| 【発明の名称】 |
平版印刷用原版 |
| 【発明者】 |
【氏名】星 聡 【住所又は居所】静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写真フイルム株式会社内
【氏名】熊田 学 【住所又は居所】静岡県榛原郡吉田町川尻4000番地 富士写真フイルム株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】良好な機上現像性を有し、しかも高感度で高耐刷な平版印刷用原版を提供する。
【解決手段】支持体上に、(1)2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子及び2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも一つの成分、(2)光熱変換剤、(3)親水性樹脂、ならびに(4)酸前駆体を含有する画像形成層を有することを特徴とし、または、さらに(5)上記ビニルオキシ基と熱により架橋する官能基を有する化合物を含有する樹脂微粒子を有してもよく、該微粒子又はマイクロカプセルが光熱変換剤を含有し、該光熱変換剤がシアニン色素であり、該酸前駆体がオニウム塩化合物であり、該微粒子又はマイクロカプセルが該ビニルオキシ基と反応する官能基を有する化合物を含有し、該親水性樹脂が該ビニルオキシ基と反応する官能基を有することが好ましい。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上に、(1)2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子及び2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも一つの成分、(2)光熱変換剤、(3)親水性樹脂、ならびに(4)酸前駆体、を含有する画像形成層を有する平版印刷用原版であって、前記酸前駆体が、微粒子またはマイクロカプセルに含有されないことを特徴とする平版印刷用原版。 【請求項2】 支持体上に、(1)2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子及び2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも一つの成分、(2)光熱変換剤、(3)親水性樹脂、(4)酸前駆体、ならびに(5)上記ビニルオキシ基と熱により架橋する官能基を有する化合物を含有する樹脂微粒子、を含有する画像形成層を有する平版印刷用原版であって、前記酸前駆体が、微粒子またはマイクロカプセルに含有されないことを特徴とする平版印刷用原版。 【請求項3】 上記(5)におけるビニルオキシ基と熱により架橋する官能基が酸性基又は水酸基であることを特徴とする請求項2に記載の平版印刷用原版。 【請求項4】 前記光熱変換剤は、微粒子又はマイクロカプセル又は樹脂微粒子に含有されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の平版印刷用原版。 【請求項5】 前記光熱変換剤がシアニン色素であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の平版印刷用原版。 【請求項6】 前記酸前駆体がオニウム塩化合物であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の平版印刷用原版。 【請求項7】 前記親水性樹脂が、前記ビニルオキシ基と反応する官能基を有することを特徴とする請求項1〜6の何れか1項に記載の平版印刷用原版。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、支持体上に親水性の画像形成層を有するネガ型の平版印刷用原版に関する。より詳しくは、デジタル信号に基づいた赤外線走査露光による画像記録が可能であり、画像記録したものはそのまま印刷機に装着して機上現像による製版が可能な平版印刷用原版に関する。 【0002】 【従来の技術】近年進展が目覚ましいコンピュータ・ツウ・プレートシステム(CTP)用刷版については、多数の研究がなされている。その中で、一層の工程合理化と廃液処理問題の解決を目指すものとして、露光後、現像処理することなしにそのまま印刷機に装着して印刷できる平版印刷用原版が研究され、種々の方法が提案されている。 【0003】処理工程をなくす方法の一つに、露光済みの印刷用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリンダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによって、印刷用原版の非画像部を除去する機上現像と呼ばれる方法がある。すなわち、印刷用原版を露光後、そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が完了する方式である。このような機上現像に適した平版印刷用原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるのに適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。 【0004】例えば、日本特許第2938397号公報には、親水性バインダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体の微粒子を分散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷用原版が開示されている。この公報には、該平版印刷用原版において、赤外線レーザー露光して熱可塑性疎水性重合体の微粒子を熱により合体させて画像形成した後、印刷機シリンダー上に版を取付け、湿し水および/またはインキにより機上現像できることが記載されている。 【0005】また、特開平9−127683号公報および国際公開第99/10186号パンフレットにも熱可塑性微粒子を熱による合体後、機上現像により印刷版を作製することが記載されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記のような熱による微粒子の融合などで画像を作る方法は、感度が低く、又、高耐刷が得にくい問題があった。本発明の目的は、この問題を解決することである。すなわち、良好な機上現像性を有し、しかも高感度で高耐刷な平版印刷用原版を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記構成の手段で達成される。 1.支持体上に、(1)2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子及び2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも一つの成分、(2)光熱変換剤、(3)親水性樹脂、ならびに(4)酸前駆体、を含有する画像形成層を有する平版印刷用原版であって、前記酸前駆体が、微粒子またはマイクロカプセルに含有されないことを特徴とする平版印刷用原版。 【0008】2.支持体上に、(1)2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子及び2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも一つの成分、(2)光熱変換剤、(3)親水性樹脂、(4)酸前駆体、ならびに(5)上記ビニルオキシ基と熱により架橋する官能基を有する化合物を含有する樹脂微粒子、を含有する画像形成層を有する平版印刷用原版であって、前記酸前駆体が、微粒子またはマイクロカプセルに含有されないことを特徴とする平版印刷用原版。 【0009】3.上記(5)におけるビニルオキシ基と熱により架橋する官能基が酸性基又は水酸基であることを特徴とする前記2に記載の平版印刷用原版。 4.前記光熱変換剤が微粒子又はマイクロカプセル又は樹脂微粒子に含有されていることを特徴とする前記1〜3の何れかに記載の平版印刷用原版。 5.前記光熱変換剤がシアニン色素であることを特徴とする前記1〜4の何れかに記載の平版印刷用原版。 6.前記酸前駆体がオニウム塩化合物であることを特徴とする前記1〜5の何れかに記載の平版印刷用原版。 7.前記親水性樹脂が、前記ビニルオキシ基と反応する官能基を有することを特徴とする前記請求項1〜6の何れかに記載の平版印刷用原版。 【0010】 【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明する。 〔画像形成層〕本発明の平版印刷用原版の画像形成層は、少なくとも(1)2個以上のビニルオキシ基を有する化合物(以下、単に、ビニルオキシ基を有する化合物ともいう)を含有する微粒子及び2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセルから選ばれた少なくとも一つの成分、(2)光熱変換剤、(3)親水性樹脂、ならびに(4)酸前駆体を含有するものである。前記微粒子またはマイクロカプセルが含有する前記化合物は、ビニルオキシ基を2個以上有することによって、画像形成層の露光部が有効に架橋することができ、本発明の効果が得られる。 【0011】前記ビニルオキシ基は、一般式(I)で示される。 【0012】 【化1】
