| 【発明の名称】 |
スクリーン印刷用金属メッシュ織物 |
| 【発明者】 |
【氏名】下川原 直樹 【住所又は居所】千葉県習志野市東習志野7−5−1 鈴木金属工業株式会社内
【氏名】江守 英夫 【住所又は居所】福井県勝山市荒土町新保9−1 日本特殊織物株式会社内
【氏名】軒内 昇 【住所又は居所】福井県勝山市荒土町新保9−1 日本特殊織物株式会社内
【氏名】木村 裕彦 【住所又は居所】福井県勝山市荒土町新保9−1 日本特殊織物株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】強度が大きく、伸度が小さく、寸法精度、弾性回復力、耐久性に優れたハイメッシュ及びオープニングの大きいスクリーン印刷用金属メッシュ織物を得る。
【解決手段】スクリーン印刷用金属メッシュ織物として、引張強度が2600〜3500N/mm2、破断伸度が1〜5%であるオーステナイト系ステンレス極細線の縦線と横線からなり、引張強度を示す係数[引張荷重(N/測定幅)÷測定幅(mm)÷メッシュ織物の厚さ(mm)]が縦・横方向ともに150〜230であることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】引張強度が2600〜3500N/mm2、破断伸度が1〜5%であるオーステナイト系ステンレス極細線の縦線と横線からなり、引張強度を示す係数[引張荷重(N/測定幅)÷測定幅(mm)÷メッシュ織物の厚さ(mm)]が縦・横方向ともに150〜230であることを特徴とするスクリーン印刷用金属メッシュ織物。 【請求項2】前記メッシュ織物の縦線と横線の線径が10〜30μm、メッシュ数が70〜180本/cm(180〜460本/inch)である、請求項1に記載のスクリーン印刷用金属メッシュ織物。 【請求項3】線径が10μm以上21μm未満であるオーステナイト系ステンレス極細線の縦線と横線からなり、メッシュ数が70〜180本/cm(180〜460本/inch)、破断伸度が6.5%以下でかつ縦破断伸度から横破断伸度を引いた値(伸度差)が3.5%以下である、請求項1に記載のスクリーン印刷用金属メッシュ織物。 【請求項4】線径が21μm以上30μm以下であるオーステナイト系ステンレス極細線の縦線と横線からなり、メッシュ数が70〜130本/cm(180〜330本/inch)、破断伸度が8%以下でかつ縦破断伸度から横破断伸度を引いた値(伸度差)が4.5%以下である、請求項1に記載のスクリーン印刷用金属メッシュ織物。 【請求項5】金属メッシュ織物の横線の単線引張強さが、縦線の単線引張強さの78〜97%である、請求項1〜4のいずれかに記載のスクリーン印刷用金属メッシュ織物。 【請求項6】金属メッシュ織物の横線の線径が、縦線の線径の90〜98%である、請求項1〜5のいずれかに記載の高精度スクリーン印刷用金属メッシュ織物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はスクリーン印刷用の金属メッシュ織物に関する。さらに詳しくは、エレクトロニクス関連の高精度・高密度スクリーン印刷を行うためのスクリーン印刷用金属メッシュ織物に関するものである。 【0002】 【従来の技術】スクリーン印刷用メッシュ織物により高精度・高密度印刷を実現するためには、伸度が小さく強度が大きくハイテンション(高張力)での紗張りが可能であること、寸法精度に優れすなわち寸法変化が小さく安定していること、弾性回復力が大きく耐久性に優れること、線径が細くハイメッシュ(高密度メッシュ)であることなどが要求される。また粘度の低いインキやペーストなどの印刷に関しては線径が細くオープニング(開口)の大きなメッシュが要求される。 【0003】従来、ナイロン、ポリエステルなどの合成繊維を用いたスクリーン印刷用メッシュ織物が広く使用されているが、上述のスクリーン印刷用メッシュ織物は伸度が大きく、強度・弾性率が低いため、寸法精度に問題がある。またこれら合成繊維は強度が低いため線径の細い線を使用したハイメッシュやオープニングの大きいメッシュを製織するのが困難である。 【0004】このため、厳しく寸法精度を要求される精密な印刷においては軟質ステンレスメッシュ織物が使用されている。