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【発明の名称】 熱転写記録媒体及び印刷物
【発明者】 【氏名】鷲塚 純一
【住所又は居所】神奈川県川崎市幸区柳町70番地 株式会社東芝柳町事業所内

【要約】 【課題】階調性が豊かで高画質な画像を形成し得、また、紙またはプラスチック等の基材ヘの接着性が十分である熱転写記録媒体を得る。

【解決手段】支持体上に、16000以上の数平均分子量、及び熱溶融性インクのガラス転移点をTgとするときTg−80℃以下のガラス転移点を有する第1の樹脂成分と、16000以下の数平均分子量、及びTg−50℃以上のガラス転移点を有する第2の樹脂成分とを、1:9〜5:5の重量混合比で混合した熱溶融性インク受像層兼接着層を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 熱溶融性インクを用いて記録するための熱転写記録媒体であって、支持体と、該支持体上に設けられ、少なくとも第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分を含有し、該第1の樹脂成分は、16000以上の数平均分子量、及び該熱溶融性インクのガラス転移点をTgとするときTg−80℃以下のガラス転移点を有し、該第2の樹脂成分は、16000以下の数平均分子量、及びTg−50℃以上のガラス転移点を有し、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分との重量混合比が1:9〜5:5である熱溶融性インク受像層兼接着層とを具備することを特徴とする熱転写記録媒体。
【請求項2】 前記第1の樹脂成分は、その数平均分子量が16000ないし30000であり、そのガラス転移点が−20℃ないし20℃であり、前記第2の樹脂成分は、その数平均分子量が1500ないし16000であり、そのガラス転移点が50ないし180℃であることを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録媒体。
【請求項3】 前記支持体と前記熱溶融性インク受像層兼接着層との間に、易接着層及び剥離層のうち1つの中間層をさらに設けることを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録媒体。
【請求項4】 前記熱溶融性インク受像層兼接着層は、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂のうち少なくとも1つの材料からなることを特徴とする請求項1に記載の熱転写記録媒体。
【請求項5】 基材と、熱溶融性インク画像層と、熱溶融性インク受像層兼接着層とを具備する印刷物であって、前記熱溶融性インク受像層兼接着層は、16000以上の数平均分子量、及び熱溶融性インクのガラス転移点をTgとするときTg−80℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び16000以下の数平均分子量、及びTg−50℃以上のガラス転移点Tg2を有する該第2の樹脂成分を含有し、該第1の樹脂成分と該第2の樹脂成分との重量混合比が1:9〜5:5であることを特徴とする印刷物。
【請求項6】 前記熱溶融性インク受像層兼接着層上にさらに保護層を有すること特徴とする請求項5に記載の印刷物。
【請求項7】 熱溶融性インク受像層兼接着層と保護層との間に、さらに易接着層を有する請求項6に記載の印刷物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱溶融性インクを用いた熱転写記録技術に係り、特に、画像を形成し得る熱溶融性インク受像層を備えた熱転写記録媒体、及び熱溶融性インク受像層上に熱溶融性インク画像を記録し、例えば紙あるいはプラスチック等の基材上に熱接着して得られる印刷物に関する。
【0002】
【従来の技術】免許証、従業員証、会員証、クレジットカードなどの個人認証媒体に顔画像を記録する方法としては、例えば昇華型熱転写記録方法及び溶融型熱転写記録方法があげられる。