【0013】式中R1、R2及びR3は、同一もしくは異なってもよく、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。また、それらの内の2つが結合して飽和又はオレフィン性不飽和の環を形成してもよい。 【0014】更に詳しくは、一般式(I)において、R1、R2、及びR3のいずれかがアリール基の場合、そのアリール基は一般に6〜20個の炭素原子を有し、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アシルオキシ基、アルキルメルカプト基、アシルアミノ基、アルコキシカルボニル基、ニトロ基、スルホニル基、シアノ基、ハロゲン原子等により置換されていてよい。 【0015】又R1、R2、及びR3のいずれかがアルキル基又はアルケニル基の場合には、一般に炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状又は脂環状の炭素鎖のものであり、かつハロゲン原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アリール基等により置換されていてもよい。更にR1、R2及びR3のいずれか2つが結合してビニル基の炭素原子と共に環を形成している場合には、それは通常炭素数3〜8、好ましくは5〜6の飽和又は不飽和の環である。 【0016】本発明において、一般式(I)で示されるビニルオキシ基のうち、より好ましいのは、R1、R2及びR3のうちいずれか一つがメチル基又はエチル基で、残りが水素原子であるビニルオキシ基、特に好ましいのはR1、R2及びR3がすべて水素原子であるビニルオキシ基(ビニルエーテル基)である。 【0017】本発明のビニルオキシ基を有する化合物としては、大気圧下で60℃以上の沸点を有する化合物であり、より好ましい化合物としては、ビニルエーテル基を有する下記一般式(II)又は(III)で示す化合物が挙げられる。 【0018】 A−〔−O−(R4−O)n−CH=CH2〕m (II) A−〔−B−R4−O−CH=CH2〕m (III) 【0019】ここで、Aはm価のアルキル基、アリール基又はヘテロ環基を示し、Bは−CO−O−、−NHCOO−又は−NHCONH−を示し、R4は炭素数1〜10の直鎖又は分岐のアルキレン基を示し、nは0又は1〜10の整数、mは2〜6の整数を示す。 【0020】一般式(II)で示される化合物は例えば、Stephen. C. Lapin, Polymers Paint Colour Journal, 179(4237) 、321(1988) に記載されている方法、即ち多価アルコールもしくは多価フェノールとアセチレンとの反応、又は多価アルコールもしくは多価フェノールとハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により合成することができる。 【0021】具体例としてエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,3−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、トリメチロールエタントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、エチレングリコールジプロピレンビニルエーテル、トリエチレングリコールジエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパントリエチレンビニルエーテル、トリメチロールプロパンジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールジエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリエチレンビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラエチレンビニルエーテル、1,2−ジ(ビニルエーテルメトキシ)ベンゼン、1,2−ジ(ビニルエーテルエトキシ)ベンゼン、並びに以下の構造式(M−1)〜(M−41)で示される化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。 【0022】 【化2】
【0023】 【化3】
【0024】 【化4】
【0025】 【化5】
【0026】 【化6】
【0027】 【化7】
【0028】 【化8】
【0029】 【化9】
【0030】一方、一般式(III)(B=CO−O−の場合)で示される化合物は多価カルボン酸とハロゲン化アルキルビニルエーテルとの反応により製造することができる。具体的にはテレフタル酸ジエチレンビニルエーテル、フタル酸ジエチレンビニルエーテル、イソフタル酸ジエチレンビニルエーテル、フタル酸ジプロピレンビニルエーテル、テレフタル酸ジプロピレンビニルエーテル、イソフタル酸ジプロピレンビニルエーテル、マレイン酸ジエチレンビニルエーテル、フマル酸ジエチレンビニルエーテル、イタコン酸ジエチレンビニルエーテル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 【0031】更に本発明において好適に用いられるビニルオキシ基含有化合物としては、下記一般式(IV)、(V)または(VI)等で示される活性水素を有するビニルオキシ化合物と、イソシアナート基を有する化合物との反応により合成されるビニルオキシ基含有化合物を挙げることができる。 【0032】 CH2=CH−O−R5−OH (IV) CH2=CH−O−R5−COOH (V) CH2=CH−O−R5−NH2 (VI) 【0033】ここでR5は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキレン基を示す。イソシアナート基を含有する化合物としては、例えば架橋剤ハンドブック(大成社刊、1981年発行)に記載の化合物を用いることができる。 【0034】具体的には、トリフェニルメタントリイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナートの2量体、ナフタレン−1,5−ジイソシアナート、o−トリレンジイソシアナート、ポリメチレンポリフェニルイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート等のポリイソシアナート型、トリレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンの付加体、ヘキサメチレンジイソシアナートと水との付加体、キシレンジイソシアナートとトリメチロールプロパンとの付加体等のポリイソシアナートアダクト型等を挙げることができる。 【0035】上記イソシアナート基含有化合物と、活性水素含有ビニルオキシ基含有化合物とを反応させることにより、末端にビニルオキシ基を持つ種々の化合物ができる。下記に本発明に使用されるビニルオキシ基を持つ化合物の例((M−42)〜(M−56))を列挙するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。 【0036】 【化10】
【0037】 【化11】
【0038】更に本発明に好適に用いられるビニルオキシ基を有する化合物として、側鎖にビニルオキシ基を有するポリマーを挙げることができる。具体例としては、下記のポリマーが挙げられる。 【0039】 【化12】
【0040】 【化13】
【0041】 【化14】
【0042】本発明では、上記ビニルオキシ基を有する化合物は、それを含有する微粒子又はそれを内包するマイクロカプセルとして画像形成層に添加される。ビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子は、例えば、ビニルオキシ基を有する化合物を単独でもしくは2種以上混合して非水溶性の有機溶剤に溶解し、これを分散剤が入った水溶液と混合乳化し、さらに熱をかけて有機溶剤を飛ばしながら微粒子状に固化させる溶媒蒸発法で得られるが、これに限定されない。又、本発明においては、光熱変換剤、ビニルオキシ基と反応する官能基を有する化合物等の少なくとも一つの成分をビニルオキシ基を有する化合物と微粒子内に共存させた微粒子も好適である。このような微粒子は、上記溶媒蒸発法でビニルオキシ基を有する化合物を非水溶性の有機溶剤に溶解する場合、光熱変換剤、酸前駆体、有機溶剤可溶性ポリマー等を一緒に溶解して溶媒蒸発法を行うことにより得られる。 【0043】ビニルオキシ基を有する化合物をマイクロカプセル化する方法としては、公知の方法が適用できる。例えばマイクロカプセルの製造方法としては、米国特許2800457号、同2800458号にみられるコアセルベーションを利用した方法、英国特許990443号、米国特許3287154号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−711号にみられる界面重合法による方法、米国特許3418250号、同3660304号にみられるポリマーの析出による方法、米国特許3796669号に見られるイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許3914511号に見られるイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許4001140号、同4087376号、同4089802号にみられる尿素―ホルムアルデヒド系あるいは尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許4025445号にみられるメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシセルロース等の壁材を用いる方法、特公昭36−9163号、同51−9079号にみられるモノマー重合によるin situ法、英国特許930422号米国特許3111407号にみられるスプレードライング法、英国特許952807号、同967074号にみられる電解分散冷却法などがあるが、これらに限定されるものではない。 【0044】本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものである。このような観点から、マイクロカプセルの壁材は、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。 