しかし、軟質ステンレスは強度が十分でなく、弾性回復力に劣るため、印刷回数が増加すると素線のズレが進行し印刷精度が悪くなり、さらに降伏点を超える力が加わると、素線が伸びて回復しないという問題がある。印刷精度を向上させるために、軟質ステンレスメッシュ織物を紗張りした後にメッキを施す方法もあるが、メッキ工程及び公害対策設備が必要なため価格が高価になり、またメッキによりオープニングが狭くなつたり、目詰りが発生する問題がある。 【0005】上述の問題を解決するために、金属ワイヤ素材を改良して、強度が大で細線化が可能であり、寸法精度がよく弾性回復力に優れた素線を使用したスクリーン印刷用メッシュ織物の検討が重ねられている。アモルファス合金線を使用したスクリーン印刷用メッシュ織物は、強度はあるが靭性に乏しいため製織が困難で実用化に至つていない。特開平6-166925号公報に開示される鉄を主成分とするパーライト鋼をニッケルでメッキした素線を使用したスクリーン印刷用メッシュ織物は、強度・寸法精度・弾性回復力ともに優れているが、錆の発生による素線の劣化という問題が解決されておらず実用化に至つていない。 【0006】硬質ステンレス線を使用したスクリーン印刷用メッシュ織物は寸法精度に優れているが、強度が十分でなく、製織時や紗張り時、製版時、その後の保管時及び印刷時に破断や破損しやすい問題がある。 【0007】また、硬質ステンレス線を縦線、横線ともに使用した場合に、従来の製織技術では縦線の屈曲度が横線の屈曲度よりも極端に大きいため、メッシュ織物の縦伸度と横伸度の差が大きくなり、印刷時の寸法精度も縦方向と横方向で異なるという問題がある。特に、プラズマ・ディスプレイ・パネルなどの広大な面積を印刷する場合、印刷時の寸法精度が縦方向と横方向で異なることは非常に大きな問題となる。さらに製織時の問題として、縦線と横線の屈曲の差を織機上で荷重を掛けることのみで調整を行わなくれはならないため、荷重の掛けすぎにより縦線切れや胴切れといつた縦線の欠点が多数発生し、安定した品質のメッシュ織物を効率良く製織できないという問題がある。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は上述の問題を鑑み、強度が大きく、伸度が小さく、寸法精度、弾性回復力、耐久性に優れたハイメッシュ及びオープニングの大きいスクリーン印刷用金属メッシュ織物を提供することにある。 【0009】本発明の他の課題は、メッシュ織物の縦方向と横方向の伸度差を小さくすることにより、縦方向と横方向の印刷寸法精度を揃えた、安定した品質で効率良く製織し得るスクリーン印刷用金属メッシュ織物を提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明は強度が2600〜3500N/mm2、破断伸度が1〜5%、線径が10〜30μmであるオーステナイト系ステンレス極細線の縦線と横線からなり、メッシュ数が70〜180本/cm(180〜460本/inch)、メッシュ織物の引張強度を示す係数[引張荷重(N/測定幅)÷測定幅(mm)÷メッシュ織物の厚さ(mm)]が縦・横方向ともに150〜230であることを特徴とする。さらに縦線の78〜97%の単線引張強さの横線、または縦線の90〜98%の線径の横線を利用し、縦線と横線の伸度差が小さいスクリーン印刷用金属メッシュ織物を安定した品質で効率良く製織することを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】本発明ではスクリーン印刷用金属メッシュ織物を得るために、オーステナイト系ステンレス鋼線(JIS規格SUS304)を使用する。オーステナイト系ステンレス鋼線を伸線機にかけて伸線を行い、次いで固溶化熱処理(焼鈍)を施し、再び伸線機にかけ延伸を行う。以上の工程を何度か繰り返して所定の線径のオーステナイト系ステンレス極細線を得る。固溶化熱処理には不活性ガスを流した連続焼鈍炉を用いて鋼線を温度1000〜1150℃に加熱した後、水素ガスと窒素ガス中で急冷する。この工程は一般に光輝焼鈍と呼ばれるものであり、ここで、水素を用いる理由は表面の酸化を防止し、水素の高い熱伝導率を利用して急冷するためである。