【0003】昇華型熱転写記録方法は、支持シート上に昇華性あるいは熱移行性染料を熱転写可能にコーティングしてなる昇華性インクリボンと、昇華性染料を受容できる熱可塑性樹脂からなるインク受容層とを重ね合わせ、サーマルヘッドなどを用いて、所定の画像データに基づき、昇華性インクリボンを選択的に加熱し、被記録媒体に所望の画像を昇華転写記録することができる。この方式によれば、階調性豊かなカラー画像を手軽に記録できることが、広く一般的に知られている。しかし、昇華型熱転写記録方法では、熱可塑性樹脂層の表面近傍に画像が形成されることから画像に傷が付き易く、染料が再昇華して画像濃度が経時的に低下し易く、紫外線により染料が分解され、画像の色調が変化する等、画像の耐久性に関連する問題を種々有していた。
【0004】一方、溶融型熱転写記録方法は、支持シート上に、顔料あるいは染料を樹脂やワックスなどの熱溶融性バインダに分散させて得られた熱溶融性インクをコーティングして得られた転写リボンを使用し、これをサーマルヘッドなどを用いて、所定の画像データに基づき、選択的に加熱し、被記録媒体にバインダごと熱溶融性インクを転写し、所望の画像を記録するものである。この方式によれば、昇華性インクよりも十分に耐光性の良好な無機及び有機顔料を選択できる。またバインダに用いる樹脂やワックス等を工夫することにより、傷が付きにくく、耐溶剤性に優れた画像を提供することができる。また、蛍光顔料や磁性体等の機能性材料を熱溶融性インク中に混入することが可能であり、これにより、セキュリティ性が高い特殊インクを得ることができる。昇華性熱転写記録法の場合、被記録媒体と昇華性インクに適切なインク受容層とを組み合わせて使用しなければならないが、溶融型熱転写記録方法では、その表面にバインダに対する接着性を有する被記録媒体であれば、何でも使用することが可能であり、幅広く被記録媒体を選択することができる。しかし、溶融型熱転写記録方法は、基本的にインクの接着を行っており、転写したドットのサイズを変化させて階調記録を行うドット面積階調法を用いているため、転写すべき記録媒体の凹凸に非常に敏感であり、凹凸があると転写不良を起こし、ドットサイズをうまく制御できないことから、階調性が乏しいという欠点があった。
【0005】このような課題を解決するため、種々の提案がなされている。
【0006】例えば多孔質受像層を有する被記録媒体を用いる方法が提案されている。これは、被記録媒体の受像層中に微小孔を設け、その微小孔に熱溶融性インクを浸透、転写させるというものである。この方式によれば、階調性豊かな画像を得ることができるが、多孔質受像層は一般的に機械的強度が低く、印刷装置内の各種ローラー、搬送路などとの接触により表面に傷が付いてしまい、画像欠陥の原因となる。
【0007】また、フィルム基材上に透明な受像層兼接着層を設けた記録媒体を用いる方法が提案されている。この方式によれば、受像層兼接着層上に画像を形成し、得られた画像と受像層兼接着層を、紙、及びプラスチック等の基材に熱圧着または熱転写して印刷物が得られる。この方式によれば、受容層に微小孔を設けないので、表面の機械的強度が高く、さらに樹脂層表面の平滑度を向上させ、インク層との親和性が良くなるように調整すれば、溶融型熱転写方式においても、階調性豊かな画像を形成することができる。
【0008】しかしながら、受像層兼接着層として、基材ヘの接着性に優れた軟化温度の低い樹脂を用いると、同一記録条件下における記録画像濃度の再現性が安定しないという問題があった。これは、転写されたインク画像を構成する画点いわゆるドットの中央部にインクが存在しない状態すなわち中央抜けが発生するためである。
【0009】この中央抜けを防ぐために受像層兼接着層に軟化温度の高い樹脂を用いると、基材ヘの接着性が低下するという問題があった。このように受像層兼接着層を用いると、接着性と記録画像濃度の再現性の両立が困難であった。
【0010】紙またはプラスチックへの接着層に優れた樹脂層と、軟化温度の高い樹脂層の2層構成にする方法も知られているが、工程が増えることからコスト面で不利になったり、各樹脂層の厚みの管理が難しく、品質上の問題となることがあった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的は、階調性が豊かで高画質な画像を形成し得、また、紙またはプラスチック等の基材ヘの接着性が十分である熱転写記録媒体を提供することにある。