【0045】本発明のマイクロカプセルは、その合成時に、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤を分散媒中に添加することができる。この溶剤によって、内包された化合物のマイクロカプセル外への拡散が促進される。このような溶剤としては、マイクロカプセル分散媒、マイクロカプセル壁の材質、壁厚および内包物に依存するが、多くの市販されている溶剤から容易に選択することができる。例えば架橋ポリウレア、ポリウレタン壁からなる水分散性マイクロカプセルの場合、アルコール類、エーテル類、アセタール類、エステル類、ケトン類、多価アルコール類、アミド類、アミン類、脂肪酸類等が好ましい。 【0046】具体的化合物としては、メタノール、エタノール、第3ブタノール、n−プロパノール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどがあるが、これらに限られない。またこれらの溶剤を2種以上用いても良い。マイクロカプセル分散液には溶解しないが、前記溶剤を混合すれば溶解する溶剤も用いることができる。添加量は、素材の組み合わせにより決まるものであるが、適性値より少ない場合は、画像形成が不十分となり、多い場合は分散液の安定性が劣化する。通常、塗布液の5〜95質量%が有効であり好ましい範囲は、10〜90質量%、より好ましい範囲は15〜85質量%である。 【0047】上記のビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子及びマイクロカプセルの平均粒径は、0.01〜3.0μmが好ましいが、その中でも0.05〜2.0μmがさらに好ましく、0.08〜1.0μmが特に好ましい。この範囲内で良好な解像度および経時安定性が得られる。これらの微粒子又はマイクロカプセルの添加量は、画像形成層固形分の50質量%以上が好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。この範囲内で、良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷性が得られる。 【0048】本発明のビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子は、ビニルオキシ基と反応する官能基を有する化合物を含有することができる。好適な官能基としては、カルボキシル基及びヒドロキシル基を挙げることができる。本発明の上記官能基を有する化合物としては、これらの官能基を2個以上有する化合物が好ましく、低分子化合物及び高分子化合物がある。このような化合物の具体例として、低分子化合物では、1,4−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、ビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル)プロパン、4,4´−ビス(2−ヒドロキシエチルオキシ)ビフェニル、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンなどが挙げられる。 【0049】又、ビニルオキシ基と反応する高分子化合物としては、カルボキシル基を有するモノマー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、p−ビニル安息香酸、p−ビニル桂皮酸、マレイン酸モノメチルエーテル等、又はヒドロキシル基を有するモノマー、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、p−ヒドロキシスチレン、ハロゲン化ヒドロキシスチレン、N−(4−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、(4−ヒドロキシフェニル)アクリレート、(4−ヒドロキシフェニル)メタクリレート等の重合体又は共重合体が挙げられる。又、ビニルオキシ基と反応する高分子化合物としては、上記モノマーと共重合可能な他のモノマーとの共重合体も用いることができる。かかる共重合可能なモノマーとしては、例えばアクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ビニルベンゾエート、塩化ビニル、ビニリデンクロライド、スチレン、酢酸ビニル、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 【0050】又、別のビニルオキシ基と反応する高分子化合物としては、カルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物とジカルボン酸化合物との共縮合等により得られるカルボキシル基及びヒドロキシル基を有する線状高分子を挙げることができる。例えば3,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオン酸、2,2−ビス(2−ヒドロキシエチル)プロピオン酸、2,2−ビス(3−ヒドロキシプロピル)プロピオン酸、ビス(ヒドロキシメチル)酢酸、ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン酸、酒石酸等のカルボキシル基を有するジヒドロキシ化合物と、2,4−トリレンジイソシアナート、2,4−トリレンジイソシアナートの2量体、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアナート、1,5−ナフチレンジイソシアナート、ヘキサメチレンジイソシアナート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)等のジイソシアナート化合物を等当量で反応させることにより、カルボキシル基を含有する線状ポリウレタン樹脂が挙げられる。又更にカルボキシル基を有せず、イソシアナートと反応しない他の置換基を有しても良いジオール化合物、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブチレングリコール、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加体等を併用したものでも良い。 【0051】又、別のビニルオキシ基と反応する高分子化合物としては、上記カルボキシル基を有するジオール、必要に応じて、上記他のジオールと、2官能のカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸等とを共縮合することにより得られるカルボキシル基を有するポリエステルを挙げることができる。更に、別のビニルオキシ基と反応する高分子化合物として、例えばフェノールホルムアルデヒド樹脂、m−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、p−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、o−クレゾールホルムアルデヒド樹脂、m−/p−混合クレゾールホルムアルデヒド樹脂、フェノール/クレゾールホルムアルデヒド樹脂等のノボラック樹脂、レゾール型のフェノール樹脂類、フェノール変性キシレン樹脂等のフェノール樹脂類を挙げることもできる。 【0052】本発明のビニルオキシ基を有する化合物を内包するマイクロカプセルは、ビニルオキシ基と反応する官能基を有する化合物を内包することができる。マイクロカプセルの場合に好適な該官能基はヒドロキシル基であり、前記ビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子の場合に例示したヒドロキシル基を有する化合物を好適に使用できる。 【0053】ビニルオキシ基と反応する化合物の添加量は、好ましくは微粒子又はマイクロカプセル固形分の1〜95質量%、より好ましくは20〜90質量%、最も好ましくは30〜80質量%である。 【0054】また、本発明の平版印刷用原版の別の実施態様として、画像形成層に、上記2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子又はマイクロカプセルの他に、該ビニルオキシ基と熱により架橋する官能基を有する化合物を含有する樹脂微粒子(以下、樹脂微粒子(5)ともいう)を含有するものである。樹脂微粒子(5)が含有する、上記化合物が有する、ビニルオキシ基と熱により架橋する官能基の好適なものとしては、カルボキシル基及びヒドロキシル基を挙げることができる。本発明の上記官能基を有する化合物としては、これらの官能基を2種以上有する化合物が好ましく、低分子化合物及び高分子化合物がある。このような化合物の具体例としては、前記したビニルオキシ基と反応する官能基を有する化合物を挙げることができる。更に、これらの具体例を以下に列挙するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。 【0055】 【化15】