最終工程では固溶化熱処理(焼鈍)を施さない。最後に得られた鋼線をキンクなどの線くせが発生しない加工を施してステンレス極細線を得る。得られたステンレス極細線は、強度が2600〜3500N/mm2、伸度が1〜5%、線径が10〜30μmの特性を有する。 【0012】本発明では、上記により得られたオーステナイト系ステンレス鋼線を使用し、70〜180本/cm(180〜460本/inch)のメッシュ数になるよう製織し、スクリーン印刷用金属メッシュ織物を得る。得られたスクリーン印刷用金属メッシュ織物は引張強度を示す係数[引張荷重(N/測定幅)÷測定幅(mm)÷メッシュ織物の厚さ(mm)]が縦線と横線方向ともに150〜230である特性を有する。 【0013】本発明では製織工程において縦線よりも単線引張強さの小さい横線を使用することにより、縦線の屈曲と横線の屈曲度の差を小さくする。 【0014】縦線の屈曲が大きくなる理由を詳細に述べる。製織する際、織機上で縦線は1本交互に上下運動を繰り返す。縦線の上下に開いた開口部に横線が真直ぐに挿入され、次いで縦線が上下逆になり、開口を閉じることによりメッシュが形成される。すなわち、縦線が上下運動を繰り返し、真直ぐに挿入された横線を挟む構造になるので、縦線の屈曲度が大きくなるのである。この縦線の屈曲はメッシュ数が大きくなるほど、また線径が大きくなるほど、大きくなる。この現象は、硬質ステンレスからなるメッシュ織物に限るものでなく、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維からなるメッシュ織物や軟質ステンレスからなる金属メッシュ織物でも同様である。 【0015】ポリエステルやナイロンなどの合成繊維は熱可塑性を有するため、これら合成繊維からなるメッシュ織物は、製織後に行う後加工にて伸張もしくは収縮させることにより、縦線と横線の屈曲度の差を補正し、熱セットで補正された屈曲構造を固定することが可能である。また、軟質ステンレスからなる金属メッシュ織物の場合は、素線が柔らかいため、横線が屈曲しやすく、それほど大きな伸度差には至らない。 【0016】硬質ステンレス線や、アモルファス線、パーライト鋼線などからなる金属メッシュ織物の場合は、素線が硬く、横線が屈曲しにくい。このため縦線と横線の屈曲度の差が大きくなるのである。さらに金属には熱可塑性がなく、製織後の熱セットによる補正は行えない。 【0017】本発明の発明者らは、縦線の屈曲を無理に伸ばすのではなく、横線に屈曲を与えることにより、縦線と横線の屈曲度の差をなくし、縦線と横線の伸度差を小さくする方法を鋭意研究し、下記の方法を見出した。 【0018】製織工程において横線の単線引張強さが縦線の単線引張強さよりも小さい素線を使用することにより、縦線の屈曲と横線の屈曲の差を小さくする。この場合、横線強度が縦線強度の78〜97%の素線を使用するか、横線の線径を縦線の線径の90〜98%の素線を使用してもよい。このようにして製織されたメッシュ織物は、線径が10μm以上21μm未満、メッシュ数が70〜180本/cm(180〜460本/inch)の場合、破断伸度が6.5%以下でかつ縦破断伸度から横破断伸度を引いた値(伸度差)が3.5%以内である特徴を有する。また、線径が21μm以上30μm以下、メッシュ数が70〜130本/cm(180〜330本/inch)の場合、破断伸度が8%以下でかつ縦破断伸度から横破断伸度を引いた値(伸度差)が4.5%以内である特徴を有する。 【0019】さらに、上記のごとく縦線と横線の屈曲度の差を小さくすることにより、メッシュ織物の縦方向と横方向の強度差を小さくすることができる。硬質ステンレス線、アモルファス線、パーライト鋼線などの硬質金属線は、屈曲を与えることにより、強度が低下する特性を持つている。つまり、素線としての硬質金属線からメッシュ織物を構成する際、屈曲度が大きいほど強度が低下するのである。 【0020】実施例の表1で示すとおり、縦線と横線に同じ強度の素線を使用した場合、縦線の屈曲度が大きく、横線の屈曲度が小さいため、メッシュ織物の縦方向の強度が横方向の強度に比べ明らかに小さいのが判る。 