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【発明の名称】 熱転写受像シート
【発明者】 【氏名】開田 英正
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

【要約】 【課題】銀塩写真に匹敵する高画質の画像を形成でき、高い光沢度と平滑性を有し、受像面や手への傷付きを防止した熱転写受像シートを提供する。

【解決手段】熱転写受像シートは、基材上に、昇華性染料が染着可能な受容層を設け、受容層面の光沢度が50%以上であり、且つ熱転写受像シートの四隅が、R1〜5のラウンド形状を有するものであり、受像シート製造時やプリンターへの装着等の取扱い時に、受像面や手への傷付きを防止できる。また、上記の基材として、最表面層が多孔質PETフィルムからなる総厚150μm以上の貼り合せ基材を用いることで、剛性が高く、高級感を有する外観および風合いを有した銀塩写真の印画紙に匹敵するものが得られる。上記のラウンド形状は、熱転写受像シートの外形形状に応じた刃型を用いて、抜き加工することにより、製造することができ、連続的に抜き加工が行なえ、その生産効率や製造品質の安定性が高い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 基材上に、昇華性染料が染着可能な受容層を設けた熱転写受像シートにおいて、受容層面の光沢度が50%以上であり、且つ熱転写受像シートの四隅が、R1〜5のラウンド形状を有することを特徴とする熱転写受像シート。
【請求項2】 前記基材は、最表面層が多孔質PETフィルムからなる総厚150μm以上の貼り合せ基材を用いたことを特徴とする請求項1に記載する熱転写受像シート。
【請求項3】 熱転写受像シートの外形形状に応じた刃型を用いて、抜き加工することにより、製造されることを特徴とする請求項1または2に記載する熱転写受像シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、昇華性染料を含有する染料層を有する熱転写シートと重ね合せ、サーマルヘッド等をデバイスとして色材を熱転写することにより画像を得る熱転写受像シートに関し、更に詳しくは、フルカラーで高品質の記録画像を形成し、高い光沢を有する熱転写受像シートに関する。
【0002】
【従来の技術】種々の熱転写記録方式の中で、昇華性染料を色材とし、それを記録信号に応じて発熱するサ−マルヘッドを用いて、熱転写受像シ−トに転写することにより、画像を得る昇華転写記録方式が知られている。この記録方式は、染料を色材とし、濃度階調の表現が可能であることから、画像が極めて鮮明であり、且つ、中間調の色再現性、階調再現性に優れており、銀塩写真に匹敵する高画質の画像を形成することが可能である。上述の優れた性能と共に、マルチメディアに関連したさまざまなハ−ドおよびソフトの発達により、この昇華転写記録方式は、コンピュ−タグラフィックス、衛生通信による静止画像、そしてCD−ROMその他に代表されるデジタル画像およびビデオ等のアナログ画像のフルカラーハードコピーシステムとして、急速にその市場を拡大している。
【0003】この昇華転写記録方式の熱転写受像シートの具体的な用途は、多岐にわたつている。代表的なものとしては印刷の校正刷り、各種画像の出力、CAD/CAMなどの設計およびデザイン等の出力、CTスキャン等の各種医療用分析機器、測定機器の出力用途、そしてインスタント写真の代替として、また身分証明書やIDカード、クレジットカード、その他カード類への顔写真の出力、更に、遊園地、博物館、水族館等のアミューズメント施設における合成写真、記念写真としての用途等を挙げることができる。このような多岐にわたる用途に用いられる昇華転写用熱転写受像シート(以下受像シートと言う)としては、一般的に基材上に染料に染着可能な受容層を形成したものが用いられている。この受像シートには、高い印字感度と、高い光沢性等の高級感を有する外観および風合いの向上に対する市場の要望は益々大きくなっている。
【0004】特開昭62−87390、特開昭62−278087そして特開平5−246153には、受像シートの基材、或いは基材の一部として用いるプラスチックフィルムまたは合成紙の最表面に無機微細粉末や微細空隙を実質的に含有しない熱可塑性表面層(以下、スキン層と言う)を設けることが示されている。しかし、これらの方法を用いた場合には、高い光沢を得ることはできるものの、光沢度が極めて高いために、さらに基材の剛性が高く、受像シートの角が鋭利な直角形状であると、受像シート製造時やプリンターへの装着等の取扱い時に、別の受像シートの表面を擦過した際に、受容層表面に傷を付けやすい。この受像シートは高光沢であるために、受容層表面に付いた傷が微細なものであっても、目立ってしまい、外観上の不具合いとして商品価値を低下させてしまう。
