発生を充分に抑えることができず、また上回るときはインキ膨潤性が大きくなり過ぎたりブランケットとしての柔軟性に欠けてきたりすることから好ましくない。
【0015】表面印刷層の作製においては、ZSNを含む未加硫ゴムに有機溶媒(例、トルエン)を加え、そこに所定量の加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤や、必要に応じて、老化防止剤、補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤などの各種添加剤を加えて、ゴム糊を調製する。次いで、得られたゴム糊を支持体層上に、ブレードコーティング法などの適当な塗布手段によりコーティングし、乾燥させて未加硫のゴム層を形成し、その後に加硫することによって形成され得る。別法として、ゴムパウンドからなる未加硫のゴムシートを基布上に積層し、加硫して表面印刷層を形成してもよい。
【0016】上記の加硫剤としては、例えば硫黄、有機含硫黄化合物、有機過酸化物等が挙げられ、このうち有機含硫黄化合物としては、例えばN,N´−ジチオビスモルホリン等が挙げられ、有機過酸化物としては、例えばベンゾイルオキシド、ジクミルペルオキシド等が挙げられる。上記の加硫促進剤としては、例えばテトラメチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジブチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカーバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカーバミン酸テルル等のジチオカーバミン酸類;2−メルカプトベンゾチアゾール、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のチアゾール類;トリメチルチオ尿素、N,N´−ジエチルチオ尿素等のチオウレア類などの有機促進剤や、あるいは消石灰、酸化マグネシウム、酸化チタン、リサージ(PbO)等の無機促進剤が挙げられる。
【0017】上記の加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等の金属酸化物や、あるいはステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸等が挙げられる。加硫遅延剤としては、例えばサリチル酸、無水フタル酸、安息香酸等の芳香族有機酸;N−ニトロソジフェニルアミン、N−ニトロソ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノン、N−ニトロソフェニル−β−ナフチルアミン等のニトロソ化合物などが挙げられる。
【0018】上記の老化防止剤としては、例えば2−メルカプトベンゾイミダゾール等のイミダゾール類;フェニル−αナフチルアミン、N,N´−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン等のアミン類;ジ−t−ブチル−p−クレゾール;スチレン化フェノール等のフェノール類などが挙げられる。上記の補強剤としてはカーボンブラックが比較的、少量使用される他、シリカ系あるいはケイ酸塩系のホワイトカーボン、亜鉛華、表面沈降性炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、クレー等の無機補強剤や、あるいはクマロンインデン樹脂、フェノール樹脂、ハイスチレン樹脂(スチレン含有量の多いスチレン−ブタジェン共重合体)等の有機補強剤も使用できる。
【0019】上記の充填剤としては、例えば炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、珪藻土、マイカ、アスベスト、グラファイト等の無機充填剤や、あるいは再生ゴム、アスファルト類、スチレン樹脂、にかわ等の有機充填剤などが挙げられる。上記の軟化剤としては、例えば脂肪酸(ステアリン酸、ラウリル酸等)、綿実油、トール油、アスファルト物質、パラフィンワックス等の、植物系、鉱物油系、および合成系の各種軟化剤が挙げられる。
【0020】上記の可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、トリクレジルフォスフエート等の各種可塑剤が挙げられる。上記の添加物以外にも、例えば粘着付与剤、分散剤、溶剤等を適宜、配合してもよい。表面印刷層の厚みは、通常0.1〜0.4mmの範囲であることが好ましい。この範囲よりも小さいときはベタ着肉性の低下によってベタ部にかすれ等が発生するおそれがあり、またこの範囲を超えると印刷時に印刷用ブランケットの回転方向加硫側への、表面印刷層のずれが大きくなり、その分だけ周長変化率が大きくなるため、印刷画像が不鮮明化して印刷品質の低下をまねくことがある。上記範囲内でも、とりわけ0.1〜0.3mmであるのが好ましく、0.15〜0.3mmであるのがさらに好ましい。
