| 【発明の名称】 |
インクジェット記録用紙 |
| 【発明者】 |
【氏名】笠原 健三 【住所又は居所】東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会社内
|
| 【要約】 |
【課題】本発明の目的は、インク吸収性(プリントムラ)、美観(虹色ムラ)に優れ、かつ有害ガスによる画像劣化(変褪色性)の少ないインクジェット用の記録用紙を提供することにある。
【解決手段】支持体上に少なくとも1層の多孔質層と最表層とを有するインクジェット記録用紙において、該最表層の固形分付量が0.05〜2g/m2であり、該最表層とその隣接する該多孔質層との屈折率差が0.05以上であり、かつ該最表層表面のJIS−B−0601に規定される測定長さ2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜4.0μm、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%であることを特徴とするインクジェット記録用紙。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 支持体上に少なくとも1層の多孔質層と最表層とを有するインクジェット記録用紙において、該最表層の固形分付量が0.05〜2g/m2であり、該最表層とその隣接する該多孔質層との屈折率差が0.05以上であり、かつ該最表層表面のJIS−B−0601に規定される測定長さ2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜4.0μm、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%であることを特徴とするインクジェット記録用紙。 【請求項2】 前記最表層が、下記で定義する有機微粒子A又は有機微粒子Bを含有することを特徴とする請求項1記載のインクジェット記録用紙。 有機微粒子A:SP値が18.414〜30.69(MPa)1/2で、かつ沸点が120℃以上の水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤する水に不溶の有機微粒子で、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子。 有機微粒子B:下記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーを有し、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子。 【化1】
〔式中、Xは−O−または−N(R2)−を表し、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は、水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xが−O−の場合、Jは、炭素数2〜8を有する、エーテル構造またはチオエーテル構造を有しても良いアルキレン基であり、Yは、ヒドロキシル基、アルコキシル基またはカルバモイル基を表し、Xが−N(R2)−の場合、Jは、単結合または炭素数2〜8を有する、エーテル構造またはチオエーテル構造を有してもよいアルキレン基であり、Yは、水素原子、ヒドロキシル基、アミノ基、アルコキシル基またはカルバモイル基を表わす。〕
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット用の記録用紙(以下、単に記録用紙ともいう)に関し、詳しくは、インク吸収性、美観に優れ、有害ガスによる画像劣化(変褪色性)の少ないインクジェット用の記録用紙に関する。 【0002】 【従来の技術】インクジェット記録は、インクの微小液滴を種々の作動原理により飛翔させて紙などの記録シートに付着させ、画像・文字などの記録を行うものであるが、最近ではプリンターの高画質化が進み写真画質に到達していることから、記録用紙も写真画質を実現し、尚かつ写真の風合い(光沢、平滑性、コシなど)を再現することが求められている。 【0003】一般に、記録用紙の多くは、支持体とその表面に設けた構成層からなる。塗工する目的は様々であるが、概ね、記録後の品質を向上させるためであり、様々な目的効果を分離分担するため、構成層は複数の層から構成される場合が多い。 【0004】更に今日、構成層の1つとして多孔質層が注目され、多孔質層を塗設した記録用紙では、記録方法を問わず多様な用途が期待されている。特に、インクジェット記録方法の場合、多孔質層が有する空隙部にインクを吸収させることが大きな特徴であり、吸収速度が早いことにより高画質のプリントが得られる利点を有している。 【0005】多孔質層の空隙構造は、近年微細化し、多孔質層の透明度及び表面光沢度が向上したため、結果として高プリント濃度及び高光沢度等の高品質のプリントが得られ、プリント品質として従来の銀塩写真プリントと遜色のないレベルに達している。 【0006】このような微細空隙構造の多孔質層を有する記録用紙の例としては、特開平10−119423号、同10−119424号、同10−175364号、同10−193776号、同10−193776号、同10−217601号、同11−20300号、同11−106694号、同11−321079号、同11−348410号、同11−348410号、同10−178126号、同11−348409号、特開2000−27093、同2000−94830、同2000−158807、同2000−211241等に記載のものが挙げられる。 【0007】一方で、記録用紙の最表面に膜厚0.05〜2μm程度のごく薄い機能層を設ける試みがなされている。その例としては、ドット径をコントロールする層や、まだら状ムラを抑制する層、変褪色を抑制する層などが挙げられる。 【0008】このような高画質な記録用紙の例として、少量の親水性バインダーと架橋剤、多量の無機微粒子とバインダーから構成される多孔質層からなるインク受容層を設ける事により、優れたインク吸収速度と写真に似た光沢・平滑性を併せ持つインクジェット記録用紙が知られている。 【0009】画質・風合い・吸収速度に加え、耐久性・画像保存性に対する要求もより高度になり、耐光性、耐湿性、耐水性なども銀塩写真レベルに到達させる試みが数多くなされている。空隙型記録用紙の場合はその空隙構造に起因して有害ガスによる変褪色を起こしやすい問題がある。特に一般のカラーインクジェットプリンタに採用されているフタロシアニン系水性染料で起こりやすい。 【0010】この変褪色のメカニズムは未だ定かではないが、微細空隙構造は高表面積を有し、かつ無機フィラー微粒子の活性な表面を有しているため、オゾン、オキシダント、SOx、NOxなど空気中の極微量の活性な有害ガスが染料を分解していると考えられている。 【0011】本発明者らは、先に、特定の有機微粒子を記録用紙の塗工層の表層に含有させることが変褪色防止に非常に有効であることを見いだした。特にこの有機微粒子を最表層に高濃度で含有させることが効果的である。 【0012】このような薄膜を設けた記録用紙においては、その表面に自然光を当てた場合、時として虹色の表面外観を呈するため、記録画像の品質を低下させる要因となる。これまで、この様な虹色の外観を防止する方法としては、例えば、膜厚を厚くする方法、逆に極度に薄くする方法、あるいは設けた薄膜とそれに隣接する層との材質や密度などを一致させる方法等といった方法しかなかった。特に、膜厚や材質といった要素が重要な意味をもつ機能層においては、有効な解決手段がないのが現状である。 【0013】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インク吸収性、美観に優れ、有害ガスによる画像劣化(変褪色性)の少ないインクジェット用の記録用紙を提供することにある。 【0014】 【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。 【0015】1.支持体上に少なくとも1層の多孔質層と最表層とを有するインクジェット記録用紙において、該最表層の固形分付量が0.05〜2g/m2であり、該最表層とその隣接する該多孔質層との屈折率差が0.05以上であり、かつ該最表層表面のJIS−B−0601に規定される測定長さ2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜4.0μm、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%であることを特徴とするインクジェット記録用紙。 