【0012】本発明の第2の目的は、紙またはプラスチック等の基材ヘの接着性が十分である熱転写記録媒体が用いられ、階調性が豊かで高画質な画像を有する印刷物を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の熱転写記録媒体は、熱溶融性インクを用いて記録するための熱転写記録媒体であって、支持体と、該支持体上に設けられ、少なくとも第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分を含有し、該第1の樹脂成分は、16000以上の数平均分子量、及び熱溶融性インクのガラス転移点をTgとするときTg−80℃以下のガラス転移点を有し、該第2の樹脂成分は、16000以下の数平均分子量、及びTg−50℃以上のガラス転移点を有し、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分との重量混合比が1:9〜5:5である熱溶融性インク受像層兼接着層とを具備することを特徴とする。
【0014】本発明の印刷物は、基材と、熱溶融性インク画像層と、熱溶融性インク受像層兼接着層とを具備する印刷物であって、前記熱溶融性インク受像層兼接着層は、16000以上の数平均分子量、及び熱溶融性インクのガラス転移点をTgとするときTg−80℃以下のガラス転移点Tg1を有する第1の樹脂成分、及び16000以下の数平均分子量、及びTg−50℃以上のガラス転移点Tg2を有する該第2の樹脂成分を含有し、該第1の樹脂成分と該第2の樹脂成分との重量混合比が1:9〜5:5であることを特徴とする。
【0015】
【本発明の実施の形態】本発明の熱転写記録媒体は、支持体と、支持体上に設けられ、第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分を含有する熱溶融性インク受像層兼接着層とを具備する。
【0016】第1の樹脂成分は、16000以上の数平均分子量、及び熱溶融性インクのガラス転移点をTgとするときTg−80℃以下のガラス転移点Tg1を有する。
【0017】第2の樹脂成分は、16000以下の数平均分子量、及びTg−50℃以上のガラス転移点Tg2を有する。
【0018】第1の樹脂成分と第2の樹脂成分との重量混合比は1:9〜5:5である。
【0019】この熱溶融性インク受像層兼接着層には、上記ガラス転移点Tgを有する熱溶融性インクを用いて画像層を形成することができる。
【0020】画像層が形成された熱転写記録媒体を基材上に転写し、支持体を剥離することにより、基材と、基材上に設けられ、ガラス転移点Tgを有する熱溶融性インクにより形成された画像層と、画像層が受像され、かつ画像層とともに基材上に接着された、熱溶融性インク受像層兼接着層とを有する印刷物が得られる。
【0021】また、上記支持体を剥離しない場合には、基材と、基材上に設けられ、ガラス転移点Tgを有する熱溶融性インクにより形成された画像層と、画像層が受像され、かつ画像層とともに基材上に接着された、熱溶融性インク受像層兼接着層と、支持体とを有する印刷物が得られる。この支持体は、例えば保護層として機能し得る。
【0022】第1の樹脂成分は、熱接着時に第2の樹脂成分とともに接着作用に寄与する。このため、第1の樹脂成分単独の接着作用だけでは得られない十分な接着性が確保できる。第2の樹脂成分は、さらに熱溶融性インクを受容する機能に優れる。
【0023】本発明によれば、上記第1の樹脂成分と上記第2の樹脂成分とを所定の重量混合比で含有する熱溶融性インク受像層兼接着層を用いることにより、熱溶融性インク受像層兼接着層の紙等の基材に対する接着性が良好となり、かつ画点の中央抜け等を発生することがなく、記録毎に画像濃度が安定し、階調性が豊かで高画質な画像を形成することができる。
【0024】第1の樹脂成分の数平均分子量が16000未満であり、ガラス転移点Tg1がTg−80℃を超えると、熱溶融性インク受像層兼接着層の基材に対する十分な接着性が得られなくなる。
【0025】第1の樹脂成分は、その数平均分子量が16000ないし30000であることが好ましい。数平均分子量が30000を超えると、十分な接着強度が確保できなくなる傾向がある。また、第1の樹脂成分は、そのガラス転移点が−20℃ないし20℃であることが好ましい。ガラス転移点が−20℃未満であると、画点形状、及び階調特性が悪くなる傾向がある。
【0026】第2の樹脂成分が16000を超える数平均分子量、及びTg−50℃未満のガラス転移点Tg2を有すると、印画時の画点における中央抜けが発生する。
【0027】また、第2の樹脂成分は、その数平均分子量が1500ないし16000であることが好ましい。数平均分子量が、1500未満であると十分な接着強度が確保できなくなる傾向がある。第2の樹脂成分は、そのガラス転移点が50ないし180℃であることが好ましい。ガラス転移点が180℃を超えると、熱接着時に高い熱量が必要となる傾向がある。