【0005】また、上記のような高光沢で高剛性な受像シートは、取扱い時に手を傷つけ易いという安全性上の問題もあった。これに対して、従来公知のクレジットカード、プリペードカード等のように、4隅の形状をR3程度のラウンド形状にすることが容易に考えられるが、Rが大きすぎると、プリンターでの給紙時や搬送時に送り量が正確にならず、機械的な制約となったり、またRが小さすぎると、受像面や手への傷付き防止が不十分であったり、問題が生じやすい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明は、上述のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、銀塩写真に匹敵する高画質の画像を形成することができ、高い光沢度と平滑性を有し、受像面や手への傷付きを防止した熱転写受像シートを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決するために、請求項1として、基材上に、昇華性染料が染着可能な受容層を設けた熱転写受像シートにおいて、受容層面の光沢度が50%以上であり、且つ熱転写受像シートの四隅が、R1〜5のラウンド形状を有することを特徴とする。また請求項2として、請求項1に記載する基材は、最表面層が多孔質PETフィルムからなる総厚150μm以上の貼り合せ基材を用いたことを特徴とする。請求項3として、請求項1または2に記載する熱転写受像シートの外形形状に応じた刃型を用いて、抜き加工することにより、製造されることを特徴とする。
【0008】本発明の熱転写受像シートは、受容層面の光沢度が50%以上である、高光沢なもので、また最表面層が多孔質PETフィルムからなる総厚150μm以上の貼り合せ基材を用いることで、剛性の高いものとなり、高級感を有する外観および風合いを有し、熱転写受像シートの四隅を、R1〜5のラウンド形状にすることで、受像シート製造時やプリンターへの装着等の取扱い時に、受像面や手への傷付きを防止できた。また、本発明の熱転写受像シートは、貼り合せ基材を製造する際の貼り合せ工程、基材上への受容層を設ける塗工工程は通常、連続的にロール状で加工するため、熱転写受像シートの四隅のラウンド形状も、熱転写受像シートの外形形状に応じた刃型を用いて、連続的に抜き加工して製造することが好ましい。尚、本発明における光沢度の規定は、全てJIS Z8741の方法4の測定方法に準じて測定したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明を更に詳しく説明する。図1は、本発明の熱転写受像シートのラウンド形状を施した実施形態を示す平面図であり、図1(a)は熱転写受像シート全体を示す例で、図1(b)は図1(a)のA部の拡大平面図である。図示した熱転写受像シート1の四隅には、半径Rの円弧を有する形状、すなわちRのラウンド形状4を有するものである。言い換えれば、熱転写受像シート1の四隅には、曲率半径Rのラウンド形状を有するものである。
【0010】また、図2は、本発明の熱転写受像シートのラウンド形状を示す他の実施形態であり、熱転写受像シートの四隅の内の一つを拡大して示した平面図である。そのラウンド形状4は曲率半径Rが熱転写受像シートの四隅の一つの角において、変動していて、外辺BとCの各々に近い部分で、曲率半径が最大となっていて(Rmaxと図示した)、ラウンド形状部分の中央部で曲率半径が最小となっていている。(Rminと図示した)
図1に示すように、熱転写受像シートの四隅の一つの角において、ラウンド形状4が曲率半径Rが一定になった円弧を示していても、あるいは図2に示すような熱転写受像シートの四隅の一つの角において、曲率半径Rが変動していても、四隅の一つを形成するラウンド形状4の曲率半径Rは1mm〜5mmの範囲にある。
【0011】また、図3には、本発明の熱転写受像シートの一つの実施形態である概略断面図を示した。熱転写受像シート1は、芯材21の上下に接着剤層5を介して、多孔質PETフィルム22を貼り合せた基材2を有し、その基材2上に、昇華性染料が染着可能な受容層3を設けた構成である。図4は、本発明の熱転写受像シートに印画する熱転写プリンターの給紙機構の例を示す概略説明図である。熱転写受像シート1が熱転写プリンターに装着されて、矢印の方向に移動して、フィードロール6と外辺が接する位置まで来る。図4では、熱転写受像シート1を固定し、相対的にフィードロール6が点線で示した位置まで移動した状態で示した。熱転写受像シート1の四隅には、ラウンド形状4の加工が施されてはいるが、曲率半径が5mmよりも大きいもので、フィードロール6と熱転写受像シート1が接触し始める時に、熱転写受像シート1のラウンド形状4の曲線部分とフィードロール6とが接することになり、フィードロール6と熱転写受像シート1とが点接触から開始して、フィードロール6の回転に対して、図示した水平方向の正確な方向に、熱転写受像シートが搬送せず、上下に方向がぶれて、搬送し、印字位置のズレや、受像シートのプリンター内で詰まったり、トラブルが生じやすくなる。