【0016】2.前記最表層が、前記で定義する有機微粒子A又は有機微粒子Bを含有することを特徴とする前記1項記載のインクジェット記録用紙。 【0017】本発明者は、上記課題に関して鋭意検討を進めた結果、支持体上に少なくとも1層の多孔質層と最表層とを有するインクジェット記録用紙において、該最表層の固形分付量が0.05〜2g/m2であり、該最表層とその隣接する該多孔質層との屈折率差が0.05以上であり、かつ該最表層表面のJIS−B−0601に規定される測定長さ2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均粗さ(Ra)が0.8〜4.0μm、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度を10〜30%とすることにより、インク吸収性、美観に優れ、有害ガスによる画像劣化(変褪色性)の少ないインクジェット用の記録用紙を実現できることを見いだし本発明に至った次第である。本発明の上記効果は、更に、最表層に、前記で定義する有機微粒子A又は有機微粒子Bを含有せしめることにより1層効果が発揮されることを見いだしたものである。 【0018】本発明者が上記課題について解析を進めた結果、最表層の屈折率がその隣接層と異なり、かつ薄層である場合において、記録用紙表面が虹色になり、美観にやや問題を生じること(虹色ムラと呼ぶ)が判明した。特に、最表層の固形分付量が0.05〜2g/m2と少なく、かつ隣接層との屈折率差が0.05以上ある場合には、この問題が顕著に現れやすい。本発明においては、この課題に対して、表面形状をコントロールすることによって解決することができたものである。 【0019】以下、本発明の詳細について説明する。本発明のインクジェット記録用紙では、最表層表面のJISB−0601に規定される測定長さ2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線表面粗さRaが0.8〜4.0μmであり、JIS−Z−8741に規定される60度鏡面光沢が10〜30%であることが1つの特徴であり、上記で規定した各特性値の達成手段としては、その方法として特に制限はないが、下記に記載の方法により、インクジェット記録用紙表面に不規則または規則的な形状の微粒面状の凹凸を設ける方法が好ましい。 【0020】はじめに、本発明に係るインクジェット記録用紙について説明する。本発明に係るインクジェット記録用紙(以下、単に記録用紙という)は、支持体上のインク印字面にインク吸収層を有するものである。 【0021】本発明に係る記録用紙に用いられる支持体は、吸水性支持体と非吸水性支持体のいずれも用いることができるが、非吸水性支持体がシワの発生が無く、また容易に半光沢面を形成できることから好ましい。 【0022】本発明で用いることのできる吸水性支持体としては、例えば一般の紙、布、木材等を有するシートや板等を挙げることができるが、特に、紙は基材自身の吸水性に優れかつコスト的にも優れるために最も好ましい。 【0023】紙支持体は、木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。又、必要に応じて抄紙段階または抄紙機にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理したり、各種コート処理したり、カレンダー処理したりすることもできる。 【0024】非吸水性支持体としては、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。 【0025】プラスチック樹脂フィルム支持体としては、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルム等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは、透明なものまたは半透明なものも使用できるが透明なものが好ましい。 【0026】本発明に係る記録用紙では、紙支持体の両面をポリエチレン等でラミネートした紙支持体を用いることが、記録画像が写真画質に近く、かつ低コストで高品質の画像が得られるため、特に好ましい。そのようなポリエチレンでラミネートした紙支持体について、以下に説明する。 【0027】紙支持体に用いられる原紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて、木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプあるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSPおよびまたはLDPの比率は10質量%以上、70質量%以下が好ましい。 【0028】上記パルプには、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また、漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタンなどの白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、四級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。 【0029】抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS−P−8207に規定される24メッシュ残分の質量%と42メッシュ残分の質量%との和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分の質量%は、20質量%以下であることが好ましい。原紙の坪量は、30〜250g/m2が好ましく、特に50〜200g/m2が好ましい。原紙の厚さは40〜250μmが好ましい。原紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して、高平滑性を与えることもできる。原紙密度は0.7〜1.2g/m2(JIS−P−8118)が一般的である。更に、原紙剛度はJIS−P−8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。原紙表面には表面サイズ剤を塗布しても良く、表面サイズ剤としては前記原紙中添加できるサイズと同様のサイズ剤を使用できる。原紙のpHは、JIS−P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。 【0030】原紙表面および裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)および/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他にLLDPE(リニアローデンシティーポリエチレン)やポリプロピレン等も一部使用することができる。特に、インク吸収層側のポリエチレン層は、写真用印画紙で広く行われているように、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをポリエチレン中に添加し、不透明度および白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量は、ポリエチレンに対して通常3〜20質量%、好ましくは4〜13質量%である。 【0031】ポリエチレン被覆紙は、光沢紙として用いることも、また、ポリエチレンを原紙表面上に溶融押し出してコーティングする際に、いわゆる型付け処理を行って、通常の写真印画紙で得られるようなマット面や絹目面を形成した物も本発明で使用できる。 【0032】原紙の表裏のポリエチレンの使用量は、多孔質層やバック層を設けた後、低湿および高湿下でのカールを最適化するように選択されるが、通常、多孔質層側のポリエチレン層が20〜40μm、バック層側が10〜30μmの範囲である。 【0033】更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下の特性を有していることが好ましい。 【0034】1.引っ張り強さ:JIS−P−8113で規定される強度で、縦方向が20〜300N、横方向が10〜200Nであることが好ましい2.引き裂き強度:JIS−P−8116に規定される方法で、縦方向が0.1〜20N、横方向が2〜20Nが好ましい3.圧縮弾性率≧98.1MPa4.表面ベック平滑度:JIS−P−8119に規定される条件で、20秒以上が光沢面としては好ましいが、いわゆる型付け品ではこれ以下であっても良い5.