【0028】なお、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分の組合せとしては、各々、上述の所定の分子量及びガラス転移点を有する樹脂であれば、互いに異なるガラス転移点及び分子量を有する同じ種類の樹脂の組合せ、または異なる種類の樹脂の組合せから選択し得る。
【0029】以下、図面を参照し、本発明を具体的に説明する。
【0030】図1に、本発明の熱転写記録媒体の構成の一例を表す概略断面図を示す。
【0031】図示するように、この熱転写記録媒体10は、例えばポリエステルフィルムからなる支持体シート1上に、数平均分子量が16,000以上、16000以上の数平均分子量、及び熱溶融性インクのガラス転移点をTgとするときTg−80℃以下のガラス転移点を有する第1の成分と第2の樹脂成分が数平均分子量16,000以下、かつガラス転移点50℃以上であり、前記第1の樹脂成分と第2の樹脂成分の混合比率が1:9〜5:5である熱溶融性インク受像層兼接着層2が順に積層された構成を有する。
【0032】この熱溶融性インク受像層兼接着層2は、例えばこの樹脂と好適な溶剤とを含む樹脂塗布液を調製し、この樹脂塗布液を、グラビアコート、リバースコート、ダイコート、ワイヤーバーコート、及びホットメルトコート等により塗布及び乾燥する方法等を用いて、塗布液を塗布、乾燥することにより形成し得る。
【0033】この熱転写記録媒体10は、その上に熱溶融性インクにより画像を形成した後、例えば紙、プラスチック等の基材に熱接着し得る。
【0034】図2に、図1に示す熱転写記録媒体10を用いて得られた印刷物の構成の一例を表す概略断面図を示す。
【0035】図示するように、この印刷物11は、例えば紙からなる基材4上に、熱溶融性インクにより形成された画像層3、及び少なくとも2成分からなる樹脂層2が順に積層された構成を有する。
【0036】画像層3は、熱転写記録媒体10の熱溶融性インク受像層兼接着層2表面に、熱溶融性インクリボンを適用し、例えばサーマルヘッド等の加熱記録手段を用いて熱転写記録を行うことにより形成することができる。画像層3の形成後、画像層3上に紙からなる基材4を配置し、例えば熱と圧力を同時に加えることができるヒートローラ等に通し、熱溶融性インク受像層兼接着層2を全体に加熱することにより、または例えばホットスタンプ機等により所望のパターンで選択的に加熱することにより、基材4上に熱溶融性インク受像層兼接着層2全体或いは部分的に熱接着することができる。その後、支持体1を剥離すること図2に示す印刷物11が得られる。
【0037】本発明に係る熱転写記録媒体において、支持体と熱溶融性インク受像層兼接着層との間に、易接着層及び剥離層のうち1つの中間層をさらに設けることができる。
【0038】上述のように、熱溶融性インク受像層兼接着層を基材上に熱接着し、その上に設けられた支持体を剥離して除去する場合には、さらに剥離層を設けることにより、支持体と熱溶融性インク受像層兼接着層との剥離をより良好にすることができる。
【0039】また、支持体は剥離せずに保護層として使用することができる。支持体を保護層として使用する場合には、さらに易接着層を設けることにより、支持体と熱溶融性インク受像層兼接着層との接着をより良好にすることができる。
【0040】なお、易接着層とは、例えば熱溶融性インク受像層兼接着層形成時に、好ましくは、塗布液の溶剤による溶解あるいは乾燥温度で、支持体1を熱溶融性インク受像層兼接着層2に十分に接着し得る層をいう。
【0041】図3は、本発明の熱転写記録媒体の他の例の構成を表す概略断面図である。
【0042】図示するように、この熱転写記録媒体20は、支持体1と熱溶融性インク受像層兼接着層2との間に、例えばワックス、及びエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂等からなる剥離層5が設けられている以外は、図1に示す熱転写記録媒体と同様の構成を有する。
【0043】剥離層5は、例えばグラビアコート、リバースコート、ダイコート、ワイヤーバーコート、ホットメルトコート等により形成することができる。
【0044】図4に、図3に示す熱転写記録媒体20を用いて得られた印刷物の構成の他の一例を表す概略断面図を示す。