【0021】なお、本発明の横線の単線引張強さが縦線の単線引張強さよりも小さい素線を使用することにより、縦線の屈曲と横線の屈曲の差を小さくするメッシュ織物は、本発明に使用のオーステナイト系ステンレス鋼線に限るものではなく、アモルファス線、パーライト鋼線をはじめとする、屈曲により強度低下を起こす硬質金属線を使用したメッシュ織物についても適用可能である。 【0022】本発明の製造方法では、織機上で必要以上に荷重を掛けることなく製織できるため、縦線切れや胴切れといつた縦線の欠点が、従来の製造方法と比べ著しく軽減できる。このため、安定した品質で効率良く製織することが可能となる。 【0023】本発明の製造方法では、縦線と横線の組合せと、織機上での荷重の調整と2種の方法で縦線の屈曲と横線の屈曲を調整できるため、従来のように織機上での荷重のみで調整する製造方法よりも、容易に厚さの調整が可能である。特に薄くする調整が容易である。 【0024】現在、高精度・高密度印刷において薄膜(インキの印刷膜厚が薄いこと)印刷の要求が大きくなつており、それにともないメッシュ織物の厚さを薄くする要求が大きくなつている。メッシュ織物の厚さを容易に調整できることは、薄膜印刷の要求に答えることにもなる。また、厚さを薄くするためにメッシュ織物にカレンダー加工(プレスし縦線と横線の交点部をつぶす加工方法)を施す場合があるが、この加工によりメッシュ織物の強度が低下する問題があり、この問題を解決するために強度の大きいメッシュ織物が要求されている。 【0025】本発明のスクリーン印刷用金属メッシュ織物は、スクリーン印刷用に紗張り工程に供されるが、紗張りをするスクリーン枠は木製、金属製、樹脂製のいずれでもよい。しかし、金属メッシュ織物はハイテンション(高張力)での紗張りが理想であるため、金属製のスクリーン枠を使用するのが好ましい。 【0026】本発明のスクリーン印刷用金属メッシュ織物は、強度が大きいため軟質ステンレスまたは硬質ステンレスからなるメッシュ織物よりも、ハイテンション(高張力)での紗張りが可能である。 【0027】本発明のスクリーン印刷用金属メッシュ織物は、強度が大きいため軟質ステンレスまたは硬質ステンレスからなるメッシュ織物よりも、紗張り時や製版時その後の保管時及び印刷時の破断が著しく減少する。 【0028】紗張り工程を経た金属メッシュ織物は、さらに脱脂工程を経て、感光性または感熱性樹脂乳剤の塗布工程に供されるが、感光性または感熱性樹脂乳剤としては一般に使用されるものがいずれも使用できる。例えば、重クロム酸アンモラニウム塩などの重クロム酸塩類、各種のジアゾ化合物、S・B・Q系感光剤、アクリルモノマ系感光剤などを、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル、アクリル系樹脂などの樹脂組成物に添加混合したものが使用できる。なお、これらの樹脂組成物には必要に応じて乳化剤や帯電防止剤が含まれてもよい。 【0029】金属メッシュ織物に対する乳剤の塗布厚さは、目的とする用途によつて異なる。塗り量によつて所定の厚さになるように乳剤を塗布した後、乾燥された金属メッシュ織物は露光または加熱して仕上げされる。 【0030】パターンの焼付けは、使用する乳剤などによつて異なるが、通常は高圧水銀ランプ、キセノンランプ、メタハライドなど(4kw程度)を光源に用い、1〜1.5m程度の距離で1〜5分間露光する。未感光部分を水スプレーにて除去し、乾燥工程の後、印刷工程に供する。 【0031】本発明のスクリーン印刷用メッシュ織物は、伸度が小さく強度が大きく、寸法精度に優れ、弾性回復力が大きく耐久性に優れ、さらに線径が細いハイメッシュやオープニングの大きいメッシュ織物であり、高精度・高密度な印刷を可能とする。 【0032】 【実施例】表1,2,3のメッシュ織物物性測定結果はJIS L 1096に準じて下記の条件で実施した試験結果である。 【0033】 強伸度測定 測定器:島津製作所製オートグラフAGS−500B 測定長:200mm 引張速度:100mm/分 チャート速度:100mm/分 厚さ測定 測定器:東京プロセスサービス製デジマチックMG4 表1に示すメッシュ数と素線条件にて、実施例1〜6のメッシュ織物を製織し、そのメッシュ織物の物性を測定し、表1に測定結果を記載した。