【0056】また、樹脂微粒子(5)は、前記微粒子(1)と同様の方法によって得ることができる。 【0057】本発明の画像形成層は、機上現像性や画像形成層自体の皮膜強度も向上のため親水性樹脂を含有する。親水性樹脂としては、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、アミド基などの親水基を有するものが好ましい。又、親水性樹脂は、ビニルオキシ基と反応し架橋することによって画像強度が高まり、高耐刷化されるので、ビニルオキシ基と反応する官能基、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基を有するものが好ましい。中でも、ヒドロキシル基又はカルボキシル基を有する親水性樹脂が好ましい。 【0058】親水性樹脂の具体例として、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、澱粉誘導体、ソヤガム(soya gum)、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびそのナトリウム塩、セルロースアセテート、アルギン酸ナトリウム、酢酸ビニル−マレイン酸コポリマー類、スチレン−マレイン酸コポリマー類、ポリアクリル酸類およびそれらの塩、ポリメタクリル酸類およびそれらの塩、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシエチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシプロピルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルメタクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ヒドロキシブチルアクリレートのホモポリマーおよびコポリマー、ポリエチレングリコール類、ヒドロキシプロピレンポリマー類、ポリビニルアルコール類、ならびに加水分解度が少なくとも60%、好ましくは少なくとも80%の加水分解ポリビニルアセテート、ポリビニルホルマール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、メタクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、N−メチロールアクリルアミドのホモポリマーおよびコポリマー、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸のホモポリマーおよびコポリマー、2−メタクロイルオキシエチルホスホン酸のホモポリマーおよびコポリマー等を挙げることができる。 【0059】又、上記親水性樹脂は印刷機上で未露光部が現像できる程度に架橋して用いてもよい。架橋剤としては、グリオキザール、メラミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂などのアルデヒド類、N−メチロール尿素やN−メチロールメラミン、メチロール化ポリアミド樹脂などのメチロール化合物、ジビニルスルホンやビス(β−ヒドロキシエチルスルホン酸)などの活性ビニル化合物、エピクロルヒドリンやポリエチレングリk−ルジグリシジルエーテル、ポリアミド、ポリアミン、エピクロロヒドリン付加物、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂などのエポキシ化合物、モノクロル酢酸エステルやチオグリコール酸エステルなどのエステル化合物、ポリアクリル酸やメチルビニルエーテル/マレイン酸共重合物などのポリカルボン酸類、ホウ酸、チタニルスルフェート、Cu、Al、Sn、V、Cr塩などの無機系架橋剤、変性ポリアミドポリイミド樹脂などが挙げられる。その他、塩化アンモニウム、シランカプリング剤、チタネートカップリング剤等の架橋触媒を併用できる。 【0060】本発明の画像形成層は酸前駆体を含有する。酸前駆体は、露光時に酸を発生してビニルオキシ基を有する化合物の反応を開始もしくは促進する。酸前駆体は、画像形成層の親水性樹脂中に含有させる方が、経時安定性の観点から好ましい。 【0061】本発明で使用できる酸前駆体としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている公知の酸発生剤等、公知の熱分解して酸を発生する化合物、及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。 【0062】例えば、S.I.Schlesinger,Photogr.Sci.Eng.,18,387(1974)、T.S.Bal et al,Polymer,21,423(1980)に記載のジアゾニウム塩、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号、同Re27,992号、特開平4−365049号の各明細書に記載のアンモニウム塩、D.C.Necker et al,Macromolecules,17,2468(1984)、C.S.Wenet al,Teh,Proc.Conf.Rad,Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)、米国特許第4,069,055号、同4,069,056号に記載のホスホニウム塩、J.V.Crivelloet al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、Chem.& Eng.News,Nov.28,p31(1988)、欧州特許第104,143号、特開平2−150848号、特開平2−296514号に記載のヨードニウム塩、J.V.Crivello et al,Polymer J.17,73(1985)、J.V.Crivello et al.J.Org.Chem.,43,3055(1978)、W.R.Watt et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,22,1789(1984)、J.V.Crivello et al,PolymerBull.,14,279(1985)、J.V.Crivello etal,Macromorecules,14(5),1141(1981)、J.V.Crivel.lo et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,2877(1979)、欧州特許第370,693号、同3,902,114号、同233,567号、同297,443号、同297,442号、米国特許第4,933,377号、同161,811号、同410,201号、同339,049号、同4,760,013号、同4,734,444号、同2,833,827号、独国特許第2,904,626号、同3,604,580号、同3,604,581号に記載のスルホニウム塩、【0063】J.V.Crivello et al,Macromorecules,10(6),1307(1977)、J.V.Crivel lo et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,1047(1979)に記載のセレノニウム塩、C.S.Wen et al,Teh,Proc.Conf.Rad.Curing ASIA,p478 Tokyo,Oct(1988)に記載のアルソニウム塩等のオニウム塩、米国特許第3,905,815号、特公昭46−4605号、特開昭48−36281号、特開昭55−32070号、特開昭60−239736号、特開昭61−169835号、特開昭61−169837号、特開昭62−58241号、特開昭62−212401号、特開昭63−70243号、特開昭63−298339号に記載の有機ハロゲン化合物、K.Meier et al,J.Rad.Curing,13(4),26(1986),T.P.Gill et al,Inorg.Chem.,19,3007(1980)、D.Astruc,Acc.Chem.Res.,19(12),377(1896)、特開平2−161445号に記載の有機金属/有機ハロゲン化物、S.Hayase etal,J.Polymer Sci.,25,753(1987)、E.Reichmanis et al,J.Polymer Sci.,Polymer Chem.Ed.,23,1(1985)、Q.Q.Zhu et al,J.Photochem.,36,85,39,317(1987)、B.Amit et al,Tetrahedron Lett.,(24)2205(1973),【0064】D.H.R.Barton et al,J.Chem.Soc.3571(1965)、P.M.Collins et al,J.Chem.Soc.,Perkin I,1695(1975)、M.Rudinstein etal,Tetrahedron Lett.,(17),1445(1975)、J.W.Walker et al,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busman et al,J.Imaging Technol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihan et al,Macromolecules,21,2001(1988)、P.M.Collins et al,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayase et al,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanis etal,J.Electrochem.Soc.,SolidState Sci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihan et al,Macromolecules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号に記載のo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、M.TUNOOKA et al,Polymer Preprints Japan,38(8)、G.Berner et al,J.Rad.Curing,13(4)、W.J.Mijset al,Coating Technol.,55(697),45(1983)、Akzo,H.Adachi etal,Polymer Preprints,Japan,37(3)、欧州特許第0199,672号、同84515号、同199,672号、同044,115号、同0101,122号、米国特許第4,618,564号、同4,371,605号、同4,431,774号、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特願平3−140109号に記載のイミノスルフォネート等に代表される、光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号に記載のジスルホン化合物を挙げることができる。 