【0045】図示するように、この印刷物21は、熱溶融性インク受像層兼接着層2上に剥離層5が設けられている以外は、図2に示す印刷物11と同様の構成を有する。
【0046】なお、ここでは、剥離層5が熱溶融性インク受像層兼接着層2上に設けられているが、この剥離層5は、熱溶融性インク受像層兼接着層2上に部分的に残留しても、支持体1と共に剥離除去されても良い。除去される場合には、得られる印刷物は、図2に示す印刷物11と同様の構成を有する。
【0047】図5は、本発明の熱転写記録媒体のさらに他の例の構成を表す概略断面図である。
【0048】図示するように、この熱転写記録媒体30は、支持体1と熱溶融性インク受像層兼接着層2との間に、例えば酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、及びアクリル樹脂等からなる易接着層5が設けられている以外は、図1に示す熱転写記録媒体と同様の構成を有する。
【0049】剥離層5は、例えばグラビアコート、リバースコート、ダイコート、ワイヤーバーコート、ホットメルトコート等により形成することができる。
【0050】図6に、図3に示す熱転写記録媒体20を用いて得られた印刷物の構成の他の一例を表す概略断面図を示す。
【0051】図示するように、この印刷物31は、熱溶融性インク受像層兼接着層2上に、剥離層6及び支持体1が順に設けられている以外は、図2に示す印刷物11と同様の構成を有する。
【0052】剥離層に用いる樹脂は、支持体との接着力が適度に調節されていることが望ましい。接着力が過度に大きいと、熱接着後に支持体を剥離しにくくなる。また、接着力が過度に小さいと、支持体は容易に剥離できるが、熱溶融性インク受像層兼接着層に熱接着されない不所望な樹脂層が残る傾向がある。
【0053】剥離層に適した適度な接着力を持つ樹脂としては、ワックス、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの各樹脂の混合物等があげられる。
【0054】剥離層に用いられるワックスとしては、例えばポリエチレンワックスやカルナバワックス等が好ましく使用できる。具体的には、日本精蝋(株)製Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045、PALVAX−1230、PALVAX−1330、PALVAX−1335、PALVAX−1430、BONTEX−0011、BONTEX−0100、BONTEX−2266等があげられる。
【0055】剥離層に用いられる酢酸ビニル樹脂としては、具体的には、電気化学工業(株)サクノールSN−04、サクノールSN−04S、サクノールSN−04D、サクノールSN−09A、サクノールSN−09T、サクノールSN−10、サクノールSN−10N、サクノールSN−17A、ASR CH−09、ASRCL−13、クラリアントポリマー(株)製モビニールDC、ダイセル化成品(株)製セビアンA530、セビアンA700、セビアンA707、セビアンA710、セビアンA712、セビアンA800等があげられる。
【0056】剥離層に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、具体的には、三井デュポンポリケミカル(株)製エバフレックス45X、エバフレックス40、エバフレックス150、エバフレックス210、エバフレックス220、エバフレックス250、エバフレックス260、エバフレックス310、エバフレックス360、エバフレックス410、エバフレックス420、エバフレックス450、エバフレックス460、エバフレックス550、エバフレックス560、クラリアントポリマー(株)製モビニール081F、住友化学工業(株)製エバテートD3022、D3012、D4032、CV8030、ヒロダイン工業(株)製ヒロダイン1800−5、ヒロダイン1800−6、ヒロダイン1800−8、ヒロダイン3706、ヒロダイン4309、コニシ(株)製ボンドCZ250、ボンドCV3105等があげられる。
【0057】剥離層に用いられるアクリル樹脂としては、具体的には、ダイセル化成品(株)製セビアンA45000、セビアンA45610、セビアンA46777、セビアンA4635、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR−80、ダイヤナールBR−83、ダイヤナールBR−85、ダイヤナールBR−87、ダイヤナールBR−101、ダイヤナールBR−102、ダイヤナールBR−105、ダイヤナールBR−106等があげられる。