【0012】以下、本発明の熱転写受像シートを構成する各層とラウンド形状等について、説明する。
(基材)本発明の熱転写受像シートの基材2としては、従来公知のプラスチックフィルム、合成紙、紙等が使用できるが、その基材上に設けた受容層の表面の光沢度が50%以上になるような平滑性を有し、適度な強度を有するものである。プラスチックフィルムでは、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、セロハン、酢酸セルロース、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等が挙げられる。また、紙の基材では、コート紙、アート紙、グラシン紙、キャストコート紙、上質紙、クラフト紙、樹脂含浸紙等のセルロース繊維を主体とする各種の紙が挙げられる。
【0013】本発明の熱転写受像シートでは、内部にミクロボイドを有するプラスチックフィルムや合成紙が好ましく使用できる。内部にミクロボイドを含有した基材を使用すると、得られた受像シートは高い印字感度を有する。また、基材自体のJIS Z8741の方法4での測定方法による光沢度が50%以上であることが好ましく、50%未満の場合には、受容層側表面の光沢度を50%以上の高光沢度の範囲に制御することが困難であり好ましくない。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)またはポリオレフィンを主体とする樹脂を延伸、成膜した、多孔質PETフィルムまたは多孔質ポリオレフィンフィルムが好ましい。
【0014】プラスチックフィルム中にミクロボイドを生じさせる方法には、次の二つがある。一つは、ポリマー中に無機微粒子を混練し、そのコンパウンドを延伸するときに無機微粒子を核としてミクロボイドを生じさせる方法である。もう一つは、主体とする樹脂に対して非相溶なポリマー(一種類でも複数でも良い)をブレンドしたコンパウンドを作成する。このコンパウンドは微視的にみるとポリマー同士が微細な海島構造を形成している。このコンパウンドを延伸すると海島界面の剥離または、島を形成するポリマーの大きな変形によって上記のようなミクロボイドが発生するものである。前者と後者とを比較した場合、後者の方が本発明に適した方法である。なぜなら、後者の方法は、混練を適性に行うことにより、コンパウンド中の海島構造を極めて微細にすることができる。即ちコンパウンドの海島構造を微細にすることにより、延伸した際の気泡も微細にすることができ、後者の方法を用いた方が、プラスチックフィルムのクッション性と断熱性を向上させることができ、より高い印字感度と高光沢の表面を得ることが可能となる。
【0015】上記に挙げたプラスチックフィルム、合成紙、紙のいずれか一つを単体の基材として使用したり、プラスチックフィルム、合成紙、紙から選択したものを貼り合せたものを基材として使用することができる。その貼り合せ方法は、例えば、ドライラミネーション、ノンソルベント(ホットメルト)ラミネーション、ECラミネーション方法等の公知の積層方法が使用できる。ノンソルベントラミネーション方法に好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業株式会社製のタケネートA−720Lが挙げられ、ドライラミネーションに好適な接着剤としては、例えば、武田薬品工業株式会社製のタケラックA969/タケネートA−5(混合重量比 3/1)等が挙げられる。これらの接着剤の使用量としては、固形分で約1〜8g/m2、好ましくは2〜6g/m2の範囲である。
【0016】上記の貼り合せ基材は、プラスチックフィルム、合成紙、紙から、例えば2種類選び、貼り合せたり、また図3に示したような芯材となる基材をプラスチックフィルム、合成紙、紙の中から一つ選定して、その芯材の上下に異なる基材を貼り合せた3種の基材を積層したもの等が挙げられる。その中でも、3種の基材を貼り合せたもので、芯材の上下に同一基材を貼り合せた基材がシート状にした時、カールバランスを取りやすく、好ましい。このような貼り合せ基材や単体の基材でも、その基材の総厚は50〜800μmであり、特に150μm以上300μm以下が、銀塩写真の印画紙と同様な風合いになるために好ましい。