不透明度:JIS−P−8138に規定された方法で測定したとき、80%以上、特に85〜98%が好ましい6.白さ:JIS−Z−8729で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜95、a*=−3〜+5、b*=−6〜+2であることが好ましい7.クラーク剛直度:記録用紙の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm2/100である支持体が好ましい8.中紙の含水率:中紙に対して、通常2〜100質量%、好ましくは2〜6質量%本発明のインクジェット記録用紙では、本発明に係る中心線平均粗さ(Ra)及び60度鏡面光沢度を達成する方法としては、下記に記載の方法により、インクジェット記録用紙表面に不規則または規則的な形状の微粒面状の凹凸を設ける方法が有効である。 【0035】本発明における凹凸は、視感的に光沢を著しく低下させることなく、しかもギラツキを防止する観点から、本発明で規定する最表層表面に対しては、JISB−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線表面粗さRaが0.8〜4.0μm、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%を満足する様な凹凸を付与することが必要である。 【0036】この凹凸により、表面光沢性が適度に抑制されて不必要なギラツキが無くなり、しかもインクジェット記録した際の光沢度にプリント部分と非プリント部分で大きな差が無くなり、ムラのない視感的に高級感のあるプリントが得られる。 【0037】本発明で得られるこのような表面特性は、従来、インク吸収層に用いられているマット剤では平坦なインク吸収層の中に、粒径が0.5〜50μm程度の微粒子をマット剤として含有させたのでは得られない。 【0038】マット剤を含有させた場合には、通常は最表層表面に凸状態が主体に形成される。この凸のみによって光沢をある程度抑制しようとすると、上述の粒径よりもかなり大きなマット剤を使用する必要が生じるが、そうすると表面粗さが大きくなりすぎ、その結果擦り傷がつきやすかったりプリント表面の触感を悪化させる。従って、マット剤をインク吸収層に含有させる方法では、表面粗さ及び光沢度の両方を満足することはできない。 【0039】前述した如く、本発明に係る最表層表面の粗さは、JISB−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線表面粗さRaが0.8〜4.0μmであって、JIS−Z−8741による60度鏡面光沢度が10〜30%を満足する様な凹凸であるが、このRaが0.8μm未満であると虹色ムラを防止する効果がなくなり、また、Raが4.0μmを越えるとインク液滴が表面の凹凸によって流れ溜まり、プリント画像上に白抜けや濃い斑点などのマダラ状のムラが生じやすい。また、インク吸収層が空隙を有する硬い多孔質皮膜である場合には、Raが4.0μmを越えると製造時に皮膜にひび割れが生じやすくなる。好ましくはRaの範囲は0.9〜3.0μmである。 【0040】しかし、Raが上記範囲内であっても虹色ムラが発生する場合があり、更に、表面光沢度を10〜30%の範囲に調整する必要がある。 【0041】本発明に係る記録用紙は、最表層表面に規則的な形状または不規則な形状の比較的大きな凹凸を有するものであるが、例えば、この凹凸は予め型付け処理を行った支持体にインク吸収層を設けたものであってもよく、あるいは平滑な支持体に、インク吸収層を設けた後、表面を型付けしたものであってもよいが、インク吸収層に後処理する際は、均一な凹凸が付けにくいことから前者が好ましい。又、インク吸収層が比較的硬い多孔質皮膜である場合には、後者が好ましい。 【0042】特に好ましい支持体である紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆した支持体の場合には、ポリエチレン樹脂で紙を被覆した後に表面に彫刻するのが好ましい。 【0043】予め凹凸をポリエチレン樹脂表面に型付けする代表的な方法は、基紙上に溶融したポリエチレン樹脂を押し出しコーティングした後、型付けローラーに圧接して微細な凹凸の模様付けを行うことにより行われる。 【0044】この模様付けを行う方法には、溶融押し出しして得られる樹脂コート紙に室温付近でエンボシングカレンダー処理する方法と、ポリエチレン樹脂の押し出しコーティング時にロール表面に模様を彫刻したクーリングロールを使用して、冷却しながら凹凸を形成する方法があるが、後者が比較的弱い圧力で型付けすることができ、しかもより正確で均質な型付けができることから好ましい。 【0045】支持体表面とインク吸収層表面の凹凸の関係は、インク吸収層の特性にもよるが、インク吸収層が高インク吸収速度を有し、より高画質なプリントが得られる空隙を有する多孔質皮膜である場合には、乾燥膜厚が厚くなるために支持体表面の高低差が減少する傾向が大きい。 【0046】予め凹凸を表面に設けた支持体にインク吸収層を塗布して得られるインクジェット記録用紙の場合、支持体の表面の粗さは所望するインク吸収層の表面の凹凸の高低差より高くすることが必要であり、支持体の表面の粗さは、JISB−0601に規定される基準長2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定したときの中心線平均粗さ(Ra)が1.0〜5.0μmである不規則または規則的な形状である支持体であることが好ましい。特に好ましい支持体のRaは、1.0〜4.0のものである。 【0047】このような支持体を用いて作製した本発明に係る記録用紙は、結果として、最層表面のJIS−Z−8741による鏡面光沢度を10〜30%にすることが必要であり、好ましくは最表層表面に上記凹凸が形成されている。 【0048】表面光沢度は、支持体の上述した凹凸やインク吸収層自体が持つ微細な構造自身および補助的に使用されるマット剤により影響を受ける。 【0049】光沢度が10%未満の場合には、表面のマット化度が高すぎて不鮮明な画像に成りやすかったり、白抜けや濃い斑点などの現象を引き起こしやすくなり、インクジェット記録後に画像表面の僅かの光沢度の差により光沢ムラ(ギラツキ)が目立ちやすくなる傾向がある。 【0050】一方、光沢度が30%を越える場合には、一般に画像面の光沢性が高く半光沢面とは言い難くなり、虹色ムラが発生しやすくなる。特に好ましい光沢度は12〜25%の範囲である。 【0051】上記最表層面にはいわゆるマット剤を含有することも出来るが、光沢を著しく損なわない範囲内で使用すべきである。また、そのようなマット剤としては平均粒径が通常1〜30μm程度のものを使用することが好ましい。 【0052】本発明のインクジェット記録用紙においては、1層以上の多孔質層、いわゆるインク吸収層を有している。 【0053】一般に、インク吸収層としては、大きく別けて膨潤型と空隙型がある。膨潤型としては、水溶性バインダーを用い、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布し、これをインク吸収層としたものである。 【0054】空隙型としては、微粒子及び水溶性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。水溶性バインダーとしては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。 【0055】上記の2タイプの内、連続高速プリントに適応するには、記録用紙のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、本発明においては、空隙型を特に好ましく用いることができる。 【0056】以下、空隙型インク吸収層について、更に詳しく説明する。空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、二種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性樹脂を含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録用紙を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬し、固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して、概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を形成する方法等が知られている。