【0058】剥離層に用いられるシリコーン樹脂としては、具体的には、東芝シリコーン(株)製トスガード510等があげられる。
【0059】剥離層に用いられるポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績(株)製バイロン200、バイロン220、バイロン240、バイロン245、バイロン280、バイロン296、バイロン530、バイロン560、バイロン600、バイロナールMD1100、バイロナールMD1200、バイロナールMD1245、バイロナールMD1400、バイロナールGX−W27、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3300、エリーテルUE−3320、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3370、エリーテルUE−3380等があげられる。
【0060】易接着層には、基材フィルムと、支持体と樹脂層の双方との十分な接着力が要求される。この要求を満足する樹脂は、支持体と熱溶融性インク受像層兼接着層の材質に応じて選択され、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの各樹脂の混合物等が挙げられる。
【0061】易接着層に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、三井・デュポン・ポリケミカル(株)製エバフレックス45X、エバフレックス40、エバフレックス150、エバフレックス210、エバフレックス220、エバフレックス250、エバフレックス260、エバフレックス310、エバフレックス360、エバフレックス410、エバフレックス420、エバフレックス450、エバフレックス460、エバフレックス550、エバフレックス560、クラリアントポリマー(株)製モビニール081F、住友化学工業(株)製エバテートD3022、D3012、D4032、CV8030、ヒロダイン工業(株)製ヒロダイン1800−5、ヒロダイン1800−6、ヒロダイン1800−8、ヒロダイン3706、ヒロダイン4309、コニシ(株)製ボンドCZ250、ボンドCV3105等のがあげられる。
【0062】易接着層に用いられるアクリル樹脂としては、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR−53、ダイヤナールBR−64、ダイヤナールBR−77、ダイヤナールBR−79、ダイヤナールBR−90、ダイヤナールBR−93、ダイヤナールBR−101、ダイヤナールBR−102、ダイヤナールBR−105、ダイヤナールBR−106、ダイヤナールBR−107、ダイヤナールBR−112、ダイヤナールBR−115、ダイヤナールBR−116、ダイヤナールBR−117、ダイヤナールBR−118等があげられる。
【0063】易接着層に用いられるポリエステル樹脂としては、東洋紡績(株)製バイロン103、バイロン220、バイロン240、バイロン245、バイロン270、バイロン280、バイロン300、バイロン500、バイロン530、バイロン550、バイロン560、バイロン600、バイロン630、バイロン650、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3300、エリーテルUE−3320、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3370、エリーテルUE−3380等があげられる。
【0064】本発明に用いられる熱溶融性インク受像層兼接着層の第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分は、ポリエステル樹脂及びアクリル樹脂のうち少なくとも1つの材料からなることが好ましい。
【0065】より好ましくは、第1の樹脂成分と第2の樹脂成分の組合せが、アクリル樹脂とポリエステル樹脂、あるいはポリエステル樹脂とポリエステル樹脂である。
【0066】さらにまた好ましくは、ポリエステル樹脂とポリエステル樹脂であり、特に好ましくは、バイロン300とエリーテルUE−3350である。