【0017】(受容層)本発明の熱転写受像シートの基材上に設ける、昇華性染料が染着可能な受容層3は、色材を染着し易い樹脂を主成分とするワニスに、必要に応じて離型剤等の各種添加剤を加えて構成する。染着し易い樹脂は、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸エステル等のビニル系樹脂、及びその共重合体、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリブチレンテレフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンやプロピレン等のオレフィンと他のビニル系モノマ−との共重合体、アイオノマ−、セルロ−ス誘導体等の単体、又は混合物を用いることができ、これらの中でもポリエステル系樹脂、及びビニル系樹脂が好ましい。
【0018】受容層は、画像形成時に熱転写シ−トとの熱融着を防ぐために、離型剤を配合することもできる。離型剤は、シリコ−ンオイル、リン酸エステル系可塑剤フッ素系化合物を用いることができるが、この中でもシリコ−ンオイルが好ましく用いられる。離型剤の添加量は、受容層形成樹脂に対して0.2〜30重量部が好ましい。受容層中には、必要に応じて蛍光増白剤その他の添加剤を添加してもよい。受容層の塗布は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な方法で行なわれる。そして、その塗布量は、0.5〜10g/m2(固形分換算、以下本発明の塗布量は特に断りのない限り、固形分換算の数値である。)が好ましい。
【0019】本発明における熱転写受像シートの受容層は、基材上に形成された状態で測定した時、受容層面の光沢度が50%以上であり、上限は100%である。この光沢度は、JIS Z8741の方法4の測定方法に準じて測定したものである。
【0020】(中間層)受容層と基材の間に必要に応じて中間層を設けることができる。中間層としては、その目的により如何なる材料を用いてもよい。例えば、樹脂に各種の白色顔料を加えたものを用いることにより、高い白色度を得ることができる。更に、蛍光増白剤や帯電防止剤等を必要に応じて添加することができる。また、基材と受容層との間の接着性を向上させる目的で、必要に応じて中間層を設けても良い。また、該接着性を向上させるために、基材の受容層と形成する側の面に予めコロナ放電処理、オゾン処理などの中間層を設けるための前処理を施しても良い。
【0021】中間層としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、或いは官能基を有する熱可塑性樹脂を、各種の硬化剤その他の手法を用いて硬化させた層を用いることができる。具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、塩素化ポリプロピレン、変性ポリオレフィン、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート、アイオノマー、単官能及び/又は多官能水酸基含有のプレポリマーをイソシアネート等で硬化させた樹脂等を使用することができる。これらの樹脂には、必要に応じて白色性や隠蔽性等の機能を付与するために、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムその他公知の無機顔料や有機フィラー、蛍光増白剤等の添加剤を加えることができる。中間層の形成は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート等の一般的な塗工方法で行なわれる。その塗布量は、0.5〜30g/m2程度が好ましい。
【0022】(裏面層)基材の受容層を設けた面と反対の面に、熱転写受像シートの搬送性の向上や、カール防止などのために、裏面層を設けることができる。このような機能をもつ裏面層として、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ハロゲン化ポリマー等の樹脂中に、添加剤として、アクリル系フィラー、ポリアミド系フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワックスなどの有機系フィラー、及び二酸化珪素や金属酸化物などの無機フィラーを加えたものが使用できる。この裏面層として、上述の樹脂を硬化剤により硬化したものを使用することがさらに好ましい。硬化剤としては、一般的に公知のものが使用できるが、中でもイソシアネート化合物が好ましい。裏面層樹脂はイソシアネート化合物などと反応しウレタン結合を形成して硬化・立体化することにより、耐熱保存性、耐溶剤性が向上し、さらには、基材シートとの密着も良くなる。硬化剤の添加量は、樹脂1反応基当量に対して、1乃至2が好ましい。1未満であると、硬化終了するまでの時間が長くかかり、また、耐熱性、耐溶剤性が悪くなる。また、2より大きいと、成膜後に経時変化が起こったり、裏面層用塗工液の寿命が短いという不具合が生じる。
