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【発明の名称】 グラビア版及びグラビア製版方法
【発明者】 【氏名】重田 龍男
【住所又は居所】千葉県柏市高田1201−11 株式会社シンク・ラボラトリー内

【要約】 【課題】非画線部にインキが転移しない微小な傷を無数に備えていて、ロールにサンドペーパーによる微小な傷つけを併用すると、水性インキを使用して印刷する速度を油性インキを使用して印刷する速度と略同等としても版かぶりが起き難い、グラビア版及びグラビア製版方法。

【解決手段】版を形成する前のデジタル版情報とピットの配列パターンのデジタル版情報とを重畳させた合成デジタル版情報を作成し、該重畳させた合成デジタル版情報に基づいて、感光膜を形成した被版形成面を露光して現像し、又は、レーザアブレーションされ得る被膜を形成した被版形成面にレーザアブレーションし、次いで、現像又はレーザアブレーションにより露出した金属面をエッチングし次いでレジスト剥離し次いで硬質クロムメッキを設けてなる。非画線部に、ハイライト部の最少セルよりも小さくてインキの転移が行なわれない大きさのセルをスクリン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】非画線部に、ハイライト部の最少セルよりも小さくてインキの転移が行なわれない大きさのピットをスクリン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列していることを特徴とするグラビア版。
【請求項2】版を形成する前のデジタル版情報とピットの配列パターンのデジタル版情報とを重畳させた合成デジタル版情報を作成し、該重畳させた合成デジタル版情報に基づいて、感光膜を形成した被版形成面を露光して現像し、又は、レーザアブレーションされ得る被膜を形成した被版形成面にレーザアブレーションし、次いで、現像又はレーザアブレーションにより露出した金属面をエッチングし次いでレジスト剥離し次いで硬質クロムメッキを設けてなることを特徴とするグラビア製版方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、版かぶりを改善できるグラビア版及びグラビア製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】グラビア印刷において、非画線部に微小にインキが付着して汚れた感じに印刷される版かぶりは、ドクターの継続使用時間が多くなってブレードがシャープでなくなったときや、グラビアロールのクロムメッキの非画線部にサンドペーパーで筋目を万遍なく付ける事を怠ったとき、又、輪転機の印刷速度が速すぎるときや、水性インキを使用して印刷するときに顕著に表れる現象である。
【0003】版かぶりの原因は、版面の非画線部にドクターを通過してしまった微小なインキが乾かないで転移するためである。版面の非画線部に版かぶりの原因となるインキの量が大きい場合には、ドクターブレードがシャープではなくなりインキに対する切れが悪くなったことが原因であるか、又は、版面が余りにも鏡面状態になっていて自己潤滑性が悪くてドクターブレードとロール面との直接接触が行なわれてドクターブレードが微小にバイブレーションを起こしてインキを通過させることに原因がある。従って、ドクターを交換したり、ロールにサンドペーパーによる微小な傷つけを行なうことで大体は解消できる。
【0004】これに対して、水性インキを使用して印刷するときに顕著に表われる版かぶりについては、インキの溶媒に水と少量のアルコールが使用されているので揮発速度がトルエンよりも遅いことに原因があり、輪転機で印刷する速度を油性インキを使用して印刷する速度よりも20%前後落としているのが現状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】地球温暖化防止の観点から、炭酸ガス排出の原因になるトルエンが50%前後も入っている油性インキの使用を止めて水性インキを使用することが要望されているので、水性インキを使用して印刷する速度を油性インキを使用して印刷する速度と略同等としても版かぶりが起きないように、水性インキの改良やドクターブレードの改良やグラビア版等に何らかの改善が求められていた。
【0006】本願発明者は、ロールにサンドペーパーによる微小な傷つけを行なうことで版かぶりを解消できることに着目して、鋭意研究し、非画線部に3.5μm×7.0μmのセルを設けて水性インキを使用して印刷したところ版かぶりが生じなかったことを確認して本願発明をするに至った。