【0065】またこれらの酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、例えば、M.E.Woodhouse et al,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappasetal,J.Imaging Sci.,30(5),218(1986)、S.Kondo et al. Makromol.Chem.,RapidCommun.,9,625(1988)、Y.Yamada et al,Makromol.Chem.,152,153,163(1972)、J.V.Crivello et al.J.Poylmer Sci.,Polymer Chem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−1460387、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号に記載の化合物を用いることができる。 【0066】更に、V.N.R.Pillai,Synthesis,(1),1(1980)、A.Abad et al,Tetrahedron Lett.,(47)4555(1971)、D.H.R.Barton et al,J.Chem.Soc.,(C),329(1970)、米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。更に具体的には、下記化合物を挙げることができる。 【0067】 【化16】
【0068】 【化17】
【0069】 【化18】
【0070】 【化19】
【0071】 【化20】
【0072】 【化21】
【0073】 【化22】
【0074】これらの酸前駆体の添加量は、画像形成層全固形分の0.01〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜10質量%である。 【0075】本発明の画像形成層は、光熱変換効率を上げ高感度化するために、光熱変換剤を含有する。光熱変換剤は画像形成層の親水性樹脂中に含有させることもできるが、微粒子中もしくはマイクロカプセル又は樹脂微粒子中に含有させた方が高感度、高耐刷が得やすい。 【0076】かかる光熱変換剤としては、700〜1200nmの少なくとも一部に吸収帯を有する光吸収物質であればよく、種々の顔料、染料および金属微粒子を用いることができる。 【0077】顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている赤外吸収性の顔料が利用できる。 【0078】これら顔料は、添加される層に対する分散性を向上させるため、必要に応じて公知の表面処理を施して用いることができる。表面処理の方法には、親水性樹脂や親油性樹脂を表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シリカゾル、アルミナゾル、シランカップリング剤やエポキシ化合物、イソシアナート化合物等)を顔料表面に結合させる方法等が考えられる。親水性の層に添加する顔料は、水溶性の樹脂と分散しやすく、かつ親水性を損わないように、親水性樹脂やシリカゾルで表面がコートされたものが望ましい。顔料の粒径は0.01μm〜1μmの範囲にあることが好ましく、0.01μm〜0.5μmの範囲にあることが更に好ましい。顔料を分散する方法としては、インク製造やトナー製造等に用いられる公知の分散技術が使用できる。特に好ましい顔料としては、カーボンブラックを挙げることができる。 【0079】染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」1986年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3項(1990)シーエムシー)あるいは特許に記載されている公知の染料が利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、ポリメチン染料、シアニン染料などの赤外線吸収色素が好ましい。 【0080】さらに、例えば、特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、 特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム染料、英国特許434,875号記載のシアニン染料や米国特許第4,756,993号記載の染料、米国特許第4,973,572号記載のシアニン染料、特開平10−268512号記載の染料、特開平11−235883号記載のフタロシアニン化合物を挙げることができる。 【0081】また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン染料、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物、エポリン社製エポライトIII−178、エポライトIII−130、エポライトIII−125等も好ましく用いられる。これらの中で、画像形成層の親水性樹脂中などの親水性マトリックス中に添加するのに好ましい色素は水溶性色素で、以下に具体例を示す。 【0082】 【化23】
【0083】 【化24】
【0084】本発明の画像形成層のマイクロカプセル中など疎水性化合物中に添加する赤外線吸収色素としては、前記の赤外線吸収色素であっても良いが、親油性の色素がより好ましい。具体例として、以下の色素を挙げることができる。 【0085】 【化25】
【0086】 【化26】
【0087】上記の有機系の赤外線吸収色素は、画像形成層中に30質量%まで添加することができる。好ましくは5〜25質量%であり、特に好ましくは6〜20質量%である。この範囲内で、良好な感度が得られる。 【0088】本発明の画像形成層などには、赤外線吸収色素として金属微粒子を用いることもできる。金属微粒子の多くは、光熱変換性であって、かつ自己発熱性でもある。好ましい金属微粒子として、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、Pb、Ge、Re、Sbの単体又は合金あるいはそれらの酸化物、硫化物の微粒子が挙げられる。これらの金属微粒子を構成する金属の中でも好ましい金属は、光照射によって熱融着し易い融点がおよそ1000℃以下で赤外、可視又は紫外線領域に吸収をもつ金属、たとえばRe、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb及びSnである。また、とくに好ましいのは、融点も比較的低く、熱線に対する吸光度も比較的高い金属の微粒子、たとえばAg、Au、Cu、Sb、Ge及びPbで、とくに好ましい元素はAg、Au及びCuが挙げられる。 【0089】また、例えばRe、Sb、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Snなどの低融点金属の微粒子とTi、Cr、Fe、Co、Ni、W、Geなどの自己発熱性金属の微粒子を混合使用するなど、2種以上の光熱変換物質で構成されていてもよい。また、Ag、Pt、Pdなど微小片としたときに光吸収がとくに大きい金属種の微小片と他の金属微小片を組み合わせて用いることは好ましい。以上に述べた金属単体及び合金の微粒子は、表面を親水性化処理することによって、本発明の効果がより発揮される。表面親水性化の手段は、親水性でかつ粒子への吸着性を有する化合物、例えば界面活性剤で表面処理したり、粒子の構成物質と反応する親水性基を持つ物質で表面処理したり、保護コロイド性の親水性高分子皮膜を設けるなどの方法を用いることができる。特に好ましいのは、表面シリケート処理であり、例えば鉄微粒子の場合は、70℃のケイ酸ナトリウム(3質量%)水溶液に30秒浸漬する方法によって表面を十分に親水性化することができる。他の金属微粒子も同様の方法で表面シリケート処理を行うことができる。 【0090】これらの粒子の粒径は、好ましくは10μm以下、より好ましくは0.003〜5μm、特に好ましくは0.01〜3μmである。この範囲内で、良好な感度と解像力が得られる。 【0091】本発明において、これらの金属微粒子を赤外線吸収色素として用いる場合、その添加量は、好ましくは画像形成層固形分の10質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上、特に好ましくは30質量%以上で用いられる。この範囲内で高い感度が得られる。 【0092】また、本発明の画像形成層には、画像形成後、画像部と非画像部の区別をつきやすくするため、可視光域に大きな吸収を持つ染料を画像の着色剤として使用することができる。具体的には、オイルイエロー#101、オイルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグリーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#603、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイルブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレット(CI42555)、メチルバイオレット(CI42535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI145170B)、マラカイトグリーン(CI42000)、メチレンブルー(CI52015)等、及び特開昭62−293247号に記載されている染料を挙げることができる。