【0023】さらに、上記裏面層中には、添加剤として、有機フィラーまたは無機フィラーを添加しても良い。これらのフィラーの働きで、プリンター内での熱転写受像シートの搬送性が向上し、また、ブロッキングを防ぐなど熱転写受像シートの保存性も向上する。有機フィラーとして、アクリル系フィラー、ポリアミド系フィラー、フッ素系フィラー、ポリエチレンワックスなどがあげられる。この中では、特にポリアミド系フィラーが好ましい。また、無機フィラーとして、二酸化珪素や金属酸化物などがあげられる。ポリアミド系フィラーとしては、分子量が10万乃至90万で、球状であり、平均粒子径が0.01乃至30μmが好ましく、特に分子量が10万乃至50万で、平均粒子径が0.01乃至10μmがより好ましい。また、ポリアミド系フィラーの種類では、ナイロン6やナイロン66と比較して、ナイロン12フィラーが耐水性に優れ、吸水による特性変化がないためより好ましい。
【0024】熱転写受像シートの受容層面もしくは裏面、または両面の最表面に帯電防止層を設けてもよい。帯電防止層は、帯電防止剤である、脂肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、アミド類、4級アンモニウム塩、ベタイン類、アミノ酸類、アクリル系樹脂、エチレンオキサイド付加物等を溶剤に溶解又は分散させたものを塗工して、形成することができる。帯電防止層の塗工量は、0.001〜0.1g/m2が好ましい。
【0025】(ラウンド形状)本発明の熱転写受像シートは、受像シートの四隅に、曲率半径1mm〜5mm(R1〜5)のラウンド形状4を施している。そのラウンド形状は、図1に示すように、熱転写受像シートの四隅の一つの角において、曲率半径Rが一定になった円弧を示したものでも、図2に示すような熱転写受像シートの四隅の一つの角において、曲率半径Rが変動しているものでも、いずれでもよい。但し、ラウンド形状を有する隅の一単位において、その曲率半径Rが一定でも、また曲率半径Rが変動していても、いずれであってもその曲率半径Rは1mm〜5mmの範囲に収める必要がある。ラウンド形状の曲率半径が1mm未満であると、受像面や手への傷付き防止が不十分である。また、ラウンド形状の曲率半径が5mmよりも大きくなると、プリンターでの給紙時や搬送時に送り量が正確にならず、印字位置のズレや、受像シートのプリンター内で詰まったり、トラブルが生じやすい。そのR1〜5のラウンド形状を熱転写受像シートの四隅に形成することで、受像シート製造時やプリンターへの装着等の取扱い時に、受像面や手への傷付きを防止できる。
【0026】ラウンド形状を熱転写受像シートの四隅に形成する方法としては、熱転写受像シートの外形形状に応じた刃型を取り付けた上型と台座の間に、熱転写受像シートを挿入して、上型を上下動させて、抜き加工したり、熱転写受像シートの外形形状に応じた刃型を取り付けたシリンダータイプのロータリーカッターと圧胴ロールの間に、熱転写受像シートを挿入して、ロータリーカッターと圧胴ロールを回転させて、抜き加工することが挙げられる。また、熱転写受像シートに対して、レーザー加工手段により熱処理を施すことにより、所定のラウンド形状を形成することも可能である。
【0027】本発明の熱転写受像シートを製造する生産効率や製造品質の安定性を高めるために、巻取りの原反から供給して、熱転写受像シートの外形形状に応じた刃型を用いて、連続的に抜き加工して、熱転写受像シートの四隅にラウンド形状を有するシート状に加工することが好ましい。その連続の抜き加工は、上記の上型と台座方式では、熱転写受像シートの巻取りを一定の速度による搬送ではなく、間欠送り(搬送途中に停止して、抜き加工し、また搬送し、抜き加工するプロセスを繰り返す)で加工する。あるいは、上記のロータリーカッター方式では、熱転写受像シートの巻取りを一定の速度で搬送させて、加工する。上記のラウンド形状を形成する工程に関連して、その工程の前工程として、熱転写受像シートの貼り合せ基材を製造する際の貼り合せ工程、基材上への受容層、必要に応じてその他の層を設ける塗工工程についても、連続的にロール状で加工して、製造することが好ましい。
【0028】