【0067】熱溶融性インク受像層兼接着層に用いられる第1の樹脂成分の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。
【0068】第1の樹脂成分に用いられるアクリル樹脂としては、具体的には、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールBR−102、ダイヤナールBR−112等があげられる。
【0069】第1の樹脂成分に用いられるポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績(株)製バイロン300、バイロン500、バイロン530、バイロン550、バイロン560、バイロン630、バイロン650、バイロンGK130、バイロンGK330、バイロンBX1001、バイロンGM400、バイロンGM460、バイロンGM470、バイロンGM480、バイロンGM900、バイロンGM913、バイロンGM920、バイロンGM925、バイロンGM990、バイロンGM995、バイロンGA1300、バイロンGA3200、バイロンGA3410、バイロンGA5300、バイロンGA5410、バイロンGA6300、バイロンGA6400、バイロン30P、バイロンUR2300、バイロンUR3200、バイロンUR3210、バイロンUR8700、バイロンUR9500、バイロナールMD1930、バイロナールMD1985、ユニチカ(株)製エリーテルUE−3220、エリーテルUE−3223、エリーテルUE−3230、エリーテルUE−3231、エリーテルUE−3400、エリーテルUE−3700、及びエリーテルUE−3800等があげられる。
【0070】第2の樹脂成分に用いられる樹脂としては、例えばスチレン・アクリル共重合樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。
【0071】第2の樹脂成分に用いられるポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績(株)製バイロン220、バイロン240、バイロン296、バイロンGK250、バイロナールMD1200、バイロナールMD1220、バイロナールMD1250、バイロナールMD1500、ユニチカ(株)製エリーテルUE−9200、エリーテルUE−3690、エリーテルUE−3370、エリーテルUE−3380、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3300等があげられる。
【0072】第2の樹脂成分に用いられるスチレン・アクリル共重合樹脂としては、積水化学工業株式会社製エスレックP SE−0020、エスレックPSE−0040、エスレックPSE−0100、エスレックP SE−0070、エスレックPSE−1010、及びエスレックP SE−1035等があげられる。
【0073】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
【0074】実施例1ないし3,比較例1ないし6易接着層が形成された厚さ25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ株式会社製、商品型番:ルミラーQ27)を用意し、そのポリエステルフィルム表面に、下記組成の熱溶融性インク受像層兼接着層塗布液1を、グラビアコーターを用いて、乾燥後の塗膜厚みが6μmになるように塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、熱溶融性インク受像層兼接着層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0075】
熱溶融性インク受像層兼接着層塗布液1 メチルエチルケトン 40重量部 トルエン 40重量部 下記表1に記載の比率で混合された第1及び第2の樹脂成分からなる混合樹脂 20重量部得られた熱転写記録媒体の熱溶融性インク受像層兼接着層上に、市販の熱溶融性インクリボンを適用し、600dpiのサーマルヘッドで、カラー画像を記録を行い、画像層を得た。
【0076】その後、この画像層上に市販のPPC用紙を適用し、ローラー温度180度、ローラー回転速度1m/分に調整したフジプラ(株)製ラミネーターLPD2306Cityに通して、熱転写記録媒体とPPC用紙とを熱接着し、印刷物を得た。