本発明においては、多孔質層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが、特に好ましい。 【0057】上記の目的で使用される無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。 【0058】無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは多孔質層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。 【0059】無機微粒子としては、シリカ、及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。 【0060】本発明で用いることのできるシリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられるが、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカが好ましく、中でも気相法により合成された微粒子シリカは、高い空隙率が得られるだけでなく、染料を固定化する目的で用いられるカチオン性ポリマーに添加したときに、粗大凝集体が形成されにくいので好ましい。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。 【0061】無機微粒子は、カチオン性ポリマーと混合する前の微粒子分散液が一次粒子まで分散された状態であるのが好ましい。 【0062】無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。 【0063】最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社製のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリームインダクターミキサーなどにより、容易に吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。 【0064】本発明においては、インク吸収層に水溶性バインダーを用いることができる。本発明で用いることのできる水溶性バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性バインダーは、二種以上併用することも可能である。 【0065】本発明で好ましく用いられる水溶性バインダーは、ポリビニルアルコールである。 【0066】本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。 【0067】酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。 【0068】カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。 【0069】カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。 【0070】カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。 【0071】アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。 【0072】また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。 【0073】インク吸収層で用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、多孔質層の空隙率、無機顔料の種類、水溶性バインダーの種類に大きく依存するが、一般には、記録用紙1m2当たり、通常5〜30g、好ましくは10〜25gである。 【0074】また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と水溶性バインダーの比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に、3:1〜10:1であることが好ましい。 【0075】本発明のインクジェット記録用紙には、記録後の保存による画像のにじみを防止する目的でカチオン性ポリマーが好ましく用いられる。 【0076】カチオン性ポリマーの例としては、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、ジシアンジアミドポリアルキレンポリアミン縮合物、ポリアルキレンポリアミンジシアンジアミドアンモニウム塩縮合物、ジシアンジアミドホルマリン縮合物、エピクロルヒドリン・ジアルキルアミン付加重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合物、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド・SO2共重合物、ポリビニルイミダゾール、ビニルピロリドン・ビニルイミダゾール共重合物、ポリビニルピリジン、ポリアミジン、キトサン、カチオン化澱粉、ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド重合物、(2−メタクロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルアミノエチルメタクリレート重合物、などが挙げられる。 【0077】また、化学工業時報平成10年8月15,25日に述べられるカチオン性ポリマー、三洋化成工業株式会社発行「高分子薬剤入門」に述べられる高分子染料固着剤が例として挙げられる。 【0078】カチオン性の水溶性ポリマーの添加量は、インクジェット記録用紙1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。 【0079】多孔質層において、空隙の総量(空隙容量)は記録用紙1m2当たり20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。 【0080】インク保持能を有する多孔質層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率という。本発明において、空隙率を50%以上にすることが、不必要に膜厚を厚くさせないで空隙を効率的に形成できるので好ましい。 【0081】空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョン、これに水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。上記ポリウレタン樹脂を用いたインク吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。 【0082】本発明においては、硬化剤を使用することが好ましい。硬化剤は、インクジェット記録用紙作製の任意の時期に添加することができ、例えば、インク吸収層形成用の塗布液中に添加しても良い。 【0083】本発明においては、インク吸収層形成後に、水溶性バインダーの硬化剤を供給する方法を単独で用いても良いが、好ましくは、上述の硬化剤をインク吸収層形成用の塗布液中に添加する方法と併用して用いることである。 【0084】本発明で用いることのできる硬化剤としては、水溶性バインダーと硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、ホウ酸及びその塩が好ましいが、その他にも公知のものが使用でき、一般的には水溶性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは水溶性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5,−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。 【0085】ホウ酸またはその塩とは、硼素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことをいい、具体的には、オルトホウ酸、二ホウ酸、メタホウ酸、四ホウ酸、五ホウ酸および八ホウ酸およびそれらの塩が挙げられる。 【0086】硬化剤としてのホウ素原子を有するホウ酸およびその塩は、単独の水溶液でも、また、2種以上を混合して使用しても良い。