また、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、酸化チタン等の顔料も好適に用いることができる。添加量は、画像形成層塗布液全固形分に対し0.01〜10質量%が好ましい。 【0093】さらに、本発明の画像形成層には、必要に応じ、塗膜の柔軟性等を付与するために可塑剤を加えることができる。例えば、ポリエチレングリコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオクチル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸トリオクチル、オレイン酸テトラヒドロフルフリル等が用いられる。 【0094】本発明の画像形成層は、必要な上記各成分を溶剤に溶解又は分散して塗布液を調製し、塗布される。ここで使用する溶剤としては、エチレンジクロライド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノール、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチルラクトン、トルエン、水等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。これらの溶剤は、単独又は混合して使用される。塗布液の固形分濃度は、好ましくは1〜50質量%である。 【0095】また塗布、乾燥後に得られる支持体上の画像形成層塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、一般的に0.5〜5.0g/m2が好ましい。塗布する方法としては、種々の方法を用いることができる。例えば、バーコーター塗布、回転塗布、スプレー塗布、カーテン塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ブレード塗布、ロール塗布等を挙げられる。 【0096】本発明にかかわる画像形成層塗布液には、塗布性を良化するための界面活性剤、例えば、特開昭62−170950号に記載されているようなフッ素系界面活性剤を添加することができる。好ましい添加量は、画像形成層全固形分の0.01〜1質量%、さらに好ましくは0.05〜0.5質量%である。 【0097】〔オーバーコート層〕本発明の平版印刷用原版は、親油性物質による画像形成層表面の汚染防止のため、画像形成層上に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。本発明に使用される水溶性オーバーコート層は印刷時容易に除去できるものであり、水溶性の有機高分子化合物から選ばれた樹脂を含有する。ここで用いる水溶性の有機高分子化合物としては、塗布乾燥によってできた被膜がフィルム形成能を有するもので、具体的には、ポリ酢酸ビニル(但し加水分解率65%以上のもの)、ポリアクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、その共重合体、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリドン、その共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル/無水マレイン酸共重合体、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、ポリ−2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸共重合体、そのアルカリ金属塩もしくはアミン塩、アラビアガム、繊維素誘導体(例えば、カルボキシメチルセルローズ、カルボキシエチルセルローズ、メチルセルローズ等)、その変性体 、ホワイトデキストリン、プルラン、酵素分解エーテル化デキストリン等を挙げることができる。また、目的に応じて、これらの樹脂を二種以上混合して用いることもできる。また、水溶性オーバーコート層に用いるポリマーとして、前記の極性変換ポリマーは、画像部の湿し水に対する耐性を高め、耐刷力を向上させる点で、特に好ましい。 【0098】また、オーバーコート層には、前記の水溶性赤外線吸収色素を添加しても良い。さらに、オーバーコート層には塗布の均一性を確保する目的で、水溶液塗布の場合には、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテルなどの非イオン系界面活性剤を添加することができる。オーバーコート層の乾燥塗布量は、0.1〜2.0g/m2が好ましい。この範囲内で、機上現像性を損なわず、指紋付着汚れなどの親油性物質による画像形成層表面の良好な汚染防止ができる。 【0099】〔支持体〕本発明の平版印刷用原版において前記画像形成層を塗布可能な支持体としては、寸度的に安定な板状物であり、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙又はプラスチックフィルム等が挙げられる。好ましい支持体としては、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板が挙げられる。 【0100】該アルミニウム板は、純アルミニウム板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、さらにはアルミニウムまたはアルミニウム合金の薄膜にプラスチックがラミネートされているものである。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高々10重量%以下である。また、DC鋳造法を用いたアルミニウム鋳塊からのアルミニウム板でも、連続鋳造法による鋳塊からのアルミニウム板であっても良い。しかし、本発明に適用されるアルミニウム板は、従来より公知公用の素材のアルミニウム板をも適宜に利用することができる。本発明で用いられる上記の基板の厚みは0.05mm〜0.6mm、好ましくは0.1mm〜0.4mm、特に好ましくは0.15mm〜0.3mmである。 【0101】アルミニウム板を使用するに先立ち、表面の粗面化、陽極酸化などの表面処理をすることが好ましい。表面処理により、親水性の向上および画像形成層との接着性の確保が容易になる。アルミニウム板表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの公知の方法を用いることができる。化学的方法としては、特開昭54−31187号公報に記載されているような鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸漬する方法が適している。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交流または直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号に開示されているように混合酸を用いた電解粗面化方法も利用することができる。 【0102】上記の如き方法による粗面化は、アルミニウム板の表面の中心線平均粗さ(Ra)が0.2〜1.0μmとなるような範囲で施されることが好ましい。粗面化されたアルミニウム板は必要に応じて水酸化カリウムや水酸化ナトリウムなどの水溶液を用いてアルカリエッチング処理がされ、さらに中和処理された後、所望により耐摩耗性を高めるために陽極酸化処理が施される。アルミニウム板の陽極酸化処理に用いられる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の電解質の使用が可能で、一般的には硫酸、塩酸、蓚酸、クロム酸あるいはそれらの混酸が用いられる。それらの電解質の濃度は電解質の種類によって適宜決められる。陽極酸化の処理条件は、用いる電解質により種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間10秒〜5分の範囲であれば適当である。形成される酸化皮膜量は、1.0〜5.0g/m2、特に1.5〜4.0g/m2であることが好ましい。 【0103】本発明で用いられる支持体としては、上記のような表面処理をされ陽極酸化皮膜を有する基板そのままでも良いが、上層との接着性、親水性、汚れ難さ、断熱性などの一層の改良のため、必要に応じて、特願2000−65219号や特願2000−143387号に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理、マイクロポアの封孔処理、及び親水性化合物を含有する水溶液に浸漬する表面親水化処理などを適宜選択して行うことができる。上記親水化処理のための好適な親水性化合物としては、ポリビニルホスホン酸、スルホン酸基をもつ化合物、糖類化合物、クエン酸、アルカリ金属珪酸塩、フッ化ジルコニウムカリウム、リン酸塩/無機フッ素化合物などを挙げることができる。 【0104】本発明の支持体としてポリエステルフィルムなど表面の親水性が不十分な支持体を用いる場合は、親水層を塗布して表面を親水性にすることが望ましい。親水層としては、特願2000−10810号に記載の、ベリリウム、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、硼素、ゲルマニウム、スズ、ジルコニウム、鉄、バナジウム、アンチモンおよび遷移金属から選択される少なくとも一つの元素の酸化物または水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。中でも、珪素の酸化物又は水酸化物のコロイドを含有する塗布液を塗布してなる親水層が好ましい。 