【実施例】本発明を実施例により更に詳細に説明する。
(基材の製造)下記表1に示す構成材料をポリウレタン系樹脂の接着剤を用いて、ドライラミネート方法にて、接着・積層して、貼り合せ基材1、2、3を作製した。
【表1】

【0029】(中間層、受容層の形成)上記基材の一方の面に対して、下記組成の中間層用塗工液をグラビアリバース法により、塗工量2.0g/m2で中間層を形成し、次いで、その中間層の上に、下記組成の受容層用塗工液をグラビアリバース法により、塗工量4.0g/m2で受容層を形成して、熱転写受像シートを作製した。
<中間層用塗工液> ポリウレタン樹脂 5部(日本ポリウレタン工業(株)製 ニッポラン2301)
酸化チタン(平均粒径2μm) 15部 溶剤(トルエン:メチルエチルケトン=1:1) 80部【0030】
<受容層用塗工液> 塩化ビニル・酢酸ビニル共重合樹脂 20部(電気化学工業(株)製 #1000A)
エポキシ変性シリコーンオイル 1部(信越化学工業(株)製 X−22−3000E)
アミノ変性シリコーンオイル 1部(信越化学工業(株)製 X−22−3050C)
溶剤(トルエン:メチルエチルケトン=1:1) 80部上記の中間層、受容層用塗工液の組成配合の部は重量単位である。
【0031】下記表2に示す曲率半径(R、ここでの曲率半径は、ラウンド形状を有する隅の一単位において、一定値で変動しない)のラウンド形状に、4隅がなるように、刃型を作製し、抜き加工により、縦140mm×横100mmの枚葉の熱転写受像シートを作製した。また、得られた実施例及び比較例の各熱転写受像シートについて、下記条件にて、剛度測定、強制振動後の給紙適性及び印字面外観を測定ないし評価した。
【0032】(剛度測定)ガーレー式剛度試験機を使用して、熱転写受像シートの縦、長辺方向の剛度を測定した。
(給紙適性及び印字面外観)縦150mm×横110mm×深さ50mmの箱に実施例及び比較例の各熱転写受像シートを各例の受像シート単位で1箱毎に、受像シート50枚を重ねて入れ、折り返しの加速度2Gの往復運動の振動条件にて、100回往復させた。その後に、図4に示すような給紙機構を有する熱転写プリンターで、反射濃度0.5の黒画像になるように印画した。この印画を各例で、50枚連続印字を行ない、以下の基準にて、評価した。
【0033】<給紙適性>50枚連続で印字ができ、給排紙トラブルが無かったものの評価を「○」とし、50枚以下において、給排紙エラー(搬送が中断したり、受像シートが詰まったりする)が発生するものの評価を「×」とした。
<印字面外観>上記の条件にて、印画した各熱転写受像シートの印画面を目視にて、観察し、濃度ムラや光沢ムラがないものの評価を「○」とし、振動試験による受容層面のキズによって、濃度ムラや光沢ムラがあるものの評価を「×」とした。また、同様に振動試験による受容層面のキズによって、濃度ムラや光沢ムラが少しあるものの評価を「△」とした。尚、上記の作製した実施例及び比較例の各熱転写受像シートの受容層面の光沢度を、JIS Z8741の方法4の測定方法に準じて測定した結果も合わせて示した。以上の評価結果を表2に示す。
【0034】
【表2】

【0035】
【発明の効果】本発明の熱転写受像シートは、基材上に、昇華性染料が染着可能な受容層を設け、受容層面の光沢度が50%以上であり、且つ熱転写受像シートの四隅が、R1〜5のラウンド形状を有するものであり、受像シート製造時やプリンターへの装着等の取扱い時に、受像面や手への傷付きを防止できた。また、上記の基材として、最表面層が多孔質PETフィルムからなる総厚150μm以上の貼り合せ基材を用いることで、剛性が高く、高級感を有する外観および風合いを有した銀塩写真の印画紙に匹敵するものが得られた。さらに、上記のラウンド形状は、熱転写受像シートの外形形状に応じた刃型を用いて、抜き加工することにより、製造することができ、連続的に抜き加工が行なえ、その生産効率や製造品質の安定性が高いものであった。
【出願人】 【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
【住所又は居所】東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号
【出願日】 平成14年5月16日(2002.5.16)
【代理人】 【識別番号】100111659
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 聡
【公開番号】 特開2003−326860(P2003−326860A)
【公開日】 平成15年11月19日(2003.11.19)
【出願番号】 特願2002−140917(P2002−140917)