特に好ましいのはホウ酸とホウ砂の混合水溶液である。 【0087】ホウ酸とホウ砂の水溶液は、それぞれ比較的希薄水溶液でしか添加することが出来ないが両者を混合することで濃厚な水溶液にすることが出来、塗布液を濃縮化する事が出来る。また、添加する水溶液のpHを比較的自由にコントロールすることが出来る利点がある。上記硬化剤の総使用量は、上記水溶性バインダー1g当たり1〜600mgが好ましい。 【0088】請求項2に係る発明においては、最表層が前記で定義する有機微粒子A又は有機微粒子Bを含有することが好ましい。 【0089】本発明に係る有機微粒子Aとは、SP値が18.414〜30.69(MPa)1/2で、かつ沸点が120℃以上の水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤する水に不溶の有機微粒子で、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子と定義する。 【0090】本発明でいうSP(Solubility Parameter)値とは、溶解度パラメーターのことであり、物質の溶解性を予測するための一つの有用な尺度である。SP値の単位は(MPa)1/2で表され、25℃における値を指す。 【0091】有機溶媒のSP値に関しては、例えば、「POLYMER HANDBOOK」(J.Brandrup他、 A Wiley−intersciencePublication)のIV−337頁に記載されている他、各種の文献などに掲載されている。 【0092】本発明で用いることのできる水溶性有機溶媒(括弧内に、代表的なSP値を示す)の例としては、アルコール類(例えば、ブタノール(23.3)、イソブタノール(21.5)、セカンダリーブタノール(22.1)、ターシャリーブタノール(21.7)、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール(23.3)、ベンジルアルコール(24.8)等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール(29.9)、ジエチレングリコール(24.8)、トリエチレングリコール(21.9)、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール(25.8)、ジプロピレングリコール(20.5)、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール(21.1)、ペンタンジオール、グリセリン(33.8)、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル(23.3)、エチレングリコールモノエチルエーテル(21.5)、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(17.6)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(23.3)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン(25.2)、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)等が挙げられる。 【0093】本発明において、特に好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類、多価アルコールのアルキルエーテル類、複素環類であり、これらから2〜3種選ばれるのが好ましい。 【0094】本発明に係るSP値が18.414〜30.69の範囲の水溶性有機溶媒としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエタノールアミン、2−ピロリドン等が好ましく用いられるが、特に好ましく用いられるのは、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(SP値19.437、沸点230℃)である。 【0095】本発明に係る水溶性有機溶媒は、沸点が120℃以上のものが選ばれる。沸点の上限は特に限定されないが、融点が30℃以下のものが好ましい。 【0096】本発明に係る有機微粒子Aは、SP値が18.414〜30.69(MPa)1/2で、かつ沸点が120℃以上の上記水溶性有機溶媒により溶解又は膨潤する水に不溶の有機微粒子であり、かつガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、平均粒子径が100nm以下であることが特徴であり、重量平均分子量としては5000以上の高分子が好ましく、その材質としては、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、エラストマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル共重合体、ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルアセタール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、SBR、NBR、ポリテトラフルオロエチレン、クロロプレン、タンパク質、多糖類、ロジンエステル、セラック樹脂等、従来公知のものから選ばれる。特に好ましい有機微粒子Aの材質は、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、(メタ)アクリレート系樹脂、SBR等であり、変成や共重合によって2種以上の単量体からなる樹脂も好ましく用いられ、樹脂に対して特定の修飾基を付加したものや脱離基を除いたものでもよく、2種以上の材質を混合して有機微粒子を形成してもよく、更には2種類以上の有機微粒子を混合して用いてもよい。 【0097】本発明でいう「有機溶媒により溶解する」とは、有機微粒子Aとインク中の水溶性有機溶媒が平衡状態で単一の相をなすことを指し、「有機溶媒により膨潤する」とは有機微粒子Aが同水溶性有機溶媒を吸収して体積を増加させることを言う。膨潤したときの好ましい体積増加率は2〜8倍である。 【0098】本発明に係る有機微粒子Aは、インクジェット記録中で溶解しないために、水に不溶でなければならない。ただし、インク吸収速度を妨げない範囲で水を吸収することは許される。有機微粒子Aの質量に対し20質量%までの水の吸収をしてもよい。また、本発明に係る有機微粒子Aは、顔料インクによるプリント後、該有機微粒子A含有層が軟化する程度の量含まれれば足りるが、好ましくは層中の固形分に対し質量比で50%以上であり、より好ましくは75%以上である。 【0099】また、本発明に係る有機微粒子Aには、水溶性有機溶媒に対する溶解や膨潤に支障のない範囲で架橋剤を使用してもよい。本発明において、架橋剤としては有機物・無機物を問わず、従来公知の架橋剤を適宜選択して用いることができる。 【0100】本発明に係る有機微粒子Aの平均粒子径は、記録用紙の表面光沢に大きく影響する。本発明においては、100nm以下であることが1つの特徴ではあるが、好ましい平均粒子径は1〜100nmであり、より好ましくは5〜100nmである。有機微粒子Aの平均粒子径が5〜100nmであると、プリント部と非プリント部の光沢度差を小さくするという本発明の効果に大きく寄与することができる。平均粒子径の測定法としては、例えば、有機微粒子含有層の断面や表面を電子顕微鏡で観察し、多数個の任意の有機微粒子Aの粒径を求め、その単純平均値(個数平均)として求める方法がある。なお、個々の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定した時の直径で表したものである。又は別の方法としては、有機微粒子Aを適当な分散媒に分散させ、レーザ回折散乱式粒度分布測定によって粒径を求めることもできる。本発明に係る有機微粒子Aの形状は、真球形である必要はなく、針状でも板状でもよい。粒径は、体積から球換算で求められる。 【0101】次いで、本発明に係る有機微粒子Bについて説明する。本発明でいう有機微粒子Bとは、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーを有し、ガラス転移温度(Tg)が70℃以上で、かつ平均粒子径が100nm以下の有機微粒子と定義する。 【0102】前記一般式(1)で表される繰り返し単位の詳細について、以下説明する。本発明の目的効果を好ましく発現せしめる観点から、有機微粒子Bとして、前記一般式(1)で表される繰り返し単位は親水性を有することが好ましく、具体的には、下記に示すアクリル系単量体、アクリルアミド系単量体及び/またはメタクリルアミド系単量体等の親水性単量体を重合させて得ることができるが、本発明ではこれらに限定されない。 【0103】 【化2】