【0007】すなわち、本願発明は、非画線部にインキが転移しない微小な傷を無数に備えていて、ロールにサンドペーパーによる微小な傷つけを併用すると、水性インキを使用して印刷する速度を油性インキを使用して印刷する速度と略同等としても版かぶりが起き難い、グラビア版及びグラビア製版方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願第一の発明は、非画線部に、ハイライト部の最少セルよりも小さくてインキの転移が行なわれない大きさのピットをスクリン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列していることを特徴とするグラビア版を提供するものである。
【0009】本願第二の発明は、版を形成する前のデジタル版情報とピットの配列パターンのデジタル版情報とを重畳させた合成デジタル版情報を作成し、該重畳させた合成デジタル版情報に基づいて、感光膜を形成した被版形成面を露光して現像し、又は、レーザアブレーションされ得る被膜を形成した被版形成面にレーザアブレーションし、次いで、現像又はレーザアブレーションにより露出した金属面をエッチングし次いでレジスト剥離し次いで硬質クロムメッキを設けてなることを特徴とするグラビア製版方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】図1は本願発明のグラビア版の断面図を示す。符号1は、ハイライト部の最少セルであり、直径15μmの円形であってインキの転移が可能である。符号2は、非画線部に設けたピット(この明細書において、インキの転移が可能な凹部をセルとして技術用語を使い分けた)であり、ハイライト部の最少セル1よりも小さくてインキの転移が行なわれない大きさである。ピット2は、スクリン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列していれば足りる。通常のグラビア版は、セルのピッチが決まっているので、非画線部に設けることが出来るインキの転移が不能な微小なピットもセルの配列に従うことになる。微小なピットをスクリン線の1ピッチのエリア内に1個設けることには限定されるものではなく、パターニングにより数個設けることができる。ハイライト部の最少セルよりも小さくてインキの転移が行なわれない大きさのピットとは、具体的には、例えば、7.0μm×7.0μmの大きさが該当する。製版において、非画線部にインキの転移が不能な微小なピットを設けるには、版を形成する前のデジタル版情報とピットの配列パターンのデジタル版情報とを重畳させた合成デジタル版情報を作成し、この合成デジタル版情報に基づいて露光を行なうことで達成できる。ピットの配列パターンは、ピットのロール周方向のピッチがランダムな配列になるようにしてピットがスクリン線の周方向の同一位置を切ることはなく、ドクターのインキ掻き取り機能を阻害することがないようにする。本願発明のグラビア製版方法は、上記の合成デジタル版情報を作成して、該重畳させた合成デジタル版情報に基づいて、感光膜を形成した被版形成面を露光して現像し、次いで、現像により露出した金属面をエッチングし次いでレジスト剥離し次いで硬質クロムメッキを設けてなる。
【0011】
【実施例1】ロールの鏡面仕上げした銅メッキ面にカナダのクレオサイテックス社製のポジタイプの感光膜を塗布し、残留溶剤が2%以下になるように感光膜を乾燥させてから、レーザビームの断面積が1.8μm×7.0μmの大きさを単位出力として赤外線レーザを照射し得るレーザーヘッドを備えたレーザ露光装置により、ロール面長方向に長くなるように1.8μm×7.0μmの大きさのレーザビームをロール周方向に二個並べて3.5μm×7.0μmの大きさの単位露光面積としてロール周方向及びロール面長方向に28μmピッチで並べるように照射して露光を行ない、次いで、アルカリ現像し、次いで、露出した金属面(銅メッキ面)を塩化第二銅の溶液によりエッチングし、次いで強アルカリ液によりレジスト剥離し次いで硬質クロムメッキを行なってテスト版を作成した。このテスト版には2.0μm×5.0μmのピットが形成されたことを確認した。そして、ロールへサンドペーパーによる微小な傷つけを部分的に行なった。グラビア輪転印刷機に取付けて水性インキを用いて毎分120mの印刷速度で印刷したところ、印刷は行なわれなかった。サンドペーパーによる微小な傷つけを付与した部分の版かぶりは頗る解消された。又、サンドペーパーによる微小な傷つけを付与した部分の版かぶりも少なくなった。
【0012】