【0021】上記のように形成された表面印刷層の表面は、通常は研磨により所定の表面粗さならびに前記したような所定の厚みに仕上げられる。表面粗さは、印刷精度と密接に係わってくるが、通常は10点平均粗さ(Rz)で表して、1〜10μmの範囲であり、より好ましくは2〜8μmの範囲であり、さらに好ましくは3〜6μmの範囲である。前記表面印刷層の柔軟性は、従来のとおりでよいが、一般的にtanδ値が0.08〜0.12の範囲であることが好ましい。表面印刷層の硬さが上記の範囲未満であれば、適正な印圧を得ることができず、この範囲を超えるときには柔軟性が不足してくる。すなわち、動的変化応力(チャック間距離20mm、測定温度40℃、初期歪み2mm、振幅50mm、振動数10Hz)を加えたときのtanδが0.08〜0.12の範囲である。ここで、前記tanδは前記ゴム組成物に正弦波振動などの動的に変化する応力を加えたときにみられる粘弾性特性であり、複素弾性率E*〔下記の式(1)〕における貯蔵弾性率E’と損失弾性率E’’の比〔下記の式(2)〕で表される。
【0022】
* = E’+i×E’’ (1)
tanδ = E’/E’’ (2)
〔式中、iは虚数を示し、次式(3):i=(−1)1/2 (3)
で表される。〕次に、本発明の印刷用ブランケットを構成する支持体層は、印刷機の胴に装着する際に前記表面印刷層を支持すると共に印刷機の振動を吸収するなどの機能を有する。この支持体層は、目的とする印刷用ブランケットの機能により種々に分かれるが、本発明では特に限定されるものではない。例えば、図1において、圧縮性層12および補強層(この例では基布層13a、13b、13cよりなる)よりなる支持体層12の例を示す。支持体層の作製は従来の方法に従ってよく、その例は以下のとおりである。
【0023】前記支持体層が基布層を有する場合、その材質としては、綿、ポリエステル、レーヨンなどの各種繊維からなる織布または不織布が挙げられる。前記支持体層が圧縮性層を有する場合、その材質はエラストマーからなり、通常、振動吸収性にすぐれた多孔質状に形成される。一般的に、圧縮性層の多孔質の構造は主として層内の空隙がそれぞれ独立した独立気孔構造よりなるものと、層内の空隙が連結した連続気孔構造よりなるものとに分けられるが、本発明においては独立気孔構造の圧縮性層が好ましく用いられる。その理由は、独立気孔構造の圧縮性層は一般に耐久性があり、長時間の印刷においてもヘタリを生ずることが少ない点で有利である。
【0024】上記圧縮性層は、マイクロバルーン(中空微小球)を混合したゴム糊を、例えば基布、非圧縮性ゴム層(マイクロバルーンを含まないゴム層)、PETフィルムなど当該圧縮性層を形成するための支持体上に塗布し、乾燥、加硫させることによって形成される。前記圧縮性層において、独立気孔構造の空隙の割合を示す空隙率は、15〜80%であることが好ましい。圧縮性層の空隙率が上記範囲未満では、当該圧縮性層が、十分な衝撃吸収性を発現しなくなるおそれがあり、逆に空隙率が上記範囲を超えた場合には、圧縮性層の強度が低下して、前述したヘタリ等を生じやすくなり、印刷用ブランケットの寿命が短くなるおそれがある。圧縮性層の空隙率は、上記範囲内でも、より好ましくは20〜60%である。
【0025】前記圧縮性層を構成するエラストマーとしては、耐油性にすぐれた材質が好適に使用され、その具体例としては、種々の合成ゴムや熱可塑性エラストマーがあげられるが、とくに振動や衝撃荷重を吸収する効果に優れ振動に対して高減衰性を有するエラストマーが好ましい。また上記エラストマーは、印刷インキ等に対する耐性を考慮すると、耐油性に優れていることが好ましい。かかるエラストマーの具体例としては、例えばアクリロニトリル−ブタジェン共重合ゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ウレタンゴム(U)等の加硫ゴムがあげられる。
【0026】独立気孔構造の圧縮性層は、前述のように、未発泡または発泡済みのマイクロバルーンを用いて形成されるが、たとえば加熱により分解して気体を発生する発泡剤をマトリックスゴム中に分散したものを層状に形成し、加硫時の加熱によってゴムの加硫と同時に発泡剤を発泡させるなどの方法を採用できる。さらには、熱可塑性樹脂からなる球形の殻体中に気体を封入したマイクロバルーンを使用して、独立気孔構造を形成せしめてもよい。マイクロバルーンとしては、たとえば米国特許第4770928号、特開平3−244595号公報、特表平7−505341号公報などに開示された、殻体が熱可塑性樹脂にて形成された、従来公知の種々のマイクロバルーンがいずれも使用可能である。
【0027】その中でもとくに、印刷インキに対する耐油性などを考慮すると、塩化ビニリデン、(メタ)アクリロニトリルなどの、重合性のモノマーの単独重合体、これらモノマーを含む共集合体、あるいはこれらモノマーを含む三元以上の多元共重合体などが好ましい。マイクロバルーンの粒径はとくに限定されないが、均一な独立気孔構造を形成して、金属缶用印刷ブランケットの圧縮性層に良好な圧縮特性を付与するためには、マイクロバルーンの平均粒径がおよそ10〜200μm程度であることが好ましい。なお、粒径は、以下に述べる未発泡のマイクロバルーンの場合、加熱して発泡させた後の粒径である。