【0104】 【化3】
【0105】 【化4】
【0106】前記一般式(1)で表される繰り返し単位に親水性を付与しているのは、前記一般式(1)を形成する、X、J及び置換基Y等の各々の部分構造であるが、本発明においては、置換基Yにより親水性が付与されることが好ましい。 【0107】また、前記一般式(1)で表される繰り返し単位に親水性を付与する為に用いられる置換基としては、『薬物の構造活性相関(ドラッグデザインと作用機作への指針)』(化学の領域増刊122号)構造活性相関懇話会編、南江堂(1980)、p96〜103に記載のような、疎水性パラメータ(π)が負の置換基等を用いることができる。 【0108】本発明に係る有機微粒子Bは、前記一般式(1)で表されるような特定の繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上もつことが必要であるが、10質量%以上含有することが好ましい。 【0109】また、有機微粒子B自体としては、親水性ではあっても水溶性ではないことが好ましいので、10〜50質量%未満の範囲の含有率に調整されることが好ましい。 【0110】以下、本発明に係る有微微粒子Bの構成成分として用いられる、前記一般式(1)で表される繰り返し単位を共重合成分として5質量%以上含有するポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。 【0111】 【化5】
【0112】 【化6】
【0113】一方、有機微粒子Bを構成するポリマーの他の単量体成分としては、エチレン性不飽和基を有する従来公知の任意のものが選ばれる。これらは、単一の種類であっても、複数種類であっても良い。このような単量体の例としては、アクリル酸あるいはメタクリル酸のアルキルエステルまたはアルキルアミド等であり、メチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルアクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、または、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、または、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジブチルアミノメチルアクリレート、ジヘキシルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、(t−ブチル)アミノエチルアクリレート、ジイソヘキシルアミノエチルアクリレート、ジヘキシルアミノプロピルアクリレート、ジ(t−ブチル)アミノヘキシルアクリレート等が挙げられる。これらのうち好ましく用いられるのは、スチレン、メチルメタアクリレート、n−ブチルアクリレートである。 【0114】本発明に係る有機微粒子Bは、水系エマルジョンとして調製し、塗布液を構成することが好ましく、その場合のエマルジョン粒子のイオン性は塗布液と等しいか、または非イオン性であることが好ましい。また、有機微粒子Bを含有する層の塗布液のイオン性は、他の層の塗布液のイオン性と等しいか、または非イオン性であることが好ましい。また、最も好ましいのは有機微粒子Bと塗布液全てのイオン性がカチオン性または非イオン性であることである。 【0115】通常、インクジェット記録用紙は、室温下で使用されるが、使用前の保存状態は必ずしも室温とは限らず、特に、夏場の密閉された車中では非常に高温状態となるため、そのような環境を経た後でも支障なく使用できることが望まれる。このため、有機微粒子Bのガラス転移温度(Tg)は70℃以上であることが必要であるが、好ましくは、80℃以上であり、更に好ましくは、90℃〜120℃である。 【0116】前述の有機微粒子A及び有機微粒子Bのガラス転移温度(Tg)が70℃未満の場合には、加熱による有機微粒子の融着を生じやすくなり、その結果として、記録用紙表面の空隙が縮小または減少し、インク吸収速度の低減が起こりやすくなる。 【0117】ここで、本発明に係る有機微粒子の構成成分であるポリマーのTgは、共重合成分としての単量体単独重合体のTgおよび単量体組成比から質量分率によって計算で求めることが可能である。例えば、スチレン(単独重合体Tg=100℃=373K):n−ブチルアクリレート(単独重合体Tg=−54℃=219K)が4:1(質量比)の組成からなるポリマーのTgとしては、1/((1/373K)×4/5+(1/219K)×1/5)=327K(=54℃)と求められる。単量体単独重合体のTgについては、POLYMER HANDBOOK (A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION)に多数の測定値が掲載されている。 【0118】また、有機微粒子Bの平均粒子径は100nm以下であることが必要であるが、好ましくは60nm以下であり、更に好ましくは、20〜40nmであり、本発明に係る有機微粒子Bは、従来公知の乳化重合法等により水中で合成されることが好ましい。その粒子径は、乳化剤の種類や量、単量体成分を調節するなど従来公知の手法により上述の20nm程度から100nm程度までの範囲になるように調節することが可能である。 【0119】本発明の効果を顕著に奏するために、インク吸収層の表面に配置する最表層として、有機微粒子A又はBの含有率は50〜90質量%であることが好ましいが、該表層中での有機微粒子同士の融着を効果的に防止し、インク吸収速度を更に高める観点から、後述するインク吸収層で用いるのと同様の無機微粒子を含有しても良い。 【0120】本発明のインクジェット記録用紙は、前記有機微粒子A又は有機微粒子Bを含有する最表層を有していることが好ましいが、本発明でいう最表層とは、最表面層に限定されることはなく、本発明の効果が発現する構成であれば、特に限定されるものではない。 【0121】本発明でいう最表層を明示するための好ましい構成例を以下に列挙するが、本発明に係る層構成は、これらにのみ限定されるものではない。 【0122】1:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている層が最表層である構成2:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている層を設け、更にその上に、表面物性の改良を目的とした薄層を設けた構成3:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている層を設け、更にその上に、有害光をカットする目的で、紫外線吸収機能を有する薄層を設けた構成4:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている層を設け、更にその上に、マット剤を含む層を設けた構成5:支持体上に空隙型インク吸収層を有し、その上に有機微粒子A又は有機微粒子Bが含まれている層を設け、更にその上に、剥離可能な層を設けた構成。 【0123】上記に記載の構成例の内で最も好ましい構成は、本発明の効果を最も発揮できる1項に係る有機微粒子A又は有機微粒子Bの含有層が最表層である場合である。 【0124】本発明に係る有機微粒子A又は有機微粒子Bを含む最表層には、後述するインク吸収層で用いるのと同様の無機微粒子、バインダー成分等を含んでも良い。 【0125】本発明においては、最表層及び後述の多孔質層の少なくとも1層が、多価金属元素を含む化合物を含有することが好ましい。 【0126】好ましい最表層の形態の他の例として、ドット径コントロール層が挙げられる。インクジェット記録用紙の最表層に平均粒子径20〜70nmのコロイダルシリカを主成分として含有する薄層を設けることによって、ドット径を10%程度拡大させることができる。このような構成からなる層は空隙率が低く、インク吸収速度がやや遅いため、2μm以上の厚膜層にするとはできない。 【0127】好ましい最表層の形態の他の例は、まだらを抑制する層である。通常の多孔質層に比べ極端にバインダー含有量の少ない薄層を最表層に設けることによって、インクジェット記録後の画像のまだらを抑制することができる。このような構成からなる層はひび割れやすく、2μm以上の厚膜層にすることはできない。 