【0105】本発明においては、画像形成層を塗布する前に、必要に応じて、特願2000−143387号に記載の、例えばホウ酸亜鉛等の水溶性金属塩のような無機下塗層、又は例えばカルボキシメチルセルロース、デキストリン、ポリアクリル酸などの含有する有機下塗層が設けられてもかまわない。又、この下塗層には、前記赤外線吸収色素を含有させてもよい。 【0106】〔製版及び印刷〕本発明の平版印刷用原版は熱により画像形成される。具体的には、熱記録ヘッド等による直接画像様記録、赤外線レーザによる走査露光、キセノン放電灯などの高照度フラッシュ露光や赤外線ランプ露光などが用いられるが、波長700〜1200nmの赤外線を放射する半導体レーザ、YAGレーザ等の固体高出力赤外線レーザによる露光が好適である。本発明の平版印刷用原版は、レーザー出力が0.1〜300Wのレーザーで照射をすることができる。また、パルスレーザーを用いる場合には、ピーク出力が1000W、好ましくは2000Wのレーザーを照射するのが好ましい。この場合の露光量は、印刷用画像で変調する前の面露光強度が0.1〜10J/cm2の範囲であることが好ましく、0.3〜1J/cm2の範囲であることがより好ましい。画像露光された本発明の平版印刷用原版は、それ以上の処理なしに印刷機に装着し、インキと湿し水を用いて通常の手順で印刷することができる。また、これらの平版印刷用原版は、日本特許2938398号に記載されているように、印刷機シリンダー上に取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露光し、その後に湿し水および/またはインクをつけて機上現像することも可能である。また、これらの平版印刷用原版は、水または適当な水溶液を現像液とする現像をした後、印刷に用いることもできる。 【0107】 【実施例】以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 支持体の製造例99.5%以上のアルミニウムと、Fe 0.30%、Si 0.10%、Ti0.02%、Cu 0.013%を含むJIS A1050合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するために脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をおこなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間均質化処理を行った。 次いで、400℃で熱間圧延し、連続焼鈍炉中で500℃60秒中間焼鈍した後、冷間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御した。その後、平面性を向上させるためにテンションレベラーにかけた。 【0108】次に平版印刷版支持体とするための表面処理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去するため10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。次いで支持体と画像形成層の密着性を良好にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミを含有する水溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しながら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2、デューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量240C/dm2を与えることで電解砂目立てを行った。その後10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃30秒間エッチング処理を行い、30質量%%硫酸水溶液で50℃30秒間中和、スマット除去処理を行った。 【0109】さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形成させた。電解質として硫酸20質量%水溶液を35℃で用い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電セルにより14A/dm2の直流で電解処理を行うことで2.5g/m2の陽極酸化皮膜を作成した。この後印刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケート処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5質量%水溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒となるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10mg/m2であった。以上のように作製した支持体(1)の中心線表面粗さRaは0.25μmであった。 【0110】微粒子(1)〜(3)の合成例油相成分として本明細書記載のポリマーP−13(重量平均分子量45,000)6.5g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、及びパイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)0.1gを酢酸エチル18.0gに溶解した後、水相成分のポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA205)4質量%水溶液36.0gに混合し、ホモジナイザーで12000rpmで10分間乳化分散させた。その後、水を24g追加し、40℃で3時間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させた。得られた微粒子分散液の固形分濃度は12.0質量%であった。また平均粒径は0.25μmであった。また、微粒子(2)〜(3)については、それぞれ、本明細書記載のP−15およびP−16を用いて、上記と同様に微粒子分散液を調製した。 【0111】微粒子(4)の合成例油相成分として2官能ビニルオキシ化合物(本明細書記載のM−11)3.5g、ポリ-p-ヒドロキシスチレン(重量平均分子量23,000)3.0g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.5g、及びパイオニンA−41C 0.1gを酢酸エチル18.0gに溶解した後、水相成分のPVA205の4質量%水溶液36.0gに混合し、ホモジナイザーで12000rpmで10分間乳化分散させた。その後、水を24g追加し、40℃で3時間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させた。得られた微粒子分散液の固形分濃度は11.5質量%であった。また平均粒径は0.26μmであった。 【0112】マイクロカプセル(1)の合成例油相成分としてトリメチロールプロパンとキシリレンジイソシアナートとの付加体(武田薬品工業製タケネートD−110N、マクロカプセル壁材)100g、2官能ビニルオキシ化合物(本明細書記載のM−11)58.8g、及びパイオニンA41C 1.2gを酢酸エチル162.5gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液375gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。その後水を240g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は22.5質量%であり、平均粒径は0.41μmであった。 【0113】マイクロカプセル(2)〜(6)、(11)、(12)の合成例油相成分としてタケネートD−110N 100g、2官能ビニルオキシ化合物(本明細書記載のM−11)40.8g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)18.0g、及びパイオニンA41C 1.2gを酢酸エチル162.5gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液375gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。その後水を240g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は21.0質量%であり、平均粒径は0.35μmであった。M−11の代わりにM−8、M−24、M−32及び下記M−57、M−58を用いることにより、マイクロカプセル(3)〜(5)、(11)、(12)を合成した。また、M−11の代わりにM−40、IR−28の代わりにIR−24を用いることにより、マイクロカプセル(6)を合成した。 【0114】 【化27】