【0077】得られた印刷物について、画点形状、熱転写記録媒体とPPC用紙との接着強度を試験、評価した。
【0078】画点形状試験得られた画像について、画点の形状を実体顕微鏡で観察し、画点の中央抜けの有無を調べた。中央抜けがない場合を○、ある場合を×として評価した。その結果を下記表1に示す。
【0079】接着強度試験熱接着後、強制的に支持体を剥離するピーリング試験を行うことにより、接着強度を測定した。ピーリング試験では、剥離したフィルムにPPC用紙が付着していない場合を○、付着した場合を×と評価した。
【0080】なお、本実施例では易接着層により支持体を接着して印刷物を得ているけれども、支持体を剥離して印刷物を得る場合には、粘着テープによるテープ剥離試験を代用することができる。テープ剥離試験では、剥離したテープに熱溶融性インク受像層兼接着層が付着していない場合を○、付着している場合を×とすることができる。得られた結果を下記表1に示す。
【0081】
【表1】

【0082】実施例4ないし6,比較例7ないし12厚さが25μmの透明ポリエステルフィルム(東レ(株)製、商品型番:ルミラーS10)を用意し、その片面に下記組成の剥離層塗布液をグラビアコーターを用いて乾燥後の塗膜厚みが1μmになるように塗布し、120℃で2分間、加熱・乾燥して、剥離層を形成した。
【0083】
剥離層塗布液組成 メチルエチルケトン 35重量部 トルエン 35重量部 酢酸ビニル樹脂(ダイセル化成品(株)製商品名:セビアンA700)
20重量部 ポリエステル樹脂(東洋紡績(株)製商品名:バイロン220) 10重量部次に、この剥離層の上に、各々実施例1ないし3、比較例1ないし6と同様にして熱溶融性インク受像層兼接着層を形成し、熱転写記録媒体を得た。
【0084】得られた熱転写記録媒体を用いて、実施例1と同様にして印刷物を得た。
【0085】得られた画像について、実施例1と同様にして、画点形状、及び接着強度を試験、評価した。その結果を下記表2に示す。
【0086】
【表2】

【0087】上記表1及び表2から明らかなように、熱溶融性インク受像層兼接着層に用いられる第1の樹脂成分及び第2の樹脂成分の分子量、ガラス転移点及びその混合比が本発明の範囲内であると、画点形状に中抜けを生じないので、記録画像濃度の再現性が良好となり、十分な接着強度が得られる。
【0088】しかしながら、例えば比較例1,2,7,及び8に示すように、第1の樹脂成分が多すぎると、接着強度が低下し、第2の樹脂成分が多すぎると、画点に中抜けを生じて記録画像濃度の再現性が悪化した。また、比較例4及び10のように、第1の樹脂成分のガラス転移点が高すぎると接着強度が低下し、比較例5及び11のように、第2の樹脂成分の分子量が低すぎると、画点に中抜けを生じて記録画像濃度の再現性が悪化した。さらに、比較例6及び12のように、第2の樹脂成分の分子量が高すぎると、接着強度が低下した。さらにまた、比較例3及び9のように、第1の樹脂成分を使用しないと、接着強度が低下した。
【0089】以上の実施例及び比較例から、熱溶融性インク受像層兼接着層の第1及び第2の樹脂成分のいずれかが欠けていても、また、第1及び第2の樹脂成分の分子量、ガラス転移点及びその混合比のいずれか1つでも本発明の範囲外であると、良好な画点形状、記録画像の再現性及び十分な接着強度が得られないことが分かった。
【0090】
【発明の効果】本発明によれば、熱溶融性インクで記録した画像の画点の中央抜けを生じることがなく、安定した記録画像濃度の再現が可能で、階調性が豊かで高画質な画像を形成し得、また、基材ヘの接着性が十分である熱転写記録媒体が得られる。
【0091】また、この熱転写記録媒体を用いることにより、熱溶融性インクで記録した画像の画点の中央抜けを生じることがなく、安定した記録画像濃度の再現が可能で、階調性が豊かで高画質な画像を有する印刷物が得られる。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【住所又は居所】東京都港区芝浦一丁目1番1号
【出願日】 平成14年5月14日(2002.5.14)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦 (外6名)
【公開番号】 特開2003−326862(P2003−326862A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−138512(P2002−138512)