同じく表1に示すメッシュ数と素線条件の市販品メッシュ織物の物性を測定し、比較例1〜6(C1〜C6)として、表1に測定結果を記載した。実施例1,3〜6の素線伸度はおよそ2.5%である。実施例2の素線伸度はおよそ3.0%である。 【0034】判定は、強度係数[引張荷重(N/測定幅)÷測定幅(mm)÷メッシュ織物の厚さ(mm)]が縦横方向ともに150〜230の範囲内にあるものを〇とし、範囲外のものを×とした。 【0035】強度が大きいということは、弾性回復力、耐久性に優れていることを示すものであり、製織から印刷までの各工程における破断、破損を減少させることが可能であることを示すものである。特に線径の細いハイメッシュやオープニングの大きいメッシュに必要な条件である。 【0036】表1より明らかなように、本発明品の実施例1〜6は引張強度を示す強度係数[引張荷重(N/測定幅)÷測定幅(mm)÷メッシュ織物の厚さ(mm)]が縦横方向ともに150〜230の範囲にあり、比較例1(C1)〜6(C6)よりも極めて強度が大きいのが判る。 【0037】表2はメッシュ数114本/cm(290本/インチ)のメッシュ織物を、横線の素線条件を変えながら製織し、得られたメッシュ織物の物性を測定した結果である。実施例7〜10は、横線の強度条件を、実施例11〜16は横線の線径条件を変えたものである。なお、伸度差とは縦破断伸度から横破断伸度を引いた値である。 【0038】強度係数の判定は、表1と同じく、強度係数[引張荷重(N/測定幅)÷測定幅(mm)÷メッシュ織物の厚さ(mm)]が縦横方向ともに150〜230の範囲内にあるものを〇とし、範囲外のものを×とした。 【0039】
伸度の判定は、縦方向、横方向とも破断伸度が6.5%以内でかつ伸度差が3.5%以内のものを〇とし、破断伸度が6.5%よりも大きいものと、伸度差が3.5%よりも大きいものを×とした。 【0040】破断伸度が6.5%以内であることは、メッシュ織物が伸びにくく印刷寸法精度に優れることを示すものである。伸度差が3.5%以内であることは、伸度差が小さく縦方向と横方向の印刷寸法精度が揃つていることを示すものである。 【0041】実施例7,8,9,10は、縦方向、横方向とも破断伸度が6.5%以内でかつ伸度差が3.5%以内である。この時の横線の単線引張強さは、縦線の単線引張強さの78〜97%である。 【0042】実施例12〜16も、縦方向、横方向とも破断伸度が6.5%以内でかつ伸度差が3.5%以内である。この時の横線の線径は縦線の線径の90〜98%であり、また横線の単線引張強さは、縦線の単線引張強さの80〜97%である。 【0043】表3はメッシュ数90本/cm(230本/インチ)のメッシュ織物を、横線の素線条件を変えながら製織し、得られたメッシュ織物の物性を測定した結果である。実施例17〜20は、横線の強度条件を、実施例21〜26は横線の線径条件を変えたものである。 【0044】強度係数の判定は、表1と同じく、強度係数[引張荷重(N/測定幅)÷測定幅(mm)÷メッシュ織物の厚さ(mm)]が縦横方向ともに150〜230の範囲内にあるものを〇とし、範囲外のものを×とした。 【0045】伸度の判定は、縦方向、横方向とも破断伸度が8%以内でかつ伸度差が4.5%以内のものを〇とし、破断伸度が8%よりも大きいものと、伸度差が4.5%よりも大きいものを×とした。 【0046】破断伸度が8%以内であることは、メッシュ織物が伸びにくく印刷寸法精度に優れることを示すものである。伸度差が4.5%以内であることは、伸度差が小さく縦方向と横方向の印刷寸法精度が揃つていることを示すものである。 【0047】実施例17,18,19,20は、縦方向、横方向とも破断伸度が8%以内でかつ伸度差が4.5%以内である。この時の横線の単線引張強さは、縦線の単線引張強さの78〜97%である。 【0048】実施例22〜26も、縦方向、横方向とも破断伸度が8%以内でかつ伸度差が4.5%以内である。この時の横線の線径は縦線の線径の90〜98%であり、また横線の単線引張強さは、縦線の単線引張強さの80〜97%である。 【0049】