【0115】マイクロカプセル(7)の合成例油相成分としてタケネートD−110N 10g、ビニルオキシ基を有するポリマー(本明細書記載のP−11、重量平均分子量23,000)5.88、及びパイオニンA41C 0.12gを酢酸エチル16.25gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。その後水を24g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は21.8質量%であり、平均粒径は0.32μmであった。 【0116】マイクロカプセル(8)、(10)の合成例油相成分としてタケネートD−110N 10g、ビニルオキシ基を有するポリマー(本明細書記載のP−11、重量平均分子量51,000)4.08g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.8g、及びパイオニンA41C0.12gを酢酸エチル16.25gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。その後水を24g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は21質量%であり、平均粒径は0.35μmであった。P−11の代わりにP−14を用いることにより、マイクロカプセル(10)を合成した。 【0117】マイクロカプセル(9)の合成例油相成分としてタケネートD−110N 10g、2官能ビニルオキシ化合物(本明細書記載のM−11)4.08g、ビニルオキシ基を有するポリマー(本明細書記載のP−11、重量平均分子量51,000)10g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)1.8g、およびパイオニンA41C 0.12gを酢酸エチル16.25gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液37.5gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。その後水を24g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は23.2質量%であり、平均粒径は0.42μmであった。 【0118】マイクロカプセル(13)の合成例油相成分としてタケネートD−110N 100g、2官能ビニルオキシ化合物(本明細書記載のM−11)40.8g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)18.0g、酸前駆体(本明細書記載のA−14)11.0g及びパイオニンA41C 1.2gを酢酸エチル162.5gに溶解した。水相成分としてPVA205の4質量%水溶液375gを調製した。油相成分及び水相成分をホモジナイザーを用いて12000rpmで10分間乳化した。その後水を240g添加し、室温で30分さらに40℃で3時間攪拌した。このようにして得られたマイクロカプセル液の固形分濃度は20.5質量%であり、平均粒径は0.33μmであった。 【0119】樹脂微粒子(5)の合成例油相成分として本明細書記載のポリマーP−17(重量平均分子量40,000)50g、及びアニオン界面活性剤パイオニンA−41C(竹本油脂(株)製)1.2gを酢酸エチル150gに溶解した後、水相成分のポリビニルアルコール(クラレ(株)製PVA203)5質量%水溶液300gに混合し、ホモジナイザーで13000rpmで15分間乳化分散させた。その後、水を200g追加し、45℃で180分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させた。得られたポリマー微粒子分散液の固形分濃度は12.2質量%であった。また平均粒径は0.35μmであった。 【0120】樹脂微粒子(6)の合成例油相成分として本明細書記載のポリマーP−25を50g、赤外線吸収色素(本明細書記載のIR−28)12g、及びパイオニンA−41C 1gを酢酸エチル160gに溶解した後、水相成分のPVA205の5質量%水溶液200gに混合し、ホモジナイザーで13000rpmで15分間乳化分散させた。その後、水を200g追加し、45℃で180分間攪拌しながら、酢酸エチルを蒸発させた。得られたポリマー微粒子分散液の固形分濃度は13.3質量%であった。また平均粒径は0.22μmであった。 【0121】実施例1〜20及び比較例1〜6上記製造例で得た支持体上に、合成例の微粒子(1)〜(4)及びマイクロカプセル(1)〜(13)、樹脂微粒子(5)〜(6)から選ばれた微粒子成分を含有する下記の組成よりなる画像形成層塗布液(1)〜(9)を、表1に示した組み合わせで調整した後、バー塗布し、オーブンで80℃90秒の条件で乾燥し、画像形成層の乾燥塗布量1.0g/m2の平版印刷用原版を作製した。 【0122】 画像形成層塗布液(1)(画像形成層マトリックス中に赤外線吸収色素含有) 実施例1,7 水 100g 微粒子又はマイクロカプセル(固形分換算で) 6.0g 赤外線吸収色素(本明細書に記載のIR−12) 0.7g 酸前駆体(本明細書に記載のA−21) 0.4g【0123】 画像形成層塗布液(2)実施例2〜5,8,9,12,13,比較例1,2,3 水 100g 微粒子又はマイクロカプセル(固形分換算で) 6.7g 酸前駆体(本明細書に記載のA−21) 0.4g 【0124】 画像形成層塗布液(3)実施例10,11,14,15 水 100g 微粒子(固形分換算で) 0.7g マイクロカプセル(固形分換算で) 6.0g 酸前駆体(本明細書に記載のA−21) 0.4g【0125】 画像形成層塗布液(4)実施例6 水 100g マイクロカプセル(固形分換算で) 6.0g 酸前駆体(本明細書に記載のA−22) 0.4g 親水性樹脂(表1に記載のもの) 0.7g 画像形成層塗布液(5)(画像形成層マトリックス中に酸前駆体を含有しない)比較例4 水 100g マイクロカプセル(固形分換算で) 7.1g【0126】 画像形成層塗布液(6)実施例16、17 水 120g 微粒子又はマイクロカプセル(固形分換算で) 7g 樹脂微粒子(固形分換算で) 3g 赤外線吸収色素(本明細書に記載のIR−7) 0.3g 酸前駆体(本明細書に記載のA−21) 0.7g【0127】 画像形成層塗布液(7)実施例18〜20 水 120g 微粒子又はマイクロカプセル(固形分換算で) 7g 樹脂微粒子(固形分換算で) 3g 酸前駆体(本明細書に記載のA−21) 0.5g【0128】 画像形成層塗布液(8)(画像形成層マトリックス中に酸前駆体を含有しない)比較例5 水 100g マイクロカプセル(固形分換算で) 7g 樹脂微粒子(固形分換算で) 3g 画像形成層塗布液(9)比較例6 水 120g 樹脂微粒子(固形分換算で) 10g 酸前駆体(本明細書に記載のA−21) 0.5g【0129】実施例1〜20及び比較例1〜2、4〜6の平版印刷用原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載したCreo社製Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数210rpm、版面エネルギー100mJ/m2、解像度2400dpiの条件で露光した後、現像処理することなく、ハイデルベルグ社製印刷機SOR−Mのシリンダーに取り付け、湿し水を供給した後、インキを供給し、さらに紙を供給して印刷を行った。なお、比較例3では、Trendsetter3244VFSにて、出力9W、外面ドラム回転数105rpm、版面エネルギー200mJ/m2、解像度2400dpiの条件で露光した以外は、実施例1〜20と同様に印刷を行った。またその結果、全ての実施例の印刷用原版について問題なく機上現像することができ、印刷可能であった。各印刷用原版に関して、MEKで10分間浸漬溶出処理した際の画像部不溶化率(単位質量%)と印刷可能枚数を表1に示した。なお、上記不溶化率が高いほど、架橋密度が高く高耐刷である。 【0130】さらに、経時安定性の評価として、印刷用原版を60℃3日間強制経時させた後に、前記と同様、印刷機上で湿し水およびインクを供給して印刷を行い、良好な印刷物が得られるまでの損紙枚数(機上現像枚数)を計測した。経時安定性が良好な印刷用原版ほど、損紙枚数が少ない。 【0131】 【表1】
【0132】表1において、PVAはマイクロカプセルまたは微粒子の分散剤として用いたPVA205を表す。PAAは、ポリアクリル酸(重量平均分子量25,000)を表す。 【0133】上記結果のように、2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を内包したマイクロカプセルまたは2個以上のビニルオキシ基を有する化合物を含有する微粒子を用いた平版印刷用原版は、溶剤に対する不溶化率が高く、高耐刷であることが明らかである。また、比較例3では露光エネルギーを高くしても耐刷枚数は低く、以上の結果より、本発明の平版印刷用原版は高感度であることが明らかである。さらに、比較例4及び5から、酸前駆体をマイクロカプセルに含有させず、画像形成層の親水性樹脂中に含有した本実施例において、経時安定性が良好であることは明らかである。 【0134】 【発明の効果】本発明によれば、デジタル信号に基づいた走査露光による製版が可能であり、良好な機上現像性を有し、しかも、高感度で高耐刷、経時安定性の良好な平版印刷用原版を提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005201 【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社 【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地
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| 【出願日】 |
平成14年8月23日(2002.8.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105647 【弁理士】 【氏名又は名称】小栗 昌平 (外4名)
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| 【公開番号】 |
特開2003−145956(P2003−145956A) |
| 【公開日】 |
平成15年5月21日(2003.5.21) |
| 【出願番号】 |
特願2002−243903(P2002−243903) |
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