【0028】上記マイクロバルーンの具体例としては、たとえばノーベル社製のエクスパンセルシリーズのマイクロバルーンや、あるいは松本油脂製薬(株)製のマイクロバルーンなどがあげられる。これらのマイクロバルーンはいずれも、熱可塑性樹脂の殻体中に、空隙のもとになる有機溶剤が封入された未発泡のものと、上記有機溶剤を加熱により気化させて、殻体の内部に空隙を形成した発泡済みのものとが供給されており、本発明では、このいずれのものも使用可能である。
【0029】支持体層の作製は、例えば所望枚数の基布を積層し、所望の位置に圧縮性層を設けることに常法どおり実施できる。基布上に、圧縮性層用の、未加硫のマトリクスゴム中にマイクロバルーンを均一に分散したゴム組成物の層を形成する。マイクロバルーンの配合割合は、圧縮性層における空隙率が前記の範囲となるように、適宜に調整する。また、ゴム組成物には、上記両成分に加えて、前記の表面印刷層の調製におけると同様に、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤などの、ゴムを加硫させるための成分が添加される他、老化防止剤、補強剤、充填剤、軟化剤、可塑剤などの各種添加剤が、必要に応じて添加される。これら添加剤の添加量は、従来と同程度でよい。
【0030】
【実施例】次に、比較例および実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1〜3、比較例1および2表1に示す各配合組成の表面印刷層用ゴム組成物をトルエンに溶解し、100mm×200mm×0.5mmの形状に成形し、160℃で30分間加熱して加硫成形物を得た。表の数値単位は重量部を表す。
【0031】なお、表1における各材料は、次のものを用いた。NBRはJSR社製の「N232S」を、ZSNは日本ゼオン社製の「ZNS8030」を、多硫化ゴムは東レチオコール(株)社製の「チオコールST」を、シリカは日本シリカ工業(株)社製の「ニプシルRS150」を、シランカップリング剤はデグサ社製の「Si−69」を、顔料は富士チタン社製の「酸化チタンA−100」を、老化防止剤は大内新興化学工業(株)社製の「ノクラックNS−6」を、加硫活性剤は三井金属鉱業(株)社製の「酸化亜鉛#3」を、加硫剤は鶴見化学工業(株)社製の「サルファックスPS」をそれぞれ用いた。
【0032】
【表1】

【0033】上記で得た各加硫物について、表面抵抗値、トルエンに浸漬したときの重量変化率およびtanδを測定した結果を表2に示す。
[試験方法]
・表面抵抗値:アドバンテスト社のR8340を用い、JIS K 6723に準拠し、電圧1000Vで表面抵抗値(Ω)を測定した。
・トルエン浸漬時の重量変化率:トルエンに、40℃で24時間浸漬した後の重量変化率(%)を測定した。この測定値は、ブランケットとして使用したときのインキ膨潤性に関係し、90〜110%の範囲にあることが好ましい。
・tanδ:レオロジー社製のDVE−V4 FTレオスペクトラーを用い、常温下、チャック間:20mm、初期歪み:2mm、振幅:50μm、10Hzで測定した。この測定値は、ブランケットの柔軟性を表し、0.08〜0.12の範囲であることが好ましい。
【0034】
【表2】

【0035】表2の結果、実施例1〜3においてZSNを配合して作製した表面印刷層用の成形体は、ZSN無添加の比較例1のものに比べて、表面抵抗値が遥かに小さいことから静電気の発生が少ないものであり、またトルエン浸漬時の重量変化率が小さくインキ膨潤性が許容範囲内であり、かつtanδの値から柔軟性も適度であることがわかる。一方、比較例2のように、ZSNをゴム分100重量部中に40重量部を加えると少なくともこの系では重量変化率およびtanδの面から適当でないことを示している。
【0036】
【発明の効果】以上のように、本発明の印刷用ブランケットは、表面印刷層を構成するゴム組成物中にZSNを含むことを特徴としており、このために表面抵抗値が小さくなることから、水なし印刷に連続使用しても静電気の発生がきわめて少ないものである。したがって、静電気による印刷版が破壊する恐れがない。しかもインキ浸漬による体積変化率が小さくかつ転写に必要な弾力性を備えたものである。
【出願人】 【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
【住所又は居所】兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
【出願日】 平成13年12月20日(2001.12.20)
【代理人】 【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作 (外1名)
【公開番号】 特開2003−182257(P2003−182257A)
【公開日】 平成15年7月3日(2003.7.3)
【出願番号】 特願2001−388154(P2001−388154)