表4は素線条件と製織荷重別の製織状態を示すものである。製織したメッシュ織物は、メッシュ数114本/cm(290本/インチ)である。製織荷重の数値は実施例4に対しての百分率で表したもので、数値が小さいほど織機荷重が軽く、数値が大きいほど織機荷重が重いことを示すものである。縦線切れ回数及び胴切れ回数は、製織した長さ(m)に対して各欠点の発生した回数を記載したものであり、数値が小さいほど欠点が少なく製織状態が良いことを示すものである。 【0050】実施例4,8,13の素線条件と、織機上の荷重のみで縦線の屈曲を調整する場合を比較するため、実施例4に無理に織機荷重を掛けた比較例7の4つの条件で製織状態を比較した。実施例4,8,13はそれぞれ200m製織し、その結果を示してある。比較例7は製織が困難で30m製織した段階で製織を中止したため、30mでの結果を示してある。 【0051】製織状態の判定は、欠点が少なく品質・製織性に優れるものを〇、欠点はやや多いが品質・製織性に特に影響しないものを△、欠点が多く品質・製織性に劣るものを×とした。 【0052】
表4の結果から明らかなように、製織工程のにおいて横線の単線引張強さが縦線の単線引張強さよりも小さい素線を使用することにより、縦線の屈曲と横線の屈曲の差を小さくした場合、織機上での縦線に掛ける荷重を少なくすることが可能であり、縦線に掛かる負荷が小さくてすむため、縦線切れや胴切れといつた欠点が著しく減少する。 【0053】表5はスクリーン印刷用メッシュ織物を直接掴みストレッチャーで引つ張りスクリーン枠に接着固定する方法である直張りと呼ばれる方法で紗張りを行つた結果を示すものである。実施例3と比較例1,4のメッシュ織物を使用し試験を行つた。ストレッチャーはミノグループ製、テンションゲージは東京プロセスサービス製、紗張り枠は12インチ・アルミダイキャスト枠を使用した。設定値の数値が小さいほどハイテンション(高張力)で紗張りできることを示すものである。また、テンションの落ち(設定値と切り離し後の数値の差)が小さいほど弾性回復力が大きいとともに、寸法変化が小さく寸法精度に優れることを示すものである。 【0054】
表5の結果から明らかなように、本発明品である実施例3は、比較例1,4よりも極めて高いテンションで直張りの紗張りが可能であり、さらに切り離し後のテンションの変化が小さい。ハイテンション(高張力)での紗張りが可能であるため、紗張り時のメッシュ織物の破断を著しく減少させることが可能であり、さらにテンションの落ちが小さいことと併せて、印刷時の寸法精度が著しく向上させることが可能である。 【0055】表6はドット印刷とライン/スペース印刷を行つた結果を示すものである。印刷に使用したメッシュ織物は、実施例3と比較例1のメッシュ織物である。使用メッシュの物性及び版テンションは表6に示すとおりである。 【0056】印刷試験は下記の条件にて行つた。 【0057】印刷機:プライス製MC−212ペースト:田中貴金属製銀ペーストMH−193A枠:12インチ・アルミダイキャスト製紗張り方法:直張り・バイアス角度22.5°乳剤:ジアゾ樹脂系膜厚:14μm ドット印刷は、ドット径が70μm×56個のパターンとドット径が100μm×25個のパターンの2種類のパターンを使用し製版した版で印刷した。ドット印刷結果の印刷径は、印刷されたドットの径を測定した結果である。パターンの径と、印刷されたドットの径の値が等しく、誤差が小さいほど再現性に優れ、高精度な印刷であることを示す。印刷数は、印刷されたドットがドットの形を形成したものをカウントした結果である。パターンの個数に対し、印刷数が少ないほどドットを形成できず、印刷再現性に劣り、精度の悪い印刷であることを示すものである。 【0058】ライン/スペース印刷は、ライン幅100μm、スペース幅100μmのパターンを使用し製版した版で印刷した。印刷結果のライン印刷幅は、印刷されたラインの幅を測定した結果である。スペース幅は、印刷されたラインとラインの間隔を測定した結果である。パターンの幅と、印刷されたライン幅及びスペースの幅の値が等しく、誤差が小さいほど再現性に優れ、高精度な印刷であることを示すものである。 【0059】表6の印刷結果から明らかなように、本発明品である実施例3は比較例1よりも極めて再現性の高い、高精度な印刷が可能である。 【0060】表7は細線印刷を行つた結果を示すものである。印刷に使用したメッシュ織物は、実施例4と比較例2のメッシュ織物である。使用メッシュの物性及び版テンションは表7に示すとおりである。パターンの線幅は40μmである。 【0061】