【0128】その他本発明の記録用紙の好ましい最表層として、紫外線透過性、酸素(その他ガス)透過性、表面耐擦性、耐キズ性、スベリ性、染料定着性、顔料定着性、接着性、被接着性、剥離性、耐結露性、撥水性、耐水性、耐火性、耐ホコリ付着性などをコントロールするためのものが考えられる。 【0129】本発明の記録用紙の各構成層には、上述した以外の各種添加剤を使用することができる。例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル類、ポリメタクリル酸エステル類、ポリアクリルアミド類、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、又はこれらの共重合体、尿素樹脂、又はメラミン樹脂等の有機ラテックス微粒子、アニオン性、カチオン性、非イオン性、ベタイン型の各界面活性剤特開昭57−74193号、同57−87988号及び同62−261476号に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号、同60−72785号、同61−146591号、特開平1−95091号及び同3−13376号等に記載されている退色防止剤、特開昭59−42993号、同59−52689号、同62−280069号、同61−242871号及び特開平4−219266号等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、防腐剤、増粘剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。 【0130】本発明の記録用紙の多孔質層及び下引き層など必要に応じて適宜設けられる各種のインク吸収層を支持体上に塗布する方法は、公知の方法から適宜選択して行うことができる。好ましい方法は、各層を構成する塗布液を支持体上に塗設して乾燥して得られる。この場合、2層以上を同時に塗布することもでき、特に全ての親水性バインダー層を1回の塗布で済ませる同時重層塗布方法が好ましい。 【0131】塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,681,294号記載のホッパーを使用するエクストルージョンコート法が好ましく用いられる。 【0132】本発明のインクジェット記録用紙を用いた画像記録においては、水性インクを用いる記録方法が好ましい。 【0133】本発明でいう水性インクとは、下記の着色剤及び液媒体、その他の添加剤から成る記録液体を意味する。 【0134】本発明で用いることのできる着色剤としては、インクジェットで公知の直接染料、酸性染料、塩基性染料、反応性染料、食品用色素等の水溶性染料又は水分散性顔料を使用することができる。中でも、特に好ましい着色剤は、フタロシアニン系の染料をシアン染料として用いたインクである。フタロシアニン系染料は、シアン系染料の中でも特に広く知られ、かつ用いられているものである。 【0135】水性インクの溶媒としては、水及び水溶性の各種有機溶剤、例えば、メチルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール等のアルコール類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド類;アセトン、ジアセトンアルコール等のケトン又はケトンアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリエタノールアミン等の多価アルコール類;エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類等が挙げられる。 【0136】これらの水溶性有機溶剤の中でも、ジエチレングリコール、トリエタノールアミンやグリセリン等の多価アルコール類、トリエチレングリコールモノブチルエーテルの多価アルコールの低級アルキルエーテル類が好ましい。 【0137】その他の水性インクの添加剤としては、例えば、pH調節剤、金属封鎖剤、防黴剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、湿潤剤、界面活性剤及び防錆剤などが挙げられる。 【0138】水性インク液は、記録用紙に対する濡れ性を良好にするため、20℃において25〜60mN/m、好ましくは30〜50mN/mの範囲内の表面張力を有することが好ましい。 【0139】本発明で用いることのできるプリンターは、市販されているプリンターのように、例えば、記録用紙収納部、搬送部、インクカートリッジ、インクジェットプリントヘッドを有するものであれば特に制約はないが、少なくともロール状の記録用紙収納部、搬送部、インクジェットプリントヘッド、切断部、及び、必要に応じて加熱部、加圧部、記録プリント収納部から構成される一連のプリンターセットであることが好ましい。使用するインクジェットプリントヘッドは、オンデマンド方式でもコンティニュアス方式でも構わない。また、吐出方式としては、電気−機械変換方式(例えば、シングルキャビティー型、ダブルキャビティー型、ベンダー型、ピストン型、シェアーモード型、シェアードウォール型等)、電気−熱変換方式(例えば、サーマルインクジェット型、バブルジェット(R)型等)、静電吸引方式(例えば、電界制御型、スリットジェット型等)及び放電方式(例えば、スパークジェット型等)などを挙げることができる。好ましくは電気−機械変換方式であるが、いずれの吐出方式を用いても構わない。 【0140】 【実施例】以下、本発明の実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。なお、実施例中で「%」は、特に断りのない限り質量%を表す。 【0141】《記録用紙1の作製》 〔支持体1の作製〕含水率が6.5質量%、坪量170g/m2の写真用原紙の裏面に押し出し塗布法により密度が0.92の低密度ポリエチレンを20μmの厚さで塗布し、コロナ放電を行った後、ラテックス層を厚みが0.2g/m2になるように塗布した。ついで、表側(インク吸収層塗設面側)にアナターゼ型酸化チタン5.5質量%含有する密度が0.92の低密度ポリエチレンを14μmの厚さで溶融押し出し塗布法で塗布し、次いで、この表面にコロナ放電を行った後、架橋剤を含有するゼラチン下引き層を0.03g/m2塗布して両面をポリエチレンで被覆した支持体1を作製した。 【0142】〔インク吸収層塗布液の調製及び塗布〕上記支持体1上に、液温45℃の下記インク吸収層用の塗布液1をワイヤーバーにて塗布、乾燥した後、40℃、80%RHの恒温槽中に12時間保存して、記録用紙1を得た。乾燥膜厚は35μmであった。なお、記録用紙1のシリカ微粒子の塗設量は15g/m2、カチオン性ポリマー(P1)の塗設量は2.2g/m2、ポリビニルアルコールの塗設量は2.3g/m2であった。また、屈折率は1.15である。 【0143】(塗布液1の調製)下記シリカ−カチオンポリマー分散液1を45℃に昇温し、ポリビニルアルコール(クラレ製、PVA203)の10%水溶液及び他のポリビニルアルコール(クラレ製、PVA245)の6%水溶液をそれぞれ45℃に昇温した後に添加した。最後に、一定の体積となるように45℃の純水を加えて半透明状のインク吸収層用の塗布液1を得た。 【0144】〈シリカ−カチオンポリマー分散液1の調製〉カチオン性ポリマー(P1)の15%水溶液100gに、1次粒子の平均粒径が12nmの微粒子シリカ(トクヤマ製、QS−20)の20%水分散液500g、次いで硼酸3.0g、ホウ砂0.7gを添加し、高速ホモジナイザーで分散し、青白色のシリカ−カチオンポリマー分散液1を得た。 【0145】 【化7】
【0146】〔記録用紙1の中心線平均粗さ(Ra)及び60度鏡面光沢度の測定〕 (インク吸収層面側の中心線表面粗さの測定)上記作製した記録用紙1の表面の中心線表面粗さを下記に示す方法により測定した。中心線平均粗さRa(μm)は、非接触3次元表面解析装置(WYKO社RST/PLUS)を用いて測定した。なおRaの定義は、JIS表面粗さ(B0601)に従った。測定は、30cm×30cmの各試料について、3cm間隔で碁盤目状に100分割し、各正方形領域の中心について測定を行ない、100回の測定からその平均値と標準偏差を求めた。中心線平均粗さ(Ra)は、得られた粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さ2.5mmの部分を抜き取り、カットオフ値を0.8mmとして、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をY=f(X)で表したとき、下記式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表した。 【0147】 【数1】