【実施例2】次に、3.5μm×7.0μmの大きさの単位露光面積としてロール周方向及びロール面長方向に140μmピッチ(スクリン線数175本/インチの1ピッチに相当)で並べるように照射して露光を行ない、次いで、現像―エッチング―レジスト剥離―硬質クロムメッキを行なってテスト版を作成した。このテスト版には2.0μm×5.0μmのピットが形成されたことを確認した。そして、ロールへサンドペーパーによる微小な傷つけを部分的に行なった。グラビア輪転印刷機に取付けて水性インキを用いて毎分120mの印刷速度で印刷したところ、印刷は行なわれなかった。サンドペーパーによる微小な傷つけを付与した部分の版かぶりは頗る解消された。又、サンドペーパーによる微小な傷つけを付与した部分の版かぶりも少なくなった。
【0013】
【実施例3】そこで、版を形成する前の版情報として0%〜100%のグラデーションを用意した。そして、レーザビームをロール周方向に二個並べて3.5μm×7.0μmの大きさの単位露光面積としてロール面長方向に140μmピッチの配列となるように、かつロール周方向のピッチを70μm〜140μmの範囲でランダムな配列になるようにして照射が行なえるパターンを作成して、これをスクリーニングプログラムによりスクリーニングを行なって得られるスクリーンのデジタル情報を前記のグラデーションに重畳させたデジタル版情報を作成した。次いで、ロールの鏡面仕上げした銅メッキ面にカナダのクレオサイテックス社製のポジタイプの感光膜を塗布し、残留溶剤が2%以下になるように感光膜を乾燥させてから、赤外線レーザを1.8μm×7.0μmの大きさを単位出力として照射し得るレーザーヘッドを備えたレーザ露光装置により、ロール面長方向に長くなるように1.8μm×7.0μmの大きさのレーザビームをロール周方向に二個並べて3.5μm×7.0μmの大きさの単位露光面積としてロール周方向及びロール面長方向に28μmピッチで並べるように照射して露光を行ない、次いで、現像―エッチング―レジスト剥離―硬質クロムメッキを行なってテスト版を作成した。このテスト版は非画線部に2.0μm×5.0μmのピットが形成されたことを確認した。そして、ロールへサンドペーパーによる微小な傷つけを部分的に行なった。グラビア輪転印刷機に取付けて水性インキを用いて毎分120mの印刷速度で印刷したところ、良好なグラデーションの印刷が行なわれた。2.0μm×5.0μmのピットがグラデーションのセルにくっついたところが生じたが濃淡階調度を損なう大きな影響は生じなかった。そして、非画線部に版かぶりは大きな改善が見られた。又、サンドペーパーによる微小な傷つけを付与した部分の版かぶりも改善が見られた。2.0μm×5.0μmのピットがスクリン線の周方向の同一位置を切ることはなく、ドクターのインキ掻き取り機能を阻害することがなかった。
【0014】本願発明にかかるグラビア製版方法は、版を形成する前のデジタル版情報に対して、ハイライト部の最少セルよりも小さくてインキの転移が行なわれない大きさのセルをスクリン線の1ピッチのエリア内に少なくとも1つ存在するように配列してスクリーニングを行なって得られるスクリーンのデジタル情報を重畳させて、該重畳させた合成デジタル版情報に基づいて、レーザアブレーションされ得る被膜を形成した被版形成面にレーザアブレーションし、次いで、レーザアブレーションにより露出した金属面をエッチングし次いでレジスト剥離し次いで硬質クロムメッキを設けてなる製版法も含まれる。
【0015】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1に記載の発明のグラビア版によれば、ドクターを通過したインキは非画線部に形成した無数の微小なセルの中へ毛管現象により入って版かぶりの改善が見られ、サンドペーパーによる微小な傷つけを併用すると版かぶりが大幅に解消される。そして、水性インキを使用して印刷する速度を油性インキを使用して印刷する速度と略同等としても版かぶりが起きない。又、請求項2に記載の発明のグラビア製版方法によれば、請求項1に記載の発明のグラビア版を良好に製版でき、上記の効果が得られる。彫刻法によるグラビア製版方法によっては、非画線部にサンドペーパーによる微小な傷つけを付与できない。
【出願人】 【識別番号】000131625
【氏名又は名称】株式会社シンク・ラボラトリー
【住所又は居所】千葉県柏市高田1201−11
【出願日】 平成13年11月14日(2001.11.14)
【代理人】 【識別番号】100081248
【弁理士】
【氏名又は名称】大沼 浩司
【公開番号】 特開2003−145952(P2003−145952A)
【公開日】 平成15年5月21日(2003.5.21)
【出願番号】 特願2001−349397(P2001−349397)