印刷試験は下記の条件にて行つた。 【0062】印刷機:ニューロング製LS−15GXペースト:デュポン製銀ペースト枠:12インチ・アルミダイキャスト製紗張り方法:コンビネーション張り・バイアス角度22.5°乳剤:ジアゾ樹脂系高密度で高精度な印刷を行う場合、40μm幅という極めて細いラインの印刷が可能なメッシュ織物が必要となつてくる。 【0063】表7の印刷結果から明らかなように、本発明品である実施例4のメッシュ織物は40μmのラインが安定して印刷でき、高精度・高密度な印刷が可能である。 【0064】
表8は印刷寸法精度を測定した結果である。印刷に使用したメッシュ織物は実施例4,8のメッシュ織物と比較例2,5のメッシュ織物である。使用したパターンは格子パターンであり、交点は25点、サイズは縦×横=350mm×250mmである。 【0065】印刷試験は下記の条件にて行つた。 【0066】印刷機:ニューロング製LS−34GX枠:750mm×750mmステンレス製紗張り方法:コンビネーション・ノーマル張り版テンション:1.10mm乳剤:ジアゾ樹脂系印刷方向:縦線方向印刷寸法精度の測定は、版の格子の交点25点と印刷物の格子交点25点のズレを、測長機にて測定し求めた。最大伸びは25点の中で最も大きかつたズレの数値を、最小伸びは25点の中で最も小さかつたズレの数値を、平均値は25点のズレの平均値をそれぞれ示したものである。版と印刷物とのズレの数値が小さいほど印刷寸法精度に優れていることを示すものである。また、印刷回数が増えても寸法変化が小さいほど、印刷寸法精度、弾性回復力、耐久性に優れていることを示すものである。 【0067】表8の印刷結果から明らかなように、本発明品である実施例4,8のメッシュ織物は、比較例2,5のメッシュ織物よりも極めて寸法変化が小さく、印刷回数が増えても寸法変化が小さい。つまり、極めて寸法精度、弾性回復力、耐久性に優れているのが判る。また実施例4のメッシュ織物と実施例8のメッシュ織物を比較すると、縦方向と横方向の伸度差が小さい実施例8のメッシュ織物の方が寸法精度に優れているのが判る。 【0068】 【発明の効果】本発明品は、強度が大きく、伸度が小さく、寸法精度、弾性回復力、耐久性に優れるという、スクリーン印刷用メッシュ織物に要求される全ての条件を持ち合わせているため、高精度・高密度な印刷を可能とするものである。さらに、縦方向と横方向の伸度差を小さくすることにより、縦方向と横方向の印刷寸法精度を揃えたスクリーン印刷用メッシュ織物を安定した品質で効率良く提供できる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000252056 【氏名又は名称】鈴木金属工業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内1丁目8番2号 【識別番号】392020288 【氏名又は名称】日本特殊織物株式会社 【住所又は居所】福井県勝山市荒土町新保9の1
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| 【出願日】 |
平成13年7月3日(2001.7.3) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075889 【弁理士】 【氏名又は名称】山本 俊夫
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| 【公開番号】 |
特開2003−11538(P2003−11538A) |
| 【公開日】 |
平成15年1月15日(2003.1.15) |
| 【出願番号】 |
特願2001−202406(P2001−202406) |
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