【0148】上記方法で測定した記録用紙1の中心線表面粗さは、0.3μmであった。 (表面の60度鏡面光沢度の測定)上記作製した記録用紙1の表面を、JIS−Z−8741に従って60度鏡面光沢度を測定した結果、60度鏡面光沢度は27%であった。なお、測定には、日本電色工業社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いた。 【0149】《記録用紙2の作製》上記記録用紙1のインク吸収層上に、下記有機微粒子エマルジョン(L−I)が0.625g/m2、微粒子シリカ(トクヤマ社製、QS−20)が0.313g/m2、アクリル系エマルジョン(Tg=−30℃、平均粒子径30nm)が0.063g/m2からなる最表層用の塗布液2をワイヤーバーで塗布、乾燥した後、40℃、80%RHの恒温槽中に12時間保存して、記録用紙2を得た。最表層の固形分付量は、1.00g/m2で、有機微粒子エマルジョン(L−I)、微粒子シリカ、アクリル系エマルジョンの構成比は、62.5:31.2:6.3であり、最表層の屈折率は、1.40である。 【0150】(有機微粒子エマルジョン(L−I)の調製)n−ブチルアクリレート:スチレン:2−ヒドロキシエチルメタクリレート:t−ブチルメタクリレート=10:50:20:20(質量比)のモノマーを用い、公知の方法に従い乳化重合して、有機微粒子エマルジョン(L−I)を調製した。上記調製に用いた界面活性剤は、カチオン性界面活性剤であるステアリルトリメチルアンモニウムクロライドで、総モノマー量に対して固形分として3質量%添加した。以上のようにして調製した有機微粒子エマルジョン(L−I)に含有される有機微粒子の平均粒子径は、レーザー散乱法で測定したところ50nmであり、また、前述の方法により各構成モノマーのTgより計算で求めたガラス転移温度(Tg)は76℃であった。 【0151】上記と同様の方法で測定した記録用紙2の中心線平均粗さ(Ra)は0.4μm、60%鏡面光沢度は29%であった。 【0152】《記録用紙3の作製》 〔支持体2の作製〕含水率が6.5質量%、坪量170g/m2の写真用原紙の裏面に押し出し塗布法により密度が0.92の低密度ポリエチレンを20μmの厚さで塗布し、コロナ放電を行った後、ラテックス層を厚みが0.2g/m2になるように塗布した。ついで、表側(インク吸収層塗設面側)にアナターゼ型酸化チタン5.5質量%含有する密度が0.92の低密度ポリエチレンを14μmの厚さで溶融押し出し塗布法で塗布して両面をポリエチレンで被覆し、溶融押し出し塗布直後に、インク吸収層塗設面側に、不規則の形状の凹凸を有するクーリングロールを使用して冷却しながら表側のポリエチレン表面に型付け処理を行った。次いで、この表面にコロナ放電を行った後、架橋剤を含有するゼラチン下引き層を0.03g/m2塗布して支持体2を作製した。 【0153】〔インク吸収層及び最表層の塗布〕前記記録用紙2の作製において、支持体1に代えて、上記作製した支持体2を用いた以外は同様にして、記録用紙3を作製した。 【0154】前記と同様の方法で測定した記録用紙3の中心線平均粗さ(Ra)は2.4μm、60%鏡面光沢度は18%であった。 【0155】《記録用紙4の作製》上記記録用紙3の作製において、支持体2に代えて、下記の方法で作製した支持体3を用いた以外は同様にして、記録用紙4を作製した。 【0156】前記と同様の方法で測定した記録用紙4の中心線平均粗さ(Ra)は0.9μm、60%鏡面光沢度は23%であった。 【0157】〔支持体3の作製〕上記支持体1の作製において、表側のポリエチレンを溶融押し出し塗布直後に、マット面を有するクーリングロールを使用して冷却しながら表側のポリエチレン表面に型付け処理を行った以外は同様にして支持体3を作製した。 【0158】《記録用紙5〜10の作製》上記記録用紙3の作製において、表1に記載の様に、表側のポリエチレンを溶融押し出し塗布直後用いたクーリングロール表面の不規則形状の凹凸の個数を適宜変更した支持体4〜8を用いて、更に、最表層の固形分付量(有機微粒子エマルジョン(L−I)、微粒子シリカ、アクリル系エマルジョンの構成比=62.5:31.2:6.3)を変更した以外は同様にして、表1に記載の中心線平均粗さ(Ra)及び60%鏡面光沢度を有する記録用紙5〜10を作製した。 【0159】《各有機微粒子の溶解性試験》上記記録用紙2〜10の作製に使用した各有機微粒子エマルジョンを、ジエチレングリコールモノブチルエーテル〔SP値19.437(MPa)1/2、沸点230℃〕と室温で混合した結果、全て溶解した。 【0160】《処理A後の記録用紙の表面及び断面の電子顕微鏡観察》記録用紙1〜10に下記処理Aを施した部分の電子顕微鏡による表面・断面の観察を行ったところ、記録用紙2〜10は、有機微粒子が溶解または膨潤することにより互いに融着している状態が観察された。 【0161】〈処理A〉ジエチレングリコールモノブチルエーテル〔SP値19.437(MPa)1/2、沸点230℃〕の20%水溶液を、記録用紙1〜10の表面に均一にスプレー塗布した。塗布量は20ml/m2であった。次いで、この部分を23℃、55%RHの環境下で1時間乾燥させた。 【0162】《記録用紙の評価》 (インク液の調製)以下の組成からなるシアンインク液を作製した。 【0163】 水 68.5部 ジエチレングリコールモノブチルエーテル 12部 ジエチレングリコール 10部 グリセリン 8部 C.I.Direct Blue 86 1部 界面活性剤(信越化学製 サーフィノール465) 0.5部(虹色ムラ:美観の評価)記録用紙1〜10の未記録部分の表面を目視判定し、以下の基準に則って虹色ムラの評価を行った。 【0164】 ○:30cmの観察距離でも虹色ムラが認められない△:60cmの観察距離では虹色ムラが認められない×:60cm以上の観察距離でも虹色ムラが明らかに認められる実用上問題がないレベルは○、△である。 【0165】(プリントムラの評価)上記調製したインクを搭載したキヤノン社製のインクジェットプリンタBJF870を用いて、記録用紙1〜10に緑色のベタ画像を印字した。インク吐出量は12ml/m2であった。この画像を23℃・55%RHの環境下で1時間乾燥させて、その画像部分を目視観察し、下記の基準に則りプリントムラの評価を行った。 【0166】 ○:印字画像中に白抜けや濃い斑点が認められない△:印字画像中に白抜けは認められないが、濃い斑点がやや認められる×:印字画像中に白抜けや濃い斑点が散見される実用上問題がないレベルは○、△である。 【0167】(変褪色耐性の評価)上記作製した記録用紙1〜10に、純正インクを搭載したキヤノン社製のインクジェットプリンタBJF870を用いて、シアンのベタ画像を印字し、その印字画像をオフィス室内の窓際に貼り、外気流が曝露されるが直射日光の当たらない環境に6ヶ月放置した。放置前後のプリント部の反射濃度を赤色の単色光で濃度測定し、下式に従い濃度残存率を求め、これを変褪色耐性の尺度とした。 【0168】濃度残存率=(6ヶ月放置後の濃度/放置前の濃度)×100(%) 以上により得られた結果を表1に示す。 【0169】 【表1】
【0170】表1より明らかなように、最表層の固形分付量が0.05〜2g/m2で、最表層とインク吸収層との屈折率差が0.05以上で、かつ最表層表面のRaが0.8〜4.0μmで、60度鏡面光沢度が10〜30%である本発明の記録用紙は、比較例に対して、虹色ムラ、プリントムラ及び変褪色耐性の全ての項目において優れていることが分かる。 【0171】 【発明の効果】本発明により、インク吸収性(プリントムラ)、美観(虹色ムラ)に優れ、かつ有害ガスによる画像劣化(変褪色性)の少ないインクジェット用の記録用紙を提供することができた。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000001270 【氏名又は名称】コニカミノルタホールディングス株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区丸の内一丁目6番1号
|
| 【出願日】 |
平成14年5月13日(2002.5.13) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2003−326838(P2003−326838A) |
| 【公開日】 |
平成15年11月19日(2003.11.19) |
| 【出願番号】 |
特願2002−136806(P2002−136806) |
|